JP3971129B2 - 感光性転写材料およびカラーフィルターの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性転写材料、特に凹凸のある基体に乾式転写するために好適な感光性転写材料及び、該感光性転写材料を用いたカラーフィルターの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
仮支持体上に熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層をこの順に設けてなる、液晶セル用カラーフィルターを作製するための感光性転写材料は従来から知られていた。例えば特開平5−173320号明細書、特開平11−149008号明細書にはこの感光性転写材料の例が記載されている。この発明では感光性転写材料の感光性樹脂層と基体とを、通常「ラミネート法」により貼り合わせ、その後仮支持体を剥離して露光、現像を行ない基体上に画像を形成する。
【0003】
従来は感光性樹脂層と凹凸のある基体の貼り合わせの際に、両者の間に気泡が入り転写不良を起こすという問題があったが、熱可塑性樹脂層を設けることにより凹凸のある基体に対しても気泡を防止して良好な転写画像を得る事が可能になった。
【0004】
ところが近年、カラーフィルターの製造速度が増大しラミネート速度が大きくなると、気泡が更に発生しやすくなり、再び転写不良が問題となって来ている。
【0005】
高速でラミネートを行った場合の気泡発生防止のためには熱可塑性樹脂層をより柔軟にする必要があるが、この方法ではレチキュレーションと呼ばれる故障が発生してしまう。レチキュレーションとは吸湿等の原因で中間層が伸びた時、柔軟な熱可塑性樹脂層が坐屈して、感光性転写材料表面に細かい「しわ」が発生するもので転写不良の原因となる。
【0006】
即ち高速でラミネーションを行う為には、気泡発生とレチキュレーションの両方を防止する技術が必要である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明の第1の目的は、高速のラミネーションにおいても気泡の発生を防止し、かつレチキュレーションの発生が無い、感光性転写材料を提供することにある。
本発明の第2の目的は、上記の感光性転写材料を用いて、カラーフィルターを製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の目的は、
(1)仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層を、この順に設けてなる感光性転写材料において、前記中間層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする感光性転写材料。
(2)前記ポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)が60℃以下である(1)記載の感光性転写記録材料。
(3)前記ポリマーラテックスの添加量が、中間層を構成する樹脂に対しポリマーラテックス固形分量で、5ないし70重量%である(1)又は(2)に記載の感光性転写記録材料。
によって達成される。
【0009】
本発明の第2の目的は、
上記(1)ないし(3)のいずれかに記載された感光性熱転写材料を複数種用いてカラーフィルターを製造するカラーフィルターの製造方法。
によって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
≪感光性転写記録材料≫
本発明の感光性転写記録材料は、仮支持体上に、熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶感光性樹脂層を、この順に設けてなる感光性転写材料であって、該中間層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする。以下、本発明の感光性転写記録材料及び、該感光性転写記録材料を用いたカラーフィルターの製造方法について説明する。
【0011】
<アルカリ可溶性>
本発明におけるアルカリ可溶とは、下記のアルカリ物質の水溶液、又はこれに水と混和性のある有機溶媒を混合したものに可溶である事を言う。
適当なアルカリ性物質はアルカリ金属水酸化物類(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)、アルカリ金属炭酸塩類(例えぱ炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ金属重炭酸塩類(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム)、アルカリ金属ケイ酸塩類(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム)、アルカリ金属メタケイ酸塩類(メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モルホリン、テトラアルキルアンモンニウムヒドロキシド類(例えぱテトラメチルアンモニウムヒドロキシド)または燐酸三ナトリウムなどである。アルカリ性物質の濃度は、0.01重量%〜30重量%であり、pHは8〜14が好ましい。
【0012】
水と混和性の有る適当な有機溶剤は、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カブロラクタム、N一メチルピロリドンなどである。水と混和性の有機溶剤の濃度は0.1重量%〜30重量%である、またさらに公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01重量%〜10重量%が好ましい。
【0013】
<熱可塑性樹脂層>
本発明の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂としてはアクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ゴム系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびこれらの共重合体等をあげる事ができる。本発明の熱可塑性樹脂層を構成する樹脂は、アルカリ可溶である事が必須ではないが、アルカリ可溶である事が望ましい。
【0014】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂として具体的には、エチレンとアクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、スチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル3元共重合体、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル共重合体のケン化物、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体などのケン化物、「プラスチック性能便覧」(日本プラスチックエ業連盟、全日本プラスチック成形工業連合会編著 工業調査会発行、1968年10月25目発行)による有機高分子のうちアルカリ水溶液に可溶なもの、などから少なくとも1つが挙げられる。
【0015】
これらの樹脂は以下のように2種類を混合して用いる事がこのましい。
すなわち、これらの樹脂の中で、重量平均分子量が5万〜50万で、且つガラス転移温度(Tg)が0〜140℃の範囲〔以下、樹脂(A)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量が6万〜20万で,且つガラス転移温度(Tg)が30〜110℃の範囲で選択して使用することができる。これらの樹脂の具体例としては、特公昭54−34327号、特公昭55−38961号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭61−134756号、特公昭59一44615号、特開昭54−92723号、特開昭54−99418号、特開昭54−137085号、特開昭57−20732号、特開昭58−93046号、特開昭59−97135号、特開昭60−159743号、OLS3504254号、特開昭60−247638号、特開昭60−208748号、特開昭60−214354号、特開昭60−230135号、特開昭60−258539号、特開昭61−169829号、特開昭61−213213号、特開昭63−147159号、特開昭63−213837号、特開昭63−266448号、特開昭64−55551号、特開昭64一55550号、特開平2−191955号、特開平2−199403号、特開平2−199404号、特開平2−208602号、特願平4一39653号の各明細書に記載されているアルカリ水溶液に可溶な樹脂を挙げることができる。特に好ましいのは、特開昭63−147159号明細書に記載されたメタクリル酸/2一エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メチルメタクリレート共重合体である。
【0016】
また、上記した種々の樹脂の中から重量平均分子量が3千〜3万で,且つガラス転移温度(Tg)が30〜170℃の範囲〔以下、樹脂(B)ともいう〕で、更に好ましくは重量平均分子量が4千〜2万で,且つガラス転移温度(Tg)が60〜140℃の範囲で選択して使用することができる。好ましい具体例は、上記の特許明細書に記載されているものの中から選ぶことができるが、特に好ましくは、特公昭55−38961号、特開平5−241340号明細書に記載のスチレン/(メタ)アクリル酸共重合体が挙げられる。
【0017】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(A)の重量平均分子量が5万未満、又はガラス転移温度(Tg)が0℃未満では、レチキュレーションの発生や、転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を汚染する。樹脂(A)の重量平均分子量が50万を越え、又はガラス転移温度(Tg)が140℃を越えると、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下する。
【0018】
熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(B)の重量平均分子量が3千未満、又はガラス転移温度(Tg)が30℃未満では、レチキュレーションの発生や、転写中に熱可塑性樹脂が周囲にはみ出して永久支持体を汚染する。樹脂(B)の重量平均分子量が3万を越え、又はガラス転移温度(Tg)が170℃を越えると、転写時に画素間に気泡が入ったり、熱可塑性樹脂のアルカリ水溶液除去性が低下する。
【0019】
樹脂(A)と(B)とを混合して使用する場合には、その混合比は(A)の比率が95重量%ないし5重量%であることが好ましい。(A)の比率が95%を越えると転写時に画素間に気泡が入りやすく、(A)の比率が5%未満では、熱可塑性樹脂が周囲にはみ出したり、熱可塑性樹脂層が脆くなって、裁断工程で微細な切り屑が飛散し易い。
【0020】
これらの有機高分子物質中に、仮支持体との接着力及び/又は転写性を調節するために、各種のポリマーや過冷却物質、密着改良剤あるいは界面活性剤、離型剤等を加えることで熱可塑性樹脂層のガラス転移温度(Tg)を微調整することが可能である。好ましい可塑剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジオクチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルフォスフェート、クレジルジフェニルフォスフェートビフェニルジフェニルフォスフェート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ樹脂とポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、有機ジイソシアナートとポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、ビスフェノールAとポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートとの縮合反応生成物等を挙げることができる。可塑剤の量は、熱可塑性樹脂層を構成する樹脂(A)及び(B)の合計に対して、好ましくは重量比で0〜200%、より好ましくは20〜100%である。
【0021】
熱可塑性樹脂の厚みは6μm以上が好ましい。この理由としては熱可塑性樹脂の厚みが5μm以下であると1μm以上の下地の凹凸を完全に吸収することが不可能であるためである。また、上限については、アルカリ水溶液除去性、製造適性から約100μm以下、好ましくは約50μm以下である。
【0022】
本発明の熱可塑性樹脂層の塗布液としてはこの層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0023】
<アルカリ可溶な中間層>
中間層を構成する樹脂としては前述のアルカリ可溶であれば特に制限はない。樹脂の例としてポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体をあげる事ができる。またポリエステルのように通常はアルカリ可溶性でない樹脂にカルボキシル基やスルホン酸基を持つモノマーを共重合してアルカリ可溶性にした樹脂も用いる事ができる。
【0024】
これらの中で好ましいものはポリビニルアルコールである。ポリビニルアルコールとしては鹸化度が80%以上のものが好ましく、83から98%のものがより好ましい。
【0025】
中間層を構成する樹脂は2種類以上を混合して使用する事が好ましく、特にポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンを混合して用いる事が特に好ましい。両者の重量比はポリビニルピロリドン/ポリビニルアルコール=1/99から75/25、より好ましくは10/90から50/50の範囲が好ましい。この比が1/99以下になると中間層の面状の悪化、上に塗設した感光性樹脂層との密着不良といった問題が生じる。逆に比が75/25を超えると中間層の酸素遮断性が低下して感度が低下する。
中間層には必要に応じて界面活性剤などの添加剤を添加してもよい。
【0026】
中間層の厚みは0.1から5μm、より好ましくは0.5から3μmの範囲が好ましい。厚みが0.1μm以下の場合酸素遮断性の低下が、5μm以上の場合は現像時の中間層除去時間の増大するという問題が起こる。
【0027】
中間層の塗布溶媒としては上記の樹脂が溶解すれば、特にその他の制限はないが、水が好ましい。水に前述の水混和性有機溶剤を混合した混合溶媒も好ましい。好ましい具体例としては次のようなものがある。水、水/メタノール=90/10、水/メタノール=70/30、水/メタノール=55/45、水/エタノール=70/30、水/1−プロパノール=70/30、水/アセトン=90/10、水/メチルエチルケトン=95/5(ただし比は重量比を表す。)。
【0028】
<ポリマーラテックス>
本発明の中間層にはポリマーラテックスを添加する。ここで言うポリマーラテックスとは水不溶のポリマーの微粒子が水に分散したものである。ポリマーラテックスについては、例えば室井宗一著「高分子ラテックスの化学(高分子刊行会発行(昭和48年))」に記載されている。本発明に用いられるポリマーラテックスとしてはアクリル系、酢酸ビニル系、ゴム系(例えばスチレン−ブタジエン系、クロロプレン系)、オレフィン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリスチレン系などのポリマー、及びこれらの共重合体からなるポリマーラテックスが好ましい。
【0029】
これらの中で特にガラス転移温度(Tg)が60℃以下、より好ましくは45℃以下のものが好ましい。Tgが60℃を超えるものはレチキュレーション防止効果が小さい。好ましいポリマーラテックスの例としてエチルアクリレートラテックス(平均粒径0.2μm)、エチルアクリレート/アクリル酸=98/2のラテックス(平均粒径0.2μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=55/40/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=65/30/5のラテックス(平均粒径0.19μm)、 メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=75/20/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=30/65/5のラテックス(平均粒径0.15μm)、メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/メタアクリル酸=50/47/3のラテックス(平均粒径0.15μm)、スチレン/ブタジエン/アクリル酸=40/58/2のラテックス(平均粒径0.15μm)などがあげられる。(ただしポリマーの共重合比は重量比を示す。)
【0030】
ポリマーラテックスの添加量は、好ましくは中間層を構成する樹脂に対し、ポリマーラテックス固形分量が5から70重量%、より好ましくは10から50重量%,特に好ましくは20から40重量%である。添加量が5重量%未満であるとレチキュレーション防止効果が不充分になり、70重量%を超えると中間層の面状が悪化する。
【0031】
<感光性樹脂層>
本発明の感光性樹脂層を構成する樹脂としては公知の光重合性組成物を使用できる。好ましい具体例は例えば特願平2−82262に記載されている。ただし、ここで言う「樹脂」の中にはモノマー又はオリゴマーで露光後重合して樹脂となるものも含む。
【0032】
本発明の感光性樹脂層は樹脂以外に顔料を含めることができる。好ましい顔料種、サイズ等の例は例えば特開平11−149008に記載されている。
本発明の感光性樹脂層には必要に応じて界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。また本発明の熱可塑性樹脂層の塗布液としてはこの層を構成する樹脂を溶解する限り特に制限なく使用でき、例えばメチルエチルケトン、n−プロパノール、i−プロパノール等を使用できる。
【0033】
感光性樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から感光性樹脂層を保護するために薄い被覆シートを設けることが好ましい。被覆シートは仮支持体と同じか、又は類似の材料からなっても良いが、感光性樹脂層から容易に分離されねばならない。被覆シート材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィンもしくはポリテトラフルオルエチレンシートが適当である。被覆シートの厚みは約5〜100μmであるのが好ましい。特に好ましくは10〜30μm厚のポリエチレンまたはポリピレンフイルムである。
【0034】
<仮支持体>
本発明の仮支持体としてはポリエステル、ポリスチレン等の公知の支持体を用いる事ができる。中でも2軸延伸したポリエチレンテレフタレートはコスト、耐熱性、寸法安定性の観点から好ましい。仮支持体の厚みは15から200μm程度、より好ましくは30から150μm程度が好ましい。厚みが15μm未満の場合はラミネーション工程時に熱によりトタン板状のしわが発生するという欠点がある。逆に厚みが200μmを超える場合はコスト上不利である。
また仮支持体には必要に応じて特開平11−149008に記載されている導電性層を設けてもよい。
【0035】
<画像形成方法>
次に、本発明の感光性転写材料を用いた画像形成方法について説明する。
先ず、感光性転写材料の被覆シートを取除き、感光性樹脂層を加圧、加温下で基体上に貼り合わせる。貼り合わせには、従来公知のラミネーター、真空ラミネーターが使用でき、より生産性を高めるためには、オートカツトラミネーターの便用も可能である。その後仮支持体を剥がした後で、所定のマスク、熱可塑性樹脂層、及び中間層を介して露光し、次いで除去する。除去は公知の方法で溶剤もしくは水性の現像液、特にアルカリ水溶液に浸漬するか、スプレーからの処理液の噴霧を与えること、さらにブラシでのこすり、または超音波を照射しつつ処理することで行なわれる。
異なる色に着色した感光性樹脂層を有する感光性転写材料を用い、この工程を複数回繰り返せば多色画像を形成することができる。
【0036】
本発明の感光性転写材料の主な用途は液晶デイスプレー用等のカラーフィルター作製やカラーフィルターの保護層作製の他、多色画像やプリント配線基板の作製に都合が良い。
プリント配線基板の作製には、基体として公知の銅張り積層板が用いられ、カラーフィルターの作製のためには、基体としては、公知のガラス板、表面に酸化珪素皮膜を形成したソーダガラス板などが用いられる。
【0037】
本発明は、上記のようなプリント配線基板の作製やカラーフィルター作製の際においても高速でラミネートしても先行画素の周辺に気泡が混入しないし、ラミズレが発生しないと共に、塗布工程においてフイルムが伸びないため、きれいな面状のプリント配線基板、カラーフィルター等が得られる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
≪感光性転写記録材料の形成≫
<熱可塑性樹脂層の調製>
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=55/30/10/5の共重合体(組成比はモル比 を示す、重量平均分子量=10万)……60g
・スチレン/アクリル酸=65/35の共重合体。(組成比はモル比を示す、重量平均分子量=1万) ……140g
・ビスフェノールAにオクタエチレングリコールモノメタクリレートを2等量脱水縮合した化合物(新中村化学(株)製BPE−500)…… 150g
・フッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製メガファックF176PF)……1g
・メチルエチルケトン ……699g
以上を混合して熱可塑性樹脂層塗布液とした。
【0039】
<熱可塑性樹脂層の形成>
厚さ75μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレート仮支持体の一面に熱可塑性樹脂層塗布液を塗布した後100℃で2分間乾燥して厚さ15μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0040】
<中間層塗布液の調製>
・ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 PVA205、鹸化度80%)…30g
・ポリビニルピロリドン(GAFコーポレーション社製PVP−K90)…15g
・蒸留水 全量が1000gになるように添加
・エチルアクリレートラテックス(以下Lx-1という、平均粒径0.2μm、固形分濃度20重量%、ガラス転移温度−24℃) ……25.0g
(中間層固形分総重量の10%)
・メタノール ……455g
以上を混合して中間層塗布液とした。
熱可塑性樹脂層を塗設した仮支持体の熱可塑性樹脂層の上に中間層塗布液を塗布した後100℃で2分間乾燥して厚さ2μmの熱可塑性樹脂層を形成した。
【0041】
<感光性樹脂層塗布液の調製>
熱可塑性樹脂層及び中間層を有する仮支持体の上に、表1の処方を有する赤色、青色、緑色感光性樹脂層塗布液及び、下記処方による黒色感光性樹脂層塗布液を塗布して、100℃で2分間乾燥した。なお感光性樹脂層の乾燥後の厚みは、赤色、青色及び緑色感光性樹脂層については2.3μm、黒色感光性樹脂層については1.6μmとした。
【0042】
【表1】
【0043】
<遮光性の感光性黒色樹脂層形成用塗布液の組成>
・ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 (モル比=70/30、 酸価=104mgKOH/g,重量平均分子量=3万)…21.0 重量部
・2エチルヘキシルアクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート/ ベンジルメタクリレート共重合体
(モル比7/15/73/5、 酸価=77mgKOH/g,重量平均分子量=8万)…14.7 重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート …26.8 重量部
・2、4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4−(N,N−ジエトキシカルボメチル)―3−ブロモフェニル]−s−トリアジン …1.32 重量部
・カーボンブラック …27.0 重量部
・ピグメントブルー15:6 …5.70 重量部
・ピグメントバイオレット23 …3.57 重量部
・ハイドロキノンモノメチルエーテル …0.02 重量部
・F117P(大日本インキ(株)製の界面活性剤) …0.09 重量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート … 400 重量部
・メチルエチルケトン … 600 重量部
【0044】
<感光性転写記録材料の形成>
得られた赤色、青色、緑色及び黒色試料の感光性樹脂層の上に厚さ15μmのポリプロピレンシートを重ねて室温で圧着して4色の感光性転写材料を作製した。
【0045】
<気泡発生の評価>
ポリプロピレンシートを剥離した赤色感光性転写材料の感光性樹脂層がガラス基板(厚さ1.1mm)と向かい合うように両者を重ね、ラミネーター(大阪ラミネータ(株)製VP−11)を用いてラミネートした。ラミネートの条件は温度130℃、圧力10kg/cm、速度1.5m/分である。ついで仮支持体を剥離してから所定のフォトマスクを介して露光した。露光は超高圧水銀灯を用いて光源とサンプルの間に東芝ガラスフィルター((株)東芝製UVD36c)を設置して400nm以上の波長の光をカットして、100mj/cm2の露光量で行った。次に1%トリエタノールアミン水溶液で熱可塑性樹脂層と中間層を、つづいて1%炭酸ナトリウム水溶液で感光性樹脂層の未露光部分を除去し、ガラス基板上に赤色画素パターンを形成した。ついで緑色試料、及び青色試料をこの順に用いて、この上に同様の方法で緑色、及び青色の画素パターンを形成した。
【0046】
ついでこの画素パターンを形成したガラス基板に、ポリプロピレンシートを剥離した黒色感光性転写材料の感光性樹脂層がガラス基板と向かい合うように両者を重ね、ラミネーター(大阪ラミネーター(株)製VP−11)を用いてラミネートした。ラミンートの条件は温度130℃、圧力10kg/cm、速度1.5m/分である。ついで仮支持体を剥離した。
【0047】
次に、ガラス基板を通して超高圧水銀灯を用いて遮光性の感光性黒色樹脂層に露光を行った。この際、光源とサンプルの間に、東芝ガラスフィルター((株)東芝製UVD36c)を設置して、400nm以上の波長の光をカットした。露光量は100mj/cm2であった。その後、所定の処理液(TPD:富士写真フイルム(株)製のアルカリ性水溶液)で熱可塑性樹脂層を溶解除去し、次いで、現像液(TCD:富士写真フイルム(株)製のアルカリ性水溶液)で遮光性の感光性黒色樹脂層を現像して、未露光部を除去し、R,G,B,各画素の間隙に遮光幕を形成した。現像時、未露光部の除去は膜状で行われていたことが確認された。遮光膜が形成された画素を有するガラス基板を220℃で130分間過熱し、遮光膜の上側の露光が不充分な領域を硬化させ、カラーフィルターを作製した。得られたカラーフィルターは、遮光膜とRGB層との重なりは無く、その遮光膜のY値は、0.01であり、また遮光膜の厚さはRGB画素より低く、平坦性も良好であった。
【0048】
このようにしてカラーフィルター試料を作製したが、この試料100cm2の中の気泡のうち、直径100μm以上の気泡の数をルーペを用いて数えた。実用上は直径100μm以上の気泡が0個/試料100cm2のもののみ許容される。
【0049】
<レチキュレーションの評価>
ポリプロピレンシートを剥離した黒色試料を28℃70%RHの雰囲気下に24時間保存した後、この雰囲気下で倍率50倍の光学顕微鏡で観察してレチキュレーションの程度を観察した。レチキュレーションのレベルは下記のランクに分けた。実用上許容されるのは○と○△に分類されるものである。
・全くレチキュレーションが発生していない。 ○
・極僅かにレチキュレーションが発生。 ○△
・レチキュレーションが見える。 △
・濃いレチキュレーションがはっきり見える。 ×
結果を表2に示す。
【0050】
(実施例2)
中間層塗布液におけるエチルアクリレートラテツクス(Lx-1)の添加量を、25.0gから56.25g(中間層固形分総重量の20%)とした以外は実施例1と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0051】
(実施例3)
中間層塗布液におけるエチルアクリレートラテツクス(Lx-1)の添加量を、25.0gから96.43g(中間層固形分総重量の30%)とした以外は実施例1と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0052】
(実施例4)
中間層塗布液におけるエチルアクリレートラテツクス(Lx-1)の代わりに、以下のポリマーラテックスを96.43g(中間層固形分総重量の30%)用いる以外は、実施例3と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
・エチルアクリレート/アクリル酸=98/2のラテックス
(以下Lx-2という、共重合比は重量比を示す、平均粒径0.2μm、固形分濃度20重量%、ガラス転移温度−22℃)
【0053】
(実施例5)
中間層塗布液におけるエチルアクリレートラテツクスの代わりに、以下のポリマーラテックスを55.10g(中間層固形分総重量の30%)用いる以外は、実施例3と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
・スチレン/ブタジエン/アクリル酸=40/58/2のラテックス
(以下Lx-3という、共重合比は重量比を示す、平均粒径0.15μm、固形分濃度35重量%、ガラス転移温度−32℃)
【0054】
(実施例6)
中間層塗布液におけるエチルアクリレートラテツクスの代わりに以下のポリマーラテックスを77.14g(中間層固形分総重量の30%)用いる以外は、実施例3と、同様として感光性転写材料を作製し評価した。
結果を表2に示す。
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=55/40/5のラテックス
(以下Lx-4という、共重合比は重量比を示す、平均粒径0.15μm、固形分濃度重量25重量%、ガラス転移温度40℃)
【0055】
(実施例7)
中間層塗布液におけるエチルアクリレートラテツクスの代わりに以下のポリマーラテックスを83.85g(中間層固形分総重量の30%)用いる以外は、実施例3と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=65/30/5のラテックス
(以下Lx-5という、共重合比は重量比を示す、平均粒径0.19μm、固形分濃度23重量%、ガラス転移温度53℃)
【0056】
(実施例8)
中間層塗布液におけるエチルアクリレートラテツクスの代わりに以下のポリマーラテックスを87.66g(中間層固形分総重量の30%)用いる以外は、実施例3と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
・メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸=75/20/5のラテックス
(以下Lx-6という、共重合比は重量比を示す、平均粒径0.15μm、固形分濃度22重量%、ガラス転移温度69℃)
【0057】
(比較例1)
中間層にポリマーラテックスを添加しない以外は実施例3と同様として感光性転写材料を作製し評価した。
結果を表2に示す。
【0058】
(比較例2)
熱可塑性樹脂層において、
ビスフェノールAにオクタエチレングリコールモノメタクリレートを2等量脱水縮合した化合物(新中村化学(株)製BPE−500)を99.4gとした以外は、比較例1と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0059】
(比較例3)
熱可塑性樹脂層において、
ビスフェノールAにオクタエチレングリコールモノメタクリレートを2等量脱水縮合した化合物(新中村化学(株)製BPE−500)を 49.7gとした以外は比較例1と同様として感光性転写材料を作製し、評価した。
結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
【発明の効果】
実施例1ないし実施例8の試料では、いずれも気泡の発生ならびにレチキュレーション発生は見られず、塗布ムラ、ラミネーションによるムラ等の発生もなく、良好な画質のパターンが得られた。
一方、比較例1ではレチキュレーション発生が、比較例2、比較例3では気泡の発生が見られた。
Claims (4)
- 仮支持体上に熱可塑性樹脂層、アルカリ可溶な中間層、アルカリ可溶で顔料を含む感光性樹脂層を、この順に設けてなる感光性転写材料において、前記中間層がポリマーラテックスを含有することを特徴とする感光性転写材料。
- 前記ポリマーラテックスのガラス転移温度(Tg)が60℃以下である請求項1記載の感光性転写記録材料。
- 前記ポリマーラテックスの添加量が、中間層を構成する樹脂に対し、ポリマーラテックス固形分量で、5ないし70重量%である請求項1又は請求項2に記載の感光性転写記録材料。
- 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の感光性熱転写材料を複数種用いてカラーフィルターを製造するカラーフィルターの製造方法。
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