JP4772922B2 - 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 - Google Patents
耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4772922B2 JP4772922B2 JP2010524283A JP2010524283A JP4772922B2 JP 4772922 B2 JP4772922 B2 JP 4772922B2 JP 2010524283 A JP2010524283 A JP 2010524283A JP 2010524283 A JP2010524283 A JP 2010524283A JP 4772922 B2 JP4772922 B2 JP 4772922B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- steel plate
- welded joint
- brittle
- crack
- insert member
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K33/00—Specially-profiled edge portions of workpieces for making soldering or welding connections; Filling the seams formed thereby
- B23K33/004—Filling of continuous seams
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K31/00—Processes relevant to this subclass, specially adapted for particular articles or purposes, but not covered by only one of the preceding main groups
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K9/00—Arc welding or cutting
- B23K9/02—Seam welding; Backing means; Inserts
- B23K9/0203—Inserts
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K9/00—Arc welding or cutting
- B23K9/02—Seam welding; Backing means; Inserts
- B23K9/028—Seam welding; Backing means; Inserts for curved planar seams
- B23K9/0282—Seam welding; Backing means; Inserts for curved planar seams for welding tube sections
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K9/00—Arc welding or cutting
- B23K9/23—Arc welding or cutting taking account of the properties of the materials to be welded
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C38/00—Ferrous alloys, e.g. steel alloys
- C22C38/18—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
- C22C38/40—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel
- C22C38/58—Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel with more than 1.5% by weight of manganese
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2101/00—Articles made by soldering, welding or cutting
- B23K2101/04—Tubular or hollow articles
- B23K2101/12—Vessels
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2101/00—Articles made by soldering, welding or cutting
- B23K2101/18—Sheet panels
-
- B—PERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
- B23—MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
- B23K—SOLDERING OR UNSOLDERING; WELDING; CLADDING OR PLATING BY SOLDERING OR WELDING; CUTTING BY APPLYING HEAT LOCALLY, e.g. FLAME CUTTING; WORKING BY LASER BEAM
- B23K2103/00—Materials to be soldered, welded or cut
- B23K2103/02—Iron or ferrous alloys
- B23K2103/04—Steel or steel alloys
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Plasma & Fusion (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
- Arc Welding In General (AREA)
Description
特に、厚鋼板を用いて溶接を適用した溶接構造物の溶接継手において脆性き裂が発生した場合でも、その伝播を制御、抑制して安全性を向上させることができる耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体に関する。
ここで、TEU(Twenty feet Equivalent Unit)とは、長さ20フィートのコンテナに換算した個数を表し、コンテナ船の積載能力の指標を示している。
このような大型コンテナ船は、積載能力や荷役効率の向上のため、仕切り壁を無くして上部開口部を大きく確保した構造とされており、特に、船殻外板や内板の強度を確保する必要があるため、上記のような高強度鋼板が用いられている。
この結果、インサート部材の形状並びに鋼板特性を適正化することにより、溶接継手及び母材における脆性き裂の伝播を抑制し、溶接構造体に大規模な破壊が発生するのを防止できることを見出し、次のような基本態様を見出した。
前記鋼板溶接継手の少なくとも一箇所に、鋼板溶接継手に発生した脆性き裂を鋼板母材側にそらす耐き裂制御部が設けられており、該耐き裂制御部は、前記鋼板溶接継手から前記鋼板にまたがって形成された貫通穴に挿入され、脆性き裂の伝播方向を鋼板母材側に逃がすためのインサート部材、及び、該インサート部材の外縁部と、それに対向する鋼板母材とが突合せ溶接されて形成されたインサート溶接継手を有しており、前記インサート部材は、前記鋼板溶接継手の長手方向と交差する方向における横幅W(mm)、及び板厚t(mm)の各々の寸法が、下記(1)、(2)式で表される関係を満足するように形成されており、かつ、該インサート部材の脆性き裂主対抗側の外縁部は、前記鋼板溶接継手の溶接金属部から前記鋼板溶接継手の両側に、鋼板溶接継手の長手方向に対して15°以上50°以下の角度で傾斜して延伸するとともに、他方の脆性き裂副対抗側の外縁部は、70°以上110°以下の角度で前記鋼板溶接継手と交差しており、前記インサート部材溶接継手における溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs3(℃)と、前記鋼板の母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次式、vTrs3≦vTrs1−20で表される関係を満たし、少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが4000N/mm 1.5 以上である領域に向かい合うように、前記耐き裂制御部を設けたこと、を特徴とする耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
3.2d+50 ≦ W ・・・・・ (1)
0.95T ≦ t ・・・・・ (2)
但し、上記(1)、(2)式中において、T(mm)は前記鋼板の板厚を表し、d(mm)は前記鋼板溶接継手における溶接金属部の幅を表す。
[B] 前記鋼板の板厚が25mm以上150mm以下であること、を特徴とする上記[1]に記載の耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
[C] 前記鋼板は、少なくとも一部の領域の脆性き裂伝播停止特性Kcaが6000N/mm 1.5 以上であり、前記耐き裂制御部は、少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが6000N/mm 1.5 以上である領域に向かい合うように設けられていること、を特徴とする上記[1]又は[2]に記載の耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
前記鋼板溶接継手の少なくとも一箇所に、鋼板溶接継手に発生した脆性き裂を鋼板母材側にそらす耐き裂制御部が設けられており、
該耐き裂制御部は、前記鋼板溶接継手から前記鋼板にまたがって形成された貫通穴に挿入され、脆性き裂の伝播方向を鋼板母材側に逃がすためのインサート部材、及び、
該インサート部材の外縁部と、それに対向する鋼板母材とが突合せ溶接されて形成されたインサート溶接継手を有しており、
前記インサート部材は、前記鋼板溶接継手の長手方向と交差する方向における横幅W(mm)、及び板厚t(mm)の各々の寸法が、下記(1)、(2)式で表される関係を満足するように形成されており、かつ、
該インサート部材の脆性き裂主対抗側の外縁部は、前記鋼板溶接継手の溶接金属部から前記鋼板溶接継手の両側に、鋼板溶接継手の長手方向に対して15°以上50°以下の角度で傾斜して延伸するとともに、他方の脆性き裂副対抗側の外縁部は、70°以上110°以下の角度で前記鋼板溶接継手と交差しており、
前記インサート溶接継手における溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs3(℃)と、前記鋼板の母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次式、
vTrs3 ≦ vTrs1−20
で表される関係を満たし、
少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが4000N/mm1.5以上である領域に向かい合うように、前記耐き裂制御部を設け、
前記鋼板は、前記鋼板溶接継手の長手方向で配列される少なくとも2以上の鋼板からなるとともに、該長手配列鋼板を互いに突合せ溶接することで長手配列溶接継手が形成されており、
前記耐き裂制御部は、前記インサート部材の脆性き裂副対抗側に形成される前記インサート溶接継手が前記長手配列溶接継手に接するように設けられていること、を特徴とする耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
3.2d+50 ≦ W ・・・・・ (1)
0.95T ≦ t ・・・・・ (2)
但し、上記(1)、(2)式中において、T(mm)は前記鋼板の板厚を表し、d(mm)は前記鋼板溶接継手における溶接金属部の幅を表す。
前記鋼板溶接継手の少なくとも一箇所に、鋼板溶接継手に発生した脆性き裂を鋼板母材側にそらす耐き裂制御部が設けられており、
該耐き裂制御部は、前記鋼板溶接継手から前記鋼板にまたがって形成された貫通穴に挿入され、脆性き裂の伝播方向を鋼板母材側に逃がすためのインサート部材、及び、
該インサート部材の外縁部と、それに対向する鋼板母材とが突合せ溶接されて形成されたインサート溶接継手を有しており、
前記インサート部材は、前記鋼板溶接継手の長手方向と交差する方向における横幅W(mm)、及び板厚t(mm)の各々の寸法が、下記(1)、(2)式で表される関係を満足するように形成されており、かつ、
該インサート部材の脆性き裂主対抗側の外縁部は、前記鋼板溶接継手の溶接金属部から前記鋼板溶接継手の両側に、鋼板溶接継手の長手方向に対して15°以上50°以下の角度で傾斜して延伸するとともに、他方の脆性き裂副対抗側の外縁部は、70°以上110°以下の角度で前記鋼板溶接継手と交差しており、
前記インサート溶接継手における溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs3(℃)と、前記鋼板の母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次式、
vTrs3 ≦ vTrs1−20
で表される関係を満たし、
少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが4000N/mm 1.5 以上である領域に向かい合うように、前記耐き裂制御部を設け、
前記鋼板は、前記鋼板溶接継手の長手方向で配列される少なくとも2以上の鋼板からなるとともに、該長手配列鋼板を互いに突合せ溶接することで長手配列溶接継手が形成されており、
前記耐き裂制御部は、前記インサート部材の脆性き裂副対抗側に形成される前記インサート溶接継手が前記長手配列溶接継手を含むように設けられ、
さらに、前記長手配列溶接継手をなす溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs4(℃)と、前記鋼板の母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次式、
vTrs4 ≦ vTrs1−20
で表される関係を満たすこと、を特徴とする耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
3.2d+50 ≦ W ・・・・・ (1)
0.95T ≦ t ・・・・・ (2)
但し、上記(1)、(2)式中において、T(mm)は前記鋼板の板厚を表し、d(mm)は前記鋼板溶接継手における溶接金属部の幅を表す。
[4] 前記鋼板は、少なくとも一部の領域の脆性き裂伝播停止特性Kcaが6000N/mm1.5以上であり、前記耐き裂制御部は、少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが6000N/mm1.5以上である領域に向かい合うように設けられていること、を特徴とする上記[1]〜[3]の何れかに記載の耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
このような本発明に係る溶接構造体が、大型船舶をはじめ、建築構造物や土木鋼構造物等の各種溶接構造物に使用されることで、溶接構造物の大型化、破壊に対する高い安全性、建造における溶接の高能率化、鋼材の経済性等々が同時に満たされことから、その産業上の効果は計り知れない。
本発明者等は、上述のような脆性き裂の伝播方向を効果的に制御し、溶接構造体においてき裂が伝播するのを抑制するためには、上記従来技術において、さらにインサート部材の形状並びに鋼材特性を適正化することが重要であることを知見した。
本発明の基本原理について図1を用いて説明する。
さらに、鋼板溶接継手2の長手方向の他方の副対抗側から脆性き裂CRが伝播してきた場合でも、インサート部材5の高さ、幅、厚みを十分大きなものにしておけば、図1−dに示すように、インサート部材5内部でき裂CRの進展を停止することができる。
<全体の構成>
第1の実施形態は、図2に示すように、母材の少なくとも一部の領域1A、1Aの脆性き裂伝播停止特性Kcaが4000N/mm1.5以上である鋼板1、1を突合せ溶接することで鋼板溶接継手2が形成されている場合の例であり、以下、この継手に適用した形態を溶接構造体Aと呼称して説明する。
溶接構造体Aにおいては、鋼板溶接継手2の少なくとも一箇所に、耐き裂制御部4が前記領域1Aに隣接するように設けられる。耐き裂制御部4が設けられる位置は、衝突や地震などによる大きな破壊エネルギーにさらされたときに、き裂の発生・伝播が予想される鋼板溶接継手の途中が望ましい。
耐き裂制御部4は、鋼板1を貫通するように設けられた貫通孔3に配置されるインサート部材5と、該インサート部材5が鋼板1に対して突合せ溶接されることで形成されるインサート溶接継手6とからなっている。
インサート溶接継手6は、脆性き裂の伝播が予想される主対抗側を、鋼板溶接継手2に連続して形成し、かつ鋼板溶接継手2に対して傾斜して形成することで、脆性き裂の進展を鋼板溶接継手2からインサート溶接継手に導くようにする。このため、インサート部材5は、鋼板溶接継手2の溶接線L上から延在する外縁部51、52が、鋼板溶接継手2の長手方向に対して15°以上50°以下の範囲の角度で傾斜するように形成されている。図2の溶接構造体Aでは、インサート部材5が、平面視略正三角形として形成されている例を示している。
鋼板1は、母材の少なくとも一部の脆性き裂伝播停止特性Kcaが4000N/mm1.5以上とされる鋼材からなる。
大型の構造物を形成する溶接構造体においては、全領域がKca4000N/mm1.5以上の高い領域の脆性き裂伝播停止特性を有する鋼材を用いて構築されているものばかりではなく、製造過程の熱処理により鋼板の一部領域で脆性き裂伝播停止特性を高めた鋼板や、全領域がKca4000N/mm1.5以上の鋼板であっても、途中の曲げ加工などで加熱処理を受けて一部領域のKcaが低下した鋼板を用いる場合がある。
例えば、質量%で、C:0.01〜0.18%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.3〜2.5%、P:0.01%以下、S:0.001〜0.02%を含有する組成を基本とし、この組成に、求められる性能に応じて、さらに、N:0.001〜0.008%、B:0.0001〜0.005%、Mo:0.01〜1.0%、Al:0.002〜0.1%、Ti:0.003〜0.05%、Ca:0.0001〜0.003%、Mg:0.001〜0.005%、V:0.001〜0.18%、Ni:0.01〜5.5%、Nb:0.005〜0.05%、Cu:0.01〜3.0%、Cr:0.01〜1.0%、REM::0.0005〜0.005%の1種または2種以上を含有させ、残部はFe及び不可避不純物によって構成される鋼があげられる。
特に、脆性き裂伝播停止特性Kcaが6000N/mm1.5以上の鋼板としては、特開2007−302993号公報や、特開2008−248382号公報などに示されるような組成の厚鋼板が好適に使用できる。
特に、40mm以上の鋼板を用いた溶接構造体では、脆性き裂の伝播を止めるための有効な手段がなく、板厚40mm以上、より好ましくは50mm以上で、100mm以下の鋼板を用いた溶接構造体において、本発明はより効果的に実施される。
インサート部材5は、図2に示すように、鋼板溶接継手2によって接合される鋼板1の各々にまたがって形成された貫通孔3に、鋼板溶接継手2の溶接線Lを中心として鋼板1の各々において好ましくは対称となるように配置される。また、インサート部材5は、鋼板1に形成された貫通孔3内に露出する溶接端に対して突合せ溶接されることで形成されるインサート溶接継手6とともに、耐き裂制御部4を構成する。
インサート部材5は、上述したような耐き裂制御部4を構成することにより、仮に、鋼板溶接継手2に脆性き裂が生じた場合でも、そのき裂の伝播経路を、鋼板溶接継手2からインサート溶接継手6に制御し、鋼板溶接継手2を貫くようにき裂が伝播して互いに溶接された鋼板1、1が分断されるのを防止するものである。
図2に示す例のインサート部材5では、主対抗側の頂部5aから延在する傾斜外縁部51、52が、鋼板溶接継手2の長手方向に対して15°以上50°以下の範囲の角度θ1で傾斜するように形成されている。そして、インサート部材5は、傾斜外縁部51、52の後端51a、52aに、脆性き裂に対する副対抗側となる外縁部53が連なるように形成され、平面視略正三角形に構成されている。
また、鋼板溶接継手の長手方向に対するインサート部材5の傾斜外縁部51、52の角度が15°未満だと、インサート溶接継手6に沿ってき裂を伝播させても、このインサート溶接継手を通過したき裂の位置が、もとのき裂伝播経路である鋼板溶接継手の位置と近くなるため、き裂が再び鋼板溶接継手に突入して伝播するおそれがある。
脆性き裂がインサート溶接継手6に沿って伝播するように導くための傾斜角度θ1の好ましい範囲は、25°以上40°以下である。
何れの場合でも、インサート部材の傾斜外縁部51、52の後端51a、52aを結ぶ副対抗側の外縁部53と溶接線Lとのなす角度θ2が70°以上110°以下であることが必要である。
この角度が上記範囲にない場合には、インサート溶接継手6に沿って伝播してきた脆性き裂が、鋼板の母材側に逸れず、副対抗側の外縁部53を伝播して、再び鋼板溶接継手に突入するおそれがある。角度θ2のより好ましい範囲は、80°以上100°以下である。
なお、図3では、溶接線Lに対して片側にθ2を示したが、他側も同様である。
3.2d+50 ≦ W ・・・・・ (1)
0.95T ≦ t ・・・・・ (2)
但し、上記(1)、(2)式中において、Tは前記鋼板の板厚を表し、dは前記鋼板溶接継手における溶接金属部の幅を表す。
なお、インサート部材の横幅Wは、インサート溶接継手の溶接金属部の中点を基準とする。図3に示すような場合のインサート部材の横幅Wは鋼板溶接継手に直角な方向の最大幅である。また、溶接金属部の幅dは、鋼の両面に溶接金属部が形成されている場合は、広い方の幅とする。
鋼板溶接継手2を進展してきたき裂は、インサート部材5によって進展方向を変化せられ、傾斜外縁部51または52に沿って進展する。その際、インサート部材5の横幅寸法が、溶接金属部の幅dの3.2倍に比して十分大きくない場合は、アレスト部材の後端51aまたは52aに到達したき裂は、副対抗側の外縁部53のうちの左右どちらかを伝播し、再度、鋼板溶接継手2に戻り、そのまま進展して、停止しない可能性がある。
外縁部51、52の後端51a、52aに到達したき裂が、鋼板1に向かって、鋼板溶接継手の溶接金属部にほぼ平行に進展させるための駆動力は、試験時にインサート部材5に加わる応力に依ると考えられているが、この応力は、溶接継手2の中心を通る溶接線Lと副対抗側の外縁部53の交点から、後端51aあるいは52aまでの距離に比例するからである。上記の相関関係により、インサート部材の幅寸法Wの下限値として、上記(1)式を規定した。Wの上限値は設けていないが、実施時には、溶接継手2の寸法に収まる範囲に自ずと規定される。
なお、インサート部材の高さHについては規定されないが、Wの下限とアレスト部材の傾斜角度の制限からその範囲は規制される。
進展するき裂のエネルギーは鋼板の板厚Tに比例しているが、インサート部材5の板厚tが、鋼板1の板厚の0.95倍に比して、より小さい場合には、進展してきたき裂は逸れることなく、インサート部材5に突入するおそれが大きく、き裂が、そのままインサート部材を貫通する可能性が高くなるからである。
vTrs3 ≦ vTrs1−20 ・・・(3)
で表される関係を満たすことが必要である。
インサート溶接継手6をなす溶接金属部の靱性と鋼板1の母材靱性との関係が式(3)を満たすことにより、仮に、鋼板溶接継手2にき裂が生じた場合であっても、き裂の伝播方向を、鋼板溶接継手からインサート溶接継手6に導き、鋼板1の母材側へ効果的に逸らすことが可能となる。
インサート溶接継手をなす溶接金属部の靱性と鋼板の母材靱性との関係が上記式(3)を満たさない場合、鋼板溶接継手に生じたき裂の状態によっては、このき裂がインサート溶接継手に進入し、さらには、インサート部材に進入するおそれがあり、鋼板の母材側に逸れずに鋼板溶接継手を伝播してしまうおそれがある。
上記構成とされた溶接構造体1Aにおいて、鋼板溶接継手2に脆性き裂が発生した場合の、き裂伝播経路の制御について、以下に説明する。
インサート溶接継手6は、鋼板溶接継手に連続して傾斜してき裂の伝播方向に伸びているので、インサート溶接継手6の傾斜角度が適切であれば、き裂は、図示例のように、インサート部材5の傾斜外縁部51(又は外縁部52)に形成されたインサート溶接継手6に導かれるようにして、インサート溶接継手6と鋼板1との境界に沿って伝播する。そして、き裂は、インサート溶接継手6の横幅方向端部から鋼板1の母材側に逸れて、該横幅方向端部に向かい合って位置している脆性き裂伝播停止特性Kcaが4000N/mm1.5以上とされた領域1Aの内部で停止される。
溶接金属の遷移温度vTrs3が母材鋼板の遷移温度vTrs1よりも高いと、鋼板溶接継手2を長手方向で伝播した脆性き裂CRがインサート溶接継手6に進入し、ついで、インサート部材5に進入する場合も想定されるので、好ましくない。
その際、耐き裂制御部に沿って逸らせたき裂を母材部で停止させるのに十分な距離を置く必要があるが、たとえばインサート材の高さHだけ離せば十分である。
以下に、上述したような溶接構造体Aにおいて、耐き裂制御部4を作製する方法の一例について説明する。
耐き裂制御部は、衝突や地震などによる大きな破壊エネルギーにさらされたときに、き裂の発生・伝播が予想される鋼板溶接継手の途中に、少なくとも1箇所設けられる。その際、鋼板溶接継手から連続的に形成されるインサート溶接継手の横幅方向端部が、鋼板のKca4000N/mm1.5以上の領域に少なくとも隣接するように耐き裂制御部4を設ける必要がある。
また、インサート部材5の形状は、図2等に示すように、全体を平面視略三角形とし、インサート部材5の頂部5aが、鋼板溶接継手2の溶接線L上に位置するように配置するとともに、インサート部材5の頂部5aから延在する傾斜外縁部51、52を、鋼板溶接継手2の長手方向に対して15°以上50°以下の範囲の角度で傾斜するように形成し、それぞれの傾斜外縁部51、52の後端51a、52aを結ぶ副対抗側の外縁部53は、溶接線Lと70°以上110°以下の範囲の角度で交差するように形成している。
また、脆性き裂伝播を可能な限り抑制し、さらに、鋼板溶接継手2及びインサート溶接継手6において新たな疲労き裂や脆性き裂の起点が生じるのを防止するため、各溶接継手を、溶接欠陥の無いように、溶接金属で完全に充填することが好ましい。
上述した溶接構造体Aを適用した船舶構造体の一例を図4の概略図に示す。
図4に示すように、船舶構造体70は、骨材(補強材)71、デッキプレート(水平部材)72、船殻内板(垂直部材)73、船殻外板74を備えて概略構成される。また、図示例の船舶構造体70は、船殻内板73をなす複数の鋼板1同士を突合せ溶接することで形成される鋼板溶接継手(図3中では図示略)の長手方向の一部に耐き裂制御部4が設けられることで、本実施形態の溶接構造体Aを具備する構造とされている。
上記構成の船舶構造体70によれば、本実施形態の溶接構造体Aの構成を適用することにより、例え、鋼板溶接継手を伝播する脆性き裂が発生した場合であっても、耐き裂制御部4により、き裂の伝播方向を効果的に制御できる。これにより、鋼板溶接継手に生じた脆性き裂を安定的に停止させることができ、船殻内板73、ひいては船舶構造体70に大規模な破壊が生じるのを防止することが可能となる。
以下、本発明の第2の実施形態である溶接構造体Bについて、主に図5を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上述の第1の実施形態の溶接構造体Aと共通する構成については、同じ符号を付与するとともに、その詳細な説明を省略する。また、第3、4の実施態様の説明においても同様とする。
そして、溶接構造体Aと同様、鋼板10の母材側に逸れたき裂は、鋼板10において直ちに停止するので、鋼板溶接継手20が破断せず、また、溶接構造体Bに大規模な破壊が生じるのを防止することが可能となる。
また、本実施形態の溶接構造体Bは、鋼板10をなす母材全体が、脆性き裂伝播停止特性Kcaが6000N/mm1.5以上とされていることがより好ましい。
以下、本発明の第3の実施形態である溶接構造体Cについて、主に図6を参照しながら詳述する。
すなわち、図6に示すように、鋼板10Aが、鋼板溶接継手20Aの長手方向で配列される少なくとも2以上の長手配列鋼板(図6中の符号21〜24を参照)を突合せ溶接して形成され、この鋼板10A、10Aを突合せ溶接して形成された鋼板溶接継手20Aに、耐き裂制御部4が設けられる。
このように、溶接構造体Cは上述の第1及び第2の実施形態の溶接構造体A、Bとは異なる。
また、図6に示す例においては、図示の都合上、長手配列鋼板として4枚の長手配列鋼板21〜24を示し、長手配列鋼板21と長手配列鋼板22とが長手配列溶接継手25で接合され、長手配列鋼板23と長手配列鋼板24とが長手配列溶接継手26で接合されている場合を示している。
このように、鋼板10Aの母材側に逸れたき裂は、脆性き裂伝播停止特性Kcaの高い長手配列鋼板22において直ちに停止するので、鋼板溶接継手20Aが破断せず、また、溶接構造体Cに大規模な破壊が生じるのを防止することが可能となる。
また、本実施形態の溶接構造体Cは、鋼板10Aをなす長手配列鋼板22、24の母材が、脆性き裂伝播停止特性Kca=6000N/mm1.5以上であることがより好ましい。
以下、本発明の第4の実施形態である溶接構造体Dについて、主に図7を参照しながら詳述する。
溶接構造体Dは、図7に示すように、鋼板10Bが、鋼板溶接継手20Bの長手方向で配列される少なくとも2以上の長手配列鋼板(図7中の符号31〜34を参照)を突合せ溶接して形成され、この鋼板10B、10Bを突合せ溶接して形成された鋼板溶接継手20Bに、耐き裂制御部4が設けられる点で、第3の実施形態の溶接構造体Cと構成が一部共通している。
またさらに、溶接構造体Dは、長手配列溶接継手35、36をなす溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs4(℃)と、鋼板10Bの母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次の(4)式
vTrs4 ≦ vTrs1−20 ・・・(4)
を満たす関係とされている点においても、第3の実施形態の溶接構造体Cとは異なる構成とされている。
また、溶接構造体Dは、鋼板10Bをなす全ての長手配列鋼板31〜34の母材の脆性き裂伝播停止特性Kcaが4000N/mm1.5以上とされている。また、図示例の溶接構造体Dは、長手配列溶接継手35、36が連なって直線状に形成されている。
図7に示す例では、鋼板溶接継手20Aに発生した脆性き裂CRが、インサート溶接継手60の横幅方向端部から、長手配列溶接継手35に達し、ついで、該横幅方向端部に向かい合って位置している脆性き裂伝播停止特性Kcaが4000N/mm1.5以上とされた長手配列鋼板32に突入して、その鋼板の内部で停止される。
このように、鋼板10Bの母材側に逸れたき裂は、脆性き裂伝播停止特性Kcaの高い長手配列鋼板32において直ちに停止するので、鋼板溶接継手20Bが破断せず、また、溶接構造体Dに大規模な破壊が生じるのを防止することが可能となる。
また、本実施形態の溶接構造体Dは、鋼板10Bをなす全ての長手配列鋼板31〜34の母材が、脆性き裂伝播停止特性Kca=6000N/mm1.5以上であることがより好ましい。
まず、製鋼工程において溶鋼の脱酸・脱硫と化学成分を制御し、連続鋳造によって下記表1に示す化学成分の鋳塊を作製した。そして、日本海事協会(NK)規格船体用圧延鋼材KA32、KA36、KA40の規格に準じた製造条件で、前記鋳塊を再加熱して厚板圧延することで、板厚が25mm〜150mmの範囲の鋼板をそれぞれ製造した。さらに、これらの鋼板に対して各種熱処理を施すとともに、この際の条件を制御することにより、母材の脆性き裂伝播停止特性Kca(N/mm1.5)が種々の値になるように適宜調整した。製造した鋼板から、試験片を適宜採取し、−10℃におけるKca特性を評価・確認するとともに、鋼板の脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)を測定した。表1にKca特性及びvTrs1を合わせて示した。
また、上記同様、各鋼板及びインサート部材を接合することにより、図5〜図7に示すような溶接構造体(本発明例、参考例、比較例)を製造した。
上記手順によって製造した溶接構造体について、以下のような評価試験を行った。
まず、図9(a)に示すような試験装置90を準備するとともに、上記手順で作製した溶接構造体のサンプルの各々を適宜調整し、試験装置90に取り付けた。ここで、図9(b)、(c)中に示す鋼板溶接継手2に設けたき裂発生部である窓枠81は、楔をあてがって所定の応力を印加することで強制的に脆性き裂を発生させるためのものであり、切欠き状の先端部は0.2mm幅のスリット加工を施したものである。
次いで、鋼板溶接継手2の溶接線Lと垂直方向に262N/mm2あるいは300N/mm2の引張応力を付与することにより、鋼板溶接継手2に脆性き裂を発生させた。そして、この脆性き裂を、鋼板溶接継手2の溶接線L上で伝播させることにより、溶接構造体の耐脆性き裂伝播性を評価した。この際の雰囲気温度は−10℃とした。
[b]…脆性き裂がインサート溶接継手に到達し、次いで、鋼板母材とインサート溶接継手の境界に沿って伝播した後、鋼板の母材側に逸れ、鋼板において直ちに停止した(図1−bの形態)。
[c]…脆性き裂がインサート溶接継手に到達した後、このインサート溶接継手に進入し、さらにインサート部材を貫通した後、そのまま鋼板溶接継手を伝播した(図1−cの形態)。
[d]…脆性き裂が副対抗側から伝播してきてインサート部材内部で停止した(図1−dの形態)。
また、[b]の場合について、き裂の伝播距離に基づいて算出した点数(最高値10)により耐きれつ伝播性能を評価した。
注1: 鋼板1の内の領域1A以外の領域を意味する。
注2: 図に基づいた、2種類の鋼板の組み合わせを示す。
注3: 板厚を4:1に分割したX開先に対し、鋼板の両面より、エレクトロガスアーク溶接により突合せ溶接した。このときの大きい方の適用入熱量を示す。
注4: 板厚の半分づつ、鋼板の両面からエレクトロガスアーク溶接により突合せ溶接した。このときの入熱量を示す。
表2〜5に示すように、参考例1〜29は、図5に示す第2の実施形態(参考例)の溶接構造体Bに関する例であり、本発明例30〜32は、図6に示す本発明の第3の実施形態の溶接構造体Cに、本発明例33、34は、図7に示す第4の実施形態の溶接構造体Dに、参考例35は、図2に示す第1の実施形態(参考例)の溶接構造体Aにそれぞれ関する例である。
また、表4、5に示す比較例1〜8は、溶接構造体Bと同様の構造を有する比較例であり、比較例9〜11は、溶接構造体Cと、比較例12は溶接構造Dと、比較例13は溶接構造Aとそれぞれ同様の構造を有する比較例である。
比較例2、3は、角度θ1が不適な例であり、比較例4、5は、インサート部材の脆性き裂副対抗側の外縁部の角度θ2が不適な例である。
比較例6は、インサート部材の板厚tが不充分であるとともに、副対抗側の外縁部の角度θ2が不適な例である。
比較例7は、鋼板溶接継手の母材部(鋼板母材)のKca値が不充分であるとともに、かつインサート部材の板厚が不充分であり、また、傾斜外縁部の角度θ1が不敵な例である。
比較例8、9は、鋼板溶接継手の母材部(鋼板母材)のKca値が不充分である例であり、比較例10、11は、傾斜外縁部の角度θ1が不適な例である。
比較例12は、溶接金属部の脆性−延性破面遷移温度vTrs4が不適な例であり、比較例13は、領域1Aの脆性き裂伝播停止特性Kcaが不適な例である。
1、10、10A、10B 鋼板
1A 領域(少なくともインサート部材及びインサート溶接継手の横幅方向端部に向かい合って位置する鋼板の部位)
2、20、20A、20B 鋼板溶接継手
3、3a、3b 貫通孔
4 耐き裂制御部
5 インサート部材
51、52 インサート部材の脆性き裂主対抗側から延伸する傾斜外縁部
51a、51b インサート部材の傾斜外縁部の後端(インサート部材の横幅方向端部)
53 脆性き裂に対する副対抗側となるインサート部材の外縁部
6、60 インサート部材溶接継手
25、26、35、36 長手配列溶接継手
21、22、23、24、31、32、33、34 長手配列鋼板
70 船舶構造体
L 溶接線
θ1 インサート部材の傾斜外縁部の鋼板溶接継手の長手方向に対する傾斜角度
θ2 インサート部材の脆性き裂副対抗側の外縁部が鋼板溶接継手と交差する角度
Claims (4)
- 少なくとも一部の領域の脆性き裂伝播停止特性Kcaが4000N/mm1.5以上である鋼板を、互いに突合せ溶接することで鋼板溶接継手が形成されてなる溶接構造体において、
前記鋼板溶接継手の少なくとも一箇所に、鋼板溶接継手に発生した脆性き裂を鋼板母材側にそらす耐き裂制御部が設けられており、
該耐き裂制御部は、前記鋼板溶接継手から前記鋼板にまたがって形成された貫通穴に挿入され、脆性き裂の伝播方向を鋼板母材側に逃がすためのインサート部材、及び、
該インサート部材の外縁部と、それに対向する鋼板母材とが突合せ溶接されて形成されたインサート溶接継手を有しており、
前記インサート部材は、前記鋼板溶接継手の長手方向と交差する方向における横幅W(mm)、及び板厚t(mm)の各々の寸法が、下記(1)、(2)式で表される関係を満足するように形成されており、かつ、
該インサート部材の脆性き裂主対抗側の外縁部は、前記鋼板溶接継手の溶接金属部から前記鋼板溶接継手の両側に、鋼板溶接継手の長手方向に対して15°以上50°以下の角度で傾斜して延伸するとともに、他方の脆性き裂副対抗側の外縁部は、70°以上110°以下の角度で前記鋼板溶接継手と交差しており、
前記インサート溶接継手における溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs3(℃)と、前記鋼板の母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次式、
vTrs3 ≦ vTrs1−20
で表される関係を満たし、
少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが4000N/mm1.5以上である領域に向かい合うように、前記耐き裂制御部を設け、
前記鋼板は、前記鋼板溶接継手の長手方向で配列される少なくとも2以上の鋼板からなるとともに、該長手配列鋼板を互いに突合せ溶接することで長手配列溶接継手が形成されており、
前記耐き裂制御部は、前記インサート部材の脆性き裂副対抗側に形成される前記インサート溶接継手が前記長手配列溶接継手に接するように設けられていること、を特徴とする耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
3.2d+50 ≦ W ・・・・・ (1)
0.95T ≦ t ・・・・・ (2)
但し、上記(1)、(2)式中において、T(mm)は前記鋼板の板厚を表し、d(mm)は前記鋼板溶接継手における溶接金属部の幅を表す。 - 少なくとも一部の領域の脆性き裂伝播停止特性Kcaが4000N/mm 1.5 以上である鋼板を、互いに突合せ溶接することで鋼板溶接継手が形成されてなる溶接構造体において、
前記鋼板溶接継手の少なくとも一箇所に、鋼板溶接継手に発生した脆性き裂を鋼板母材側にそらす耐き裂制御部が設けられており、
該耐き裂制御部は、前記鋼板溶接継手から前記鋼板にまたがって形成された貫通穴に挿入され、脆性き裂の伝播方向を鋼板母材側に逃がすためのインサート部材、及び、
該インサート部材の外縁部と、それに対向する鋼板母材とが突合せ溶接されて形成されたインサート溶接継手を有しており、
前記インサート部材は、前記鋼板溶接継手の長手方向と交差する方向における横幅W(mm)、及び板厚t(mm)の各々の寸法が、下記(1)、(2)式で表される関係を満足するように形成されており、かつ、
該インサート部材の脆性き裂主対抗側の外縁部は、前記鋼板溶接継手の溶接金属部から前記鋼板溶接継手の両側に、鋼板溶接継手の長手方向に対して15°以上50°以下の角度で傾斜して延伸するとともに、他方の脆性き裂副対抗側の外縁部は、70°以上110°以下の角度で前記鋼板溶接継手と交差しており、
前記インサート溶接継手における溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs3(℃)と、前記鋼板の母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次式、
vTrs3 ≦ vTrs1−20
で表される関係を満たし、
少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが4000N/mm 1.5 以上である領域に向かい合うように、前記耐き裂制御部を設け、
前記鋼板は、前記鋼板溶接継手の長手方向で配列される少なくとも2以上の鋼板からなるとともに、該長手配列鋼板を互いに突合せ溶接することで長手配列溶接継手が形成されており、
前記耐き裂制御部は、前記インサート部材の脆性き裂副対抗側に形成される前記インサート溶接継手が前記長手配列溶接継手を含むように設けられ、
さらに、前記長手配列溶接継手をなす溶接金属部の靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs4(℃)と、前記鋼板の母材靱性を表す脆性−延性破面遷移温度vTrs1(℃)との関係が、次式、
vTrs4 ≦ vTrs1−20
で表される関係を満たすこと、を特徴とする耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
3.2d+50 ≦ W ・・・・・ (1)
0.95T ≦ t ・・・・・ (2)
但し、上記(1)、(2)式中において、T(mm)は前記鋼板の板厚を表し、d(mm)は前記鋼板溶接継手における溶接金属部の幅を表す。 - 前記鋼板の板厚が25mm以上150mm以下であること、を特徴とする請求項1又は2に記載の耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
- 前記鋼板は、少なくとも一部の領域の脆性き裂伝播停止特性Kcaが6000N/mm1.5以上であり、前記耐き裂制御部は、少なくとも、前記インサート部材の横幅方向端部が、前記鋼板のKcaが6000N/mm1.5以上である領域に向かい合うように設けられていること、を特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010524283A JP4772922B2 (ja) | 2009-01-14 | 2010-01-14 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 |
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009006037 | 2009-01-14 | ||
JP2009006037 | 2009-01-14 | ||
PCT/JP2010/050654 WO2010082676A1 (ja) | 2009-01-14 | 2010-01-14 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 |
JP2010524283A JP4772922B2 (ja) | 2009-01-14 | 2010-01-14 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP4772922B2 true JP4772922B2 (ja) | 2011-09-14 |
JPWO2010082676A1 JPWO2010082676A1 (ja) | 2012-07-12 |
Family
ID=42339926
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010524283A Active JP4772922B2 (ja) | 2009-01-14 | 2010-01-14 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
EP (1) | EP2390048B1 (ja) |
JP (1) | JP4772922B2 (ja) |
KR (1) | KR101163348B1 (ja) |
CN (1) | CN102209607B (ja) |
DK (1) | DK2390048T3 (ja) |
TW (1) | TW201036747A (ja) |
WO (1) | WO2010082676A1 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012008055A1 (ja) * | 2010-07-14 | 2012-01-19 | 新日本製鐵株式会社 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接継手及び溶接構造体 |
JP5600654B2 (ja) * | 2011-04-26 | 2014-10-01 | 積水化学工業株式会社 | 発泡性レゾール型フェノール樹脂成形材料 |
JP5395985B2 (ja) * | 2011-09-13 | 2014-01-22 | Jfeスチール株式会社 | 溶接構造体 |
BR112014005461B1 (pt) * | 2011-09-13 | 2018-12-04 | Jfe Steel Corporation | estrutura soldada |
CN107558618B (zh) * | 2017-10-12 | 2023-07-21 | 苏交科集团股份有限公司 | 钢板连接装置及其偏差调整方法 |
EP3715823A4 (en) * | 2017-11-22 | 2021-01-20 | JFE Steel Corporation | METHOD OF EVALUATION OF PERFORMANCE TO PREVENT THE SPREAD OF FRAGILE CRACKS IN THICK STEEL PLATES |
CN112894260B (zh) * | 2021-01-22 | 2022-09-09 | 西部超导材料科技股份有限公司 | 一种液压阀块裂纹修复方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5162155A (en) * | 1974-11-29 | 1976-05-29 | Kobe Steel Ltd | Sentaino sensokugaihanno yosetsuhoshuhoho |
JP2005131708A (ja) * | 2003-10-08 | 2005-05-26 | Nippon Steel Corp | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体およびその溶接方法 |
JP2007302993A (ja) * | 2006-04-13 | 2007-11-22 | Nippon Steel Corp | アレスト性に優れた高強度厚鋼板 |
JP2008248382A (ja) * | 2007-03-05 | 2008-10-16 | Nippon Steel Corp | 脆性き裂伝播停止特性に優れた厚手高強度鋼板およびその製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH08248382A (ja) | 1995-03-13 | 1996-09-27 | Sony Corp | 面順次カラー表示装置 |
JP4410715B2 (ja) * | 2004-04-09 | 2010-02-03 | 新日本製鐵株式会社 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体の溶接方法および溶接構造体 |
JP4790364B2 (ja) | 2005-10-05 | 2011-10-12 | 新日本製鐵株式会社 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 |
-
2010
- 2010-01-14 WO PCT/JP2010/050654 patent/WO2010082676A1/ja active Application Filing
- 2010-01-14 KR KR1020117013571A patent/KR101163348B1/ko active IP Right Grant
- 2010-01-14 DK DK10731345.4T patent/DK2390048T3/da active
- 2010-01-14 CN CN201080003159.9A patent/CN102209607B/zh not_active Expired - Fee Related
- 2010-01-14 JP JP2010524283A patent/JP4772922B2/ja active Active
- 2010-01-14 EP EP10731345.4A patent/EP2390048B1/en not_active Not-in-force
- 2010-01-14 TW TW099100908A patent/TW201036747A/zh not_active IP Right Cessation
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5162155A (en) * | 1974-11-29 | 1976-05-29 | Kobe Steel Ltd | Sentaino sensokugaihanno yosetsuhoshuhoho |
JP2005131708A (ja) * | 2003-10-08 | 2005-05-26 | Nippon Steel Corp | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体およびその溶接方法 |
JP2007302993A (ja) * | 2006-04-13 | 2007-11-22 | Nippon Steel Corp | アレスト性に優れた高強度厚鋼板 |
JP2008248382A (ja) * | 2007-03-05 | 2008-10-16 | Nippon Steel Corp | 脆性き裂伝播停止特性に優れた厚手高強度鋼板およびその製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
KR101163348B1 (ko) | 2012-07-05 |
CN102209607A (zh) | 2011-10-05 |
TWI372673B (ja) | 2012-09-21 |
JPWO2010082676A1 (ja) | 2012-07-12 |
KR20110095335A (ko) | 2011-08-24 |
EP2390048B1 (en) | 2014-07-16 |
WO2010082676A1 (ja) | 2010-07-22 |
TW201036747A (en) | 2010-10-16 |
DK2390048T3 (da) | 2014-08-25 |
CN102209607B (zh) | 2014-04-30 |
EP2390048A1 (en) | 2011-11-30 |
EP2390048A4 (en) | 2012-11-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4772921B2 (ja) | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 | |
JP4772922B2 (ja) | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 | |
EP2422913B1 (en) | Electron beam welded joint excellent in brittle fracture resistance | |
JP4505368B2 (ja) | 脆性き裂伝播停止特性に優れた溶接鋼構造物およびその製造方法 | |
JP4760299B2 (ja) | 溶接継手及びその製造方法 | |
JP4818466B1 (ja) | 耐脆性き裂伝播性を有する溶接構造体 | |
JP4537683B2 (ja) | 耐脆性破壊特性に優れた溶接構造体 | |
WO2008082015A1 (ja) | 耐脆性き裂伝播特性に優れた突合せ多パス溶接継手及び溶接構造体 | |
JP6693205B2 (ja) | 溶接方法および船舶の製造方法 | |
JP4818467B1 (ja) | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接継手及び溶接構造体 | |
JP5052976B2 (ja) | 耐脆性き裂伝播特性に優れた多層盛突合せ溶接継手及び溶接構造体 | |
JP5935395B2 (ja) | 溶接組立四面箱形断面部材の角溶接用開先部 | |
CN117460594A (zh) | 焊接结构体 | |
JP6562190B1 (ja) | 溶接構造体 | |
JP2010162570A (ja) | 耐脆性き裂伝播性を有する溶接構造体 | |
JP6740805B2 (ja) | 溶接方法、溶接継手の製造方法および溶接継手 | |
JP4611250B2 (ja) | 冷間加工成形鋼管 | |
JP2010162571A (ja) | 耐脆性き裂伝播性に優れた鋼板溶接継手及び溶接構造体 | |
JP2022083554A (ja) | 溶接構造体の脆性亀裂伝播停止性能の評価方法 | |
JP2023039270A (ja) | クラッド鋼板およびその製造方法ならびに溶接構造物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110531 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110622 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701 Year of fee payment: 3 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 4772922 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701 Year of fee payment: 3 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120606 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701 Year of fee payment: 3 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140701 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |