JP4766085B2 - テープドライブ装置、記録媒体、及び記録再生方法 - Google Patents

テープドライブ装置、記録媒体、及び記録再生方法 Download PDF

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Description

本発明は、磁気テープに記録されているデータの保守を目的とするテープドライブ装置、記録媒体、及び記録再生方法に関するものである。
同一の記録エリアにおいて、一度だけのデータ記録を行うことができるようにされている記録媒体が知られている。このような記録媒体は記録を行った後は追加記録または再生専用の記録媒体として用いられるので、例えばWORM(Write Once Read Many)と呼ばれている。このWORMとしては、例えば光ディスクとされるCD−Rなどが知られており、ディスクの記録面に物理的にビットを形成することによってデータの記録が行われる。したがって、記録されているデータに対して改変を行うことができないので、データの保守性に優れたものとされる。
ところで、最近ではデジタルデータを磁気テープに記録/再生することのできるドライブ装置として、いわゆるテープストリーマドライブが普及してきている。このようなテープストリーマドライブは、記録媒体とされるテープカセットのテープ長にもよるが、例えば数十〜数百ギガバイト程度の膨大な記録容量を有することが可能であり、このため、コンピュータ本体のハードディスク等のメディアに記録されたデータをバックアップするなどの用途に広く利用されている。また、データサイズの大きい画像データ等の保存に利用する場合にも好適とされている。
また、この磁気テープはCD−Rよりも大容量とされるので、記録媒体の全記録容量に対するビットの単価を安くすることができることから、テープカセットを前記したWORMの記録媒体として用いることが考えられている。
しかし、テープカセットはテープドライブ装置に装填された状態で例えば誤操作が行われることによって、磁気テープに記録されているデータが消去されてしまう場合がある。また、記録されているデータを意図的に書き換えることができるので、重要なデータの保守性に優れたものではないという問題がある。
本発明はこのような問題点を解決するために、テープカセットに収納された磁気テープに情報の記録及び/または再生を行なうことができるテープドライブ手段と、前記磁気テープへの記録及び/または再生を管理するとともに前記テープカセットを識別するための管理情報を記憶するメモリに対して所要の通信処理を行い、前記管理情報の読み出し及び/または書込みを行なうことができるメモリドライブ手段と、前記メモリのユーザが改変することができない読み出し専用の領域から、前記磁気テープに、制約なしの記録再生可能、追加記録または再生のみ可能とする用途を含む前記管理情報の1つである用途識別情報を検出する用途識別情報検出手段と、前記磁気テープには、前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報と同一のものが記録されており、所要の動作コマンドに対して、前記用途識別情報と前記磁気テープの前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報とに基づいて前記磁気テープに対する動作を行う制御手段とを備えてテープドライブ装置を構成する。
前記制御手段は、前記用途識別情報に基づいて、前記磁気テープに対するデータの記録及び/または再生を行う。
また、前記制御手段は、前記用途識別情報が追加記録または再生のみ可能とされ、これに基づいて、前記磁気テープに対する追加記録を行う場合、前記磁気テープにおける最終記録位置が追加記録の開始位置となるように制御する。
また、前記メモリに記憶されている前記テープカセットを識別する管理情報を検出する第一の識別情報検出手段と、前記磁気テープに記憶されている前記テープカセットを識別する管理情報を検出する第二の識別情報検出手段と、前記第一、第二の識別情報検出手段によって検出された二個の識別情報が一致しているか否かを判別する識別情報判別手段と、前記識別情報判別手段の判別結果に基づいて特定の動作のみを実行させることができる制御手段と、を備える。
本発明の磁気テープが収納されたテープカセットと、前記テープカセットに備えられ、前記磁気テープに対する記録または再生を管理するとともに前記テープカセットを識別するための管理情報を記憶するメモリと、を備えた記録媒体は、前記メモリのユーザが改変することができない読み出し専用の領域には、前記テープカセットに対応した用途を示す、管理情報の1つである用途識別情報が記憶されている。
また、前記メモリ及び前記磁気テープに前記テープカセットの識別情報が記憶されている。
また、前記用途識別情報は、前記磁気テープに対して追加記録及び/または再生のみ可能とされている。
本発明の記録再生方法は、テープカセットに収容された磁気テープに情報の記録及び/または再生を行なう際に、前記磁気テープへの記録及び/または再生を管理するとともに前記テープカセットを識別するための管理情報を記憶するメモリに対して、所要の通信処理により前記管理情報の読み出し及び/または書込みを行ない、前記メモリのユーザが改変することができない読み出し専用の領域から、前記磁気テープに、制約なしの記録再生可能、追加記録または再生のみ可能、とする用途を含む前記管理情報の1つである用途識別情報を検出し、前記磁気テープには、前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報と同一のものが記録されており、所要の動作コマンドに対して、前記用途識別情報と前記磁気テープの前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報とに基づいて前記磁気テープに対する記録及び/または再生動作を行う。
以上、説明したように本発明のテープドライブ装置は、テープカセットに備えられているメモリ(MIC)から用途識別情報を読み出し、この用途識別情報に基づいてテープカセットに対する動作を制御するようにしている。
これにより、例えば記録動作としては、既に磁気テープに記録されているデータに対する上書きや消去を行わずに、記録最終位置からの追加記録のみを行うことができるようになる。したがって、テープドライブ装置によって既存の記録データを改変させないようにすることができる。
また、記録を行う場合に、磁気テープ上に記録データと共に例えばメモリに記憶されているテープカセットのシリアルナンバなどとされる識別情報を記録するようにしているので、テープカセットに対して磁気テープとメモリに共通の情報を持たせることができるようになる。
さらに、用途識別情報に基づいて磁気テープに対して再生動作のみを可能とするようにしているので、記録データの保護を実現することができるようになる。
また、本発明のテープドライブ装置としては、テープカセットにおいて磁気テープ及びメモリに記録されている、例えばテープカセットのシリアルナンバなどとされる識別情報の比較を行い、この比較結果に基づいて特定の所定の動作を実行することができるようにしている。したがって、磁気テープ、メモリ双方の識別情報が同一のものである場合のみに磁気テープに対する再生や記録を行うことができるようになる。これにより、例えば磁気テープ又はメモリが交換されたテープカセットに対して、記録データの保護を実現することができる。
また、本発明の記録媒体は、メモリ(MIC)にテープカセットの用途を指示する用途識別情報が記憶されている。したがって、装填されたテープドライブ装置に対して当該記録媒体の用途を示すことができ、テープドライブ装置に対して前記用途に対応した動作を実行させるようにすることができるようになる。さらに、前記用途識別情報は前記メモリにおいて読み出し専用とされる領域に記憶されているので、前記用途識別情報の内容を改変することによって記録媒体の用途を改変させないようにすることができる。
さらに、メモリ及び磁気テープにテープカセットのシリアルナンバなどとされている識別情報が記憶されている。つまり、メモリと磁気テープに共通とされる同一の情報が記憶され、同一のテープカセットに備えられるメモリと磁気テープを対応させることができるようになる。したがって、例えばメモリが他のテープカセットに挿げ替えられた場合、識別情報が一致しなくなる。このような場合、テープドライブ装置では、例えば記録、再生動作に制約を与えることによって、記録データを開示させないようにしたり、または記録データの改変するための消去、上書き動作などを実行させないようにすることが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
ここで、先に本出願人により不揮発性メモリが設けられたテープカセット及び、このメモリ付きテープカセットに対応してデジタルデータの記録/再生が可能とされるテープドライブ装置(テープストリーマドライブ)についての発明が各種提案されているが、本実施の形態は、本発明をメモリ付きテープカセット及びテープストリーマドライブからなるデータストレージシステムに適用したものとされる。
説明は以下の順序で行う。
1.テープカセットの構成
2.リモートメモリチップの構成
3.テープストリーマドライブの構成
4.磁気テープ上のデータ構成
5.IDエリア
6.リモートメモリチップのデータ構造
7.WORMに対応した動作制御
1.テープカセットの構成
先ず、本例のテープストリーマドライブに対応するテープカセットについて図3及び図4を参照して説明する。
図3(a)は、リモートメモリチップが配されたテープカセットの内部構造を概念的に示すものである。この図に示すテープカセット1の内部にはリール2A及び2Bが設けられ、このリール2A及び2B間にテープ幅8mmの磁気テープ3が巻装される。
そして、このテープカセット1には不揮発性メモリ及びその制御回路系等を内蔵したリモートメモリチップ4が設けられている。またこのリモートメモリチップ4は後述するテープストリーマドライブにおけるリモートメモリインターフェース30と無線通信によりデータ伝送を行うことができるものとされ、このためのアンテナ5が設けられている。
詳しくは後述するが、リモートメモリチップ4には、テープカセットごとの製造情報やシリアル番号情報、テープの厚さや長さ、材質、各パーティションごとの記録データの使用履歴等に関連する情報、ユーザ情報等が記憶される。
なお、本明細書では上記リモートメモリチップ4に格納される各種情報は、主として磁気テープ3に対する記録/再生の各種管理のために用いられることから、これらを一括して『管理情報』とも言うことにする。
このようにテープカセット筐体内に不揮発性メモリを設け、その不揮発性メモリに管理情報を記憶させ、またこのテープカセットに対応するテープストリーマドライブでは、不揮発性メモリに対する書込/読出のためのインターフェースを備えるようにし、不揮発性メモリに対して磁気テープに対するデータ記録再生に関する管理情報の読出や書込を行うことで、磁気テープ3に対する記録再生動作を効率的に行うことができる。
例えばローディング/アンローディングの際に磁気テープを例えばテープトップまで巻き戻す必要はなく、即ち途中の位置でも、ローディング、及びアンローディング可能とすることができる。またデータの編集なども不揮発性メモリ上での管理情報の書換で実行できる。さらにテープ上でより多数のパーティションを設定し、かつ適切に管理することも容易となる。
また図3(b)は、接触型メモリ104(不揮発性メモリ)が内蔵されたテープカセット1を示している。
この場合、接触型メモリ104のモジュールからは5個の端子105A、105B、105C、105D、105Eが導出され、それぞれ電源端子、データ入力端子、クロック入力端子、アース端子、予備端子等として構成されている。
この接触型メモリ104内のデータとしては、上記リモートメモリチップ4と同様の管理情報が記憶される。
なお、以降の説明でリモートメモリチップ4と接触型メモリ104の双方を示す場合は、MIC(Memory In Cassette)ということにする。
図4は、図3(a)又は(b)のテープカセット1の外観例を示すものとされ、筺体全体は上側ケース6a、下側ケース6b、及びガードパネル8からなり、通常の8ミリVTRに用いられるテープカセットの構成と基本的には同様となっている。
このテープカセット1の側面のラベル面9の近傍には、端子部106が設けられている。
これは図3(b)の接触型メモリ104を内蔵したタイプのテープカセットにおいて電極端子が配される部位とされるもので、端子ピン106A、106B、106C、106D、106Eが設けられている。そしてこれら端子ピンが、上記図3(b)2に示した各端子105A、105B、105C、105D、105Eとそれぞれ接続されている。すなわち、接触型メモリ104を有するテープカセット1は、テープストリーマドライブとの間で、上記端子ピン106A、106B、106C、106D、106Eを介して物理的に接触してデータ信号等の相互伝送が行われるものとされる。
一方、図3(a)のように非接触のリモートメモリチップ4を内蔵するタイプでは、当然ながら端子ピンは不要となる。しかしながら外観形状としては図4のようになり、つまり装置に対するテープカセット形状の互換性を保つためにダミーの端子部106が設けられている。
また、図示しないがラベル状に形成された非接触型のリモートメモリチップも知られている。これは、リモートメモリチップが形成されているラベルをテープカセット1び筐体の所要の位置に貼り付けられたものとされる。これにより、テープカセット1がテープストリーマドライブ10に装填された場合に、リモートメモリチップとテープストリーマドライブのメモリドライブ手段が通信を行うことができる。
2.リモートメモリチップの構成
リモートメモリチップ4の内部構成を図5に示す。
例えばリモートメモリチップ4は半導体ICとして図5に示すようにパワー回路4a、RF処理部4b、コントローラ4c、EEP−ROM4dを有するものとされる。そして例えばこのようなリモートメモリチップ4がテープカセット1の内部に固定されたプリント基板上にマウントとされ、プリント基板上の銅箔部分でアンテナ5を形成する。
このリモートメモリチップ4は非接触にて外部から電力供給を受ける構成とされる。後述するテープストリーマドライブ10との間の通信は、例えば13MHz帯の搬送波を用いるが、テープストリーマドライブ10からの電波をアンテナ5で受信することで、パワー回路4aが13MHz帯の搬送波を直流電力に変換する。そしてその直流電力を動作電源としてRF処理部4b、コントローラ4c、EEP−ROM4dに供給する。
RF処理部4bは受信された情報の復調及び送信する情報の変調を行う。
コントローラ4cはRF処理部4bからの受信信号のデコード、及びデコードされた情報(コマンド)に応じた処理、例えばEEP−ROM4dに対する書込・読出処理などを実行制御する。
即ちリモートメモリチップ4はテープストリーマドライブ10やライブラリ装置50からの電波が受信されることでパワーオン状態となり、コントローラ4cが搬送波に重畳されたコマンドによって指示された処理を実行して不揮発性メモリであるEEP−ROM4dのデータを管理する。
3.テープストリーマドライブの構成
次に図1により、図3(a)に示したリモートメモリチップ4を搭載したテープカセット1に対応するテープストリーマドライブ10の構成について説明する。このテープストリーマドライブ10は、上記テープカセット1の磁気テープ3に対して、ヘリカルスキャン方式により記録/再生を行うようにされている。
この図において回転ドラム11には、例えば2つの記録ヘッド12A、12B及び3つの再生ヘッド13A、13B、13Cが設けられる。
記録ヘッド12A、12Bは互いにアジマス角の異なる2つのギャップが究めて近接して配置される構造となっている。再生ヘッド13A、13B、13Bもそれぞれ所定のアジマス角とされる。
回転ドラム11はドラムモータ14Aにより回転されると共に、テープカセット1から引き出された磁気テープ3が巻き付けられる。また、磁気テープ3は、キャプスタンモータ14B及び図示しないピンチローラにより送られる。また磁気テープ3は上述したようにリール2A,2Bに巻装されているが、リール2A,2Bはそれぞれリールモータ14C、14Dによりそれぞれ順方向及び逆方向に回転される。
ローディングモータ14Eは、図示しないローディング機構を駆動し、磁気テープ3の回転ドラム11へのローディング/アンローディングを実行する。
イジェクトモータ28はテープカセット1の装填機構を駆動するモータであり、挿入されたテープカセット1の着座およびテープカセット1の排出動作を実行させる。
ドラムモータ14A、キャプスタンモータ14B、リールモータ14C、14D、ローディングモータ14E、イジェクトモータ28はそれぞれメカドライバ17からの電力印加により回転駆動される。メカドライバ17はサーボコントローラ16からの制御に基づいて各モータを駆動する。サーボコントローラ16は各モータの回転速度制御を行って通常の記録再生時の走行や高速再生時のテープ走行、早送り、巻き戻し時のテープ走行などを実行させる。
なおEEP−ROM18にはサーボコントローラ16が各モータのサーボ制御に用いる定数等が格納されている。
サーボコントローラ16が各モータのサーボ制御を実行するために、ドラムモータ14A、キャプスタンモータ14B、Tリールモータ14C、Sリールモータ14DにはそれぞれFG(周波数発生器)が設けられており、各モータの回転情報が検出できるようにしている。即ちドラムモータ14Aの回転に同期した周波数パルスを発生させるドラムFG29A、キャプスタンモータ14Bの回転に同期した周波数パルスを発生させるキャプスタンFG29B、Tリールモータ14Cの回転に同期した周波数パルスを発生させるTリールFG29C、Sリールモータ14Dの回転に同期した周波数パルスを発生させるSリールFG29Dが形成され、これらの出力(FGパルス)がサーボコントローラ16に供給される。
サーボコントローラ16はこれらのFGパルスに基づいて各モータの回転速度を判別することで、各モータの回転動作について目的とする回転速度との誤差を検出し、その誤差分に相当する印加電力制御をメカドライバ17に対して行うことで、閉ループによる回転速度制御を実現することができる。従って、記録/再生時の通常走行や、高速サーチ、早送り、巻き戻しなどの各種動作時に、サーボコントローラ16はそれぞれの動作に応じた目標回転速度により各モータが回転されるように制御を行うことができる。
また、サーボコントローラ16はインターフェースコントローラ/ECCフォーマター22(以下、IF/ECCコントローラという)を介してシステム全体の制御処理を実行するシステムコントローラ15と双方向に接続されている。
このテープストリーマドライブ10においては、データの入出力にSCSIインターフェイス20が用いられている。例えばデータ記録時にはホストコンピュータ40から、固定長のレコード(record)という伝送データ単位によりSCSIインターフェイス20を介して逐次データが入力され、SCSIバッファコントローラ26を介して圧縮/伸長回路21に供給される。SCSIバッファコントローラ26はSCSIインターフェース20のデータ転送を制御するようにされている。SCSIバッファメモリ27はSCSIインターフェース20の転送速度を得るために、SCSIバッファコントローラ26に対応して備えられるバッファ手段とされる。またSCSIバッファコントローラ26は、後述するリモートメモリインターフェース30に対して所要のコマンドデータを供給するとともに、リモートメモリインターフェース30に対する動作クロックの生成も行う。
なお、このようなテープストリーマドライブシステムにおいては、可変長のデータの集合単位によってホストコンピュータ40よりデータが伝送されるモードも存在する。
圧縮/伸長回路21では、入力されたデータについて必要があれば、所定方式によって圧縮処理を施すようにされる。圧縮方式の一例として、例えばLZ符号による圧縮方式を採用するのであれば、この方式では過去に処理した文字列に対して専用のコードが割り与えられて辞書の形で格納される。そして、以降に入力される文字列と辞書の内容とが比較されて、入力データの文字列が辞書のコードと一致すればこの文字列データを辞書のコードに置き換えるようにしていく。辞書と一致しなかった入力文字列のデータは逐次新たなコードが与えられて辞書に登録されていく。このようにして入力文字列のデータを辞書に登録し、文字列データを辞書のコードに置き換えていくことによりデータ圧縮が行われるようにされる。
圧縮/伸長回路21の出力は、IF/ECCコントローラ22に供給されるが、IF/ECCコントローラ22においてはその制御動作によって圧縮/伸長回路21の出力をバッファメモリ23に一旦蓄積する。このバッファメモリ23に蓄積されたデータはIF/ECCコントローラ22の制御によって、最終的にグループ(Group)という磁気テープの40トラック分に相当する固定長の単位としてデータを扱うようにされ、このデータに対してECCフォーマット処理が行われる。
ECCフォーマット処理としては、記録データについて誤り訂正コードを付加すると共に、磁気記録に適合するようにデータについて変調処理を行ってRF処理部19に供給する。
RF処理部19では供給された記録データに対して増幅、記録イコライジング等の処理を施して記録信号を生成し、記録ヘッド12A、12Bに供給する。これにより記録ヘッド12A、12Bから磁気テープ3に対するデータの記録が行われることになる。
また、データ再生動作について簡単に説明すると、磁気テープ3の記録データが再生ヘッド13A、13BによりRF再生信号として読み出され、その再生出力はRF処理部19で再生イコライジング、再生クロック生成、2値化、デコード(例えばビタビ復号)などが行われる。
このようにして読み出された信号はIF/ECCコントローラ22に供給されて、まず誤り訂正処理等が施される。そしてバッファメモリ23に一時蓄積され、所定の時点で読み出されて圧縮/伸長回路21に供給される。
圧縮/伸長回路21では、システムコントローラ15の判断に基づいて、記録時に圧縮/伸長回路21により圧縮が施されたデータであればここでデータ伸長処理を行い、非圧縮データであればデータ伸長処理を行わずにそのままパスして出力される。
圧縮/伸長回路21の出力データはSCSIバッファコントローラ26、SCSIインターフェイス20を介して再生データとしてホストコンピュータ40に出力される。
また、この図にはテープカセット1内のリモートメモリチップ4が示されている。このリモートメモリチップ4に対しては、テープカセット1本体がテープストリーマドライブに装填されることで、リモートメモリインターフェース30を介して非接触状態でシステムコントローラ15とデータの入出力が可能な状態となる。
このリモートメモリインターフェース30の構成を図2に示す。
データインターフェース31は、システムコントローラ15との間のデータのやりとりを行う。後述するように、リモートメモリチップ4に対するデータ転送は、機器側からのコマンドとそれに対応するリモートメモリチップ4からのアクナレッジという形態で行われるが、システムコントローラ15がリモートメモリチップ4にコマンドを発行する際には、データインターフェース31がSCSIバッファコントローラ26からコマンドデータ及びクロックを受け取る。そしてデータインターフェース31はクロックに基づいてコマンドデータをRFインターフェース32に供給する。またデータインターフェース31はRFインターフェース32に対して搬送波周波数CR(13MHz)を供給する。
RFインターフェース32には図2に示すようにコマンド(送信データ)WSを振幅変調(100KHz)して搬送波周波数CRに重畳するとともに、その変調信号を増幅してアンテナ33に印加するRF変調/増幅回路32aが形成されている。
このRF変調/増幅回路32aにより、コマンドデータがアンテナ33からテープカセット1内のアンテナ5に対して無線送信される。テープカセット1側では、図5で説明した構成により、コマンドデータをアンテナ5で受信することでパワーオン状態となり、コマンドで指示された内容に応じてコントローラ4cが動作を行う。例えば書込コマンドとともに送信されてきたデータをEEP−ROM4dに書き込む。
また、このようにリモートメモリインターフェース30からコマンドが発せられた際には、リモートメモリチップ4はそれに対応したアクナレッジを発することになる。即ちリモートメモリチップ4のコントローラ4cはアクナレッジとしてのデータをRF処理部4bで変調・増幅させ、アンテナ5から送信出力する。
このようなアクナレッジが送信されてアンテナ33で受信された場合は、その受信信号はRFインターフェース32の整流回路32bで整流された後、コンパレータ32cでデータとして復調される。そしてデータインターフェース31からシステムコントローラ15に供給される。例えばシステムコントローラ15からリモートメモリチップ4に対して読出コマンドを発した場合は、リモートメモリチップ4はそれに応じたアクナレッジとしてのコードとともにEEP−ROM4dから読み出したデータを送信してくる。するとそのアクナレッジコード及び読み出したデータが、リモートメモリインターフェース30で受信復調され、システムコントローラ15に供給される。
以上のようにテープストリーマドライブ10は、リモートメモリインターフェース30を有することで、テープカセット1内のリモートメモリチップ4に対してアクセスできることになる。
なお、このような非接触でのデータ交換は、データを13MHz帯の搬送波に100KHzの振幅変調で重畳するが、元のデータはパケット化されたデータとなる。
即ちコマンドやアクナレッジとしてのデータに対してヘッダやパリティ、その他必要な情報を付加してパケット化を行い、そのパケットをコード変換してから変調することで、安定したRF信号として送受信できるようにしている。
なお、このような非接触インターフェースを実現する技術は本出願人が先に出願し特許登録された技術として紹介されている(特許第2550931号)。
図1に示すS−RAM24,フラッシュROM25は、システムコントローラ15が各種処理に用いるデータが記憶される。
例えばフラッシュROM25には制御に用いる定数等が記憶される。またS−RAM24はワークメモリとして用いられたり、リモートメモリチップ4から読み出されたデータ、リモートメモリチップ4に書き込むデータ、テープカセット単位で設定されるモードデータ、各種フラグデータなどの記憶や演算処理などに用いるメモリとされる。
なお、S−RAM24,フラッシュROM25は、システムコントローラ15を構成するマイクロコンピュータの内部メモリとして構成してもよく、またバッファメモリ23の領域の一部をワークメモリとして用いる構成としてもよい。
テープストリーマドライブ10とホストコンピュータ40間は上記のようにSCSIインターフェース20を用いて情報の相互伝送が行われるが、システムコントローラ15に対してはホストコンピュータ40がSCSIコマンドを用いて各種の通信を行うことになる。
なお、図3(b)に示した接触型メモリ104を搭載したテープカセットに対応した構成としては、テープカセット1内の接触型メモリ104に対してデータの書込/読出を行うために、所要のコネクタ部(図示せず)が設けられる。このコネクタは図4に示した端子部106に適合した形状とされ、端子部106に接続されることで接触型メモリ104の5個の端子105A、105B、105C、105D、105Eとシステムコントローラ15(システムコントローラのメモリ接続用のポート)とを電気的に接続するものである。
これによってシステムコントローラ15は、装填されたテープカセット1の接触型メモリ104に対して直接アクセスすることができるようにされる。
4.磁気テープ上のデータ構成
次に、上述してきたテープストリーマドライブ10により記録再生が行われるテープカセット1の、磁気テープ3上のデータフォーマットについて概略的に説明する。
図6は、磁気テープ3に記録されるデータの構造を示している。図6(a)には1本の磁気テープ3が模式的に示されている。本例においては、図6(a)のように1本の磁気テープ3を、パーティション(Partition)単位で分割して利用することができるものとされ、本例のシステムの場合には最大256のパーティション数を設定して管理することが可能とされている。また、この図に示す各パーティションは、それぞれパーティション#0、#1、#2、#3・・・として記されているように、パーティションナンバが与えられて管理されるようになっている。
したがって、本例においてはパーティションごとにそれぞれ独立してデータの記録/再生等を行うことが可能とされるが、例えば図6(b)に示す1パーティション内におけるデータの記録単位は、図6(c)に示すグループ(Group)といわれる固定長の単位に分割することができ、このグループごとの単位によって磁気テープ3に対する記録が行われる。
この場合、1グループは20フレーム(Frame)のデータ量に対応し、図6(d)に示すように、1フレームは、2トラック(Track)により形成される。この場合、1フレームを形成する2トラックは、互いに隣り合うプラスアジマスとマイナスアジマスのトラックとされる。したがって、1グループは40トラックにより形成されることになる。
また、図6(d)に示した1トラック分のデータの構造は、図7(a)及び図7(b)に示される。図7(a)にはブロック(Block)単位のデータ構造が示されている。1ブロックは1バイトのSYNCデータエリアA1に続いてサーチ等に用いる6バイトのIDエリアA2、IDデータのための2バイトからなるエラー訂正用のパリティーエリアA3、64バイトのデータエリアA4より形成される。
本実施の形態では、後述するようにテープカセット1の用途が例えば「WORM」とされている場合の記録時に、例えばリモートメモリチップ4に記憶されているテープカセット1の識別情報としてのカートリッジシリアルナンバを記録データと共にデータエリアA4に記録するようにしている。これにより、テープカセット1においてリモートメモリチップ4と磁気テープ3を対応させることができるようになる。
図7(b)に示す1トラック分のデータは全471ブロックにより形成され、1トラックは図のように、両端に4ブロック分のマージンエリアA11、A19が設けられ、これらマージンエリアA11の後ろとマージンA19の前にはトラッキング制御用のATFエリアA12、A18が設けられる。さらに、AFTエリアA12の後ろとATFエリアA18の前にはパリティーエリアA13、A17が備えられる。これらのパリティーエリアA13、A17としては32ブロック分の領域が設けられる。
また、1トラックの中間に対してATFエリアA15が設けられ、これらATFエリアA13、A15、A18としては5ブロック分の領域が設けられる。そして、パリティーエリアA13とATFエリアA15の間と、ATFエリアA15とパリティーエリアA17との間にそれぞれ192ブロック分のデータエリアA14、A16が設けられる。したがって、1トラック内における全データエリア(A14及びA16)は、全471ブロックのうち、192×2=384ブロックを占めることになる。
そして上記トラックは、磁気テープ3上に対して図7(c)に示すようにして物理的に記録され、前述のように40トラック(=20フレーム)で1グループとされることになる。
図6、図7で説明した磁気テープ3には、図8に示すエリア構造によりデータ記録が行われることになる。
なお、ここではパーティションが#0〜#N−1までとしてN個形成されている例をあげている。
図8(a)に示すように、磁気テープの最初の部分には物理的にリーダーテープが先頭に位置しており、次にテープカセットのローディング/アンローディングを行う領域となるデバイスエリアが設けられている。このデバイスエリアの先頭が物理的テープの先頭位置PBOT(Phisycal Begining of Tape)とされる。
上記デバイスエリアに続いては、パーティション#0に関してのリファレンスエリア及びテープの使用履歴情報等が格納されるシステムエリア(以下、リファレンスエリアを含めてシステムエリアという)が設けられて、以降にデータエリアが設けられる。システムエリアの先頭が論理的テープの開始位置LBOT(Logical Begining of Tape) とされる。
このシステムエリアには、図8(c)に拡大して示すように、リファレンスエリア、ポジショントレランスバンドNO.1、システムプリアンブル、システムログ、システムポストアンブル、ポジショントレランスバンドNO.2、ベンダーグループプリアンブルが形成される。
このようなシステムエリアに続くデータエリアにおいては、図8(b)に拡大して示すように、最初にデータを作成して供給するベンダーに関する情報が示されるベンダーグループが設けられ、続いて図6(c)に示したグループが、ここではグループ1〜グループ(n)として示すように複数連続して形成されていくことになる。そして最後のグループ(n)の後にアンブルフレームが配される。
このようなデータエリアに続いて図8(a)のように、パーティションのデータ領域の終了を示すEOD(End of Data)の領域が設けられる。
パーティションが1つしか形成されない場合は、そのパーティション#0のEODの最後が、論理的テープの終了位置LEOT(Logical End of Tape)とされるが、この場合はN個のパーティションが形成されている例であるため、パーティション#0のEODに続いてオプショナルデバイスエリアが形成される。
上記した先頭位置PBOTからのデバイスエリアは、パーティション#0に対応するロード/アンロードを行うエリアとなるが、パーティション#0の最後のオプショナルデバイスエリアは、パーティション#1に対応するロード/アンロードを行うエリアとなる。また、本例では後述するように排出位置情報に基づいて、排出管理領域としてのデバイスエリアまたはオプショナルデバイスエリアを任意に選択することができるようにされている。つまり、所望する位置でのアンロードを可能なものとしている。
パーティション#1としては、パーティション#0と同様にエリアが構成され、またその最後には次のパーティション#2に対応するロード/アンロードを行うエリアとなるオプショナルデバイスエリアが形成される。
以降、パーティション#(N−1)までが同様に形成される。
なお、最後のパーティション#(N−1)では、オプショナルデバイスエリアは不要であるため形成されず、パーティション#(N−1)のEODの最後が、論理的テープの終了位置LEOT(Logical End of Tape)とされる。
PEOT(Phisycal End of Tape) は、物理的テープの終了位置、またはパーティションの物理的終了位置を示すことになる。
5.IDエリア
次に、図7(a)に示したIDエリアA2について図9〜図11を参照して説明する。
図9はIDエリアA2のデータ構造を示すものとされ、このIDエリアA2は9ビットのフィジカルブロックアドレス(Physical Block Address)A21と、これに続く39ビットのIDインフォメーションエリア(ID Information Area) A22の領域よりなる。
前述のように、1トラック内における全データエリア(A14及びA16)は384ブロックよりなることから、これら全データエリアに含まれるフィジカルブロックアドレスA21の数も384とされることになる。
そして、これら384のフィジカルブロックアドレスA21は、例えば図10に模式的に示すように1トラックの先頭に位置するフィジカルブロックアドレスA21から順に、10進法表現で0〜383までインクリメントするようにしてアドレス値が与えられる。
これにより、例えば記録再生装置側により、1トラック内のデータエリアに含まれるIDインフォメーションエリアA22の情報を適正に扱うことが可能なようにされる。ここで、1トラック内のデータエリアに含まれるIDインフォメーションエリアA22のデータサイズとしては、
39(Bit )×384(Block)=14976(Bit)=1872(Byte)
で求められるように、1872バイトとなる。
図11は、図9に示したIDインフォメーションエリアA22に格納されるIDエリア情報の種類を示すものとされ、この図に示す各IDエリア情報が1トラック上のデータエリアに含まれる、計1872バイトのIDインフォメーションエリアA22、A22・・・・の領域に対して、所定の規則に従って当て嵌められるようにして格納されることになる。また、テープストリーマドライブ10によるIDエリア情報の確実な読み出しを可能とさせることを考慮して、1トラックごとに同一の種類のIDエリア情報が所定の規則に従って複数回記録される。
この図11において、ロウフォーマットID(Raw Format ID:16bit) は、磁気テープに関する基本的フォーマットのタイプが示され、本例の場合には、例えばトラックピッチ、1フレームのデータサイズ、1トラックに含まれるブロック数、1ブロックのデータサイズ、テープ長、テープ厚、テープの材質等の情報が示される。ロジカルフォーマットID(Logical Format ID:8bit) は、実際に使用される記録フォーマットのタイプが示される。
ロジカルフレームID(Logical Frame ID:8bit)は、図のようにラストフレームID(Last Frame ID:1bit) 、ECCフレームID(ECC Frame ID:1bit) 、及びロジカルフレームナンバ(Logical Frame Number:6bit)よりなる。ラストフレームIDは、当該IDエリアが含まれる現フレームが、グループ内の最後のフレームであるか否かを示し、ECCフレームIDは、現フレームのデータエリアの記録データがECC(誤り訂正符号)とされているか否かを示す。
また、前述のように1グループは20フレームよりなるが、ロジカルフレームナンバは、当該フレームが現グループ内の何番目のフレームであるかを示す。
パーティションID(Partition ID:16bit)は、現フレームを含むパーティションのパーティションナンバが示される。
エリアID(Area ID:4bit) は、当該フレームがどのエリアに属しているかを示すものとされる。データID(Data ID:4bit) は、記録フォーマットに基づくデータの処理形態のタイプが示され、N−ポジション(N-Position:4bit )及びN−リピート(N-Repeats:4bit) は多重記録モードに対応するデータに関する情報が定義される。
グループカウント(Group Count:24bit)は、現パーティションにおいて当該フレームが含まれるグループまでのグループの総数を示す。また、ファイルマークカウント(File-Mark Count:32bit)は、現パーティションにおいて、その開始位置から現グループまでに含まれるファイルマークの総数が示される。ファイルマークは1パーティション内におけるデータファイルの区切りを示す情報とされる。
セーブセットマークカウント(Sava-Set Mark Count:32bit) は、現パーティションにおいて、その開始位置から現グループまでに含まれるファイルマークの総数が示される。セーブセットマークカウントは1パーティション内における、データセーブ位置の区切りを示す情報とされる。
レコードカウント(Record Count:32bit)は、現パーティションにおいて、その開始位置から現グループまでに含まれるレコードの総数が示される。アブソリュートフレームカウント(Absolute Frame Count:24bit)は、現パーティションにおいて、その開始位置から現グループまでに含まれるフレームの総数が示される。また、将来のIDエリア情報の追加等に備えて未定義(Reserved)の領域が設けられる。
なお、この図に示すIDエリア情報の定義及び各IDエリア情報に与えられるビット数等は一例であり、実際の使用条件に応じて変更されて構わない。
6.リモートメモリチップのデータ構造
次に、テープカセット1に備えられるMIC(リモートメモリチップ4、接触型メモリ104)のデータ構造について説明する。
図12は、MICに記憶されるデータの構造の一例を摸式的に示す図である。このMICの記憶領域としては図示されているようにフィールドFL1〜FL4が設定されている。
これらフィールドFL1〜FL4において、テープカセットの製造時の各種情報、初期化時のテープ情報やパーティションごとの情報などが書き込まれる。
フィールドFL1はマニファクチャーインフォーメーション(Manufacture Information)とされ、主にテープカセットの製造時の各種情報が記憶されるマニュファクチャーパートとされている。
フィールドFL2はメモリマネージメントインフォーメーション(Memory Management Information)とされ、主に初期化時の情報等が記憶されるドライブイニシャライズパートとされている。
フィールドFL3はボリュームタグ(Volume Tag)とされ、テープカセット全体の基本的な管理情報が記憶される。
フィールドFL4は、メモリーフリープールの領域とされ、管理情報の追加記憶が可能な領域とされる。このメモリーフリープールには記録再生動作の経過や必要に応じて各種情報が記憶される。なお、メモリーフリープールに記憶される1単位のデータ群を「セル」ということとする。
まず、磁気テープ3に形成されるパーティションに応じて、各パーティションに対応する管理情報となるパーティションインフォメーションセル#0、#1・・・がメモリーフリープールの先頭側から順次書き込まれる。つまり磁気テープ3上に形成されたパーティションと同数のセルとしてパーティションインフォメーションセルが形成される。
またメモリーフリープールの後端側からは、高速サーチ用のマップ情報としてのスーパーハイスピードサーチマップセル(Super High Speed Search Map Cell)が書き込まれる。
また続いて後端側からユーザボリュームノートセルや、ユーザパーティションノートセルが書き込まれる。ユーザボリュームノートセルはテープカセット全体に関してユーザが入力したコメント等の情報であり、ユーザパーティションノートセルは各パーティションに関してユーザが入力したコメント等の情報である。したがって、これらはユーザが書込を指示した際に記憶されるものであり、これらの情報が必ずしも全て記述されるものではない。
またこれらの情報が記憶されていない中間の領域は、メモリーフリープールとして後の書込のために残される。
フィールドFL1のマニファクチャーインフォーメーションは、例えば図13に示すような構造とされる。
マニュファクチャーインフォーメーションには、まず先頭マニュファクチャパートチェックサム(manufacture part checksum)として、このマニュファクチャーインフォーメーションのデータに対するチェックサムの情報が格納される。このマニュファクチャパートチェックサムの情報はカセット製造時に与えられる。
そしてマニュファクチャーパートを構成する実データとしてMICタイプ(mic type)からライトプロテクトバイトカウント(Write Protect byte count)までが記述される。なおリザーブ(reserved)とは、将来的なデータ記憶のための予備とされている領域を示している。これは以降の説明でも同様である。
MICタイプ(mic type)は、当該テープカセットに実際に備えられるMICのタイプを示すデータである。
MICマニュファクチャデート(mic manufacture date)は、当該MICの製造年月日(及び時間)が示される。
MICマニュファクチャラインネーム(mic manufacture line name)はMICを製造したライン名の情報が示される。
MICマニュファクチャプラントネーム(mic manufacture plant name)はMICを製造した工場名の情報が示される。
MICマニュファクチュアラネーム(mic manufacturer name)は、MICの製造社名の情報が示される。
MICネーム(mic name)はMICのベンダー名の情報が示される。
またカセットマニュファクチャデート(cassette manufacture date)、カセットマニュファクチャラインネーム(cassette manufacture line name)、カセットマニュファクチャプラントネーム(cassette manufacture plant name)、カセットマニュファクチュアラネーム(cassette manufacturer name)、カセットネーム(cassette name)は、それぞれ上記したMICに関する情報と同様のカセット自体の情報が記述される。
OEMカスタマーネーム(oem customer name)としては、OEM(Original Equipment Manufactures)の相手先の会社名の情報が格納される。
フィジカルテープキャラクタリステックID(physical tape characteristic ID)としては、例えば、テープの材質、テープ厚、テープ長等の、物理的な磁気テープ3の特性の情報が示される。
マキシマムクロックフリケンシー(maximum clock frequency)としては、当該MICが対応する最大クロック周波数を示す情報が格納される。
ブロックサイズ(Block size)では、例えばMICの特性としてテープストリーマドライブ10との1回の通信によって何バイトのデータを転送することができるかという情報が示される。この情報はMICとして使用する不揮発性メモリの物理的な特性に依存するものとされる。
MICキャパシティ(mic capacity)としては、当該MICの記憶容量情報が示される。
ライトプロテクトトップアドレス(write protect top address)は、MICの所要の一部の領域を書き込み禁止とするために用いられ、書き込み禁止領域の開始アドレスを示す。
ライトプロテクトカウント(write protect count)は書き込み禁止領域のバイト数が示される。つまり、上記ライトプロテクトトップアドレスで指定されたアドレスから、このライトプロテクトカウントの領域により示されるバイト数により占められる領域が書き込み禁止領域として設定されることになる。
フィールドFL11に示されているウォームフラグ(worm flag)は、テープカセット1の用途識別情報として、例えば「汎用」「WORM」などを示す。なお、ウォームフラグについては後で図21で詳しく説明する。
続いて図12のフィールドFL2のメモリマネジメントインフォーメーションの構造を図14で説明する。
メモリマネジメントインフォーメーションにはまずドライブイニシャライズパートチェックサム(drive Initialize part checksum)として、このドライブイニシャライズパートとされるメモリマネジメントインフォーメーションのデータに対するチェックサムの情報が格納される。
そしてメモリマネージメントインフォーメーションを構成する実データとしてMICロジカルフォーマットタイプ(mic logical format type)からフリープールボトムアドレス(Free Pool Bottom Address)までの情報が記述される。
まずMICロジカルフォーマットタイプ(mic logical format type)として、MICの論理フォーマットのIDナンバが格納される。MICフォーマットとしては、例えば、基本MICフォーマットのほかに、ファームウェア更新テープMICフォーマット、リファレンステープMICフォーマット、クリーニングカセットMICフォーマット等に関連するフォーマットが各種存在するものとされ、当該テープカセットのMICフォーマットに応じたIDナンバが示されることになる。
アブソリュートボリュームマップポインタ(absolute volume map pointer)には図12のスーパーハイスピードサーチマップセルの領域の先頭アドレスを示すポインタが配置される。
ユーザボリュームノートセルポインタ(user volume note cell pointer)は、テープカセットに対してユーザがSCSI経由で自由にデータの読み書きが可能な記憶領域、つまり図12に示したユーザボリュームノートセルの開始アドレスを示す。
ユーザパーティションノートセルポインタ(user partition note cell pointer)は、各パーティションに対してユーザがSCSI経由で自由にデータの読み書きが可能な記憶領域、つまり図12のユーザパーティションノートセルの開始アドレスを示している。なおユーザパーティションノートセルは複数個記憶される場合があるが、このユーザパーティションノートセルポインタは、複数のユーザパーティションノートセルのうちの先頭のセルの開始アドレスを示すことになる。
パーティションインフォーメーションセルポインタ(partition information cell pointer)は、図12のパーティションインフォメーションセル#0の開始アドレスを示す。
メモリーフリープールに書き込まれていくパーティションインフォーメーションは、磁気テープ3に形成されるパーティションの数だけ形成されることになるが、全てのパーティションインフォーメーションセル#0〜#Nはリンク構造によりポインタによって連結されている。つまり、パーティションインフォーメーションセルポインタがパーティション#0のアドレスを示すルートとされ、それ以降のパーティションインフォメーションセルのポインタは、直前のパーティションインフォメーションセル内に配される。
以上のように各ポインタ(アブソリュートボリュームマップポインタ、ユーザボリュームノートセルポインタ、ユーザパーティションノートセルポインタ、パーティションインフォーメーションセルポインタ)により、フィールドFL4内の各データ位置が管理される。
ボリュームアトリビュートフラグ(Volume Attribute Flags)は、MICに対する論理的な書込み禁止タブを提供するためのフラグとされている。すなわち、MICヘッダフラグが示す内容としては、マニュファクチャーパート部分の書込み許可/禁止、またはマニュファクチャーパート以外の部分の書込み許可/禁止とされる。
フリープールトップアドレス(Free Pool Top Address)及びフリープールボトムアドレス(Free Pool Bottom Address)は、フィールドFL2におけるその時点でのメモリーフリープールの開始アドレスと終了アドレスを示す。メモリーフリープールとしての領域は、パーティションインフォメーションやユーザーパーティションノート等の書込や消去に応じて変化するため、それに応じてフリープールトップアドレスやフリープールボトムアドレスが更新される。
続いて図12のフィールドFL3のボリュームタグの構造を図15で説明する。
ボリュームタグの先頭にはボリュームインフォメーションチェックサム(Volume Information Checksum)として、テープカセット全体の基本的な管理情報が記憶されるボリュームインフォメーション(Volume Information)のデータに対するチェックサムの情報が格納される。
さらに、アキュムレイティブパーティションインフォーメーションチェックサム(Accumulative Partition Information Checksum)として、テープカセット製造時からの履歴情報が記憶されるアキュムレイティブパーティションインフォメーション(Accumulative Partition Information)のデータに対するチェックサムの情報が格納される。
ボリュームノートチェックサム(Volume note checksum)、ボリュームノート(Volume note)に続いて、カートリッジシリアルナンバ(Cartridge Serial Number)は、例えばASCIIコードに基づいた32文字の文字情報とされるシリアルナンバが格納される。
マニュファクチャーID(Manufacturer ID)は、製造業者識別子としてテープカセット1の製造業者のコードナンバーが格納される。
セカンダリーID(Secondary ID)は、テープカセット1のタイプに応じた二次識別子とされ、例えばコード値としてテープの属性情報が格納される。
カートリッジシリアルナンバーパートチェックサム(Cartridge Serial Number Part Checksum)は、カートリッジシリアルナンバ、マニュファクチャーID、セカンダリーIDのチェックサム情報とされる。
スペシフィックボリュームタグ(Specific Volume Tag)1乃至13は例えばリザーブとして、各エリアが構成されている。
図16はボリュームタグFL3のボリュームインフォメーションFL31の構造を説明する図である。
図16(a)に示すようにボリュームインフォメーションには、先頭1バイトにボリュームインフォメーションチェックサム(Volume Information checksum)として、このボリュームインフォメーションのデータに対するチェックサムの情報が格納される。
そしてボリュームインフォメーションを構成する実データとして20バイトのイジェクトステイタス(Eject Status)、4バイトのリール巻径(Reel Diameter)、3バイトのイニシャライズカウント(Initialize Count)、72バイトのボリュームインフォメーションオンテープ(Volume Information On Tape)が記述される。
そして、ボリュームインフォメーションオンテープFL311の内容は図16(b)に示されているようになる。
図示されているように、ボリュームインフォメーションオンテープFL311はリザーブとしての領域を除いて、1ビットのスーパーハイスピードサーチイネーブルフラグ(Super High Speed Search Enable Flag)、2ビットのシステムログアロケーションフラグ(System Log Allocation Flags)、オールウエイズアンロードPBOTフラグ(Always Unload PBOT Flags)、1ビットのAITネイティブフラグ(AIT Native Flag)、1バイトのラストバリッドパティションナンバ(Last Valid Partition Number)、32バイトのオプショナルデバイスエリアアロケーションマップ(Optional Device Area Allocation Map)が記述される。
スーパーハイスピードサーチイネーブルフラグは、後述するMICのスーパーハイスピードサーチマップとして格納したテープ位置情報を利用して、ノーマルサーチに対する高速サーチ機能を有効にするか否かを指示するフラグとされる。このフラグが、例えば「1」とされている場合に高速サーチが有効になる。
システムログアロケーションフラグは、テープカセットの使用履歴(システムログ)が何処に格納されているかを示すフラグとされ、例えば磁気テープ3上のみに記録されている、または磁気テープ3及びMICの双方に記録されていない、または磁気テープ3及びMICの双方に記録されている、またはMIC4のみに記録されているかを識別することができるようにされている。
オールウェイズアンロードPBOTフラグは磁気テープ3にマルチパーティションが形成され、しかもパーティションにオプショナルデバイスエリアが在ったとしても、PBOTに在るデバイスエリアでアンロードを行なうことを指示するフラグとされる。
AITネイティブフラグはテープカセット1のモードを示すフラグとされる。
ラストバリッドパーティションナンバは、形成されている最後のパーティションのナンバを示す。
オプショナルデバイスエリアマップは、256ビットからなり磁気テープ3上に形成される各パーティションそれぞれに各1ビットが対応している。そして、ビットの値が「1」とされている場合は当該ビットに対応したパーティションにオプショナルデバイスエリアが形成されていることを示している。
続いて図12に示すフィールドFL4に記憶されるセルについて説明する。
上記したようにフィールドFL4にはパーティションインフォメーションセル、ユーザパーティションノートセル、スーパーハイスピードサーチマップセル等が記憶される。
これらの各セルの構造を図17に示す。
1つのセルは図17(a)に示すように8バイトのリンクインフォメーションと、nバイト(セル種別によって異なる)のデータから形成される。
8バイトのリンクインフォメーションは、各セルに設けられているもので、その構造は図17(b)のようになる。
まずセル内のデータに関するチェックサムとして、1バイトのセルチェックサム(cell checksum)が設けられる。
また2バイトのセルサイズ(cell size)として、そのセルのサイズが示される。
プリビアスセルポインタ(previous cell pointer)及びネクストセルポインタ(next cell pointer)は、実際のリンケージデータ(リンク構造を構築するデータ)であり、同一種類の複数のセルがリンクされる際に、このプリビアスセルポインタとネクストセルポインタで前後のセルが指定される。
このような構造のセルとしては、パーティションインフォメーションセル、スーパーハイスピードサーチマップセル、ユーザボリュームノートセル、ユーザパーティションノートセルが存在する。そしてパーティションインフォメーションセルは、セルサイズは固定値となる。その他のセルは、セルサイズは可変値となる。
セルサイズが固定値となるパーティションインフォメーションセルについて図18、図19で説明する。
パーティションインフォメーションセルは、図18に示すように8バイトのリンクインフォメーションと、56バイトのデータから形成される。そして56バイトのデータのうち8バイトはパーティションメモとされ、48バイトはパーティションインフォメーションとされる。
このパーティションインフォメーション(システムログ)には、そのセルが対応するパーティションにおける磁気テープ3に対する使用履歴に関する各種情報が格納され、テープストリーマドライブが自身の記録/再生動作の管理のための情報として利用されるものとなる。
或るパーティションに対応する、1つのパーティションインフォメーションセル内のパーティションインフォメーションのデータ構造は、例えば図19に示すように定義される。
4バイトのプリビアスグループリトゥン(Previous Groups written)には、当該パーティションインフォメーションが最後に更新されたときから起算して、磁気テープ3に対して物理的に記録された当該パーティション内のグループ数の情報が示される。
4バイトのトータルグループリトゥン(Total Groups written)には、これまで当該パーティションに対して記録されたグループの総数が示される。この値は、例えばテープカセットが寿命となって使用不能あるいは廃棄処分されるまで積算される。
これらプリビアスグループリトゥン及びトータルグループリトゥンには、例えば、テープストリーマドライブにより磁気テープ3に対してデータを記録中の状態であれば、テープストリーマドライブのシステムコントローラ15の処理により、現在の記録動作によって新たに記録されるグループ数に応じて、その領域の値がインクリメントされていくことになる。
3バイトのプリビアスグループリード(Previous Groups read)には、当該パーティションインフォメーションが最後に更新されたときから起算して、物理的に読み出しが行われたグループ数が示される。
4バイトのトータルグループリード(Total Groups read)には、これまで当該パーティションより読み出されたグループ数が積算された値を示す。
3バイトのトータルリリトゥンフレーム(Total Rewritten frames)は、当該パーティションにおいてRAWに基づいてデータ再書き込みの要求がなされたフレーム数を積算した値を示すものとされる。
3バイトのトータル3rdECCカウント(Total 3rd ECC count)では、当該パーティションにおいてC3パリティを用いてエラー訂正を行ったグループ数が積算された値が示される。
本例のテープストリーマドライブシステムでは、磁気テープ3より読み出したデータについて、C1,C2,C3のパリティによりエラー訂正を行うようにしているが、C3パリティは、C1,C2パリティのみではデータの回復が図れなかった場合に用いられるものである。
4バイトのアクセスカウント(Access count)では、テープストリーマドライブが磁気テープ3上の当該パーティションにアクセスした回数が示される。ここでのアクセスとは物理的に当該パーティションを通過した回数をいい、つまりそのパーティションに対する記録または再生が行われた回数、及び通過した回数も含まれる。
4バイトのアップデートリプレイスカウント(Update Replace count)には、アップデートにより当該パーティションにおいて磁気テープ3に対してデータを書き換えた回数を積算した情報が示される。つまり当該パーティションに対する更新回数である。
2バイトのプリビアスリリトゥンフレーム(Previous rewritten frames)には、先に説明したRAWにより、当該パーティションインフォメーションが最後に更新されたときから起算して、データ再書き込みの要求がなされたパーティション内のフレーム数の情報が示される。
2バイトのプリビアス3rdECCカウント(Previous 3rd ECC count)には、当該パーティションインフォメーションが最後に更新されたときから起算して、C3パリティを用いてエラー訂正を行ったグループ数が示される。
3バイトのロードカウント(Load count)では、テープをロードした回数を積算した値が示される。
3バイトのバリッドマキシマムアブソリュートフレームナンバ(Valid Maximum Absolute frame Number)は、当該パーティションで有効とされる最後のフレームまでのフレームカウントの情報が示される。
これに対してパーティションインフォメーションの最後の3バイトのマキシマムアブソリュートフレームカウント(Maximum Absolute frame Number)は、当該パーティションの最後のフレームカウントの情報が示される。
1バイトのパーティションアトリビュートフラグ(Partition Attribute Flag)では、各ビットについてフラグ内容が次のように定義される。
すなわち、プレベントライトフラグ(Prevent Write Flag)、プレベントリードフラグ(Prevent Read Flag)、プレベントライトリトライフラグ(Prevent Write Retry Flag)、プレベントリードリトライフラグ(Prevent Read Retry Flag)として、当該パーティションに対する書き込み許可/禁止、読み出し許可/禁止、及び記録時のRAWに基づくデータの再書き込み許可/禁止、再生時のデータ読出のリトライの許可/禁止、のそれぞれを示すフラグが用意される。
またパーティションオープンクローズフラグ(Partition Open Close Flag)として、当該パーティションに対する記録中にセットされ、記録終了に応じてリセットされるフラグが用意される。
このように、リモートメモリチップ4はフィールドFL1からフィールドFL4に示した記憶領域によって構成されている。
ところで、図12に示したフィールドFL1における各データ項目に付いては、例えばテープカセット1自体の情報やリモートメモリチップ4自体の情報など、ユーザがテープカセットを使用していくうえで更新されない情報とされる。また、テープカセット1の用途を示すウォームフラグ(フィールドFL11)については、その内容が改変されないようにすることが望まれる。そこで、リモートメモリチップ4の記憶領域としては、図20(a)に示されているように 例えばフィールドFL1は読み出し専用とされるROM(Read Only Memory)領域、フィールドFL2〜FL4は読み出し/書き込み可能とされるRWM(Read Write Memory)領域として設定する。これによりフィールドFL1に格納されるデータ項目については、ユーザが改変することができないようにすることができる。
また、例えば図20(b)に示されているように、リモートメモリチップ4をフィールドFL1の情報が格納されるROM領域と、フィールドFL2〜FL4の情報が格納されるRWM領域を別体のメモリで構成しても良い。
さらに、例えば図20(c)に示されているように、リモートメモリチップ4の全記憶領域をRWM領域として構成し、フィールドFL1を記憶する領域については、書きこみ制御を行う所要の論理回路などからなる書きこみ制御手段を備えることによって、所要のパスワードに基づいた書きこみ処理以外は行うことができないようにすることもできる。
或いは、リモートメモリチップ4の初期状態として、RWM領域のデータを全て「1」(又は「0」)とする。そして、書きこみ制御手段はROM領域として扱う領域内の特定のアドレスにある特定のビットに着目し、このビットを例えばビットαとする。この場合ビットαが「1」(又は「0」)であった場合に、書きこみ制御手段はRWM領域の全領域、即ちリモートメモリチップ4の全領域に対して書きこみ処理を有効なものとする。したがって、ROM領域として扱う領域に対しても書きこみが可能になる。しかしビットαを「0」(又は「1」)にすることで、書きこみ制御手段はROM領域に対する書きこみ処理は無効なものとすることができる。
このようにして、フィールドFL1に格納されているデータの内容を改変することができないようにすることで、ウォームフラグを有効な情報とすることができるようになる。したがって、ウォームフラグを書き換えることによって例えば「WORM」として記録されたデータの改変、消去などを行うこともできなくなり、予め設定されている用途のみで使用することが可能となる制約を実現することできる。
7.「WORM」に対応した動作制御
図21は本実施の形態における一例として、リモートメモリチップ4のフィールドFL11に格納される用途識別情報としてのウォームフラグについて説明する図である。
この図には、用途番号「0」から「2」、及びその他の例が示されているが、テープストリーマドライブ10ではこの用途番号に基づいて、記録、再生動作に制限を加えることになる。
例えば用途番号が「0」である場合は、そのテープカセット1が汎用とされる記録媒体であることを示し、動作にする制約はないものとする。つまり、用途番号「0」は、ユーザが使用目的に応じて自由に使用することができるテープカセット1であることを示し、テープストリーマドライブ10ではユーザの操作に基づいてホストコンピュータ40から供給される各種コマンドに応じた動作を実行する。
用途番号が「1」である場合は、例えばデータ配布、ファームウエア更新などを目的としたテープカセット1であることを示す。この場合、テープカセット1は再生専用のものとして識別される。したがって、ホストコンピュータ40から例えばフォーマットなどの記録されているデータの更新処理などに関わるコマンドが供給された場合でも、そのコマンドを無効なものとする。
また用途番号が「2」である場合は、例えばWORMを目的としたテープカセット1であることを示す。この場合、記録されているデータを保守するために、記録に関しては、例えばパーティション内における最終記録位置を記録開始位置とした記録(追加記録)のみが許可される。すなわち、例えば上書き、消去などといった既に記録されているデータの更新を行う動作は禁止されることになる。したがって、用途番号「2」が設定されているテープカセット1に対しては追加記録または再生動作のみが許可される。この場合も、例えばフォーマットなどの記録されているデータの更新処理などに関わるコマンドは無効なものとされる。
さらに、「WORM」において追加記録を行う場合は、図7(a)に示したブロックのデータエリアA4に対して、例えば図15のボリュームタグにおけるカートリッジシリアルナンバを記憶するようにする。したがって、用途が「WORM」として設定されているテープカセット1には、リモートメモリチップ4と磁気テープ3に対して同一の情報が記録されることになる。これにより、テープカセット1においてリモートメモリチップ4と磁気テープ3の対応がとれることになる。したがって、リモートメモリチップ4と磁気テープ3に記憶されているカートリッジシリアルナンバを照合することで、再生動作の実行を制約することが可能になる。つまり、「WORM」とされているテープカセット1のリモートメモリチップ4を交換して、「汎用」とされている他のリモートメモリチップ4を取り付けたような場合、カートリッジシリアルナンバが一致しないことになるので、このような場合は、テープストリーマドライブ10における動作を制約するようにすることができるようになる。
さらに、用途番号が上記「0」「1」「2」以外の値はリザーブとされる。したがって、テープストリーマドライブ10では用途番号が「0」「1」「2」以外の値であった場合は、テープストリーマドライブ10としてはテープカセット1の用途を識別することができないとして、この旨をホストコンピュータ40に伝えて、例えば当該テープカセット1を排出するための待機状態に移行する。
なお、用途番号が「1」「2」であった場合に、無効とされるコマンドが供給された場合においても、当該コマンドを実行することができないという旨をホストコンピュータ40に伝えて排出待機状態に移行する。
また、「WORM」とされている場合、データエリアA4に対してカートリッジシリアルナンバを記憶すると共に、「WORM」とされていることを識別することができる情報(例えば「WORM」という文字情報)を記録するようにしても良い。さらに、「汎用」とされている場合に記録を行う場合において、「汎用」に対応した用途で記録されたデータであることを識別情報(「NORMAL」という文字情報)を記録するようにしても良い。
これにより、テープストリーマドライブ10は磁気テープ3からもテープカセット1の用途識別情報を得ることができるようになる。したがって、リモートメモリチップ4からウォームフラグを得ることができない状態でも、テープカセット1の用途を判別することができるようになる。
ところで、上記した用途番号は、テープカセット1が装填されるテープストリーマドライブ10によって識別されることになるが、テープストリーマドライブ10では用途番号「0」「1」「2」を必ずしも全て認識するように構成しなくても良い。例えば汎用とされているテープカセット1のみを使用することができるように構成されているテープストリーマドライブ10では、あえてWORMを認識する必要がないとみなし、例えば用途番号「1」「2」を検出した場合でも、例えば当該テープカセット1を排出するための待機状態に移行すればよい。
また用途番号「1」を認識することができるテープストリーマドライブ10としては、データの少なくとも再生を行うことができる構成とされていれば良い。すなわち、再生専用ドライブ装置としてのテープストリーマドライブ10においては用途番号「1」を認識することができるようにされていればよい。
さらに、用途番号「0」「1」を認識することがされているテープストリーマドライブ10では、装填されたテープカセット1が汎用であるかまたはWORMであるかの識別を行うことができ、汎用的な用途と、WORMとされるデータ保守を目的とした用途を選択的に対応することができるようになる。
このようなウォームフラグの用途番号は、テープカセット1がテープストリーマドライブに装填されたときに、システムコントローラ10の制御によって検出され、それ以降、用途番号に基づいてテープストリーマドライブの各種動作制御が行われる。
22は、ウォームフラグによって「WORM」が用途として設定されているテープカセット1に対して記録を行う場合のシステムコントローラ40の処理遷移を説明するフローチャートである。なお、この図に示しているフローチャートはテープストリーマドライブ10にテープカセット1が装填され、リモートメモリチップ4から検出したウォームフラグが「WORM」とされている状態での処理遷移である。
テープカセット1の用途として「WORM」が設定されている状態で、例えばホストコンピュータ40からライトコマンドが供給されると(S001)、まずデータの記録を行うパーティションに対して移動する制御を行う。
この場合、例えば早送り再生を実行し(S002)、この状態で図11で説明した磁気テープ3上に記録されているIDエリアのパーティションIDを検出する(S003)。この早送り再生は、所望するパーティションのパーティションIDが検出されるまで実行する。
ステップS002、S003によって所望するパーティションに到達すると、次にそのパーティションにおける最後のフレームを検出する処理に移行する。
ここで、磁気テープ3において現在位置、すなわち当該パーティションの先頭位置からマキシマムアブソュートフレームカウントで指定されている当該パーティションのフレームまでの距離の算出方法の一例を説明する。
現在位置から所望する位置までの距離を「L」とした場合、L=マキシマムアブソュートフレームカウント×{(リニアトラックピッチ)×2}となる。但し、この式では、図6に示されているように1フレームは2トラック分に相当するフォーマットを想定しているので、リニアトラックピッチを2倍として計算している。
そして、磁気テープ3の厚さt、リールハブ(2A、2B)の直径をφ、リールハブ(2A、2B)の回転数をnとした場合、距離Lは以下に示す式(1)とされる関係式よって求めることができる。但し、磁気テープ3の厚さtに関する情報は、フィジカルキャラクタリスティックID(図13)から得ることができる。
Figure 0004766085
なお、この式(1)において右辺に示す分子第1項はリールハブ2Aまたは2Bのいずれか一方に、また同じく右辺に示す分子第2項はリールハブ2Aまたは2Bのいずれか他方に対応し、それぞれのリールハブに巻装されている磁気テープ3の面積を示している。
このような式(1)により、リールハブ2A、2Bを何回転させればマキシマムアブソリュートフレームカウントに対応しているフレームに到達するかを求めることができる。したがって、現在リールFG29C、29Dから出力されているFGパルス数が、式(1)によって求められたリールハブ2A、2Bの回転数nに対応する数になるまで早送り動作を行なうことにより、目標とする位置まで磁気テープ3を進めることができるようになる。
このようにして、マキシマムアブソリュートフレームカウントの値をリールFG29C、29Dのパルス数に換算して(S004)、早送り制御によって磁気テープ3を走行させる制御を行う(S005)。この早送り動作に伴って検出されるFGパルス数とステップS004で算出されたパルス数の比較を行い、双方のパルス数が一致した場合に、マキシマムアブソュートフレームカウントの値に対応した位置に到達したことになる。そして、その位置からデータの記録を開始する(S007)。
このように、ステップS004、S005を経ることにより、磁気テープ3上の未記録エリアに移動することができ、この位置から記録を開始することによって、既に記録されているデータは改変されることなく、新たなデータの追加記録を行うことができるようになる。なお、この追加記録が行われることによって、記録されたデータ容量に応じてマキシマムアブソュートフレームカウントも更新されるので、このマキシマムアブソュートフレームカウントに対応した位置を記録の起点とすることで、既に記録されているデータを消去することなく、追加記録を行うことができるようになる。
また、ステップS007においてデータの追加記録を行う場合は、記録データと共に、図7(a)に示したブロックのデータエリアA3にカートリッジシリアルナンバを記憶するようにする。これにより、テープカセット1においてリモートメモリチップ4と磁気テープ3を対応させることができ、例えば再生動作を制約するようにすることができるようになる。
なお、テープカセット1に対して第一回目の記録を行う場合は、磁気テープの先頭のパーティションの先頭から記録が行われる。
図23はテープストリーマドライブ10に磁気テープ3にカートリッジシリアルナンバが記録され、「WORM」とされているテープカセット1が装填された状態で例えば再生動作を行う場合のシステムコントローラ40の処理遷移の一例を説明するフローチャートである。
テープカセット1がテープストリーマドライブ10に装填されると、まずリモートメモリチップ4からカートリッジシリアルナンバを検出し(S101)、さらに磁気テープ3に書き込まれているカートリッジシリアルナンバを検出する(S102)。そして、例えばホストコンピュータ40から例えば再生コマンドが供給されると(S103)、リモートメモリチップ4と磁気テープ3に記録されているカートリッジシリアルナンバの照合を行い(S104)、カートリッジシリアルナンバが一致している判別した場合は(S105)、例えば再生などの所要の動作に移行する制御を行う(S106)。また、カートリッジシリアルナンバが一致していないと判別した場合は、再生動作を実行させないようにして、例えばテープカセット1の排出待機状態に移行する(S107)。
これにより、テープカートリッジ1において例えばリモートメモリチップ4が交換されて、他のリモートメモリチップ4に挿げ替えられたような場合、データの再生をさせないようにすることができるようになる。したがって、交換された他のリモートメモリチップ4が例えば「汎用」とされていた場合でも、例えば可能な動作を制約することができるので、磁気テープ3に記録されているデータが所定のユーザ以外の外部のユーザに提示されないようにすることができる。
また、同じようにカートリッジシリアルナンバが一致していなかった場合に記録動作を行わないようにすることで、本来「WORM」として磁気テープ3に記録されたデータが改変されないようにすることができるようになる。なお、カートリッジシリアルナンバが一致しなかった場合、データの追加記録に付いては許可するようにするようにしても良い。
なお、上記実施の形態ではテープカセット1にリモートメモリチップ44が備えられている構成を例で挙げて説明したが、接触型メモリ104が備えられているテープカセット1においても、同様に本発明を適用することができる。
本発明の実施の形態のリモートメモリチップ対応のテープストリーマドライブのブロック図である。 実施の形態のテープストリーマドライブ及びライブラリ装置に配されるリモートメモリインターフェースのブロック図である。 実施の形態のテープカセットの内部構造を概略的に示す説明図である。 実施の形態のテープカセットの外観を示す斜視図である。 実施の形態のテープカセットに設けられるリモートメモリチップのブロック図である。 実施の形態のテープカセットの磁気テープ上のデータ構造の説明図である。 実施の形態のテープカセットの磁気テープ上のトラック構造の説明図である。 実施の形態のテープカセットの磁気テープのエリア構造の説明図である。 実施の形態のテープカセットの磁気テープ上のIDエリアの説明図である。 実施の形態のテープカセットのIDエリアのフィジカルブロックアドレスの説明図である。 実施の形態のテープカセットのIDエリアインフォメーションの説明図である。 実施の形態のMICのデータ構造の説明図である。 実施の形態のMICのマニファクチャーインフォメーションの説明図である。 実施の形態のMICのメモリマネジメントインフォメーションの説明図である。 実施の形態のMICのボリュームタグの説明図である。 実施の形態のMICのボリュームインフォメーションの説明図である。 実施の形態のMICのセル構造の説明図である。 実施の形態のMICのパーティションインフォメーションセルの説明図である。 実施の形態のMICのパーティションインフォメーションの説明図である。 実施の形態のMICの記憶領域について説明する図である。 ウォームフラグの内容を説明する図である。 テープカセットが「WORM」とされている場合の記録動作の遷移の一例を説明する図である。 リモートメモリチップと磁気テープから得られるテープカセットの識別情報(カートリッジシリアルナンバ)を照合して、特定の動作のみを行う場合の処理遷移を説明する図である。
符号の説明
1 テープカセット、2A,2B リールハブ、3 磁気テープ、4 リモートメモリチップ、5 アンテナ、10 テープストリーマドライブ、11 回転ドラム、12A,12B 記録ヘッド、13A,13B,13C 再生ヘッド、15 システムコントローラ、16 サーボコントローラ、17 メカドライバ、19 RF処理部、20 SCSIインターフェイス、21 圧縮/伸長回路、22 IFコントローラ/ECCフォーマター、23 バッファメモリ、26 SCSIバッファコントローラ、30 リモートメモリインターフェース、33 アンテナ、40 ホストコンピュータ、104 接触型メモリ

Claims (11)

  1. テープカセットに収納された磁気テープに情報の記録及び/または再生を行なうことができるテープドライブ手段と、
    前記磁気テープへの記録及び/または再生を管理するとともに前記テープカセットを識別するための管理情報を記憶するメモリに対して所要の通信処理を行い、前記管理情報の読み出し及び/または書込みを行なうことができるメモリドライブ手段と、
    前記メモリのユーザが改変することができない読み出し専用の領域から、前記磁気テープに、制約なしの記録再生可能、追加記録または再生のみ可能、とする用途を含む前記管理情報の1つである用途識別情報を検出する用途識別情報検出手段と、
    前記磁気テープには、前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報と同一のものが記録されており、
    所要の動作コマンドに対して、前記用途識別情報と前記磁気テープの前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報とに基づいて前記磁気テープに対する動作を行う制御手段と
    を備えていテープドライブ装置。
  2. 前記制御手段は、前記用途識別情報に基づいて、前記磁気テープに対するデータの記録及び/または再生を行うように制御す請求項1に記載のテープドライブ装置。
  3. 前記制御手段は、前記用途識別情報が追加記録または再生のみ可能とされ、これに基づいて、前記磁気テープに対する追加記録を行う場合、前記磁気テープにおける最終記録位置が追加記録の開始位置となるように制御す請求項2に記載のテープドライブ装置。
  4. 前記メモリに記憶されている前記テープカセットを識別する管理情報を検出する第一の識別情報検出手段と、
    前記磁気テープに記憶されている前記テープカセットを識別する管理情報を検出する第二の識別情報検出手段と、
    前記第一、第二の識別情報検出手段によって検出された二個の識別情報が一致しているか否かを判別する識別情報判別手段と、
    前記識別情報判別手段の判別結果に基づいて特定の動作のみを実行させることができる制御手段と、
    を備え請求項1に記載のテープドライブ装置。
  5. 磁気テープが収納されたテープカセットと、
    前記テープカセットに備えられ、前記磁気テープに対する記録または再生を管理する
    とともに前記テープカセットを識別するための管理情報を記憶するメモリと、を備えた記録媒体において、
    前記メモリのユーザが改変することができない読み出し専用の領域には、前記テープカセットに対応した用途を示す、管理情報の1つである用途識別情報が記憶されてい記録媒体。
  6. 前記メモリ及び前記磁気テープに前記テープカセットの識別情報が記憶されてい請求項に記載の記録媒体。
  7. 前記用途識別情報は、前記磁気テープに対して追加記録または再生のみ可能とされてい請求項に記載の記録媒体。
  8. テープカセットに収容された磁気テープに情報の記録及び/または再生を行なう際に、
    前記磁気テープへの記録及び/または再生を管理するとともに前記テープカセットを識別するための管理情報を記憶するメモリに対して、所要の通信処理により前記管理情報の読み出し及び/または書込みを行ない、
    前記メモリのユーザが改変することができない読み出し専用の領域から、前記磁気テープに、制約なしの記録再生可能、追加記録または再生のみ可能、とする用途を含む前記管理情報の1つである用途識別情報を検出し、
    前記磁気テープには、前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報と同一のものが記録されており、
    所要の動作コマンドに対して、前記用途識別情報と前記磁気テープの前記メモリに記録された前記テープカセットを識別する管理情報とに基づいて前記磁気テープに対する記録及び/または再生動作を行記録再生方法。
  9. 前記用途識別情報は、制約なしに記録再生可能、再生専用、追加記録または再生のみ可能、排出待機状態に移行、のいずれかとされ請求項記載の記録再生方法。
  10. 前記用途識別情報が、追加記録または再生のみ可能であるとされ、これに基づいて前記磁気テープに対する追加記録を行う場合、前記磁気テープにおける最終記録位置が追加記録の開始位置となるように、前記磁気テープに追加記録を行請求項に記載の記録再生方法。
  11. 前記メモリに記憶されている前記テープカセットを識別する管理情報を検出する第一の識別情報検出方法と、
    前記磁気テープに記憶されている前記テープカセットを識別する管理情報を検出する第二の識別情報検出方法と、
    前記第一、第二の識別情報検出手段によって検出された二個の識別情報が一致しているか否かを判別する識別情報判別方法と、
    前記識別情報判別方法による判別結果に基づいて特定の動作のみを実行させることができる制御方法と、
    を備え請求項に記載の記録再生方法。
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