JP4767430B2 - 充填ペーストの充填方法および充填装置 - Google Patents
充填ペーストの充填方法および充填装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填される充填ペースト、充填ペーストの充填方法および充填装置に関する。より詳細には、本発明は、スクリーン版に所定のパターンで設けられた開口部に充填され、スクリーン版の下に配置された基板上に印刷される充填ペースト、充填ペーストの印刷方法および印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子回路基板を作製するための電子部品実装プロセスにおいて、基板上に形成された配線パターンの所定の箇所(例えばランド)に電子部品を接合する方法の1つに、予め配線パターンが形成された基板上にクリームはんだを供給し、その後、電子部品を基板上に配置してリフローすることにより、クリームはんだの形態で供給されたはんだ材料を介して電子部品を基板上の配線パターンにはんだ付けする方法がある。この方法におけるクリームはんだの供給は、スクリーン印刷法により、以下のようにして実施される。
【0003】
従来のクリームはんだ印刷装置を図6に示す。この装置においては、基板61をその上に配置し、基板61を固定するための固定ブロック62と、固定ブロック62の上方に位置し、開口部(図示せず)が所定のパターンに従って設けられたスクリーン版63と、基板61が配置される固定ブロック62を上下に移動させる昇降ステージ64と、スクリーン版63の上に供給されるクリームはんだ65をスクリーン版63の開口部に充填するための、モーター(図示せず)などにより駆動されてスクリーン版63の上方で左右に往復運動可能な1対のスキージ66aおよび66bとを備える。図6は、昇降ステージ64により上下に移動される固定ブロック62が上側位置にあるときを示し、この位置では、固定ブロック62の上にある基板61が、スクリーン版63の下面と接触するように配置される。
【0004】
まず、スクリーン版63から離れた下側位置にある固定ブロック62の上に、配線パターンが形成された基板61を配置して固定し、基板61が、その上方に位置するスクリーン版63に接触するように、基板61および固定ブロック62が取り付けられた昇降ステージ64を上側位置へと移動させる(図6)。このスクリーン版63には、所定の印刷パターンに従って所定の形状の開口部(または貫通穴、図示せず)が所定の箇所に設けられており、スクリーン版63に設けられた開口部が基板61上の所定の箇所と一致するように、スクリーン版63および基板61が位置合わせされている。このスクリーン版63は、例えば0.12mmの厚さを有し得る。
【0005】
このとき図6に示すように、1対のスキージ66aおよび66bがスクリーン版63の左側端部上に位置し、右方向70(左側端部から右側端部に向かう方向)に移動するように準備されており、また、スキージ66aおよび66bの間に位置するスクリーン版63の上には、クリームはんだ65が供給されている。そして、上記のように基板61がスクリーン版63の直ぐ下に接触して配置された後、右方向70の移動方向において後方側に位置するスキージ66aをスクリーン版63に圧接させ、前方側に位置するスキージ66bをスクリーン版63から離した状態で、スクリーン版63の左側端部からスクリーン版63の右側端部まで、右方向70に平行移動させる。その結果、移動方向においてスキージ66aの前方にあるクリームはんだ65がローリングしながら移動し、スクリーン版63に設けられた開口部に充填される。
【0006】
充填終了後、昇降ステージ64を下方に動かして基板61をスクリーン版63から離して元の下側位置へ移動させると、開口部に充填されたクリームはんだはスクリーン版63を通り抜けて、即ち「版抜け」して、基板61上の配線パターンの所定の箇所上に付着した状態で残る。これにより、クリームはんだが基板上の所定の箇所にのみ付着し、所望のパターンで基板上に印刷される。得られた基板61は、その後固定ブロック62から取り外され、新たな基板61が固定ブロック62上に配置される。また、新たな基板61が上側位置へ移動されてスクリーン版63に接触して配置されると、1対のスキージ66aおよび66bの移動方向が反転し、今度は左方向71の移動方向において後方側に位置するスキージ66bをスクリーン版63に圧接させ、前方側に位置するスキージ66aをスクリーン版63から離した状態で、1対のスキージ66aおよび66bが左方向71に移動して、上記と同様にクリームはんだ65が印刷される。
【0007】
上記のようなクリームはんだには、一般的には、スズおよび鉛を主成分とする粒径20〜40μmのはんだ粒子81で構成される粒状材料と、ロジン、活性剤および溶剤などから成る液体のフラックス82とを混合したものが用いられている(図7(a)を参照のこと)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電子機器の小型化および高機能化の要求に従って、電子回路基板の更なる高集積化を図るべく、電子部品の高密度実装化がますます進行する方向にあり、より微細な回路実装技術の開発が求められている。これに伴って、基板に実装される電子部品の小型化が進む一方で、従来の大型の電子部品も依然として使用されているため、これら大型部品と小型部品とを同一基板上に混載した電子回路基板が作製されているという現状がある。
【0009】
このような電子回路基板の作製においては、大型部品を接合するための開口部および小型部品を接合するための開口部(以下、それぞれ大型部品用開口部および小型部品用開口部とも言う)が混在したスクリーン版を用いて、クリームはんだを基板上に印刷している。しかし、スクリーン版の厚さを従来と同程度に維持したままで、単に大型部品用開口部と、大型部品用開口部よりも開口面積の小さい小型部品用開口部とをこれに混在させて用いて、クリームはんだを基板に印刷すると、小型部品用開口部に充填されたクリームはんだが版抜けせずに開口部に残留し、基板上に印刷されないものがあると言う問題がある。
【0010】
スクリーン印刷法によれば、上述したようにクリームはんだの充填工程およびいわゆる「版抜け」工程を経てクリームはんだが供給され、スクリーン版の1つの開口部を通って基板上に付着・供給されるクリームはんだは、該開口部とほぼ同じ平面サイズを有し、スクリーン版63とほぼ同じ厚さ(即ち、開口部とほぼ同じ高さ)を有する。版抜け工程では、スクリーン版の開口部に充填されたクリームはんだと基板との密着力と、該クリームはんだとスクリーン版の開口部壁面との摩擦力(または付着力)とのバランス(または相対関係)が重要となり、充填されたクリームはんだがスクリーン版から良好に離れ得るためには(即ち、良好な「版離れ」を得るためには)、該密着力のほうが該摩擦力よりも大きいことが必要である。
【0011】
このような密着力と摩擦力の大きさのバランスは、通常、開口部に充填されたクリームはんだが接触している基板の面積(即ち、開口面積)ならびに開口部壁面の面積の大きさのバランスに依存する。よって、開口部高さ(即ち、スクリーン版厚さ)一定の下で開口面積を小さくすると、開口面積の減少割合より小さい割合で開口部壁面の面積が減少するため、密着力と摩擦力の大きさのバランスが崩れて、やがては摩擦力よりも密着力のほうが小さくなり、開口部に充填されたクリームはんだが版抜けせずに開口部に残留し易くなる。このため、大型部品用開口部よりも開口部面積が小さい小型部品用開口部で、クリームはんだが版抜けせずに開口部に残留し得ることとなる。
【0012】
この問題を克服するため、クリームはんだの基板との密着力が開口部壁面との摩擦力に打ち勝ち得るのに十分な程度に摩擦力を低下させるように、スクリーン版の厚みをより薄くすることも考えられるが、これは、以下に詳述するような理由により、大型部品を基板に十分な強度で接合することができないという新たな問題を生じ得る。
【0013】
基板上に印刷されるクリームはんだのうち、これに含まれるはんだ粒子のはんだ材料が基板と電子部品とを接合する役割を果たし、接合部分において十分な接合強度を得るためにはある程度の量のはんだ材料を必要とする。所定の組成を有するクリームはんだにおいて、1つの開口部に充填されるクリームはんだ中のはんだ材料の量は、開口部の開口面積および高さによって規定される充填容積に依存する。ここで、開口部の面積は、電子部品の規格によってある程度決まっているため、これを設計変更することは既存設備維持等の観点から好ましくない。よって、開口部面積を変更することなく、上記のようにスクリーン版の厚みを薄くすれば、開口部に充填されるクリームはんだの量、ひいてはこれに含まれるはんだ材料の量が減少して、大型部品と基板との間の接合強度の低下を招くことになる。従って、基板に大型部品を十分な強度で接合するのに必要な量のはんだ材料を開口部に充填するためには、スクリーン版の厚さをある程度厚く保つ必要があり、単にスクリーン版の厚みを薄くすることは十分な解決策ではない。
【0014】
本発明は上記従来の問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、電子部品を基板に接合するために利用され、基板上にスクリーン印刷され得る充填ペーストであって、電子部品の接合強度の低下を招くことなく良好な版離れが得られる充填ペーストならびに充填ペーストの充填方法および充填装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、開口部に充填されるクリームはんだのうち、これに含まれるはんだ粒子が開口部を占める割合を増加させ、はんだ粒子以外の成分が開口部を占める割合(空隙率)を減少させることによって、上述の課題を解決できることを見出した。従来のクリームはんだのうち、はんだ粒子81は、図7(b)に示すように、1つのピークを有する(即ち「単峰性」の)粒径分布を示し、概略的には正規分布に近い分布をしていると考えられる。このようなはんだ粒子81とフラックス82とから成るクリームはんだをスクリーン版の開口部に充填すると、1つの理想的な態様においては図7(a)に示すような状態で、はんだ粒子81とフラックス82とがおよそ1:1の体積比で存在する。よって、はんだ粒子81によって占められない開口部の空間の割合(換言すれば、フラックス82が開口部を占める割合)を空隙率とすれば、約0.5となる。本発明者らは、空隙率を減少させるためにはんだ粒子の粒径分布に着目し、本発明を完成させるに至った。
【0016】
本発明の1つの要旨においては、被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填される充填ペーストであって、複数のピークを有する粒径分布を示す導電性の粒状材料を含む充填ペーストが提供される。
【0017】
本発明の充填ペーストに含まれる粒状材料は、複数のピークを有する(即ち「多峰性」の)粒径分布を示すので、このような充填ペーストを開口部に充填すると、1つのピークを有する粒径分布を示す粒子材料を含む充填ペーストを充填する場合よりも低い空隙率を得ることが可能となる。尚、本明細書において、用語「空隙率」とは、充填ペーストが充填される開口部の空間に対する、粒状材料によって占められない部分の割合を言うものとし、「充填率」とは、充填ペーストが充填される開口部の空間に対する、粒状材料によって占められる部分の割合を言うものとする。
【0018】
好ましい態様においては、上記粒状材料の粒径分布は第1のピークおよび第2のピークを有し、第2のピークの粒径を第1のピークの粒径の1/3〜1/2とすることができる。このような粒径分布を有する充填ペーストを開口部に充填すると、第1のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子間の隙間に、第2のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子が嵌まり込むため、より低い空隙率を得ることができる。このとき、第1のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子と、第2のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子との数の比は約1:1であることが好ましく、この場合には約0.3〜0.4の空隙率を得ることができ、1つの開口部につき、従来よりも約1.2〜1.4倍の量の粒状材料を供給することができる。
【0019】
具体的には、第1のピークの粒径は28〜32μmの範囲にあり、第2のピークの粒径が10〜16μmの範囲にある粒状材料を含む充填ペーストが挙げられる。このような粒状材料は、粒状材料を基準として、例えば、20〜40μmの範囲(20μm以上、40μm以下の範囲)にある粒子を83〜95質量%で、5〜20μmの範囲(5μm以上、20μm未満の範囲)にある粒子を5〜17質量%で含む。
【0020】
より好ましい態様においては、上記粒状材料の粒径分布は第1のピーク、第2のピークおよび第3のピークを有し、第2のピークの粒径を第1のピークの粒径の1/3〜1/2とし、第3のピークの粒径を第1のピークの粒径の1/5〜1/4とすることができる。このような粒径分布を有する充填ペーストを開口部に充填すると、第1のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子間の隙間に、第2のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子が嵌まり込み、更に、第1のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子と第2のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子との隙間に、第3のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子が嵌まり込むため、より一層低い空隙率を得ることができる。このとき、第1のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子と、第2のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子と、第3のピークまたはその近傍の粒径を有する粒子との数の比は約1:1:2であることが好ましく、この場合には約0.2〜0.3の空隙率を得ることができ、1つの開口部につき、従来よりも約1.4〜1.6倍の量の粒状材料を供給することができる。
【0021】
具体的には、第1のピークの粒径は28〜32μmの範囲にあり、第2のピークの粒径は10〜16μmの範囲にあり、第3のピークの粒径は6〜8μmの範囲にある粒状材料を含む充填ペーストが挙げられる。このような粒状材料は、粒状材料を基準として、例えば、20〜40μmの範囲(20μm以上、40μm以下の範囲)にある粒子を94〜70質量%で、10〜20μmの範囲(10μm以上、20μm未満の範囲)にある粒子を2〜13質量%で、5〜10μmの範囲(5μm以上、10μm未満の範囲)にある粒子を4〜17質量%で含む。
【0022】
本発明のもう1つの要旨によれば、被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填ペーストを充填する方法であって、上記のように粒径分布が複数のピークを有するように充填前に予め調製された本発明の充填ペーストを用いる方法が提供される。ここで、充填ペーストは常套の方法、例えばスキージまたは密閉式ヘッドを用いる方法によって被充填体の開口部に充填され得る。
【0023】
また、充填ペーストは、充填後に上記のような粒径分布で粒状材料を含んでいればよいので、本発明の上記方法のように、充填前に予め調製された充填ペーストを用いてもよいが、ピーク粒径(即ち粒径分布に存在するピークの粒径)の異なる粒状材料を、少なくとも一方は該粒状材料を含む充填ペーストの形態で開口部に別々に充填しても同様の効果を得ることができる。例えば、ピーク粒径が大きいほうの第1の導電性粒状材料をそのままの形態(即ち粉末の形態)とし、ピーク粒径が小さいほうの導電性粒状材料(第2の導電性粒状材料、ならびに場合によっては第3の導電性粒状材料)を充填ペーストの形態で、開口部に別々に充填してよい。
【0024】
尚、本発明の上記充填ペーストのように多峰性の粒径分布を示すように意図的に調製したものを除いて、粒状材料の粒径は、一般的には単峰性の正規分布に近い分布をしていると考えられるので、調製に用いる第1および第2の導電性粒状材料のピーク粒径、ならびに場合によっては第3の導電性粒状材料のピーク粒径は、平均粒径と実質的に同じであると見なすことができる。
【0025】
よって、本発明の別の要旨によれば、被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填ペーストを充填する方法であって:(a)第1の導電性粒状材料または該第1の導電性粒状材料を含む充填ペーストを開口部に充填する工程と;(b)第1の導電性粒状材料の粒径分布とピークが異なる粒径分布を有する(または、第1の導電性粒状材料と平均粒径が異なる)第2の導電性粒状材料を含む充填ペーストを該開口部に充填する工程とを含む方法が提供される。
【0026】
工程(a)および工程(b)については、いずれを先に実施してもよい。また、導電性粒状材料は、その粒径分布の粒径の上限値(最大値)が開口部の高さよりも小さければよい。また、第2の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は、第1の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)の1/3〜1/2であることが好ましく、具体的には、第1の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は28〜32μmの範囲にあり、第2の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は10〜16μmの範囲にあり得る。
【0027】
好ましい態様においては、本発明の上記方法は、(c)第1の導電性粒状材料および第2の導電性粒状材料の粒径分布とピークが異なる粒径分布を有する(または、第1の導電性粒状材料および第2の導電性粒状材料と平均粒径が異なる)第3の導電性粒状材料を含む充填ペーストを前記開口部に充填する工程を更に含む。
【0028】
工程(a)、工程(b)および工程(c)を実施する順序は特に限定されず、任意の順に実施してよい。また、第2の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は、第1の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)の1/3〜1/2であり、第3の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は、第1の導電性材料のピーク粒径(または平均粒径)の1/5〜1/4であることが好ましく、具体的には、第1の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は28〜32μmの範囲にあり、第2の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は10〜16μmの範囲にあり、第3の導電性粒状材料のピーク粒径(または平均粒径)は6〜8μmの範囲にあり得る。
【0029】
本発明の更に別の要旨においては、被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填ペーストを充填する装置であって、第1の導電性粒状材料または該第1の導電性粒状材料を含む充填ペーストを開口部に充填するための1対の第1のスキージと、第1の導電性粒状材料の粒径分布とピークが異なる粒径分布を有する第2の導電性粒状材料を含む充填ペーストを該開口部に充填するための1対の第2のスキージとを備える装置が提供される。これら第1のスキージおよび第2のスキージのいずれか一方が、他方の1対のスキージの内側に挟まれて配置されていても、あるいは、他方の1対のスキージの外側に並んで配置されていてもよい。
【0030】
本発明の更に別の要旨によれば、被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填ペーストを充填する装置であって、第1の導電性粒状材料または該第1の導電性粒状材料を含む充填ペーストを収容し、第1のセルの吐出口から吐出して開口部に充填するための第1のセルと、第1の導電性粒状材料の粒径分布とピークが異なる粒径分布を有する第2の導電性粒状材料を含む充填ペーストを収容し、第2のセルの吐出口から吐出して該開口部に充填するための第2のセルとを有するヘッドを備える装置が提供される。これら第1のセルおよび第2のセルのいずれか一方が、1対のセルの形態で構成され、該1対のセルの吐出口の間に、他方のセルの吐出口が位置するように配置され得る。
【0031】
これら本発明の充填装置は、上述のような、ピーク粒径(または平均粒径)の異なる粒状材料を、少なくとも一方は該粒状材料を含む充填ペーストの形態で別々に開口部に充填するタイプの本発明の方法を実施するのに好適に利用され得る。尚、本発明の上記充填装置は、ピーク粒径の異なる2種の粒状材料を充填するための装置に関するが、スキージの数またはセルの数を変更して、3種またはそれ以上のピーク粒径の異なる粒状材料を開口部に充填するように改変することは、当業者には容易に想到され得るであろう。
【0032】
上述のような本発明の充填ペースト、充填方法および充填装置によれば、いずれも従来より低い空隙率を得ることができ、1つの開口部につきより多くの量の粒状材料を充填することが可能となる。
【0033】
本発明の充填ペースト、充填ペーストの充填方法および/または充填装置は、スクリーン版を用いて充填ペーストを被印刷体上に印刷する印刷方法および印刷装置に利用できる。本発明の1つの態様では、「被充填体」をスクリーン版とし、「導電性の粒状材料」をはんだ粒子とし、「充填ペースト」をはんだ粒子とフラックスとを含むクリームはんだとし、被印刷体である基板の上にスクリーン版を配置し、クリームはんだをスクリーン版の開口部に充填し、その後スクリーン版とその下に配置された基板とを離すことによって、クリームはんだを基板上に印刷することができる。この場合、従来のクリームはんだよりも空隙率が小さい(即ち、はんだ粒子の充填率が高い)ため、被充填体であるスクリーン版の厚さを従来より薄くしても、電子部品を十分な強度で接合し得る量のはんだ材料を1つの開口部に供給することができる。例えば、従来は0.12mm程度であったスクリーン版の厚みを0.08mm程度にまで薄くしても、従来と同等の量のはんだ材料を供給することができる。よって、電子部品の接合強度の低下を招くことなく良好な版離れを得ることが可能となり、上述の課題を解決することができる。尚、本明細書において、「はんだ粒子」とははんだ材料からなる個々の粒状物を言うものとし、スズおよび鉛を主成分とするはんだ材料から成るもの、ならびに鉛フリーのはんだ材料から成るものを含むものとする。
【0034】
しかしながら、本発明に言う「充填ペースト」はクリームはんだに限定されず、例えば安定した電気特性、高い接合強度、接合信頼性などを得るために粒状材料を高密度で充填することが望まれる充填ペーストに広く解釈されるべきである。例えば、用語「充填ペースト」は、はんだ粒子を粒状材料として含むクリームはんだのみならず、粒状材料としてカーボン粉末またはグラファイト粉末あるいは銀粉末などを含む導電性ペーストなどを含み得る。
【0035】
また、本発明の充填ペースト、充填方法および充填装置は、被充填体としてスクリーン版を用いて充填ペースト(例えばクリームはんだ)を基板上に印刷する場合に利用され得るが、スクリーン版を用いることなく、被充填体となる回路基板などの開口部および/または凹部に充填ペーストを充填する場合にも利用可能である。例えば、基板に形成されたビアホールなどに導電性ペーストを直接的に充填する場合などにも適用できる。この場合、導電性ペースト導電性粒状材料の充填率を高めることができる。
【0036】
また、導電性の粒子材料は、必ずしも1種の材料から成る必要はなく、種類の異なる材料から成る粒状物を含んでいてもよい。例えば、はんだ材料から成る粒状物(はんだ粒子)と、はんだ材料よりも高融点の金属材料から成る粒状物との混合物を粒状材料として用いることもできる。
【0037】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の1つの実施形態における充填ペーストについて図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の充填ペーストを説明する模式図であり、図1(a)は充填ペーストの1つの理想的な概略模式断面図、図1(b)は充填ペーストに含まれる粒状材料の粒径分布を示す図である。
【0038】
本実施形態の充填ペーストは、図1(a)に示すように、はんだ材料から成るはんだ粒子(後述のはんだ粒子1および2を含む)と、液体のフラックス5とで構成されるクリームはんだである。このはんだ粒子は、図1(b)に示すように、28〜32μmの範囲にある第1のピークAと、10〜16μmの範囲にある第2のピークBとの2つのピークを有する粒径分布を示す。このとき、第2のピークBの粒径は、第1のピークAの粒径の1/3〜1/2の範囲内となる。図1(a)においては、第1のピークAまたはその近傍の粒径を有するはんだ粒子1と、第2のピークBまたはその近傍の粒径を有するはんだ粒子2とを代表的に示すものとする。
【0039】
このようなクリームはんだ(充填ペースト)は、各々ピークの異なる、単峰性の粒径分布を示す2種のはんだ原料をフラックスと共に混合することによって調製することができる。例えば、粒径分布が20〜40μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約28〜32μm(ピークA)であるのはんだ原料Xと、粒径分布が5〜20μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約10〜16μm(ピークB)であるはんだ原料Yとをフラックスと共に混合することによって、本実施形態のクリームはんだを調製することができる。これらは、例えば、はんだ原料XおよびYの粒子数の比が約1:1となるように100質量部のはんだ原料Xに対してはんだ原料Yを5〜20質量部とし、はんだ原料の合計に対するフラックスの体積比を約0.35〜1倍として混合され得る。このようにして得られたクリームはんだは、粒状材料を基準として、20〜40μmの範囲(20μm以上、40μm以下の範囲)にあるはんだ粒子を83〜95質量%で、5〜20μmの範囲(5μm以上、20μm未満の範囲)にあるはんだ粒子を5〜17質量%で含み得る。
【0040】
以上のような本実施形態の充填ペースト(クリームはんだ)は、電子部品を基板に実装するための接合材料として利用でき、例えば図6を参照しながら上述した従来のスクリーン印刷方法および印刷装置により、スクリーン版の開口部に充填して、基板上に印刷することができる。このとき、スクリーン版の開口部の高さ(即ち、スクリーン版の厚さ)が、粒状材料の粒径分布の最大値(本実施形態では40μm)よりも大きいスクリーン版を用いる必要がある。
【0041】
以上のような充填ペーストでは、理想的には図1(a)に示すように、はんだ原料Xに由来する第1のピークAまたはその近傍の粒径を有する粒子1同士の隙間に、はんだ原料Yに由来する第2のピークBまたはその近傍の粒径を有する粒子2が嵌まり込む。本実施形態の充填ペーストによれば、このようにして、より大きな粒子径を有する粒子の間により小さな粒子径を有する粒子が少なくとも部分的に嵌まり込む。このため、従来の空隙率(約0.5)よりも低い、例えば約0.3〜0.4の空隙率を得ることができ、粒状材料であるはんだ粒子の充填率を高くすることができ、具体的には、1つの開口部につき、従来よりも約1.2〜1.4倍の量のはんだ材料を供給することができる。これにより、スクリーン版に設けられた1つの開口部に充填されるはんだ材料の量を維持しつつ、スクリーン版の厚みを従来よりも薄くでき、例えば、従来は0.12mm程度であったスクリーン版の厚みを0.08mm程度にまで薄くしても、従来と同等の量のはんだ材料を供給することができる。よって、大型部品などでも十分な接合強度で基板に接合することができる量のはんだ材料を開口部に供給でき、かつ、小型部品などのための小さな開口部においても充填ペーストの良好な版離れが得られる。従って、本発明の充填ペーストは、特に大型部品および小型部品の混載に良好に用いられ得る。
【0042】
(実施形態2)
本発明のもう1つの実施形態における充填ペーストについて図面を参照しながら説明する。図2は、本実施形態の充填ペーストを説明する模式図である。
【0043】
本実施形態の充填ペーストは、図2(a)に示すように、はんだ材料から成るはんだ粒子(後述のはんだ粒子1、2および3を含む)と、液体のフラックス5とで構成されるクリームはんだである。このはんだ粒子は、図2(b)に示すように、28〜32μmの範囲にある第1のピークAと、10〜16μmの範囲にある第2のピークBと、6〜8μmの範囲にある第3のピークCの3つのピークを有する粒径分布を示す。このとき、第2のピークBの粒径は、第1のピークAの粒径の1/3〜1/2の範囲内となり、第3のピークCの粒径は、第1のピークAの粒径の1/5〜1/4の範囲内となる。図2(a)においては、第1のピークAまたはその近傍の粒径を有するはんだ粒子1と、第2のピークBまたはその近傍の粒径を有するはんだ粒子2と、第3のピークCまたはその近傍の粒径を有するはんだ粒子3とを代表的に示すものとする。
【0044】
このようなクリームはんだ(充填ペースト)は、実施形態1と同様に、各々ピークの異なる、単峰性の粒径分布を示す3種のはんだ原料をフラックスと共に混合することによって調製することができる。例えば、粒径分布が20〜40μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約28〜32μm(ピークA)であるはんだ原料Xと、粒径分布が10〜20μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約10〜16μm(ピークB)であるはんだ原料Y’と、粒径分布が5〜10μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約6〜8μm(ピークC)であるはんだ原料Zとをフラックスと共に混合することによって、本実施形態のクリームはんだを調製することができる。これらは、例えば、はんだ原料X、Y’およびZの粒子数の比が約1:1:2となるように100質量部のはんだ原料Xに対してはんだ原料Y’を3〜15質量部で、はんだ原料Zを5〜20質量部とし、はんだ原料の合計に対するフラックスの体積比を約0.25〜1倍として混合され得る。このようにして得られたクリームはんだは、粒状材料を基準として、20〜40μmの範囲(20μm以上、40μm以下の範囲)にあるはんだ粒子を94〜70質量%で、10〜20μmの範囲(10μm以上、20μm未満の範囲)にあるはんだ粒子を2〜13質量%で、5〜10μmの範囲(5μm以上、10μm未満の範囲)にあるはんだ粒子を4〜17質量%で含み得る。
【0045】
以上のような本実施形態の充填ペースト(クリームはんだ)もまた実施形態1と同様に、電子部品を基板に実装するための接合材料として利用でき、例えば図6を参照しながら上述した従来のスクリーン印刷方法および印刷装置により、スクリーン版の開口部に充填して、基板上に印刷することができる。
【0046】
以上のような充填ペーストでは、理想的には図2(a)に示すように、はんだ原料Xに由来する第1のピークAまたはその近傍の粒径を有する粒子1同士の隙間に、はんだ原料Y’に由来する第2のピークBまたはその近傍の粒径を有する粒子2が嵌まり込み、更に、はんだ原料Xに由来する第1のピークAまたはその近傍の粒径を有する粒子1とはんだ原料Yに由来する第2のピークBまたはその近傍の粒径を有する粒子2との隙間に、はんだ原料Zに由来する第3のピークCまたはその近傍の粒径を有する粒子3が嵌まり込む。本実施形態の充填ペーストによれば、このようにして、より大きな粒子径を有する粒子の間により小さな粒子径を有する粒子が少なくとも部分的に嵌まり込む。このため、実施形態1の空隙率よりも低い、例えば約0.2〜0.3の空隙率を得ることができ、粒状材料であるはんだ粒子の充填率を更に高くすることができ、具体的には、1つの開口部につき、従来よりも約1.4〜1.6倍の量のはんだ材料を供給することができる。これにより、スクリーン版に設けられた1つの開口部に充填されるはんだ材料の量を維持しつつ、スクリーン版の厚みを従来よりも薄くでき、例えば、従来は0.12mm程度であったスクリーン版の厚みを0.07mm程度にまで更に薄くしても、従来と同等の量のはんだ材料を供給することができる。本実施態様によれば、実施形態1の充填ペーストよりも高い効果を得ることが可能となる。
【0047】
(実施形態3)
本発明の1つの実施形態における充填ペーストの充填方法および充填装置として、充填ペーストの印刷方法および印刷装置について図面を参照しながら以下に説明する。尚、図6を参照しながら上述した従来の印刷方法および印刷装置と異なる点を中心に説明するものとする。
【0048】
本実施形態の印刷装置は、図6を参照しながら上述した従来の印刷装置に、1対のスキージの内側にて、該1対のスキージにより挟まれて配置された別のもう1対のスキージを更に備える点で異なる。より詳細には、本実施形態の印刷装置は、図3に示すように、被印刷体である基板11を固定する固定ブロック12と、開口部(図示せず)が所定のパターンに従って設けられたスクリーン版13と、固定ブロック12を上下に移動させる昇降ステージ14と、スクリーン版13の上に供給される第1のクリームはんだ(充填ペースト)15および第2のクリームはんだ(充填ペースト)17をスクリーン版13の開口部にそれぞれ充填するための、1対の第1のスキージ16aおよび16bならびに1対の第2のスキージ18aおよび18bとを備える。第1のスキージ16aおよび16bならびに第2のスキージ18aおよび18bは、モーター(図示せず)などの駆動によりスクリーン版3の上方で左右に往復運動可能であり、第1のスキージ16aおよび16bが第2のスキージ18aおよび18bの内側にて第2のスキージ18aおよび18bに挟まれるように配置される。
【0049】
このような印刷装置を用いる印刷方法について以下に説明する。本実施形態においては、スクリーン版13の厚さは約80〜90μmとし、第1のクリームはんだ15に含まれる第1の導電性粒状材料および第2のクリームはんだ17に含まれる第2の導電性粒状材料には、実施形態1の充填ペーストを調製するために例示したはんだ原料XおよびYをそれぞれ用いるものとする。即ち、第1のクリームはんだ15に含まれる第1の導電性粒状材料(はんだ原料X)は、粒径分布が20〜40μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約28〜32μmであるはんだ粉末とし、第2のクリームはんだ17に含まれる第2の導電性粒状材料(はんだ原料Y)は、粒径分布が5〜20μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約10〜16μmであるはんだ粉末とする。第1のクリームはんだ15および第2のクリームはんだ17には、はんだ粉末とフラックスを例えば1:1の体積比で各々混合したものを用い得る。このとき、第2の導電性粒状材料のピークの粒径は、第1の導電性粒状材料のピークの粒径の1/3〜1/2となる。
【0050】
まず、従来と同様にして昇降ステージ14を用いてスクリーン版13の下に基板11を接触して配置する。このとき図3では、スキージ16a、16b、18aおよび18bがスクリーン版13の左側端部の上に位置し、左側端部から右側端部に向かう右方向20に移動するように準備されており、また、第1のクリームはんだ15を第1のスキージ16aおよび16bの間に供給し、第2のクリームはんだ17をクリームはんだ17aおよび17bとして第1のスキージ16aと第2のスキージ18aとの間ならびに第1のスキージ16bと第2のスキージ18bとの間にそれぞれ供給されている。その後、第1のスキージ16aおよび16bと第2のスキージ18aおよび18bをスクリーン版13に各々圧接させた状態で右方向20に移動させる。この結果、まず、第1のクリームはんだ15がローリングしながら移動してスクリーン版13の開口部に充填され、次いで、第2のクリームはんだ17aが同様にして開口部に充填される。他方、第2のクリームはんだ17bは、スキージ16bにより掬い上げられつつスクリーン版13の上を移動するので、押圧力を受けず、スクリーン版13の開口部にほとんど充填されない。
【0051】
このとき、開口部に充填されるクリームはんだ15および17aのはんだ粒子の充填率をできるだけ高くするように、スキージ16aおよび18aの押圧力や移動速度などを適宜調節する。具体的には、ピーク粒径の小さいほうの導電性粒状材料(本実施形態では第2のクリームはんだ17)を充填するためのスキージ(本実施形態ではスキージ18)の押圧力(または印圧)をより高くし、そのスキージ角度をより小さくすることが好ましい。これにより、実施形態1の充填ペーストを従来の方法および装置により充填(または印刷)した場合と同程度の高い充填率を得ることができる。
【0052】
その後、昇降ステージ14によりスクリーン版13から基板1を離すと、クリームはんだ15および17が混合された状態で基板11上に印刷される。
【0053】
以上、第1のスキージ16aおよび16bならびに第2のスキージ18aおよび18bが右方向20に移動する場合について説明したが、第1のスキージ16aおよび16bならびに第2のスキージ18aおよび18bが左方向21に移動する場合には、まず、クリームはんだ15がスクリーン版13の開口部に充填され、次いで、クリームはんだ17bが充填されるので、クリームはんだ15および17の充填順序は、スキージ16a、16b、18aおよび18bが右方向20および左方向21のいずれに移動するかにかかわらず同じである。
【0054】
本実施形態によれば、実施形態1の充填ペーストを従来の方法および装置により充填(または印刷)した場合と同程度の充填率を得ることができ、実施形態1と同様の効果を奏し得る。
【0055】
尚、本実施形態の装置および/または方法には種々の改変がなされ得ることが理解されよう。例えば、本実施形態においてはスクリーン版の開口部に第1の導電性粒状材料を含む充填ペーストを充填してから第2の導電性粒状材料を含む充填ペーストを充填しているが、本発明はこれに限定されず、充填する順序を逆にしてもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、2対のスキージを用いてピークの異なる2種の導電性粒状材料をそれぞれ含む充填ペーストを充填しているが、重なって配置された3対またはそれ以上のスキージを用いてピーク粒径の異なる3種またはそれ以上の導電性粒状材料をそれぞれ含む充填ペーストをそれぞれ充填するようにしてもよい。例えば、3種の導電性粒状材料をそれぞれ含む充填ペーストを利用する場合、実施形態2の充填ペーストを調製するために例示したはんだ原料X、Y’およびZを第1、第2および第3の導電性粒状材料としてそれぞれ含むクリームはんだを用いることができる。即ち、第1の導電性粒状材料(はんだ原料X)は、粒径分布が20〜40μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約28〜32μmであるはんだ粉末とし、第2の導電性粒状材料(はんだ原料Y’)は、粒径分布が10〜20μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約10〜16μmであるはんだ粉末とし、第3の導電性粒状材料(はんだ原料Z)は、粒径分布が5〜10μmの範囲に亘り、そのピーク粒径(および平均粒径)が約6〜8μmであるはんだ粉末とする。クリームはんだには、はんだ粉末とフラックスを例えば1:1の体積比で各々混合したものを用い得る。このとき、第2の導電性粒状材料のピークの粒径は、第1の導電性粒状材料のピークの粒径の1/3〜1/2となり、第3の導電性粒状材料のピークの粒径は、第1の導電性材料のピークの粒径の1/5〜1/4となる。
【0057】
更に、ピーク粒径の異なる2種もしくは3種またはそれ以上の導電性粒状材料は、少なくとも1種のみが充填ペーストの形態であればよく、他の粒状材料をそのままの形態で(即ちペースト状にすることなく、粉末の形態で)用いるようにしてもよい。例えば、第1の導電性粒状材料および第2の導電性粒状材料のいずれか一方を充填ペーストの形態で開口部に充填し、他方をそのままの形態で開口部に充填することができる。より低い空隙率(即ちより高い充填率)を得るためには、まずピーク粒径の大きいほうの導電性材料(本実施形態では第1の導電性材料)をそのままの(即ち粉末)の形態で開口部に充填し、次いでピーク粒径のより小さいほうの導電性粒状材料を充填ペーストの形態で開口部に充填することが好ましいが、まずピーク粒径の小さいほうの導電性材料をそのままのの形態で開口部に充填し、次いでピーク粒径のより大きいほうの導電性粒状材料を充填ペーストの形態で開口部に充填するようにしてもよい。
【0058】
(実施形態4)
本実施形態の装置は、実施形態3の装置を改変したものであり、図4に示すように、1対の第1のスキージ16aおよび16bが、1対の第2のスキージ18aおよび18bの外側にて第2のスキージ18aおよび18bと並んで配置される点を除いて実施形態3の装置と同様である。尚、図4において、図3と同様の部材には同様の参照符号を付すものとし、説明を省略する。
【0059】
本実施形態の装置を用いる場合にも、実施形態3と同様にしてスキージ16aおよび16bならびに第2のスキージ18aおよび18bを移動させて、クリームはんだなどの充填ペーストを基板の上に印刷することができる。しかし、本実施形態では、第1のスキージ16aおよび16bならびに第2のスキージ18aおよび18bが右方向20に向かって移動するときは、スクリーン版13の開口部(図示せず)に、まず第2の導電性粒状材料を含む充填ペースト17が充填され、次いで第1の導電性粒状材料を含む充填ペースト15が充填され、第1のスキージ16aおよび16bならびに第2のスキージ18aおよび18bが左方向21に向かって移動するときは、まず第1の導電性粒状材料を含む充填ペースト15が充填され、次いで第2の導電性粒状材料を含む充填ペースト17が充填される。このため、スキージの移動方向(右方向および左方向のいずれか)によって導電性粒状材料の充填順序が逆となるが、基板上に印刷された後の充填ペーストにおける導電性粒状材料の充填率(または空隙率)に及ぼされる影響は無視できる程度である。従って、本実施形態の装置を用いてスクリーン版の開口部に充填され、基板上に印刷された充填ペーストもまた、従来よりも高い導電性粒状材料の充填率を有し、実施形態3の場合と同様の効果を奏することができる。
【0060】
また、本実施形態についても上述の実施形態3と同様に種々の改変がなされ得る。例えば、本実施形態では2対のスキージを用いてピークの異なる2種の導電性粒状材料をそれぞれ含む充填ペーストを充填しているが、横に並んで配置された3対またはそれ以上のスキージを用いてピーク粒径の異なる3種またはそれ以上の導電性粒状材料をそれぞれ含む充填ペーストをそれぞれ充填するようにしてもよい。更に、ピーク粒径の異なる2種もしくは3種またはそれ以上の導電性粒状材料は、少なくとも1種のみが充填ペーストの形態であればよく、他の粒状材料をそのままの形態で(即ちペースト状にすることなく)用いるようにしてもよいが、より低い空隙率を得るためには、まずピーク粒径の大きいほうの導電性材料(本実施形態では第1の導電性材料)をそのままの(即ち粉末)の形態で開口部に充填し、次いでピーク粒径のより小さいほうの導電性粒状材料を充填ペーストの形態で開口部に充填することが好ましい。
【0061】
(実施形態5)
本発明のもう1つの実施形態における充填ペーストの充填方法および充填装置として、充填ペーストの印刷方法および印刷装置について図面を参照しながら以下に説明する。尚、図6を参照しながら上述した従来の印刷方法および印刷装置と異なる点を中心に説明するものとし、実施形態3と同様の部材には同様の番号を付し、特に説明のない限り実施形態3と同様とする。
【0062】
図5に示す本実施形態の印刷装置は、上述のようなスキージの代わりに密閉式のヘッド30(これは本実施形態においては印刷用ヘッドであるが、本発明はこれに限定されない)を用いるものである。このヘッド30においては、1対の第1のセル31aおよび31bならびに第2のセル32が、1対の第1のセル31aおよび31bの各吐出口の間に、第2のセル32の吐出口が位置するようにストライプ状に配置されている。この第1のセル31aおよび31bには、第1の導電性粒状材料を含む充填ペースト、例えば上記の第1のクリームはんだ15がクリームはんだ15aおよび15bとして収容されており、第2のセル32には、第2の導電性粒状材料を含む充填ペースト、例えば上記の第2のクリームはんだ17が収容されている。
【0063】
このようなヘッド30を用いても、クリームはんだなどの充填ペーストをスクリーン版の開口部に充填して、基板上に印刷することができる。本実施形態では、ヘッド30が右方向20に向かって移動するときは、第1のセル31b内の第1のクリームはんだ15bおよび第2のセル32内の第2のクリームはんだ17に圧力をかけて吐出させる。このとき、第1のセル31b内の第1のクリームはんだ15aには圧力をかけない。これにより、スクリーン版13の開口部(図示せず)に、まず第1のクリームはんだ(第1の導電性粒状材料を含む充填ペースト)15bが充填され、次いで第2のクリームはんだ(第2の導電性粒状材料を含む充填ペースト)17が充填される。その後、スクリーン版13と基板11とを離すと、クリームはんだ15および17が混合された状態で基板11上に印刷される。
【0064】
また、ヘッド30が、左方向21に向かって移動するときは、第1のセル31a内の第1のクリームはんだ15aおよび第2のセル32内の第2のクリームはんだ17に圧力をかけて吐出させることによって、上記と同様にスクリーン版13の開口部(図示せず)に、まず第1のクリームはんだ(第1の導電性粒状材料を含む充填ペースト)15aが充填され、次いで第2のクリームはんだ(第2の導電性粒状材料を含む充填ペースト)17が充填される。その後、スクリーン版13と基板11とを離すとクリームはんだ15および17が混合された状態で基板11上に印刷される。
【0065】
本実施形態によっても、実施形態1の充填ペーストを従来の方法および装置により充填(または印刷)した場合と同程度の充填率を得ることができ、実施形態1と同様の効果を奏し得る。
【0066】
尚、本実施形態の装置および/または方法についても、実施形態3にて上述したような種々の改変がなされ得ることが理解されよう。例えば、本実施形態においてはスクリーン版の開口部に第1の導電性粒状材料を含む充填ペーストを充填してから第2の導電性粒状材料を含む充填ペーストを充填しているが、本発明はこれに限定されず、充填する順序を逆にしてもよい。また、本実施形態においては、ピークの異なる2種の導電性粒状材料をそれぞれ含む充填ペーストを充填しているが、ピーク粒径の異なる3種またはそれ以上の導電性粒状材料をそれぞれ含む充填ペーストをそれぞれ充填するようにしてもよい。更に、ピーク粒径の異なる2種もしくは3種またはそれ以上の導電性粒状材料は、少なくとも1種のみが充填ペーストの形態であればよく、他の粒状材料をそのままの形態で(即ちペースト状にすることなく、粉末の形態で)用いるようにしてもよい。
【0067】
以上、本発明の種々の実施形態として、スクリーン版(被充填体)の開口部に充填ペーストを充填し、スクリーン版とその下に配置された基板(被印刷体)とを離すことによって充填ペーストを基板上に印刷する場合について詳述したが、本発明はこれに限定されず、被充填体の開口部(または凹部)に充填ペーストを充填する場合に広く適用し得ることが当業者には明白であろう。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、電子部品を基板に接合するために利用され、基板上にスクリーン印刷され得る充填ペーストであって、電子部品の接合強度の低下を招くことなく良好な版離れが得られる充填ペーストならびに充填ペーストの充填方法および充填装置が提供される。本発明によれば、はんだ材料から成るはんだ粒子などの粒状材料の充填率を高くすることができるので、本発明において充填ペーストとしてクリームはんだを用いれば、スクリーン版に設けられた1つの開口部に充填されるはんだ材料の量を維持しつつ、スクリーン版の厚みを従来よりも薄くできる。よって、大型部品などでも十分な接合強度で基板に接合することができる量のはんだ材料を開口部に供給でき、かつ、小型部品などのための小さな開口部においても充填ペーストの良好な版離れが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の1つの実施形態における充填ペーストを説明する図であり、図1(a)は充填ペーストの1つの理想的な概略模式断面図、図1(b)は充填ペーストに含まれる粒状材料の粒径分布を示す図である。
【図2】 本発明のもう1つの実施形態における充填ペーストを説明する図であり、図2(a)は充填ペーストの1つの理想的な概略模式断面図、図2(b)は充填ペーストに含まれる粒状材料の粒径分布を示す図である。
【図3】 本発明の1つの実施形態における充填ペーストの印刷装置の概略模式図である。
【図4】 本発明の別の実施形態における充填ペーストの印刷装置の概略模式図である。
【図5】 本発明の更に別の実施形態における充填ペーストの印刷装置のる概略模式図である。
【図6】 従来の印刷装置の概略断面図である。
【図7】 従来の充填ペーストを説明する図であり、図7(a)は充填ペーストの概略模式断面図、図7(b)は充填ペーストに含まれる粒状材料の粒径分布を示す図である。
【符号の説明】
1、2、3 はんだ粒子
5 フラックス
A 第1のピーク
B 第2のピーク
C 第3のピーク
11 基板(被印刷体)
12 固定ブロック
13 スクリーン版(被充填体)
14 昇降ステージ
15、15a、15b 第1のクリームはんだ(第1の導電性粒状材料を含む充填ペースト)
16a、16b 第1のスキージ
17、17a、17b 第2のクリームはんだ(第2の導電性粒状材料を含む充填ペースト)
18a、18b 第2のスキージ
20 右方向
21 左方向
30 ヘッド
31a、31b 第1のセル
32 第2のセル
Claims (6)
- 被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填ペーストを充填する方法であって、
第1の導電性粒状材料を含む第1の充填ペーストを開口部に押圧して充填する第1工程と、
その後、第1の導電性粒状材料の粒径分布のピークの1/3〜1/2の粒径分布のピークを有する第2の導電性粒状材料を含む第2の充填ペーストを該開口部に、前記第1工程における押圧力より高い押圧力で充填する第2工程と
を含む方法。 - 第1の導電性粒状材料のピークの粒径が28〜32μmの範囲にあり、第2の導電性粒状材料のピークの粒径が10〜16μmの範囲にある、請求項1に記載の方法。
- 粒状材料がはんだ材料から成る、請求項1または2に記載の方法。
- 被充填体に所定のパターンで設けられた開口部に充填ペーストを充填する装置であって、
第1の導電性粒状材料を含む第1の充填ペーストを開口部に押圧して充填するための1対の第1のスキージと、
第1の導電性粒状材料の粒径分布のピークの1/3〜1/2の粒径分布のピークを有する第2の導電性粒状材料を含む第2の充填ペーストを、前記第1のスキージによる前記第1の充填ペーストの充填後に、より高い押圧力で該開口部に充填するための1対の第2のスキージと
を備える装置。 - 第1のスキージおよび第2のスキージの一方が、他方の1対のスキージの内側に挟まれて配置される、請求項4に記載の装置。
- 第1のスキージおよび第2のスキージの一方が、他方の1対のスキージの外側に並んで配置される、請求項4に記載の装置。
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