(実施例1)
以降、図1から図4を用いて従来のPODシステムの構成の一例を説明する。
図1は、PODシステムの一例であり、且つ本発明における印刷システム全体の基本構成の一例も示すブロック図である。
本ブロック図は、一つまたは複数のエンドユーザ環境である1、2と、インターネットを介して接続されているPOD(Print On Demand)サイト環境3から成っている。
エンドユーザ環境1と2は、プリントの発注依頼を行う発注者が存在し、それぞれのエンドユーザ環境(ここでは、エンドユーザ環境A及び、エンドユーザ環境B)からそれぞれのクライアントPCを利用して、プリントジョブの依頼やジョブのステータス確認などができる。
一方、PODサイト環境3においては、通常は工程管理部4、デジタルプリント部5から成り立っている。また、デジタル複写機やデジタル複合機等のデジタル画像形成装置に接続されているフィニッシング装置の機能や能力で不足する場合には、ポストプレス部6を加えた3つから構成されることもある。
工程管理部4は、PODサイト環境における工程管理部4、デジタルプリント部5、ポストプレス部6の各工程に対して作業を指示し、コンピュータや各種デバイスにより構成される本システムのワークフローを管理する部分である。さらに、前述のエンドユーザからジョブを受信したり、エンドユーザからのジョブを保管したり、エンドユーザからのジョブの指定に基づいて各工程における作業をワークフローとして組み立てたり、各デバイスや各作業者における作業を効率よくスケジュールしたりといった役割を果たすものである。
ディジタルプリント部5は、工程管理部4より受信したジョブの作業指示に従って、白黒MFPやカラーMFP等によりエンドユーザから受け取った紙原稿をコピーしたり、クライアントPCからプリンタドライバやホットフォルダを経由して、エンドユーザから受信した文書/画像ファイルやスキャンデバイスによりスキャンしたスキャン画像ファイルやそれらを編集した文書/画像ファイルを白黒MFPやカラーMFP等のプリントデバイスにプリントアウトしたりといった役割を果たす。なお、MFPとはMulti Function Peripheralsの略であり、本願では以降MFPとして記載する。
ポストプレス部6は、工程管理部4あるいはディジタルプリント部5より受信したポストプレスジョブの作業指示に従って、紙折り機、中綴じ製本機、くるみ製本機、断裁機、封入機、帳合機等の後処理デバイスを制御する。さらに、ディジタルプリント部5より出力された印刷原稿に対して、紙折り、中綴じ製本、くるみ製本、断裁、封入、帳合等の仕上げ処理を実行するという役割を果たす。
図2は、上記印刷システムにおける工程管理部4の構成の一例を示すブロック図である。
工程管理部4は、ネットワークに接続されたMIS(Management Information SyStem)サーバ20、受注サーバ21、ファイルサーバ22、クライアントPC23などから成り立っている。
ここで、MISサーバ20は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理すると共に、様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するシステムにおけるサーバである。
受注サーバ21は、インターネットを介してエンドユーザ環境からジョブを受信するサーバである。受信したジョブはジョブのID番号で管理され、ID番号と管理上必要となる情報はMISサーバ20に伝えられ、MISサーバ20の指示に従って、描画データなどのそれ以外の情報と一緒に下流の工程に伝える役割を持っている。
ファイルサーバ22は、エンドユーザからの同一原稿による再発注に備えて、エンドユーザから受信したジョブを保管するため文書管理サーバである。一般に、画像データと前回出力におけるジョブの設定情報(ジョブチケット)を一緒に保存してある。
工程管理部4におけるこれらのMISサーバ20、受注サーバ21、ファイルサーバ22、クライアントPC23間でやり取りされる情報は、JDF(Job Definition Format)と呼ばれるジョブの作業指示を記載したジョブチケットなどを利用して情報交換している。工程管理部4は、ジョブを転送したり、制御コマンドを発行したりして、工程管理部4を中心にディジタルプリント部5、ポストプレス部6などと連携をとってトータルなワークフローの自動化を提供している。
図3は、上記印刷システムにおけるディジタルプリント部5の構成の一例を示すブロック図である。ここには、ネットワークに接続されたプリントサーバ30、クライアントPC31と32、カラーMFP35、36、37及び白黒MFP33、34がそれぞれ1つまたは複数個存在している。
プリントサーバ30は、2つの役割を持っている。1つ目はディジタルプリント部5の外部との情報送受信であり、入稿されるジョブの画像情報や設定情報などは、まずプリントサーバに入力され、そのジョブが終了するとステータスなどの情報を外部に知らせる役割を持っている。もう1つはディジタルプリント部5内の管理制御であり、外部から入力されたジョブ及び、ディジタルプリント部5の内部で発生したジョブは、プリントサーバ30にて管理されており、ディジタルプリント部5の内部にある全てのデバイスと全てのジョブの状況が監視できる。さらに、プリントサーバ30は、ジョブの一時停止、設定変更、印刷再開あるいは、ジョブの複製、移動、削除などの制御が行えるようになっている。
クライアントPC31、32は、入力されたアプリケーションファイルの編集、印刷指示、あるいは、プリントレディファイルの投入の役割と、プリントサーバ30内で管理されているデバイスやジョブの監視や制御の補佐する役割を持っている。
カラーMFP35、36、37及び白黒MFP33、34は、スキャン、プリント、コピーなど様々な機能を有する画像形成装置であり、カラーMFPと白黒MFPとでスピードやコストなどが異なるため、それぞれの用途に応じて使い分ける。また、カラーMFP37にはフィニッシャ装置が接続されている。
図4は、上記印刷システムにおけるポストプレス部6の構成の一例を示すブロック図である。
ポストプレス部6は、ポストプレスサーバ40、クライアントPC41、42及び紙折り機43、断裁機44、中綴じ製本機45、くるみ製本機46に代表される後処理機器で構成されている。
まず、ポストプレスサーバ40は、後処理工程を統括管理するコンピュータであり、受注サーバにて受け付けたジョブの指示やMISサーバから出されるジョブの指示などに基づいて、ポストプレス部6で仕上げ可能な後処理条件を作り出し、エンドユーザの要求通りの後処理(仕上げ処理)工程の指示を行う。一般に、ポストプレスサーバ40がポストプレス部6の外と情報交換を行い、ポストプレス部6の内部コマンドやステータスでそれぞれの後処理機器と情報交換している。
後処理機器は、大きく3つの種類に分類することができ、以下のように定義する。
インラインフィニッシャ:紙パスがMFPと物理的に接続されており、かつ、操作指示や状況確認もMFPと電気的に接続されている後処理装置。以降では、フィニッシャ装置とのみ述べた場合には、インラインフィニッシャ装置を指すものとする。
ニアラインフィニッシャ:紙パスはMFPとが物理的に接続されておらず、作業者(オペレータ)が出力物の運搬を行うが、操作指示や状況確認はネットワークなどの通信手段を介して電気的に情報送受可能な後処理装置。
オフラインフィニッシャ:紙パスも操作指示や状況確認などの通信手段もMFPと全く接続されておらず、作業者が出力物の運搬、出力物の設定、手作業での操作入力、機器自体が発する状況報告を作業者が目視で確認する後処理装置。
更に、後処理機器には、断裁処理工程、中綴じ製本処理工程、くるみ製本処理工程、紙折処理工程、穴あけ処理工程、封入処理工程、帳合処理工程等の出力原稿に対する様々なシート加工処理を、MFP等の画像形成装置にて印刷された出力原稿紙に対して施す後処理工程を持っており、エンドユーザに提供する製本形態に加工するように制御する。
ポストプレスサーバ40が管理するニアラインフィニッシャ(時には、オフラインフィニッシャも含めて)には、図4に示した紙折機43、断裁機44、中綴じ製本機45、くるみ製本機46の他に、ステープラ、穴あけ機、封入機あるいは、帳合機(コレータ)を初めとして様々なものがある。ポストプレスサーバ40はこれらのニアラインフィニッシャと予め決められたプロトコルで逐次ポーリングなどでデバイスの状況やジョブの状況を把握し、ジョブの実行状況を管理する。尚、本形態は、上述の複数の印刷後処理(フィニッシング処理)をそれぞれ別々の印刷後処理装置(フィニッシャ装置)により実行可能にする構成でも、複数種類のフィニッシング処理を1台のフィニッシング処理装置が実行可能にする構成でも良い。又、複数のフィニッシング処理装置のうち、いずれかのフィニッシング処理装置を本システムに具備する構成でも良い。なお、本願では、印刷後処理およびポストプレス処理およびフィニッシング処理は、同様の処理を指す。
また、PODシステムにおいて全ての印刷ジョブの印刷後処理工程がポストプレス部6で処理されるわけではない。フィニッシャ装置を持つ画像形成装置(例えばカラーMFP37など)で後処理工程までも処理されても構わない。なお、画像形成装置が有するフィニッシャ装置が上述したインラインフィニッシャに相当する。
図2の工程管理部4と図4のポストプレス部6に関しても本実施例における一例とすることは可能であるが、本実施例では後述する図9のように構成する。また、図3のデジタルプリント部5に関しては、プリントサーバ30は不要であり、プリントサーバ30が所持していたディジタルプリント部5の外部との情報送受や印刷ジョブの管理制御の機能はMFP自体が所持するものとする。具体的にはEFM(Embedded Finishing Manager)部がその機能を持つが、詳細は以降で説明する。なお、本願記載のジョブチケットとは、作業指示内容を示す情報が記述された作業指示書である。
また、従来の商業印刷の分野ではジョブチケットを使用した商業印刷ワークフローが提案されている。以降、図5、6、7を用いて従来の商業印刷の分野でのPODシステムにおける“ジョブチケットによるワークフロー”とジョブチケットについて一例を用いて説明する。
図5は、ジョブチケットにより実現されるワークフロー構成の一例を示す図である。MISサーバ20は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理すると共に、様々な経営情報や販売情報を統括的に管理するシステムである。MISサーバ20は、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータ64を作成するためのJDF作成アプリケーション51により構成されている。なお、本願では後述するように代行の必要があると判断した場合、後述のEFM92が代行用のJDFを生成することを想定している。しかし、EFM92からの依頼を受けることにより、MISサーバ20が代行用のJDFを作成する構成も考えられる。
プリントサーバ30は、ディジタルプリント部5に投入されるジョブを受信すると共に、ディジタルプリント部5全体を管理制御するためのサーバであり、JDFデータ64を解釈するためのJDFパーサ53、PDF/PS等の各種PDL(プリンタ記述言語)データを処理するためのPDLコントローラ54、MFP56等のプリンタエンジンにフィニッシャ装置58と接続するためのプリンタ・フィニッシャインターフェース55により構成される。
ジョブチケットによるワークフローは、以下のように実現される。MISサーバ20に受注ジョブ50(オーダともいう)が投入されると、MISサーバ20にインストールされているJDF(Job Definition Format)作成アプリケーション51は、ワークフローにおける作業指示が記述されたジョブチケットに相当するJDFデータ64を生成する。
生成されたJDFデータ64がプリントサーバ30に渡されると、プリントサーバ30におけるJDFパーサ53が、JDFデータ64を解釈して、ディジタルプリント部に対するジョブを実行する。例えばJDFデータには、出力用紙サイズや両面片面印刷やN−up等の属性が指定されており、JDFデータの内容に従って、PDLコントローラ54がJDFデータ64により参照されるPDF/PS等のPDLデータを処理するとともに、プリンタ・フィニッシャインターフェース55を介してMFP56に対して印刷を実行する。
印刷実行によって出力された出力原稿57がフィニッシャ−A58に搬送される。JDFデータ64にくるみ製本や中綴じ製本や断裁等の印刷後処理が指定されているならば、JDFデータの内容に従って、プリンタ・フィニッシャインターフェース55がフィニッシャA58に対して後処理を指示する。
図6は、PODシステムにおけるジョブチケットの構造の一例を示す図である。
JDF(Job Definition Format)64はJDFデータ全体を示している。PrePress処理指示61はPDF等の印刷コンテンツデータ(描画データ)をどのように画像処理し、どのように配置するか等を示す複数のPrePress処理の指示群が記述されている。Press処理指示62はPrePress処理61において作成された画像データをどのように印刷原稿として出力するか等を示すPress処理の指示群が記述されている。PostPress処理指示63はPress処理62の指示に従って出力された印刷原稿をくるみ製本等、どのように後処理するかを示すPostPress処理の指示群が記述されている。Combined Process60は上記PrePress処理61とPress処理62とPostPress処理63を一つの処理に纏めるCombined Process処理を示す。
通常、デジタルプリントを司る画像形成装置(本願ではカラーMFP37等)では一回の印刷ジョブの入力に対して、PrePress処理からPostPress処理まで実行終了した出力結果が唯一つの出力となる。このように一度のデータ入力に対してPrePress処理+Press処理+PostPress処理までを実行し、出力結果を出力する指示を行いたい場合にCombined Processは使用される。Combined Processは、PrePress・Press・PostPress処理の少なくとも2つ以上を所持するMFP等の画像形成装置に対して指示する際に使用される。
なお、PrePress処理は印刷前処理、Press処理は印刷処理、PostPress処理は印刷後処理およびフィニッシング処理を指す。
図7は、PODシステムにおけるジョブチケットの構造の一例を示すもう一つの図である。図7では、ジョブチケットを表現するJDF(Job Definition Format)はXMLフォーマットで記述されており、ノードの階層構造によって表現できる。図7はJDFによって製本の一例を示す階層図である。一方、図6はJDF構造を実行プロセスの種類で示している。
「本」71を作成するには、表紙72を作ったり、中身73を作ったり、あるいは、それらを製本したりと様々な工程を経てエンドユーザに届けられる「本」71が作成される。
JDFでは、出力物を構成する際に、物理的な出力物を形作る工程をプロダクトノード、プロダクトノードを形作るための処理工程をプロセスノード、プロダクトノードを作成するための中間的段階の要素でいくつかのプロセスノードの集合体をプロセスグループノードと呼んで区別している。
また、図6のPrePress処理61は、カラーページのRIP処理である7a、白黒ページのRIP処理である7cにあたる。Press処理62は、表紙出力のプロセス1である78、表紙のラミネート処理である79、カラーページプリント処理である7b、白黒ページプリント処理である7dに当たる。PostPress処理は、くるみ製本処理である7e、断裁処理である7fに当たる。
また、従来のフィニッシャ装置における、くるみ製本時の印刷原稿の搬送パスに関して説明する。図8は後処理系断面図であり、インラインフィニッシャ部の構成を示す。先ず、フィニッシャ装置の各機能部位に関して説明する。
プリンタ部(図8においてはデバイス本体56を指す。以下、図8に関する説明においては同様である。)の定着部から排出された印刷原稿は、インラインフィニッシャ58が接続されている場合には、インラインフィニッシャ部に入る。インラインフィニッシャ部には、サンプルトレイ83及びスタックトレイ85があり、印刷ジョブの種類や排出される印刷原稿の枚数に応じて切り替えて排出される。出力すべき印刷ジョブに対してステープルモードが設定されている場合には、ステープラ8aにてステープルされた後に、スタックトレイ85に排出するよう制御する。その他、上記2つのトレイに至るまでに、紙をZ字状に折るためのZ折り機80、ファイル用の2つ(または3つ)の穴開けを行うパンチャ84があり、ジョブの種類に応じてそれぞれの処理を行う。さらに、サドルステッチャ8eは、印刷原稿の中央部分を2ヶ所バインドした後に、印刷原稿の中央部分をローラに噛ませることにより印刷原稿を半折りし、パンフレットのようなブックレットを作成する処理(製本処理)を行う。サドルステッチャ8eで製本された印刷原稿は、ブックレットトレイ8dに排出される。
また、インサータ81はインサートトレイ82にセットされた印刷原稿をプリンタ部へ通さずにスタックトレイ85及びサンプルトレイ83等の排出トレイのいずれかに送るためのものである。これによってインラインフィニッシャ部に送り込まれる印刷原稿(プリンタ部で印刷された印刷原稿)と印刷原稿の間にインサータにセットされた印刷原稿をインサート(中差しなど)することができる。
次に、トリマ(裁断機)88について説明する。サドルステッチャ8eにおいてブックレット(中綴じの小冊子)にされた出力は、このトリマ88に入ってくる。その際に、まず、ブックレットの出力は、ローラで予め決められた長さ分だけ紙送りされ、カッタ部8cにて予め決められた長さだけ切断され、ブックレット内の複数ページ間でばらばらになっていた端部がきれいに揃えられることとなる。そして、ブックレットホールド部8bに格納される。
最後に、くるみ製本時の処理と印刷原稿の搬送パスに関して説明する。まず、ブックレットの本文を構成する印刷原稿がプリンタ部から排出され、一次トレイ86に1つのブックレット分(製本印刷を構成する1冊分のページ数)だけ保持される(搬送パス1)。その後、1ブックレット分の原稿が溜まった後、原稿を揃えて糊付け処理部87に送られ(搬送パス2)、原稿の背表紙に当たる面に糊が付けられる。上記糊付け処理と同時に、プリンタ部からは表紙原稿が排出され、くるみ処理部89にセットされる(搬送パス3)。原稿の糊付けが終了し、表紙原稿がセットされた後、糊付け原稿をくるみ処理部89に搬送し(搬送パス3)、表紙原稿で包む。くるみ処理の終わった原稿は、カッタ部8cに搬送され(搬送パス4)、端部をカットすることにより、揃える。そして、ブックレットホールド部8bに格納される(搬送パス5)。また、従来の画像形成装置により出力された原稿用紙を、フィニッシング装置で製本処理(ステイプル、穴あけ、中綴じ製本、くるみ製本等)を行うことは周知である。
図2の工程管理部と図4のポストプレス部に関しても本実施例における一例とすることは可能であるが、本実施例では図9のように構成することとする。また、図3のデジタルプリント部に関しては、プリントサーバ30は不要であり、プリントサーバ30が所持していたディジタルプリント部の外部と情報の送受や印刷ジョブの管理制御の機能はMFP自体が所持するものとする。具体的にはEFM(Embedded Finishing Manager)部がその機能を持つが、詳細は以降で説明する。
図9は、本発明において印刷システム全体の基本構成の一例を示すもう一つのブロック図である。図1の印刷システム全体の基本構成ブロック図から本発明を説明するために必要な構成だけを残した図であり、以降はこの図9を使って実施例を説明する。
本実施例では、印刷システム内の工程管理部4として、MISサーバ20と受注サーバ21とファイルサーバ22で構成されるとする。またデジタルプリント部5としてはカラーMFP37で構成され、内部構成はJDFに記載の指示内容に従って、描画データを描画した印刷原稿の出力までを処理するMFP本体部91と、MFP本体部91から印刷原稿の搬送路として接続されているインラインフィニッシャ93とから成る。更にカラーMFP本体部91はEmbedded Finishing Manager部92(以下、EFMとして記載する)を持つ。
EFM92は、MISサーバ20とJDFの送受信やMISサーバ20への処理ステータスの通知、MISサーバ20またはネットワークに接続されている他のMFPやニアラインフィニッシャのステータス取得などを行う。そしてポストプレス部としてはポストプレスサーバ40とニアラインフィニッシャ46(例えばくるみ製本機)で構成されるとする。ポストプレスサーバ40は、MISサーバ20やEFM92にポストプレス部内の各デバイスのステータスを送信したり、EFM92からJDFを受信したりする。そしてMISサーバ20やカラーMFP37やポストプレスサーバ40などの各機器はLAN等のネットワーク90で接続されている。本実施例では、MISサーバ20は、受注から納品までのシステム全体のワークフローを管理する。ワークフローの管理の具体的な処理内容としては、受注サーバ21からMISサーバ20へ受注したオーダが送信され、保持される。そして、MISサーバ20は印刷システム全体の印刷ジョブの処理スケジュールを管理する機能を所持し、上記受注サーバ21から送信されたオーダからJDFを生成し、印刷システム内で処理すべきJDFとして処理スケジュール情報に管理する。更に、MISサーバ20は、上記処理スケジュールに従って、JDFをデジタルプリント部5に送信することにより、印刷ジョブの開始を指示し、デジタルプリント部から現在の処理ステータス情報を受け取る。また、MISサーバ20は、デジタルプリント部5から印刷ジョブの終了通知を受け取り、ポストプレス部6にデジタルプリント部5で出力された印刷原稿のフィニッシング処理を指示するJDFを送る。そして、MISサーバ20は、ポストプレス部6からフィニッシング処理のステータス情報またはフィニッシング処理の終了通知を受け取る。また、上記各種受け取った情報をMISサーバ20に接続されたCRTやクライアントPC23に接続されたCRTを通じて、オペレータに通知する。
図10はカラーMFP37を詳細に説明するブロック図である。MFPとは、自装置内部に複数の印刷ジョブに関連するデータを記憶可能なハードディスク等の記憶部10bを具備し、スキャナから入力されたデータに対し該記憶部10bを介してプリンタ部でプリント可能にするコピー機能や、コンピュータ等の外部装置から出力されたデータに対し該記憶部10bを介してプリント部でプリント可能にするプリント機能等の複数の機能を具備した画像形成装置である。なお、本願に記載の印刷ジョブとはMFP外部のネットワークを流れる場合はJDFに相当し、MFP内部で処理する印刷ジョブはMFP制御部により処理可能な形式であればよく、例えばJDFおよび印刷コンテンツデータで構成されることにより、印刷コンテンツデータはJDFに従って処理される。
MFPには、フルカラー機器とモノクロ機器があり、本願の図9に記載のMFP37はカラーMFPとして取り扱う。又、本印刷システムの構成に関しては、上記の如く、複数の機能を具備したMFPを有するとしたが、プリント機能+フィニッシング機能のみを具備した画像形成装置を具備する構成でも、プリント機能のみを具備する構成でも良い。何れのタイプの画像形成装置であっても、複数台具備する構成でも良い。いずれにしても、本形態の制御が実現可能な構成であればよい。
図10に示すように、MFPは紙原稿などの画像を読み取り、読み取られた画像データを画像処理する入力画像処理部101と、ファクシミリなどに代表される電話回線を利用した画像の送受信を行うFAX部102と、ネットワークを利用して画像データや装置情報をやりとりするNIC(Network Interface Card)部103と、外部装置と画像データなどの情報交換を行う専用インターフェース部104を備えている。あるいは、UniverSal Serial Busメモリ(本願においては以下、USBとして記載する。なお、USBはリムーバブルメディアの一種である。)に代表されるUSB機器と画像データなどを送受するUSBインターフェース(USB I/F)部105とを備えている。そして、MFP制御部100では、MFPの用途に応じて画像データを一時保存したり、経路を決定したりといった例えば交通整理のような役割を担っている。
次に、記憶部10bは、複数の画像データを格納可能なハードディスク等のメモリであり、例えば、画像形成装置が具備する制御部(例えばMFP制御部100)が主体となって以下のような処理をする。なお、MFP制御部100は、たとえば不図示のプロセッサおよびRAM、ハードディスク等を有し、所定のプログラムをプロセッサで実行することで実現することができる。MFP制御部100は、入力画像処理部101からの画像データや、FAX部102を介して入力されたファクシミリジョブの画像データや、NIC部103を介して入力されたコンピュータ等の外部装置からの画像データや、専用I/F部104やUSB I/F部105を介して入力された複数種類の画像データを、記憶部10bに格納可能に制御する。さらにMFP制御部100は、該記憶部10bに格納された画像データを適宜読み出して、プリンタ部109等の出力部に転送して、該プリンタ部によるプリント処理等の出力処理を実行可能に制御する。又、MFP制御部100は、オペレータからの指示により、記憶部10bから読み出した画像データを、コンピュータや他の画像形成装置等の外部装置に転送可能に制御する。MFP制御部100は、画像データを記憶部10bに記憶する際には、必要に応じて画像データを圧縮して格納したり、逆に圧縮して格納された画像データを読み出す際に元の画像データに伸張して戻したりする処理を司る圧縮伸張部10aを制御する。また、データがネットワークを経由する際には、JPEG、JBIG、ZIPなど圧縮データを使用することも一般知られており、データがMFPに入った後、この圧縮伸張部10aにて解凍(伸張)される。また、MFP制御部100によって制御されるリソース管理部10cは、フォント、カラープロファイル、ガンマテーブルなど共通に扱われる各種パラメータテーブルなどが格納されている。リソース管理部10cは、必要に応じて各種パラメータテーブルを呼び出すことができると共に、新しいパラメータテーブルを格納したり、修正して更新したりすることができる。
次に、MFP制御部100では、PDLデータが入力された場合には、RIP部107でRaster Image Processor(以下RIPと省略する)処理を施したり、プリントする画像に対して、必要に応じて出力画像処理部108でプリントのための画像処理を行ったりする。更に、その際に作られる画像データの中間データやプリントレディデータ(プリントのためのビットマップデータやそれを圧縮したデータ)を必要に応じて、記憶部10bで再度格納することもできる。そして、画像形成を行うプリンタ部109に送られる。
プリンタ部109でプリントアウトされた印刷原稿は後処理部であるインラインフィニッシャへ送り込まれ、仕分け処理や仕上げ処理が行われる。
ここで、MFP制御部100は円滑にジョブを流す役割を担っており、MFPの使い方に応じて、パス切り替えが行われている。以下に示す一例では、必要に応じて利用される圧縮伸張部と後処理部、あるいは、全体のコアとなるMFP制御部などの処理は省略して、おおよそのフローがわかるように記載する。
FAX受信機能 :FAX部→出力画像処理部→プリンタ部
ネットワークプリント :NIC部→RIP部→出力画像処理部→プリンタ部
外部装置からのプリント:専用I/F部→出力画像処理部→プリンタ部
外部メモリからのプリント:USB I/F部→RIP部→出力画像処理部→プリンタ部
ボックスプリント機能 :記憶部→プリンタ部
また、ボックスプリントとは、記憶部10bを利用したMFPの処理機能であり、ジョブ毎やユーザ毎に記憶部10b内のメモリを分割して一次的にデータを保存して、ユーザIDやパスワードを組み合わせてデータの入出力を行う機能である。
更に、操作部106は、上記の様々なフローや機能を選択したり操作指示したりするためのものであるが、操作部の表示装置の高解像度化に伴い、記憶部10bにある画像データをプレビューし、確認後OKならばプリントするといったこともできる。
更に、本発明においてはMFPがEFM部92を備えている。MFP制御部100は、MFP内部で処理すべき印刷ジョブの制御を行い、EFM部92はMISサーバ20やポストプレスサーバ40など外部機器とJDFの送受信制御を行い、JDFの解釈、MFP制御部100への指示処理などを実行する。
図11はEFM部92を詳細に説明するブロック図である。
EFMとは、外部装置とJDFの送受信を行ったり、印刷システム内の各装置にEFMが管理するMFPのステータスを送信したり、逆に外部装置のステータスを受信したり、また受信したJDFをMFP制御部100に送り印刷ジョブの開始を指示する。また、EFM92は、MISサーバからの指示やEFM92自身の判断でMFP制御部100に印刷ジョブの処理の中断や中止を指示したり、MISサーバからスケジュール情報を受信したり、印刷ジョブを編集可能にする機能を具備している。本実施例では、EFM92は外部装置とJDFの送受信を処理するモジュールであり、受信したJDFの指示に従って印刷すべき印刷コンテンツデータ(描画データ)をファイルサーバ22から受信し、MFP装置全体を管理しながら印刷処理を実行する装置である。
図11の92はEFM部全体であり、116はNIC部でありネットワークを介してJDFまたは印刷コンテンツデータの送受信やステータスの送受信を行う。ジョブ送受信処理部110は、NIC部116に指示してJDFまたは印刷コンテンツデータの送受信を制御する。ステータス送受信部111は、NIC部116に指示して外部装置のステータスを取得したり、MISサーバ20等の外部装置にMFP装置37のステータスを送信したりする。通信部114はMFP制御部100とJDFや印刷コンテンツデータの送受信やステータスの取得や印刷ジョブに対する指示等を行う。内部ジョブ管理部113はMFP37で処理中の印刷ジョブを管理する内部ジョブ管理部であり、通信部114を介してMFP制御部100に印刷ジョブの処理指示を送ったりしている。
印刷ジョブ制御部115は、JDFに記述されている指示を解釈したり、JDFの記述を変更または生成する処理を行う。なお、印刷ジョブ制御部115がMISサーバから受信したJDFを解釈することにより、MFP制御部100に対して印刷処理の指示を行ったり、今回処理すべき印刷コンテンツデータを認識することが可能となる。印刷ジョブ制御部115が認識した印刷コンテンツデータを後述のEFM制御部112に伝え、EFM制御部112がジョブ送受信処理部110を制御することにより、処理対象となる印刷コンテンツデータがファイルサーバから取得される。本願では、EFM92が印刷コンテンツデータを受信することを想定して記載しているが、それに限ることはなくEFM92において解釈したJDFの記述を後述するMFP制御部100に通知することにより、MFP制御部100がファイルサーバから印刷コンテンツデータを取得するようにしても構わない。EFM制御部112はEFM全体の動作を制御するEFM制御部であり、EFMの各制御部に処理指示を送っている。
図12はMFP制御部100を詳細に説明するブロック図である。同図は、大きく分けて5つの部分から成っている。すなわち、入力デバイスを管理する入力デバイス管理部、入力されたジョブを解釈する入力ジョブ制御部、ジョブの設定情報を整理する出力ジョブ制御部、そして、出力デバイスを割り当てる出力デバイス管理部、そしてEFM92からの指示をMFP制御部100に伝達し印刷ジョブの制御を行うジョブ管理部である。
入力デバイス管理部は、図10における各入力部(101〜105)にからの入力信号を整理したり、切り替えの順序を決定したりする役割を果たす。入力デバイス管理部に含まれる入力デバイス制御部122は、上記役割を果たすために入力デバイス管理部を制御する。なお、入力信号としては、ファイルサーバ22からのPDLデータや画像データ、ジョブ管理部120からのJDF等がある。なお、MFP制御部100がEFM92から受信するJDFは、EFM92によって、MFP制御部100が解釈可能なJDFコマンドに変換されている。
次に、入力ジョブ制御部は、プロトコル解釈部123とジョブ生成部124から構成されている。入力デバイス管理部から送られてくる一連の操作要求は、コマンド(プロトコル)と呼ばれる命令信号で受信され、プロトコル解釈部123でその操作要求の概要が解釈されて、MFP内部で理解できる操作手順に変換される。一方、ジョブ生成部124はMFP内でどのように処理するかが記述された内部ジョブを生成する。生成された内部ジョブは、MFP内部でどのような処理を施して、どこに送られるかといったそれぞれのシナリオが定義付けされて、そのシナリオに従ってMFP内部を流れることとなる。
出力ジョブ制御部では、ジョブ解析部125、バインダ解析部126、ドキュメント解析部127及び、ページ解析部128において、ジョブの設定情報と画像情報が作成される。ジョブ解析部125は、印刷する文書名や印刷部数、出力先の排紙トレイ指定、複数バインダで構成されるジョブのバインダ順などジョブ全体に関わるジョブ設定情報129の詳細が解析される。バインダ解析部126は、製本方式の設定やステープルの位置、複数ドキュメントで構成されるバインダのドキュメント順などバインダ全体に関わるバインダ設定情報12aの詳細が解析される。ドキュメント解析部127は、複数ページで構成されるドキュメントのページ順、両面印刷の指定、表紙や合紙の付加などドキュメント全体に関わるドキュメント設定情報12bの詳細が解析される。ページ解析部128は、画像の解像度、画像の向き(ランドスケープ/ポートレイト)等の各種設定ページ全体に関するページ設定情報12cの詳細が解析されると共に、PDLデータが入力された場合にはRIP部107を呼び出してラスタライズ処理を施す。なお、画像情報を生成するに当たっては、RIP部107を呼び出して、ラスタライズ処理にてページ画像情報12fが生成される。ページ画像情報12fは、圧縮伸張部10aにおいて圧縮された後、記憶部10bに設定情報と関連付けされて格納される。
出力デバイス管理部は、出力デバイス制御部12dで構成されている。記憶部10bに保存された画像情報は圧縮伸張部10aにて伸張され、関連付けられていた設定情報と一緒に読み出され、設定情報と画像情報は一対になって出力デバイス部に送られてくる。出力デバイス制御部12dは、プリンタ部、インラインフィニッシャなどMFP内のどのデバイスを利用するかのMFP内部の処理をスケジューリングする。
通信部121はEFM92とJDFまたは印刷コンテンツデータの送受信や印刷ステータスの送受信や印刷ジョブの処理指示を受け取る。
ジョブ管理部120は、通信部121を介してEFM92からJDFを受信したり、印刷処理の開始や中断や中止や処理内容の変更の指示を受ける。また、EFM92からの指示内容に従って印刷ジョブの処理を変更する指示をMFP内部の各制御部へ送ったり、MFPで実行中の印刷ジョブのステータスをEFM92へ送る。
図13は本実施例における印刷ジョブを工程管理部からデジタルプリント部が最初に受け取る処理を説明する図である。
MISサーバは印刷システムにおけるジョブ処理のスケジュール情報を所持している。スケジュールは予め印刷システム管理者が、印刷ジョブの納期や納品締め切り日や印刷システムの稼動スケジュールを鑑みて、どのデバイスにどのジョブを何時から何時までの間で処理させるかが記録されている。なお、MISサーバが自動的にスケジュールを生成しても良い。MFP37において処理すべき作業はJDFに記載されている情報に基づくものであり、JDFはMISサーバによって作成される。また本願では、実際に処理すべき印刷コンテンツデータ(PDFデータなどの描画データ)はファイルサーバに記録されている。JDFデータや印刷コンテンツデータは顧客から送られた印刷注文に関するデータ(オーダ)を基に作成されたものであるが、一般に商業印刷業界でなされている処理であり、また本発明に関係しない処理であるので、本実施例ではその処理に関しては説明しない。
MISサーバはジョブキュー130を所有し、スケジュールに従って処理開始時間が来たJDFをジョブキューにセットする。また、スケジュールに従ってジョブキューからJDF131をデジタルプリント部内のMFP内のEFM92へ送る。なお、本願では、印刷コンテンツデータ132はファイルサーバに記録されており、JDF131を受信したEFM92が、該JDF131を解釈することにより、該JDF131と対応する印刷コンテンツデータを認識して、ファイルサーバ22から受信する構成を想定している。なお、本願に記載の印刷コンテンツデータは記録媒体に描画されるデータであるため、描画データと言う場合もある。また、MFP94もMFP37と同様の構成を示しているため詳細な説明は省略する。
図14は、本実施例における印刷ジョブ処理におけるフィニッシング処理をMFP−2からMFP−1へ代行する処理を説明する図である。なお、MFP−2はMFP37に相当し、MFP−1はMFP−94に相当する。
JDF140はスケジュールに従って処理開始予定時間が来たので、MFP−2にて処理されるべくジョブキューにて管理されている。図14では、MFP−2にてまだ前回のジョブを処理中であるため、MISサーバ内のジョブキューにて待機中であることを示している。JDF141はMFP−2のEFM92からMFP−1でフィニッシング処理を代行する為にEFM−1へ送られるJDFである。JDF141に関しては図15で詳細に説明する。印刷原稿142はMFP37において印刷コンテンツデータが描画された記録媒体であり、MFP−1にてフィニッシング処理を行う印刷原稿全体を示す。なお、本願では、オペレータがMFP−2からMFP−1に印刷原稿142を運び、MFP−1にセットすることを想定している。
図15は、MFP−2から代行処理を依頼する為に生成(または変更)されたJDF141を説明する図である。
最初にMISサーバからMFPへ指示されるJDF64に関しては、従来の例である図6で説明した。ここでは、図6で示されているJDF64との差異を中心に説明する。
図6に記載のJDF64では、PrePress処理指示61とPress処理指示62とPostPress処理指示63が、Combined Proces60内で指示されている。これは、PrePress処理指示61からPostPress処理63までを一度に処理することをMFPに指示したものである。MFP−2はそのJDF63の内容に従うと、PostPress処理までをMFP−2が所有しているインラインフィニッシャ93で処理することになる。まず、MFP−2は受信したJDF64に記載された指示に従ってジョブの処理を開始する。
しかしながら、次ジョブの処理開始時間がきてしまった、またフィニッシャのステープラの針切れ等のエラーが発生したことにより、JDF64に記載された指示に従ってMFP−2自身でそのまま印刷前処理から印刷後処理までを続行するとスケジュールの大幅な遅延につながってしまう、または印刷後処理まで処理することが不可能となる可能性がある。そこで、本願の発明を用いることにより、MFP−2は、印刷処理までを実行し、フィニッシング処理を代行させることで処理の遅延を防ぐことが可能となる。この際、MFP−2が印刷後処理の代行を依頼する場合、JDF内に記述される作業指示の構成が変更される(または代行処理用に新たなJDFが生成される)。その様子を示したのが図15のJDF141である。
図15に記載のJDF141は、JDF64とは記載内容が異なるため、その差を示す為に別の番号として141と表現する。JDF141に含まれるPrePress処理指示151はPrePress処理を実行する際に用いられる指示であり、Press処理指示152はPress処理を実行する際に用いられる指示である。なお、図15においてはPrePress処理指示151およびPress処理指示152は、どちらもMFP−2において処理事態が完了している為に、処理終了を意味するマーク“Completed”が記載されている。そして、これら2つの作業工程のみがCombined Process150内に残っており、PostPress処理指示はCombinedProcess150の外に移動している。これにより、代行処理を実行する装置(本願ではMFP−1)は、JDF141に記載されている作業工程を参照することにより、PostPress処理指示153に基づく処理が未完了であることを認識して、該PostPress処理指示153に基づく処理が代行処理を行うべき作業工程であると判断できる。なお、代行の対象となるJDFに記述されている工程の作業工程は代行先の装置にて引き継がれるため、処理対象となる装置が変更されても出力結果に変更は生じない。
以降、図16から図18のフロー図を用いて、本発明の実施例の処理を説明する。
図16は、本実施例における印刷ジョブの代行処理を行う際の処理を説明するフローチャートである。なお、本フローチャートでは印刷代行処理を実行するMFPを図13に記載のMFP−1とし、後述するように処理遅延が発生するMFPを図13に記載のMFP−2として説明する。
まず、本実施例ではMFP−1は現在ジョブ処理中でなく、MISサーバのスケジュールにも暫くMFP−1が処理すべき印刷ジョブはないものとする。この時、ステップS1においてEFM−1は、印刷ジョブの代行受け入れ状態である。
ステップS2において、EFM−1は、印刷システム内に処理遅延しているジョブがあるかをMISサーバ20に問い合わせる。詳細には、MISサーバは各MFPと通信しながら各MFPの処理状況を管理しているため、EFM−1がMISサーバと通信することにより、印刷システム内に処理遅延しているジョブがあるか否かを判定することが可能となる。
そしてステップS3において、EFM−1がMISサーバから処理遅延ジョブが無い旨を示す情報を受信した場合、ステップS2に戻り、一定のインターバル後、再度MISサーバに問い合わせ、印刷システム全体で処理遅延が発生している印刷ジョブを監視する。また、ステップS3にて、EFM−1がMISサーバから処理遅延ジョブを示す旨の情報を受信した場合、ステップS4へ進む。
S4において、EFM−1は、処理遅延を起こしているMFP−2の処理中印刷ジョブ情報及びステータスをMFP−2に要求し且つ取得する。詳細には、MISサーバは各MFPの処理状況を確認しているため、EFM−1はMISサーバと通信することにより、処理遅延を起こしているMFP−2を把握することができる。そして、EFM−1はMISサーバから受信した情報を基に処理遅延の起こしているMFP−2において処理中の印刷ジョブの状況を問い合わせることが可能となる。なお、S4で取得する印刷ジョブ情報にはMFP−2にて処理すべき作業工程が含まれている。EFM−1が取得した情報は記憶部に保持される。
次にステップS5へ進み、EFM−1は、ステップS4で取得した情報を基にEFM−1が含まれるMFP−1が、処理遅延を発生しているMFP−2にて実行すべき作業工程を代行可能かどうか判断する。本実施例ではPostPress処理の代行処理を行うものとし本フローチャートの説明を進める。また、S5の判断方法に関しては図28で説明する。
ステップS5にて、EFM−1が、処理遅延を発生しているMFP―2にて実行すべきPostPress処理を代行できないと判定した場合には、印刷システム内の他のMFPにおいて処理遅延しているジョブがないかどうかを監視するためにステップS2へ戻る。また、EFM−1が、処理遅延を発生しているMFP−2にて実行すべきPostPress処理を代行できると判定した場合には、ステップS6へ進む。
S6において、EFM−1は、MFP−2が処理すべきPostPress処理(フィニッシング処理)を、代行することを示す代行申請情報をEFM−2に通知する。詳細には、EFM−1が代行処理を実行することを示す代行申請情報を生成し、該情報をEFM−2へ通知する。
そしてステップS7において、EFM−1は、S6において送信した代行申請情報を受諾する旨の受諾情報がEFM−2から返却されたかどうかを判断し、受諾しない旨の返事があった場合にはステップS2へ戻り、他の処理遅延ジョブの監視を継続する。また、EFM−1が、EFM−2から代行申請情報を受諾する旨の返事があったことを判断した場合にはステップS8へ進む。
S8において、EFM−1は、EFM−2に対してMFP−2において処理中の印刷ジョブをPressまで処理実行する指示、後処理中の印刷ジョブの中断する指示、そしてMFP−1にて代行処理すべくJDFを代行処理用に生成する指示、MFP−1にて実行すべき作業工程の直前(つまり、印刷後処理の直前の作業工程である印刷処理)まで実行する指示を処理遅延しているMFP−2に送付する。なお、S8において、EFM−1は、EFM−2に対して代行処理用にJDFを生成するよう指示すると記載したが、それに限ることは無く代行処理用にJDFを変更する処理も含まれる。
そしてステップS9にてEFM−1は、EFM−2から代行処理用に変更(または生成)されたJDFを受信したかどうかを判断する。詳細には、EFM−1内にある印刷ジョブ制御部115は、受信したJDFを解釈することが可能であるため、S9の処理を実行することが可能となる。なお、印刷ジョブ制御部115により解釈されたJDFは、MFP−1内に保持される。また、受信したJDFには、MFP−1にて代行処理を実行すべきことを示す情報と共に、MFP−1にて処理すべき作業工程も含まれている。
S9において、EFM−1はEFM−2から代行処理用のJDFを受信していないと判断した場合にはステップS9をループして受信するまで待機し、受信した場合にはステップS10へ進む。
ステップS10では、EFM−1はMFP−1が有するインラインフィニッシャ97を代行処理用にニアラインフィニッシャモード状態に変更するよう指示する。上述したようにEFMは、MFP制御部に対して様々な指示をすることが可能であるため、S10の処理は実現される。S10におけるEFM−1からの指示により、MFP制御部は、MFP−1内のインラインフィニッシャを代行処理用にニアラインフィニッシャモードへ変更する(切り替える)。詳細には、ニアラインフィニッシャモードになっていることを示すフラグなどを立てておくことにより、MFP−1のインラインフィニッシャのモードを管理することが可能となる。S10の処理によって、インラインフィニッシャはMFP−1で処理中の印刷ジョブの印刷後処理を行うのではなく、他のMFPで処理処理すべき印刷ジョブの印刷後処理を行う状態になる。本実施例では、MFP−2の印刷ジョブのPostPress処理を行う状態になることを意味する。MFP−1のインラインフィニッシャがニアラインフィニッシャモードになったとしても、MFP−1本体95自体は、MFP−1に対して送信された印刷ジョブを処理することが可能であるが、インラインフィニッシャ97は使用できない。そのため、MFP−1にて実行可能な印刷ジョブは、PostPress処理を含まない印刷ジョブの処理に限られる。もしPostPress処理を含む印刷ジョブを開始する場合には、ポストプレス部や他のMFPのインラインフィニッシャを使用する必要がある。なお、代行処理用にインラインフィニッシャモードからニアラインフィニッシャモードに切り替えられた場合、印刷後処理の実行対象となる記録媒体(印刷原稿)は、インラインフィニッシャ部と印刷部とが物理的につながっている紙搬送路から給紙されない。つまり、印刷原稿は、通常のインラインフィニッシャ用の紙搬送路とは異なる給紙部であるインサータから挿入され、MFP−1は、該インサータから挿入された印刷原稿に対して受信した代行用のジョブチケットに基づく印刷後処理を実行する。詳細は図27を用いて説明する。
ステップS11において、EFM−1は、MFP制御部に対してMFP−1本体の操作パネルに、MFP−2上の印刷原稿をMFP−1へセットし、PostPress処理開始を指示する情報(オペレータへの作業指示)を表示するよう制御する。このオペレータへの作業指示に関しては、図19から図27で詳細に説明するため、ここでは詳しく述べない。また、S9にて受信したJDFはMFP−1内に保持されており、EFM−1がJDFに記述されているMFP−1にて代行すべき処理内容を解釈することにより、MFP−1に操作パネルに作業指示を表示することが可能となる。
ステップS11で表示された作業指示が実行されたことを認識した場合(印刷原稿がMFP−1にセットされたことを認識した場合)、ステップS12にて、EFM−1は、MFP制御部に対してS9にて受信した代行用のJDFに記述されているPostPress処理を代行処理するように指示する。詳細には、EFM−1が解釈したJDFに記述されているPostPress処理内容をMFP制御部に伝えることにより、MFP制御部はJDFに記述されているPostPress処理を実行することが可能となる。つまり、受信したJDFに基づいて、他の画像形成装置(本実施例ではMFP−2)にて実行予定であった作業工程を代行することが可能となる。
EFM−1は、S12にて実行されたPostPress処理が終了したことをMFP制御部から受信した場合、S13においてEFM−1はMFP制御部に対してMFP−1のフィニッシャをインラインフィニッシャモードに戻すよう指示する。例えば、MFP制御部がこの指示を受けることによりS10において立てたニアラインフィニッシャモードを示すフラグをインラインフィニッシャを示すモードへ戻す。インラインフィニッシャ97が使用可能に戻るため、MFP−1ではPostPress処理を含む印刷ジョブを処理することが可能となる。そしてステップS14にてEFM−1はジョブ終了をMISサーバへ通知して、PostPress処理の代行が終了する。
上記フローチャートによる処理を実行することにより、処理遅延の発生を防ぐことが可能になるだけでなく、処理中で無いMFPの機能を遊ばせることなく効果的に活用することが可能となる。なお、本願では処理遅延の発生している印刷ジョブがあるか否かをMISサーバへ問い合わせているが、EFM−1が、MISサーバが管理するスケジュール情報を取得して、解釈することにより、処理遅延の発生している印刷ジョブおよびMFPを特定するようにしても構わない。すなわち、MFP−1と接続可能なMISから受信したスケジュール情報に基づいて処理遅延が発生しているMFPがあるか否かを判定し、処理遅延が発生していると判定されたMFPが代行申請情報を送信すべき画像形成装置であると決定し、該代行申請情報を送信する。
上記処理により、MFP−1が処理待ちである場合、MFP−1と通信可能なMFP−2に対して代行処理を実行することを示す代行申請情報を送信することに応じて、他の画像形成装置であるMFP−2からMFP−1にて実行すべき作業工程を含むジョブチケットを受信し、受信したジョブチケットに基づいて、MFP−2にて実行予定であった作業工程を代行することが可能となる。 図17は、本実施例における印刷ジョブの代行処理を依頼する画像形成装置(MFP−2)にて実行される処理を説明するフローチャートである。なお、本フローチャートでも、代行申請情報を送信する画像形成装置をMFP−1と想定して説明する。
まずステップS20にてMFP−2は印刷ジョブの処理を開始し、ステップS21にてMFP制御部は、EFM−2によって解釈されたJDFの指示に基いて印刷ジョブの処理を実行する。
そしてステップS22にて、EFM−2は、MISサーバ(または他のMFPのEFM)からジョブステータスの送信リクエストを受信したか否かを判断する。なお、本フローチャートではMFP−1のEFM−1が他のMFPのEFMに該当するものとして説明する。S22において、EFM−2がMISサーバ(またはEFM−1)からジョブステータスの送信リクエストがあると判断した場合、ステップS23へ進み、MFP−2で処理中のカレント印刷ジョブの情報および印刷ジョブステータスを依頼元のMISサーバ(またはEFM−1)へ送信し、ステップS21へ戻りEFM−2はMFP−2制御部で実行中の印刷ジョブ処理を継続管理する。
また、EFM−2は、ステップS22にてMISサーバ(またはEFM−1)からジョブステータスの送信リクエストがないと判定した場合にはステップS24へ進み、現在MFP−2で処理中の印刷ジョブの処理を代行する代行申請情報を受信したか否かを判断する。詳細にはEFM−1から送信された情報をEFM−2が解釈することによりEFM−1から受信した情報が代行申請情報であるか否かを判断することができる。S24にて、EFM−2が代行申請情報を受信していないと判断した場合は、ステップS21へ戻り、上記と同様に印刷ジョブの処理を継続管理する。また、S24にてEFM−2が代行申請情報を受信したと判定した場合、ステップS25へ進む。
S25において、EFM−2はEFM−1からの代行申請を受諾するか否かを判断し、受諾する場合、受諾情報を代行提案元のEFM−1へ返却する。代行申請を受諾するか否かの一例として、EFM−2は自機であるMFP−2において実行すべき処理に遅延が生じているか否かを判定し、遅延が発生していることを認識した場合に代行申請を受諾する受諾情報をEFM−1へ送信する。EFM−2が自装置であるMFP−2において処理遅延が発生しているか否かの判断方法としては、MISサーバに問い合わせ、MISサーバが保持するスケジュール情報を認識することにより、遅延の発生を判断することが可能である。また、EFM−2が、本来MFP−2において処理すべきフィニッシング処理を実行することができないと判断した場合にEFM−1に対して受諾情報を送信する。例えば、MFP−2において出力した印刷原稿をステイプル処理するようJDFに記述されていたが、MFP−2内にステイプルの針がなくなった場合、EFM−2はMFP−2においてフィニッシング処理を実行することができないと判断する。このような場合に、EFM−2は、EFM−1からの代行申請情報に対して受諾情報を送信する。
そしてステップS26へ進み、EFM−2は、EFM−1から次の作業指示が送られてきているかどうかを判断し、次作業指示送信がなければステップS26を繰り返し、次作業指示送信がある場合にはステップS27へ進む。なお、S26において指示される内容は、前述した図16のS8にてEFM−1が送信する情報である。
S27では、S26においてEFM−1から次作業指示を受信した場合、EFM−2は、EFM−1からの次作業指示情報に基づく処理を実行する。EFM−2はEFM−1から送信された指示情報を解釈することが可能であり、解釈した情報をMFP−2のMFP制御部に送信することにより、MFP−2は、EFM−1からの次作業指示に基づく処理を実行することが可能となる。なお、上述したがEFM−2は、EFM−1からの指示に基づき代行処理用にJDFを変更するか、代行処理用に新たにJDFを生成する。すなわち、代行申請情報の送信元であるEFM−1に対して、MFP−2にて実行すべき作業工程を代行させる情報が記述されたJDFが生成(または変更)される。
そしてステップS28において、EFM−2は、MFP−2本体の操作パネルにオペレータが実行すべき処理内容を表示するよう、MFP制御部に対して指示する。具体的には、本願では印刷後処理をMFP−1に対して代行処理してもらうため、MFP−2において出力された印刷原稿をMFP−1へ持っていくよう指示する情報が操作パネルに表示される。
ステップS29にて、EFM−2は、S27において変更(または生成)した代行処理用のJDFをMFP−1のEFM−1へ送信し、ステップS2aにてMFP−1に対して代行処理を依頼したこと、且つMFP−2が印刷ジョブ受け付け可能状態であることをMISサーバへ通知する。詳細には、代行処理を依頼することでMFP−2では印刷ジョブの処理が終了する。そのため、MFP−2のMFP制御部は印刷ジョブを受信することが可能であることをEFM−2へ通知し、EFM−2がMISサーバに対して印刷ジョブ受信可能であることを通知する。
ステップS2bにて、EFM−2は、印刷ジョブ受信可能であることを受信したMISサーバからの次印刷ジョブの受信を待つ処理に入る。S2bにおいてEFM−2がMISサーバから次印刷ジョブを受信した場合、該次印刷ジョブの処理を開始するようMFP−2のMFP制御部に指示する。
図18は、本実施例における印刷ジョブの代行処理を行う際の、MFP−1上のEFM−1とMFP−2上のEFM−2とMISサーバの処理の関係を説明するフローチャートである。
図18では、図16と図17で示したEFM−1とEFM−2の処理フローが、MISサーバを含めた3つのシステム間でどのように関係して動作するかを時系列で説明している。図の上側から下側に向かって処理は実行される。
まず、図18中でEFM―1のS2からEFM−2のS2aまでの処理に関しては図16と図17のフローチャートで説明したのでここでは省略する。
以降、図18におけるMISサーバの処理に関してのみ説明する。
ステップS30においてMISサーバは、MISサーバが保持するスケジュール情報に従ってEFM−2へ送信すべき印刷ジョブがあるか否かを判定し、該スケジュール情報により処理開始時間の印刷ジョブがある場合、該印刷ジョブを送信する。詳細には、MISサーバは印刷システム内の各MFPにおいて処理すべき印刷ジョブのスケジュール情報と共に、現状の時刻も把握しており、送信すべき印刷ジョブを把握することが可能となる。なお、MISサーバは処理開始時間となった印刷ジョブを順次送信することとなるが、その際に送信先のMFPが処理中か否かも判断している。ここで印刷ジョブの送信先に該当するMFPが処理中である場合は、印刷ジョブを送信することなく待機する。なお、MISサーバは各MFP内のEFMと通信することにより各MFPのステータスを把握することが可能である。
ステップS31は、MISサーバがステップS2においてEFM−1から印刷処理開始時間がきているのに処理を開始できない印刷ジョブがあるかどうかの問い合わせを受信した場合、処理開始時間を過ぎた印刷ジョブがあればその旨を示すジョブキュー情報を送信する。
そしてステップS32において、MISサーバはEFM−2からMFP−2が印刷ジョブ受信可能状態になった通知を受け取ると、MISサーバが管理するスケジュール情報に従って印刷処理開始時間が過ぎてもMFP−2で処理を開始できなかった印刷ジョブをEFM−2へ投入する。なお、図18ではMISサーバがEFM−1に対して処理開始時間を過ぎた印刷ジョブを判定して、処理開始時間を過ぎた印刷ジョブがある旨を通知している。しかし、これに限られることは無く、MISサーバが管理するスケジュール情報をEFM−1に対して送信して、EFM−1が、スケジュール情報に基づいて代行申請情報を送信すべきMFPを決定し、処理遅延が発生している印刷ジョブを判定するようにしても構わない。
図19から図22は、本実施例におけるMFP−1とMFP−2の操作パネルに表示される表示例を示したものである。以下に、図19から図22について説明する。
図19は、MFP−2において出力された印刷原稿に対して印刷後処理を行わせるために表示される作業指示情報である。例えば、印刷後処理について代行処理を依頼する場合、MFP−2は印刷原稿に対する印刷後処理は実行しない。そのため、印刷原稿は印刷後処理を実行するための搬送路から排紙トレイへとつながる搬送路へ切り替えられる。つまりEFM−2は、印刷後処理中の部および未処理中の部の印刷原稿を排紙トレイであるスタックトレイとサンプルトレイなどに出力するようMFP制御部に指示する。そして、排紙トレイに出力された印刷原稿に対する印刷後処理を代行処理先であるMFP−1にて実行させるべく図19の作業指示情報が表示される。
190はMFP−2の本体に付随して設けられている操作パネルであり、オペレータへの指示として「後処理が途中で中断されたため、スタックトレイとサンプルトレイに排紙された原稿をMFP−1のFinisherで後処理を再開して下さい」が表示されている。本処理指示を実行後に、OKボタン191にタッチすることでMFP−2は操作パネルに表示した処理が実行されたと判断し、代行処理用のJDFを代行処理先のMFP−1に対して送信する。なお、本願ではOKボタン191が押されたことにより代行処理用のJDFが送信されると記載したがこれに限られることはなく、代行処理用のJDFに変更(または生成)された時点で代行処理先に送信しても構わない。
OKボタン191が押されることにより、MFP−2は印刷ジョブ受信状態になり操作パネルの表示も印刷ジョブの待ち受け画面となる。本願では、操作パネルはタッチパネルであり、操作パネル上に表示されるボタンは指で触れることによって押下されたと判断する。上記操作パネルの処理に関しては既知の技術であるので、本実施例では省略する。
一方、MFP−2のステップS28と同時にMFP−1にはステップS11にてMFP−1における操作指示をオペレータに表示している。上記を説明するのが図20である。
200はMFP−1における操作パネルであり、「インサートトレイにフェースダウンで原稿をセットして下さい」という指示が表示されている。つまり、MFP−1の操作パネルには、印刷後処理の対象となる印刷原稿をMFP−1の給紙部へ挿入するための挿入方法が表示されている。本処理を実行後に、オペレータがセット完了ボタン201をタッチすることでMFP−1は図20に表示した作業指示が実行されたと判断し、代行処理用のJDFに記載された内容に基づく印刷後処理を実行するための準備に入る。ここで、MFP−1は、次の処理実行、且つ次の処理指示表示を行う。また、オペレータがキャンセルボタン202をタッチするとMFP−1における印刷ジョブの代行処理実行がキャンセルされる。なお、MFP−1にセットされた印刷原稿と該印刷原稿に実行すべきJDF(EFM−1が受信した代行用のJDF)とを対応付ける方法の一例を説明する。
図29は、MFP−2によって排出された印刷原稿を示している。2900がMFP−2によって排出された印刷原稿の全体を示すものである。JDF識別原稿2901は印刷原稿の最上部などオペレータが認識しやすい位置に出力される。JDF識別原稿2901には、識別情報(バーコード)にてJDFを指し示す情報が記載されており、それ以外の記録媒体は印刷コンテンツデータとJDFに基づいて出力された印刷原稿の実態である。JDF識別原稿2901に記載の識別情報(図29ではバーコードが該当)は、ネットワークによってMFP−1に送信されたJDFと、該JDFから指し示されているコンテンツであるところの印刷原稿2900のリンクを取る為のものである。オペレータは、MFP−1にて印刷後処理を実行する際、まずJDF識別原稿2901に記載のバーコードをスキャン処理等によって認識させることにより、MFP−1にて印刷後処理すべき印刷原稿とMFP−1がEFM−2から受信したJDFとのリンクを取る。これにより、オペレータが印刷原稿をMFP−1にセットするのみで、MFP−1が有するインラインフィニッシャはEFM−2から送信されたJDFに記述される作業工程に基づいて印刷後処理を実行する。なお、このバーコードにおけるリンク処理に関しては、本発明の範囲外であり既に実施されている形態であるので、本実施れではこれ以上は説明を省略する。
図21に示す操作パネル210はMFP−1における操作パネルであり「フィニッシャでMFP−2から転送されたジョブの後処理を開始します。後処理の終了までは、フィニッシャはMFP−2のニアラインフィニッシャモードとして動作し、使用できません。MFP本体は使用可能であり、印刷処理はできます。」という指示が表示されている。代行処理の開始を指示するならば、開始ボタン211にタッチし、一つ前の画面である図20に戻るならば戻るボタン212にタッチする。
ここで、開始ボタン211を押すことにより、EFM−1が解釈した代行処理用のJDFに記載されて作業工程をMFP−1のMFP制御部に実行させるべく指示する。また、MFP−1において印刷後処理を代行する場合、MFP−1のインラインフィニッシャはニアラインフィニッシャモードに変更される。
図22は代行処理が終了後、MFP−1の操作パネルに表示される画面の例を示している。
MFP−1の操作パネル220には「MFP−2から転送されたジョブの後処理の代行を終了しました。MFP−2におけるフィニッシャのニアラインフィニッシャモード使用を終了し、インラインフィニッシャモードに戻します。」という情報が表示されている。ユーザがOKボタン221を押すことにより、MFP−1は印刷ジョブの終了がオペレータによって承認されたと見なし、ステップS13とS14の印刷ジョブ代行の終了処理を行う。つまり、MFP−1のインラインフィニッシャが代行処理用にニアラインフィニッシャモードに切り替えられている間は、上述したようにMFP−1本体95自体は、MFP−1に対して送信された印刷ジョブを処理することが可能であるが、インラインフィニッシャ97は使用できない。そのため、MFP−1にて実行可能な印刷ジョブは、PostPress処理を含まない印刷ジョブの処理に限られるが、代行処理が終了したことに応じて、インラインフィニッシャモードに切り替えられるため、MFP−1はPostPress処理を含む印刷ジョブも処理することが可能となる。
図23から図27までは、本実施例における本アイデアの印刷原稿の流れを印刷原稿の向きを中心に以下に示す。
本実施例においては包み製本を例にとって説明する。従来の例で説明した図8は、本実施例においても包み製本機能を持つインラインフィニッシャの断面図であり、図8で説明した印刷原稿の搬送路(パス)が通常の包み製本時の印刷原稿パスである。つまりMFP本体から出力された印刷原稿がフェースダウンで一旦一次トレイ86に蓄えられる。全印刷原稿が蓄え終わると一次トレイに蓄えられた印刷原稿が最終印刷原稿から糊付け処理部87へ搬送される。そして背の部分に糊がつけられる。糊付けされた原稿と表紙原稿が包み処理部89へ送られ、表紙原稿が糊付けされた原稿を包む。原稿をカッタ部8cへ搬送し、余分な箇所を断裁する。そしてブックレットホールド部8bへ搬送される。
先ず図23と図24と図25と図26を用いてMFP−2における印刷原稿の流れを説明する。
図23において、包み製本処理の指示された印刷ジョブを実行開始する。まず一次トレイにフェースダウンで描画データが印字された印刷原稿を送る。この印刷原稿が通る搬送路(パス)が(6)である。そして、EFM−2から印刷ジョブ処理中止が指示されると、最終印刷原稿+表紙原稿まで印刷処理を実行し、一次トレイに蓄える。そして出力すべき全印刷原稿が蓄え終わると、表紙原稿から原稿を反転させながら、スタックトレイに排紙する。この時の印刷原稿が通る搬送路(パス)が(7)である。
次に図23の印刷原稿パス(7)でスタックトレイに排紙された原稿を示すのが図24である。左側の“表示のみ排紙”の図は、表紙原稿240だけがスタックトレイにフェースアップで排紙された状態を示し、右側の“全原稿排紙済”の図は、表紙原稿240の上に本文原稿241がフェースアップで排紙されている状態を示している。そして未処理の残部数分の原稿に関してはサンプルトレイにフェースダウンで排紙される。
図25は上記フェースダウンでの排紙を説明し、印刷原稿は、搬送路(パス)(8)を通る。
図25の印刷原稿パス(8)でサンプルトレイに排紙された原稿を示すのが図26である。左側の“本文のみ排紙済”の図において、本文原稿260だけがサンプルトレイにフェースダウンで排紙された状態を示し、右側の“全原稿排紙済”の図は、表紙原稿2610が本文原稿260の上に261フェースダウンで排紙されている状態を示している。
次に図27を用いてMFP−1における代行処理の印刷原稿の流れを説明する。
オペレータは操作パネルの指示に従って、MFP−2のスタックトレイとサンプルトレイに排紙された原稿をMFP−1のインサートトレイ(給紙部)にフェースダウンでセットする。その後、EFM−1はEFM−2から代行処理用のJDFを受け取り、MFP−1におけるオペレータの指示により、包み製本処理を実行開始し、インサートトレイからフェースダウンでセットされた原稿を先頭頁から一次トレイに取り込む(原稿は反転させない)。この印刷原稿が通る搬送路(パス)を説明するのが図27であり、上記インサートトレイからの印刷原稿パスを示すのが(9)である。以降の印刷原稿パスに関しては、表紙がインサートトレイから送られることを除いて「通常の包み製本時の原稿の流れ」と同じである。
図27のような構成を有することにより、MFP−1は、MFP−1が有するインラインフィニッシャ97を用いて実行するインラインフィニッシャモードと、MFP−1と接続されているMFP−2にて処理すべき印刷後処理をMFP−1が有するインラインフィニッシャ97にて実行するニアラインフィニッシャモードを切り替えることができる。なお、ニアラインフィニッシャモードに切り替えられた場合、MFP本体―1とインラインフィニッシャ97をつなぐ紙班走路とは異なる給紙部(インサータ)から挿入(入力)された記録媒体に対して、受信した代行用のジョブチケットに基づく印刷後処理を実行することができる。図28は、図16のステップS5の処理である、本実施例におけるMFP−1においてEFM−1が、PostPress処理を代行できるかどうかを判定する処理を説明するフローチャートである。
ステップS40にてEFM−1は、印刷ジョブ処理のPostPress処理が代行できるかどうかを判定する処理が始める。
ステップS41にてEFM−1は、EFM−2へ代行処理の作業工程を記載したJDFをEFM−1へ送信するよう指示する。
ステップS42にてEFM−1は、EFM−2から代行を依頼したい作業工程が記述された代行処理用のJDFを受け取る。
ステップS43にてEFM−1は上記代行処理用のJDFに記載されたPostPress処理の各プロセスの機能をMFP−1で実行できるかどうかを判断する。詳細には、EFM−1は、MFP−1にて処理可能なPostPress処理について認識することが可能であり、受信した代行処理用のJDFを解釈し、該MFP−1にて処理可能なPostPress処理と比較することによりS43が実現される。
ステップS44ではステップS43で判断した結果が、PostPress処理の全作業内容を実行する機能をMFP−1が所持すると判断したならば、代行処理が可能であると判断し、所持しないと判断したならば代行処理は出来ないと判断する。
以上、本願発明では、印刷システム内において空いているMFP(処理待ちのMFP)が、該印刷システム内において印刷後処理が実行できない等により遅延の発生しているMFPを検出し、該遅延の発生しているMFPで処理中の印刷ジョブを受信し、代行処理することが可能となる。これにより、印刷後処理等が実行できないことによる処理遅延を防ぐことが可能となる。
また、MFP内にあるインラインフィニッシャが、印刷システム内のMFPの処理状況に応じてニアラインフィニッシャモードに変更されることにより、印刷システム内の資源(MFPが有する印刷後処理機能)を有効に活用することができ、印刷後処理が実行できないことによる処理遅延を防ぐことが可能となる。
本実施例では、EFM−1は代行可能性判定処理を行う毎にEFM−2からJDFを受け取り代行可能性を判定するように構成したが、EFM−1はシステムのスタートアップ時に、MFP−1はMFP−2のPostPress機能を全て所有するかどうかを判断しておき、全て所有するならば常に代行可能と自動的に判断する。また全て所有していないならば上記実施例の判断方法を実行する、様に構成しても構わない。
本実施例では、MFPとEFMがぞれぞれNIC部を持つように構成したが、NIC部を共有する構成にしても構わない。
また本実施例では、JDF内にはPrePress処理とPress処理とPostPress処理の3種類の処理が記録されるとしたが、その他の種類の作業工程が記録されても構わない。また、PrePress処理は、疎の内部処理としてはカラーコンバージョン処理や面付け処理など複数の処理の作業工程が記録されているとしても構わないし、その他の処理も同様であることは言うまでもない。
また、本実施例ではEFM−1で代行可能性を判断する処理を示したが、MISサーバでMFP−2で実行中の印刷ジョブをMFP−1で代行できるかを判断する構成にしても構わない。
また、本実施例ではEFM−1が、MFP−2で処理すべくスケジュールされている印刷ジョブであり、且つ処理開始時間が過ぎて処理が開始されていない印刷ジョブの有無を判定し、印刷ジョブの代行を行うことをEFM−1へ申請するように構成したが、印刷ジョブを処理中のMFP−2に搭載されているEFM−2が開始時間を過ぎてもMFP−2で処理開始されない印刷ジョブの有無を判定し、EFM−1へ印刷ジョブの代行をEFM−1へ依頼する構成にしても構わない。
また、本実施例ではEFM−2でEFM−1へ代行を依頼するためのJDFを作成するように構成したが、EFM−1は代行を依頼したい処理がPostPress処理であることだけをEFM−1へ通知する、つまりEFM−2は依頼した処理項目名称と現在処理中のJDFをそのままEFM−1へ送付し、EFM−2で印刷ジョブを代行する為のJDFを作成するような構成にしても構わない。
また、本発明によって、画像形成装置にネットワークを介して印刷システム内での処理待機中の印刷ジョブ情報に、ニアラインフィニッシャ装置の性能・使用状況・作業スケジュールを得ることができ、印刷ジョブが開始された後でも、それらの情報をもとにフィニッシング作業を代行させて作業効率アップを行う必要が有るかどうか、作業効率アップが可能かどうかを自動的に決定することができるので、更なる作業効率の向上が可能になる。
また更に、本発明によって、画像形成放置に既に原稿の印刷が開始された、処理中の印刷ジョブに対しても原稿の搬送先を製本処理機能部でなく排紙トレイに変更することができることによって、処理中の印刷ボックスから代行処理を開始することができ、更なる作業効率の向上が可能になる。
また更に、本発明によって、任意のタイミングで画像形成装置からネットワークに接続されている任意の画像形成装置のインラインフィニッシャ装置への代行処理が開始されても、システムからユーザに代行処理を行うこと、また代行を行う画像形成装置にインラインフィニッシャ装置名称、代行処理を行う手順を示すことができ、ユーザによる作業の操作ミスを減らすことが可能になる。
また更に、本発明によって、フィニッシャ装置に何らかの不具合が発生した場合でも、ネットワークに接続されている一つあるいは複数の画像形成装置のインラインフィニッシャ装置にフィニッシング作業を代行させることにより、印刷ジョブをエラーにして止めることなく継続でき、全体の作業効率を向上が可能になる。
なお、本発明は、上記形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記憶した記憶媒体(又は記録媒体)を、システム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成されることは云うまでもない。
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が上記実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているオペレーティングシステム(OS)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上記実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは云うまでもない。
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張カードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わる記憶媒体に書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張カードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは云うまでもない。
また、本発明は、上記実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードがネットワークを介して配信されることにより、システム又は装置のハードディスクやメモリ等の記憶手段又はCD−RW、CD−R等の記憶媒体に格納され、そのシステム又は装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が当該記憶手段や当該記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出して実行することによっても、達成されることは云うまでもない。