JP2004205731A - 感光性転写材料及びカラーフィルターの製造方法 - Google Patents

感光性転写材料及びカラーフィルターの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】剥離界面を熱可塑性樹脂層と中間層した場合において、剥離した表面の表面電位が小さい感光性転写材料、該感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法を提供する。
【解決手段】仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、前記熱可塑性樹脂層と前記中間層とを、25℃、30%RHの雰囲気下で、1m/分の剥離速度で剥離した際に、剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも5kV以下である感光性転写材料、及び該感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性転写材料、特にカラー液晶表示装置用のカラーフィルターを作製するための感光性転写材料、及び該カラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー液晶表示装置用のカラーフィルターを作製するための感光性転写材料は公知である。例えば 特許文献1及び2には仮支持体上に熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料の例が記載されている。この発明では感光性転写材料の感光性樹脂層と基体とを、通常「ラミネート法」により貼り合わせ、その後仮支持体を剥離して露光、現像を行い基体上に画像を形成する。
【0003】
この方法ではラミネート工程の後、仮支持体を剥離する際、剥離帯電により、仮支持体や仮支持体と剥離した面が(感光性転写材料製造工程で仮支持体の上に直接塗設された層)が帯電するという問題があった。
この問題は、剥離界面を熱可塑性樹脂層と中間層との間として場合であっても起こり得る問題である。
【0004】
帯電電圧は環境温湿度、剥離速度により変化するので一概には言えないが、±10kV以上になる場合があり、次のような問題が生じる。即ち、第一の問題は静電気によりゴミが引き付けられて、これが画素の欠陥の原因になることである。第二の問題は透明基板上に薄膜トランジスター(TFT)を配列したものの上にカラーフィルターを形成する場合(Color Filter On Array−CoA方式)に剥離帯電により薄膜トランジスターが破壊することである。近年カラーフィルターの製造速度が増大し、これに伴い仮支持体の剥離速度も増大しているので、この問題はますます重大になってきている。
【0005】
この問題を解決するため、製造ラインに「除電器」を設置する方法があるが、剥離帯電により生ずる電圧を充分に小さくすることはできず、対策技術が望まれていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−173820号公報
【特許文献2】
特開平11−149008号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、剥離界面を熱可塑性樹脂層と中間層した場合において、剥離した表面の表面電位が小さい感光性転写材料を提供することを目的とする。
本発明はまた、該感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
<1> 仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、前記熱可塑性樹脂層と前記中間層とを、25℃、30%RHの雰囲気下で、1m/分の剥離速度で剥離した際に、剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも5kV以下であることを特徴とする感光性転写材料である。
<2> 前記剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれもlkV以下である前記<1>に記載の感光性転写材料である。
<3> 前記剥離した熱可塑性樹脂層の表面と、剥離した中間層の表面との、25℃、30%RHにおける表面抵抗率が、いずれも1×1014Ω/□以下である前記<1>または<2>に記載の感光性転写材料である。
<4> 前記中間層が導電剤を含有することを特徴とする前記<1>から<3>のいずれかに記載の感光性転写材料である。
<5> 前記導電剤が導電性フィラーであることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光性転写材料である。
<6> 前記導電性フィラーが酸化スズ又は酸化アンチモン微粒子であることを特徴とする前記<5>に記載の感光性転写材料である。
<7> 前記酸化スズ又は酸化アンチモンの2次粒子の平均粒子径が300nm以下であることを特徴とする前記<6>に記載の感光性転写材料である。
<8> 前記導電剤が電子導電性高分子であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光性転写材料である。
<9> 前記電子導電性高分子がポリアニリンであることを特徴とする前記<8>に記載の感光性転写材料である。
<10> 前記導電剤がイオン導電性高分子であることを特徴とする前記<1>から<4>のいずれかに記載の感光性転写材料である。
<11> 前記イオン導電性高分子がカチオン系高分子であることを特徴とする前記<10>に記載の感光性転写材料である。
【0009】
<12> 仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料を基板上でラミネートする工程と、その後、熱可塑性樹脂層と中間層の界面で剥離する工程を有するカラーフィルターの製造方法において、前記熱可塑性樹脂層と前記中間層とを、25℃、30%RHの雰囲気下で、1m/分の剥離速度で剥離した際に、剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも5kV以下であることを特徴とするカラーフィルターの製造方法である。
<13> 剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも1kV以下であることを特徴とする前記<12>に記載のカラーフィルターの製造方法である。
【0010】
【発明の実施の形態】
≪感光性転写材料≫
本発明の感光性転写材料は、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、前記熱可塑性樹脂層と前記中間層とを、25℃、30%RHの雰囲気下で、1m/分の剥離速度で剥離した際に、剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも5kV以下であることを特徴としている。以下、本発明の感光性転写材料及び、該感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0011】
<仮支持体>
本発明に係る仮支持体としてはポリエステル、ポリスチレン等の公知の支持体を用いることができる。中でも2軸延伸したポリエチレンテレフタレートはコスト、耐熱性、寸法安定性の観点から好ましい。仮支持体の厚みは15〜200μm程度が好ましく、30〜150μm程度がより好ましい。厚みが15〜200μmの範囲ではラミネーション工程時に熱によりトタン板状のしわが発生することもなく、コスト上も不利とはならない。
【0012】
また仮支持体には必要に応じて導電層、帯電調整層、下塗り層その他の塗布層や蒸着層を有してもよい。仮支持体の上にこれらの層がある場合はこれらを含めて仮支持体という。
離型層とは仮支持体とその表面に塗設された隣接する層の剥離力を低下させるために仮支持体の最外部に塗設される層である。
また下塗り層とはすべり、耐傷性など色々な目的のために仮支持体の上に塗設される層である。
なお導電層、帯電調整層については後述する。これらの層は塗布により塗設される場合が多いが、蒸着その他の方法で設けてもよい。
【0013】
<アルカリ可溶性>
本発明におけるアルカリ可溶とは、下記のアルカリ性物質の水溶液、又はこれに水と混和性のある有機溶媒を混合したものに可溶であることをいう。
適当なアルカリ性物質はアルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えぱテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)または燐酸三ナトリウムなどである。アルカリ性物質の濃度は、0.01質量%〜30質量%であり、pHは8〜14が好ましい。
【0014】
水と混和性の有る適当な有機溶剤は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カブロラクタム、N一メチルピロリドンなどである。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%である、またさらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
【0015】
<熱可塑性樹脂層>
本発明に係る熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としてはアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびこれらの共重合体等をあげる事ができる。本発明に係る熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、アルカリ可溶であることが必須ではないが、アルカリ可溶であることが望ましい。
【0016】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂として具体的には、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル3元共重合体、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチックエ業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著 工業調査会発行、1968年10月25目発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なもの、などから少なくとも1つが挙げられる。
【0017】
これらの樹脂は以下のように2種類を混合して用いることが好ましい。
すなわち、これらの樹脂の中で、重量平均分子量が5万〜50万で、且つガラス転移温度(Tg)が0〜140℃の範囲〔以下、樹脂(A)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量が6万〜20万で、且つガラス転移温度(Tg)が30〜110℃の範囲で選択して使用することができる。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59一44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、OLS3504254号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64−55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特願平4−39653号の各明細書に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。特に好ましいのは、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
【0018】
また、上記した種々の樹脂の中から重量平均分子量が3千〜3万で,且つガラス転移温度(Tg)が30〜170℃の範囲〔以下、樹脂(B)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量が4千〜2万で、且つガラス転移温度(Tg)が60〜140℃の範囲で選択して使用することができる。好ましい具体例は、上記の特許明細書に記載されているものの中から選ぶことができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号、特開平5−241340号明細書に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0019】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(A)の重量平均分子量が5万未満、又はガラス転移温度(Tg)が0℃未満では、レチキュレーションの発生や、転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を汚染することがある。樹脂(A)の重量平均分子量が50万を越え、又はガラス転移温度(Tg)が140℃を越えると、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下したりすることがある。
【0020】
熱可塑性樹脂の厚みは6μm以上が好ましい。この理由としては熱可塑性樹脂の厚みが5μm以下であると1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが不可能であるためである。また、上限については、アルカリ水溶液除去性、製造適性から約100μm以下、好ましくは約50μm以下である。
【0021】
本発明に係る熱可塑性樹脂層の塗布液の溶媒としてはこの層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0022】
<アルカリ可溶な中間層>
中間層を構成する樹脂としては既述のアルカリ可溶であれば特に制限はない。樹脂の例としてポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体をあげる事ができる。またポリエステルのように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキシル基やスルホン酸基を持つモノマーを共重合してアルカリ可溶性にした樹脂も用いることができる。
【0023】
これらの中で好ましいものはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールとしては鹸化度が80%以上のものが好ましく、83〜98%のものがより好ましい。
【0024】
中間層を構成する樹脂は2種類以上を混合して用いることが好ましく、特にポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンを混合して用いることが特に好ましい。両者の質量比はポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99〜75/25、より好ましくは10/90〜50/50の範囲が好ましい。この比が1/99以下になると中間層の面状の悪化、上に塗設した感光性樹脂層との密着不良が生じることがある。逆に比が75/25を超えると中間層の酸素遮断性が低下して感度が低下することがある。
中間層には必要に応じて界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。
【0025】
中間層の厚みは0.1〜5μm、より好ましくは0.5〜3μmの範囲が好ましい。厚みが0.1〜5μmの範囲では酸素遮断性の低下が生ぜず、現像時の中間層除去時間の増大するという問題も生じない。
【0026】
中間層の塗布溶媒としては上記の樹脂が溶解すれば、特にその他の制限はないが、水が好ましい。水に前述の水混和性有機溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。好ましい具体例としては次のようなものがある。水、水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロパノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5(ただし比は質量比を表す。)。
【0027】
−熱可塑性樹脂層と中間層との界面で剥離した時の表面電位の低減方法−
表面電位の低減方法は次の2つの方法がある。
▲1▼熱可塑性樹脂層と中間層の帯電列を合わせる方法
第一の方法は熱可塑性樹脂層の表面と中間層の表面の帯電列を合わせるものである。帯電列とは種々の物体を総当り的に交互に接触させて帯電させ、正に帯電しやすいものから負に帯電しやすいものまでを順に並べたものである。帯電列については例えば「静電気ハンドブック(静電気学会編、昭和56年(株)オーム社発行)」59ページに記載されている。具体的には、中間層に帯電列を変化させる物質を添加するか、及び/又は熱可塑性樹脂層の表面に帯電列を変化させる物質を塗設する方法がある。前記熱可塑性樹脂層の表面に帯電列を変化させる物質が塗設された層を本発明では特に帯電調整層という。
【0028】
前記帯電列を変化させる物質としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン等を挙げることができる。中でもゼラチンが最も好ましい。
【0029】
▲2▼導電層を塗設する方法
第二の方法は感光性転写材料のいずれかに導電層を設ける方法である。本発明でいう「導電層」とは「この層を設けることにより仮支持体又は感光性転写材料の表面抵抗率を低下させる層」をいう。導電層は、通常は有機又は無機の導電性物質を含有する層である。また、本発明において前記有機又は無機の導電性物質を導電剤という。有機の導電性物質にはポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイドのようなイオン伝導性のポリマー(イオン導電性高分子)、ポリピロール、ポリアニリンのような電子伝導性のポリマー(電子導電性高分子)などがある。イオン伝導性のポリマーについては例えば「水溶性高分子の応用と市場(長友新治編、1984年(株)シーエムシー発行)」の285ページに、電子伝導性のポリマーについては例えば「導電性高分子の基礎と応用(吉野勝美編、昭和63年(株)アイピーシー発行)」に記載されている。
【0030】
無機の導電性物質の例としてカーボン、金属微粉末、金属酸化物微粉末などのフィラー(導電性フィラー)を挙げることができる。これらのフィラーについては例えば「機能性フィラーの開発技術(1990年(株)シーエムシー発行)」の98ページに記載されている。
【0031】
前記導電性フィラーとしては、酸化スズ又は酸化アンチモン微粒子が特に好ましい。そして、酸化スズ又は酸化アンチモン微粒子の2次粒子の平均粒子径が300nm以下であることが好ましい。該平均粒子径が300nmを超えると、導電層が表面にある場合は、ハンドリング時に酸化スズまたは酸化アンチモン微粒子が脱落する故障が発生することがあり、導電層が感光性転写材料の内部にある場合は、導電層に接する層の面状が悪化することがある。
【0032】
これの導電性物質は導電層の2〜85質量%含有することが好ましく、5〜75質量%含有することがより好ましい。
本発明において、導電層は25℃、30%RHの雰囲気下で、表面抵抗率が1×l014Ω/□以下、好ましくは1×1013.5Ω/□以下であることが好ましい。
【0033】
本発明において、導電層は感光性転写材料の任意の位置に設けることができるが、好ましくは剥離した後の仮支持体と熱可塑性樹脂層の側と、中間層の側の両方に設けることが好ましい。仮支持体上に熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料の場合に好ましい実施態様を挙げると次のようなものがある。
▲1▼仮支持体の裏面に導電層を設け、アルカリ可溶な中間層を導電層とする。
▲2▼仮支持体の表面に導電層を設け、アルカリ可溶な中間層を導電層とする。
▲3▼仮支持体の裏面に1層と、アルカリ可溶な中間層と感光性樹脂層の間に1層の合計2層の導電層を設ける。
▲4▼仮支持体の表面に1層と、アルカリ可溶な中間層と感光性樹脂層の間に1層の合計2層の導電層を設ける。
(ただし、仮支持体の感光性樹脂層の塗設される面を表面、この反対面を裏面という。)
【0034】
更に、前記帯電列を変化させる物質を含有する層、または帯電調整層と、前記導電層を組合せることも好ましい。具体的には帯電調整層を含む熱可塑性樹脂層の上に更に導電層を設け、隣接層として独立の導電層又は/及び中間層を導電層とすることも好ましい態様である。
【0035】
−剥離条件−
剥離は熱可塑性樹脂層と中間層との間で行う。剥離速度、剥離角度には特に制限はないが、剥離速度は0.01〜15m/minが好ましく、0.1〜5m/minがより好ましい。剥離角度は0〜180度のいずれの角度でもよい。
【0036】
<感光性樹脂層>
本発明において感光性樹脂層を構成する樹脂としては公知の光重合性組成物を使用できる。好ましい具体例は例えば特願平2−82262号に記載されている。ただし、ここで言う「樹脂」の中にはモノマー又はオリゴマーで露光後重合して樹脂となるものも含む。
【0037】
本発明に係る感光性樹脂層は樹脂以外に顔料を含む。好ましい顔料種、サイズ等の例は例えば特開平11−149008号公報に記載されている。
本発明に係る感光性樹脂層には必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。また、本発明に係る熱可塑性樹脂層の塗布液の溶媒としてはこの層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0038】
感光性樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から感光性樹脂層を保護するために薄い被覆シートを設けることが好ましい。被覆シートは仮支持体と同じか、又は類似の材料からなっても良いが、感光性樹脂層から容易に分離されねばならない。被覆シート材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオルエチレンシートが適当である。被覆シートの厚みは約5〜100μmであるのが好ましい。特に好ましくは10〜30μm厚のポリエチレンまたはポリピレンフイルムである。
【0039】
本発明の感光性転写材料の主な用途は液晶デイスプレー用等のカラーフィルター作製やカラーフィルターの保護層作製の他、多色画像やプリント配線基板の作製に都合が良い。
プリント配線基板の作製には、基体として公知の銅張り積層板が用いられ、カラーフィルターの作製のためには、基体としては、公知のガラス板、表面に酸化珪素皮膜を形成したソーダガラス板などが用いられる。
【0040】
本発明は、上記のようなプリント配線基板の作製やカラーフィルター作製の際においても、ラミネート工程の後、仮支持体を剥離する際に、仮支持体や仮支持体と剥離した面(感光性転写材料製造工程で仮支持体の上に直接塗設された層)が剥離帯電により帯電することがないため、静電気によりゴミを引き付けたり、薄膜トランジスターを破壊したりすることがなく、高速でも、安定してプリント配線基板、カラーフィルター等の製造が可能となる。
【0041】
≪カラーフィルターの製造方法≫
次に、本発明の感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法について説明する。
先ず、感光性転写材料の被覆シートを取除き、感光性樹脂層を加圧、加温下で基板上にラミネートする。ラミネートには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーターが使用でき、より生産性を高めるためには、オートカツトラミネーターの便用も可能である。その後熱可塑性樹脂層と中間層の界面で仮支持体を剥離した後で、所定のマスク、熱可塑性樹脂層、及び中間層を介して露光し、次いで除去する。除去は公知の方法で溶剤もしくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液に浸漬するか、スプレーからの処理液の噴霧を与えること、さらにブラシでのこすり、または超音波を照射しつつ処理することで行なわれる。
【0042】
本発明のカラーフィルターの製造方法において、感光性転写材料の熱可塑性樹脂層と中間層とを、25℃、30%RHの雰囲気下で、1m/分の剥離速度で剥離した際に、剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも5kV以下であるので、帯電を少なくすることができ、帯電に起因する諸問題を抑えることができる。
【0043】
異なる色に着色した感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用い、この工程を複数回繰り返せば多色画像のカラーフィルターを製造することができる。
【0044】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(比較例)
(1)仮支持体
仮支持体として厚さ75μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートを用いた。
【0045】
Figure 2004205731
以上を混合して熱可塑性樹脂層塗布液とした。
仮支持体の表面に熱可塑性樹脂層塗布液を塗布した後100℃で2分間乾燥して厚さ10μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0046】
Figure 2004205731
以上を混合して中間層塗布液とした。
熟可塑性樹脂層を塗設した仮支持体の熱可塑性樹脂層の上に中間層塗布液を塗布した後100℃で2分間乾燥して厚さ1.8μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0047】
(4)感光性樹脂層塗布液の調製
熱可塑性樹脂層及び中間層を有する仮支持体の上に、表1の処方を有する赤色、青色、緑色感光性樹脂層塗布液及び、下記処方による黒色感光性樹脂層塗布液を塗布して、100℃で2分間乾燥した。なお感光性樹脂層の乾燥後の厚みは、赤色、青色及び緑色感光性樹脂層については2.3μm、黒色感光性樹脂層については1.6μmとした。
【0048】
【表1】
Figure 2004205731
【0049】
Figure 2004205731
【0050】
(6)感光性転写材料の形成
得られた赤色、青色、緑色及び黒色試料の感光性樹脂層の上に厚さ15μmのポリプロピレンシートを重ねて室温で圧着して4色の感光性転写材料を作製した。
【0051】
(表面抵抗率の評価)
カバーフィルムを剥離した試料を厚さ1.lmmのガラス基板にラミネーターを用いてラミネートした。ラミネート条件は圧力10Kg/cm2、温度130℃である。この試料を25℃、30%RHの雰囲気に24時間調湿した後、試料を熱可塑性樹脂層と中間層との間で剥離した。そして試料の熱可塑性樹脂層の表面に長さ10cm、幅lmmのステンレス板がlcmの間隔で配置された電極を2Kgの圧力で押し付けて、これに100Vの直流電圧を印加した。電圧印加1分後の電流値iから下記の式で表面抵抗率LogSR(対数をとったもの)を計算した。LogSR=100/(i×0.1×0.1)
剥離した熱可塑性樹脂層表面についても同じ方法でLogSRを求めた。なお測定は25℃30%RHの雰囲気で行った。結果を表2に示す。
【0052】
(表面電位の評価)
カバーフィルムを剥離した試料を厚さ1.lmmのガラス基板にラミネーターを用いてラミネートした。ラミネート条件は圧力10Kg/cm、温度130℃である。この試料を25℃、30%RHの雰囲気に24時間調湿した後、試料を熱可塑性樹脂層と中間層との間で剥離した。熱可塑性樹脂層の剥離した表面の表面電位を表面電位計((株)キーエンス社製表面電位計 SK−030型)を用いて測定した。なお測定は剥離1分後に行った。剥離した中間層表面についても同じ方法で表面電位を求めた。結果を表2に示す。
【0053】
(実施例1)
下記仮支持体を用いたこと、及び中間層の以下のように変更したこと以外は比較例と同様にして実施例1の感光性転写材料を作製した。結果を表2に示す。
【0054】
(1)仮支持体
下記塗布液をポリエチレンテレフタレート支持体の一面(表面)に乾燥厚みが0.15μmになるように塗布した後180℃で1分間乾燥して導電層を塗設した。
【0055】
Figure 2004205731
次いで、導電層の上に下記塗布液を塗布して180℃で1分間乾燥して乾燥厚み0.04μmのバック保護層を塗設した。
【0056】
Figure 2004205731
以上の様にして仮支持体を作製した。
【0057】
Figure 2004205731
【0058】
(実施例2)
比較例の仮支持体を用いたこと、及び中間層処方を下記のように変えた以外は実施例1と同様にして実施例2の感光性転写材料を作製した。結果を表2に示す。
【0059】
Figure 2004205731
以上を混合して中間層塗布液とした。
【0060】
(実施例3)
中間層処方を以下の処方としたこと以外は実施例2と同様にして実施例3の感光性転写材料を作製した。結果を表2に示す。
Figure 2004205731
以上を混合して中間層塗布液とした。
【0061】
【表2】
Figure 2004205731
【0062】
表2から明らかなように、中間層の剥離後の表面電位が比較例では25.8kVであったのに対し、本発明の実施例1〜3においては0kVであった。従って、本発明の感光性転写材料を用いた、プリント配線基板の作製やカラーフィルター作製の際において、ラミネート工程の後、熱可塑製樹脂層と中間層との界面で剥離する際に、剥離した面が剥離帯電により帯電することがなく、静電気によりゴミを引き付けたり、薄膜トランジスターを破壊したりすることがなく、高速でも安定したプリント配線基板、カラーフィルター等の製造が可能となる。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、剥離界面を熱可塑性樹脂層と中間層した場合において、剥離した表面の表面電位が小さい感光性転写材料を提供することができる。
また本発明によれば、該感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法を提供することができる。

Claims (13)

  1. 仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、
    前記熱可塑性樹脂層と前記中間層とを、25℃、30%RHの雰囲気下で、1m/分の剥離速度で剥離した際に、剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも5kV以下であることを特徴とする感光性転写材料。
  2. 前記剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれもlkV以下である請求項1に記載の感光性転写材料。
  3. 前記剥離した熱可塑性樹脂層の表面と、剥離した中間層の表面との、25℃、30%RHにおける表面抵抗率が、いずれも1×1014Ω/□以下である請求項1または2に記載の感光性転写材料。
  4. 前記中間層が導電剤を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  5. 前記導電剤が導電性フィラーであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  6. 前記導電性フィラーが酸化スズ又は酸化アンチモン微粒子であることを特徴とする請求項5に記載の感光性転写材料。
  7. 前記酸化スズ又は酸化アンチモンの2次粒子の平均粒子径が300nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の感光性転写材料。
  8. 前記導電剤が電子導電性高分子であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  9. 前記電子導電性高分子がポリアニリンであることを特徴とする請求項8に記載の感光性転写材料。
  10. 前記導電剤がイオン導電性高分子であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  11. 前記イオン導電性高分子がカチオン系高分子であることを特徴とする請求項10に記載の感光性転写材料。
  12. 仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料を基板上でラミネートする工程と、その後、熱可塑性樹脂層と中間層の界面で剥離する工程を有するカラーフィルターの製造方法において、
    前記熱可塑性樹脂層と前記中間層とを、25℃、30%RHの雰囲気下で、1m/分の剥離速度で剥離した際に、剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも5kV以下であることを特徴とするカラーフィルターの製造方法。
  13. 剥離した熱可塑性樹脂層の表面電位、及び剥離した中間層の表面電位の絶対値がいずれも1kV以下であることを特徴とする請求項12に記載のカラーフィルターの製造方法。
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