JP4764660B2 - 缶端シーリング材 - Google Patents
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Description
従来、このような缶の製造に使用されるシーリング材としては、スチレン−ブタジエンゴムの水性ラテックスをベースとする、ライニング作業性に優れた罐端密封剤組成物(特許文献1参照)、密封性のほかに耐熱水スクイズアウト性、フレーバーに優れた、共役ジエンと芳香族ビニル化合物などの缶シーリング材用共重合体ラテックス(特許文献2参照)、有機溶剤に対する膨張率、溶出率を著しく低下させた、カルボキシル基を有するスチレン−ブタジエン共重合体、ウレタン樹脂及びフェノール樹脂からなる缶用接着剤(特許文献3参照)などが知られている。
すなわち本発明は、次の(1)〜(12)である。
本発明の缶端シーリング材における潜在イソシアネートプレポリマーは、潜在イソシアネート基を有するプレポリマーであり、更に親水基及び炭素数9以上の炭化水素基を少なくとも含有している。潜在イソシアネート基とは、ウレトジオン基、ウレトンイミン基といったイソシアネート基が重合した基や、イソシアネート基をブロック化剤で封鎖したブロックイソシアネート基などの熱により解離してイソシアネート基を生成する基をいう。
この親水基及び炭素数9以上の炭化水素基を含有する潜在イソシアネートプレポリマーとしては、ウレトジオン基、親水基及び炭素数9以上の炭化水素基を含有するブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーが好ましい。このブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、ウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートと、親水基を含有するポリオールと、炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールとを、イソシアネート基過剰の条件で反応させ、更にイソシアネート基をブロック化剤でブロックして得られるものである。
この有機ポリイソシアネートとしては、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、3,3′−ジメトキシジフェニル−4,4′−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、o−キシレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、p−キシレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。また、これら有機ジイソシアネートのアダクト変性体(ウレタン変性体)、ビュレット変性体、イソシアヌレート変性体、カルボジイミド変性体等も使用できる。更に、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、クルードトルエンジイソシアネート等のポリイソシアネートも使用できる。
これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
これらの有機ポリイソシアネートのうちで、脂肪族ジイソシアネートが好ましい。
カチオン親水基形成性基を含有するポリオールとしては、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジフェニルエタノールアミン、N−メチル−N−エチルエタノールアミン、N−メチル−N−フェニルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N−メチル−N−エチルプロパノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン、N−ヒドロキシエチル−N−ヒドロキシプロピル−メチルアミン、N,N′−ジヒドロキシエチルピペラジン、トリエタノールアミン、トリスイソプロパノールアミン、N−メチル−ビス(3−アミノプロピル)アミン、N−メチル−ビス(2−アミノプロピル)アミンが挙げられる。また、アンモニア、メチルアミンのような第一アミンや、ジメチルアミンのような第二アミンにアルキレンオキサイドを付加させたものも使用できる。
カチオン親水基を形成するための酸性中和剤としては、例えば、塩酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、シアノ酢酸、リン酸、硫酸等の無機酸や有機酸が挙げられる。四級化剤としては、例えば、硫酸ジメチル、塩化ベンジル、ブロモアセトアミド、クロロアセトアミド、又は、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル等のハロゲン化アルキルが挙げられる。
なお、これらのカチオン親水基形成性基を含有するポリオールや酸性中和剤或いは四級化剤はそれぞれ、単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。
アニオン親水基形成性基を含有するポリオールとしては、例えば、α−ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシコハク酸、ε−ヒドロキシプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、ヒドロキシ酢酸、α−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、リシノエライジン酸、リシノステアロール酸、サリチル酸、マンデル酸等、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸をヒドロキシル化したヒドロキシ脂肪酸、又は、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボン酸含有ポリオール、5−スルホイソフタル酸骨格を導入したポリエステルポリオール、水やカルボキシル基を有する活性水素化合物を開始剤としたポリカプロラクトン、ポリエステルポリオールとカルボキシル基を有する活性水素化合物とのエステル交換物、ポリカーボネートポリオールとカルボキシル基を有する活性水素化合物とのエステル交換物が挙げられる。
また、後述の長鎖ポリオール類、低分子ポリオール類等と、ポリカルボン酸無水物とを反応させて得られるカルボキシル基を含有するハーフエステル混合物も使用可能である。特に、無水ピロメリット酸等の二無水物にポリオールを付加させた場合、2個のカルボン酸が生成するため、ポリエステルポリオールの分子鎖中にアニオン親水基形成性基を導入できることになる。
これらのうち、スルホン酸(塩)基含有ポリオールが好ましい。
アニオン親水基を形成するための塩基性中和剤としては、例えば、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−エチル−1−プロパノール、ピリジン等の有機アミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類、アンモニアが挙げられる。なお、この中で好ましいものは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ類である。
なお、これらのアニオン親水基形成性基を含有するポリオールや塩基性中和剤はそれぞれ、単独で或いは2種以上混合して用いてもよい。
ポリ(オキシアルキレン)エーテルアルコールは、開始剤にアルキレンオキサイドを付加重合させて得られる。この開始剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、フェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、アニリン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトールが挙げられる。これらのうちでは、エチレングリコールのように分子量が小さいものが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイドが挙げられる。なお、アルキレンオキサイドの一部に、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、ブチルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物を用いてもよい。
また、ポリ(オキシアルキレン)脂肪酸エステルアルコールの製造に用いられる脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸が挙げられる。
これらはいずれもそれぞれ単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
なお、前述の原料に存在するポリエーテル鎖には、3〜300個、特に5〜200個のオキシエチレン基を有し、かつオキシエチレン基を50モル%以上、特に60モル%以上を有するものが好ましい。
ダイマージオールは、不飽和脂肪酸を重合して得られる二量体成分(一般にはダイマー酸と称されるもの)を水素化したグリコールである。その具体例としては、以下の一般式(1)及び(2)で表される化合物の混合物を主成分として含有するものを示すことができる。
この長鎖ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、動植物系ポリオール又はこれらのコポリオール等が挙げられる。
アニオン親水基或いはカチオン親水基の導入量は、プレポリマーに対して、0.001〜1.0mmol/gであることが好ましく、特に0.003〜0.1mmol/gが好ましい。
非イオン性親水基(好適にはエチレンオキサイドユニット)の導入量は、プレポリマーに対して、0.1〜40質量%であることが好ましく、特に0.5〜30質量%が好ましい。
ウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートと(ブロック化剤以外の)活性水素基含有化合物との反応における温度は、0〜100℃が好ましく、更には20〜90℃が好ましい。
反応は、溶融状態、バルク状態、又は必要に応じてポリウレタン工業において常用の親水性溶剤、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテルエステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、極性溶剤の1種又は2種以上を混合して用いることができる。
また、反応時には、必要に応じて触媒を用いることができる。具体的には、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート等の有機金属化合物や、トリエチレンジアミンやトリエチルアミン等の有機アミンやその塩等が挙げられる。
なお、イソシアネートプレポリマーの数平均分子量は1,000〜50,000、特に3,000〜40,000であることが好ましい。数平均分子量が1,000未満の場合は、反応が不十分であるため、必然的に親水基が少なくなり、水に分散しにくくなるという不具合が生じる。また、数平均分子量が50,000を超える場合は、プレポリマー自体の粘度が高くなり、該プレポリマーの取り扱い作業性が悪化し、また、該プレポリマーに含有される(ウレトジオン基を含む)イソシアネート基の減少により、樹脂の強度等の物性が低下する。なお、本発明において、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィにより屈折率検出器を用いてポリスチレン換算にて測定した値である。
また、イソシアネートプレポリマーの(ウレトジオン基を含む)イソシアネート基(NCO)含量は、固形分100質量%換算で1〜30質量%、特に1〜25質量%であることが好ましい。
このときの反応装置としては、上記の反応が達成できればいかなる装置でも良く、例えば、攪拌装置の付いた反応釜やニーダー、一軸又は多軸押し出し反応機等の混合混練装置が挙げられる。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
これらのうち、汎用性、製造の簡易さ及び作業性の点から、ラクタム系化合物が好ましい。
このようなブロック化剤とイソシアネートプレポリマーとの反応は、例えば20〜200℃で、必要に応じて、ウレタン工業で公知ないし常用の不活性溶剤、触媒等を使用して行うことができる。
ブロック化剤は、遊離のイソシアネート基に対して0.5〜1.5倍モル量使用するのが好ましい。
この活性水素基を含有するポリウレタンは、缶端シーリング材の膜強度と水への分散性の点から、親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価30〜110mgKOH/gのポリウレタンオリゴマーと、親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価2mgKOH/g以上30mgKOH/g未満のポリウレタン樹脂との混合物であることが好ましい。
有機ポリイソシアネートとしては、前記のウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートの製造に使用される有機ポリイソシアネートはいずれも使用することができるが、芳香族以外のポリイソシアネートが好ましく、更にウレタン変性した芳香族以外のポリイソシアネートが好ましい。
親水基を含有するポリオールとしては、前記のウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートの製造に使用される、親水基を含有するポリオールはいずれも使用することができるが、水への分散性の点で、アニオン親水基を含有するポリエステルポリオールが好ましい。
炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールとしては、前記のウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートの製造に使用される、炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールはいずれも使用することができるが、極性有機溶剤に対する耐膨潤性の点で、ダイマージオールが好ましい。
有機ポリイソシアネートとしては、前記のウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートの製造に使用される、有機ポリイソシアネートはいずれも使用することができるが、芳香族ポリイソシアネートが好ましく、更にジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネートが好ましい。
親水基を含有するポリオールとしては、前記のウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートの製造に使用される、親水基を含有するポリオールはいずれも使用することができるが、水への分散性の点で、アニオン親水基を含有するポリエステルポリオールが好ましい。
炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールとしては、前記のウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートの製造に使用される、炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールはいずれも使用することができるが、極性有機溶剤に対する耐膨潤性の点で、ダイマージオールが好ましい。
このポリイソシアネート硬化剤としては、前記のウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートの製造に使用される、有機ポリイソシアネートはいずれも使用することができるほか、ウレトジオン変性ポリイソシアネートも使用することができる。
これらは単独で或いは2種以上を混合して使用することができる。
特に膜強度の点から、ウレトジオン変性ポリイソシアネートが好ましく、芳香族ポリイソシアネートから誘導されたウレトジオン変性ポリイソシアネートが更に好ましい。
本発明における親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び活性水素基を含有するポリウレタンについて、親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価30〜110mgKOH/gのポリウレタンオリゴマーと、親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価2mgKOH/g以上30mgのポリウレタン樹脂との比は、ポリウレタンオリゴマー:ポリウレタン樹脂=100:50〜100:500の範囲であることが好ましい。
また、潜在イソシアネートプレポリマーと親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び活性水素基を含有するポリウレタンとイソシアネート硬化剤との配合比は、各種物性の点から、NCO(潜在イソシアネート基とフリーのイソシアネート基との合計)/活性水素=0.3/1〜2.0/1(当量比)になる様に配合するのが好ましい。活性水素1当量に対してNCOが0.3当量未満では所定の物性が得られないし、2.0当量を超えると硬化速度に問題がある場合があり好ましくない。
合成例1
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管の付いた容量2,000mlの反応器に、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基を含有する変性ヘキサメチレンジイソシアネート(ウレトジオン基含有量=47%、NCO含量=22.2%、イソシアヌレート基含有量=31%)435.4gを仕込み、更にスルホン酸Na含有ヘキサンアジペート系ポリエステルジオール(水酸基価=107mgKOH/g、平均官能基数=2、スルホン酸Na含有量=0.4mmol/g)177gとメトキシポリオキシエチレングリコール(数平均分子量=400、平均官能基数=1)71gとダイマージオール(コグニス(株)製SOV908)177gと触媒(共同薬品(株)製KS−1010A−1)0.3gと酸化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス−1010)3gを仕込み、80〜90℃にて3時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した。
次いで、この中に、ε−カプロラクタムを135g仕込み、80℃で3時間反応させて、ブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した。
このブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、(ウレトジオン基及びブロックイソシアネート基から発生する)潜在イソシアネート基含量=2.9mmol/g、炭素数9以上の炭化水素基含有率=17.7%、スルホン酸Na含有量=0.071mmol/gであった。
このブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーをA−1と称する。
一方、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを樹脂分30%のエマルジョンにして液性の変化を観察したとき、8時間経過後には相分離を生じ、肉眼でゲル状物が観察された。
合成例2
合成例1と同様の反応器に、ウレタン変性ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2612、NCO含量=17.5%)274gを仕込み、更にスルホン酸Na含有ヘキサンアジペート系ポリエステルジオール(水酸基価=107mgKOH/g、平均官能基数=2、スルホン酸Na含有量=0.4mmol/g)218gとダイマージオール(コグニス(株)製SOV908)508gと触媒(共同薬品(株)製KS−1010A−1)0.5gを仕込み、80〜90℃にて3時間反応させて、ポリウレタン(オリゴマー)ポリオールを合成した。
このポリウレタン(オリゴマー)ポリオールは、水酸基価=61.7mgKOH/g、炭素数9以上の炭化水素基含有率=50.8%、スルホン酸Na含有量=0.087mmol/gであった。
このポリウレタン(オリゴマー)ポリオールをB−1と称する。
合成例3
合成例1と同様の反応器に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製MDI、NCO含量=33.6%)231gを仕込み、更にスルホン酸Na含有ヘキサンアジペート系ポリエステルジオール(水酸基価=107mgKOH/g、平均官能基数=2、スルホン酸Na含有量=0.4mmol/g)416gとダイマージオール(コグニス(株)製SOV908)416gを仕込み、80〜90℃にて3時間反応させて、ポリウレタン(樹脂)ポリオールを合成した。
このポリウレタン(樹脂)ポリオールは、水酸基価=2.5mgKOH/g、炭素数9以上の炭化水素基含有率=39.1%、スルホン酸Na含有量=0.157mmol/gであった。
このポリウレタン(樹脂)ポリオールをC−1と称する。
合成例4
撹拌機、温度計、冷却管及び窒素ガス導入管の付いた容量2,000mlの反応器に、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基を含有する変性ヘキサメチレンジイソシアネート(ウレトジオン基含有量=47%、NCO含量=22.2%、イソシアヌレート基含有量=31%)574gを仕込み、更にスルホン酸Na含有ヘキサンアジペート系ポリエステルジオール(水酸基価=107mgKOH/g、平均官能基数=2、スルホン酸Na含有量=0.4mmol/g)751gとメトキシポリオキシエチレングリコール(数平均分子量=400、平均官能基数=1)101gと触媒(共同薬品(株)製KS−1010A−1)0.3gと酸化防止剤(チバガイギー社製イルガノックス−1010)3gを仕込み、80〜90℃にて3時間反応させて、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した。
次いで、この中に、ε−カプロラクタムを162.5g仕込み、80℃で3時間反応させて、ブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーを合成した。
このブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、(ウレトジオン基及びブロックイソシアネート基から発生する)潜在イソシアネート基含量=2.30mmol/g、スルホン酸Na含有量=0.189mmol/gであった。
このブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーをA−2と称する。
合成例5
合成例1と同様の反応器に、ウレタン変性ヘキサメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネート2612、NCO含量=17.5%)186gを仕込み、更にスルホン酸Na含有ヘキサンアジペート系ポリエステルジオール(水酸基価=107mgKOH/g、平均官能基数=2、スルホン酸Na含有量=0.4mmol/g)814gと触媒(共同薬品(株)製KS−1010A−1)0.5gを仕込み、80〜90℃にて3時間反応させて、ポリウレタン(オリゴマー)ポリオールを合成した。
このポリウレタン(オリゴマー)ポリオールは、水酸基価=43.7mgKOH/g、スルホン酸Na含有量=0.326mmol/gであった。
このポリウレタン(オリゴマー)ポリオールをB−2と称する。
合成例6
合成例1と同様の反応器に、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製MDI、NCO含量=33.6%)100gを仕込み、更にスルホン酸Na含有ヘキサンアジペート系ポリエステルジオール(水酸基価=107mgKOH/g、平均官能基数=2、スルホン酸Na含有量=0.4mmol/g)837gを仕込み、80〜90℃にて3時間反応させて、ポリウレタン(樹脂)ポリオールを合成した。
このポリウレタン(樹脂)ポリオールは、水酸基価=47.7mgKOH/g、スルホン酸Na含有量=0.4mmol/gであった。
このポリウレタン(樹脂)ポリオールをC−2と称する。
表1及び2に示す配合で攪拌、混合して、エマルジョン(シーリング材)を調製した。
これらのエマルジョンを用いて、次の性能試験を行った。
これらの結果をまとめて表1及び2に示す。
(1)接着強度の測定
エマルジョンを0.5mm厚のアプリケーターを用いてブリキ板(40mm×120mm×0.03mm)に常温で均一に塗布した。その後、これをオーブンに入れ、90℃で10分間加熱し乾燥して、試験片を作製した。
試験片を10mm幅にカットし、同幅のブリキ板をはり合わせ、ヒートシールテスター(テスター産業(株)製TP−701−B)を用いて、荷重0.32MPa、200℃の条件で10分間シールした。シールした試験片をオートグラフ(島津製作所(株)製AG−500D)を用いて、剥離速度300mm/分、n=3でT字剥離し、接着強度を測定した。
(2)膜強度の測定
エマルジョンを0.5mm厚のアプリケーターを用いてテフロン(登録商標)板上に常温で均一に塗布し、常温で24時間風乾後、150℃で24時間加熱し、樹脂膜(試験片)を作製した。次いで、試験片について、JIS−K−7312の方法により4号ダンベルを用い、抗張力及び伸びを測定した。
(3)膨潤度の測定
膜強度の測定におけるのと同様の方法で試験片を作製した。
試験片を80℃のジエチルカーボネート液中に3日間浸漬し、試験片の浸漬前後の重量を測定した。膨潤度は、次の計算式より算出した。
膨潤度(%)=(浸漬後の試験片の重量/浸漬前の試験片の重量−1)×100
(4)流動点の測定
膜強度の測定におけるのと同様の方法で試験片を作製した。
試験片について、オリエンテック(株)製レオバイブロン モデルRHEO−1021、測定機種DDV−01FPを使用し、−100℃〜+200℃の範囲で、等速昇温、測定間隔2℃、周波数35Hzにて動的引張粘弾性測定を実施した。貯蔵弾性率の測定が不能となる温度を流動点とした。
DR(絞り)缶用ティン・フリー・スチール板(東洋鋼鈑(株)製ハイ・トップ)から缶の胴部、天板及び底板を切り出し、缶の胴部と天板及び底板とを一緒に屈曲させて溝部を形成するこれらの表面上に、ナチュラル・ロールコートによって実施例4のエマルジョン(シーリング材)を塗布して90℃で予備乾燥した。
次いで、缶の胴部と天板及び胴部と底板とを一緒に屈曲(巻き締め)させ、205℃に設定したウイケット搬送式オーブンを10分間で通過させ、乾燥、熱硬化を行って、金属缶(の端接合部)を形成した。
このDR缶体にジエチルカーボネートを充填し、80℃で3日間保存して、そのシーリング性能を調べたところ、その評価結果は実用上問題のなかった。
実施例5において、実施例4で調製したエマルジョンの代わりに実施例3で調製したエマルジョンを用いた以外は同様にして、DR缶体を作製した。
このDR缶体にジエチルカーボネートを充填し、80℃で3日間保存して、そのシーリング性能を調べたところ、その評価結果も実用上問題がなった。
実施例5において、実施例4で調製したエマルジョンの代わりに比較例1で調製したエマルジョンを用いた以外は同様にして、DR缶体を作製した。
このDR缶体にジエチルカーボネートを充填し、80℃で3日間保存して、そのシーリング性能を調べたところ、その評価結果は実用上不十分なものであった(漏洩が認められた)。
Claims (12)
- 親水基及び炭素数9以上の炭化水素基を含有する潜在イソシアネートプレポリマーと、親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び活性水素基を含有するポリウレタンとを含有する水系エマルジョンからなること、を特徴とする缶端シーリング材。
- 親水基及び炭素数9以上の炭化水素基を含有する潜在イソシアネートプレポリマーが、ウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートと、親水基を含有するポリオールと、炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールとを、イソシアネート基過剰の条件で反応させ、更にイソシアネート基をブロック化剤でブロックして得られる、ウレトジオン基、親水基及び炭素数9以上の炭化水素基を少なくとも含有するブロックイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーである、請求項1に記載の缶端シーリング材。
- 親水基を含有するポリオールが、非イオン性親水基を含有するポリオールとアニオン親水基を含有するポリエステルポリオールとの混合物である、請求項2に記載の缶端シーリング材。
- ウレトジオン基を少なくとも含有する変性ポリイソシアネートが、ウレトジオン基及びイソシアヌレート基を含有する変性脂肪族ポリイソシアネートである、請求項2又は3に記載の缶端シーリング材。
- 親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び活性水素基を含有するポリウレタンが、親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価30〜110mgKOH/gのポリウレタンオリゴマーと、親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価2mgKOH/g以上30mgKOH/g未満のポリウレタン樹脂との混合物である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の缶端シーリング材。
- 親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価30〜110mgKOH/gのポリウレタンオリゴマーが、有機ポリイソシアネートと、親水基を含有するポリオールと、炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールとを、水酸基過剰の条件で反応させて得られる生成物である、請求項5に記載の缶端シーリング材。
- 有機ポリイソシアネートが、芳香族以外のポリイソシアネートである、請求項6に記載の缶端シーリング材。
- 有機ポリイソシアネートが、ウレタン変性した芳香族以外のポリイソシアネートである、請求項6に記載の缶端シーリング材。
- 親水基、炭素数9以上の炭化水素基及び水酸基を含有する水酸基価2mgKOH/g以上30mgKOH/g未満のポリウレタン樹脂が、有機ポリイソシアネートと、親水基を含有するポリオールと、炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールとを、水酸基過剰の条件で反応させて得られる生成物である、請求項5に記載の缶端シーリング材。
- 有機ポリイソシアネートが、芳香族ポリイソシアネートである、請求項9に記載の缶端シーリング材。
- 親水基を含有するポリオールが、アニオン親水基を含有するポリエステルポリオールである、請求項6〜10のいずれか一項に記載の缶端シーリング材。
- 炭素数9以上の炭化水素基を含有するポリオールが、ダイマージオールである、請求項2〜4、6〜11のいずれか一項に記載の缶端シーリング材。
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