JP5245425B2 - 負極および二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、負極集電体とそれに設けられた負極活物質層とを有する負極およびそれを備えた二次電池に関する。
近年、カメラ一体型VTR(video tape recorder )、携帯電話あるいはノートパソコンなどのポータブル電子機器が広く普及しており、その小型化、軽量化および長寿命化が強く求められている。これに伴い、ポータブル電子機器の電源として、電池、特に軽量で高エネルギー密度が得られる二次電池の開発が進められている。中でも、充放電反応にリチウムの吸蔵および放出を利用する二次電池(いわゆるリチウムイオン二次電池)は、鉛電池やニッケルカドミウム電池よりも大きなエネルギー密度が得られるため、大いに期待されている。
リチウムイオン二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えており、その負極は、負極活物質を含む負極活物質層が負極集電体に設けられた構成を有している。この負極活物質としては炭素材料が広く用いられているが、最近では、ポータブル電子機器の高性能化および多機能化に伴って電池容量のさらなる向上が求められていることから、炭素材料に代えてケイ素を用いることが検討されている。ケイ素の理論容量(4199mAh/g)は黒鉛の理論容量(372mAh/g)よりも格段に大きいため、電池容量の大幅な向上が期待されるからである。
ところが、気相法によって負極活物質としてケイ素を堆積させると、その負極活物質中に多数の細孔が生じて表面積が増大する。この場合には、負極活物質が高活性であるため、充放電時に電解液が分解しやすくなり、しかもリチウムが不活性化しやすくなる。これにより、高容量化が図られる一方で、充放電を繰り返すと二次電池の重要な特性であるサイクル特性が低下しやすい。
そこで、負極活物質としてケイ素を用いた場合においてもサイクル特性を向上させるために、さまざまな工夫がなされている。
具体的には、気相法によってケイ素薄膜を複数回に渡って堆積させる場合に、2回目以降の堆積工程において、その堆積前にケイ素薄膜の表面へイオンを照射する技術(例えば、特許文献1参照。)や、発泡状金属あるいは繊維状金属焼結体などの三次元構造を有する負極集電体を用いる技術(例えば、特許文献2参照。)や、ケイ素を焼結させて負極集電体と一体形成する技術(例えば、特許文献3,4参照。)などが提案されている。
特開2005−293899号公報 特開2004−071305号公報 特開平11−339777号公報 特開平11−339778号公報
また、ケイ素粒子を金属酸化物などの焼成物(セラミック)で被覆する技術(例えば、特許文献5,6参照。)や、ケイ素合金層の表面に酸化ケイ素などの酸化物層を形成する技術(例えば、特許文献7参照。)や、ケイ素粉末上に導電性金属を還元析出させる技術(例えば、特許文献8参照。)や、ケイ素化合物粒子を金属で被覆する技術(例えば、特許文献9参照。)や、ケイ素粒子中にリチウムと合金化しない金属元素を拡散させる技術(例えば、特許文献10参照。)や、ケイ素薄膜中に銅を固溶させる技術(例えば、特許文献11参照。)なども提案されている。
特開2004−335334号公報 特開2004−335335号公報 特開2004−319469号公報 特開平11−297311号公報 特開2000−036323号公報 特開2001−273892号公報 特開2002−289177号公報
最近のポータブル電子機器は益々小型化、高性能化および多機能化しており、それに伴って二次電池の充放電が頻繁に繰り返される傾向にあるため、サイクル特性が低下しやすい状況にある。特に、高容量化のために負極活物質としてケイ素を用いたリチウムイオン二次電池では、上記した表面積の増大に起因してサイクル特性が顕著に低下しやすい。このため、二次電池のサイクル特性に関して、より一層の向上が望まれている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、サイクル特性を向上させることが可能な負極および二次電池を提供することにある。
本発明の負極は、負極集電体とそれに設けられた負極活物質層とを有し、負極活物質層が負極活物質を含み、その負極活物質がケイ素を含有すると共に3nm以上50nm以下の孔径の細孔群を有し、その負極活物質層が細孔内に酸化物含有膜および電極反応物質と合金化しない金属材料のうちの少なくとも一方を有し、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積が、0.2cm3 /g以下のものである。
本発明の二次電池は、正極および負極と共に電解液を備え、負極が負極集電体とそれに設けられた負極活物質層とを有し、負極活物質層が負極活物質を含み、その負極活物質がケイ素を含有すると共に3nm以上50nm以下の孔径の細孔群を有し、その負極活物質層が細孔内に酸化物含有膜および電極反応物質と合金化しない金属材料のうちの少なくとも一方を有し、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積が、0.2cm3 /g以下のものである。
上記した「細孔群の容積」とは、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される水銀の浸入量を細孔群の容積に置き換えたものである。これにより、「3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積」とは、3nm以上50nm以下の孔径において測定される水銀の浸入量の和を同範囲の孔径の細孔群の容積に置き換えたものである。また、「3nm以上20nm以下の孔径の細孔群の容積」とは、3nm以上20nm以下の孔径において測定される水銀の浸入量の和を同範囲の孔径の細孔群の容積に置き換えたものである。この水銀の浸入量は、水銀の表面張力および接触角をそれぞれを485mN/mおよび130°とし、細孔の孔径と圧力との間の関係を180/圧力=孔径と近似したときに測定される値である。ケイ素の単位重量当たりの細孔群の容積(cm3 /g)は、ケイ素の重量(g)と水銀の浸入量(=細孔群の容積:cm3 )とから算出可能である。
本発明の負極によれば、負極活物質がケイ素を含有すると共に3nm以上50nm以下の孔径の細孔群を有し、負極活物質層が細孔内に酸化物含有膜および電極反応物質と合金化しない金属材料のうちの少なくとも一方を有し、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積が、0.2cm3 /g以下であるので、その範囲外である場合と比較して、負極活物質が高活性なケイ素を含有する場合においても他の物質と反応しにくくなる。これにより、本発明の負極を備えた二次電池によれば、充放電時に電解液が分解しにくくなるため、サイクル特性を向上させることができる。この場合には、ケイ素の単位重量当たりにおける3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積が0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであれば、より高い効果を得ることができる。
また、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上20nm以下の孔径の細孔群の容積が、0.2cm3 /g以下であれば、より高い効果を得ることができる。この場合には、ケイ素の単位重量当たりにおける3nm以上20nm以下の孔径の細孔群の容積が0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであれば、さらに高い効果を得ることができる。
また、酸化物含有膜が液相析出法などの液相法によって形成されており、あるいは金属材料が電解鍍金法などの液相法によって形成されていれば、酸化物含有膜あるいは金属材料が細孔内に入り込みやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
また、負極活物質が酸素を含有し、負極活物質中における酸素の含有量が3原子数%以上40原子数%以下であり、あるいは負極活物質が鉄、コバルト、ニッケル、チタン、クロムおよびモリブデンからなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を含有し、または負極活物質粒子がその厚さ方向において酸素含有領域(酸素を有し、酸素の含有量がそれ以外の領域よりも高い領域)を有していれば、より高い効果を得ることができる。
さらに、負極集電体の表面の十点平均粗さRzが1.5μm以上6.5μm以下であれば、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る負極の断面構成を表している。この負極は、例えば二次電池などの電気化学デバイスに用いられるものであり、一対の面を有する負極集電体1と、それに設けられた負極活物質層2とを有している。
負極集電体1は、良好な電気化学的安定性、電気伝導性および機械的強度を有する金属材料によって構成されているのが好ましい。この金属材料としては、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどが挙げられ、中でも銅が好ましい。高い電気伝導性が得られるからである。
特に、負極集電体1を構成する金属材料は、電極反応物質と金属間化合物を形成しない1種あるいは2種以上の金属元素を含有しているのが好ましい。電極反応物質と金属間化合物を形成すると、電気化学デバイスの動作時(例えば二次電池の充放電時)に、負極活物質層2の膨張および収縮による応力の影響を受けて、集電性が低下したり、負極活物質層2が負極集電体1から剥離する可能性があるからである。これらの金属元素としては、例えば、銅、ニッケル、チタン、鉄あるいはクロムなどが挙げられる。
また、上記した金属材料は、負極活物質層2と合金化する1種あるいは2種以上の金属元素を含有しているのが好ましい。負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性が向上するため、その負極活物質層2が負極集電体1から剥離しにくくなるからである。電極反応物質と金属間化合物を形成せず、しかも負極活物質層2と合金化する金属元素としては、例えば、負極活物質層2が負極活物質としてケイ素を含有する場合には、銅、ニッケルあるいは鉄などが挙げられる。これらの金属元素は、強度および導電性の観点からも好ましい。
なお、負極集電体1は、単層構造を有していてもよいし、多層構造を有していてもよい。この負極集電体1が多層構造を有する場合には、例えば、負極活物質層2と隣接する層がそれと合金化する金属材料によって構成され、隣接しない層が他の金属材料によって構成されるのが好ましい。
負極集電体1の表面は、粗面化されているのが好ましい。いわゆるアンカー効果によって負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性が向上するからである。この場合には、少なくとも負極活物質層2と対向する負極集電体1の表面が粗面化されていればよい。粗面化の方法としては、例えば、電解処理によって微粒子を形成する方法などが挙げられる。この電解処理とは、電解槽中において電解法によって負極集電体1の表面に微粒子を形成して凹凸を設ける方法である。この電解処理が施された銅箔は、一般に「電解銅箔」と呼ばれている。
この負極集電体1の表面の十点平均粗さRzは、1.5μm以上6.5μm以下であるのが好ましい。負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性がより高くなるからである。詳細には、十点平均粗さRzが1.5μmよりも小さいと、十分な密着性が得られない可能性があり、6.5μmよりも大きいと、負極活物質中に空孔が多く含まれて表面積が増大する可能性があるからである。
負極活物質層2は、電極反応物質を吸蔵および放出することが可能な負極活物質を含んでいる。この負極活物質は、ケイ素を構成元素として含有している。電極反応物質を吸蔵および放出する能力が大きいため、高いエネルギー密度が得られるからである。また、負極活物質は、複数の細孔を有しており、その複数の細孔の孔径は、およそ数nmから数千nmに至る広い範囲に渡って分布している。このうち、3nm以上50nm以下の微小な孔径を有する細孔群(以下、単に「微細孔群」という。)に着目すると、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される微細孔群の容積は、0.2cm3 /g以下である。微細孔群の容積が小さくなって負極活物質の表面積が小さく抑えられるため、その負極活物質が高活性である場合においても他の物質と反応しにくくなるからである。この他の物質としては、例えば、負極が二次電池に用いられる場合における電解液などが挙げられる。
上記した微細孔群の容積は、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される水銀の浸入量を微細孔群の容積に置き換えたものであり、その水銀の浸入量は、水銀の表面張力および接触角をそれぞれ485mN/mおよび130°とし、細孔の孔径と圧力との間の関係を180/圧力=孔径と近似したときに測定される値である。この方法によれば、複数の細孔の孔径が広範囲に渡って分布している場合に、その細孔の容積(細孔への水銀の浸入量)を特定の孔径範囲ごとに測定可能であるため、ケイ素の総重量(g)と、3nm以上50nm以下の孔径において測定された水銀の浸入量の総和(微細孔群の総容積:cm3 )とから、上記したケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積(cm3 /g)を算出可能である。なお、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積の範囲を規定するに当たり、3nm以上50nm以下の孔径の細孔に着目しているのは、各細孔の容積は小さいが、細孔の総数が極めて多いため、負極活物質の表面積に大きな影響を及ぼすからである。
特に、3nm以上50nm以下の孔径における微細孔群がケイ素の単位重量当たりに占める容積は、0.05cm3 /g以下であるのが好ましく、0cm3 /gであるのがより好ましい。より高い効果が得られるからである。なお、微細孔群の容積が0cm3 /gであるということは、水銀ポロシメータを用いて微細孔群の容積を測定していることから明らかなように、その水銀ポロシメータによる測定結果上において微細孔群の容積が0cm3 /gである(微細孔群の容積を測定できない)ということである。
この場合には、3nm以上50nm以下の孔径を有する微細孔群のうち、3nm以上20nm以下の極微小な孔径を有する細孔群(以下、単に「極微細孔群」という。)に着目すると、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される極微細孔群の容積は、0.2cm3 /g以下であるのが好ましく、0.05cm3 /g以下であるのがより好ましく、0cm3 /gであるのがさらに好ましい。微細孔群の中でも、極微細孔群の容積は負極活物質の表面積に大きな影響を及ぼすため、より高い効果が得られるからである。
この負極活物質層2は、必要に応じて、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を上記した範囲内に設定するために、その微細孔内に、酸化物含有膜を有していてもよいし、電極反応物質と合金化しない金属材料を有していてもよい。これらの酸化物含有膜や金属材料が微細孔内に入り込むことにより、その微細孔群の容積が小さくなるからである。この場合には、微細孔内を十分に埋め込むことにより、水銀ポロシメータの測定結果上において、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0cm3 /gにすることが可能である。
酸化物含有膜は、例えば、ケイ素、ゲルマニウムおよびスズからなる群のうちの少なくとも1種の酸化物を含有している。もちろん、これら以外の他の酸化物を含有していてもよい。この酸化物含有膜は、気相法あるいは液相法のいずれによって形成されていてもよい。中でも、液相析出法、ゾルゲル法、塗布法あるいはディップコーティング法などの液相法が好ましく、液相析出法がより好ましい。微細孔内に酸化物含有膜が入り込みやすくなるからである。
微細孔内に有する金属材料としては、電極反応物質と合金化しない金属元素を構成元素として有するものが挙げられ、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛および銅からなる群のうちの少なくとも1種が挙げられる。もちろん、金属材料は、これら以外の他の金属元素を含有していてもよい。なお、金属材料は、単体に限らず、合金や金属化合物であってもよい。この金属材料は、気相法あるいは液相法のいずれによって形成されていてもよい。中でも、電解鍍金法あるいは無電解鍍金法などの液相法が好ましく、電解鍍金法がより好ましい。微細孔内に金属材料が入り込みやすくなると共に、鍍金時間が短くて済むからである。負極活物質層2が金属材料を有していれば、その金属材料が結着剤として機能するため、負極活物質間の結着性が向上する。
なお、負極活物質層2は、上記した酸化物含有膜あるいは金属材料のいずれか一方だけを有していてもよいし、双方を有していてもよい。ただし、いずれか一方だけを有する場合には、酸化物含有膜を有するのが好ましい。液相析出法などの液相法によって形成された酸化物含有膜は、電解鍍金法などの液相法によって形成された金属材料よりも微細孔内に入り込みやすいからである。
負極活物質は、ケイ素の単体、合金あるいは化合物のいずれであってもよいし、それらの1種あるいは2種以上の相を少なくとも一部に有するものであってもよい。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。
なお、本発明における合金には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを含むものも含まれる。もちろん、本発明における合金は、非金属元素を含んでいてもよい。その組織には、固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物あるいはそれらの2種以上が共存するものもある。
ケイ素の合金としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、スズ(Sn)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン(Mn)、亜鉛、インジウム(In)、銀(Ag)、チタン、ゲルマニウム(Ge)、ビスマス(Bi)、アンチモン(Sb)およびクロムからなる群のうちの少なくとも1種を有するものなどが挙げられる。
ケイ素の化合物としては、例えば、ケイ素以外の構成元素として、酸素および炭素(C)を有するものなどが挙げられる。なお、ケイ素の化合物は、例えば、ケイ素以外の構成元素として、ケイ素の合金について説明した一連の元素の1種あるいは2種以上を含んでいてもよい。
この負極活物質は、負極集電体1に連結され、その負極集電体1の表面から負極活物質層2の厚さ方向に成長している。この場合には、負極活物質が気相法によって形成されており、上記したように、負極集電体1と負極活物質層2との界面の少なくとも一部において合金化しているのが好ましい。具体的には、両者の界面において、負極集電体1の構成元素が負極活物質に拡散していてもよいし、負極活物質の構成元素が負極集電体1に拡散していてもよいし、両者の構成元素が互いに拡散しあっていてもよい。電極反応時に負極活物質層2が膨張および収縮しても破損しにくくなると共に、負極集電体1と負極活物質層2との間において電子伝導性が向上するからである。
上記した気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法、より具体的には真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション法、熱化学気相成長(chemical vapor deposition :CVD)法あるいはプラズマ化学気相成長法などが挙げられる。
また、負極活物質は、複数の粒子状をなしていてもよい。この負極活物質は、1回の堆積工程によって形成され、単層構造を有していてもよいし、複数回の堆積工程によって形成され、粒子内に多層構造を有していてもよい。ただし、堆積時に高熱を伴う蒸着法などによって負極活物質を形成する場合に、負極集電体1が熱的ダメージを受けることを抑制するためには、負極活物質が多層構造を有しているのが好ましい。負極活物質の堆積工程を複数回に分割して行う(負極活物質を順次形成して堆積させる)ことにより、その堆積工程を1回で行う場合と比較して、負極集電体1が高熱に晒される時間が短くなるからである。
特に、負極活物質は、酸素を構成元素として含有しているのが好ましい。負極活物質層2の膨張および収縮が抑制されるからである。この負極活物質層2では、少なくとも一部の酸素が一部のケイ素と結合しているのが好ましい。この場合には、結合の状態が一酸化ケイ素や二酸化ケイ素であってもよいし、他の準安定状態であってもよい。
負極活物質中における酸素の含有量は、3原子数%以上40原子数%以下であるのが好ましい。より高い効果が得られるからである。詳細には、酸素の含有量が3原子数%よりも少ないと、負極活物質層2の膨張および収縮が十分に抑制されない可能性があり、40原子数%よりも多いと、抵抗が増大しすぎる可能性があるからである。なお、電気化学デバイスにおいて負極が電解液と共に用いられる場合には、その電解液の分解によって形成される被膜などは負極活物質に含めないこととする。すなわち、負極活物質中における酸素の含有量を算出する場合には、上記した被膜中の酸素は含めない。
酸素を含有する負極活物質は、例えば、気相法によって負極活物質を形成する際に、チャンバ内に連続的に酸素ガスを導入することによって形成可能である。特に、酸素ガスを導入しただけでは所望の酸素含有量が得られない場合には、チャンバ内に酸素の供給源として液体(例えば水蒸気など)を導入してもよい。
また、負極活物質は、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、クロムおよびモリブデンからなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を構成元素として含有しているのが好ましい。負極活物質の結着性が向上し、負極活物質層2の膨張および収縮が抑制され、負極活物質の抵抗が低下するからである。負極活物質中における金属元素の含有量は、任意に設定可能である。ただし、負極が二次電池に用いられる場合には、金属元素の含有量が多くなりすぎると、所望の電池容量を得るために負極活物質層2を厚くしなければならず、負極活物質層2が負極集電体1から剥がれたり、割れる可能性がある。
上記した金属元素を含有する負極活物質は、例えば、気相法として蒸着法によって負極活物質を形成する際に、金属元素を混合させた蒸着源を用いたり、多元系の蒸着源を用いることによって形成可能である。
この負極活物質は、その厚さ方向において、酸素を有する酸素含有領域を有し、その酸素含有領域における酸素の含有量は、それ以外の領域における酸素の含有量よりも高くなっているのが好ましい。負極活物質層2の膨張および収縮が抑制されるからである。この酸素含有領域以外の領域は、酸素を有していてもよいし、有していなくてもよい。もちろん、酸素含有領域以外の領域も酸素を有している場合に、その酸素の含有量が酸素含有領域における酸素の含有量よりも低くなっていることは言うまでもない。
この場合には、負極活物質層2の膨張および収縮をより抑制するために、酸素含有領域以外の領域も酸素を有しており、負極活物質が、第1の酸素含有領域(より低い酸素含有量を有する領域)と、それよりも高い酸素含有量を有する第2の酸素含有領域(より高い酸素含有量を有する領域)とを有しているのが好ましい。この場合には、第1の酸素含有領域によって第2の酸素含有領域が挟まれているのが好ましく、第1の酸素含有領域と第2の酸素含有領域とが交互に繰り返して積層されているのがより好ましい。より高い効果が得られるからである。第1の酸素含有領域における酸素の含有量は、できるだけ少ないのが好ましく、第2の酸素含有領域における酸素の含有量は、例えば、上記した負極活物質が酸素を有する場合の含有量と同様である。
第1および第2の酸素含有領域を有する負極活物質は、例えば、気相法によって負極活物質を形成する際に、チャンバ内に断続的に酸素ガスを導入したり、チャンバ内に導入する酸素ガスの量を変化させることによって形成可能である。もちろん、酸素ガスを導入しただけでは所望の酸素含有量が得られない場合には、チャンバ内に液体(例えば水蒸気など)を導入してもよい。
なお、第1および第2の酸素含有領域の間では、酸素の含有量が明確に異なっていてもよいし、明確に異なっていなくてもよい。特に、上記した酸素ガスの導入量を連続的に変化させた場合には、酸素の含有量も連続的に変化していてもよい。第1および第2の酸素含有領域は、酸素ガスの導入量を断続的に変化させた場合には、いわゆる「層」となり、一方、酸素ガスの導入量を連続的に変化させた場合には、「層」というよりもむしろ「層状」となる。後者の場合には、負極活物質中において酸素の含有量が高低を繰り返しながら分布する。この場合には、第1および第2の酸素含有領域の間において、酸素の含有量が段階的あるいは連続的に変化しているのが好ましい。酸素の含有量が急激に変化すると、イオンの拡散性が低下したり、抵抗が増大する可能性があるからである。
ここで、図2〜図4を参照して、粒子状の負極活物質がその粒子内に多層構造を有する場合を例に挙げて、負極の詳細な構成例を説明する。図2および図4は負極の断面構造を拡大して表しており、(A)は走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope:SEM)写真(二次電子像)であり、(B)は(A)に示したSEM像を模式的に示したものである。図3は、水銀の浸入量の変化率の分布を表している。
図2に示したように、負極活物質が複数の粒子状(負極活物質粒子201)をなしている場合には、その負極活物質が複数の細孔202を有している。詳細には、粗面化された負極集電体1の表面には、複数の突起部(例えば、電解処理によって形成された微粒子)が存在している。この場合には、気相法などによって負極集電体1の表面に複数回に渡って負極活物質が堆積されて積層されることにより、負極活物質粒子201が上記した突起部ごとに厚さ方向に段階的に成長する。この複数の負極活物質粒子201の密集構造、多層構造および表面構造に伴い、複数の細孔202が生じている。
この細孔202は、発生原因に応じて分類された3種類の細孔202A,202B,202Cを含んでいる。細孔202Aは、負極集電体1の表面に存在する突起部ごとに負極活物質粒子201が成長することに伴い、各負極活物質粒子201間に生じた隙間である。細孔202Bは、負極活物質粒子201の表面にひげ状の微細な突起部(図示せず)が生じることに伴い、その突起部間に生じた空隙である。この細孔202Bは、負極活物質粒子201の露出面の全体に渡って生じる場合もあれば、一部だけに生じる場合もある。細孔202Cは、負極活物質粒子201が多層構造を有することに伴い、各階層間に生じる隙間である。なお、上記したひげ状の微細な突起部は、負極活物質粒子201の形成時ごとにその表面に生じるため、細孔202Bは、負極活物質粒子201の露出面(最表面)だけでなく、各階層間にも生じている。もちろん、細孔202は、上記した発生原因以外の他の発生原因によって生じた他の細孔を含んでいてもよい。
水銀ポロシメータを用いて圧力Pを段階的に増加させながら細孔202への水銀の浸入量Vを測定すると、その水銀の浸入量の変化率(ΔV/ΔP)は、図3に示したように分布する。図3では、横軸が細孔202の孔径(nm)、縦軸が細孔202への水銀の浸入量の変化率を示している。この水銀の浸入量の変化率は、水銀ポロシメータを用いて測定可能な3nm以上3000nm以下の孔径において、2つのピークP1,P2を示すように分布する。広孔径側のピークP1は、主に細孔202Aの存在に起因して生じたものであり、その孔径の分布範囲は、50nm以上3000nm以下である。一方、狭孔径側のピークP2は、主に細孔202B,202Cの存在に起因して生じたものであり、その孔径の分布範囲は、3nm以上50nm以下である。なお、図3の縦軸に示した水銀の浸入量の変化率は、ピークP1における変化率(50nm以上3000nm以下の孔径における変化率の最大値)を1として規格化した値である。
図4に示したように、複数の負極活物質粒子201が形成されたのち、電解鍍金法などによって金属材料203が形成されると、その金属材料203は、細孔202内に入り込む。すなわち、金属材料203は、隣接する負極活物質粒子201間の隙間(細孔202A)に入り込み、負極活物質粒子201の表面に生じたひげ状の微細な突起部間の空隙(細孔202B)に入り込み、負極活物質粒子201内の隙間(細孔202C)に入り込む。図4において、最上層の負極活物質粒子201の表面に金属材料203が点在していることは、その点在箇所に上記した微細な突起部が存在していること表している。
図2〜図4に示したように、粒子状の負極活物質がその粒子内に多層構造を有している場合には、上記した微細孔は、細孔202B,202Cの双方を含んでいる。この場合には、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を上記した範囲内にするためだけであれば、金属材料203が細孔202B,202Cに入り込んでいればよいが、負極全体の性能からすれば、金属材料203が細孔202Aにまで入り込んでいるのが好ましく、その細孔202Aに充填されているのがより好ましい。金属材料203を介して負極活物質の結着性が向上すると共に、負極活物質層2が膨張および収縮しにくくなるからである。
なお、粒子状の負極活物質がその粒子内に多層構造を有していない(単層構造である)場合には、細孔202Cが生じないことから、微細孔は細孔202Bだけを含むこととなる。
ここでは具体的に図面を参照して説明しないが、金属材料に代えて、液相析出法などによって酸化物含有膜を形成した場合には、その酸化物含有膜は、負極活物質粒子201の表面に沿って成長するため、細孔202B,202Cに優先的に入り込みやすい。この場合には、析出時間を長くすれば、酸化物含有膜が細孔202Aまで入り込む。
この負極は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、負極集電体1を準備したのち、その表面に必要に応じて粗面化処理を施す。続いて、気相法などによって負極集電体1上にケイ素を堆積させて負極活物質を形成する。この負極活物質を形成する場合には、1回の堆積工程によって単層構造となるようにしてもよいし、複数回の堆積工程によって多層構造となるようにしてもよい。気相法によって負極活物質を多層構造となるように形成する場合には、蒸着源に対して負極集電体1を相対的に往復移動させながら複数回に渡ってケイ素を堆積させるようにしてもよいし、蒸着源に対して負極集電体1を固定させたままで、シャッターの開閉を繰り返しながら複数回に渡ってケイ素を堆積させるようにしてもよい。こののち、液相法などによって酸化物含有膜あるいは電極反応物質と合金化しない金属材料を形成してもよい。液相析出法によって酸化物含有膜を形成する場合には、ケイ素等のフッ化物錯体の溶液に、アニオン補足剤としてフッ素を配位しやすい溶存種を添加して混合したのち、それに負極活物質が形成された負極集電体1を浸積して、フッ化物錯体から生じるフッ素アニオンを溶存種に補足させることにより、負極活物質の表面に酸化物を析出させる。この場合には、フッ化物錯体に代えて、硫酸イオンなどの他のアニオンを生じるケイ素等の化合物を用いてもよい。これにより、負極活物質層2が形成されるため、負極が完成する。
この負極によれば、負極活物質がケイ素を含有すると共に微細孔群(3nm以上50nm以下の孔径の細孔群)を有し、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される微細孔群の容積が、0.2cm3 /g以下であるので、その範囲外である場合と比較して、負極活物質が高活性なケイ素を含有する場合においても他の物質と反応しにくくなる。したがって、負極を用いた電気化学デバイスのサイクル特性の向上に寄与することができる。この場合には、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであれば、より高い効果を得ることができる。
特に、ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される極微細孔群(3nm以上20nm以下の孔径の細孔群)の容積が、0.2cm3 /g以下であれば、より高い効果を得ることができる。この場合には、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積が0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであれば、さらに高い効果を得ることができる。
また、微細孔内に酸化物含有膜あるいは電極反応物質と合金化しない金属材料を有していれば、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が上記した範囲外である場合においても、その範囲内となるようにケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を容易に制御することができる。この場合には、酸化物含有膜が液相析出法などの液相法によって形成されており、あるいは金属材料が電解鍍金法などの液相法によって形成されていれば、酸化物含有膜あるいは金属材料が微細孔内に入り込みやすくなるため、より高い効果を得ることができる。
また、負極活物質が酸素を含有し、負極活物質中における酸素の含有量が3原子数%以上40原子数%以下であり、あるいは負極活物質が鉄、コバルト、ニッケル、チタン、クロムおよびモリブデンからなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を含有し、または負極活物質粒子がその厚さ方向において酸素含有領域(酸素を有し、酸素の含有量がそれ以外の領域よりも高い領域)を有していれば、より高い効果を得ることができる。
さらに、負極活物質層2と対向する負極集電体1の表面が電解処理で形成された微粒子によって粗面化されていれば、負極集電体1と負極活物質層2との間の密着性を高めることができる。この場合には、負極集電体1の表面の十点平均粗さRzが1.5μm以上6.5μm以下であれば、より高い効果を得ることができる。
次に、上記した負極の使用例について説明する。ここで、電気化学デバイスの一例として二次電池を例に挙げると、負極は以下のようにして二次電池に用いられる。
(第1の二次電池)
図5および図6は第1の二次電池の断面構成を表しており、図6では図5に示したVI−VI線に沿った断面を示している。ここで説明する二次電池は、例えば、負極22の容量が電極反応物質であるリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池である。
この二次電池は、電池缶11の内部に、扁平な巻回構造を有する電池素子20が収納されたものである。
電池缶11は、例えば、角型の外装部材である。この角型の外装部材とは、図6に示したように、長手方向における断面が矩形型あるいは略矩形型(一部に曲線を含む)の形状を有するものであり、矩形状の角型電池だけでなくオーバル形状の角型電池も構成するものである。すなわち、角型の外装部材とは、矩形状あるいは円弧を直線で結んだ略矩形状(長円形状)の開口部を有する有底矩形型あるいは有底長円形状型の器状部材である。なお、図6では、電池缶11が矩形型の断面形状を有する場合を示している。この電池缶11を含む電池構造は、いわゆる角型と呼ばれている。
この電池缶11は、例えば、鉄、アルミニウム(Al)あるいはそれらの合金を含有する金属材料によって構成されており、電極端子としての機能を有していてもよい。この場合には、充放電時に電池缶11の固さ(変形しにくさ)を利用して二次電池の膨れを抑えるために、アルミニウムよりも固い鉄が好ましい。電池缶11が鉄によって構成される場合には、例えば、ニッケル(Ni)などのめっきが施されていてもよい。
また、電池缶11は、一端部および他端部がそれぞれ閉鎖および開放された中空構造を有しており、その開放端部に絶縁板12および電池蓋13が取り付けられて密閉されている。絶縁板12は、電池素子20と電池蓋13との間に、その電池素子20の巻回周面に対して垂直に配置されており、例えば、ポリプロピレンなどによって構成されている。電池蓋13は、例えば、電池缶11と同様の材料によって構成されており、それと同様に電極端子としての機能を有していてもよい。
電池蓋13の外側には、正極端子となる端子板14が設けられており、その端子板14は、絶縁ケース16を介して電池蓋13から電気的に絶縁されている。この絶縁ケース16は、例えば、ポリブチレンテレフタレートなどによって構成されている。また、電池蓋13のほぼ中央には貫通孔が設けられており、その貫通孔には、端子板14と電気的に接続されると共にガスケット17を介して電池蓋13から電気的に絶縁されるように正極ピン15が挿入されている。このガスケット17は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
電池蓋13の周縁付近には、開裂弁18および注入孔19が設けられている。開裂弁18は、電池蓋13と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などに起因して二次電池の内圧が一定以上となった場合に、電池蓋13から切り離されて内圧を開放するようになっている。注入孔19は、例えば、ステンレス鋼球からなる封止部材19Aによって塞がれている。
電池素子20は、セパレータ23を介して正極21および負極22が積層されたのちに巻回されたものであり、電池缶11の形状に応じて扁平状になっている。正極21の端部(例えば内終端部)にはアルミニウムなどによって構成された正極リード24が取り付けられており、負極22の端部(例えば外終端部)にはニッケルなどによって構成された負極リード25が取り付けられている。正極リード24は、正極ピン15の一端に溶接されて端子板14と電気的に接続されており、負極リード25は、電池缶11に溶接されて電気的に接続されている。
正極21は、例えば、帯状の正極集電体21Aの両面に正極活物質層21Bが設けられたものである。この正極集電体21Aは、例えば、アルミニウム、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。正極活物質層21Bは、正極活物質を含んでおり、必要に応じて結着剤や導電剤などを含んでいてもよい。
正極活物質は、電極反応物質であるリチウムを吸蔵および放出することが可能な正極材料のいずれか1種あるいは2種以上を含んでいる。この正極材料としては、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウムあるいはそれらを含む固溶体(Li(Nix Coy Mnz )O2 ;x、yおよびzの値はそれぞれ0<x<1,0<y<1,0<z<1,x+y+z=1である。)や、スピネル構造を有するマンガン酸リチウム(LiMn2 4 )あるいはその固溶体(Li(Mn2-v Niv )O4 ;vの値はv<2である。)などのリチウム複合酸化物が挙げられる。また、正極材料としては、例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4 )などのオリビン構造を有するリン酸化合物も挙げられる。高いエネルギー密度が得られるからである。なお、正極材料は、上記した他、例えば、酸化チタン、酸化バナジウムあるいは二酸化マンガンなどの酸化物や、二硫化鉄、二硫化チタンあるいは硫化モリブデンなどの二硫化物や、硫黄や、ポリアニリンあるいはポリチオフェンなどの導電性高分子であってもよい。
負極22は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、帯状の負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bが設けられたものである。負極集電体22Aおよび負極活物質層22Bの構成は、それぞれ上記した負極における負極集電体1および負極活物質層2の構成と同様である。リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極活物質の充電容量は、正極21の充電容量よりも大きくなっているのが好ましい。
セパレータ23は、正極21と負極22とを隔離し、両極の接触に起因する電流の短絡を防止しながら電極反応物質のイオンを通過させるものである。このセパレータ23は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレンあるいはポリエチレンなどの合成樹脂からなる多孔質膜や、セラミックからなる多孔質膜などによって構成されており、これらの2種以上の多孔質膜が積層されたものであってもよい。
このセパレータ23には、液状の電解質として電解液が含浸されている。この電解液は、溶媒と、それに溶解された電解質塩とを含んでいる。
溶媒は、例えば、有機溶剤などの非水溶媒の1種あるいは2種以上を含有している。この非水溶媒としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸メチルプロピルなどの炭酸エステル系溶媒が挙げられる。優れた容量特性、保存特性およびサイクル特性が得られるからである。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、溶媒としては、炭酸エチレンあるいは炭酸プロピレンなどの高粘度溶媒と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチルあるいは炭酸ジエチルなどの低粘度溶媒とを混合したものが好ましい。電解質塩の解離性およびイオンの移動度が向上するため、より高い効果が得られるからである。
また、溶媒は、ハロゲン化炭酸エステルを含有しているのが好ましい。負極22の表面に安定な被膜が形成されて電解液の分解反応が抑制されるため、サイクル特性が向上するからである。このハロゲン化炭酸エステルとしては、フッ素化炭酸エステルが好ましく、炭酸ジフルオロエチレンがより好ましい。より高い効果が得られるからである。この炭酸ジフルオロエチレンとしては、例えば、4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンなどが挙げられる。
また、溶媒は、不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含有しているのが好ましい。サイクル特性が向上するからである。この不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ビニレンあるいは炭酸ビニルエチレンなどが挙げられ、これらが混合されて用いられてもよい。
さらに、溶媒は、スルトンを含有しているのが好ましい。サイクル特性が向上すると共に、二次電池の膨れが抑制されるからである。このスルトンとしては、例えば、1,3−プロペンスルトンなどが挙げられる。
電解質塩は、例えば、リチウム塩などの軽金属塩の1種あるいは2種以上を含んでいる。このリチウム塩としては、例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )、過塩素酸リチウム(LiClO4 )あるいは六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF6 )などが挙げられる。優れた容量特性、保存特性およびサイクル特性が得られるからである。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、電解質塩としては、六フッ化リン酸リチウムが好ましい。内部抵抗が低下するため、より高い効果が得られるからである。
また、電解質塩は、ホウ素およびフッ素を有する化合物を含んでいるのが好ましい。サイクル特性が向上すると共に、二次電池の膨れが抑制されるからである。このホウ素およびフッ素を有する化合物としては、例えば、四フッ化ホウ酸リチウムなどが挙げられる。
溶媒中における電解質塩の含有量は、例えば、0.3mol/kg以上3.0mol/kg以下である。優れた容量特性が得られるからである。
この二次電池は、例えば、以下の手順によって製造される。
まず、正極21を作製する。最初に、正極活物質と、結着剤と、導電剤とを混合して正極合剤としたのち、有機溶剤に分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとする。続いて、ドクタブレードあるいはバーコータなどを用いて正極集電体21Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させる。最後に、必要に応じて加熱しながらロールプレス機などを用いて圧縮成型することにより、正極活物質層21Bを形成する。この場合には、圧縮成型を複数回に渡って繰り返してもよい。
次に、上記した負極の作製手順と同様の手順によって負極集電体22Aの両面に負極活物質層22Bを形成することにより、負極22を作製する。
次に、正極21および負極22を用いて電池素子20を作製する。最初に、溶接などによって正極集電体21Aおよび負極集電体22Aにそれぞれ正極リード24および負極リード25を取り付ける。続いて、セパレータ23を介して正極21および負極22を積層させたのち、長手方向において巻回させる。最後に、扁平な形状となるように成形することにより、電池素子20を形成する。
最後に、二次電池を組み立てる。まず、電池缶11の内部に電池素子20を収納したのち、その電池素子20上に絶縁板12を配置する。続いて、溶接などによって正極リード24および負極リード25をそれぞれ正極ピン15および電池缶11に接続させたのち、レーザ溶接などによって電池缶11の開放端部に電池蓋13を固定する。最後に、注入孔19から電池缶11の内部に電解液を注入してセパレータ23に含浸させたのち、その注入孔19を封止部材19Aで塞ぐ。これにより、図5および図6に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極21からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して負極22に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極22からリチウムイオンが放出され、セパレータ23に含浸された電解液を介して正極21に吸蔵される。
この角型の二次電池によれば、負極22が上記した負極と同様の構成を有しているので、充放電を繰り返しても放電容量が低下しにくくなる。したがって、サイクル特性を向上させることができる。この場合には、負極22が高容量化に有利なケイ素を含む場合にサイクル特性が向上するため、炭素材料などの他の負極材料を含む場合よりも高い効果を得ることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、上記した負極と同様である。
特に、電池缶11が固い金属製であれば、柔らかいフィルム製である場合と比較して、負極活物質層22Bが膨張および収縮した際に負極22が破損しにくくなる。したがって、サイクル特性をより向上させることができる。この場合には、電池缶11がアルミニウムよりも固い鉄製であれば、より高い効果を得ることができる。
(第2の二次電池)
図7および図8は第2の二次電池の断面構成を表しており、図8では図7に示した巻回電極体40の一部を拡大して示している。この二次電池は、例えば、上記した第1の二次電池と同様にリチウムイオン二次電池であり、ほぼ中空円柱状の電池缶31の内部に、正極41および負極42がセパレータ43を介して巻回された巻回電極体40と、一対の絶縁板32,33とが収納されたものである。この電池缶31を含む電池構造は、いわゆる円筒型と呼ばれている。
電池缶31は、例えば、上記した第1の二次電池における電池缶11と同様の金属材料によって構成されており、その一端部および他端部はそれぞれ閉鎖および開放されている。一対の絶縁板32,33は、巻回電極体40を挟み、その巻回周面に対して垂直に延在するように配置されている。
電池缶31の開放端部には、電池蓋34と、その内側に設けられた安全弁機構35および熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient:PTC素子)36とがガスケット37を介してかしめられて取り付けられている。これにより、電池缶31の内部は密閉されている。電池蓋34は、例えば、電池缶31と同様の材料によって構成されている。安全弁機構35は、熱感抵抗素子36を介して電池蓋34と電気的に接続されている。この安全弁機構35では、内部短絡あるいは外部からの加熱などに起因して内圧が一定以上となった場合に、ディスク板35Aが反転して電池蓋34と巻回電極体40との間の電気的接続が切断されるようになっている。熱感抵抗素子36は、温度の上昇に応じて抵抗が増大することによって電流を制限し、大電流に起因する異常な発熱を防止するものである。ガスケット37は、例えば、絶縁材料によって構成されており、その表面にはアスファルトが塗布されている。
巻回電極体40の中心には、例えば、センターピン44が挿入されていてもよい。この巻回電極体40では、アルミニウムなどによって構成された正極リード45が正極41に接続されており、ニッケルなどによって構成された負極リード46が負極42に接続されている。正極リード45は、安全弁機構35に溶接されて電池蓋34と電気的に接続されており、負極リード46は、電池缶31に溶接されて電気的に接続されている。
正極41は、例えば、帯状の正極集電体41Aの両面に正極活物質層41Bが設けられたものである。負極42は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、帯状の負極集電体42Aの両面に負極活物質層42Bが設けられたものである。正極集電体41A、正極活物質層41B、負極集電体42A、負極活物質層42Bおよびセパレータ43の構成、ならびに電解液の組成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成、ならびに電解液の組成と同様である。
この二次電池は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、例えば、上記した第1の二次電池における正極21および負極22の作製手順と同様の手順により、正極集電体41Aの両面に正極活物質層41Bが設けられた正極41を作製すると共に、負極集電体42Aの両面に負極活物質層42Bが設けられた負極42を作製する。続いて、正極41に正極リード45を取り付けると共に、負極42に負極リード46を取り付ける。続いて、正極41および負極42をセパレータ43を介して巻回させて巻回電極体40を形成し、正極リード45の先端部を安全弁機構35に溶接すると共に負極リード46の先端部を電池缶31に溶接したのち、巻回電極体40を一対の絶縁板32,33で挟みながら電池缶31の内部に収納する。続いて、電池缶31の内部に電解液を注入してセパレータ43に含浸させる。最後に、電池缶31の開口端部に電池蓋34、安全弁機構35および熱感抵抗素子36をガスケット37を介してかしめて固定する。これにより、図7および図8に示した二次電池が完成する。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極41からリチウムイオンが放出され、電解液を介して負極42に吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極42からリチウムイオンが放出され、電解液を介して正極41に吸蔵される。
この円筒型の二次電池によれば、負極42が上記した負極と同様の構成を有しているので、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の電池と同様である。
(第3の二次電池)
図9は第3の二次電池の分解斜視構成を表しており、図10は図9に示したX−X線に沿った断面を拡大して示している。この二次電池は、正極リード51および負極リード52が取り付けられた巻回電極体50がフィルム状の外装部材60の内部に収納されたものである。この外装部材60を含む電池構造は、いわゆるラミネートフィルム型と呼ばれている。
正極リード51および負極リード52は、例えば、いずれも外装部材60の内部から外部に向かって同一方向に導出されている。正極リード51は、例えば、アルミニウムなどの金属材料によって構成されており、負極リード52は、例えば、銅、ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によって構成されている。これらは、例えば、薄板状あるいは網目状になっている。
外装部材60は、例えば、ナイロンフィルム、アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムがこの順に貼り合わされたアルミラミネートフィルムによって構成されている。この外装部材60は、例えば、ポリエチレンフィルムが巻回電極体50と対向するように、2枚の矩形型のアルミラミネートフィルムの外縁部同士が融着あるいは接着剤によって互いに接着された構造を有している。
外装部材60と正極リード51および負極リード52との間には、外気の侵入を防止するために密着フィルム61が挿入されている。この密着フィルム61は、正極リード51および負極リード52に対して密着性を有する材料によって構成されている。この種の材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂が挙げられる。
なお、外装部材60は、上記したアルミラミネートフィルムに代えて、他の積層構造を有するラミネートフィルムによって構成されていてもよいし、ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムによって構成されていてもよい。
巻回電極体50は、正極53および負極54がセパレータ55および電解質56を介して積層されたのちに巻回されたものであり、その最外周部は保護テープ57によって保護されている。
正極53は、例えば、一対の面を有する正極集電体53Aの両面に正極活物質層53Bが設けられたものである。負極54は、上記した負極と同様の構成を有しており、例えば、帯状の負極集電体54Aの両面に負極活物質層54Bが設けられたものである。正極集電体53A、正極活物質層53B、負極集電体54A、負極活物質層54Bおよびセパレータ55の構成は、それぞれ上記した第1の二次電池における正極集電体21A、正極活物質層21B、負極集電体22A、負極活物質層22Bおよびセパレータ23の構成と同様である。
電解質56は、電解液と、それを保持する高分子化合物とを含んでおり、いわゆるゲル電解質である。ゲル電解質は、高いイオン伝導率(例えば室温で1mS/cm以上)が得られると共に漏液が防止されるので好ましい。この電解質56は、例えば、正極53とセパレータ55との間および負極54とセパレータ55との間に設けられている。
高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデンとポリヘキサフルオロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、ポリスチレンあるいはポリカーボネートなどが挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、高分子化合物としては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンあるいはポリエチレンオキサイドが好ましい。電気化学的に安定だからである。
電解液の組成は、第1の二次電池における電解液の組成と同様である。ただし、この場合の溶媒とは、液状の溶媒だけでなく、電解質塩を解離させることが可能なイオン伝導性を有するものまで含む広い概念である。したがって、イオン伝導性を有する高分子化合物を用いる場合には、その高分子化合物も溶媒に含まれる。
なお、電解液を高分子化合物に保持させたゲル状の電解質56に代えて、電解液がそのまま用いられてもよい。この場合には、電解液がセパレータ55に含浸される。
このゲル状の電解質56を備えた二次電池は、例えば、以下のようにして製造される。
まず、上記した第1の二次電池における正極21および負極22の作製手順と同様の手順により、正極集電体53Aの両面に正極活物質層53Bが設けられた正極53を作製すると共に、負極集電体54Aの両面に負極活物質層54Bが設けられた負極54を作製する。続いて、電解液と、高分子化合物と、溶剤とを含む前駆溶液を調製し、正極53および負極54のそれぞれに塗布したのちに溶剤を揮発させることにより、ゲル状の電解質56を形成する。続いて、正極集電体53Aに正極リード51を取り付けると共に、負極集電体54Aに負極リード52を取り付ける。続いて、電解質56が形成された正極53および負極54をセパレータ55を介して積層させたのち、長手方向に巻回させると共に最外周部に保護テープ57を接着させて巻回電極体50を形成する。続いて、例えば、外装部材60の間に巻回電極体50を挟み込み、その外装部材60の外縁部同士を熱融着などで密着させて巻回電極体50を封入する。その際、正極リード51および負極リード52と外装部材60との間に、密着フィルム61を挿入する。これにより、図9および図10に示した二次電池が完成する。
なお、上記した二次電池は、以下のようにして製造されてもよい。まず、正極53および負極54にそれぞれ正極リード51および負極リード52を取り付けたのち、それらの正極53および負極54をセパレータ55を介して積層および巻回させると共に最外周部に保護テープ57を接着させることにより、巻回電極体50の前駆体である巻回体を形成する。続いて、外装部材60の間に巻回体を挟み込み、一辺の外周縁部を除く残りの外周縁部を熱融着などで密着させることにより、袋状の外装部材60の内部に収納する。続いて、電解液と、高分子化合物の原料であるモノマーと、重合開始剤と、必要に応じて重合禁止剤などの他の材料とを含む電解質用組成物を調製し、袋状の外装部材60の内部に注入したのち、外装部材60の開口部を熱融着などで密封する。最後に、モノマーを熱重合させて高分子化合物とすることにより、ゲル状の電解質56を形成する。これにより、図9および図10に示した二次電池が完成する。
このラミネートフィルム型の二次電池によれば、負極54が上記した負極と同様の構成を有しているので、サイクル特性を向上させることができる。この二次電池に関する上記以外の効果は、第1の二次電池と同様である。
本発明の実施例について詳細に説明する。
(実施例1−1)
以下の手順により、図9および図10に示したラミネートフィルム型の二次電池を製造した。この際、負極54の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池となるようにした。
まず、正極53を作製した。最初に、炭酸リチウム(Li2 CO3 )と炭酸コバルト(CoCO3 )とを0.5:1のモル比で混合したのち、空気中において900℃で5時間焼成することにより、リチウム・コバルト複合酸化物(LiCoO2 )を得た。続いて、正極活物質としてリチウム・コバルト複合酸化物91質量部と、導電剤としてグラファイト6質量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3質量部とを混合して正極合剤としたのち、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることにより、ペースト状の正極合剤スラリーとした。最後に、帯状のアルミニウム箔(厚さ=12μm)からなる正極集電体53Aの両面に正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させたのち、ロールプレス機で圧縮成型することにより、正極活物質層53Bを形成した。
次に、負極54を作製した。最初に、電解銅箔からなる負極集電体54A(厚さ=18μm,十点平均粗さRz=3.5μm)を準備したのち、チャンバ内に連続的に酸素ガスおよび必要に応じて水蒸気を導入しながら偏向式電子ビーム蒸着源を用いた電子ビーム蒸着法によって負極集電体54Aの両面にケイ素を堆積させることにより、複数の粒子状の負極活物質を単層構造(厚さ=5.8μm)となるように形成した。この際、蒸着源として純度99%のケイ素を用い、堆積速度を10nm/秒とし、負極活物質粒子中における酸素含有量を3原子数%とした。最後に、液相析出法によって酸化ケイ素(SiO2 )を析出させて酸化物含有膜を形成することにより、負極活物質層54Bを形成した。この酸化物含有膜を形成する場合には、ケイ素のフッ化物錯体の溶液に、アニオン補足剤としてフッ素を配位しやすい溶存種を添加して混合したのち、それに負極活物質が形成された負極集電体54Aを浸積して、フッ化物錯体から生じるフッ素アニオンを溶存種に補足させることにより、負極活物質の表面に酸化物を析出させた。この際、酸化物の析出時間(微細孔内に入り込ませる酸化物含有膜の量)を調整することにより、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /gとした。このケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積については、負極活物質が形成された負極集電体54Aの総重量から負極集電体54Aの重量を差し引いた値(負極活物質であるケイ素の重量)と、Micromeritics 社製の水銀ポロシメータ(オートポア9500シリーズ)を用いて3nm以上50nm以下の孔径について測定した水銀の浸入量の値(微細孔群の容積)とから算出した。
次に、正極集電体53Aの一端にアルミニウム製の正極リード51を溶接して取り付けたと共に、負極集電体54Aの一端にニッケル製の負極リード52を溶接して取り付けた。続いて、正極53と、多孔性のポリプロピレンを主成分とするフィルムによって多孔性ポリエチレンを主成分とするフィルムが挟まれた3層構造のポリマーセパレータ55(厚さ=23μm)と、負極54と、上記したポリマーセパレータ55とをこの順に積層し、長手方向に巻回させたのち、粘着テープからなる保護テープ57で巻き終わり部分を固定することにより、巻回電極体50の前駆体である巻回体を形成した。続いて、外側から、ナイロン(厚さ=30μm)と、アルミニウム(厚さ=40μm)と、無延伸ポリプロピレン(厚さ=30μm)とが積層された3層構造のラミネートフィルム(総厚=100μm)からなる外装部材60の間に巻回体を挟み込んだのち、一辺を除く外縁部同士を熱融着することにより、袋状の外装部材60の内部に巻回体を収納した。続いて、外装部材60の開口部から電解液を注入してセパレータ55に含浸させることにより、巻回電極体50を形成した。
この電解液を調製する際には、溶媒として炭酸エチレン(EC)と炭酸ジエチル(DEC)とを混合した混合溶媒を用い、電解質塩として六フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を用いた。この際、混合溶媒の組成(EC:DEC)を重量比で50:50とし、電解質塩の濃度を1mol/kgとした。
最後に、真空雰囲気中において外装部材60の開口部を熱融着して封止することにより、ラミネートフィルム型の二次電池が完成した。この二次電池については、負極54の充放電容量が正極53の充放電容量よりも大きくなるように正極活物質層53Bの厚さを調節することにより、満充電時において負極54にリチウム金属が析出しないようにした。
(実施例1−2〜1−14)
ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /gに代えて、0.1cm3 /g(実施例1−2)、0.09cm3 /g(実施例1−3)、0.08cm3 /g(実施例1−4)、0.07cm3 /g(実施例1−5)、0.06cm3 /g(実施例1−6)、0.05cm3 /g(実施例1−7)、0.04cm3 /g(実施例1−8)、0.03cm3 /g(実施例1−9)、0.02cm3 /g(実施例1−10)、0.01cm3 /g(実施例1−11)、0.005cm3 /g(実施例1−12)、0.001cm3 /g(実施例1−13)、あるいは0cm3 /g(実施例1−14)としたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。
(比較例1−1)
酸化物含有膜を形成しなかったことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。この場合には、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積は0.4cm3 /gであった。
(比較例1−2,1−3)
ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.35cm3 /g(比較例1−2)あるいは0.3cm3 /g(比較例1−3)としたことを除き、実施例1−1と同様の手順を経た。
これらの実施例1−1〜1−14および比較例1−1〜1−3の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表1および図11に示した結果が得られた。
サイクル特性を調べる際には、以下の手順でサイクル試験を行って放電容量維持率を求めた。まず、電池状態を安定化させるために23℃の雰囲気中で1サイクル充放電させたのち、再び充放電させて2サイクル目の放電容量を測定した。続いて、同雰囲気中で99サイクル充放電させて101サイクル目の放電容量を測定した。最後に、放電容量維持率(%)=(101サイクル目の放電容量/2サイクル目の放電容量)×100を算出した。この際、充電条件としては、3mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに到達するまで充電したのち、引き続き4.2Vの定電圧で電流密度が0.3mA/cm2 に到達するまで充電した。また、放電条件としては、3mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに到達するまで放電した。
なお、サイクル特性を調べる際の手順および条件は、以降の一連の実施例および比較例に関する同特性の評価についても同様である。
Figure 0005245425
表1および図11に示したように、酸化物含有膜として液相析出法によって酸化ケイ素を形成した場合には、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が小さくなるにしたがって放電容量維持率が次第に高くなった。この結果は、酸化物含有膜が微細孔内に入り込むと負極活物質の表面積が小さくなるため、充放電時に電解液が分解しにくくなることを表している。この場合には、容積が0.2cm3 /g以下である実施例1−1〜1−14において、その範囲外である比較例1−1〜1−3よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。特に、容積が0.05cm3 /g以下であると放電容量維持率がより高くなり、0cm3 /gであると放電容量維持率が最大になった。これらのことから、本発明の二次電池では、ケイ素を含有する負極活物質と共に酸化物含有膜を形成した場合に、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /g以下とすることにより、サイクル特性が向上することが確認された。この場合には、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gとすれば、より高い効果が得られることも確認された。
(実施例2−1〜2−9)
蒸着源に対して負極集電体54Aを相対的に往復移動させながら6回に渡ってケイ素を堆積して積層させることにより、負極活物質を6層構造となるように形成したことを除き、実施例1−1,1−2,1−4,1−7,1−10〜1−14と同様の手順を経た。この際、堆積速度を100nm/秒とした。
(比較例2)
実施例2−1〜2−9と同様に負極活物質を6層構造となるようにしたことを除き、比較例1−3と同様の手順を経た。
これらの実施例2−1〜2−9および比較例2の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表2および図12に示した結果が得られた。
Figure 0005245425
表2および図12に示したように、負極活物質が6層構造である実施例2−1〜2−9においても、単層構造である実施例1−1〜1−14と同様の結果が得られた。すなわち、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が0.2cm3 /g以下である実施例2−1〜2−9では、その範囲外である比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなり、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであると放電容量維持率がより高くなった。これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質の層数を変更した場合においてもサイクル特性が向上することが確認された。
(実施例3−1〜3−6)
ケイ素のフッ化物錯体の溶液に代えてゲルマニウムのフッ化物錯体の溶液を用い、酸化物含有膜として酸化ケイ素に代えて酸化ゲルマニウム(GeO2 )を形成したことを除き、実施例2−1,2−2,2−4,2−5,2−7,2−9と同様の手順を経た。
(比較例3)
実施例3−1〜3−6と同様に酸化物含有膜として酸化ゲルマニウムを形成したことを除き、比較例2と同様の手順を経た。
(実施例4−1〜4−6)
ケイ素のフッ化物錯体の溶液に代えてスズのフッ化物錯体の溶液を用い、酸化物含有膜として酸化ケイ素に代えて酸化スズ(SnO2 )を形成したことを除き、実施例2−1,2−2,2−4,2−5,2−7,2−9と同様の手順を経た。
(比較例4)
実施例4−1〜4−6と同様に酸化物含有膜として酸化スズを形成したことを除き、比較例2と同様の手順を経た。
これらの実施例3−1〜3−6,4−1〜4−6および比較例3,4の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表3および表4に示した結果が得られた。
Figure 0005245425
Figure 0005245425
表3および表4に示したように、酸化物含有膜として液相析出法によって酸化ゲルマニウムあるいは酸化スズを形成した実施例3−1〜3−6,4−1〜4−6においても、酸化ケイ素を形成した実施例1−1〜1−14と同様の結果が得られた。すなわち、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が0.2cm3 /g以下である実施例3−1〜3−6,4−1〜4−6では、その範囲外である比較例3,4よりも放電容量維持率が大幅に高くなり、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであると放電容量維持率がより高くなった。この場合には、酸化ケイ素を形成した場合において、放電容量維持率がより高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、酸化物含有膜の種類を変更した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、酸化ケイ素を用いればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例5−1〜5−3)
酸化物含有膜の形成方法として、液相析出法に代えて、ゾルゲル法(実施例5−1)、塗布法(実施例5−2)、あるいはディップコーティング法(実施例5−3)を用いたことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。
これらの実施例5−1〜5−3の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表5に示した結果が得られた。なお、表5には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表5に示したように、ゾルゲル法等によって酸化物含有膜を形成した実施例5−1〜5−3においても、液相析出法によって酸化物含有膜を形成した実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。この場合には、液相析出法を用いた場合において、放電容量維持率がより高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、酸化物含有膜の形成方法を変更した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、液相析出法を用いればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例6−1)
負極活物質を形成したのち、酸化物含有膜に代えて、リチウムと合金化しない金属材料を形成したことを除き、実施例2−1〜2−9と同様の手順を経た。この金属材料を形成する場合には、鍍金浴にエアーを供給しながら電解鍍金法によって負極集電体54Aの両面にコバルトを堆積させた。この際、鍍金液として日本高純度化学株式会社製のコバルト鍍金液を用い、電流密度を2A/dm2 〜5A/dm2 とし、鍍金速度を10nm/秒とした。また、鍍金時間を調整することにより、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /gとした。
(実施例6−2〜6−6)
ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /gに代えて、0.1cm3 /g(実施例6−2)、0.05cm3 /g(実施例6−3)、0.02cm3 /g(実施例6−4)、0.005cm3 /g(実施例6−5)、あるいは0cm3 /g(実施例6−6)としたことを除き、実施例6−1と同様の手順を経た。
(比較例6)
実施例6−1と同様に金属材料を形成したことを除き、比較例2と同様の手順を経た。
これらの実施例6−1〜6−6および比較例6の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表6に示した結果が得られた。
Figure 0005245425
表6に示したように、金属材料として電解鍍金法によってコバルトを形成した場合には、酸化物含有膜を形成した実施例2−1〜2−9と同様の結果が得られた。すなわち、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が0.2cm3 /g以下である実施例6−1〜6−6では、その範囲外である比較例6よりも放電容量維持率が大幅に高くなり、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであると放電容量維持率がより高くなった。これらのことから、本発明の二次電池では、ケイ素を含有する負極活物質と共に金属材料を形成した場合に、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /g以下とすることによりサイクル特性が向上すると共に、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gとすればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例7−1〜7−6)
電解鍍金法に代えて、無電解鍍金法によって金属材料を形成したことを除き、実施例6−1〜6−6と同様の手順を経た。この際、鍍金液として日本高純度化学株式会社製の無電解コバルト鍍金液を用い、鍍金時間を60分とした。
(比較例7)
実施例7−1〜7−6と同様に無電解鍍金法によって金属材料を形成したことを除き、比較例2と同様の手順を経た。
これらの実施例7−1〜7−6および比較例7の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表7に示した結果が得られた。
Figure 0005245425
表7に示したように、無電解鍍金法によって金属材料を形成した実施例7−1〜7−6においても、電解鍍金法によって金属材料を形成した実施例6−1〜6−6と同様の結果が得られた。すなわち、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が0.2cm3 /g以下である実施例7−1〜7−6では、その範囲外である比較例7よりも放電容量維持率が大幅に高くなり、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gであると放電容量維持率がより高くなった。これらのことから、本発明の二次電池では、金属材料の形成方法を変更した場合においてもサイクル特性が向上することが確認された。
(実施例8−1〜8−4)
金属材料の形成材料としてコバルト鍍金液に代えて、ニッケル鍍金液(実施例8−1)、鉄鍍金液(実施例8−2)、亜鉛鍍金液(実施例8−3)、あるいは銅鍍金液(実施例8−4)を用いたことを除き、実施例6−4と同様の手順を経た。この際、電流密度として、ニッケル鍍金液を用いる場合には2A/dm2 〜10A/dm2 とし、鉄鍍金液を用いる場合には2A/dm2 〜5A/dm2 とし、亜鉛鍍金液を用いる場合には1A/dm2 〜3A/dm2 とし、銅鍍金液を用いる場合には2A/dm2 〜8A/dm2 とした。上記した一連の鍍金液は、いずれも日本高純度化学株式会社製である。
これらの実施例8−1〜8−4の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表8に示した結果が得られた。なお、表8には、実施例6−4および比較例6の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表8に示したように、金属材料としてニッケル等を形成した実施例8−1〜8−4においても、コバルトを形成した実施例6−4と同程度の放電容量維持率が得られ、その放電容量維持率は比較例6よりも大幅に高くなった。この場合には、金属材料としてコバルトを用いた場合において、放電容量維持率がより高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、金属材料の種類を変更した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、金属材料としてコバルトを用いればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例9−1〜9−6)
負極活物質中における酸素の含有量を3原子数%に代えて、2原子数%(実施例9−1)、10原子数%(実施例9−2)、20原子数%(実施例9−3)、30原子数%(実施例9−4)、40原子数%(実施例9−5)、あるいは45原子数%(実施例9−6)としたことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。
これらの実施例9−1〜9−6の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表9および図13に示した結果が得られた。なお、表9には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表9に示したように、負極活物質中における酸素の含有量が異なる実施例9−1〜9−6においても、実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。この場合には、表9および図13に示したように、酸素の含有量が多くなるにしたがって放電容量維持率が増加したのちに減少する傾向を示し、その含有量が3原子数%よりも少なくなると放電容量維持率が大幅に減少した。ただし、含有量が40原子数%よりも多くなると、十分な放電容量維持率は得られたが、電池容量が低下した。これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質中における酸素の含有量を変更した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、その含有量を3原子数%以上40原子数%以下にすればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例10−1〜10−3)
チャンバ内に連続的に酸素ガス等を導入しながらケイ素を堆積させて負極活物質に酸素を含有させる代わりに、チャンバ内に断続的に酸素ガス等を導入しながらケイ素を堆積させることにより、第1の酸素含有領域とそれよりも酸素含有量が高い第2の酸素含有領域とが交互に積層されるように負極活物質を形成したことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。この際、第2の酸素含有領域中における酸素の含有量を3原子数%とし、その数を2つ(実施例10−1)、4つ(実施例10−2)、あるいは6つ(実施例10−3)とした。
これらの実施例10−1〜10−3の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表10に示した結果が得られた。なお、表10には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表10に示したように、負極活物質が第1および第2の酸素含有領域を有する実施例10−1〜10−3においても、実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。この場合には、第2の酸素含有領域の数が多くなるにしたがって放電容量維持率が高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、第1および第2の酸素含有領域を有するように負極活物質粒子を構成した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、その第2の酸素含有領域の数を増やせばより高い効果が得られることが確認された。
(実施例11−1〜11−6)
純度99%のケイ素と共に純度99.9%の金属元素を蒸着源として用いて双方を含有する負極活物質を形成したことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。この際、金属元素として、鉄(実施例11−1)、ニッケル(実施例11−2)、モリブデン(実施例11−3)、チタン(実施例11−4)、クロム(実施例11−5)、あるいはコバルト(実施例11−6)を用いた。この際、金属元素の蒸着量を調整し、負極活物質中における金属元素の含有量を5原子数%とした。
これらの実施例11−1〜11−6の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表11に示した結果が得られた。なお、表11には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表11に示したように、負極活物質がケイ素と共に金属元素を含有する実施例11−1〜11−6においても、実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。この場合には、実施例2−5よりも放電容量維持率が高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質に金属元素を含有させた場合においてもサイクル特性が向上すると共に、その金属元素を含有させればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例12−1)
電子ビーム蒸着法に代えて、RFマグネトロンスパッタ法を用いて負極活物を形成したことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。この際、純度99.99%のケイ素をターゲットとして用い、堆積速度を0.5nm/秒とした。
(実施例12−2)
電子ビーム蒸着法に代えて、CVD法を用いて負極活物質を形成したことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。この際、原材料および励起ガスとしてそれぞれシランおよびアルゴンを用い、堆積速度および基板温度をそれぞれ1.5nm/秒および200℃とした。
これらの実施例12−1,12−2の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表12に示した結果が得られた。なお、表12には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表12に示したように、負極活物質の形成方法が異なる実施例12−1,12−2においても、実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。この場合には、負極活物質の形成方法としてCVD法、スパッタ法および電子ビーム蒸着法の順に放電容量維持率が高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、負極活物質の形成方法を変更した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、蒸着法を用いればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例13−1〜13−7)
負極集電体54Aの表面の十点平均粗さRzを3.5μmに代えて、1μm(実施例13−1)、1.5μm(実施例13−2)、2.5μm(実施例13−3)、4.5μm(実施例13−4)、5.5μm(実施例13−5)、6.5μm(実施例13−6)、あるいは7μm(実施例13−7)としたことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。
これらの実施例13−1〜13−7の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表13および図14に示した結果が得られた。なお、表13には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表13に示したように、十点平均粗さRzが異なる実施例13−1〜13−7においても、実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。この場合には、表13および図14に示したように、十点平均粗さRzが大きくなるにしたがって放電容量維持率が増加したのちに減少する傾向を示し、十点平均粗さRzが1.5μmよりも小さくなるか、あるいは6.5μmよりも大きくなると、放電容量維持率が大幅に減少した。このことから、本発明の二次電池では、負極集電体54Aの表面の十点平均粗さRzを変更した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、その十点平均粗さRzを1.5μm以上6.5μm以下にすればより高い効果が得られることが確認された。
(実施例14−1)
溶媒としてECに代えて、フッ素化炭酸エステル(炭酸モノフルオロエチレン)である4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(FEC)を用いたことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。
(実施例14−2)
溶媒としてフッ素化炭酸エステル(炭酸ジフルオロエチレン)である4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(DFEC)を加え、混合溶媒の組成(EC:DFEC:DEC)を重量比で25:5:70としたことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。
(実施例14−3,14−4)
電解液に溶媒として不飽和結合を有する環状炭酸エステルである炭酸ビニレン(VC:実施例14−3)あるいは炭酸ビニルエチレン(VEC:実施例14−4)を加えたことを除き、実施例14−1と同様の手順を経た。この際、電解液中におけるVC,VECの含有量を10重量%とした。
(実施例14−5)
電解液に溶媒としてスルトンである1,3−プロペンスルトン(PRS)を加えたことを除き、実施例14−1と同様の手順を経た。この際、電解液中におけるPRSの濃度を1重量%とした。
(実施14−6)
電解液に電解質塩として四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4 )を加えたことを除き、実施例14−1と同様の手順を経た。この際、電解液中におけるLiBF4 の濃度を0.1mol/kgとした。
これらの実施例14−1〜14−6の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表14に示した結果が得られた。なお、表14には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
この際、実施例2−5,14−5の二次電池については、サイクル特性等だけでなく膨れ特性も調べた。この膨れ特性を調べる際には、以下の手順で二次電池を充電させて膨れ率を求めた。まず、電池状態を安定化させるために23℃の雰囲気中で1サイクル充放電させて2サイクル目の充電前の厚さを測定した。続いて、同雰囲気中で再び充電させたのち、2サイクル目の充電後の厚さを測定した。最後に、膨れ率(%)=[(充電後の厚さ−充電前の厚さ)/充電前の厚さ]×100を算出した。この際、充電条件としては、サイクル特性を調べた場合と同様にした。
Figure 0005245425
表14に示したように、溶媒の組成および電解質塩の種類が異なる実施例14−1〜14−6においても、実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。このことから、本発明の二次電池では、溶媒の組成や電解質塩の種類を変更した場合においてもサイクル特性が向上することが確認された。
特に、実施例14−1,14−2では、実施例2−5よりも放電容量維持率が高くなった。この場合には、溶媒がFECよりもDFECを含む場合において放電容量維持率がより高くなる傾向を示した。これらのことから、溶媒にフッ素化炭酸エステルを含有させればサイクル特性がより向上すると共に、フッ素化炭酸エステルとして炭酸モノフルオロエチレンよりも炭酸ジルフルオロエチレンを用いればより高い効果が得られることが確認された。
また、実施例14−3〜14−6では、実施例2−5よりも放電容量維持率が高くなった。この場合には、溶媒がPRSあるいはLiBF4 よりもVCあるいはVECを含む場合において放電容量維持率がより高くなる傾向を示した。このことから、溶媒に不飽和結合を有する環状炭酸エステル、スルトン、あるいはホウ素およびフッ素を有する電解質塩を含有させればサイクル特性がより向上すると共に、不飽和結合を有する環状炭酸エステルを用いればより高い効果が得られることが確認された。
なお、溶媒がPRSを含む実施例14−5では、それを含まない実施例2−5よりも膨れ率が大幅に小さくなった。このことから、本発明の二次電池では、溶媒にスルトン等を含有させることにより膨れ特性が向上することが確認された。
(実施例15−1)
以下の手順により、ラミネートフィルム型の二次電池に代えて、図5および図6に示した角型の二次電池を製造したことを除き、実施例2−5と同様の手順を経た。
まず、正極21および負極22を作製したのち、正極集電体21Aおよび負極集電体22Aにそれぞれアルミニウム製の正極リード24およびニッケル製の負極リード25を溶接した。続いて、正極21と、セパレータ23と、負極22とをこの順に積層し、長手方向において巻回させたのち、扁平状に成形することにより、電池素子20を作製した。続いて、アルミニウム製の電池缶11の内部に電池素子20を収納したのち、その電池素子20上に絶縁板12を配置した。続いて、正極リード24および負極リード25をそれぞれ正極ピン15および電池缶11に溶接したのち、電池缶11の開放端部に電池蓋13をレーザ溶接して固定した。最後に、注入孔19を通じて電池缶11の内部に電解液を注入し、その注入孔19を封止部材19Aで塞ぐことにより、角形電池が完成した。
(実施例15−2)
アルミニウム製の電池缶11に代えて、鉄製の電池缶11を用いたことを除き、実施例15−1と同様の手順を経た。
これらの実施例15−1,15−2の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表15に示した結果が得られた。なお、表15には、実施例2−5および比較例2の結果も併せて示した。
Figure 0005245425
表15に示したように、電池構造が異なる実施例15−1,15−2においても、実施例2−5と同様に、比較例2よりも放電容量維持率が大幅に高くなった。この場合には、実施例2−5よりも放電容量維持率が高くなり、電池缶11がアルミニウム製よりも鉄製である場合において放電容量維持率がより高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、電池構造を変更した場合においてもサイクル特性が向上すると共に、電池構造をラミネートフィルム型よりも角型とすればサイクル特性がより向上し、鉄製の電池缶11を用いればより高い効果が得られることが確認された。なお、ここでは具体的な実施例を挙げて説明しないが、外装部材が金属材料からなる角型の二次電池においてラミネートフィルム型の二次電池よりもサイクル特性および膨れ特性が向上したことから、外装部材が金属材料からなる円筒型の二次電池においても同様の結果が得られることは明らかである。
(実施例16−1〜16−4)
蒸着源に対する負極集電体54Aの往復移動速度を変化させることにより、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積を0.2cm3 /g(実施例16−1)、0.05cm3 /g(実施例16−2)、0.01cm3 /g(実施例16−3)、あるいは0cm3 /g(実施例16−4)としたことを除き、実施例2−1〜2−9と同様の手順を経た。このケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積については、負極活物質が形成された負極集電体54Aの総重量から負極集電体54Aの重量を差し引いた値(負極活物質であるケイ素の重量)と、Micromeritics 社製の水銀ポロシメータ(オートポア9500シリーズ)を用いて3nm以上20nm以下の孔径について測定した水銀の浸入量の値(極微細孔群の容積)とから算出した。
(比較例16)
ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積を0.3cm3 /gとしたことを除き、比較例2と同様の手順を経た。
これらの実施例16−1〜16−4および比較例16の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表16に示した結果が得られた。
Figure 0005245425
表16に示したように、酸化物含有膜を形成した場合には、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積が0.2cm3 /g以下である実施例16−1〜16−4において、その範囲外である比較例16よりも放電容量維持率が大幅に高くなり、0.05cm3 /g以下、0cm3 /gであると放電容量維持率がより高くなった。この場合には、細孔群の違い(微細孔群あるいは極微細孔群)に着目すると、極微細孔群に関する実施例16−1〜16−4において、微細孔群に関する実施例2−1,2−4,2−6,2−9よりも放電容量維持率が高くなる傾向を示した。この結果は、負極活物質の表面積を小さくする上では、微細孔群の容積よりも極微細孔群の容積がより大きな影響を及ぼすことを表している。これらのことから、本発明の二次電池では、酸化物含有膜を形成した場合に、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積が0.2cm3 /gであれば、サイクル特性がより向上することが確認された。この場合には、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gとすれば、より高い効果が得られることも確認された。
(実施例17−1〜17−4)
蒸着源に対する負極集電体54Aの往復移動速度を変化させることにより、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積を0.2cm3 /g(実施例17−1)、0.05cm3 /g(実施例17−2)、0.01cm3 /g(実施例17−3)、あるいは0cm3 /g(実施例17−4)としたことを除き、実施例6−1〜6−6と同様の手順を経た。
(比較例17)
ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積を0.3cm3 /gとしたことを除き、比較例6と同様の手順を経た。
これらの実施例17−1〜17−4および比較例17の二次電池についてサイクル特性を調べたところ、表17に示した結果が得られた。
Figure 0005245425
表17に示したように、金属材料を形成した場合には、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積が0.2cm3 /g以下である実施例17−1〜17−4において、その範囲外である比較例17よりも放電容量維持率が大幅に高くなり、0.05cm3 /g以下、0cm3 /gであると放電容量維持率がより高くなった。この場合には、表16に示した結果と同様に、極微細孔群に関する実施例17−1,17−3,17−4において、微細孔群に関する実施例6−1,6−3,6−6よりも放電容量維持率が高くなる傾向を示した。これらのことから、本発明の二次電池では、金属材料を形成した場合に、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積が0.2cm3 /gであれば、サイクル特性がより向上することが確認された。この場合には、0.05cm3 /g以下、さらに0cm3 /gとすれば、より高い効果が得られることも確認された。
これらのことから、表1〜表17および図11〜図14に示した結果から明らかなように、負極活物質がケイ素を含有すると共に微細孔群(3nm以上50nm以下の孔径の細孔群)を有する場合に、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /g以下とすることにより、負極活物質の層数や組成などの条件に依存せずに、サイクル特性が向上することが確認された。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記した実施の形態および実施例において説明した態様に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施の形態および実施例では、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積を0.2cm3 /g以下にするために、必要に応じて微細孔内に酸化物含有膜あるいは金属材料を有するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が0.2cm3 /g以下になるのであれば、微細孔内に他の埋め込み材を有するようにしてもよい。もちろん、埋め込み材が二次電池の性能に特別な影響を与えないものが好ましいことは言うまでもない。
また、上記した実施の形態および実施例では、二次電池の種類として、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に基づいて表されるリチウムイオン二次電池について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。本発明の二次電池は、リチウムを吸蔵および放出することが可能な負極材料の充電容量を正極の充電容量よりも小さくすることにより、負極の容量がリチウムの吸蔵および放出に伴う容量とリチウムの析出および溶解に伴う容量とを含み、かつ、それらの容量の和により表される二次電池についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、電池構造が角型、円筒型およびラミネートフィルム型である場合、ならびに電池素子が巻回構造を有する場合を例に挙げて説明したが、本発明の二次電池は、コイン型あるいはボタン型などの他の電池構造を有する場合や、電池素子が積層構造などの他の構造を有する場合についても同様に適用可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、電極反応物質としてリチウムを用いる場合について説明したが、長周期型周期表におけるナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他の1族元素や、マグネシウム(Mg)あるいはカルシウム(Ca)などの2族元素や、アルミニウムなどの他の軽金属を用いてもよい。この長周期型周期表とは、IUPAC(国際純正・応用化学連合)が提唱する無機化学命名法改訂版によって表されるものである。これらの場合においても、負極活物質として、上記した実施の形態で説明した負極材料を用いることが可能である。
また、上記した実施の形態および実施例では、本発明の負極あるいは二次電池におけるケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積について、実施例の結果から導き出された数値範囲を適正範囲として説明しているが、その説明は、ケイ素の単位重量当たりの微細孔群の容積が上記した範囲外となる可能性を完全に否定するものではない。すなわち、上記した適正範囲は、あくまで本発明の効果を得る上で特に好ましい範囲であり、本発明の効果が得られるのであれば、上記した範囲から多少外れてもよい。このことは、上記した容積に限らず、ケイ素の単位重量当たりの極微細孔群の容積や、負極活物質中における酸素の含有量や、負極集電体の表面の十点平均粗さRzなどについても同様である。
本発明の一実施の形態に係る負極の構成を表す断面図である。 図1に示した負極の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 水銀の浸入量の変化率の分布を表す図である。 図1に示した負極の他の断面構造を表すSEM写真およびその模式図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第1の二次電池の構成を表す断面図である。 図5に示した第1の二次電池のVI−VI線に沿った断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第2の二次電池の構成を表す断面図である。 図7に示した巻回電極体の一部を拡大して表す断面図である。 本発明の一実施の形態に係る負極を備えた第3の二次電池の構成を表す断面図である。 図9に示した巻回電極体のX−X線に沿った断面図である。 容積と放電容量維持率との間の相関を表す図である。 容積と放電容量維持率との間の他の相関を表す図である。 酸素含有量と放電容量維持率との間の相関を表す図である。 十点平均粗さと放電容量維持率との間の相関を表す図である。
符号の説明
1,22A,42A,54A…負極集電体、2,22B,42B,54B…負極活物質層、11,31…電池缶、12,32,33…絶縁板、13,34…電池蓋、14…端子板、15…正極ピン、16…絶縁ケース、17,37…ガスケット、18…開裂弁、19…注入孔、19A…封止部材、20…電池素子、21,41,53…正極、21A,41A,53A…正極集電体、21B,41B,53B…正極活物質層、22,42,54…負極、23,43,55…セパレータ、24,45,51…正極リード、25,46,52…負極リード、35…安全弁機構、35A…ディスク板、36…熱感抵抗素子、40,50…巻回電極体、44…センターピン、56…電解質、57…保護テープ、61…密着フィルム、60…外装部材、201…負極活物質粒子、202(202A〜202C)…細孔、203…金属材料。

Claims (18)

  1. 正極および負極と共に電解液を備え、
    前記負極は、負極集電体と、それに設けられた負極活物質層とを有し、
    前記負極活物質層は、負極活物質を含み、
    前記負極活物質は、ケイ素(Si)を含有すると共に3nm以上50nm以下の孔径の細孔群を有し、
    前記負極活物質層は、前記細孔内に、酸化物含有膜、および電極反応物質と合金化しない金属材料のうちの少なくとも一方を有し、
    ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積は、0.2cm3 /g以下である、
    二次電池。
  2. ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積は、0.05cm3 /g以下である、請求項1記載の二次電池。
  3. ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積は、0cm3 /gである、請求項1記載の二次電池。
  4. ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上20nm以下の孔径の細孔群の容積は、0.2cm3 /g以下である、請求項1記載の二次電池。
  5. ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上20nm以下の孔径の細孔群の容積は、0.05cm3 /g以下である、請求項4記載の二次電池。
  6. ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上20nm以下の孔径の細孔群の容積は、0cm3 /gである、請求項4記載の二次電池。
  7. 前記酸化物含有膜は、ケイ素、ゲルマニウム(Ge)およびスズ(Sn)からなる群のうちの少なくとも1種の酸化物を含有する、請求項記載の二次電池。
  8. 前記酸化物含有膜は、液相析出法、ゾルゲル法、塗布法あるいはディップコーティング法によって形成されている、請求項記載の二次電池。
  9. 前記金属材料は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)および銅(Cu)からなる群のうちの少なくとも1種を含有する、請求項記載の二次電池。
  10. 前記金属材料は、電解鍍金法あるいは無電解鍍金法によって形成されている、請求項記載の二次電池。
  11. 前記負極活物質は、複数の粒子状である、請求項1記載の二次電池。
  12. 前記粒子状の負極活物質は、多層構造を有する、請求項11記載の二次電池。
  13. 前記負極活物質は、気相法によって形成されている、請求項1記載の二次電池。
  14. 前記負極活物質は、酸素を含有し、前記負極活物質中における酸素の含有量は、3原子数%以上40原子数%以下である、請求項1記載の二次電池。
  15. 前記負極活物質は、鉄、コバルト、ニッケル、クロム(Cr)、チタン(Ti)およびモリブデン(Mo)からなる群のうちの少なくとも1種の金属元素を含有する、請求項1記載の二次電池。
  16. 前記負極活物質は、前記負極集電体に連結されていると共に、その負極集電体の表面から前記負極活物質層の厚さ方向に成長している、請求項1記載の二次電池。
  17. リチウムイオン二次電池である、請求項1記載の二次電池。
  18. 負極集電体と、それに設けられた負極活物質層とを有し、
    前記負極活物質層は、負極活物質を含み、
    前記負極活物質は、ケイ素を含有すると共に3nm以上50nm以下の孔径の細孔群を有し、
    前記負極活物質層は、前記細孔内に、酸化物含有膜、および電極反応物質と合金化しない金属材料のうちの少なくとも一方を有し、
    ケイ素の単位重量当たりにおける、水銀ポロシメータを用いて水銀圧入法によって測定される3nm以上50nm以下の孔径の細孔群の容積は、0.2cm3 /g以下である
    負極。
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