JP4765191B2 - セラミック積層体の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は,セラミック層を複数積層してなるセラミック積層体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来技術】
セラミック積層体は,例えば圧電アクチュエータ等の高性能部品に用いられる場合がある。上記圧電アクチュエータには,セラミック層と内部電極層とを交互に積層して構成したセラミック積層体が用いられる。これを例に取ると,近年,圧電アクチュエータは,低電圧で高い変位を得るために,セラミック層の薄肉化と積層数の増加が図られ,さらに装置への組み込みを容易にするために全体の小型化が図られている。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら,セラミック層の薄肉化と積層数の増大は,得られるセラミック積層体において,デラミ(層間剥離)や,クラックが生じ易くなるという問題を招く。このデラミやクラックは,セラミック積層体の動作不良を引き起こす原因となってしまう。
【0004】
これに対し,特表2000−500925号公報には,大きな面積のグリーンシートを最大で3mmまでの第1積層体を形成し,この第1積層体を脱脂した後に全高が5mm以上となるように積層して第2の積層体を形成することが提案されている。この方法では,圧着時の応力不均一が低減される。しかしながら,脱脂後の第1積層体が非常にもろいので,脱脂炉からの取り出し,搬送,積層時の少しの応力によってダメージが加えられ,このダメージを受けた部分がその後製品においてデラミやクラックの発生ヶ所となってしまう。
また,このような問題は,圧電アクチュエータに用いる場合に限らず,その他のセラミック積層体においても同様に発生しうる。
【0005】
本発明は,かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので,デラミ,クラック等の発生を抑制することができ,高信頼性が得られるセラミック積層体を製造する方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】
第1の発明は,セラミック層を複数枚積層してなるセラミック積層体を製造する方法において,
複数のセラミック層を幅方向に含む幅広のセラミックシートを,最終積層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する仮圧着工程と,
上記予備積層体を幅方向において複数に切断することにより,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法を有していると共に最終積層数よりも少ない積層数のユニット体を形成するユニット切断工程と,
上記ユニット体を複数個積層して上記セラミック層の積層数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積層方向に加圧して上記セラミック積層体を形成する本圧着工程と,
該本圧着工程後の上記セラミック積層体の上記セラミック層に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する脱脂工程と,
上記セラミック積層体を焼成する焼成工程とを含み,
上記仮圧着工程においては積層方向からのみ加圧し,上記本圧着工程においては積層方向からの加圧とこれに直交する側面方向からの加圧を行うことを特徴とするセラミック積層体の製造方法にある(請求項1)。
【0007】
本発明においては,上記仮圧着工程,ユニット切断工程を行った後に本圧着工程を行い,その後に脱脂工程及び焼成工程を行う。
そして,仮圧着工程においては,上記幅広のセラミックシートを積層して仮圧着する。このとき,セラミックシートが幅広なので,圧着時の圧力を略均一に付与することができる。それ故,仮圧着工程においては,圧力の偏りによるダメージ部の発生を抑制することができる。
【0008】
次に,上記ユニット切断工程においては,得ようとするセラミック積層体の基本面積である,1枚のセラミック層を含む幅寸法に切断したユニット体を得る。そして,上記本圧着工程において,ユニット体を積層して熱圧着することにより,最終の積層数を有するセラミック積層体を得る。このときの熱圧着においては,上記ユニット体を積層して加圧するので,ユニット体を用いないで1枚単位で積層して熱圧着する場合と比べて,安定した加圧を行うことができる。そのため,本圧着工程におけるダメージ部の発生を抑制することができる。また,ユニット体は,未だ脱脂工程が施されておらず,十分にセラミック層の柔軟性が維持されているので,もろくて欠けるということもない。
【0009】
そして,この本圧着工程を行って最終積層数を有するセラミック積層体を形成した後に,該セラミック積層体に対して脱脂工程を施す。そのため,もろくなった脱脂後のセラミック積層体を取り扱う工程が主に焼成工程だけになり,もろさによって損傷を受けることが少なくなる。
【0010】
このように,上記仮圧着工程,ユニット切断工程,本圧着工程,脱脂工程及び焼成工程を順次行うことによって,ダメージ部の発生を抑制することができる製造方法が得られる。それ故,デラミ,クラック等の発生を抑制することができ,高信頼性が得られるセラミック積層体を製造する方法を提供することができる。
【0011】
第2の発明は,セラミック層を複数枚積層してなるセラミック積層体を製造する方法において,
複数のセラミック層を幅方向に含む幅広のセラミックシートを,最終積層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する第1の仮圧着工程と,
上記予備積層体を幅方向において複数に切断すると共に,切断後の予備積層体を複数個積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して新たな予備積層体を形成する第2の仮圧着工程と,
上記第2の仮圧着工程を1回又は複数回繰り返した後に得られた予備積層体を幅方向において複数に切断することにより,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法を有していると共に最終積層数よりも少ない積層数のユニット体を形成するユニット切断工程と,
上記ユニット体を複数個積層して上記セラミック層の積層数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積層方向に加圧して上記セラミック積層体を形成する本圧着工程と,
該本圧着工程後の上記セラミック積層体の上記セラミック層に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する脱脂工程と,
上記セラミック積層体を焼成する焼成工程とを含み,
上記仮圧着工程においては積層方向からのみ加圧し,上記本圧着工程においては積層方向からの加圧とこれに直交する側面方向からの加圧を行うことを特徴とするセラミック積層体の製造方法にある(請求項2)。
【0012】
本発明は,上記第1の発明に加えて第2の仮圧着工程を追加した発明である。そして,この第2の仮圧着工程は1回あるいは複数回行う。
即ち,第1の仮圧着工程において得られた予備積層体を,1回または複数回の第2の仮圧着工程において積層数を増やすと共に幅寸法を減らしていく。その後,上記ユニット切断工程によってユニット体を得る。その後は第1の発明と同様である。
【0013】
本発明の場合には,上記第2の仮圧着工程を追加することによって,ユニット切断工程を行う前の予備積層体の積層数を増やすことができる。そのため,ユニット体単体の積層数を増加させることができ,上記本圧着工程の安定性をさらに向上させることができる。
その他は上述した第1の発明と同様の作用効果が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記第1及び第2の発明において,上記セラミック積層体の積層方向の寸法とこれに直交する幅方向の寸法の比である縦横比は1以上であることが好ましい(請求項3)。縦横比が1以上である縦長のセラミック積層体においては,デラミやクラックが発生する確率が高い。そのため,上記製造方法の適用が非常に有効である。特に縦横比が3以上である場合には,その効果が顕著である。
【0015】
また,上記仮圧着工程の加熱温度は,上記本圧着工程の加熱温度よりも低い又は同じであることが好ましい(請求項4)。これにより,上記本圧着工程における熱圧着により確実な圧着作用を得ることができる。一方,上記本圧着工程の加熱温度よりも仮圧着工程の加熱温度が高い場合には,本圧着工程において十分に圧着作用が得られない場合がある。
【0016】
また,上記仮圧着工程の加圧力は,上記本圧着工程の加圧力よりも低い又は同じであることが好ましい(請求項5)。この場合にも,上記本圧着工程における熱圧着により確実な圧着作用を得ることができる。一方,上記本圧着工程の加圧力よりも仮圧着工程の加圧力が高い場合には,本圧着工程において十分に圧着作用が得られない場合がある。
【0017】
また,上記仮圧着工程の加熱温度は,上記セラミック層に含有されたバインダ樹脂のガラス転移点以上の温度であることが好ましい(請求項6)。仮圧着工程における加熱温度が上記ガラス転移点未満の温度である場合には,十分な圧着作用が得られない場合がある。
【0018】
また,上記本圧着工程の加熱温度は,上記仮圧着工程の加熱温度よりも20度以上高く,かつ,上記バインダ樹脂の熱分解温度よりも低いことが好ましい(請求項7)。上記本圧着工程における加熱温度が仮圧着工程の加熱温度よりも20度以上高くない場合には,仮圧着工程において上記バインダ樹脂中の低分子良性分が気化するなどの変化の影響が現れて十分な圧着状態が得られないおそれがある。一方,上記バインダ樹脂の熱分解温度よりも本圧着工程の加熱温度が高い場合には,バインダ樹脂成分がほとんど気化してしまい,十分な圧着が得られないという問題がある。
【0019】
また,上記仮圧着工程においては積層方向からのみ加圧し,上記本圧着工程においては積層方向からの加圧とこれに直交する側面方向からの加圧を行うこれにより,上記仮圧着工程においては,一軸方向からの略均一な加圧を行うことができ,ダメージ部の発生を抑制することができる。また,上記本圧着工程においては,積層方向と側面方向からの加圧を組み合わせることにより,積層形状に優れたセラミック積層体を得ることができる。そして,その後の脱脂工程及び焼成工程においても優れた形状を維持することができる。それ故,焼成工程の後に,セラミック積層体の形状を整えるための切削あるいは研削工程等を行う場合においても,最小の削除に抑えることができ,工程合理化等を図ることができる。
【0020】
また,上記セラミック層は圧電セラミックスよりなり,上記セラミック積層体は,上記セラミック層と内部電極層とを交互に積層して構成されたピエゾアクチュエータ用セラミック積層体であることが好ましい。即ち,圧電セラミックスの積層体を用いたアクチュエータであるピエゾアクチュエータは,駆動時に大きな発生力を発揮すると共に大きな変位を生ずる。そのため,上記デラミやクラックの発生が大きな問題となる。それ故,上記製造方法の適用が有効である。
なお,上記ピエゾアクチュエータとしては,例えば,エンジンに燃料を噴射するインジェクタの弁制御に使うこともでき,この場合には特に過激な使用がなされるので,上記製造方法の適用による耐久性の向上が有効である。
【0021】
【実施例】
(実施例1)
本発明のセラミック積層体の製造方法に係る実施例につき,図1〜図7を用いて説明する。
本例は,図7に示すごとく,セラミック層11を複数枚積層してなるセラミック積層体1を製造する方法である。特に本例のセラミック積層体1は,セラミック層11が圧電セラミックスよりなり,セラミック層11と内部電極層2とを交互に積層して構成されたピエゾアクチュエータ用セラミック積層体である。また,本例のセラミック積層体1は,その縦横比が3を超えるものである。
【0022】
このセラミック積層体1を製造するに当たり,図1に示すごとく,本例では,少なくとも下記の仮圧着工程S4,ユニット切断工程S5,本圧着工程S6,脱脂工程S7,焼成工程S8を行う。
上記仮圧着工程S4は,複数のセラミック層11を幅方向に含む幅広のセラミックシート110を,最終積層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体111を形成する工程である。
【0023】
上記ユニット切断工程S5は,上記予備積層体111を幅方向において複数に切断することにより,1枚のセラミック層11を幅方向に含む幅寸法を有していると共に最終積層数よりも少ない積層数のユニット体115を形成する工程である。
上記本圧着工程は,ユニット体115を複数個積層してセラミック層11の積層数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積層方向に加圧してセラミック積層体1を形成する工程である。
【0024】
上記脱脂工程は,本圧着工程後のセラミック積層体1のセラミック層11に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する工程である。
上記焼成工程は,脱脂工程後のセラミック積層体1を焼成する工程である。
以下,これを詳説する。
【0025】
本例では,上記セラミック積層体1を製造するに当たって,まず図1に示すごとく,セラミック層11の基となる長尺のセラミックシートを成形するシート成形工程S1と,この長尺のセラミックシートから所定の大きさのセラミックシート110(図2)を打ち抜くシート打抜き工程S2を行う。
【0026】
シート成形工程S1は,ドクターブレード法,押出成形法,その他の種々の方法を採ることができるが,本例では,ドクターブレード法によってロール状に巻き上げた長尺のセラミックシートを作製する。この原料としては,焼成後に所望の圧電セラミックスとなるよう調整されたものを用いる。具体的には,種々の原料を用いることができるが,本例では,PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)となる原料を用いた。
上記シート打抜き工程S2では,16枚のセラミック層11が採取可能な大きさのセラミックシート110を上記の長尺のセラミックシートから切り出す。
【0027】
次に,図1,図2(a)に示すごとく,内部電極印刷工程S3を実施する。この工程では,各セラミックシート110に内部電極層2をパターン印刷する。このとき,内部電極層2の印刷位置は,最終的にセラミック層11上に控え部15(図5)が形成されるように設定しておく。
【0028】
次に,図1,図2(b)(c)に示すごとく,仮圧着工程S4を行う。この仮圧着工程S4では,内部電極層2を印刷済みのセラミックシート110を10枚積層して熱圧着する。なお,図2では,枚数等を簡略化して描いている。このときの熱圧着条件は,後述の本圧着工程S6よりも低温,低圧の条件で行う。具体的な条件は,加熱温度80℃,加圧力5MPaであり,上下からのみ治具(図示略)により3分間プレスするという条件とした。
また,上記セラミックシート110の積層は,内部電極2の存在しない上記控え部15の位置が,積層した状態で交互に左右にずれるようにする。これにより,幅広の予備積層体111が得られる。
【0029】
次に,図1,図2(d)に示すごとく,ユニット切断工程S5を行う。このユニット切断工程S5では,上記セラミックシート110を10枚積層してなる予備積層体111を幅方向において複数に切断する。これにより,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法を有していると共に10枚のセラミック層が仮圧着されているユニット体115が,上記各予備積層体111からそれぞれ16個ずつ得られる。
【0030】
次に,図1,図2(e),(f),図3,図4に示すごとく,20個のユニット体115を積層して本圧着工程S6を実施する。
具体的には,図3に示すごとく,側面治具71として,断面コの字状の第1側面治具711とこれに被せる第2側面治具712を用いる。また,端面治具72としては,上記第1側面治具711の凹部713に挿入可能な一対のものを用いる。
【0031】
そして,同図に示すごとく,20個のユニット体115を積層させながら第1側面治具711の凹部713に挿入する。次いで,第1側面治具712に第2側面治具712を被せる。この状態で,側面治具71の両端から上記端面治具72を第1側面治具711の凹部713挿入して熱圧着工程を実施する。
【0032】
本例では,加熱温度は120℃とすると共に,端面治具72から積層方向への加圧力を340MPaとした。また,加圧の時間は3分間とした。なお,加熱温度は100〜250℃の範囲で変更することができる。さらに加圧力は5〜100MPaの範囲で変更することができる。また,加圧及び加熱の時間は,セラミック層11の大きさ,積層数などによって変更することができる。
【0033】
また,本例では,上記本圧着工程S6の加熱及び加圧を所定時間行った後加圧力を除去し,上記端面治具72を取り外すと共に,側面治具71を分解した。これにより,図2(f)に示すごとく,四角柱形状を有したセラミック積層体1が得られた。
【0034】
このセラミック積層体1の展開図を図5に示す。同図に示すごとく,セラミック積層体1を構成する各セラミック層11と内部電極層2とは四角形状を有している。また,セラミック積層体1は,隣り合ったセラミック層11の間に内部電極層2が存在しない控え部15を上記側面における対向する2つの側面側101,102に交互に有している。
【0035】
次に,図1に示すごとく,セラミック積層体1のセラミック層11に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する脱脂工程S7を行う。具体的には,上記セラミック積層体1を大気またはN2雰囲気の下,温度350℃,保持時間5時間の条件で加熱してバインダ樹脂を除去する。
【0036】
次に,図1に示すごとく,脱脂後のセラミック積層体1を焼成する焼成工程S8を行う。本例では,温度1100℃,保持時間2時間という条件で行った。
【0037】
次に,本例では,図1に示すごとく,側面研削工程S9を行う。
図6に示すごとく,砥石5を用いて,側面101〜104を研削する。このとき,本例では,控え部15を有する側面101,102は平坦に研削し,控え部15を有していない側面103,104を円弧状に研削する。これにより,図7に示すごとく,断面形状が樽形のセラミック積層体1が得られる。
【0038】
次に,本例の作用効果につき説明する。
本例においては,上記のごとく,その製造工程においては,上記仮圧着工程S4,ユニット切断工程S5を行った後に本圧着工程S6を行い,その後に脱脂工程S7及び焼成工程S8を行う。
そして,仮圧着工程S4においては,上記幅広のセラミックシート11を積層して仮圧着する。このとき,セラミックシートが幅広なので,圧着時の圧力を略均一に付与することができる。それ故,仮圧着工程S4においては,圧力の偏りによるダメージ部の発生を抑制することができる。
【0039】
次に,上記ユニット切断工程S5においては,得ようとするセラミック積層体1の基本面積である,1枚のセラミック層を含む幅寸法に切断したユニット体115を得る。そして,上記本圧着工程S6において,ユニット体115を積層して熱圧着することにより,最終の積層数を有するセラミック積層体1を得る。このときの熱圧着においては,上記ユニット体115を積層して加圧するので,ユニット体115を用いないで1枚単位で積層して熱圧着する場合と比べて,安定した加圧を行うことができる。そのため,本圧着工程S6におけるダメージ部の発生を抑制することができる。また,ユニット体115は,未だ脱脂工程が施されておらず,十分にセラミック層11の柔軟性が維持されているので,もろくて欠けるということもない。
【0040】
そして,この本圧着工程S6を行って最終積層数を有するセラミック積層体1を形成した後に,該セラミック積層体1に対して脱脂工程S7を施す。そのため,もろくなった脱脂後のセラミック積層体1を取り扱う工程が主に焼成工程S8だけになり,もろさによって損傷を受けることが少なくなる。
【0041】
このように,上記仮圧着工程S4,ユニット切断工程S5,本圧着工程S6,脱脂工程S7及び焼成工程S8を順次行うことによって,セラミック積層体1を製造する際にダメージ部が発生することを抑制することができる。それ故,デラミ,クラック等の発生を抑制することができ,高信頼性が得られるセラミック積層体1が得られる。
【0042】
また,本例セラミック積層体1は,上記のごとく,積層数が多く,縦横比が3を超えている。それにも関わらず,上記製造工程を採用したことによって,デラミやクラックがほとんど発生しないセラミック積層体1を得ることができた。
【0043】
また,仮圧着工程S4と本圧着工程S6の処理条件を異なる条件とし,仮圧着工程S4の方を低温,低圧力の条件とした。さらに,加熱温度は,いずれもセラミック層に含有されたバインダ樹脂のガラス転移点以上の温度とした。さらに,本圧着工程S6においては,上記のごとく,仮圧着工程S4の加熱温度よりも20度以上高く,かつ,バインダ樹脂の熱分解温度よりも低い加熱温度に設定した。
【0044】
そのため,仮圧着工程S4での圧着作用を十分に確保することができると共に,仮圧着工程S4に上記本圧着工程S6を行った際にも十分な圧着作用を得ることができる。さらに,本圧着工程S6後においても,バインダ樹脂が十分に残存するので,脆さが生じず,十分な柔軟性が維持される。それ故,本圧着工程S6後にセラミック積層体1が損傷することをさらに抑制することができる。
【0045】
そして,本例では,上記仮圧着工程S4においては積層方向からのみ加圧し,上記本圧着工程S6においては,上記側面治具71及び端面治具72を用いることにより,積層方向からの加圧とこれに直交する側面方向からの加圧を行う。これにより,仮圧着工程S4においては,一軸方向からの略均一な加圧を行うことができ,ダメージ部の発生をさらに抑制することができる。
【0046】
また,本圧着工程S6においては,積層方向と側面方向からの加圧を組み合わせることにより,積層形状に優れたセラミック積層体1を得ることができる。また,そのため,その後の脱脂工程S7及び焼成工程S8においても優れた形状を維持することができ,側面研削工程S9での削り代を少なくすることができる。
それ故,工程合理化を図ることもできる。
【0047】
また,上記セラミック積層体1は,圧電セラミックスの積層体を用いたアクチュエータであるピエゾアクチュエータである。そしてまた,セラミック積層体1は,上記のごとく,デラミやクラックの発生が抑制される。それ故,非常に過酷な使用がなされる,インジェクタに内蔵させた場合にも,優れた耐久性を発揮しうる。
【0048】
(比較例1)
本例では,実施例1の製造方法により得られたセラミック積層体1の優れた点を定量的に評価するため,実施例1と異なる製造方法(比較例1)によりセラミック積層体を作製し,デラミ及びクラックの発生率を調べた。
本比較例1の製造方法は,図8に示すごとく,仮圧着工程S4の後にユニット切断工程S5,脱脂工程S55を実施し,その後本圧着工程S6,焼成工程S8,側面研削工程S9を順次行う方法である。各工程の内容は,実施例1と同じであり,脱脂工程の順序を変えたことのみが実施例1と異なる。
【0049】
本例では,上記比較例1及び実施例1の製造方法により,それぞれ30台のセラミック積層体1を作製し,デノミとクラックの発生数を調べた。
【0050】
結果を図9に示す。同図は,横軸に製造工程の区別を,縦軸に不良率をとった。同図より知られるごとく,比較例1においては,デラミの発生率C11が3/30,クラックの発生率が4/30であり,全体の不良発生率は23%に達した。これに対し,実施例1の場合には,不良が全く発生しなかった。
【0051】
(実施例2)
本例では,図10に示すごとく,実施例1における仮圧着工程S4に代えて,第1仮圧着工程S41と第2仮圧着工程S42とを行った。第1仮圧着工程S41は,図11(b)(c)に示すごとく,実施例1の仮圧着工程S4と同じ工程であり,セラミックシート110を10枚積層してなる予備積層体111を得る。なお,図11も,枚数等を簡略化して描いている。
【0052】
次に,第2仮圧着工程S42では,図11(d)〜(f)に示すごとく,上記予備積層体111をおよそ1/4の大きさに切断した第2の予備積層体112を形成し,これを2つ重ねて仮圧着することにより,セラミック層が20枚積層された状態の予備積層体113を作製する。
【0053】
次に,ユニット切断工程S5では,予備積層体113を切断して,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法を有していると共に20枚のセラミック層が仮圧着されているユニット体116を得る。
また,次の本圧着工程S6では,10個のユニット体116を積層させ,実施例1と同様に側面治具71及び端面治具72を用いて行った。
【0054】
そして,本例では,第1仮圧着工程S41の処理条件は,加熱温度80℃,加圧力5MPa,第2仮圧着工程S42の処理条件は,加熱温度100℃,加圧力10MPa,本圧着工程S6の処理条件は,加熱温度120℃,加圧力34MPaとした。そして,後の工程ほど,高温,高圧力の条件を採用した。
上記本圧着工程S6の後には,実施例1と同様に,脱脂工程S7及び焼成工程S8を行う。その他は実施例1と同様である。
【0055】
本例の場合には,上記のごとく,上記第2仮圧着工程S41を追加する。そして,第1仮圧着工程S41において得られた予備積層体111を,積層数を増やすと共に幅寸法を減らした別の予備積層体113を作製し,その後,上記ユニット切断工程S5以降を行う。
【0056】
そのため,本例では,ユニット体116単体の積層数を増加させることができ,上記本圧着工程S6の安定性をさらに向上させることができる。
その他は実施例1と同様の作用効果が得られる。
なお,上記実施例では,内部電極層の印刷パターンを各セラミックシートに対して4×4の合計16とした例を示したが,本発明はこれに限定されるものではなく,例えば7×6の合計42,その他のパターンにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,製造工程を示す説明図。
【図2】実施例1における,製造工程を示す説明図。
【図3】実施例1における,熱圧着工程に使用する治具を示す説明図。
【図4】実施例1における,熱圧着工程を行っている状態を示す説明図。
【図5】実施例1における,セラミック層の積層状態を示す展開説明図。
【図6】実施例1における,側面研削工程を行っている状態を示す説明図。
【図7】実施例1における,得られたセラミック積層体を示す斜視図。
【図8】比較例1における,製造工程を示す説明図。
【図9】実施例1と比較例1の不良発生率を示す説明図。
【図10】実施例2における,製造工程を示す説明図。
【図11】実施例2における,製造工程を示す説明図。
【符号の説明】
1...セラミック積層体,
11...セラミック層,
110...セラミックシート,
111,112,113...予備積層体,
115,116...ユニット体,
15...控え部,
2...内部電極層,
71...側面治具,
711...第1側面治具,
712...第2側面治具,
72...端面治具,

Claims (8)

  1. セラミック層を複数枚積層してなるセラミック積層体を製造する方法において,
    複数のセラミック層を幅方向に含む幅広のセラミックシートを,最終積層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する仮圧着工程と,
    上記予備積層体を幅方向において複数に切断することにより,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法を有していると共に最終積層数よりも少ない積層数のユニット体を形成するユニット切断工程と,
    上記ユニット体を複数個積層して上記セラミック層の積層数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積層方向に加圧して上記セラミック積層体を形成する本圧着工程と,
    該本圧着工程後の上記セラミック積層体の上記セラミック層に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する脱脂工程と,
    上記セラミック積層体を焼成する焼成工程とを含み,
    上記仮圧着工程においては積層方向からのみ加圧し,上記本圧着工程においては積層方向からの加圧とこれに直交する側面方向からの加圧を行うことを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  2. セラミック層を複数枚積層してなるセラミック積層体を製造する方法において,
    複数のセラミック層を幅方向に含む幅広のセラミックシートを,最終積層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する第1の仮圧着工程と,
    上記予備積層体を幅方向において複数に切断すると共に,切断後の予備積層体を複数個積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して新たな予備積層体を形成する第2の仮圧着工程と,
    上記第2の仮圧着工程を1回又は複数回繰り返した後に得られた予備積層体を幅方向において複数に切断することにより,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法を有していると共に最終積層数よりも少ない積層数のユニット体を形成するユニット切断工程と,
    上記ユニット体を複数個積層して上記セラミック層の積層数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積層方向に加圧して上記セラミック積層体を形成する本圧着工程と,
    該本圧着工程後の上記セラミック積層体の上記セラミック層に含有されているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する脱脂工程と,
    上記セラミック積層体を焼成する焼成工程とを含み,
    上記仮圧着工程においては積層方向からのみ加圧し,上記本圧着工程においては積層方向からの加圧とこれに直交する側面方向からの加圧を行うことを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  3. 請求項1又は2において,上記セラミック積層体の積層方向の寸法とこれに直交する幅方向の寸法の比である縦横比は1以上であることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項において,上記仮圧着工程の加熱温度は,上記本圧着工程の加熱温度よりも低い又は同じであることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項において,上記仮圧着工程の加圧力は,上記本圧着工程の加圧力よりも低い又は同じであることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項において,上記仮圧着工程の加熱温度は,上記セラミック層に含有されたバインダ樹脂のガラス転移点以上の温度であることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項において,上記本圧着工程の加熱温度は,上記仮圧着工程の加熱温度よりも20度以上高く,かつ,上記バインダ樹脂の熱分解温度よりも低いことを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項において,上記セラミック層は圧電セラミックスよりなり,上記セラミック積層体は,上記セラミック層と内部電極層とを交互に積層して構成されたピエゾアクチュエータ用セラミック積層体であることを特徴とするセラミック積層体の製造方法。
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