JP2002314161A - セラミック積層体の製造方法 - Google Patents
セラミック積層体の製造方法Info
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Abstract
でき,高信頼性が得られるセラミック積層体を製造する
方法を提供すること。 【解決手段】 セラミック層11を幅方向に含む幅広の
セラミックシート110を積層し,加熱すると共に積層
方向に加圧して予備積層体111を形成する仮圧着工程
と,予備積層体111を切断することにより,1枚のセ
ラミック層を幅方向に含む幅寸法を有しているユニット
体115を形成するユニット切断工程と,ユニット体1
15を積層してセラミック層11の積層数を最終積層数
とすると共に,積層方向に加圧すると共に加熱してセラ
ミック積層体1を形成する本圧着工程と,本圧着工程後
のセラミック積層体1のバインダ樹脂を90%以上加熱
除去する脱脂工程と,セラミック積層体1を焼成する焼
成工程とを含む。
Description
るセラミック積層体を製造する方法に関する。
エータ等の高性能部品に用いられる場合がある。上記圧
電アクチュエータには,セラミック層と内部電極層とを
交互に積層して構成したセラミック積層体が用いられ
る。これを例に取ると,近年,圧電アクチュエータは,
低電圧で高い変位を得るために,セラミック層の薄肉化
と積層数の増加が図られ,さらに装置への組み込みを容
易にするために全体の小型化が図られている。
の薄肉化と積層数の増大は,得られるセラミック積層体
において,デラミ(層間剥離)や,クラックが生じ易く
なるという問題を招く。このデラミやクラックは,セラ
ミック積層体の動作不良を引き起こす原因となってしま
う。
号公報には,大きな面積のグリーンシートを最大で3m
mまでの第1積層体を形成し,この第1積層体を脱脂し
た後に全高が5mm以上となるように積層して第2の積
層体を形成することが提案されている。この方法では,
圧着時の応力不均一が低減される。しかしながら,脱脂
後の第1積層体が非常にもろいので,脱脂炉からの取り
出し,搬送,積層時の少しの応力によってダメージが加
えられ,このダメージを受けた部分がその後製品におい
てデラミやクラックの発生ヶ所となってしまう。また,
このような問題は,圧電アクチュエータに用いる場合に
限らず,その他のセラミック積層体においても同様に発
生しうる。
されたもので,デラミ,クラック等の発生を抑制するこ
とができ,高信頼性が得られるセラミック積層体を製造
する方法を提供しようとするものである。
枚積層してなるセラミック積層体を製造する方法におい
て,複数のセラミック層を幅方向に含む幅広のセラミッ
クシートを,最終積層数よりも少ない枚数だけ積層し,
加熱すると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成す
る仮圧着工程と,上記予備積層体を幅方向において複数
に切断することにより,1枚のセラミック層を幅方向に
含む幅寸法を有していると共に最終積層数よりも少ない
積層数のユニット体を形成するユニット切断工程と,上
記ユニット体を複数個積層して上記セラミック層の積層
数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積層方向
に加圧して上記セラミック積層体を形成する本圧着工程
と,該本圧着工程後の上記セラミック積層体の上記セラ
ミック層に含有されているバインダ樹脂を90%以上加
熱除去する脱脂工程と,上記セラミック積層体を焼成す
る焼成工程とを含むことを特徴とするセラミック積層体
の製造方法にある(請求項1)。
ット切断工程を行った後に本圧着工程を行い,その後に
脱脂工程及び焼成工程を行う。そして,仮圧着工程にお
いては,上記幅広のセラミックシートを積層して仮圧着
する。このとき,セラミックシートが幅広なので,圧着
時の圧力を略均一に付与することができる。それ故,仮
圧着工程においては,圧力の偏りによるダメージ部の発
生を抑制することができる。
得ようとするセラミック積層体の基本面積である,1枚
のセラミック層を含む幅寸法に切断したユニット体を得
る。そして,上記本圧着工程において,ユニット体を積
層して熱圧着することにより,最終の積層数を有するセ
ラミック積層体を得る。このときの熱圧着においては,
上記ユニット体を積層して加圧するので,ユニット体を
用いないで1枚単位で積層して熱圧着する場合と比べ
て,安定した加圧を行うことができる。そのため,本圧
着工程におけるダメージ部の発生を抑制することができ
る。また,ユニット体は,未だ脱脂工程が施されておら
ず,十分にセラミック層の柔軟性が維持されているの
で,もろくて欠けるということもない。
数を有するセラミック積層体を形成した後に,該セラミ
ック積層体に対して脱脂工程を施す。そのため,もろく
なった脱脂後のセラミック積層体を取り扱う工程が主に
焼成工程だけになり,もろさによって損傷を受けること
が少なくなる。
断工程,本圧着工程,脱脂工程及び焼成工程を順次行う
ことによって,ダメージ部の発生を抑制することができ
る製造方法が得られる。それ故,デラミ,クラック等の
発生を抑制することができ,高信頼性が得られるセラミ
ック積層体を製造する方法を提供することができる。
してなるセラミック積層体を製造する方法において,複
数のセラミック層を幅方向に含む幅広のセラミックシー
トを,最終積層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱す
ると共に積層方向に加圧して予備積層体を形成する第1
の仮圧着工程と,上記予備積層体を幅方向において複数
に切断すると共に,切断後の予備積層体を複数個積層
し,加熱すると共に積層方向に加圧して新たな予備積層
体を形成する第2の仮圧着工程と,上記第2の仮圧着工
程を1回又は複数回繰り返した後に得られた予備積層体
を幅方向において複数に切断することにより,1枚のセ
ラミック層を幅方向に含む幅寸法を有していると共に最
終積層数よりも少ない積層数のユニット体を形成するユ
ニット切断工程と,上記ユニット体を複数個積層して上
記セラミック層の積層数を最終積層数とすると共に,加
熱すると共に積層方向に加圧して上記セラミック積層体
を形成する本圧着工程と,該本圧着工程後の上記セラミ
ック積層体の上記セラミック層に含有されているバイン
ダ樹脂を90%以上加熱除去する脱脂工程と,上記セラ
ミック積層体を焼成する焼成工程とを含むことを特徴と
するセラミック積層体の製造方法にある(請求項2)。
仮圧着工程を追加した発明である。そして,この第2の
仮圧着工程は1回あるいは複数回行う。即ち,第1の仮
圧着工程において得られた予備積層体を,1回または複
数回の第2の仮圧着工程において積層数を増やすと共に
幅寸法を減らしていく。その後,上記ユニット切断工程
によってユニット体を得る。その後は第1の発明と同様
である。
を追加することによって,ユニット切断工程を行う前の
予備積層体の積層数を増やすことができる。そのため,
ユニット体単体の積層数を増加させることができ,上記
本圧着工程の安定性をさらに向上させることができる。
その他は上述した第1の発明と同様の作用効果が得られ
る。
て,上記セラミック積層体の積層方向の寸法とこれに直
交する幅方向の寸法の比である縦横比は1以上であるこ
とが好ましい(請求項3)。縦横比が1以上である縦長
のセラミック積層体においては,デラミやクラックが発
生する確率が高い。そのため,上記製造方法の適用が非
常に有効である。特に縦横比が3以上である場合には,
その効果が顕著である。
本圧着工程の加熱温度よりも低い又は同じであることが
好ましい(請求項4)。これにより,上記本圧着工程に
おける熱圧着により確実な圧着作用を得ることができ
る。一方,上記本圧着工程の加熱温度よりも仮圧着工程
の加熱温度が高い場合には,本圧着工程において十分に
圧着作用が得られない場合がある。
圧着工程の加圧力よりも低い又は同じであることが好ま
しい(請求項5)。この場合にも,上記本圧着工程にお
ける熱圧着により確実な圧着作用を得ることができる。
一方,上記本圧着工程の加圧力よりも仮圧着工程の加圧
力が高い場合には,本圧着工程において十分に圧着作用
が得られない場合がある。
セラミック層に含有されたバインダ樹脂のガラス転移点
以上の温度であることが好ましい(請求項6)。仮圧着
工程における加熱温度が上記ガラス転移点未満の温度で
ある場合には,十分な圧着作用が得られない場合があ
る。
仮圧着工程の加熱温度よりも20度以上高く,かつ,上
記バインダ樹脂の熱分解温度よりも低いことが好ましい
(請求項7)。上記本圧着工程における加熱温度が仮圧
着工程の加熱温度よりも20度以上高くない場合には,
仮圧着工程において上記バインダ樹脂中の低分子良性分
が気化するなどの変化の影響が現れて十分な圧着状態が
得られないおそれがある。一方,上記バインダ樹脂の熱
分解温度よりも本圧着工程の加熱温度が高い場合には,
バインダ樹脂成分がほとんど気化してしまい,十分な圧
着が得られないという問題がある。
からのみ加圧し,上記本圧着工程においては積層方向か
らの加圧とこれに直交する側面方向からの加圧を行うこ
とが好ましい(請求項8)。これにより,上記仮圧着工
程においては,一軸方向からの略均一な加圧を行うこと
ができ,ダメージ部の発生を抑制することができる。ま
た,上記本圧着工程においては,積層方向と側面方向か
らの加圧を組み合わせることにより,積層形状に優れた
セラミック積層体を得ることができる。そして,その後
の脱脂工程及び焼成工程においても優れた形状を維持す
ることができる。それ故,焼成工程の後に,セラミック
積層体の形状を整えるための切削あるいは研削工程等を
行う場合においても,最小の削除に抑えることができ,
工程合理化等を図ることができる。
スよりなり,上記セラミック積層体は,上記セラミック
層と内部電極層とを交互に積層して構成されたピエゾア
クチュエータ用セラミック積層体であることが好まし
い。即ち,圧電セラミックスの積層体を用いたアクチュ
エータであるピエゾアクチュエータは,駆動時に大きな
発生力を発揮すると共に大きな変位を生ずる。そのた
め,上記デラミやクラックの発生が大きな問題となる。
それ故,上記製造方法の適用が有効である。なお,上記
ピエゾアクチュエータとしては,例えば,エンジンに燃
料を噴射するインジェクタの弁制御に使うこともでき,
この場合には特に過激な使用がなされるので,上記製造
方法の適用による耐久性の向上が有効である。
造方法に係る実施例につき,図1〜図7を用いて説明す
る。本例は,図7に示すごとく,セラミック層11を複
数枚積層してなるセラミック積層体1を製造する方法で
ある。特に本例のセラミック積層体1は,セラミック層
11が圧電セラミックスよりなり,セラミック層11と
内部電極層2とを交互に積層して構成されたピエゾアク
チュエータ用セラミック積層体である。また,本例のセ
ラミック積層体1は,その縦横比が3を超えるものであ
る。
り,図1に示すごとく,本例では,少なくとも下記の仮
圧着工程S4,ユニット切断工程S5,本圧着工程S
6,脱脂工程S7,焼成工程S8を行う。上記仮圧着工
程S4は,複数のセラミック層11を幅方向に含む幅広
のセラミックシート110を,最終積層数よりも少ない
枚数だけ積層し,加熱すると共に積層方向に加圧して予
備積層体111を形成する工程である。
層体111を幅方向において複数に切断することによ
り,1枚のセラミック層11を幅方向に含む幅寸法を有
していると共に最終積層数よりも少ない積層数のユニッ
ト体115を形成する工程である。上記本圧着工程は,
ユニット体115を複数個積層してセラミック層11の
積層数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積層
方向に加圧してセラミック積層体1を形成する工程であ
る。
ク積層体1のセラミック層11に含有されているバイン
ダ樹脂を90%以上加熱除去する工程である。上記焼成
工程は,脱脂工程後のセラミック積層体1を焼成する工
程である。以下,これを詳説する。
するに当たって,まず図1に示すごとく,セラミック層
11の基となる長尺のセラミックシートを成形するシー
ト成形工程S1と,この長尺のセラミックシートから所
定の大きさのセラミックシート110(図2)を打ち抜
くシート打抜き工程S2を行う。
法,押出成形法,その他の種々の方法を採ることができ
るが,本例では,ドクターブレード法によってロール状
に巻き上げた長尺のセラミックシートを作製する。この
原料としては,焼成後に所望の圧電セラミックスとなる
よう調整されたものを用いる。具体的には,種々の原料
を用いることができるが,本例では,PZT(ジルコン
酸チタン酸鉛)となる原料を用いた。上記シート打抜き
工程S2では,16枚のセラミック層11が採取可能な
大きさのセラミックシート110を上記の長尺のセラミ
ックシートから切り出す。
部電極印刷工程S3を実施する。この工程では,各セラ
ミックシート110に内部電極層2をパターン印刷す
る。このとき,内部電極層2の印刷位置は,最終的にセ
ラミック層11上に控え部15(図5)が形成されるよ
うに設定しておく。
く,仮圧着工程S4を行う。この仮圧着工程S4では,
内部電極層2を印刷済みのセラミックシート110を1
0枚積層して熱圧着する。なお,図2では,枚数等を簡
略化して描いている。このときの熱圧着条件は,後述の
本圧着工程S6よりも低温,低圧の条件で行う。具体的
な条件は,加熱温度80℃,加圧力5MPaであり,上
下からのみ治具(図示略)により3分間プレスするとい
う条件とした。また,上記セラミックシート110の積
層は,内部電極2の存在しない上記控え部15の位置
が,積層した状態で交互に左右にずれるようにする。こ
れにより,幅広の予備積層体111が得られる。
ニット切断工程S5を行う。このユニット切断工程S5
では,上記セラミックシート110を10枚積層してな
る予備積層体111を幅方向において複数に切断する。
これにより,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法
を有していると共に10枚のセラミック層が仮圧着され
ているユニット体115が,上記各予備積層体111か
らそれぞれ16個ずつ得られる。
図4に示すごとく,20個のユニット体115を積層し
て本圧着工程S6を実施する。具体的には,図3に示す
ごとく,側面治具71として,断面コの字状の第1側面
治具711とこれに被せる第2側面治具712を用い
る。また,端面治具72としては,上記第1側面治具7
11の凹部713に挿入可能な一対のものを用いる。
ット体115を積層させながら第1側面治具711の凹
部713に挿入する。次いで,第1側面治具712に第
2側面治具712を被せる。この状態で,側面治具71
の両端から上記端面治具72を第1側面治具711の凹
部713挿入して熱圧着工程を実施する。
に,端面治具72から積層方向への加圧力を340MP
aとした。また,加圧の時間は3分間とした。なお,加
熱温度は100〜250℃の範囲で変更することができ
る。さらに加圧力は5〜100MPaの範囲で変更する
ことができる。また,加圧及び加熱の時間は,セラミッ
ク層11の大きさ,積層数などによって変更することが
できる。
熱及び加圧を所定時間行った後加圧力を除去し,上記端
面治具72を取り外すと共に,側面治具71を分解し
た。これにより,図2(f)に示すごとく,四角柱形状
を有したセラミック積層体1が得られた。
示す。同図に示すごとく,セラミック積層体1を構成す
る各セラミック層11と内部電極層2とは四角形状を有
している。また,セラミック積層体1は,隣り合ったセ
ラミック層11の間に内部電極層2が存在しない控え部
15を上記側面における対向する2つの側面側101,
102に交互に有している。
体1のセラミック層11に含有されているバインダ樹脂
を90%以上加熱除去する脱脂工程S7を行う。具体的
には,上記セラミック積層体1を大気またはN2雰囲気
の下,温度350℃,保持時間5時間の条件で加熱して
バインダ樹脂を除去する。
ック積層体1を焼成する焼成工程S8を行う。本例で
は,温度1100℃,保持時間2時間という条件で行っ
た。
研削工程S9を行う。図6に示すごとく,砥石5を用い
て,側面101〜104を研削する。このとき,本例で
は,控え部15を有する側面101,102は平坦に研
削し,控え部15を有していない側面103,104を
円弧状に研削する。これにより,図7に示すごとく,断
面形状が樽形のセラミック積層体1が得られる。
例においては,上記のごとく,その製造工程において
は,上記仮圧着工程S4,ユニット切断工程S5を行っ
た後に本圧着工程S6を行い,その後に脱脂工程S7及
び焼成工程S8を行う。そして,仮圧着工程S4におい
ては,上記幅広のセラミックシート11を積層して仮圧
着する。このとき,セラミックシートが幅広なので,圧
着時の圧力を略均一に付与することができる。それ故,
仮圧着工程S4においては,圧力の偏りによるダメージ
部の発生を抑制することができる。
は,得ようとするセラミック積層体1の基本面積であ
る,1枚のセラミック層を含む幅寸法に切断したユニッ
ト体115を得る。そして,上記本圧着工程S6におい
て,ユニット体115を積層して熱圧着することによ
り,最終の積層数を有するセラミック積層体1を得る。
このときの熱圧着においては,上記ユニット体115を
積層して加圧するので,ユニット体115を用いないで
1枚単位で積層して熱圧着する場合と比べて,安定した
加圧を行うことができる。そのため,本圧着工程S6に
おけるダメージ部の発生を抑制することができる。ま
た,ユニット体115は,未だ脱脂工程が施されておら
ず,十分にセラミック層11の柔軟性が維持されている
ので,もろくて欠けるということもない。
積層数を有するセラミック積層体1を形成した後に,該
セラミック積層体1に対して脱脂工程S7を施す。その
ため,もろくなった脱脂後のセラミック積層体1を取り
扱う工程が主に焼成工程S8だけになり,もろさによっ
て損傷を受けることが少なくなる。
ト切断工程S5,本圧着工程S6,脱脂工程S7及び焼
成工程S8を順次行うことによって,セラミック積層体
1を製造する際にダメージ部が発生することを抑制する
ことができる。それ故,デラミ,クラック等の発生を抑
制することができ,高信頼性が得られるセラミック積層
体1が得られる。
ごとく,積層数が多く,縦横比が3を超えている。それ
にも関わらず,上記製造工程を採用したことによって,
デラミやクラックがほとんど発生しないセラミック積層
体1を得ることができた。
処理条件を異なる条件とし,仮圧着工程S4の方を低
温,低圧力の条件とした。さらに,加熱温度は,いずれ
もセラミック層に含有されたバインダ樹脂のガラス転移
点以上の温度とした。さらに,本圧着工程S6において
は,上記のごとく,仮圧着工程S4の加熱温度よりも2
0度以上高く,かつ,バインダ樹脂の熱分解温度よりも
低い加熱温度に設定した。
十分に確保することができると共に,仮圧着工程S4に
上記本圧着工程S6を行った際にも十分な圧着作用を得
ることができる。さらに,本圧着工程S6後において
も,バインダ樹脂が十分に残存するので,脆さが生じ
ず,十分な柔軟性が維持される。それ故,本圧着工程S
6後にセラミック積層体1が損傷することをさらに抑制
することができる。
おいては積層方向からのみ加圧し,上記本圧着工程S6
においては,上記側面治具71及び端面治具72を用い
ることにより,積層方向からの加圧とこれに直交する側
面方向からの加圧を行う。これにより,仮圧着工程S4
においては,一軸方向からの略均一な加圧を行うことが
でき,ダメージ部の発生をさらに抑制することができ
る。
向と側面方向からの加圧を組み合わせることにより,積
層形状に優れたセラミック積層体1を得ることができ
る。また,そのため,その後の脱脂工程S7及び焼成工
程S8においても優れた形状を維持することができ,側
面研削工程S9での削り代を少なくすることができる。
それ故,工程合理化を図ることもできる。
ラミックスの積層体を用いたアクチュエータであるピエ
ゾアクチュエータである。そしてまた,セラミック積層
体1は,上記のごとく,デラミやクラックの発生が抑制
される。それ故,非常に過酷な使用がなされる,インジ
ェクタに内蔵させた場合にも,優れた耐久性を発揮しう
る。
法により得られたセラミック積層体1の優れた点を定量
的に評価するため,実施例1と異なる製造方法(比較例
1)によりセラミック積層体を作製し,デラミ及びクラ
ックの発生率を調べた。本比較例1の製造方法は,図8
に示すごとく,仮圧着工程S4の後にユニット切断工程
S5,脱脂工程S55を実施し,その後本圧着工程S
6,焼成工程S8,側面研削工程S9を順次行う方法で
ある。各工程の内容は,実施例1と同じであり,脱脂工
程の順序を変えたことのみが実施例1と異なる。
造方法により,それぞれ30台のセラミック積層体1を
作製し,デノミとクラックの発生数を調べた。
程の区別を,縦軸に不良率をとった。同図より知られる
ごとく,比較例1においては,デラミの発生率C11が
3/30,クラックの発生率が4/30であり,全体の
不良発生率は23%に達した。これに対し,実施例1の
場合には,不良が全く発生しなかった。
く,実施例1における仮圧着工程S4に代えて,第1仮
圧着工程S41と第2仮圧着工程S42とを行った。第
1仮圧着工程S41は,図11(b)(c)に示すごと
く,実施例1の仮圧着工程S4と同じ工程であり,セラ
ミックシート110を10枚積層してなる予備積層体1
11を得る。なお,図11も,枚数等を簡略化して描い
ている。
(d)〜(f)に示すごとく,上記予備積層体111を
およそ1/4の大きさに切断した第2の予備積層体11
2を形成し,これを2つ重ねて仮圧着することにより,
セラミック層が20枚積層された状態の予備積層体11
3を作製する。
層体113を切断して,1枚のセラミック層を幅方向に
含む幅寸法を有していると共に20枚のセラミック層が
仮圧着されているユニット体116を得る。また,次の
本圧着工程S6では,10個のユニット体116を積層
させ,実施例1と同様に側面治具71及び端面治具72
を用いて行った。
の処理条件は,加熱温度80℃,加圧力5MPa,第2
仮圧着工程S42の処理条件は,加熱温度100℃,加
圧力10MPa,本圧着工程S6の処理条件は,加熱温
度120℃,加圧力34MPaとした。そして,後の工
程ほど,高温,高圧力の条件を採用した。上記本圧着工
程S6の後には,実施例1と同様に,脱脂工程S7及び
焼成工程S8を行う。その他は実施例1と同様である。
仮圧着工程S41を追加する。そして,第1仮圧着工程
S41において得られた予備積層体111を,積層数を
増やすと共に幅寸法を減らした別の予備積層体113を
作製し,その後,上記ユニット切断工程S5以降を行
う。
体の積層数を増加させることができ,上記本圧着工程S
6の安定性をさらに向上させることができる。その他は
実施例1と同様の作用効果が得られる。なお,上記実施
例では,内部電極層の印刷パターンを各セラミックシー
トに対して4×4の合計16とした例を示したが,本発
明はこれに限定されるものではなく,例えば7×6の合
計42,その他のパターンにしてもよい。
を示す説明図。
態を示す説明図。
示す展開説明図。
状態を示す説明図。
を示す斜視図。
図。
Claims (9)
- 【請求項1】 セラミック層を複数枚積層してなるセラ
ミック積層体を製造する方法において,複数のセラミッ
ク層を幅方向に含む幅広のセラミックシートを,最終積
層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱すると共に積層
方向に加圧して予備積層体を形成する仮圧着工程と,上
記予備積層体を幅方向において複数に切断することによ
り,1枚のセラミック層を幅方向に含む幅寸法を有して
いると共に最終積層数よりも少ない積層数のユニット体
を形成するユニット切断工程と,上記ユニット体を複数
個積層して上記セラミック層の積層数を最終積層数とす
ると共に,加熱すると共に積層方向に加圧して上記セラ
ミック積層体を形成する本圧着工程と,該本圧着工程後
の上記セラミック積層体の上記セラミック層に含有され
ているバインダ樹脂を90%以上加熱除去する脱脂工程
と,上記セラミック積層体を焼成する焼成工程とを含む
ことを特徴とするセラミック積層体の製造方法。 - 【請求項2】 セラミック層を複数枚積層してなるセラ
ミック積層体を製造する方法において,複数のセラミッ
ク層を幅方向に含む幅広のセラミックシートを,最終積
層数よりも少ない枚数だけ積層し,加熱すると共に積層
方向に加圧して予備積層体を形成する第1の仮圧着工程
と,上記予備積層体を幅方向において複数に切断すると
共に,切断後の予備積層体を複数個積層し,加熱すると
共に積層方向に加圧して新たな予備積層体を形成する第
2の仮圧着工程と,上記第2の仮圧着工程を1回又は複
数回繰り返した後に得られた予備積層体を幅方向におい
て複数に切断することにより,1枚のセラミック層を幅
方向に含む幅寸法を有していると共に最終積層数よりも
少ない積層数のユニット体を形成するユニット切断工程
と,上記ユニット体を複数個積層して上記セラミック層
の積層数を最終積層数とすると共に,加熱すると共に積
層方向に加圧して上記セラミック積層体を形成する本圧
着工程と,該本圧着工程後の上記セラミック積層体の上
記セラミック層に含有されているバインダ樹脂を90%
以上加熱除去する脱脂工程と,上記セラミック積層体を
焼成する焼成工程とを含むことを特徴とするセラミック
積層体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1又は2において,上記セラミッ
ク積層体の積層方向の寸法とこれに直交する幅方向の寸
法の比である縦横比は1以上であることを特徴とするセ
ラミック積層体の製造方法。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項において,
上記仮圧着工程の加熱温度は,上記本圧着工程の加熱温
度よりも低い又は同じであることを特徴とするセラミッ
ク積層体の製造方法。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項において,
上記仮圧着工程の加圧力は,上記本圧着工程の加圧力よ
りも低い又は同じであることを特徴とするセラミック積
層体の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項において,
上記仮圧着工程の加熱温度は,上記セラミック層に含有
されたバインダ樹脂のガラス転移点以上の温度であるこ
とを特徴とするセラミック積層体の製造方法。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項において,
上記本圧着工程の加熱温度は,上記仮圧着工程の加熱温
度よりも20度以上高く,かつ,上記バインダ樹脂の熱
分解温度よりも低いことを特徴とするセラミック積層体
の製造方法。 - 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項において,
上記仮圧着工程においては積層方向からのみ加圧し,上
記本圧着工程においては積層方向からの加圧とこれに直
交する側面方向からの加圧を行うことを特徴とするセラ
ミック積層体の製造方法。 - 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項において,
上記セラミック層は圧電セラミックスよりなり,上記セ
ラミック積層体は,上記セラミック層と内部電極層とを
交互に積層して構成されたピエゾアクチュエータ用セラ
ミック積層体であることを特徴とするセラミック積層体
の製造方法。
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- 2001-04-18 JP JP2001119997A patent/JP4765191B2/ja not_active Expired - Fee Related
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