JP4778588B2 - 感光性樹脂積層体 - Google Patents
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Description
ここで用いられる感光性樹脂層としては、現在、現像液として弱アルカリ水溶液を用いるアルカリ現像型のものが一般的である。
DFを用いてプリント配線板等を作製するには、保護層が有る場合には、まず保護層を剥離した後、銅張積層板やフレキシブル基板等の永久回路作製用基板上にラミネーター等を用いDFをラミネートし、配線パターンマスクフィルム等を通し露光を行う。次に必要に応じて支持フィルムを剥離し、現像液により未露光部分の感光性樹脂層を溶解、もしくは分散除去し、基板上に硬化レジストパターンを形成させる。
第一の方法は、レジストパターンによって覆われていない銅張積層板等の銅面をエッチング除去した後、レジストパターン部分を現像液よりも強いアルカリ水溶液で除去する方法(エッチング法)である。第二の方法は同上の銅面に銅、半田、ニッケルおよび錫等のめっき処理を行った後、同様にレジストパターン部分の除去、さらに現れた銅張積層板等の銅面をエッチングする方法(めっき法)である。エッチングには塩化第二銅、塩化第二鉄、銅アンモニア錯体溶液等が用いられる。
また、感光層が10μm以下の薄膜では基材の微小な凹凸やキズにラミネート時に感光層が充分に追従しないことにより、ラミネートエアーボイドを生じ、その部分にエッチング液の染み込みにより導体が断線するという問題点が発生することがある。
ラミネートエアーボイドなく高追従性とするには感光層の粘度を低くする方法があるが、ロール端面からの感光層のしみだし、いわゆるエッジフューズが発生という問題がある。
また、感光層が10μm以下と薄くなると感光層の絶対量が不足し、基材の凹凸やキズに対して感光層の粘度を下げても、追従性が充分ではないことがある。
高解像度とするには、支持フィルムと感光性樹脂層の間にポリビニルアルコールからなる中間層を設けて露光工程前に支持フィルムを剥離して中間層上から露光することにより高解像度とし、且つ支持フィルムの滑剤等によるレジスト形状に対する影響を排除する、という手法があるが、追従性を同時に解決する手法ではない。
以下の特許文献4には、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、分離層、感光性樹脂層をこの順に設けた感光性転写材料についての記載がある。しかしながら、熱可塑性樹脂層と分離層間の剥離には難があった。
プリント配線板の微細化や薄膜で高解像性が必要なCOF用基板作製、半導体パッケージ用基板作製等にはラミネート時の追従性が良好であり、高解像、高密着性を発現し、現像後のレジスト形状において、サイドウオールにガタツキや表面に凹みを生じることがなく、良好であり、かつ現像後のスソが極めて小である特性を有する感光性樹脂組成物、及び感光性樹脂積層体が求められてきた。
(1)支持フィルム上に、層厚が10μm以上100μm以下の第一層と、層厚が0.1μm以上10μm以下の第二層と、感光性樹脂層とを順次積層してなる感光性樹脂積層体であって、該第一層が、熱可塑性樹脂を含有し、そして該第二層が、ポリビニルアルコール:75〜99質量%と、下記一般式(I):
R1−O−(CH2CH2O)n1−R2 (I)
{式中、R1及びR2は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn1は、3〜25の整数である。}で表される化合物、及び下記一般式(II):
R1−O−(CH2CH2O)n1−R2 (I)
{式中、R1及びR2は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn1は、3〜25の整数である。}で表される化合物を含有する、前記(1)に記載の感光性樹脂積層体。
(3)前記感光性樹脂層上に保護層を更に積層してなる、前記(1)又は(2)に記載の感光性樹脂積層体。
(4)前記感光性樹脂層が、(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、かつ、重量平均分子量が5,000〜500,000であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)少なくとも一種の光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、及び(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%、を含有する感光性樹脂組成物からなる層である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の感光性樹脂積層体。
(7)前記(6)に記載の方法によって、レジストパターンを形成した基板をエッチング又はめっきすることを特徴とする導体パターンの製造方法。
本発明の感光性樹脂積層体は、支持フィルム上に、層厚が10μm以上100μm以下の第一層と、層厚が0.1μm以上10μm以下の第二層と、感光性樹脂層とを順次積層してなる感光性樹脂積層体であって、
該第一層が、熱可塑性樹脂を含有し、
該第二層が、ポリビニルアルコール:75〜99質量%と、下記一般式(I):
R1−O−(CH2CH2O)n1−R2 (I)
{式中、R1及びR2は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn1は、3〜25の整数である。}で表される化合物、及び下記一般式(II):
また、第一層に用いられる熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、感光性樹脂積層体としてロール状で保管したときに、ロール端面から熱可塑性樹脂がはみ出すことを防ぐ観点から、10℃以上が好ましく、より好ましくは20℃以上、更に好ましくは、30℃以上である。
第一層には、上述の熱可塑性樹脂に加えて、該熱可塑性樹脂と相溶性のある各種の可塑剤を添加して、実質的なガラス転移温度を下げることも可能である。また、これらの第一層中に第二層との接着力を調節するために、実質的なガラス転移温度が120℃を超えない範囲で添加剤、例えば、各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤や離型剤を、5〜50質量%の範囲で加えることが可能である。より好ましくは、35質量%以下である。
他に、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコールやポリアルキレングリコールメチルエーテルを加えることも可能である。中でも下記一般式(I):
R1−O−(CH2CH2O)n1−R2 (I)
{式中、R1及びR2は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn1は、3〜25の整数である。}で表される化合物を加えることが、追従性が向上する観点から好ましい。
また、第二層が、ポリビニルアルコール:75〜99質量%と、下記一般式(I):
R1−O−(CH2CH2O)n1−R2 (I)
{式中、R1及びR2は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn1は、3〜25の整数である。}で表される化合物、及び下記一般式(II):
第二層におけるポリビニルアルコール配合比率としては、現像性及びコストの観点から75質量%以上99質量%以下であることが好ましい。より好ましくは85質量%以上95質量%以下である。
ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(HFIP−805、HFIP−803)2本直列、移動層溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
上記一般式(I)で表される化合物及び上記一般式(II)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物の、第二層における含有量は、第二層と第一層との剥離性の観点から、1質量%以上であり、好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは5質量%以上である。また、感度の観点から、25質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、更に好ましくは15質量%以下である。
第二層の層厚は、解像度、密着性、現像性の観点から10μm以下が好ましく、より好ましくは、5μm以下、さらに好ましくは3μm以下である。また、酸素遮断性の観点から、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。
また、本発明の感光性樹脂積層体としては、支持フィルム上に、第一層、第二層及び感光性樹脂層とを順次積層した上に、さらに保護層を積層してもよい。
保護層としては10〜100μm厚程度のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂フィルムがあるが、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムが好ましく用いられる。
本発明の感光性樹脂積層体における感光性樹脂層は、(a)カルボキシル基含有量が酸当量で100〜600であり、重量平均分子量が5,000〜500,000であるバインダー用樹脂:20〜90質量%、(b)少なくとも一種の光重合可能な不飽和化合物:3〜70質量%、(c)光重合開始剤:0.1〜20質量%、を含有する感光性樹脂組成物からなる層であることが好ましい。本発明の感光性樹脂積層体に用いられる感光性樹脂組成物を以下、詳細に説明する。
バインダー用樹脂中のカルボキシル基は、感光性樹脂層にアルカリ水溶液に対する現像性や剥離性を与えるために必要である。酸当量は、現像耐性、解像性および密着性の観点から100以上が好ましく、現像性および剥離性の観点から600以下が好ましい。
(分散度)=(重量平均分子量)/(数平均分子量)
分子量は、日本分光(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポンプ:Gulliver、PU−1580型、カラム:昭和電工(株)製Shodex(登録商標)(KF−807、KF−806M、KF−806M、KF−802.5)4本直列、移動層溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン標準サンプル(昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM−105)による検量線使用)により重量平均分子量(ポリスチレン換算)として求められる。
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を一個有するカルボン酸又は酸無水物である。例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられる。
第二の単量体は、非酸性で、分子中に重合性不飽和基を一個有する化合物である。該化合物は、感光性樹脂層の現像性、エッチング及びめっき工程での耐性、硬化膜の可とう性等の種々の特性を保持するように選ばれる。該化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、クレジル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート、フェニル基を有するビニル化合物(例えば、スチレン)等を用いることができる。特に、解像性、現像液凝集性の観点から、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
(a)バインダー用樹脂の感光性樹脂組成物全体に対する割合は、20〜90質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜70質量%である。露光、現像によって形成される硬化レジストパターンが、レジストとしての特性、例えば、テンティング、エッチング及び各種めっき工程において十分な耐性等を有するという観点から20質量%以上90質量%以下が好ましい。
上記一般式(IV)で表される化合物において、n6+n7及びn8+n9は、40以下である必要があり、40を超えると感度の観点から好ましくない。好ましくは30以下である。
上記一般式(VI)で表される化合物は、m5及びm6が、15を超えると充分な感度が得られない。上記一般式(VI)で表される化合物の具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネ−ト化合物と、一分子中にヒドロキシル基と(メタ)アクリル基を有する化合物(2−ヒドロキシプロピルアクリレート、オリゴプロピレングリコールモノメタクリレート等)とのウレタン化合物等が挙げられる。具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPP1000)との反応物がある。
上記一般式(VII)で表される化合物の具体例としては、例えば、平均2モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールと平均7モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシヘプタエチレングリコールジプロピレングリコールアクリレートが挙げられる。平均8モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールをノニルフェノールに付加した化合物のアクリレートである4−ノルマルノニルフェノキシオクタエチレングリコールアクリレート(東亞合成(株)製、M−114)が挙げられる。
また、上記一般式(III)〜(VII)で表される化合物からなる群から選ばれた少なくとも一種の光重合可能な不飽和化合物の感光性樹脂組成物全体に対する割合は、3〜70質量%の範囲である。解像度の観点から3質量%以上であり、レジストパターンの可とう性の観点から70質量%以下である。より好ましくは3〜30質量%以下である。
本発明に用いられる(c)光重合開始剤としては、上記一般式(VIII)で表される化合物及び上記一般式(IX)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の2,4,5−トリアリ−ルイミダゾール二量体とp−アミノフェニルケトン類を併用する系が好ましい。p−アミノフェニルケトン類としては、例えば、p−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。
本発明の感光性樹脂積層体における感光性樹脂組成物は、(c)光重合開始剤を、感光性樹脂組成物全体に対して0.1〜20質量%含有することが好ましい。十分な感度を得る観点から、0.1質量%以上、露光時にフォトマスクを通した光のハレーション防止の観点から20質量%以下が好ましい。
感光性樹脂組成物には、光照射により発色する発色系染料を含有させることもできる。
ハロゲン化合物としては、臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1,1,1−トリクロロ−2,2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、ハロゲン化トリアジン化合物等が挙げられる。該ハロゲン化トリアジン化合物としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。
本発明における感光性樹脂組成物の熱安定性、保存安定性を向上させるために、感光性樹脂組成物にラジカル重合禁止剤を含有させることは好ましいことである。このようなラジカル重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
まず、熱可塑性樹脂、例えば、溶液重合で得られたポリメタクリル酸メチルのメチルエチルケトン溶液(重量平均分子量6万、固形分濃度40質量%、ガラス転移温度105℃)を支持フィルム上にバーコーターやロールコーターを用いて塗布して乾燥する。これにより、支持フィルム上に第一層を積層することができる。ポリメタクリル酸メチルのメチルエチルケトン溶液の粘度は、10〜2000mPa・sに調整するのが好ましい。
プリント配線板は、以下の各工程を経て製造される。
(1)ラミネート工程
感光性樹脂積層体に保護層がある場合には、保護層を剥がしながら該感光性樹脂積層体を銅張積層板やフレキシブル基板等の基板上にホットロールラミネーターを用いて密着させる工程。
(2)露光工程
感光性樹脂積層体から、第一層と第二層との間で剥離しながら第一層が支持フィルムとともに接着したままで剥離し、所望の配線パターンを有するマスクフィルムを第二層上に密着させ活性光線源を用いて露光を施す工程。
アルカリ現像液を用いて第二層及び感光性樹脂層の未露光部分を溶解又は分散除去し、硬化レジストパタ−ンを基板上に形成する工程。
(4)エッチング工程又はめっき工程
形成されたレジストパターン上からエッチング液を吹き付けレジストパターンによって覆われていない銅面をエッチングする工程、又はレジストパターンによって覆われていない銅面に銅、半田、ニッケル、錫等のめっき処理を行う工程。
(5)剥離工程
アルカリ剥離液を用いて基板からレジストパターンを除去する工程。
また、上記(3)現像工程で用いられるアルカリ現像液としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液が挙げられる。これらのアルカリ水溶液は感光性樹脂層の特性に合わせて選択されるが、一般的に0.5質量%以上3質量%以下の炭酸ナトリウム水溶液が用いられる。
上記(5)剥離工程で用いられるアルカリ剥離液としては、一般的に現像で用いたアルカリ水溶液よりも更に強いアルカリ性の水溶液、例えば1質量%以上5質量%以下の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムの水溶液が挙げられる。
また、セミアディティブ工法等めっき工程を設けた場合には、レジストパターンを剥離後に、レジストパターンの下に現れた銅面をエッチングする場合もある。
以下、実施例により本発明の実施形態の例をさらに詳しく説明する。
〔実施例1〜15、比較例1〜4〕
1.評価用サンプルの作製
実施例及び比較例における感光性樹脂積層体は次の様にして作製した。
<感光性樹脂積層体の作製>
表1に示す第一層のメチルエチルケトン溶液を16μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製16QS48水準3)の表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で2分間乾燥して支持フィルム上に均一な第一層を形成した。第一層の厚みは20μmであった。次に表1に示す第二層の組成物の水溶液をよく撹拌、混合し、前記第一層を積層された支持フィルムの第一層の表面にバーコーターを用いて均一に塗布し、100℃の乾燥機中で3分間乾燥して第一層上に均一な第二層を形成した。第二層の厚みは2μmであった。さらに、支持フィルムに積層された第二層上に、表1に示す感光性樹脂組成物をバーコーターを用いて均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分間乾燥して均一な感光性樹脂層を形成した。感光性樹脂層の厚みは2μmであった。
次いで、感光性樹脂層上の表面上に、保護層として25μm厚のポリエチレンフィルムを張り合わせて感光性樹脂積層体を得た。
解像度、密着性、現像後のスソ、硬化レジストパターンのサイドウオールのガタツキ及び表面状態は、絶縁樹脂に8μm銅箔を積層した住友金属(株)製エスパーフレックスを用いて評価した。また、ラミネート後のラミネートエアーボイドの評価に関してはRa=0.2程度のフレキシブル基材を用いて評価した。
<ラミネート>
本発明の感光性樹脂積層体の保護層を剥がしながらホットロールラミネーター(旭化成エンジニアリング(株)社製、AL−70)により、ロ−ル温度105℃でラミネートした。エアー圧力は0.35MPaとし、ラミネート速度は1.0m/minとした。ラミネートエアーボイド評価(追従性評価)においてはエアー圧力は0.2MPa、ラミネート速度は2.0m/minとした。
ポリエチレンテレフタレートフィルムに第一層が積層された支持フィルムを剥離した後、感光性樹脂層の評価に必要なマスクフィルムを第二層上に置き、超高圧水銀ランプ(オーク製作所製、HMW−801)により140mJ/cm2の露光量で露光した。
<現像>
30℃の0.5質量%Na2CO3水溶液を所定時間スプレーし、感光性樹脂層の未露光部分を溶解除去した。この際、未露光部分の感光性樹脂層が完全に溶解するのに要する最も少ない時間を最小現像時間とした。実際の現像時間は最小現像時間の2倍で現像し、硬化レジストパターンを得た。
(1)追従性評価
前記条件でラミネート後、100mJで露光し、光学顕微鏡で10cm×10cmの範囲を観察し、ラミネートエアーボイドの数をカウントし、下記ランク付けをした:
◎:全くラミネートエアーボイドの発生無し;
○:数個程度ラミネートエアーボイドの発生が認められる;
△:数十個程度のラミネートエアーボイドの発生が認められる;
×:無数のラミネートエアーボイドの発生が認められる。
露光前にポリエチレンテレフタレートフィルムに第一層が積層された支持フィルムを剥離する時、剥離性について下記ランク付けをした:
○:第一層と第二層間で問題なく剥離された;
×:第一層と第二層間で剥離されず、支持フィルムであるポリエチレンテレフタレートと第一層間または第二層と感光性樹脂層間で剥離された。
ラミネート後15分経過した感度、解像度評価用基板を、透明から黒色に21段階に明度が変化しているストーファー製21段ステップタブレットを用いて露光した。露光後、最小現像時間の2倍の現像時間で現像し、レジスト膜が完全に残存しているステップタブレット段数が4である露光量により、次の様にランク分けした:
○:露光量が140mJ/cm2以下;
△:露光量が140mJ/cm2を超え、150mJ/cm2以下;
×:露光量が150mJ/cm2を超える。
ラミネート後15分経過した基板を、露光時のマスクフィルムとして、露光部と未露光部の幅が1:1の比率のラインパターンマスクを用いて、上記のように、露光し、現像した。硬化レジストパターンが正常に形成されている最小マスク幅を解像度の値とし、解像性を下記のようにランク分けした:
◎:解像度の値が5μm以下;
○:解像度の値が5μmを超え、10μm以下;
△:解像度の値が10μmを超え、15μm以下;
×:解像度の値が15μmを超える。
ラミネート後15分経過した基板を、露光時のマスクフィルムとして、露光部単独のラインパターンマスクを用いて、上記のように、露光し、現像した。硬化レジストパターンが正常に形成されている最小マスク幅を密着性の値とし、密着性を下記のようにランク分けした:
◎:密着性の値が5μm以下;
○:密着性の値が5μmを超え、10μm以下;
△:密着性の値が10μmを超え、15μm以下;
×:密着性の値が15μmを超える。
露光時のマスクフィルムとしてクロムガラスフォトマスクを用いて、上記のように、露光し、現像した。得られた硬化パターンの10μmラインの形状を下記によりランク付けした:
◎:硬化レジストのフット部の切れは良好でスソ引きが無い;
○:硬化レジストのフット部の切れは良好でスソ引きが極小である;
△:硬化レジストのフット部に3μm以下のスソ引きが認められる;
×:硬化レジストのフット部に3μmを超えるスソ引きが認められる。
基板にラミネートされた積層体に、クロムガラスフォトマスクを用いて、上記のように、露光し、現像した。得られた硬化パターンの10μmラインのレジストサイドウォール形状を下記によりランク付けした:
○:形成されたレジストサイドウォールにガタツキはほとんど無い;
△:形成されたレジストサイドウォールにごく僅かにガタツキが存在する;
×:形成されたレジストサイドウォールのところどころにガタツキが存在する。
基板にラミネートされた積層体に、クロムガラスフォトマスクを用いて、上記のように、露光し、現像した。得られた硬化パターンの10μmラインのレジスト表面状態を下記によりランク付けした:
○:形成されたレジスト表面には凹みがほとんど無い;
△:形成されたレジスト表面にごく僅かに凹みが存在する;
×:形成されたレジスト表面にところどころに凹みが存在する。
実施例及び比較例の評価結果を、以下の表1に示す。表1におけるP−1〜P−2、Q−2〜Q−4の質量部は、メチルエチルケトン溶液としての量である。表1中、比較例1は第一層が無く、比較例2は第二層が無く、比較例3は第二層において上記一般式(I)又は一般式(II)で表される化合物を欠いている。比較例4は、上記一般式(I)又はい一般式(II)で表される化合物の含有量が本願構成を欠いている。
P−1:ベンジルメタクリレート80質量%、メタクリル酸20質量%の2元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度50質量%、重量平均分子量2.5万、酸当量430、分散度2.7)
P−2:メタクリル酸メチル50質量%、メタクリル酸25質量%、スチレン25質量%の三元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度35質量%、重量平均分子量5万、酸当量344、分散度3.1)
M−2:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのプロピレンオキサイドと平均6モルのエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート
M−3:ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均2モルのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエスエルBPE−200)
M−5:2,2−ビス{4−(メタクリロキシペンタエトキシ)シクロヘキシル}プロパン
M−6:ヘキサメチレンジイソシアネートとオリゴプロピレングリコールモノメタクリレート(日本油脂(株)製、ブレンマーPP1000)との反応物であるウレタンポリプロピレングリコールジメタクリレート
M−8:トリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製 NKエステルA−TMPT−3EO)
M−9:ノナエチレングリコールジアクリレート
G−1:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
G−2:2−(o−クロロフェニル)−4、5−ジフェニルイミダゾール二量体
J−1:ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製 アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)
J−2:ロイコクリスタルバイオレット
L−2:ペンタエリスリトールの3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸テトラエステル(チバスペシャリティケミカルズ(株)製IRGANOX245)
Q−1:ポリオキシエチレンモノメチルエーテル(日本油脂(株)製ユオックスM−550、重量平均分子量550)
Q−2:ポリメタクリル酸メチルのメチルエチルケトン溶液(固形分濃度40質量%、重量平均分子量6万)
Q−4:メタクリル酸メチル80質量%、スチレン20質量%の2元共重合体のメチルエチルケトン溶液(固形分濃度40質量%、重量平均分子量5万)
Q−5:フタル酸ジブチル
Q−6:ポリビニルアルコール((株)クラレ製 PVA−205)
Q−7:ポリエチレングリコール(重量平均分子量400)
Q−8:ポリビニルピロリドン(重量平均分子量4万)((株)日本触媒製、K−15(品番))
Claims (5)
- 支持フィルム上に、層厚が10μm以上100μm以下の第一層と、層厚が0.1μm以上10μm以下の第二層と、感光性樹脂層とを順次積層してなる感光性樹脂積層体であって、該第一層が、熱可塑性樹脂を含有し、該第二層が、ポリビニルアルコール:75〜99質量%と、下記一般式(I):
R1−O−(CH2CH2O)n1−R2 (I)
{式中、R1及びR2は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn1は、3〜25の整数である。}で表される化合物、及び下記一般式(II):
- 前記第一層に含有される熱可塑性樹脂が、下記一般式(I):
R1−O−(CH2CH2O)n1−R2 (I)
{式中、R1及びR2は、H又はCH3であり、これらは同一であっても相違してもよく、そしてn1は、3〜25の整数である。}で表される化合物を含有する、請求項1に記載の感光性樹脂積層体。 - 前記感光性樹脂層上に保護層を更に積層してなる、請求項1又は2に記載の感光性樹脂積層体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の感光性樹脂積層体を金属板又は金属被覆絶縁板の表面にラミネートし、支持フィルムとともに第一層を剥離し、活性光を露光した後、現像により未露光部を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
- 請求項4に記載の方法によって、レジストパターンを形成した基板をエッチング又はめっきすることを特徴とする導体パターンの製造方法。
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