JP4761610B2 - 電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間に金属箔をバリア材として介在された外装フィルムで発電要素を封止した構造を有する電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やパーソナルコンピュータなど電子機器の進歩に伴い、これら機器に使用される電池は、小型化、軽量化、大容量化、高性能化、コストダウンが絶えず求められてきた。このため、電池においては、正極活物質や負極活物質など電極材料をよりエネルギー密度の高いものに変えたり、セパレータをより薄くしたり、電池の外装缶を鉄缶からアルミニウム缶に代えたりなど改善が図られてきた。
【0003】
しかし、これらの改善でもまだ満足なレベルに到達せず、更なる小型化、軽量化、大容量化、高性能化、コストダウンが求められ、最近では液状電解質、ゲル状電解質、または固体高分子電解質等を発電要素中に含ませ、アルミニウム箔をバリア材として中間に挟んだプラスチックラミネートフィルムからなる外装フィルムにより封止することで、薄型化、小型化、軽量化を図った薄型電池が市販されるようになり始めている。
【0004】
前記薄型電池は、具体的には正極および負極間セパレータを介在させ、正負極に外部リード端子をそれぞれ接続させた発電要素を外装フィルムに収納し、前記外装フィルムの開放した周辺部を熱シールして封止するととも、前記各外部リード端子と接着してそれら先端を前記外装フィルムの外部に延出させ、さらに電解液を前記外装フィルム内に収容した構造を有する。
【0005】
前記外装フィルムは、一般に電解液やガスの透過を防ぐことができる薄い、比重の小さいアルミニウム箔をバリア材として用い、このアルミニウム箔の両面に薄いポリマーフィルムを貼り合せたものからなる。外装フィルムの表面側は、機械的構造特性を発現するフィルムが配置される。また、外装フィルムの内層側または裏面には、ヒートシール性を有するフィルム(シーラントフィルム)が貼り合わされる。
【0006】
前記外装フィルム外側の有機樹脂フィルムとしては、代表的には配向されたポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリアミド(PA)フィルムが使われる。バリア材としては、一般にアルミニウム箔が使われる。前記外装フィルム内側のシーラントフィルムとしては、主に延伸されてないポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系フィルムが用いられている。
【0007】
しかしながら、前述した外装フィルムを用いる薄型電池では外装フィルム内側のシーラントフィルムと金属からなる外部リード端子との接着強度が低いため、外装フィルム内の電解液が外部リード端子と外装フィルムとの接着界面を通って外部に染み出す恐れがある。例えばフッ酸系の電解質を用いた場合、電解液が外部に染み出ると、電解液中の電解質が大気中の水分と反応してフッ酸を生じるため、外部リード端子の金属を腐食させ、断線事故に発展する恐れがあった。特に正極に使用されるアルミニウムはフッ酸と反応してAlF3・3H2O、AlF(OH)2、AlO(OH)等を生成し腐食する。また電解液の減少に伴い、電池の特性が低下する問題があった。
【0008】
一方、特開平10−312788号公報には電池外装の封止が発電要素の外装材の少なくとも一部を構成する高分子材料の接合により行われ、電極に結合して電極リードを封止部を通して外部に取り出す構造の扁平型電池において、前記接合前の前記電極リードがクロメート処理を施されている扁平型電池が開示されている。
【0009】
前記公報の段落番号[0007]には、「前記表面処理剤は、封止材と電極リードの接合を向上できるものであれば特に制限されるものではないが、例えば金属表面処理技術便覧pP734,金属表面技術協会編、に示されているようなリン酸亜鉛系処理、クロメート処理等を例示できるが、封止材との接合を最も高くすることができるクロメート処理が最も好ましい。クロメート処理としてはアルカリ−クロム酸塩系、クロム酸塩系、リン酸−クロム酸塩系が例示できるが、特に促進型クロム酸塩系の処理が封止材との接合が最も高く好ましい。」と記載されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報の記載のようにアルミニウムからなる正極リードをクロメート処理すると、その表面にはクロムを含有する皮膜が生成される。このようなクロムを含む皮膜は、正極リードの導電性を低下させる虞がある。また、クロメート処理により生成された皮膜は表面が平滑であるため、前記電極リードと前記封止材との接合強度を必ずしも十分に向上させることが困難になる。
【0011】
本発明は、発電要素に接続されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる正極側の外部リード端子と外装フィルムとの密着性を高めて封止性を向上した電池を提供しようとするものである。
【0012】
本発明は、発電要素に接続されたアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる正極側の外部リード端子と外装フィルムとの密着性をより一層高めて封止性を向上した電池を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る電池は、正極と、負極と、これら正負極間に介在されたセパレータと、前記正負極にそれぞれ電気的に接続された外部リード端子とを有する発電要素を備え、この発電要素を外装フィルムに収納し、前記外装フィルムの開放した周辺部を封止するとともに、前記各外部リード端子と前記外装フィルムとを接着してそれら外部リード端子の先端を前記外装フィルムの外部に延出させた構造の電池において、
前記正極側の外部リード端子は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ少なくとも前記外装フィルムで封止される前記正極側の外部リード端子の全周面は重クロム酸ナトリウム:硫酸:水の質量比が2:20:100〜3:30:100で温度が60〜70℃の水溶液中に浸漬する表面処理により形成された、算術平均表面粗さ(Ra)が0.0014〜0.0017μm、表面の十点平均表面粗さ(Rz)が0.0060〜0.0080μm、および表面粗さの最大高さ(Ry)が0.0090〜0.0120である多孔質のアルミナ膜を有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係る電池において、前記多孔質のアルミナ膜は、表面から内部に亘ってその表面に対して垂直方向に延びる網目状突起を有することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる電池(例えば薄型非水電解液二次電池)を図1、図2を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、薄型非水電解液二次電池を示す斜視図、図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【0017】
発電要素1は、図1,図2に示すように例えば活物質および結着剤を含む正極活物質層2が集電体3の両面に担持された正極4とセパレータ5と活物質および結着剤を含む負極活物質層6が集電体7の両面に担持された負極8とセパレータ5とを渦巻状に捲回し、さらに成形した扁平で矩形状をなす。前記正負極4,8に接続された外部リード端子9,10は、それぞれ前記発電要素1の同一側面から外部に延出されている。これら外部リード端子のうち、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる正極側の外部リード端子9は後述する外装フィルムと接触する全周面に化学的処理により多孔質のアルミナ膜が形成されている。
【0018】
前記発電要素1は、図1に示すように例えば2つ折りのカップ型外装フィルム11のカップ12内にその折曲げ部が前記発電要素1の前記外部リード端子9,10が延出された側面と反対側の側面側に位置するように包み込まれている。この外装フィルム11は、図2に示すように内面側に位置するシーラントフィルム13、アルミニウムまたはアルミニウム合金の箔14および剛性を有する有機樹脂フィルム15をこの順序で積層した構造を有する。前記外装フィルム11における前記折り曲げ部を除く前記発電要素1の2つの長側面および1つの短側面に対応する3つの側部は、前記シーラントフィルム13同士を熱シールして水平方向に延出したシール部16a,16b,16cが形成され、これらのシール部16a,16b,16cにより前記発電要素1を封口している。前記発電要素1の正負極4,8に接続された外部端子9,10は、前記折り曲げ部と反対側のシール部16bを通して外部に延出されている。前記発電要素1内部および前記シール部16a,16b,16cで封口された前記外装フィルム11内には、非水電解液が含浸・収容されている。
【0019】
次に、前記正極4、セパレータ5、負極8、非水電解液、外部リード端子9,10および外装フィルム11を説明する。
【0020】
前記正極4は、例えば集電体3の両面に活物質および結着剤を含む正極活物質層2を担持した構造を有する。なお、正極は集電体の片面に正極活物質層を担持させた構造であってもよい。
【0021】
前記集電体としては、例えばアルミニウム、ニッケルまたはステンレスの板、アルミニウム、ニッケルまたはステンレスのメッシュ等を挙げることができる。
【0022】
前記活物質としては、エネルギー密度の高いリチウム複合酸化物が好ましい。具体的には、LiCoO2、LiNiO2、LixNiyCo1-yO2(ただし、x、yは、電池の充電状態で異なり、通常は0<x<1、0.7<y<1.0である。)、LixCoySnzO2(ただし、x、y、zは各々0.05≦x≦1.10、0.85≦y≦1.00、0.001≦z≦0.10の数を表す。)が挙げられる。リチウム複合酸化物は、リチウムの炭酸塩、硝酸塩、酸化物あるいは水酸化物と、コバルト、マンガンあるいはニッケル等の炭酸塩、硝酸塩、酸化物あるいは水酸化物とを所定の組成で混合粉砕し、酸素雰囲気下で600〜1000℃の温度で焼成することにより得ることができる。中でも、LixCoySnzO2(ただし、x、y、zは各々0.05≦x≦1.10、0.85≦y≦1.00、0.001≦z≦0.10の数を表す。)は、少量のSnの添加によりリチウム含有化合物の粒径が小さくて均一になるので、サイクル特性の優れた電池が得られる。0.001≦z≦0.10としたのは、zを0.001未満にすると、粒径を十分に制御することが困難になる。一方、zが0.1を超えると、容量が小さくなるためである。
【0023】
前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等を用いることができる。
【0024】
前記正極活物質層には、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等の導電剤を含有することを許容する。
【0025】
前記セパレータ5としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体からなる微多孔性膜またはこれら材料の繊維を有する織布、不織布により作られる。
【0026】
前記負極8は、集電体7の両面に活物質および結着剤を含む負極活物質層6を担持した構造を有する。なお、負極は集電体の片面に負極活物質層を担持させた構造であってもよい。
【0027】
前記集電体としては、例えば銅、ニッケルの板またはメッシュ等を挙げることができる。
【0028】
前記活物質は、リチウムをドープ・脱ドープできるものであればよく、例えばグラファイト類、コークス類(石油コークス、ピッチコークス、ニードルコークス等)、熱分解炭素類、有機高分子化合物の焼成体(フェノール樹脂等を適切な温度で焼成し、炭化したもの)あるいは金属リチウム、ポリアセチレン、ポリピロール等があげられる。
【0029】
前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオロライド、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロース等の結着剤を含有することが好ましい。
【0030】
前記非水電解液は、電解質を非水溶媒で溶解した組成を有する。
【0031】
電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、六フッ化燐酸リチウム(LiPF6)、六フッ化砒素酸リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、LiN(CF3SO2)2、リチウムビス[5−フルオロ−2オラト−1−ベンゼン−スルホナト(2−)]ボレート等を用いることができる。
【0032】
非水溶媒としては、例えばγ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、アニソール、酢酸エステル、プロピオン酸エステル等を用いることができ、2種類以上混合して使用してもよい。
【0033】
前記非水溶媒中の前記電解質の濃度は、0.5モル/L以上にすることが好ましい。
【0034】
特に、発電要素中の電解液として、高粘度であるほど電解液の染み出しは起きにくいが、高粘度になると一般に低温での容量低下が大きくなる。エチレンカーボネート(以下ECという)、γ−ブチロラクトン(γ−BLという)およびLiBF4からなる電解液は比較的高粘度でありながら、低温での放電特性が優れているため、電解液の染み出しがし難い電池とすることができる。ECは、γ−BLに比べ粘度が高く、低温で容量が小さくなる。そのため、ECが多いほど電解液の染み出しが起きにくくなるが、低温特性が悪化する。逆に、γ−BLが多いほど低温特性が良くなるが、電解液の染み出しが起き易くなる。また、γ−BLは高温で負極炭素と反応し易く、高温での容量低下が大きくなる。そのため、EC/γ−BLの配合比は2/1〜1/5(体積比)が良い。また、サイクル性を改善するために、例えば、ビニレンカーボネート、カテコールカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種以上の添加剤を少量(0.2〜10重量%)添加してもよい。これら添加剤を加えることにより、負極表面に安定な固体電解質界面(SEI)が形成され、充放電の繰り返しによるサイクル劣化や高温放電による容量低下が起きにくくなるためである。0.2重量%未満ではこの効果を十分に発現できず、一方10重量%を超えると過剰の添加剤により安定なSEI膜の形成が妨げられ、膜重量当たりのエネルギー密度が下がる恐れがある。なお、LiBF4の添加量は溶媒総量に対して0.75〜2モル/Lにすることが好ましい。0.75モル/L未満では所望の大きな容量が得られなくなる恐れがある。一方、2モル/Lを超えるとサイクル劣化が起き易く、電解液が高価になる恐れがある。
【0035】
前記電解液の他に、電解液を含浸させた高分子ゲル電解質、または溶媒を含まない全固体型高分子固体電解質でもよい。
【0036】
前記高分子ゲル電解質として用いる高分子としては特に限定するものではないが、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、フッ素系樹脂等があげられる。
【0037】
前記外部リード端子の材料は、正極がアルミニウム、負極がニッケル、銅などが挙げられる。ここで、アルミニウムと銅は電解液により腐食し易く、ニッケルは腐食し難いため、外部リード端子の材料としてはニッケルが好適である。しかしながら、正極側の外部リード端子の材料として銅やニッケルを用いると、電解液に溶出する。また、チタンやステンレスのSUS2942は電解液に溶出しないが、これら金属は電池のインピーダンスが高くなるため、適当でない。
【0038】
したがって、正極側の外部リード端子材料としてはアルミニウムやアルミニウム合金を使用せざるを得ない。
【0039】
また、負極側の外部リード端子材料としては前述した理由でニッケルを用いることが好ましい。ニッケルは電解液による腐食が起き難いため、薬液による表面処理を施さない負極側の外部リード端子を用いてもよい。もちろん、負極リード端子も薬液による表面処理をしてより信頼性の高い電池としても良い。
【0040】
前記アルミニウムおよびアルミニウム合金からなる正極側の外部リード端子の外装フィルムと接触する全周面には、化学的処理により多孔質のアルミナ膜が形成されている。このアルミナ膜の厚さは、10〜100nmにすることが望ましい。
【0041】
前記多孔質のアルミナ膜は、表面から内部に亘ってその表面に対して垂直方向に延びる大きな網目状突起を有し、かつこの網目状突起の内部にその表面に対して垂直方向に延びる小さな網目状突起を有することが好ましい。特に、前記大きな網目状突起は、網目の平均直径が0.1〜5μmで、その高さが前記小さな網目状突起と同等もしくはそれより高く、かつ前記小さな網目状突起は網目の平均直径が3〜100nm、網の肉厚が1〜20nmで、かつその高さが10〜70nmであることが好ましい。前記多孔質のアルミナ膜は、その基部において結晶質のアルミナであるものの、前記大小の網目状突起は非晶質のアルミナであることが好ましい。
【0042】
前記多孔質のアルミナ膜は、次のような表面粗さを有することが好ましい。
【0043】
(1)算術平均表面粗さ(Ra)が0.0014〜0.0017μmである多孔質のアルミナ膜。
【0044】
(2)表面の十点平均表面粗さ(Rz)が0.0060〜0.0080μmである多孔質のアルミナ膜。
【0045】
(3)表面粗さの最大高さ(Ry)0.0090〜0.0120である多孔質のアルミナ膜。
【0046】
このような表面粗さを有する多孔質のアルミナ膜は、大小の網目状突起を有する構造、特にそれら大小の網目状突起における網目の平均直径がそれぞれ0.1〜5μm、5〜100nmの構造において実現される。
【0047】
前記化学処理方法としては、前記正極側の外部リード端子を重クロム酸ナトリウムおよび硫酸からなる水溶液中に浸漬する表面処理が挙げられる。特に、この水溶液は、重クロム酸ナトリウム:硫酸:水の質量比が2:20:100〜3:30:100で温度が60〜70℃のものを用いることが好ましい。このような組成および温度の水溶液で前記正極側の外部リード端子を表面処理することによって、重クロム酸ナトリウムに由来するクロム成分を含まず、前述した表面から内部に亘ってその表面に対して垂直方向に延びる大きな網目状突起を有し、かつこの網目状突起の内部にその表面に対して垂直方向に延びる小さな網目状突起を有する多孔質のアルミナ膜を前記外部リード端子の表面に形成することが可能になる。
【0048】
また、前記表面処理により前記正極側外部リード端子の表面に純水との接触角が40゜以下の多孔質のアルミナ膜を形成することが可能になる。
【0049】
前記外装フィルム11のシーラントフィルムは、シーラントフィルム同士や、シーラントフィルムと外部リード端子間、シーラントフィルムと後述する接着性絶縁フィルムとを熱圧着することにより発電要素を封止するものである。このシーラントフィルムは、電解液に溶解したり、膨潤したりしない無延伸のフイルムが好ましい。例えば、延伸していないポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系ポリマー、エチレン・酢酸ビニル(EVA)共重合体、アイオノマー(IO)、ポリアミド(PA)、ナイロン(Ny)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン・ビニルアルコール(EVOH)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・メタクリル酸共重合体(EMMA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・メチルメタクリレート共重合体(EMMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、ポリメチルペンテン(PMP)等からなる樹脂フィルムを用いることができる。特に、金属との接着性を増すために、これら樹脂を酸変性したものが好ましい。例えば、これら樹脂をベースポリマーにして、無水マレイン酸等の酸無水物をグラフト重合させたものを挙げることができる。
【0050】
前記シーラントフィルムは、電池を小型、軽量化する観点から、できるだけ厚さを薄くすることが望ましいが、正負極の外部リード端子回りに十分シーラント樹脂を回り込ませるために、十分な厚さを確保する必要がある。このため、シーラントフィルムの厚さは、後述する接着性絶縁フィルムを使用しない場合は、正負極の外部リード端子の厚さをDとすると、D/2〜Dにすることが好ましい。また、後述する接着性絶縁フィルムを用いる場合、シーラントフィルムの厚さは、正負極の外部リード端子の厚さをDとすると、D/7〜Dにすることが好ましい。
【0051】
前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の箔は、電解液やガスの透過を防ぐバリアとして作用をなす。
【0052】
前記外装フィルムの剛性を有する有機樹脂フィルムは、前記アルミニウムまたはアルミニウム合金の箔を保護し、かつ電池の機械的構造特性を維持する機能を持つ。この有機樹脂フィルムとしては、例えばポリマーを配向させるために二軸延伸したポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、およびこれらのポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートフィルムが使用できる。
【0053】
本発明に係る電池において、図3に示すように前記正負極の外部リード端子9,10と前記外装フィルム11のシーラントフィルム13との間に接着性絶縁フィルム17を介在させることを許容する。
【0054】
前記接着性絶縁フィルムとしては、シーラントと同等の特性、成形性を備えつつ、外部リード端子の金属と外装フィルムのシーラントフィルムとの接着性が良好な融点が115〜175℃の有機ポリマーを用いればよい。具体的には、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂を酸変性したもの、例えばポリオレフィン樹脂に酸無水物を数%付加したものが好ましく、特にポリプロピレンに無水マレイン酸を数%グラフト化することによって得られるフィルム(以下マレイン化PPフィルムという)が好ましい。
【0055】
前記接着性絶縁フィルムの厚さは、前記外部リード端子の厚さの1/2以上にすることが好ましい。
【0056】
なお、前記接着性絶縁フィルムは外装フィルムのシール部の端部から0.1〜5mm外側にはみ出すように前記正負極の外部リード端子と前記外装フィルムとの間に介在させることが好ましい。このような状態で接着性絶縁フィルムを介在することによって、外装フィルムの中間に配置されるアルミニウムまたはアルミニウム合金の箔と外部リード端子との距離(絶縁距離)を長くできるため、前記箔を通して正極と負極とが短絡するのを防止できる。また、前記接着性絶縁フィルムにより外部リード端子の曲げ応力を緩和できるため、外装フィルム端部での外部リード端子の曲げの繰り返しによる破断を抑制できる効果も発揮できる。前記接着性絶縁フィルムのはみ出し長さを0.1mm未満にすると、絶縁距離の延長効果を十分に発揮することが困難になる。一方、前記接着性絶縁フィルムのはみ出し長さが5mmを超えると電池をパック化する際に邪魔になる恐れがある。
【0057】
前記接着性絶縁フィルムとシーラントフィルムは、異なっていてもよいが、同一系統のもの、さらには全く同一材料のものを用いると、正負極の外部リード端子回りが均質で信頼性の高い封止構造を実現できる。
【0058】
次に、前述した薄型非水電解液二次電池の製造方法を説明する。
【0059】
まず、活物質および結着剤を含む正極活物質層が例えば集電体両面に担持された正極、セパレータ、活物質および結着剤を含む負極活物質層が例えば集電体両面に担持された負極およびセパレータを渦巻状に捲回してほぼ円筒状の発電要素を作製する。なお、この捲回時に正負極に外部リード端子を例えば溶接により接続する。
【0060】
次いで、得られた円筒状の発電要素を成形して扁平状にする。つづいて、前記発電要素の長辺より僅かに長く、かつその短辺の例えば2倍の長さの寸法を有する二つ折りのカップ型外装フィルム素材を用意し、図4に示すようにこの外装フィルム素材18のカップ12内に前記扁平状の発電要素1をその外部リード端子9,10と反対側の側面が前記素材の折り曲げ部に位置するように収納する。この時、必要に応じて前記外装フィルム素材と前記外部リード端子との接触部分に接着性絶縁フィルムとを介在させてもよい。ひきつづき、前記発電要素1の長辺に対応する前記素材18の左端部および前記外部リード端子9,10の延出側に対応する前記素材18の端部を熱シールしてシール部を形成する。その後、非水電解液を前記外装フィルム素材の未シール部を通して注液し、未シール部を熱シールし、余分な外装フィルム素材を裁断除去することにより前述した図1に示す薄型非水電解液二次電池を製造する。
【0061】
前記外装フィルム素材の熱シールは、シーラントフィルムや接着性絶縁フィルムの材質に応じた温度に加熱することによりなされる。例えば、その材質がポリプロピレン系である場合には180℃〜240℃で行うことにより、外装フィルム素材のナイロンのような外側フィルムが熱シール時に用いるプレスヘッドに溶着することなく、外部リード端子とシーラントフィルムおよびシーラントフィルム同士の接着を完全に行え、電解液の染み出しのない十分な封止ができる。熱シール温度を180℃未満にすると、シーラントフィルムや接着性絶縁フィルムが十分溶融せず、十分な熱シールを行なうことが困難になる。一方、熱シール温度が240℃を超えるとシーラントフィルムや接着性絶縁フィルムの流れが大きくなりすぎ、外装フィルムがプレスヘッドに溶着したり、また外装フィルムの樹脂系フィルムの溶融が生じる恐れがある。一方、シーラントフィルムや接着性絶縁フィルムの材質がポリエチレン系である場合には、熱シール温度を150〜160℃の比較的低温で行っても良好な封止が可能である。
【0062】
なお、前述した図1および図2に示す薄型非水電解液二次電池は正極、セパレータおよび負極を捲回し、成形により扁平状にした発電要素を用いたが、正極、セパレータおよび負極を積層した構造の発電要素を用いてもよい。
【0063】
また、前記外装フィルムは、カップ型に限らず、パウチ、ピロー構造のものを用いてもよい。
【0064】
以上説明したように、本発明の電池は正極と、負極と、これら正負極間に介在されたセパレータと、前記正負極にそれぞれ電気的に接続された外部リード端子とを有する発電要素を備え、この発電要素を外装フィルムに収納し、前記外装フィルムの開放した周辺部を熱シールして封止するととも、前記各外部リード端子と接着してそれら先端を前記外装フィルムの外部に延出させた構造の電池において、前記正極側の外部リード端子がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ少なくとも前記外装フィルムで封止される前記正極側の外部リード端子の全周面は表面の化学的処理により形成された多孔質のアルミナ膜を有する。
【0065】
このような構成によれば、正極側の外部リード端子における少なくとも前記外装フィルムと接触する全周面には多孔質のアルミナ膜が形成されているため、前記外装フィルムのシール部において前記外部リード端子と外装フィルムのシーラントフィルムとの間の接着強度を向上でき、前記外装フィルム内部の発電要素、電解液を良好に封止して、その内部の水分量を300ppm以下に抑えることができる。その結果、前記外部リード端子が延出された前記外装フィルムのシール部から電解液が染み出すのを防止できるため、外部リード端子の腐食を防止できるとともに、高性能の電池を得ることができる。
【0066】
また、表面から内部に亘ってその表面に対して垂直方向に延びる大きな網目状突起を有し、かつこの網目状突起の内部にその表面に対して垂直方向に延びる小さな網目状突起を有する多孔質のアルミナ膜を前記正極側の外部リードの少なくとも前記外装フィルムと接触する全周面に形成すれば、前記アルミナ膜表面の優れたアンカー効果により前記外装フィルムのシール部において前記外部リード端子と外装フィルムのシーラントフィルムとの間の接着強度をより一層向上することができる。特に、前記大きな網目状突起が平均直径0.1〜5μmの網目を有するとともに、前記小さな網目状突起と同等もしくはそれより高い高さを有し、前記小さな網目状突起が平均直径5〜100nmの網目、1〜20nmの網の肉厚および10〜70nmの高さを有する多孔質のアルミナ膜を前記正極側の外部リードの少なくとも前記外装フィルムと接触する全周面に形成すれば、前記アルミナ膜表面の優れたアンカー効果により前記外装フィルムのシール部において前記外部リード端子と外装フィルムのシーラントフィルムとの間の接着強度をさらに一層向上することができる。
【0067】
さらに、前記(1)〜(3)に示す表面粗さを有する多孔質のアルミナ膜を前記正極側の外部リードの少なくとも前記外装フィルムと接触する全周面に形成すれば、前記アルミナ膜表面の優れたアンカー効果により前記外装フィルムのシール部において前記外部リード端子と外装フィルムのシーラントフィルムとの間の接着強度をより一層向上することができる。
【0068】
なお、表面処理としては薬液による化学的処理と、外部リード端子に粒子を衝突させて表面を荒らすブラスト処理などの物理的処理があるが、本発明のように薬液(例えば重クロム酸ナトリウムおよび硫酸からなる水溶液)による化学的処理により多孔質のアルミナ膜を形成することが最適である。これは、外装フィルムを熱圧着する際、外装フィルムのシーラントフィルムや接着性絶縁フィルムの溶融物の粘度が高いため、物理的処理で形成された粗い面では外部リード端子の金属表面全体を濡らすことが難しいためである。
【0069】
また、正負極の外部リード端子のように薄い金属板を物理的に表面処理する場合、広幅の面は処理が可能であるが、短冊状のリード端子では厚さ方向の断面に粒子をぶつけることが容易でなく、処理そのものが困難である。これに対し、本発明のような薬液による化学的処理によれば、外部リード端子のように厚さが薄くて断面が小さいものにも、全周にわたって均一な多孔質の酸化膜を形成することが可能になる。また、表面の凹凸は既述したように高々数百nmオーダーであり、活性な界面を形成するため、前記シーラントフィルムの溶融物との濡れ性が良好で、外部リード端子に対して強固な接着構造を得ることができる。
【0070】
さらに、前記正負極の外部リード端子と前記外装フィルムとの間に接着性絶縁フィルムを介在することにより、熱圧着した際に外装フィルムのシーラントフィルムと外部リード端子とを直接接着させた場合に比べて外部リード端子回りへの接着性絶縁フィルムの溶融物の回り込み性が良好になるため、外部リード端子周囲に空隙部分が生じるのを防ぐことができる。その結果、外部リード端子に外装フィルムをより一層強固に密着できるため、電解液の漏れに起因する外部リード端子の腐食や電池性能の低下を防止できる。
【0071】
特に、接着性絶縁フィルムの融点を115〜175℃にし、封止時のプレスヘッドの温度をこれより高く設定することにより、外装フィルムの内面に位置するシーラントフィルムだけではその溶融物が流れ込めない大きな間隙にも、容易に溶融物を流れ込ませて封止をより完全に行えるため、電解液の染み出しを防止したより一層信頼性の高い電池を提供できる。
【0072】
なお、シーラントフィルムのみで大きな空隙を埋めるには、シーラントフィルムを厚くしなければならず、その結果外装フィルムが厚くなって電池の薄型・軽量化を図るのに不利になる。また、正負極の外部リード端子の封止を十分行うために、大きな荷重で加熱加圧すると、シーラントフィルムが流れ過ぎ、シーラントフィルムの薄くなりすぎて、正負極の外部リード端子と外装フィルムのアルミニウムまたはアルミニウム合金の箔と接触し、短絡が起きる。本発明のように前記正負極の外部リード端子と前記外装フィルムとの間に接着性絶縁フィルムを介在することによって前記欠点を解消することができる。
【0073】
【実施例】
以下、本発明に係る実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
【0074】
(実施例1)
<正極の作製>
正極活物質として平均粒径3μmのLiCoSn0.02O289重量部、導電フィラーとしてグラファイト(ロンザ社製KS6)6重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(呉羽化学社製商品名;#1100)3重量部を溶剤であるN−メチルピロリドン25重量部に加え、均一せん断攪拌した後、ビーズミルを用いて分散して正極スラリーを調製した。このスラリーの見掛けの粘度は、7500mPa・sであった。つづいて、この正極スラリーを集電体である厚さ20μmの帯状アルミニウム箔の両面に均一に塗付し、溶剤を乾燥させ、さらにロールプレス機で加圧成形した。得られた正極原反を所定の大きさに切断することで、帯状の正極を作製した。この正極の集電体の一端に正極側のアルミニウム製外部リード端子を溶接により取り付けた。この外部リード端子は、厚さ0.1mm、幅5mm、長さ50mmのアルミニウム板(JIS H 4160の1N30材)を、温度65℃、重クロム酸ナトリウム/硫酸/水が質量比で2.5/25/100の水溶液中に20分浸漬した後、水洗し乾燥する化学的処理により表面に多孔質のアルミナ膜が形成された構成を有する。
【0075】
<負極の作製>
カルボキシメチルセルロース1.5重量部に鱗片状黒鉛50重量部を分散し、カーボンのマスターバッチ塗料を作製した。この分散液に繊維状炭素材を50重量部添加し同様にせん断分散し、更にスチレンブタジエンゴムラテックス2.4重量部を添加し均一混合攪拌し、負極スラリーを調製した。このスラリーの見掛けの粘度は、4500mPa・sであった。つづいて、この負極スラリーを集電体である厚さ10μmの帯状の銅箔の両面に均一に塗布し、溶剤を乾燥させ、さらにロールプレス機で加圧成形した。得られた負極原反を、所定の大きさに切断することで帯状の負極8を作製した。この負極の集電体の一端に厚さ0.1mm、幅5mm、長さ50mmのニッケル製外部リード端子を溶接により取り付けた。
【0076】
次いで、前記帯状の正極と帯状の負極を厚さが25μm、気孔率が40%、透気度が500sec/100ccポリエチレン製微多孔膜からなるセパレータを介して、正極/セパレータ/負極/セパレータの順序に積層し、断面楕円形状の巻芯で渦巻状に捲回し、さらに油圧式プレスで圧縮し、成形して扁平状の発電要素を作製した。
【0077】
次いで、厚さ25μmの延伸ナイロンフィルムと厚さ40μmのアルミニウム箔(JIS H 4160の8079材)と厚さ70μmのマレイン化PPフィルム(シーラントフィルム)とをこの順序でウレタン系接着剤を介して積層・接着した外装フィルム素材に前記マレイン化PPフィルム側から成形パンチおよび成形ダイを用いて加熱押圧して、カップを形成した。なお、前記マレイン化PPフィルムの融点は138℃である。つづいて、これを短冊状に切断し、マレイン化PPフィルム面が内側で対向するように、外装フィルム素材のカップの短辺側成形端で、180゜折り曲げた。前述した図4に示すように外装フィルム素材18のカップ12内に前記方法で作製し、60℃で予め真空加熱乾燥し、水分を300ppm以下になるよう除去した偏平状の発電要素1を正負極の外部リード端子9,10が外装フィルム素材18の外部へ突き出すように収納した。この状態で210℃に加熱したプレスヘッド(図示せず)により、4秒間加圧し正負極の外部リード端子9.10とマレイン化PPフィルム、およびマレイン化PPフィルム同士を接着させてシール部16bを形成した。正負極の外部リード端子9,10が存在しない外装フィルム素材18の長辺側の部分も210℃に加熱したプレスヘッド(図示せず)により、4秒間加圧し、マレイン化PPフィルム同士を接着してシール部16aを形成した。これらの熱シール順序は、同時でも、とちらかを先にしても構わない。
【0078】
外装フィルム素材18の開放された長辺側部分を通して、電解液を真空下で注入・含浸させた。この電解液としては、EC/γ−BL=1/3(体積比)の溶媒に対してLiBF4を1.5モル/Lとなるよう添加し、さらにビニレンカーボネートを0.5重量%添加したものを用いた。その後、未シール部を210℃に加熱したプレスヘッド(図示せず)により、4秒間加圧し、マレイン化PPフィルム同士を接着してシール部16cを形成し、余分な外装フィルム素材部分を裁断除去することにより前述した図1および図2に示す外寸法が厚さ3.6mm、幅35mm、高さ62mmで、容量が530mAh(0.2C放電)の薄型電池を製造した。
【0079】
(比較例1)
正極側の外部リード端子として、厚さ0.1mm、幅5mm、長さ50mmの未処理のアルミニウム板(JIS H 4160の1N30材)を用いた以外、実施例1と同様な薄型電池を製造した。
【0080】
(比較例2)
正極側の外部リード端子として、厚さ0.1mm、幅500mm、長さ50mmのアルミニウム板(JIS H 4160の1N30材)に平均粒径が37μmのアルミナの粉末をエアガンを用いて噴射し、表面を荒らした後、幅5mm、長さ50mmに切断したものを用いた以外、実施例1と同様な薄型電池を製造した。
【0081】
(比較例3)
正極側の外部リード端子として、厚さ0.1mm、幅5mm、長さ50mmのアルミニウム板(JIS H 4160の1N30材)を50℃で10分間脱脂処理した後、水1Lにケイフッ化ソーダ(Na2SiF6)を主成分とするクロメート用添加剤(ケミコート社製商品名;ケミコートNo.931E)3g、無水クロム酸3gを溶解させた溶液に25℃で2分間浸漬し、水洗、乾燥したものを用いた以外、実施例1と同様な薄型電池を製造した。
【0082】
以下の試験により実施例1および比較例1〜3で用いた正極側外部リード端子の性状および薄型電池の特性を評価した。
【0083】
(1)正極側外部リード端子の表面の成分分析
実施例1で用いた正極側外部リード端子(薬液処理)から取り出したサンプルおよび前記外部リード端子をアルゴンスバッタにより表面から約30nmの内部を露出させた後に取り出したサンプルについてオージェ電子分光分析した。その結果を図5および図6に示す。なお、オージェ電子分光分析は次のような条件で行った。
【0084】
<条件>
・サンプル;外部リード端子から切出した幅4mm、長さ5mm、厚さ0.1mmのもの、
・オージェ電子分光装置;PHTSICAL-ELECTRONICS社製 PHI-680型、
・電子銃;加速電圧5kV,サンプル電流約20nA、
・電子銃からの入射条件(チルト角);30°、
・サンプルの測定領域;約20μm角、
・エネルギー領域;20〜1520eV。
【0085】
また、比較例1で用いた薬液処理を施さない外部リード端子から切出した幅4mm、長さ5mm、厚さ0.1mmのサンプルについて、同様な条件でオージェ電子分光分析した結果を図7に示す。
【0086】
さらに、比較例3で用いたクロメート処理を施した外部リード端子から切出した幅4mm、長さ5mm、厚さ0.1mmのサンプルについて、同様な条件でオージェ電子分光分析した結果を図8に示す。
【0087】
前記オージェ電子分光分析結果から明らかなように本実施例1のようにアルミニウムからなる外部リード端子を重クロム酸ナトリウム/硫酸/水が所定の質量比で含む水溶液(薬液)で処理したサンプル(図5)はアルミナの生成に起因するAl,Oが検出されるものの、比較例1で用いた薬液未処理のアルミニウムからなる外部リード端子(図7)と同様、クロム(Cr)が全く検出されないことがわかる。また、本実施例1の薬液処理後の外部リード端子をアルゴンスパッタした後のサンプル(図6)は検出されるOの量、つまりアルミナ量が少なくなり、その分、素地のアルミニウムが多く占めるようになることがわかる。
【0088】
これに対し、比較例3のようにアルミニウムからなる外部リード端子をクロメート処理したサンプル(図8)は、クロム(Cr)成分が検出され、その表面の皮膜中にCrが含有されていることがわかる。
【0089】
このように本実施例1のようにアルミニウムからなる外部リード端子を重クロム酸ナトリウム/硫酸/水が所定の質量比で含む水溶液(薬液)で処理したサンプルのオージェ電子分光分析においてCrが検出されないのは、前記薬液とアルミニウムとの反応が下記式のように進行することに起因するものと考えられる。
【0090】
Cr2O7 2-+14H++2Al→2Cr3++2Al3++7H2O
すなわち、6価のCrが3価のCrに還元されることにより、Alが酸化され、アルミナが生成される。この反応では、比較例3のクロメート処理のようにアルミニウムからなる外部リード端子表面にCr化合物が生成されない。
【0091】
(2)正極側外部リード端子の表面組織分析
実施例1で用いた正極側外部リード端子の表面を電子顕微鏡(SEM)[加速電圧20kV]で撮影した。その結果、図9に示すSEM写真(50,000倍;表面に対して垂直方向から撮影)、図10に示すSEM写真(200,000倍;表面に対して垂直方向から撮影)および図11に示すSEM写真(200,000倍;表面に対して75°の角度から撮影)が得られた。また、同正極側外部リード端子の表面を透過形電子顕微(TEM)[加速電圧300kV]で撮影した。その結果、図12に示すTEM写真(10,000倍;表面に対して垂直方向から撮影)、図13に示すTEM写真(100,000倍;表面に対して垂直方向から撮影)が得られた。
【0092】
これらの図9〜図13から明らかなように本実施例1に用いた外部リード端子の表面(多孔質のアルミナ膜)は、表面から内部に亘ってその表面に対して垂直方向に延びる大きな網目状突起(図9および図12図示)を有し、かつこの網目状突起の内部にその表面に対して垂直方向に延びる小さな網目状突起を有することがわかる。前記大きな網目状突起は、網目の直径が0.3〜1.5μmで、前記小さな網目状突起とほぼ同等の高さを有していた。前記小さな網目状突起は、網目の直径が10〜30nm、網の肉厚が約3nmで、かつその高さが30〜70nmである。
【0093】
また、高分解能観察の結果、多孔質のアルミナ膜の基部部分ではアルミナの結晶構造を示す格子像を観察したものの、前記網目状突起部分では格子が観察されず、この網目状突起部分は非晶質のアルミナからなることが推定される。
【0094】
なお、比較例1の未処理の正極側外部リード端子、比較例2のブラスト処理した正極側外部リード端子および比較例3のクロメート処理した正極側外部リード端子について、それらの表面を同様にSEM観察したが、前述した網目状突起が認められず、前述した図9〜図13の網目状突起は本発明の実施例1における正極側外部リード端子の特有な構造であることが確認された。
【0095】
(3)正極側外部リード端子の表面粗さ評価
電子線三次元表面粗さ解析装置(エリオニクス社製商品;ERA−8800FE)を用いて実施例1および比較例1の正極側外部リード端子の表面粗さを測定した。その結果を下記表1に示す。なお、表1には次式で求めた比表面積(%)を併記する。
【0096】
比表面積[Sa/Sm;(%)]={(表面積/基準面積)−1}×100
【表1】
【0097】
前記表1から明らかなように本実施例1で用いた正極側外部リード端子は、比較例1で用いた未処理の正極側外部リード端子に比べて表面が粗く、かつ表面積が増大していることがわかる。
【0098】
(4)正極側外部リード端子の性状、薄型電池の性能の評価
実施例1および比較例1〜3で用いた正極側外部リード端子に純水を垂らしたときの接触角を、接触角計(協和界面科学株式会社製CA−P型)で測定した。その結果を下記表2に示す。
【0099】
また、実施例1および比較例1〜3における正極側外部リード端子とマレイン化PPフィルムとの接着部をJIS K 6854のT剥離に準じて剥離接着強さの測定を行なった。その結果を表2に示す。
【0100】
さらに、実施例1および比較例1〜3の薄型電池について、65℃で90%RH雰囲気に1週間放置後の腐食状況と容量の変化を調べた。その結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
前記表2から明らかなように薬液で化学的処理を施して表面に多孔質のアルミナ膜を形成した実施例1の正極側外部リード端子は、接触角が40゜以下で未処理の比較例1の正極側外部リード端子、アルミナ粒子でブラスト処理した比較例2の正極側外部リード端子、およびクロメート処理した比較例3の正極側外部リード端子に比べて小さく、活性な表面が形成されており、濡れ性が改善されていることが分かる。
【0103】
また、前記表2から明らかなように剥離接着強さは、比較例2のアルミナ粒子でブラストした正極側外部リード端子が最も高く、実施例1の薬液による化学処理された正極側外部リード端子がこれに続き、次いでクロメート処理した比較例3の正極側外部リード端子の順で、比較例1の未処理の正極側外部リード端子が最も低いことが分かる。
【0104】
さらに、前記表2から明らかなように未処理の正極側外部リード端子を有する比較例1の薄型電池、アルミナ粒子でブラスト処理した正極側外部リード端子を有する比較例2の薄型電池およびクロメート処理した正極側外部リード端子を有する比較例3の薄型電池では、外装フィルムから突き出た正極側外部リード端子のアルミニウム表面に白色析出物が観察され、腐食が起きており、容量が低下することがわかる。
【0105】
これに対し、薬液で化学的処理を施して表面に多孔質の酸化膜を形成した正極側外部リード端子を有する実施例1の薄型電池では、腐食の発生はなく、容量低下も殆ど起きていなかった。
【0106】
以上の結果から、比較例1で用いた未処理の正極側外部リード端子は接着が十分でなく、外装フィルムのシーラントフィルムと正極外部リード端子のアルミニウムとの界面を縫って電解液が染み出たものと思われる。また、比較例2で用いた表面に無機物粒子を衝突させて表面処理した正極側外部リード端子は接着力は改善できるが、電解液の染み出し防止の効果がない。これは、厚さの薄い断面部の表面処理ができていないことや表面粗さが大きすぎ、外装フィルムを構成するシーラントフィルムの溶融物が流れ込めないことに起因して微小な空隙が生成し、これら部分から電解液が染み出るためと思われる。さらに、比較例3で用いたクロメート処理した正極側外部リード端子はCrを含むクロメート皮膜が表面に生成されるため、接触抵抗が増大するとともに、着色して見栄えが悪化するという不都合さが生じた。
【0107】
(実施例2)
外装フィルムの構成材料を変え、かつ接着性絶縁フィルムを用い、さらに外部リード端子が介在される箇所の封止温度(熱シール)条件を210℃から230℃に変えた以外、実施例1と同様な方法により図4に示す薄型電池を製造した。
【0108】
すなわち、外装フィルムは厚さ16μmのPETフィルムと厚さ40μmのアルミニウム箔(JIS H 4160の8079材)と厚さ30μmの無延伸ポリプロピレン(CPP)[シーラントフィルム]フィルムとをこの順序でウレタン系接着剤を介して積層・接着したものを用いた。なお、CPPの融点は168℃である。
【0109】
また、外装フィルムと正負極の外部リード端子の間には厚さ70μmで、融点が168℃のマレイン化PPフィルム(接着性絶縁フィルム)を外装フィルム端部より2mm外側にはみ出させて挿入した。
【0110】
(比較例4)
比較例1と同様な外部リード端子を用いた以外、実施例2と同様な方法により薄型電池を製造した。
【0111】
(比較例5)
比較例2と同様な外部リード端子を用いた以外、実施例2と同様な方法により薄型電池を製造した。
【0112】
(比較例6)
比較例3と同様な外部リード端子を用いた以外、実施例2と同様な方法により薄型電池を製造した。
【0113】
得られた実施例2および比較例4〜6の薄型電池を−25℃で1h保持し、+60℃で1h保持するヒートサイクルを100回繰り返した後、65℃で90%RH雰囲気に1週間放置後の腐食状況と容量の変化を調べた。その結果を表3に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
前記表3から明らかなように未処理の正極側外部リード端子を有する比較例4の薄型電池、アルミナ粒子でブラスト処理した正極側外部リード端子を有する比較例5の薄型電池およびクロメート処理した正極側外部リード端子を有する比較例6の薄型電池ではでは、外装フィルムから突き出た正極側外部リード端子のアルミニウム表面に白色析出物が観察され、腐食が起きており、容量が低下することがわかる。
【0116】
これに対し、薬液で化学的処理を施して表面に多孔質のアルミナ膜を形成した正極側外部リード端子を有し、かつ外装フィルムと前記外部リード端子の間に接着性絶縁フィルムを介在させた実施例2の薄型電池では、前記過酷な条件でヒートサイクル試験および吸湿試験を実施した後でも腐食の発生はなく、容量低下も起きていなかった。これは、接着性絶縁フィルムを外部リード端子に挿入することにより、熱シールに際し、外部リード端子と外装フィルムのシーラントフィルムの間にできる大きな空隙に接着性絶縁フィルムの溶融物が流れ込んで埋め尽くし、電解液の染み出しのない十分封止ができるためである。また、試験後の容量維持率が高かったのは、封止が十分であるとともに、適切な正極、負極、電解液およびセパレータを使用することにより試験による劣化が少なかったためである。
【0117】
(実施例3)
外装フィルムのシーラントフィルムと接着性絶縁フィルムとして厚さがそれぞれ30μm、70μmで、融点が168℃のマレイン化PPフィルムを用い、さらに外部リード端子が介在される箇所の封止温度(熱シール)条件を210℃から230℃に変えた以外、実施例1と同様な方法により図4に示す薄型電池を製造した。なお、接着性絶縁フィルムは外装フィルムと正負極の外部リード端子の間に外装フィルム端部より2mm外側にはみ出させて挿入した。
【0118】
(比較例7)
比較例1と同様な外部リード端子を用いた以外、実施例3と同様な方法により薄型電池を製造した。
【0119】
(比較例8)
比較例2と同様な外部リード端子を用いた以外、実施例3と同様な方法により薄型電池を製造した。
【0120】
(比較例9)
比較例3と同様な外部リード端子を用いた以外、実施例3と同様な方法により薄型電池を製造した。
【0121】
得られた実施例3および比較例7〜9の薄型電池を−25℃で1h保持し、+60℃で1h保持するヒートサイクルを100回繰り返した後、65℃で90%RH雰囲気に1週間放置後の腐食状況と容量の変化を調べた。その結果を表4に示す。
【0122】
【表4】
【0123】
前記表4から明らかなように薬液で化学的処理を施して表面に多孔質のアルミナ膜を形成した正極側外部リード端子を有し、かつ外装フィルムと前記外部リード端子の間に接着性絶縁フィルムを介在させた実施例3の薄型電池では、前記過酷な条件でヒートサイクル試験および吸湿試験を実施した後でも未処理の正極側外部リード端子を有する比較例7の薄型電池、アルミナ粒子でブラスト処理した正極側外部リード端子を有する比較例8の薄型電池およびクロメート処理した正極側外部リード端子を有する比較例9の薄型電池のような腐食の発生はなく、かつ容量維持率が前述した実施例2の薄型電池に比べて向上していることがわかる。これは、接着性絶縁フィルムとシーラントフィルムが同じ材料なため、より強固な封止が行えたためと思われる。
【0124】
【発明の効果】
以上の説明したように、本発明によれば正極側外部リード端子を薬液により化学的処理を施して表面に多孔質の酸化膜を形成することによって、外装フィルムとの接着を向上でき、外装フィルム内の電解液が染み出るのを防止できるため、正極側外部リード端子の腐食、ひいては断線事故を生じることなく、容量維持率の高い優れた性能を有する電池を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄型電池を示す斜視図。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図。
【図3】本発明の他の薄型電池を示す要部断面図。
【図4】本発明の薄型電池の製造工程を示す斜視図。
【図5】実施例1で用いた正極側外部リード端子表面のオージェ電子分光分析結果を示すスペクトル図。
【図6】実施例1で用いた正極側外部リード端子における表面から約30nmの内部のオージェ電子分光分析結果を示すスペクトル図。
【図7】比較例1で用いた正極側外部リード端子表面のオージェ電子分光分析結果を示すスペクトル図。
【図8】比較例3で用いた正極側外部リード端子表面のオージェ電子分光分析結果を示すスペクトル図。
【図9】実施例1で用いた正極側外部リード端子表面のSEM写真。
【図10】実施例1で用いた正極側外部リード端子表面のSEM写真。
【図11】実施例1で用いた正極側外部リード端子表面のSEM写真。
【図12】実施例1で用いた正極側外部リード端子表面のTEM写真。
【図13】実施例1で用いた正極側外部リード端子表面のTEM写真。
【符号の説明】
1…発電要素、
4…正極、
8…負極、
9…正極側外部リード端子、
10…負極側外部リード端子、
11…外装フィルム、
12…カップ、
13…シーラントフィルム、
16a,16b,16c…シール部、
17…接着性絶縁フィルム。
Claims (14)
- 正極と、負極と、これら正負極間に介在されたセパレータと、前記正負極にそれぞれ電気的に接続された外部リード端子とを有する発電要素を備え、この発電要素を外装フィルムに収納し、前記外装フィルムの開放した周辺部を封止するとともに、前記各外部リード端子と前記外装フィルムとを接着してそれら外部リード端子の先端を前記外装フィルムの外部に延出させた構造の電池において、
前記正極側の外部リード端子は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、かつ少なくとも前記外装フィルムで封止される前記正極側の外部リード端子の全周面は重クロム酸ナトリウム:硫酸:水の質量比が2:20:100〜3:30:100で温度が60〜70℃の水溶液中に浸漬する表面処理により形成された、算術平均表面粗さ(Ra)が0.0014〜0.0017μm、表面の十点平均表面粗さ(Rz)が0.0060〜0.0080μm、および表面粗さの最大高さ(Ry)が0.0090〜0.0120である多孔質のアルミナ膜を有することを特徴とする電池。 - 前記正極側の外部リード端子は、純水との接触角が40゜以下となる表面処理が施されていることを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記外装フィルムは、外側よりポリエチレンテレフタレートフィルムまたはナイロンフィルム/アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔/酸変性ポリオレフィン樹脂フィルムの三層構造を有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記外装フィルムは、外側よりポリエチレンテレフタレートフィルムまたはナイロンフィルム/アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔/無延伸ポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムの三層構造を有することを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記正負極の外部リード端子と前記外装フィルムとの間に接着性絶縁フィルムを介在させたことを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記接着性絶縁フィルムの融点は、115℃〜175℃であることを特徴とする請求項5記載の電池。
- 前記接着性絶縁フィルムは、酸変性ポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項5記載の電池。
- 前記外装フィルムの最内層フィルムと前記接着性絶縁フィルムとの材質が同一であることを特徴とする請求項5記載の電池。
- 前記接着性絶縁フィルムは、前記外部リード端子に前記外装フィルム端部から0.1〜5mm外側にはみ出すように形成されることを特徴とする請求項5記載の電池。
- 前記外装フィルム内には、エチレンカーボネートおよびγ−ブチロラクトンの非水溶媒に四フッ化硼酸リチウムの電解質を溶解した組成を有する電解液が収容されていることを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記電解液は、さらにビニレンカーボネート、カテコールカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートから選ばれる少なくとも1種以上を非水溶媒の総量に対して0.2〜10重量%添加したことを特徴とする請求項10記載の電池。
- 前記正極は、活物質としてリチウム含有化合物を含み、負極は活物質としてリチウムをドープ脱ドープ可能な炭素質材料を含むことを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記リチウム含有化合物は、Li x Co y Sn z O 2 (だたし、x、y、zは、各々0.05≦x≦1.10、0.85≦y≦1.00、0.001≦z≦0.10を示す)にて表わされることを特徴とする請求項1記載の電池。
- 前記外装フィルムに封止された前記発電要素は、水分量が300ppm以下であることを特徴とする請求項1記載の電池。
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