JP2004151507A - 感光性転写材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】現像負荷が小さくて、且つ良好な品質のカラーフィルターを形成し得る感光性転写材料の提供。
【解決手段】仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、前記熱可塑性樹脂層、及び/又は前記中間層に離型剤を添加することを特徴とする感光性転写材料である。
【選択図】 なし
【解決手段】仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、前記熱可塑性樹脂層、及び/又は前記中間層に離型剤を添加することを特徴とする感光性転写材料である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性転写材料に関し、特に現像負荷が小さい感光性転写材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層がこの順に設けられてなる、液晶セル用カラーフィルターを作成するための感光性転写材料は従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記感光性転写材料を用いて液晶セル用カラーフィルターを作成する方法の一例は以下の通りである(例えば、特許文献2参照。)。
▲1▼ガラス基板にブルー、グリーン、及びレッドのいずれか一の感光性樹脂層を有する感光性転写材料を、感光性樹脂層がガラス基板と向かい合うように接触させた状態でラミネートして、感光性転写材料とガラス基板を貼りあわせる。
▲2▼仮支持体を剥離する。
▲3▼熱可塑性樹脂層の上から露光して、感光性樹脂層中に潜像を形成する。なおここで言う「潜像」とは、露光された感光性樹脂層で、露光後に行われる現像処埋で除却されず、現像後画素を形成する部分である。
▲4▼現像により熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層および感光性樹脂層の未露光部分を除却して、ガラス基板上に画素を形成する。
▲5▼他の2色の感光性樹脂層を持つ感光性転写材料を用いて、▲1▼〜▲4▼の操作を2回繰り返し、ガラス基板の上にブルー、グリーン、及びレッドの3色の画素を形成する。
この場合、必要に応じて3色の画素を形成する前、又は後に、画素の周囲にブラックの画素を形成してもよい。
【0004】
前記の方法はガラス基板上に良好な画素を形成することができる方法であるが、現像に際して熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、および感光性樹脂層の未露光部分の3層を除却する必要がある。特に熱可塑性樹脂層は良好なラミネート適性を確保するため、アルカリ可溶な中間層や感光性樹脂層より厚い場合が多く、現像工程が煩雑になる。例えば前記特許文献2では、まず1%のトリエタノールアミン水溶液を用いて、厚さ15μmの熱可塑性樹脂層と、厚さ1.6μmの中間層を除却し、次いで1%の炭酸ナトリウム水溶液で厚さ2.0μmの感光性樹脂層を除却している。
【0005】
したがって、前記熱可塑性樹脂層、中間層、及び感光性樹脂層の除却は、現像工程の生産性上、現像廃液処理についての環境保全上において問題となっている。したがって近年、コスト削減の観点から現像工程の簡素化が、また環境負荷低減の観点から現像廃液量の削減が強く望まれるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−173320号公報
【特許文献2】
特開平11−149008号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題点をふまえ、現像負荷が小さくて、且つ優れた品質のカラーフィルターを形成し得る感光性転写材料を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、感光性転写材料を構成する熱可塑性樹脂層、及び/又は中間層に離型剤を添加することにより解決することができた。即ち本発明は、
<1> 仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、前記熱可塑性樹脂層、及び/又は前記中間層に離型剤を添加することを特徴とする感光性転写材料である。
【0009】
<2> 前記中間層がポリビニルアルコールを含有する前記<1>に記載の感光性転写材料である。
【0010】
<3> 前記中間層がポリマーラッテクスを含有する前記<1>または<2>に記載の感光性転写材料である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性転写材料は、感光性転写材料を構成する熱可塑性樹脂層、及び/又はアルカリ可溶な中間層に離型剤を添加することを特徴とする。以下本発明の感光性転写材料について詳説する。
【0012】
《感光性転写材料》
<アルカリ可溶性>
本発明の中間層におけるアルカリ可溶とは、アルカリ性物質の水溶液、又はこれに水と混和性のある有機溶媒を混合したものに可溶である事を言う。
前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)または燐酸三ナトリウム等を挙げることができる。前記アルカリ性物質の好ましい濃度は0.01〜30質量%であり、pHは8〜14が好ましい。
【0013】
前記水と混和性のある有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N‐メチルピロリドン等を挙げることができる。前記水と混和性の有機溶剤の好ましい濃度は0.1〜30質量%である。また、さらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01〜10質量%が好ましい。
【0014】
<熱可塑性樹脂層>
本発明の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂の例としてはアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオンフィン系樹脂およびこれらの共重合体を挙げる事ができる。更に本発明の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、必須ではないが、アルカリ可溶であることが望ましい。この場合、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル3元共重合体、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチックエ業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著 工業調査会発行、1968年10月25目発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものなどから少なくとも1つが挙げられる。
【0015】
これらの樹脂は以下のように、重量平均分子量の異なる2種類を混合して用いることが好ましい。
前記2種類の樹脂の一つは、重量平均分子量5万〜50万(Tg=0〜140℃)の範囲の樹脂〔以下、樹脂(A)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量6万〜20万(Tg=30〜110℃)の範囲で選択して使用することができる。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59一44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、OLS3504254号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64一55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特願平4一39653号の各明細書に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。特に好ましいのは、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2一エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
【0016】
また、他の種類の樹脂は、重量平均分子量3千〜3万(Tg=30〜170℃)の範囲の樹脂〔以下、樹脂(B)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量4千〜2万(Tg=60〜140℃)の範囲で選択して使用することができる。好ましい具体例は、上記の特許明細書に記載されているものの中から選ぶことができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号、特開平5−241340号明細書に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0017】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(A)の重量平均分子量が5万未満またはTgが0℃未満では、レチキュレーションの発生や転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を著しく汚染する。樹脂(A)の重量平均分子量が50万を越え、またはTgが140℃を越えると、転写時に画素問に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が著しく低下する。
【0018】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(B)の重量平均分子量が3千未満またはTgが30℃未満では、レチキュレーションの発生や転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を著しく汚染する。樹脂(B)重量平均分子量が3万を越え、またはTgが170℃を越えると、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下する。
【0019】
樹脂(A)と(B)との混合比において、(A)の比率が95%を越えると転写時に画素間に気泡が入りやすい。(A)の比率が5%未満では、熱可塑性樹脂が周囲にはみ出したり、熱可塑性樹脂層が脆くなって、裁断工程で微細な切り屑が飛散し易い。
【0020】
これらの有機高分子物質中に仮支持体との接着力、及び/または転写性を調節するために、各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤等を加えることで熱可塑性樹脂層のTgを微調整することが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物等を挙げることができる。可塑剤の量は、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(A)及び(B)の合計に対して、好ましくは重量比で0〜200%、より好ましくは20〜100%である。
【0021】
熱可塑性樹脂の厚みは6μm以上が好ましい。この理由としては熱可塑性樹脂の厚みが5μm以下であると1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが不可能であるためである。また、上限については、アルカリ水溶液除去性、製造適性から約100μm以下、好ましくは約50μm以下である。
本発明の熱可塑性樹脂層の塗布液としてはこの層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0022】
<アルカリ可溶な中間層>
前記中間層を構成する樹脂としては前記のアルカリ可溶であれば特に制限はない。中間層を構成する樹脂の例としてポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等を挙げることができる。またポリエステルのように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキンル基やスルホン酸基を持つモノマーを共重合してアルカリ可溶性にした樹脂も用いることができる。
【0023】
これらの中でも、特に好ましいものはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールとしては鹸化度が80%以上のものが好ましく、83〜98%のものがより好ましい。
前記中間層を構成する樹脂は2種類以上を混合して使用する事も好ましく、中でも、ポリビニルアルコールとポリビニルビロリドンを混合して用いる事が特に好ましい。両者の質量比はポリピエルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99〜75/25の範囲が好ましく、10/90〜50/50の範囲がより好ましい。前記両者の質量比が1/99〜75/25の範囲においては、中間層の面状の悪化、中間層上に塗設した感光性樹脂層との密着不良という問題も生ぜず、中間層の酸素遮断性が低下し、感度が低下するといった問題も生じない。
【0024】
中間層には必要に応じて界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。
中間層の厚みは0.l〜5μmの範囲が好ましく、0.5〜3μmの範囲がより好ましい。前記厚みが0.l〜5μmの範囲においては、酸素遮断性が低下することもなく、現像時の中間層除去時間の増大という問題も生じない。
中間層の塗布溶媒としては上記の樹脂が溶解すれば、特にその他の制限はないが、中でも水が好ましい。水に前述の水混和性有機溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。前記混合溶媒の好ましい具体例として、例えば次のようなものを挙げることができる。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロバノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5(ただし比は質量比を表す。)。
【0025】
<離型剤>
本発明は前記の通り、感光性転写材料を構成する熱可塑性樹脂層、及び/又は該中間層に離型剤を添加することを特徴とする。ここに離型剤とは2つの表面間の接着を制御したり、除いたりする物質であり、剥離剤、スリップ剤などとも呼ばれる。離型剤としてはカルナバワックスやポリエチレンワックスのような天然又は合成ワックス、ステアリン酸やオレイン酸のような脂肪酸、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミドのような脂肪族アミド、フッ素系やシリコーン系ポリマーなどがある。これらのうちでフッ素系やシリコーン系ポリマー(それぞれフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤ともいう。)は特に好ましい。フッ素系離型剤の例としてアロンGF−150、アロンGF−300(以上、東亜合成(株)製)、モディパーF200、モディパーF300、モディパーF2020、モディパーF3035(以上、日本油脂(株)製)などがある。またシリコーン系離型剤の例としてはアロンGS−30(東亜合成(株)製)、モディパーFS710、モディパーFS720、モディパーFS730(以上、日本油脂(株)製)などがある。離型剤については、例えば「高分子大辞典(三田 達 監訳、丸善(株)発行(平成6年))」に記載されている。
離型剤の好ましい添加量は、熱可塑性樹脂層又は中間層のバインダーの0.1〜2.0質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
【0026】
(剥離の形態)
本来、感光性転写材料はガラス基板にラミネートした後、仮支持体と熱可塑性樹脂層の間で剥離するが、熱可塑性樹脂層又は中間層に剥離剤を添加することで、熱可塑性樹脂層と中間層の間で剥離する事が可能になる。この結果、次の現像工程で熱可塑性樹脂層を除却する必要がなくなり、現像負荷が低減される。
【0027】
<ポリマーラテックス>
本発明の中間層にはポリマーラテックスを添加することが好ましい。前記ポリマーラテックスとは、水不溶のポリマーの微粒子が水に分散したものをいう。ポリマーラテックスについては、例えば室井宗一著「高分子ラテックスの化学(高分子刊行会発行(昭和48年)」に記載されている。本発明に用いられるポリマーラテックスとしてはアクリル系、酢酸ビニル系、ゴム系(例えばスチレン−ブタジエン系、クロロプレン系)、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリスチレン系などのポリマーラテックス、及びこれらの共重合体からなるポリマ−ラテックスが好ましい。
【0028】
前記ポリマーラテックスの中でも、ガラス転移温度(以下Tgということがある。)が60℃以下のものが好ましく、45℃以下のものがより好ましい。Tgが60℃以下では、レチキュレーション防止効果が充分ある。好ましいポリマーラテックスの例として、エチルアクリレートラテックス(平均粒径0.2μm)、エチルアクリレート/アクリル酸=98/2のラテックス(平均粒径0.2μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=55/40/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=65/30/5のラテックス(平均粒径0.19μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=75/20/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=30/65/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/メタアクリル酸=50/47/3のラテックス(平均粒径0.15μm)、スチレン/ブタジエン/アクリル酸=40/58/2のラテックス(平均粒径0.15μm)等を挙げることができる(ただしポリマーの共重合比は質量比を示す。)。
【0029】
ポリマーラテックスの添加量は、中間層を構成する樹脂の5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。添加量が5〜70質量%の範囲においては、レチキュレーション防止効果が充分で、中間層の面状が悪化することもない。
【0030】
<感光性樹脂層>
本発明の感光性樹脂層を構成する樹脂としては公知の光重合性組成物を使用できる。好ましい具体例は例えば特開平5−2107号公報に記載されている。ただし、ここで言う「樹脂」の中にはモノマー又はオリゴマーで露光後重合して樹脂となるものも含む。
本発明の感光性樹脂層は樹脂以外に顔料を含む。好ましい顔料種、サイズ等の例は例えば特開平11−149008号公報に記載されている。
本発明の感光性樹脂層には必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。また本発明の感光性樹脂層の塗布液としては該層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0031】
感光性樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い被覆シートを設けることが好ましい。被覆シートは後記の仮支持体と同じか、または類似の材料からなっても良いが、感光性樹脂層から容易に分離されねばならない。被覆シート材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオルエチレンシートが適当である。被覆シートの厚みは約5〜100μmが好ましい。特に好ましくは10〜30μm厚のポリエチレンまたはポリピレンフイルムである。
【0032】
<仮支持体>
本発明の仮支持体としてはポリエステル、ポリスチレン等の公知の支持体を用いる事ができる。中でも2軸延伸したポリエチレンテレフタレートはコスト、耐熱性、寸法安定性の観点から特に好ましい。仮支持体の厚みは15から200μm程度、より好ましくは30から150μm程度が好ましい。厚みが15μm未満の場合はラミネーション工程時に熱によりトタン板状のしわが発生するという欠点がある。逆に厚みが200μmを超える場合はコスト上不利である。
また仮支持体には必要に応じて特開平11−149008号公報に記載されている導電性層を設けてもよい。
【0033】
《画像形成方法》
次に、本発明の感光性転写材料を用いた画像形成方法について説明する。
先ず、感光性転写材料の被覆シートを取除き、感光性樹脂層を加圧、加温下で基体上に貼り合わせる。貼り合わせには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーターが使用でき、より生産性を高めるためには、オートカットラミネーターの便用も可能である。その後仮支持体を剥がした後で、所定のマスク、熱可塑性樹脂層、及び中間層を介して露光し、次いで除去する。除去は公知の方法で溶剤もしくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液に浸漬するか、スプレーからの処理液の噴霧を与えることにより、さらにはブラシでの擦り、または超音波を照射しつつ処理することにより行なうことができる。
異なる色に着色した感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用い、この工程を複数回繰り返せば、多色画像を形成することができる。
【0034】
本発明の感光性転写材料の主な用途は液晶デイスプレー用等のカラーフィルター作成や、カラーフィルターの保護層作成の他、多色画像やプリント配線基板の作成に都合が良い。
プリント配線基板の作成には、基体として公知の銅張り積層板が用いられ、カラーフィルターの作成のためには、基体としては、公知のガラス板、表面に酸化珪素皮膜を形成したソーダガラス板などが用いられる。
本発明は、上記のようなプリント配線基板の作成やカラーフィルター作成の際においても高速でラミネートしても先行画素の周辺に気泡が混入しないし、ラミズレが発生しないと共に塗布工程において、フイルムが伸びないため、きれいな面状のプリント配線基板、カラーフィルター等が得られる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例中の「部」はすべて質量部を意味する。
以上を混合して熱可塑性樹脂層塗布液とした。
【0036】
厚さ75μmの2軸延伸ボリエチレンテレフタレート支持体の一面に、上記熱可塑性樹脂層塗布液を塗布した後、100℃で2分間乾燥し、厚さ15μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0037】
以上を混合して中間層塗布液とした。
【0038】
熱可塑性樹脂層を塗設した仮支持体の熱可塑性樹脂層の上に、上記中間層塗布液を塗布した後100℃で2分間乾燥して、厚さ2μmの中間層を形成した。
【0039】
(3)感光性樹脂層の形成
熱可塑性樹脂層及び中間層有する仮支持体の上に、下記表1に記載の処方よりなる赤色、青色、緑色、及び下記に記載の処方よりなる黒色の感光性樹脂層形成用塗布液を、各々仮支持体の上に塗布して100℃で2分間乾燥した。なお表1の数値単位は「部」を表す。また、感光性樹脂層の乾燥後の厚みは赤色、青色及び緑色感光性樹脂層については2.3μm、黒色感光性樹脂層については1.6μmとした。
【0040】
【表1】
【0041】
<黒色感光性樹脂層形成用塗布液の組成>
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (モル比=70/30、 酸価=104mgKOH /g 、重量平均分子量=3万) ・・・ 21.0 部
2エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸/ メチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体 (モル比7/15/73/5、 酸価=77mgKOH /g 、重量平均分子量=8万) ・・・ 14.7 部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・ 26.8 部
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6− [4−(N,N−ジエトキシカルボメチル)−3− ブロモフェニル]−s−トリアジン ・・・ 1.32 部
カーボンブラック ・・・ 27.0 部
ピグメントブルー15:6 ・・・ 5.70 部
ピグメントバイオレット23 ・・・ 3.57 部
ハイドロキノンモノメチルエーテル ・・・ 0.02 部
F177P(大日本インキ(株)製の界面活性剤) ・・・ 0.09 部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 400 部
メチルエチルケトン ・・・ 600 部
【0042】
(4)感光性転写記録材料の形成
得られた赤色、青色、緑色及び黒色試料の感光性樹脂層の上に、厚さ15μmのポリプロピレンシートを重ねて室温で圧着し、4色の実施例−1の感光性転写材料を作成した。
【0043】
(5)カラーフィルターの形成
実施例1の感光性転写材料を用いて、以下の方法でカラーフィルターを作成した。赤色感光性転写材料の被覆シートを剥離し、感光性樹脂層面を透明ガラス基板(厚さ1.1mm)にラミネーター(大成ラミネータ(株)製VP−11)を用いて加圧(10kg/cm)、加熱(130℃)してラミネートし(速度3.0m/min)、続いて仮支持体及び熱可塑性樹脂層を中間層との界面で剥離し、仮支持体及び熱可塑性樹脂層を除去した。次に所定のフォトマスクを介して露光し、1%トリエタノールアミン水溶液で中間層を溶解除去した。次いで、1%炭酸ナトリウム水溶液で感光性樹脂層を現像して不要部を除去し、ガラス基板上に、赤色画素パターンを形成した。次いで、赤色画素パターンが形成されたガラス基板上に、緑色感光性転写材料を上記と同様にして貼り合わせ、剥離、露光、現像を行ない、緑色画素パターンを形成した。同様な工程を青色、黒色感光性転写材料で繰り返し、透明ガラス基板上にカラーフィルターを形成した。
【0044】
(実施例−2)
実施例−1の熱可塑製樹脂層で用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)8部の代わりに、離型剤(商品名:アロンGF−30、東亜合成(株)製)10部を用いる以外は実施例−1と同様にして実施例−2の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0045】
(実施例−3)
実施例−1の熱可塑製樹脂層で用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)を熱可塑製樹脂層では用いず、中間層に離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)を1.6部添加する以外は実施例−1と同様にして実施例−3の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0046】
(実施例−4)
実施例−3の中間層に用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)1.6部を用いる代わりに、離型剤(商品名:モディパーF2020、日本油脂(株)製)を0.5部用いる以外は実施例−3と同様にして実施例−4の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0047】
(実施例−5)
実施例−3の中間層に用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)1.6部を用いる代わりに、離型剤(商品名:ポリロンA、中京油脂(株)製)を2.5部用いる以外は実施例−3と同様にして実施例−5の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0048】
(比較例−1)
実施例−1の熱可塑製樹脂層で用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)を用いない以外は実施例−1と同様にして比較例−1の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0049】
<感光性転写材料及び画質の評価>
得られた実施例1ないし5、及び比較例1の感光性転写材料及び該感光性転写材料を用いたカラーフィルターについて、目視により品質を調査したが、いずれも塗布ムラ、ラミネーションによるムラ等の発生はなく、良好な画質のパターンが得られた。
【0050】
<剥離面と剥離力の評価>
ポリプロピレンシートを剥雛した赤色感光性転写材料(縦20cm、横4cm)の感光性樹脂層がガラス基板(厚さ1.1mm)と向かい合うように両者を重ね、ラミネーター(大阪ラミネータ(株)製VP−11)を用いてラミネートした。ラミネートの条件は温度130℃、圧力10kg/cm、速度2.0m/分である。この試料の仮支持体を剥離速度1.8m/分の速度で180度剥離して幅4cmあたりの剥離力を求めた。
結果を表−2に示す。
【0051】
<表面エネルギーの評価>
得られた感光性転写材料のポリプロピレンシートをはがし、厚さ1.1mmのガラス基板にラミネーターを用いてラミネートした。ラミネート条件は温度130℃、圧力10kg/cm、速度30cm/分である。この後仮支持体を剥離したところ、仮支持体と熱可塑性樹脂層が剥れ、ガラス基板上に感光性樹脂層と中間層が残った。剥離した仮支持体側の表面(熱可塑性樹脂層)とガラス基板側の表面(中間層)の水とヨウ化メチレンの接触角を測定した。接触角測定の条件は次の通りである。試料を25℃、60%RHの雰囲気下で2時間調湿した後、協和界面科学(株)製接触角計「Contact Angle Meter CA−A型」を用いて測定した。測定液は水又はヨウ化メチレンで滴下液量は0.06μlである。また接触角は液を滴下30秒後に読み取った。
【0052】
上記により得られた水の接触角θ1と、ヨウ化メチレンの接触角θ2から、下記の式により表面エネルギーの分散成分γd、及び極性成分γhを求めることにより、表面エネルギーγを計算した。
結果を表−2に示す。
【0053】
【数1】
【0054】
比較例の試料はラミネート後に仮支持体を剥離すると仮支持体のみが剥れガラス基板上に感光性樹脂層、中間層と熱可塑性樹脂層が残った。この場合はガラス基板上の熱可塑性樹脂層表面にマイラーテープを貼って熱可塑性樹脂層を中間層から剥離した。その後実施例と同様に中間層と熱可塑性樹脂層の表面の接触角を測定した。 なお赤色、青色、緑色及び黒色試料で熱可塑性樹脂層と中間層は共通なので、表面エネルギーは赤色試料について測定した。
結果を表−2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2の結果から、本発明の実施例1ないし5は、熱可塑性樹脂層と中間層の間での剥離力が小さく、仮支持体を剥離したところ、仮支持体と熱可塑性樹脂層が一体となって、中間層との間で剥れ、その後の現像工程においては、熱可塑性樹脂層の除去が不要となった。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂層と中間層の間での剥離力が小さく、仮支持体の剥離において、仮支持体と熱可塑性樹脂層が一体に剥れ、現像工程において熱可塑性樹脂層の除去が不要となり、現像負荷が小さくなるとともに、環境負荷が低減された感光性転写材料を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性転写材料に関し、特に現像負荷が小さい感光性転写材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、及びアルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層がこの順に設けられてなる、液晶セル用カラーフィルターを作成するための感光性転写材料は従来から知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
前記感光性転写材料を用いて液晶セル用カラーフィルターを作成する方法の一例は以下の通りである(例えば、特許文献2参照。)。
▲1▼ガラス基板にブルー、グリーン、及びレッドのいずれか一の感光性樹脂層を有する感光性転写材料を、感光性樹脂層がガラス基板と向かい合うように接触させた状態でラミネートして、感光性転写材料とガラス基板を貼りあわせる。
▲2▼仮支持体を剥離する。
▲3▼熱可塑性樹脂層の上から露光して、感光性樹脂層中に潜像を形成する。なおここで言う「潜像」とは、露光された感光性樹脂層で、露光後に行われる現像処埋で除却されず、現像後画素を形成する部分である。
▲4▼現像により熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層および感光性樹脂層の未露光部分を除却して、ガラス基板上に画素を形成する。
▲5▼他の2色の感光性樹脂層を持つ感光性転写材料を用いて、▲1▼〜▲4▼の操作を2回繰り返し、ガラス基板の上にブルー、グリーン、及びレッドの3色の画素を形成する。
この場合、必要に応じて3色の画素を形成する前、又は後に、画素の周囲にブラックの画素を形成してもよい。
【0004】
前記の方法はガラス基板上に良好な画素を形成することができる方法であるが、現像に際して熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、および感光性樹脂層の未露光部分の3層を除却する必要がある。特に熱可塑性樹脂層は良好なラミネート適性を確保するため、アルカリ可溶な中間層や感光性樹脂層より厚い場合が多く、現像工程が煩雑になる。例えば前記特許文献2では、まず1%のトリエタノールアミン水溶液を用いて、厚さ15μmの熱可塑性樹脂層と、厚さ1.6μmの中間層を除却し、次いで1%の炭酸ナトリウム水溶液で厚さ2.0μmの感光性樹脂層を除却している。
【0005】
したがって、前記熱可塑性樹脂層、中間層、及び感光性樹脂層の除却は、現像工程の生産性上、現像廃液処理についての環境保全上において問題となっている。したがって近年、コスト削減の観点から現像工程の簡素化が、また環境負荷低減の観点から現像廃液量の削減が強く望まれるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−173320号公報
【特許文献2】
特開平11−149008号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術の問題点をふまえ、現像負荷が小さくて、且つ優れた品質のカラーフィルターを形成し得る感光性転写材料を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、感光性転写材料を構成する熱可塑性樹脂層、及び/又は中間層に離型剤を添加することにより解決することができた。即ち本発明は、
<1> 仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、前記熱可塑性樹脂層、及び/又は前記中間層に離型剤を添加することを特徴とする感光性転写材料である。
【0009】
<2> 前記中間層がポリビニルアルコールを含有する前記<1>に記載の感光性転写材料である。
【0010】
<3> 前記中間層がポリマーラッテクスを含有する前記<1>または<2>に記載の感光性転写材料である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の感光性転写材料は、感光性転写材料を構成する熱可塑性樹脂層、及び/又はアルカリ可溶な中間層に離型剤を添加することを特徴とする。以下本発明の感光性転写材料について詳説する。
【0012】
《感光性転写材料》
<アルカリ可溶性>
本発明の中間層におけるアルカリ可溶とは、アルカリ性物質の水溶液、又はこれに水と混和性のある有機溶媒を混合したものに可溶である事を言う。
前記アルカリ性物質としては、アルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)または燐酸三ナトリウム等を挙げることができる。前記アルカリ性物質の好ましい濃度は0.01〜30質量%であり、pHは8〜14が好ましい。
【0013】
前記水と混和性のある有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N‐メチルピロリドン等を挙げることができる。前記水と混和性の有機溶剤の好ましい濃度は0.1〜30質量%である。また、さらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01〜10質量%が好ましい。
【0014】
<熱可塑性樹脂層>
本発明の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂の例としてはアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオンフィン系樹脂およびこれらの共重合体を挙げる事ができる。更に本発明の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、必須ではないが、アルカリ可溶であることが望ましい。この場合、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としては、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル3元共重合体、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチックエ業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著 工業調査会発行、1968年10月25目発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なものなどから少なくとも1つが挙げられる。
【0015】
これらの樹脂は以下のように、重量平均分子量の異なる2種類を混合して用いることが好ましい。
前記2種類の樹脂の一つは、重量平均分子量5万〜50万(Tg=0〜140℃)の範囲の樹脂〔以下、樹脂(A)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量6万〜20万(Tg=30〜110℃)の範囲で選択して使用することができる。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59一44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、OLS3504254号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64一55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特願平4一39653号の各明細書に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。特に好ましいのは、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2一エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
【0016】
また、他の種類の樹脂は、重量平均分子量3千〜3万(Tg=30〜170℃)の範囲の樹脂〔以下、樹脂(B)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量4千〜2万(Tg=60〜140℃)の範囲で選択して使用することができる。好ましい具体例は、上記の特許明細書に記載されているものの中から選ぶことができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号、特開平5−241340号明細書に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0017】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(A)の重量平均分子量が5万未満またはTgが0℃未満では、レチキュレーションの発生や転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を著しく汚染する。樹脂(A)の重量平均分子量が50万を越え、またはTgが140℃を越えると、転写時に画素問に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が著しく低下する。
【0018】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(B)の重量平均分子量が3千未満またはTgが30℃未満では、レチキュレーションの発生や転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を著しく汚染する。樹脂(B)重量平均分子量が3万を越え、またはTgが170℃を越えると、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下する。
【0019】
樹脂(A)と(B)との混合比において、(A)の比率が95%を越えると転写時に画素間に気泡が入りやすい。(A)の比率が5%未満では、熱可塑性樹脂が周囲にはみ出したり、熱可塑性樹脂層が脆くなって、裁断工程で微細な切り屑が飛散し易い。
【0020】
これらの有機高分子物質中に仮支持体との接着力、及び/または転写性を調節するために、各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤等を加えることで熱可塑性樹脂層のTgを微調整することが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物等を挙げることができる。可塑剤の量は、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(A)及び(B)の合計に対して、好ましくは重量比で0〜200%、より好ましくは20〜100%である。
【0021】
熱可塑性樹脂の厚みは6μm以上が好ましい。この理由としては熱可塑性樹脂の厚みが5μm以下であると1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが不可能であるためである。また、上限については、アルカリ水溶液除去性、製造適性から約100μm以下、好ましくは約50μm以下である。
本発明の熱可塑性樹脂層の塗布液としてはこの層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0022】
<アルカリ可溶な中間層>
前記中間層を構成する樹脂としては前記のアルカリ可溶であれば特に制限はない。中間層を構成する樹脂の例としてポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体等を挙げることができる。またポリエステルのように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキンル基やスルホン酸基を持つモノマーを共重合してアルカリ可溶性にした樹脂も用いることができる。
【0023】
これらの中でも、特に好ましいものはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールとしては鹸化度が80%以上のものが好ましく、83〜98%のものがより好ましい。
前記中間層を構成する樹脂は2種類以上を混合して使用する事も好ましく、中でも、ポリビニルアルコールとポリビニルビロリドンを混合して用いる事が特に好ましい。両者の質量比はポリピエルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99〜75/25の範囲が好ましく、10/90〜50/50の範囲がより好ましい。前記両者の質量比が1/99〜75/25の範囲においては、中間層の面状の悪化、中間層上に塗設した感光性樹脂層との密着不良という問題も生ぜず、中間層の酸素遮断性が低下し、感度が低下するといった問題も生じない。
【0024】
中間層には必要に応じて界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。
中間層の厚みは0.l〜5μmの範囲が好ましく、0.5〜3μmの範囲がより好ましい。前記厚みが0.l〜5μmの範囲においては、酸素遮断性が低下することもなく、現像時の中間層除去時間の増大という問題も生じない。
中間層の塗布溶媒としては上記の樹脂が溶解すれば、特にその他の制限はないが、中でも水が好ましい。水に前述の水混和性有機溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。前記混合溶媒の好ましい具体例として、例えば次のようなものを挙げることができる。水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロバノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5(ただし比は質量比を表す。)。
【0025】
<離型剤>
本発明は前記の通り、感光性転写材料を構成する熱可塑性樹脂層、及び/又は該中間層に離型剤を添加することを特徴とする。ここに離型剤とは2つの表面間の接着を制御したり、除いたりする物質であり、剥離剤、スリップ剤などとも呼ばれる。離型剤としてはカルナバワックスやポリエチレンワックスのような天然又は合成ワックス、ステアリン酸やオレイン酸のような脂肪酸、ステアリン酸亜鉛やステアリン酸カルシウムのような脂肪酸金属塩、ステアリン酸アミドのような脂肪族アミド、フッ素系やシリコーン系ポリマーなどがある。これらのうちでフッ素系やシリコーン系ポリマー(それぞれフッ素系離型剤、シリコーン系離型剤ともいう。)は特に好ましい。フッ素系離型剤の例としてアロンGF−150、アロンGF−300(以上、東亜合成(株)製)、モディパーF200、モディパーF300、モディパーF2020、モディパーF3035(以上、日本油脂(株)製)などがある。またシリコーン系離型剤の例としてはアロンGS−30(東亜合成(株)製)、モディパーFS710、モディパーFS720、モディパーFS730(以上、日本油脂(株)製)などがある。離型剤については、例えば「高分子大辞典(三田 達 監訳、丸善(株)発行(平成6年))」に記載されている。
離型剤の好ましい添加量は、熱可塑性樹脂層又は中間層のバインダーの0.1〜2.0質量%、より好ましくは1〜10質量%である。
【0026】
(剥離の形態)
本来、感光性転写材料はガラス基板にラミネートした後、仮支持体と熱可塑性樹脂層の間で剥離するが、熱可塑性樹脂層又は中間層に剥離剤を添加することで、熱可塑性樹脂層と中間層の間で剥離する事が可能になる。この結果、次の現像工程で熱可塑性樹脂層を除却する必要がなくなり、現像負荷が低減される。
【0027】
<ポリマーラテックス>
本発明の中間層にはポリマーラテックスを添加することが好ましい。前記ポリマーラテックスとは、水不溶のポリマーの微粒子が水に分散したものをいう。ポリマーラテックスについては、例えば室井宗一著「高分子ラテックスの化学(高分子刊行会発行(昭和48年)」に記載されている。本発明に用いられるポリマーラテックスとしてはアクリル系、酢酸ビニル系、ゴム系(例えばスチレン−ブタジエン系、クロロプレン系)、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリスチレン系などのポリマーラテックス、及びこれらの共重合体からなるポリマ−ラテックスが好ましい。
【0028】
前記ポリマーラテックスの中でも、ガラス転移温度(以下Tgということがある。)が60℃以下のものが好ましく、45℃以下のものがより好ましい。Tgが60℃以下では、レチキュレーション防止効果が充分ある。好ましいポリマーラテックスの例として、エチルアクリレートラテックス(平均粒径0.2μm)、エチルアクリレート/アクリル酸=98/2のラテックス(平均粒径0.2μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=55/40/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=65/30/5のラテックス(平均粒径0.19μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=75/20/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=30/65/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/メタアクリル酸=50/47/3のラテックス(平均粒径0.15μm)、スチレン/ブタジエン/アクリル酸=40/58/2のラテックス(平均粒径0.15μm)等を挙げることができる(ただしポリマーの共重合比は質量比を示す。)。
【0029】
ポリマーラテックスの添加量は、中間層を構成する樹脂の5〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。添加量が5〜70質量%の範囲においては、レチキュレーション防止効果が充分で、中間層の面状が悪化することもない。
【0030】
<感光性樹脂層>
本発明の感光性樹脂層を構成する樹脂としては公知の光重合性組成物を使用できる。好ましい具体例は例えば特開平5−2107号公報に記載されている。ただし、ここで言う「樹脂」の中にはモノマー又はオリゴマーで露光後重合して樹脂となるものも含む。
本発明の感光性樹脂層は樹脂以外に顔料を含む。好ましい顔料種、サイズ等の例は例えば特開平11−149008号公報に記載されている。
本発明の感光性樹脂層には必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。また本発明の感光性樹脂層の塗布液としては該層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0031】
感光性樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い被覆シートを設けることが好ましい。被覆シートは後記の仮支持体と同じか、または類似の材料からなっても良いが、感光性樹脂層から容易に分離されねばならない。被覆シート材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオルエチレンシートが適当である。被覆シートの厚みは約5〜100μmが好ましい。特に好ましくは10〜30μm厚のポリエチレンまたはポリピレンフイルムである。
【0032】
<仮支持体>
本発明の仮支持体としてはポリエステル、ポリスチレン等の公知の支持体を用いる事ができる。中でも2軸延伸したポリエチレンテレフタレートはコスト、耐熱性、寸法安定性の観点から特に好ましい。仮支持体の厚みは15から200μm程度、より好ましくは30から150μm程度が好ましい。厚みが15μm未満の場合はラミネーション工程時に熱によりトタン板状のしわが発生するという欠点がある。逆に厚みが200μmを超える場合はコスト上不利である。
また仮支持体には必要に応じて特開平11−149008号公報に記載されている導電性層を設けてもよい。
【0033】
《画像形成方法》
次に、本発明の感光性転写材料を用いた画像形成方法について説明する。
先ず、感光性転写材料の被覆シートを取除き、感光性樹脂層を加圧、加温下で基体上に貼り合わせる。貼り合わせには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーターが使用でき、より生産性を高めるためには、オートカットラミネーターの便用も可能である。その後仮支持体を剥がした後で、所定のマスク、熱可塑性樹脂層、及び中間層を介して露光し、次いで除去する。除去は公知の方法で溶剤もしくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液に浸漬するか、スプレーからの処理液の噴霧を与えることにより、さらにはブラシでの擦り、または超音波を照射しつつ処理することにより行なうことができる。
異なる色に着色した感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用い、この工程を複数回繰り返せば、多色画像を形成することができる。
【0034】
本発明の感光性転写材料の主な用途は液晶デイスプレー用等のカラーフィルター作成や、カラーフィルターの保護層作成の他、多色画像やプリント配線基板の作成に都合が良い。
プリント配線基板の作成には、基体として公知の銅張り積層板が用いられ、カラーフィルターの作成のためには、基体としては、公知のガラス板、表面に酸化珪素皮膜を形成したソーダガラス板などが用いられる。
本発明は、上記のようなプリント配線基板の作成やカラーフィルター作成の際においても高速でラミネートしても先行画素の周辺に気泡が混入しないし、ラミズレが発生しないと共に塗布工程において、フイルムが伸びないため、きれいな面状のプリント配線基板、カラーフィルター等が得られる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例中の「部」はすべて質量部を意味する。
以上を混合して熱可塑性樹脂層塗布液とした。
【0036】
厚さ75μmの2軸延伸ボリエチレンテレフタレート支持体の一面に、上記熱可塑性樹脂層塗布液を塗布した後、100℃で2分間乾燥し、厚さ15μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0037】
以上を混合して中間層塗布液とした。
【0038】
熱可塑性樹脂層を塗設した仮支持体の熱可塑性樹脂層の上に、上記中間層塗布液を塗布した後100℃で2分間乾燥して、厚さ2μmの中間層を形成した。
【0039】
(3)感光性樹脂層の形成
熱可塑性樹脂層及び中間層有する仮支持体の上に、下記表1に記載の処方よりなる赤色、青色、緑色、及び下記に記載の処方よりなる黒色の感光性樹脂層形成用塗布液を、各々仮支持体の上に塗布して100℃で2分間乾燥した。なお表1の数値単位は「部」を表す。また、感光性樹脂層の乾燥後の厚みは赤色、青色及び緑色感光性樹脂層については2.3μm、黒色感光性樹脂層については1.6μmとした。
【0040】
【表1】
【0041】
<黒色感光性樹脂層形成用塗布液の組成>
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (モル比=70/30、 酸価=104mgKOH /g 、重量平均分子量=3万) ・・・ 21.0 部
2エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸/ メチルメタクリレート/ベンジルメタクリレート共重合体 (モル比7/15/73/5、 酸価=77mgKOH /g 、重量平均分子量=8万) ・・・ 14.7 部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート ・・・ 26.8 部
2,4−ビス(トリクロロメチル)−6− [4−(N,N−ジエトキシカルボメチル)−3− ブロモフェニル]−s−トリアジン ・・・ 1.32 部
カーボンブラック ・・・ 27.0 部
ピグメントブルー15:6 ・・・ 5.70 部
ピグメントバイオレット23 ・・・ 3.57 部
ハイドロキノンモノメチルエーテル ・・・ 0.02 部
F177P(大日本インキ(株)製の界面活性剤) ・・・ 0.09 部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート ・・・ 400 部
メチルエチルケトン ・・・ 600 部
【0042】
(4)感光性転写記録材料の形成
得られた赤色、青色、緑色及び黒色試料の感光性樹脂層の上に、厚さ15μmのポリプロピレンシートを重ねて室温で圧着し、4色の実施例−1の感光性転写材料を作成した。
【0043】
(5)カラーフィルターの形成
実施例1の感光性転写材料を用いて、以下の方法でカラーフィルターを作成した。赤色感光性転写材料の被覆シートを剥離し、感光性樹脂層面を透明ガラス基板(厚さ1.1mm)にラミネーター(大成ラミネータ(株)製VP−11)を用いて加圧(10kg/cm)、加熱(130℃)してラミネートし(速度3.0m/min)、続いて仮支持体及び熱可塑性樹脂層を中間層との界面で剥離し、仮支持体及び熱可塑性樹脂層を除去した。次に所定のフォトマスクを介して露光し、1%トリエタノールアミン水溶液で中間層を溶解除去した。次いで、1%炭酸ナトリウム水溶液で感光性樹脂層を現像して不要部を除去し、ガラス基板上に、赤色画素パターンを形成した。次いで、赤色画素パターンが形成されたガラス基板上に、緑色感光性転写材料を上記と同様にして貼り合わせ、剥離、露光、現像を行ない、緑色画素パターンを形成した。同様な工程を青色、黒色感光性転写材料で繰り返し、透明ガラス基板上にカラーフィルターを形成した。
【0044】
(実施例−2)
実施例−1の熱可塑製樹脂層で用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)8部の代わりに、離型剤(商品名:アロンGF−30、東亜合成(株)製)10部を用いる以外は実施例−1と同様にして実施例−2の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0045】
(実施例−3)
実施例−1の熱可塑製樹脂層で用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)を熱可塑製樹脂層では用いず、中間層に離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)を1.6部添加する以外は実施例−1と同様にして実施例−3の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0046】
(実施例−4)
実施例−3の中間層に用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)1.6部を用いる代わりに、離型剤(商品名:モディパーF2020、日本油脂(株)製)を0.5部用いる以外は実施例−3と同様にして実施例−4の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0047】
(実施例−5)
実施例−3の中間層に用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)1.6部を用いる代わりに、離型剤(商品名:ポリロンA、中京油脂(株)製)を2.5部用いる以外は実施例−3と同様にして実施例−5の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0048】
(比較例−1)
実施例−1の熱可塑製樹脂層で用いた離型剤(商品名:アロンGF−300、東亜合成(株)製)を用いない以外は実施例−1と同様にして比較例−1の感光性転写材料、及びカラーフィルターを作成した。
【0049】
<感光性転写材料及び画質の評価>
得られた実施例1ないし5、及び比較例1の感光性転写材料及び該感光性転写材料を用いたカラーフィルターについて、目視により品質を調査したが、いずれも塗布ムラ、ラミネーションによるムラ等の発生はなく、良好な画質のパターンが得られた。
【0050】
<剥離面と剥離力の評価>
ポリプロピレンシートを剥雛した赤色感光性転写材料(縦20cm、横4cm)の感光性樹脂層がガラス基板(厚さ1.1mm)と向かい合うように両者を重ね、ラミネーター(大阪ラミネータ(株)製VP−11)を用いてラミネートした。ラミネートの条件は温度130℃、圧力10kg/cm、速度2.0m/分である。この試料の仮支持体を剥離速度1.8m/分の速度で180度剥離して幅4cmあたりの剥離力を求めた。
結果を表−2に示す。
【0051】
<表面エネルギーの評価>
得られた感光性転写材料のポリプロピレンシートをはがし、厚さ1.1mmのガラス基板にラミネーターを用いてラミネートした。ラミネート条件は温度130℃、圧力10kg/cm、速度30cm/分である。この後仮支持体を剥離したところ、仮支持体と熱可塑性樹脂層が剥れ、ガラス基板上に感光性樹脂層と中間層が残った。剥離した仮支持体側の表面(熱可塑性樹脂層)とガラス基板側の表面(中間層)の水とヨウ化メチレンの接触角を測定した。接触角測定の条件は次の通りである。試料を25℃、60%RHの雰囲気下で2時間調湿した後、協和界面科学(株)製接触角計「Contact Angle Meter CA−A型」を用いて測定した。測定液は水又はヨウ化メチレンで滴下液量は0.06μlである。また接触角は液を滴下30秒後に読み取った。
【0052】
上記により得られた水の接触角θ1と、ヨウ化メチレンの接触角θ2から、下記の式により表面エネルギーの分散成分γd、及び極性成分γhを求めることにより、表面エネルギーγを計算した。
結果を表−2に示す。
【0053】
【数1】
【0054】
比較例の試料はラミネート後に仮支持体を剥離すると仮支持体のみが剥れガラス基板上に感光性樹脂層、中間層と熱可塑性樹脂層が残った。この場合はガラス基板上の熱可塑性樹脂層表面にマイラーテープを貼って熱可塑性樹脂層を中間層から剥離した。その後実施例と同様に中間層と熱可塑性樹脂層の表面の接触角を測定した。 なお赤色、青色、緑色及び黒色試料で熱可塑性樹脂層と中間層は共通なので、表面エネルギーは赤色試料について測定した。
結果を表−2に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
表2の結果から、本発明の実施例1ないし5は、熱可塑性樹脂層と中間層の間での剥離力が小さく、仮支持体を剥離したところ、仮支持体と熱可塑性樹脂層が一体となって、中間層との間で剥れ、その後の現像工程においては、熱可塑性樹脂層の除去が不要となった。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、熱可塑性樹脂層と中間層の間での剥離力が小さく、仮支持体の剥離において、仮支持体と熱可塑性樹脂層が一体に剥れ、現像工程において熱可塑性樹脂層の除去が不要となり、現像負荷が小さくなるとともに、環境負荷が低減された感光性転写材料を提供することができる。
Claims (3)
- 仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる感光性転写材料において、
前記熱可塑性樹脂層、及び/又は前記中間層に離型剤を添加することを特徴とする感光性転写材料。 - 前記中間層がポリビニルアルコールを含有する請求項1に記載の感光性転写材料。
- 前記中間層がポリマーラッテクスを含有する請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。
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