JP4208607B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池に関し、特にリチウム二次電池の過放電サイクル特性の向上に関する。
【0002】
【従来の技術】
コバルト酸リチウム(LiCoO2)やマンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム複合酸化物を正極活物質とし、炭素材料を負極活物質としたいわゆるリチウムイオン電池は、金属リチウムを負極とする電池とくらべて充放電の繰り返しに対する安全性に優れ、しかも非リチウム系電池とくらべて4V程度と起電力が高くエネルギー密度も大きいという特徴を有している。
【0003】
しかし、このようなリチウムイオン電池においても未だ課題を抱えており、十分に電池性能を引き出し得ていない。この理由の一つとしては、充放電時に非水溶媒が負極表面上で激しく分解し、充放電効率(サイクル特性)が低下することがあげられる。
【0004】
そこで、炭素系負極を用いたリチウム電池においては、負極での電解液の分解を抑制し、リチウム二次電池の高温下におけるサイクル特性を向上させる目的で、ビニルエチレンカーボネート(VEC)化合物を含有する電解液を用いる技術(例えば、特許文献1参照。)が提案されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−6729号公報(第2頁)
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術に従い、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を正極活物質とし、ビニルエチレンカーボネート(VEC)化合物を含有する電解液を用いて構成したリチウム二次電池は、過放電時に金属製負極集電体より金属(主に銅)の溶出がおこり、負極の集電効率が劣化するとともに、放電時には、溶出した金属が正極表面に析出することにより正極性能が低下すると共に、次回充電時には、溶出した金属が負極表面に析出し負極性能が低下する。このため十分に満足のいく過放電サイクル特性が得られない。
【0007】
他方、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)を正極活物質とし、ビニルエチレンカーボネート(VEC)を含有する電解液を用いて構成したリチウム二次電池では、初期充電時に正極からマンガン(Mn)が溶出し、ビニルエチレンカーボネート(VEC)が負極表面上に良好な保護被膜を形成するのを阻害する。このため、この場合にも十分な過放電サイクル特性が得られない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような炭素系負極を用いたリチウム電池における課題を解決するために案出されたものであり、リチウム二次電池の過放電サイクル特性をさらに向上させることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のリチウム電池は、正極と、負極と、セパレータと、非水溶媒を有する非水電解液とを備えるリチウム二次電池において、前記正極がコバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムとからなる正極活物質を含み、かつ前記非水溶媒が下記一般式(1)で示されるビニルエチレンカーボネート誘導体を含むことを特徴とする。
【化2】
(式中、R1〜R6は、水素原子、ハロゲン基、炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基を表し、これらは同一または異なっていてもよい。)
【0010】
上記構成では、コバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)とを混合して用いるが、このようにすると、意外にも各成分の能力の総和を超える顕著に優れた過放電サイクル特性を得ることができる。
【0011】
前記本発明のリチウム二次電池は、さらに、前記非水溶媒が前記ビニルエチレンカーボネート誘導体を0.5〜3質量%の割合で含む構成とすることができる。
【0012】
上記構成では、ビニルエチレンカーボネート(VEC)誘導体に由来した被膜が好適な厚さで負極上に形成される。このとき、この被膜形成によって得られる電解液の分解を抑制する効果が、被膜形成に起因する電極抵抗の増加という反作用を大幅に上回るため、さらに優れた過放電サイクル特性が得られる。
【0013】
また、前記本発明のリチウム電池は、さらに、前記コバルト酸リチウムと前記マンガン酸リチウムとの質量比が30:70〜70:30の範囲である構成とすることができる。
【0014】
上記構成では、コバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)の混合正極活物質を用いるため、過放電による負極集電体の劣化と正極活物質の溶出に起因した被膜形成阻害が十分に抑制される。この結果、一層優れた過放電サイクル特性が得られる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明電池をポリマー型リチウムイオン二次電池に適用した場合について図面に基づいて以下に詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明の一例であるアルミニウムラミネート外装体を用いたリチウム二次電池の正面図、図2は図1のA−A線矢視断面図、図3はリチウム二次電池に用いる電極体の斜視図である。
【0017】
図1および図2に示すように、本発明に係るポリマー型リチウムイオン二次電池は、アルミニウム箔と樹脂製フィルムを重ね合わせたアルミニウムラミネート外装体3が使用されており、前記アルミニウムラミネート外装体3は、図2に示すように、電極体1を収納するための収納空間2を備えた本体部と、図1に示すように、アルミラミネート外装体3の開口部を封止する周縁封止部4a・4b・4cとを有している。さらに、前記収納空間2内には、電極体1と非水電解液を含むゲル状ポリマーとが収納されている。
【0018】
前記電極体1は、正極5と、負極6と、これら両電極を離間するセパレータとが捲回されてなる偏平渦巻状の構造である。そして、前記正極5および負極6は、集電体の表面に活物質層が形成され、その一部に正極集電タブ7および負極集電タブ8が付設されている。
【0019】
上記構造のポリマー型リチウムイオン二次電池を、以下のようにして作製した。
【0020】
〔正極の作製〕
コバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)とを質量比50:50で混合した正極活物質と、炭素導電剤としてのカーボンブラックと、フッ素系樹脂結着剤(ポリフッ化ビニリデン:PVDF)とを、90:5:5の質量比でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶剤中に混合して正極合剤スラリーを作製した。
【0021】
このスラリーを正極集電体としてのアルミニウム箔(厚さ:15μm)の両面に塗着し、乾燥させた後、圧延して正極板(厚さ:125μm)を作製した。
【0022】
〔負極の作製〕
まず、天然の炭素塊(d002 値=0.336nm、Lc値>100nm)を粉砕し黒鉛粉末(粒径:15〜35μm)を作製した。この黒鉛粉末と、フッ素系樹脂結着剤(ポリフッ化ビニリデン:PVDF)とを、90:10の質量比でN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶剤中に混合して負極合剤スラリーを作製した。
【0023】
このスラリーを負極集電体としての銅箔(厚さ:10μm)の両面に塗着し、乾燥させた後、圧延して負極板(厚さ:120μm)を作製した。
【0024】
なお、ここでは負極活物質として天然黒鉛を用いたが、これに代えて人造黒鉛や人造の炭素質材料を用いることもできる。また、酸化スズ、金属リチウム、ケイ素を炭素材料と混合して用いることもできる。
【0025】
〔電解液の作製〕
まず、エチレンカーボネート(EC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、ジエチルカーボネート(DEC)とが体積比(1013hPa、25℃と換算した場合における)で10:10:80の割合で混合した。これと、添加剤としてのビニルエチレンカーボネート(VEC)とを、質量比99:1で混合して混合溶媒を完成させた。この混合溶媒に1モル/リットルのLiPF6 を溶解し電解液を作製した。
【0026】
ここで、リチウム塩としては上記LiPF6以外に、LiClO4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2、LiN(SO2C2F5)2、LiPF6-X(CnF2n+1)X [但し、1<x≦6, n=1または2]等の1種以上を用いることができる。また、電解液中の支持塩の濃度は特に限定されないが0.8〜1.5mol/lの割合であることが好ましい。
【0027】
〔プレゲル溶液の作製〕
前記電解液と、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量:1000)とを質量比9:1の割合で混合し、さらに重合開始剤(t−ヘキシルパーオキシピバレート)を加えてプレゲル溶液を作製した。
【0028】
〔電池体の作製〕
それぞれに集電タブ7・8を取り付けた前記正負極5・6を、ポリエチレン製のセパレータ(厚さ:20μm)を介して対向させ、巻き取り機にて渦巻状に巻き取ることにより電極体1を作製した。この電極体1と前記プレゲル溶液とを、有底筒状に封止したアルミニウムラミネート外装体の収納空間2内に挿入し、外装体の開口部を封止した後、熱処理してプレゲル溶液をゲル化させ、理論容量が600mAh、厚さが36mm、幅が350mm、長さが620mmのリチウム二次電池を作製した。
【0029】
つぎに、実施例および比較例に基づいて本発明の内容をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1−1)
実施例1−1としては、上記実施の形態に示す方法と同様の方法にて作製したリチウム二次電池を用いた。なお、この電池における正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)とが質量比50:50で混合された混合正極活物質である。
【0030】
(実施例2−1)
実施例1−1で用いた混合正極活物質に代えて、質量比70:30で混合した混合正極活物質を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして電池を作製した。
【0031】
(実施例2−2)
実施例1−1で用いた混合正極活物質に代えて、質量比30:70で混合した混合正極活物質を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして電池を作製した。
【0032】
(実施例3−1)
実施例1−1で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を0.05質量%としたこと以外は実施例1−1と同じ方法で電池を作製した。
【0033】
(実施例3−2)
実施例1−1で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を0.5質量%としたこと以外は実施例1−1と同じ方法で電池を作製した。
【0034】
(実施例3−3)
実施例1−1で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を2.0質量%としたこと以外は実施例1−1と同じ方法で電池を作製した。
【0035】
(実施例3−4)
実施例1−1で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を3.0質量%としたこと以外は実施例1−1と同じ方法で電池を作製した。
【0036】
(実施例3−5)
実施例1−1で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を5.0質量%としたこと以外は実施例1−1と同じ方法で電池を作製した。
【0037】
(比較例1−1)
実施例1−1で用いた混合正極活物質に代えて、コバルト酸リチウム(LiCoO2)のみからなる正極活物質を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして電池を作製した。
【0038】
(比較例1−2)
実施例1−1で用いた混合正極活物質に代えて、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)のみからなる正極活物質を用いたこと以外は実施例1−1と同様にして電池を作製した。
【0039】
(比較例2−1)
実施例1−1で用いた混合正極活物質に代えて、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)のみからなる正極活物質を用い、かつ実施例1−1の電池で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を0質量%(無添加)としたこと以外は実施例1−1と同様にして電池を作製した。
【0040】
(比較例2−2)
実施例1−1で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を0質量%(無添加)としたこと以外は実施例1−1と同様にして電池を作製した。
【0041】
(比較例2−3)
実施例1−1で用いた混合正極活物質に代えて、コバルト酸リチウム(LiCoO2)のみからなる正極活物質を用い、かつ実施例1−1の電池で用いたビニルエチレンカーボネート(VEC)の混合溶媒中の添加量(1.0質量%)に代えて、添加量を0質量%(無添加)としたこと以外は実施例1−1と同様にして電池を作製した。
【0042】
〔実験〕
実施例1−1〜実施例3−5および比較例1−1〜比較例2−3の電池を用いて以下の過放電サイクル特性試験を行い、電池の過放電を伴うサイクル充放電に対する容量維持率と、上記正極活物質としてのコバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムとの混合比率、またはビニルエチレンカーボネート誘導体を含む電解液との関係を調べた。
【0043】
〔過放電サイクル特性試験〕
実施例1〜3および比較例1の電池を、600mA(1.0It)の充電電流で4.2Vになるまで定電流充電した後、4.2Vの定電圧で電流値が30mA(0.05It)になるまで充電した。10分間放置した後、600mA(1.0It)の定電流で終止電圧が2.75Vになるまで放電し、その放電時間から初期放電容量を算出した。
【0044】
その後、各電池を、さらに1mAの定電流で終止電圧が0Vになるまで過放電させた。この充電−過放電操作を1サイクルとし、合計3サイクル行った。
【0045】
3サイクル後、再び600mA(1.0It)の充電電流で4.2Vになるまで定電流充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値が30mA(0.05It)になるまで充電した。充電した電池を10分間放置した後、600mA(1.0It)の定電流で終止電圧が2.75Vになるまで放電させ、その放電時間から3サイクル後の放電容量を算出し、以下の式(2)に従って放電容量維持率を得た。なお、この試験にかかる操作は室温(25℃)下で行った。
【0046】
【数1】
【0047】
この過放電サイクル特性試験の結果を下記表1に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
表1に示すように、正極活物質中のコバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)との質量比が50:50であり、かつ混合溶媒中にビニルエチレンカーボネート(VEC)が0.05〜5.0質量%の範囲で添加されている実施例1−1、実施例3−1〜実施例3−5では、いずれも放電容量維持率が60〜95%と顕著に高い値を示した。これに対しビニルエチレンカーボネート(VEC)が添加されていない比較例2−2のそれは、23%と顕著に低い値を示した。
【0050】
また、表1から、ビニルエチレンカーボネート(VEC)の添加量が0.5〜3.0質量%の範囲(実施例1−1、実施例3−2〜実施例3−4)であると、いずれも76%以上とさらに優れた放電容量維持率が得られ、添加量が0.5〜2.0質量%の範囲(実施例1−1、実施例3−2〜実施例3−3)であると、85%以上と一層優れた放電容量維持率が得られることが判った。
【0051】
ここで、表1には示していないが、ビニルエチレンカーボネート(VEC)の添加量を10質量%まで増やした電池であっても、ビニルエチレンカーボネート(VEC)が添加されていない比較例2−2と比べて十分高い放電容量維持率が得られることを確認している。ただし、ビニルエチレンカーボネート(VEC)の添加量が10質量%を超えると、被膜が厚くなり電極抵抗が顕著に増大することや、電解液全体の比誘電率が低下すること等の反作用が顕在化するため、その添加量は上記範囲であることが好ましい。
【0052】
他方、ビニルエチレンカーボネート(VEC)の添加量が0.05質量%以下の電池であっても、ビニルエチレンカーボネート(VEC)が添加さてれいる限り、それが添加されていない比較例2−2と比べて高い放電容量維持率が得られることを確認している。
【0053】
これらのことから、混合溶媒中のビニルエチレンカーボネート(VEC)の添加量は、0.05〜10質量%、好ましくは0.5〜3.0質量%、より好ましくは0.5〜2.0質量%とするのがよい。
【0054】
なお、混合溶媒にビニルエチレンカーボネート(VEC)の添加量が上記の範囲であると良好な効果が発揮されるのは、負極表面上に形成されたビニルエチレンカーボネート(VEC)由来の被膜による更なる電解液の分解を抑制する効果が、この被膜に起因した電極抵抗の増加による反作用を十分に上回るからである。
【0055】
さらに、表1において、混合溶媒中のビニルエチレンカーボネート(VEC)の添加量が1質量%であり、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)とが質量比30:70〜70:30の範囲で混合された実施例1−1、実施例2−1〜実施例2−2では、放電容量維持率が72%以上であり、その質量比が100:0または0:100である比較例1−1(20%)または比較例1−2(45%)と比べて顕著に高い放電容量維持率を示した。
【0056】
また、表1から、その質量比が50:50〜30:70の範囲(実施例1−1、実施例2−2)であると、いずれも88%以上とさらに優れた放電容量維持率が得られ、質量比が50:50(実施例1−1)であると、95%と一層優れた放電容量維持率が得られることが判った。
【0057】
このことから、混合溶媒にビニルエチレンカーボネート(VEC)が添加され、かつ正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)とが質量比30:70〜70:30の範囲で混合されている本発明電池では、優れた過放電サイクル特性(高い放電容量維持率)が得られることがわかった。
【0058】
このように予想を超える優れた効果が得られたのは、正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO2)とマンガン酸リチウム(LiMn2O4)とが上記の範囲で混合された混合正極活物質を用いると、コバルト酸リチウム(LiCoO2)の使用に起因する過放電時における負極集電体(主に銅)の溶出を抑制でき、かつマンガン酸リチウム(LiMn2O4)の使用に起因する、マンガン(Mn)の溶出によるビニルエチレンカーボネート(VEC)由来の被膜形成に対する阻害作用を抑制でき、これらの効果が相乗的に作用し合った結果と考えられる。
【0059】
〔その他の事項〕
(1)本発明は、上記のゲル系のポリマー電解質を用いた電池に限らず、有機電解液を用いた通常のリチウムイオン電池にも適用できることはもちろんである。
【0060】
(2)上記実施例では、ビニルエチレンカーボネート(VEC)を電解液中に添加させた電池を示しているが、上記一般式(1)で表されるビニルエチレンカーボネート(VEC)の誘導体であれば、初期充電時に分解して負極表面上に被膜を形成し、充放電に起因する電解液の分解が抑制されるため、上記実施例と同様に過放電サイクル特性に優れたリチウム二次電池を提供できる。
【0061】
(3)上記一般式(1)で表されるビニルエチレンカーボネート(VEC)の誘導体において、置換基としてのアルキル基は炭素数が1〜4の低級アルキル基が好ましい。低級アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基があげられるが、アルキル基の鎖状構造が長くなるほど、ビニルエチレンカーボネート(VEC)の誘導体の粘度が上昇し、比誘電率が低下するため、電池の安全性向上と高エネルギー密度化の側面から、置換基としてのアルキル基は、メチル基またはエチル基であることが好ましい。また、一般式(1)中の置換基としてのハロゲンとしては、例えば、フッ素があげられる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、負極表面に好適な保護被膜が形成されるとともに、コバルト酸リチウムとマンガン酸リチウムとからなる混合正極活物質の各々がその発電能力を十分に発揮するため、顕著に優れた過放電サイクル特性を備えたリチウム二次電池を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明に係るポリマー型リチウムイオン二次電池の正面図である。
【図2】図2は図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図3は本発明に係るポリマー型リチウムイオン二次電池に用いる電極体の斜視図である。
【符号の説明】
1 電極体
2 収納空間
3 アルミラミネート外装体
4a、4b、4c 封止部
5 正極
6 負極
7 正極集電タブ
8 負極集電タブ
Claims (3)
- 前記非水溶媒が前記ビニルエチレンカーボネート誘導体を0.5〜3質量%の割合で含む
ことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。 - 前記コバルト酸リチウムと前記マンガン酸リチウムとの質量比が30:70〜70:30の範囲である
ことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
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