JP4764996B2 - 半導体物理量センサ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用、医療用または産業用などの各種装置等に用いる圧力センサや加速度センサなどの半導体物理量センサ装置に関し、特に、EPROMを用いた電気的トリミングにより感度調整や温度特性調整やオフセット調整をおこなう構成の半導体物理量センサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
物理量センサの出力特性を調整する手法として、従来のレーザートリミング手法には、トリミング後のアセンブリ工程で出力特性に変動が生じても再調整ができないという欠点があるため、近時、アセンブリ終了後に調整可能な電気的トリミング手法が用いられている。しかしながら、電気的トリミングでは、トリミングデータの入出力や、EPROMへのデータ書き込み等のために多数の制御端子を必要とするため、ワイヤボンディング数が増えるなどの原因により製造コストが増大するという問題点がある。そこで、抵抗分圧とバイポーラトランジスタを用いて端子の動作閾値電圧を複数個設けることにより、少ない端子数でもって電気的トリミングをおこなう提案がなされている(たとえば、特開平6−29555号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したバイポーラトランジスタを用いた提案では、CMOSプロセスで作製するEPROMとバイポーラトランジスタとが混在するため、BiCMOS製造プロセスが必要になり、コスト増を招くという問題点がある。そこで、この提案においてバイポーラトランジスタに代えてMOSトランジスタを用いることが考えられる。しかし、その場合には、MOSトランジスタで設定可能な閾値電圧の上限値がバイポーラよりも低いため、複数の閾値どうしの間隔が狭くなり、誤動作を起こし易くなるという不都合が生じる。これを防ぐには、閾値電圧の上限をバイポーラと同等程度まで高くする必要があるが、そうするとMOSトランジスタの高耐圧化を図ったり、新たに保護回路を付加したりする必要があり、コスト増を招くという問題点がある。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、CMOS製造プロセスで製造でき、安価で、かつ少ない端子数でもって電気的トリミングをおこなうことが可能な半導体物理量センサ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明にかかる半導体物理量センサ装置は、センサ素子と、仮のトリミングデータを記憶するシフトレジスタ等の補助メモリ回路と、確定したトリミングデータを記憶するEPROM等の主メモリ回路と、補助メモリ回路または主メモリ回路に記憶されたトリミングデータに基づいてセンサ素子の出力特性を調整する調整回路と、トリミングデータを補助メモリ回路およびデータ入力端子のいずれに供給するかを切り換える動作選択回路と、を具備する。これらの素子および回路は同一半導体チップ上に形成されており、CMOS製造プロセスにより製造される能動素子および受動素子のみで構成されている。また、本発明にかかる半導体物理量センサ装置は、出力端子、トリミングデータの入力端子、接地電位を供給する端子、動作電圧を供給する端子、外部クロックを入力する端子、内部ディジタル回路の制御信号を入力する端子、および主メモリ回路にデータを書き込むための電圧を供給する1または2個の端子、の合計7または8個の端子を有する。
【0006】
この発明によれば、補助メモリ回路に記憶された仮のトリミングデータを漸次変更しながらセンサ出力を測定することにより、所望のセンサ出力が得られるトリミングデータを確定し、それを主メモリ回路に記憶させ、通常の使用状態においては、主メモリ回路に記憶されたトリミングデータを用いて調整回路によりセンサ出力を調整し、仮トリミング作業を開始する前においては、補助メモリ回路に格納された仮のトリミングデータをそのままデータ入力端子から外部へ出力させ、補助メモリ回路の動作の良否判定をおこなう構成とし、これらセンサ素子、補助メモリ回路、主メモリ回路調整回路および動作選択回路が、CMOS製造プロセスにより製造される能動素子および受動素子のみで構成され、かつ7または8個の端子とともに同一半導体チップ上に設けられる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる半導体物理量センサ装置の構成の一例を示すブロック図である。この半導体物理量センサ装置1は、たとえば、動作選択回路11、補助メモリ回路12、主メモリ回路13、調整回路14、センサ素子で構成されるホイートストーンブリッジ回路15、増幅回路16および第1から第8までの8個の端子21〜28を備えている。
【0008】
第1端子21は、半導体物理量センサ装置1の接地電位を供給する端子である。第2端子22は、半導体物理量センサ装置1の動作電圧を供給する端子である。第3端子23は、直列ディジタルデータ(シリアルデータ)の入出力をおこなう端子である。第4端子24は、外部クロックを入力する端子である。第5端子25は内部ディジタル回路の制御信号を入力する端子である。第6端子26は、第2端子22に印加される動作電圧以上の電圧を供給する端子である。第7端子27は、第2端子22に印加される動作電圧以上で、かつ第6端子26の印加電圧とは異なる電圧を供給する端子である。第8端子28は、半導体物理量センサ装置1の信号を外部へ出力する端子である。
【0009】
補助メモリ回路12は、前記外部クロックに基づく動作タイミングで、外部から供給された直列ディジタルデータを内部で使用するために並列ディジタルデータ(パラレルデータ)に変換する。また、補助メモリ回路12は、内部で使用している並列ディジタルデータを外部へ出力するために直列ディジタルデータに変換する。また、補助メモリ回路12は、動作選択回路11に制御データを供給する。主メモリ回路13は、第6端子26および第7端子27の印加電圧に応じて、補助メモリ回路12から供給された並列ディジタルデータよりなるトリミングデータを記憶する。
【0010】
動作選択回路11は、第5端子25に入力された制御信号、および補助メモリ回路12から供給された制御データに基づいて、補助メモリ回路12および主メモリ回路13にデータの入出力を制御する信号を供給する。ホイートストーンブリッジ回路15は、被測定媒体の物理量に応じた出力信号を発生する。増幅回路16は、ホイートストーンブリッジ回路15の出力信号を増幅し、それを第8端子28を介して外部へ出力する。調整回路14は、補助メモリ回路12または主メモリ回路13から供給されたトリミングデータに基づいて、ホイートストーンブリッジ回路15に対して温度特性を考慮した感度調整をおこない、また増幅回路16に対して温度特性を考慮したオフセット調整をおこなう。
【0011】
図2は、本発明を適用して半導体チップ上に形成した半導体圧力センサ装置の全体構成の一例を示すブロック図である。この半導体圧力センサ装置3は、入出力切換回路31、シフトレジスタ32、コントロール・ロジック33、EPROM34、信号選択回路35、D/Aコンバータ36、感度調整回路37、温度特性調整回路(以下「温特調整回路」という)38、オフセット調整回路39、ゲージ回路40および信号増幅回路41を備えている。これら入出力切換回路31、シフトレジスタ32、コントロール・ロジック33、EPROM34、信号選択回路35、D/Aコンバータ36、感度調整回路37、温特調整回路38、オフセット調整回路39、ゲージ回路40および信号増幅回路41は、同一半導体チップ上に形成されており、CMOS製造プロセスにより製造される能動素子および受動素子のみで構成されている。また、半導体圧力センサ装置3には、外部からの電源供給や信号の授受のために、GND端子51、Vcc端子52、DS端子53、CLK端子54、E端子55、CG端子56、EV端子57およびVout端子58が設けられている。
【0012】
GND端子51およびVcc端子52は、それぞれ半導体圧力センサ装置3に接地電位および特に限定しないが、たとえば5Vの電源電位を供給するための端子である。DS端子53は、半導体圧力センサ装置3とその外部の回路との間で直列ディジタルデータの授受に供される。CLK端子54は半導体圧力センサ装置3に外部クロックを供給するための端子である。E端子55には、半導体圧力センサ装置3内のディジタル回路の動作状態を制御するためのイネーブル信号が外部から供給される。Vout端子58は、半導体圧力センサ装置3の検出信号を装置外部へ出力する端子である。
【0013】
CG端子56には、EPROM34にデータを書き込む際に、Vcc端子52に印加される動作電圧よりも高い電圧、特に限定しないが、たとえば26Vが印加される。また、EPROM34にデータを書き込む際には、EV端子57に、Vcc端子52に印加される動作電圧よりも高く、かつCG端子56に印加される電圧とは異なる電圧、特に限定しないが、たとえば13Vが印加される。なお、CG端子56とEV端子57とを兼用、すなわち同一端子とし、いずれか一方の印加電圧に基づいて他方の印加電圧を生成する構成としてもよい。
【0014】
入出力切換回路31は、DS端子53を介して外部から供給された直列ディジタルデータよりなるトリミングデータをシフトレジスタ32へ供給するモードと、シフトレジスタ32から供給された直列ディジタルデータをDS端子53を介して外部へ出力するモードとの切り換えをおこなう。シフトレジスタ32は、前記外部クロックに同期して、外部から供給された直列ディジタルデータを並列ディジタルデータに変換する。また、シフトレジスタ32は、EPROM34に記憶されている並列ディジタルデータよりなるトリミングデータを直列ディジタルデータに変換する。
【0015】
EPROM34は、シフトレジスタ32から供給された並列ディジタルデータよりなるトリミングデータを記憶する。信号選択回路35は、シフトレジスタ32から供給された並列ディジタルデータよりなるトリミングデータと、EPROM34から供給された並列ディジタルデータよりなるトリミングデータのいずれか一方を選択してD/Aコンバータ36に供給する。コントロール・ロジック33は、E端子55から入力されたイネーブル信号およびシフトレジスタ32から供給された制御データに基づいて、入出力切換回路31、シフトレジスタ32、EPROM34および信号選択回路35に、それぞれの動作を制御するための制御信号を生成して出力する。ここで、説明の便宜上、コントロール・ロジック33からシフトレジスタ32に供給される制御信号をシフトレジスタ制御信号65とする。D/Aコンバータ36は、並列ディジタルデータよりなるトリミングデータをアナログデータに変換する。
【0016】
ゲージ回路40は、たとえば印加圧力に応じた出力信号を発生させる半導体歪みゲージにより構成されている。信号増幅回路41は、ゲージ回路40で発生した信号を増幅してVout端子58を介して外部へ出力する。感度調整回路37は、D/Aコンバータ36の出力に応じてゲージ回路40への印加電流を変更調整(トリミング)する。同様に、オフセット調整回路39は、D/Aコンバータ36の出力に応じて信号増幅回路41のオフセット調整用基準電圧を変更調整する。温特調整回路38は、D/Aコンバータ36の出力に応じて、感度調整回路37およびオフセット調整回路39のそれぞれの出力に対して加減算をおこなう。
【0017】
ここで、入出力切換回路31、シフトレジスタ32、コントロール・ロジック33、EPROM34、信号選択回路35およびD/Aコンバータ36はディジタル回路部を構成する。一方、感度調整回路37、温特調整回路38、オフセット調整回路39、ゲージ回路40および信号増幅回路41はアナログ回路部を構成する。
【0018】
上述した構成において、シフトレジスタ32は補助メモリ回路12としての機能を有する。EPROM34は主メモリ回路13としての機能を有する。入出力切換回路31、コントロール・ロジック33および信号選択回路35は動作選択回路11としての機能を有する。D/Aコンバータ36、感度調整回路37、温特調整回路38およびオフセット調整回路39は、調整回路14としての機能を有する。ゲージ回路40はホイートストーンブリッジ回路15としての機能を有する。信号増幅回路41は増幅回路16としての機能を有する。また、GND端子51、Vcc端子52、DS端子53、CLK端子54、E端子55、CG端子56、EV端子57およびVout端子58は、第1から第8までの端子21〜28に順に対応している。
【0019】
図3は、シフトレジスタ32の構成の一例を模式的に示す図である。シフトレジスタ32のビット数は、特に限定しないが、たとえば51ビットである。そのうち、2ビットは、コントロール・ロジック33へ供給する制御データ61を格納する。この2ビットにつづいて、EPROM34へ供給するデータ62、信号選択回路35へ供給するトリミングデータ63、またはEPROM34から供給されたデータ64のいずれかを格納するために48ビットが使用される。残りの1ビットはバッファとして使用される。
【0020】
つぎに、各種制御信号や印加電圧と半導体圧力センサ装置3の動作モードとの関係について図4を参照しながら説明する。CLK端子54に外部クロックが入力され、かつCG端子56およびEV端子57がともにノンチャージ状態のとき、E端子55の入力がLレベル、制御データ61の2ビット(AとB)がLレベルで、DS端子53に直列ディジタルデータが入力されると、シフトレジスタ(SR)制御信号65はLレベルとなり、信号選択回路35はEPROM34を選択し、入出力切換回路31は入力となる。これによって、外部からシフトレジスタ32に直列ディジタルデータが入力される(モードNo.1)。
【0021】
CLK端子54に外部クロックが入力され、かつCG端子56およびEV端子57がともにノンチャージ状態のとき、E端子55の入力がHレベル、制御データ61の2ビット(AとB)がLレベルであると、シフトレジスタ制御信号65はLレベルとなり、信号選択回路35はEPROM34を選択し、入出力切換回路31は出力となる。これによって、シフトレジスタ32から外部に直列ディジタルデータが出力される(モードNo.2)。
【0022】
E端子55の入力がHレベル、DS端子53の入力がLレベル、CLK端子54の入力がLレベル、制御データ61の第1のビット(A)および第2のビット(B)がそれぞれHレベルおよびLレベル、CG端子56およびEV端子57がともにノンチャージ状態のとき、シフトレジスタ制御信号65はLレベルとなり、信号選択回路35はシフトレジスタ32を選択し、入出力切換回路31は出力となる。これによって、シフトレジスタ32に格納されたデータを用いてトリミングがおこなわれる(モードNo.3)。
【0023】
E端子55の入力がLレベル、DS端子53の入力がLレベル、CLK端子54の入力がLレベル、CG端子56およびEV端子57がともにノンチャージ状態のとき、シフトレジスタ制御信号65はLレベルとなり、信号選択回路35はEPROM34を選択し、入出力切換回路31は入力となる。これによって、EPROM34に記憶されたデータを用いてトリミングをおこなう定常状態となる(モードNo.4)。
【0024】
E端子55の入力がHレベル、DS端子53の入力がLレベル、CLK端子54の入力がLレベル、制御データ61の2ビット(AとB)がHレベル、CG端子56およびEV端子57がともにノンチャージ状態のとき、シフトレジスタ制御信号65はLレベルとなり、入出力切換回路31は出力となる。これによって、シフトレジスタ32に格納されたデータがEPROM34に転送される(モードNo.5)。
【0025】
E端子55の入力がHレベル、DS端子53の入力がLレベル、CLK端子54の入力がLレベル、制御データ61の2ビット(AとB)がHレベル、CG端子56およびEV端子57にそれぞれ書き込み電圧が印加された状態のとき、シフトレジスタ制御信号65はLレベルとなり、入出力切換回路31は出力となる。これによって、シフトレジスタ32に格納されたデータがEPROM34に書き込まれる(モードNo.6)。
【0026】
E端子55の入力がHレベル、DS端子53の入力がLレベル、CLK端子54の入力がLレベル、制御データ61の第1のビット(A)および第2のビット(B)がそれぞれLレベルおよびHレベル、CG端子56およびEV端子57がともにノンチャージ状態のとき、シフトレジスタ制御信号65はHレベルとなり、信号選択回路35はEPROM34を選択し、入出力切換回路31は出力となる。これによって、EPROM34に記憶されたデータがシフトレジスタ32に転送される(モードNo.7)。
【0027】
つぎに、半導体圧力センサ装置3に対してトリミングをおこなう手順について説明する。半導体圧力センサ装置3は、Vcc端子52より動作電源である、たとえば5Vの電圧が投入されると、自動的に上述したモードNo.4の定常状態になるように各端子が設定されている。トリミングを実施していない初期状態においては、EPROM34は、何も記憶していないオール「0」の状態であり、このときの信号増幅回路41およびVout端子58は飽和状態、すなわち、電源電位もしくは設置電位のいずれか、あるいはその電位に近い状態となる。
【0028】
図5に示すタイミングチャートのように、CLK端子54に外部クロックを入力しながら、DS端子53からトリミングデータを入力し、かつE端子55をLレベルとすることによって、外部からシフトレジスタ32にトリミングデータを格納する(モードNo.1)。その後、CLK端子54およびDS端子53をLレベルとし、かつE端子55をHレベルとすることによって、シフトレジスタ32に格納したトリミングデータを用いてトリミングをおこなう(モードNo.3)。このとき、Vout端子58からのセンサ出力を測定する。この仮トリミング作業を所望のセンサ出力が得られるまで繰り返しおこなう。つまり、外部から入力する仮のトリミングデータを漸次変更しながらセンサ出力を測定し、所望のセンサ出力が得られるトリミングデータを確定する。
【0029】
トリミングデータが確定したら、図6に示すタイミングチャートのように、CLK端子54に外部クロックを入力しながら、DS端子53から確定済みのトリミングデータを入力し、かつE端子55をLレベルとすることによって、外部からシフトレジスタ32に確定済みのトリミングデータを格納する(モードNo.1)。つづいて、E端子55をHレベル、DS端子53をLレベルおよびCLK端子54をLレベルとして、シフトレジスタ32からEPROM34に確定済みのトリミングデータを転送する(モードNo.5)。その後、CG端子56およびEV端子57にそれぞれ書き込み電圧を印加して、シフトレジスタ32から転送された確定済みのトリミングデータをEPROM34に書き込む(モードNo.6)。
【0030】
書き込みが終わったら、トリミング作業が終了となり、それ以降は初期状態(モードNo.4)で半導体圧力センサ装置3を使用する。そうすれば、常にEPROM34に記憶されたトリミングデータに基づいて調整された所望のセンサ特性を得ることができる。
【0031】
また、仮トリミング作業を開始する前に、図7に示すタイミングチャートのように、CLK端子54に外部クロックを入力しながら、DS端子53から仮のトリミングデータを入力し、かつE端子55をLレベルとすることによって、外部からシフトレジスタ32に仮のトリミングデータを格納する(モードNo.1)。その後、E端子55をHレベルにすると、シフトレジスタ32に格納された仮のトリミングデータをDS端子53から出力させることができる(モードNo.2)。これは、DS端子53から入力した仮のトリミングデータを、入出力切換回路31およびシフトレジスタ32を経由させた後に、そのままDS端子53へ出力させることになるため、シフトレジスタ32および入出力切換回路31の動作の良否判定をおこなったことになる。つまり、図7に示すタイミングチャートを実行することによって、シフトレジスタ32および入出力切換回路31の動作の良否判定をおこなうことができる。なお、図7に示すタイミングチャートのうち、無視と示したビットは、トリミングの調整に関係しないビットであり、無視してよい。後述する図8においても同様である。
【0032】
また、図8に示すタイミングチャートのように、E端子55をHレベル、DS端子53をLレベル、CLK端子54をLレベルとすれば、EPROM34に記憶されたトリミングデータをシフトレジスタ32に転送することができる(モードNo.7)。転送後、CLK端子54に外部クロックを入力しながら、E端子55をHレベルにすると、シフトレジスタ32に格納されたトリミングデータをDS端子53から出力させることができる(モードNo.2)。これによって、EPROM34に記憶されたトリミングデータをDS端子53から出力させることができるので、EPROM34の動作の良否を確認したり、EPROM34のテータ保持能力を調べたり、トリミング後のセンサ特性の不良原因を調査することができ、半導体圧力センサ装置3の品質保証や管理に非常に有効である。
【0033】
上述した実施の形態によれば、シフトレジスタ32に記憶された仮のトリミングデータを漸次変更しながらセンサ出力を測定することにより、所望のセンサ出力が得られるトリミングデータを確定し、それをEPROM34に記憶させ、通常の使用状態においては、EPROM34に記憶されたトリミングデータを用いて感度調整回路37、温特調整回路38およびオフセット調整回路39によりセンサ出力を調整する構成とし、これらの各構成要素をCMOS製造プロセスにより製造される能動素子および受動素子のみで構成し、かつ7または8個の端子とともに同一半導体チップ上に設けたため、安価で、かつ少ない端子数でもって電気的トリミングをおこなうことが可能な半導体物理量センサ装置が得られる。
【0034】
以上において本発明は、半導体圧力センサ装置に限らず、温度、湿度、速度、加速度、光、磁気または音など種々の物理量に対する各センサ装置に適用できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、補助メモリ回路に記憶された仮のトリミングデータを漸次変更しながらセンサ出力を測定することにより、所望のセンサ出力が得られるトリミングデータを確定し、それを主メモリ回路に記憶させ、通常の使用状態においては、主メモリ回路に記憶されたトリミングデータを用いて調整回路によりセンサ出力を調整する構成とし、これらセンサ素子、補助メモリ回路、主メモリ回路および調整回路が、CMOS製造プロセスにより製造される能動素子および受動素子のみで構成され、かつ7または8個の端子とともに同一半導体チップ上に設けられる構成であるため、安価で、かつ少ない端子数でもって電気的トリミングをおこなうことが可能な半導体物理量センサ装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる半導体物理量センサ装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用して半導体チップ上に形成した半導体圧力センサ装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図2に示す構成の半導体圧力センサ装置におけるシフトレジスタの構成の一例を模式的に示す図である。
【図4】図2に示す構成の半導体圧力センサ装置の動作モードを説明するための図表である。
【図5】図2に示す構成の半導体圧力センサ装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図6】図2に示す構成の半導体圧力センサ装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図7】図2に示す構成の半導体圧力センサ装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】図2に示す構成の半導体圧力センサ装置の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 半導体物理量センサ装置
11 動作選択回路
12 補助メモリ回路
13 主メモリ回路
14 調整回路
15 ホイートストーンブリッジ回路(センサ素子)
16 増幅回路
21,22,24〜27 端子
23 データ入力端子
28 出力端子
31 入出力切換回路
37 感度調整回路
38 温特調整回路
39 オフセット調整回路

Claims (11)

  1. 検知した物理量に応じた電気信号を生成するセンサ素子と、
    前記センサ素子により生成された電気信号を外部へ出力する出力端子と、
    前記センサ素子の出力特性を調整するためのトリミングデータとなる直列ディジタルデータを入力するデータ入力端子と、
    前記データ入力端子から入力されたトリミングデータを一時的に記憶する補助メモリ回路と、
    前記補助メモリ回路に記憶されたトリミングデータを電気的な再書き込み動作によって記憶する再書き込み可能な読み出し専用の主メモリ回路と、
    前記補助メモリ回路に記憶されたトリミングデータ、または前記主メモリ回路に記憶されたトリミングデータに基づいて前記センサ素子の出力特性を調整する調整回路と、
    を具備し、
    前記データ入力端子は、前記補助メモリ回路に格納されたデータを外部へ出力するための端子を兼ねており、
    また、前記補助メモリ回路は、格納しているデータを直列ディジタルデータとして出力し、
    前記データ入力端子と前記補助メモリ回路との間に、前記データ入力端子から入力された直列ディジタルデータを前記補助メモリ回路へ供給するか、前記補助メモリ回路から出力された直列ディジタルデータを前記データ入力端子へ供給するか、を切り換える動作選択回路をさらに有し、
    同一半導体チップ上に形成された、CMOS製造プロセスにより製造される能動素子および受動素子のみで構成されていることを特徴とする半導体物理量センサ装置。
  2. 前記出力端子、前記データ入力端子、接地電位を供給する端子、動作電圧を供給する端子、外部クロックを入力する端子、内部ディジタル回路の制御信号を入力する端子、および前記主メモリ回路にデータを書き込むための、前記動作電圧以上の書き込み電圧を供給する端子、の合計7個の端子を有し、かつ前記書き込み電圧に基づいて異なる第2の書き込み電圧を発生する回路を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体物理量センサ装置。
  3. 前記出力端子、前記データ入力端子、接地電位を供給する端子、動作電圧を供給する端子、外部クロックを入力する端子、内部ディジタル回路の制御信号を入力する端子、前記主メモリ回路にデータを書き込むための、前記動作電圧以上の第1の書き込み電圧を供給する端子、および前記主メモリ回路にデータを書き込むための、前記動作電圧以上で、かつ前記第1の書き込み電圧とは異なる第2の書き込み電圧を供給する端子、の合計8個の端子を有することを特徴とする請求項1に記載の半導体物理量センサ装置。
  4. 前記動作電圧を供給する端子には、動作電圧より高い電圧が供給されず、前記出力端子には、前記動作電圧より高い電圧が供給されないことを特徴とする請求項2または3に記載の半導体物理量センサ装置。
  5. 前記動作選択回路は、前記主メモリ回路の前記トリミングデータを前記補助メモリ回路へ出力することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の半導体物理量センサ装置。
  6. 前記補助メモリ回路は、入力された直列ディジタルデータを並列ディジタルデータに変換して装置内部の回路に供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の半導体物理量センサ装置。
  7. 前記調整回路は、前記トリミングデータに基づいて、前記センサ素子の感度を設定するために前記センサ素子への印加電流の変更調整をおこなう感度調整回路を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体物理量センサ装置。
  8. 前記調整回路は、前記感度調整回路の出力に対して加減算をおこなう温度特性調整回路をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の半導体物理量センサ装置。
  9. 前記センサ素子により生成された電気信号を増幅して外部へ出力するための増幅回路をさらに有し、
    前記調整回路は、前記増幅回路のオフセット調整用基準電圧の変更調整をおこなうオフセット調整回路を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の半導体物理量センサ装置。
  10. 前記センサ素子により生成された電気信号を増幅して外部へ出力するための増幅回路をさらに有し、
    前記調整回路は、前記増幅回路のオフセット調整用基準電圧の変更調整をおこなうオフセット調整回路を有することを特徴とする請求項7に記載の半導体物理量センサ装置。
  11. 前記調整回路は前記感度調整回路および前記オフセット調整回路のそれぞれの出力に対して加減算をおこなう温度特性調整回路をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の半導体物理量センサ装置。
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