JP4774573B2 - 排ガス処理方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、煤塵、窒素酸化物(NOx)等を含んだ排ガスの処理方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジン等のエンジンから排出される排気ガスには、大気汚染の原因となる煤煙等含まれるばかりでなく、有害物質の窒素酸化物(NOx)が含まれている。大気汚染を防止するためにも、この煤煙を除去することは急務な課題である。
【0003】
現在、煤煙を処理する方法として、煤煙の主成分である煤塵を処理する幾つかの集塵方法がある。集塵方法には、下記の重力集塵、遠心力集塵、洗浄集塵、濾過集塵及び電気集塵等がある(大気関係の基礎知識(環境庁大気保全局担当官編著)。
【0004】
重力集塵とは、沈降室内に含塵ガスを導入し、粒子速度を低下させ粒子の慣性力を失わせて、粒子自身の重力で自然沈降させる方法である。粒子は沈降室によって粒子速度を小さくすればするほど小粒子まで分離することが可能になる。しかし、粒子速度を小さくするためには沈降室を大きくする必要があり、敷地面積は大きくなり設備の大型化を強いられる。
【0005】
遠心集塵とは、重力の代わりに強力な遠心力の場をつくり、ガス中のダスト粒子を気流から分離補集する方法である。重力の数十倍、ないし数百倍の沈降速度を粒子に与えることができるため、優れた集塵性能を備えている。重力式に比べ高性能であり、また、他の集塵手段比べても比較的低コストであるが、摩耗性のダストに対しては良質の材料を用いる必要がある。
【0006】
洗浄集塵とは、含塵液滴または液膜と衝突または接触させ、粒子を洗浄水中に補足する方法で、一般にスクラバーと呼ばれる。かかる手段は、多量の使用するため、汚水処理設備が必要である。サイクロンスクラバー、洗浄塔及び噴霧塔は親水性ダストや各種ミストに対してはかなり高性能を示すが、乾燥したダストに対しては、能力は低くなる。
【0007】
濾過集塵とは、含塵ガスを濾材に通すことにより煤塵を濾過集塵する方法である。濾布には、各種の化学繊維や天然繊維が用いられ、高温の場合はガラス繊維等の対熱濾布を用いる。1ミクロン以下のダストに対しても高性能を発揮するなど集塵率が高く、広く利用されている。しかし、水分の多い場合、粘着性の粒子には不向きである。
【0008】
電気集塵とは、コロナ放電を利用して含塵ガス中に電荷を与え帯電粒子に電気的に補集する方法である。高性能であるが、設備費が高い。
【0009】
以上の集塵方法のうち、我が国においては、設置数が最も多いのが遠心集塵、総処理能力が最も大きいのは電気集塵である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、先に列挙した集塵方法は、物理的に煤煙に含まれる煤塵(すす)を集塵するため、集塵した煤塵は回収除去して別途処理必要があり、窒素酸化物も同様に別途除去しなければならない。そのため、装置は集塵部と集塵・窒素酸化物除去部の設備が強いられ大型化し、結局、設備費、管理費が高価なものとなる。
【0011】
本発明は、かかる事情に鑑み創作されたもので、煤煙除去と脱硝とを同時かつ効率的に行うことが可能であり、かつ将来的にも小型化が可能で、生産面、維持管理面からも経済的な排ガス処理方法及びその装置を新たに提供することを課題としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題の解決手段として創作された発明は、以下のことを特徴とする。
【0013】
第1発明は、被処理ガスを、Cu、Mn若しくはCoを担持させたZSM-5型ゼオライト(SiO2/Al2O3=30〜80)と接触させて前記ガス中から煤塵と窒素酸化物とを前記ゼオライトに吸着除去し、さらにこの吸着させた煤塵を前記ガスの温度の下で燃焼除去させることを特徴としている。ここで、前記ゼオライトへの金属の担持は、イオン交換法により行なう。
【0014】
かかる手段により、単一反応系の下で、排ガス中に含まれる煤塵と窒素酸化物とを同時除去することが可能になる。しかも、吸着させた煤塵の燃焼は、前記被処理ガスの温度の下で行なうことができることから、エネルギー効率の観点から有効な手段となる。
【0015】
尚、ZSM-5型ゼオライトの他に脱硝作用のあるゼオライトとして、β型(SiO2/Al2O3=22〜100)などがある。これらのゼオライトに金属(例えば、Pt、Pd、Ga、Ce等)を担持させて、これに被処理ガスを接触させ、それぞれの適性温度の下で燃焼させても、煤塵と窒素酸化物とを同時処理することは可能である。
【0017】
第2発明は、被処理ガスが供給される反応カラムと、前記反応カラム内に充填され、かつ前記被処理ガスとの接触によって前記ガス中から煤塵と窒素酸化物とを吸着除去し、さらにこの吸着させた煤塵を前記ガスの温度の下で燃焼除去させるゼオライト触媒とからなる排ガス処理装置において、
前記ゼオライト触媒は、Cu、Mn若しくはCoを担持させたZSM-5型ゼオライト、または、このゼオライトの担持体であることを特徴としている。
【0018】
ここで、前記ゼオライト触媒は、煤煙との接触表面をできるだけ広くした構造、例えば、ゼオライト粉をハニカム状、ペレット状等に成形させること、または金属製若しくはセラミック製のフィルター、ビーズ状、ボール状またはハニカム状を成したボール状担体の全面にゼオライトを担持させることにより構成される。ゼオライト触媒の充填量は、単位触媒表面当りの被処理ガス(窒素酸化物含有煤煙)負荷量によって定められる。
【0019】
【発明の実施の形態】
発明者らは、本発明の創作に先立ち、脱硝用触媒に用いているゼオライトにおいて、煤煙の主成分である煤塵の燃焼除去用触媒としての有効性を確認し、さらにこの脱硝触媒用いた除塵、脱硝機能を備えた排ガス処理方法の検討を行なった。
【0020】
ゼオライトは、結晶性アルミノ珪酸塩の一種であり、粘土鉱物であるが、合成可能なものも多々ある。また、天然には存在しない結晶構造をもつものも合成されている。A型、B型、β型、Y型及び後述のZSM-5型などがよく知られておる。これらは、その特性として、細孔を有し、分子ふるい作用、陽イオン交換機能を備えていることから、吸着剤や触媒として利用されている。
【0021】
前記ゼオライトの煤塵燃焼試験は、以下の二つの方法で行った。
【0022】
これらの方法の概要について述べると、第一の方法は、各種金属を担持させた粉末状ゼオライト触媒と煤塵(すす)を混合したものを、固定床ガス流通式カラムに充填し、窒素、酸素及び窒素酸化物からなるガスを流通させ、反応カラムの温度を徐々に上昇させて煤塵を燃焼させ、その燃焼ガスを分析することで煤塵の燃焼除去効果を観測した(以下、試験1)。
【0023】
第二の方法は、各種金属を担持させたゼオライト触媒をハニカム状に形成させたものに対し、28kw級ディーゼル発電機の初期始動時の煤塵(すす)を吸着させ、排気ガスそれ自体の温度で吸着した煤塵の燃焼除去効果を観測した(以下、試験2)。
(試験1)
1.本発明に係るゼオライト触媒の煤塵及び窒素酸化物除去性能試験
図3(a)は本試験に係る測定システム概要図であり、図3(b)は本試験に係る固定床ガス流通式反応カラム(以下、反応カラム)の概要図である。
【0024】
反応カラム33内は、粉末状の試供ゼオライト触媒と煤塵(すす)を混合したものが充填され、この混合物がガスの流通によって移動しないように、その両端はガラスウール33aで固定される(図3(b))。そして、この反応カラム33の内部に、ディーゼルエンジン等の通常の燃料燃焼設備から排出されたガスと同程度の濃度の酸素及び窒素酸化物(NOx)とヘリウムの成分を含む混合ガスが供給される。尚、反応カラム33は、温度調整付電気炉32によって一定の昇温速度で加熱され、カラム33内の煤塵は試料ガスによって燃焼される。
【0025】
また、反応カラム33の二次側にはガスクロマトグラフ分析装置34,35が設置され、前記ゼオライト触媒を通過したガスの二酸化炭素の濃度を測定することにより燃焼温度を測定し、さらに、このガスの窒素濃度を測定することにより窒素酸化物の窒素への転化率つまり脱硝性能を測定している。
【0026】
本試験において、試供ゼオライト触媒は、Na-ZSM-5型若しくはNH4-ZSM-5型のゼオライトを主原料として、これに金属イオン(本試験においては、Cu、Mn及びCo)を担持させて成る。尚、前記ゼオライトへの金属イオンの担持は、イオン交換法により行なった。
【0027】
前記主原料の種類とその組成を表1に、試供ゼオライトの種類を表2に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
2.試験要領
1)試供ゼオライト触媒粉末0.285gと煤塵の粉末0.015gとを混合した後、反応カラム33へ充填し、この混合物の両端をガラスウール33aで押える。そして、この反応カラム33を電気炉内に設置し、当該反応カラム33内に酸素10%、一酸化炭素0.1%、ヘリウム89.9%からなる試料ガスを50ml/分で供給する。
【0031】
2)電気炉33により反応カラム32を室温より1℃/分の昇温温度で加熱させる。温度が120℃となったところから、ガスクロマトグラフ分析装置34,35による二酸化炭素と窒素の濃度測定を開始し、660℃まで、この測定を行う。
【0032】
3)測定終了後、二酸化炭素と窒素濃度を縦軸、温度を横軸としてグラフ化し、燃焼温度の評価を行う。
3.測定機器
ガスクロマトグラフ分析装置(島津GC-14B)
4.実施結果
図4は、試供ゼオライトによる煤塵の燃焼及び脱硝状況を示した特性図である。
【0033】
当該特性図は、ゼオライト1(Cu-ZSM-5)、ゼオライト2(Mn-ZSM-5)及びゼオライト3(Co-ZSM-5)による煤塵の燃焼状況を、横軸に燃焼温度、縦軸にこのとき発生した二酸化炭素と窒素の濃度をプロットすることで表している。ここで、上段は二酸化炭素濃度、下段は窒素濃度を示している。
【0034】
特性図が示すように、Cu-ZSM-5を用いた場合、煤塵の燃焼は283℃から燃焼が開始され、これに伴い、二酸化炭素ガスの生成も始まり、360℃で最も燃焼が盛んなピークとなっていることが分かる。また、窒素ガスも二酸化炭素に追随して生成されていることから、煤塵燃焼時に脱硝が同時におこり、煤塵と一酸化窒素の同時除去が確認された。同様のことが、ゼオライト2(Mn-ZSM-5)及びゼオライト3(Co-ZSM-5)でも観測できた。
【0035】
さらに、この試験によって得られた燃焼開始温度、燃焼ピーク温度、窒素排出量及び脱硝率の結果を表3にまとめた。尚、前記窒素排出量は、図4のグラフを積分することにより得た。かかる結果により、どのゼオライトを用いても、300℃以下で燃焼が開始し、燃焼ピークは380℃以下であることがわかる。
【0036】
【表3】
【0037】
(試験2)
1.本発明に係るハニカム状ゼオライト触媒の実負荷試験
図1は本試験に係る測定システムの概要図、図5(a)は本試験に係るハニカム状ゼオライト触媒の外観図、図5(b)(c)(d)は前記ゼオライト触媒単体の外観図である。
【0038】
当該ゼオライト触媒10は、二つ以上のハニカム状ゼオライト触媒単体から成り、図1において、反応カラム11に充填される。反応カラム11は発電機(28kW)12の排気経路に備え付けられ、さらに、このカラム11の一次側と二次側には、差圧計とNOx計が設置される。
【0039】
また、前記ゼオライト触媒は、3段から成り、その1段は前記ゼオライト触媒単体4個で構成される(図5(a))。さらに、前記単体は、65mm×65mm×130mmの直方体を成し、主原料のゼオライトにゼオライト1(Cu-ZSM-5)を用いている。
【0040】
本試験において試みられた二種の単体を、以下に示す。
【0041】
図5(b)のB-B断面図において、それぞれ単位通気口一辺の長さが3.4mmであり、その壁厚が0.85mm(1インチ平方当り30セル、以下30cpiと略す)とするゼオライト触媒単体(以下、30セルハニカムと称す)。
【0042】
図5(c)のB-B断面図において、それぞれ単位通気口一辺の長さが1.9mmであり、その壁厚が0.5mm(1インチ平方当り100セル、以下100cpiと略す)とするゼオライト触媒単体(以下、100セルハニカムと称す)。
【0043】
尚、前記いずれの単体の重さも、約250gである。
2.試験要領
1)切替弁15を反応カラム11側にして発電機(28kW)12を始動し、そのまま無負荷で20分間運転して煤塵をゼオライト触媒10に吸着させる。
【0044】
2)発電負荷を80%に上げ、そのまま定常で2時間発電機12を作動させ、煤塵を排気ガス温度で燃焼させる。
【0045】
3)2時間後、負荷を0に戻し、切替弁15をバイパス経路16側にして発電機12を停止させる。
【0046】
上記の手順において、発電中の反応カラム11の入口と出口で排ガス温度、動圧、静圧、NOx濃度を測定する。試験終了後、使用したゼオライト触媒10を縦割りにし、煤塵と燃焼状態について観察する。
3.測定機器
L型ピトー管
NOx-O2分析計(島津NOA-307)
4.試験結果
1)30セルハニカム
図6は、始動20分後のゼオライト触媒(Cu-ZSM-5)単体への煤塵吸着状況(左側)と、試験後のゼオライト表面(図5中のC-C断面)に吸着した煤塵の焼失状況(右側)を示している。すなわち、実負荷80%、排気ガス温度380℃及び2時間運転後の、前記ハニカム表面上(C-C断面)における煤塵焼失状況の変化が示されている。
【0047】
尚、運転中の排ガス流量は110m3/hであり、このときの当該ゼオライト触媒(30cpi,130mm×130mm×390mm)の圧力損失は1.568kPa(160mmH2O)であった。また、反応カラム11入口のNOX濃度は681cm3/m3N(vol ppm)、出口のNOX濃度は644cm3/m3N(vol ppm)であり、脱硝率5.4%の脱硝が観測された。
【0048】
2)100セルハニカム
100セルハニカムについても、前記30セルハニカムと同様の要領で測定した。
【0049】
図7は、100セルハニカムでの始動20分後のゼオライト触媒(Cu-ZCM-5)単体への煤塵吸着状況(左側)と試験後のゼオライト表面(図5中のC-C断面)に吸着された煤塵の焼失状況(右側)を示している。これも、負荷80%排気ガス温度380℃で2時間運転後の、前記ハニカム表面上(C-C断面)における煤塵焼失状況の変化が示されている。
【0050】
尚、運転中の排ガス流量は110m3/hであり、このときの当該ゼオライト触媒(100cpi,130mm×130mm×390mm)の圧力損失は2.058kPa(210mmH2O)であった。また、反応カラム入口のNOX濃度は、707cm3/m3N(vol ppm)、出口のNOX濃度は651cm3/m3N(vol ppm)であり、脱硝率7.9%の脱硝が観測された。
【0051】
以上の試験結果から、30セルハニカム及び100セルハニカムのいずれの場合でも、銅イオンを担持させたゼオライト触媒に吸着された煤塵が排気ガス温度380℃の下で、ほぼ焼失していることが確認された。
【0052】
また、本試験において、前記ゼオライト2及び3、すなわちMn若しくはCoを担持したZSM-5型ゼオライト触媒を用いても、同様の効果が得られている。
【0053】
以上のことから明らかなように、脱硝機能を有するゼオライト(ZSM-5型)にCu、Mn若しくはCoを担持させたものを、被処理ガスと接触させれば、被処理ガス温度の下で、当該ガス中に含まれた煤塵と窒素酸化物の同時除去が可能となる。
(実施形態)
本発明に係る排ガス処理方法の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0054】
当該排ガス処理方法は、前述のように、前記金属を担持させたZSM-5型ゼオライトを用い、これと被処理ガスとを、被処理ガス温度のもとで接触させて燃焼させることにより前記排ガス中に含まれる煤塵と窒素酸化物とを同時に行なう。
【0055】
本発明に係る排ガス処理装置は、図2(b)に示されたように、被処理ガスが供給される反応カラム21にゼオライト触媒20が充填されることで構成され、発電機等の煤塵及び窒素酸化物を含むガスを排出する燃料燃焼設備の排気経路に設置される。反応カラム21へのゼオライト触媒20の充填量は、単位触媒表面当りの被処理ガス(窒素酸化物含有煤煙)負荷量によって定められる。
【0056】
ゼオライト触媒20は、少なくとも二つ以上のゼオライト触媒単体20aからなる。そして、ゼオライト触媒単体20aは、前記試験と同様に、煤煙との接触表面をできるだけ広くした構造、すなわちゼオライト粉をハニカム状若しくはペレット状に成形させること、または、金属製若しくはセラミック製のフィルター、ビーズ状、ボール状若しくはハニカム構造のボール状担体にゼオライトを担持させることにより構成される。
【0057】
前記試験結果によると、ハニカム状に形成させた場合、ゼオライト触媒単体20aの通気口径は、煤塵、窒素酸化物負荷量に合せて30〜100セルの間で調整することが可能であり、また、いずれかの単体20aの煤塵除去・脱硝効率が著しく低下した場合に新しい単体と容易に交換が可能であること、さらに、煤塵・窒素酸化物負荷量に合せて任意適量に触媒の量を調整すること(例えば、図2(2)のように、24〜40の単体20aを充填)が可能であることから、維持管理の面からも有効となる。
【0058】
ゼオライト触媒20は、ZSM-5型ゼオライトに、Cu、Mn若しくはCoを担持させたものを主原料とする。前期試験2で明らかなように、当該ゼオライト触媒は、供給される被処理ガス自体の温度で煤塵を焼失させることができるので外部から熱を加える必要がない。
【0059】
かかる構成により、本発明に係る排ガス処理装置は、被処理ガスと金属担持させたゼオライトとの接触効率が高まり、被処理ガス温度の下で、同ガス中に含まれる煤塵を効率的に燃焼除去させることができる。
【0060】
さらに、本発明に係るゼオライトは、脱硝機能を有していることから、単一反応系の下で、脱硝と煤塵除去とを同時に行うことができる。これにより、反応系における被処理ガス(煤煙)の処理時間は短縮化され、装置の単純小型化が可能となる。このことから、本発明に係る排ガス処理装置は、既存の煤煙処理装置の付帯設備として容易に設置可能となり、既存排ガス処理設備の機能維持や機能低下対策の一助ともなる。
【0061】
図2に基づいて本発明に係る煤煙処理装置の作用について述べる。
【0062】
発電機等の燃料燃焼設備から排出された被処理ガスは、反応カラム内に移行し、ゼオライト触媒20と接触する。カラム21内に供給された被処理ガスは、排出口に向かってゼオライト触媒20の通気口(ボール状またはハニカム構造ボール状のゼオライト触媒が充填されている場合は、その空隙)を通過する。このとき、ゼオライト触媒20はフィルターの役目し、前記ガス中の煤塵及び窒素酸化物を触媒20表面に吸着させる。吸着された煤塵は、供給された被処理ガスの温度の下で焼失される。煤塵除去及び脱硝処理されたガスは、系外に排気され、必要とあらばさらに高度処理に供される。
【0063】
【発明の効果】
以上詳細に述べたように、本発明に係る排ガス処理方法及びその装置によれば、被処理ガスを、金属担持させたZSM-5型ゼオライトに接触させ、さらにこの被処理ガス温度の下で燃焼させれば、当該ガス中に含まれる煤塵を効率的に除去することができる。
【0064】
また、本発明に係るZSM-5型ゼオライトは、脱硝機能を有していることから、単一反応系のもとで、脱硝と煤塵除去とを同時に行うことができる。さらに、Cu、Mn若しくはCoを担持させたZSM型ゼオライトは、煤塵及び窒素酸化物の除去効率をさらに向上させることができる。
【0065】
これらのことから、反応系における煤煙の処理時間は短縮化され、装置の単純化及び小型化が可能となる。したがって、装置としての取扱も容易となることから、生産面及び維持管理面からも経済的に有効な手段となる。
【0066】
それゆえに、本発明に係る排ガス処理方法及びその装置は、既存の煤煙処理装置の付帯設備として容易に設置することも可能となり、既存排ガス処理設備の機能維持や機能低下対策の一助にもなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る排ガス処理システムの概要図。
【図2】(a)は本発明に係るゼオライト触媒の概要図、(b)は本発明に係る排ガス処理装置システムにおける反応カラムの外観図。
【図3】(a)は試験1に係る測定システムの概要図、(b)は試験1に係る反応カラムの概要図。
【図4】試供ゼオライトによる煤塵の燃焼及び脱硝状況を示した特性図。
【図5】(a)は試験2に係るハニカム状ゼオライト触媒の外観図、(b)(c)(d)は前記ゼオライト触媒単体の外観図。
【図6】始動20分後の30セルハニカム(図5(d)C-C断面)への煤塵(すす)付着状況(左側)と、2時間後の同ハニカムに吸着した煤塵(すす)の焼失状況(右側)。
【図7】始動20分後の100セルハニカム(図5(d)C-C断面)への煤塵(すす)付着状況(左側)と、2時間後の同ハニカムに吸着した煤塵(すす)の焼失状況(右側)。
【符号の説明】
10,20…ゼオライト触媒
10a,20a…ゼオライト触媒単体
11,21…反応カラム
Claims (2)
- 被処理ガスを、Cu、Mn若しくはCoを担持させたZSM−5型ゼオライト(SiO2/Al2O3=30〜80)と接触させて前記ガス中から煤塵と窒素酸化物とを前記ゼオライトに吸着除去し、さらにこの吸着させた煤塵を前記ガスの温度の下で燃焼除去させる
ことを特徴とする排ガス処理方法。 - 被処理ガスが供給される反応カラムと、前記反応カラム内に充填され、かつ前記被処理ガスとの接触によって前記ガス中から煤塵と窒素酸化物とを吸着除去し、さらにこの吸着させた煤塵を前記ガスの温度の下で燃焼除去させるゼオライト触媒とからなる排ガス処理装置において、
前記ゼオライト触媒は、Cu、Mn若しくはCoを担持させたZSM−5型ゼオライト、または、このゼオライトの担持体である
ことを特徴とする排ガス処理装置。
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