本発明は、内燃機関の燃焼室内における気流をより好適に制御する気流制御装置に関する。
従来、内燃機関においては、燃焼速度向上を目的として燃焼室に空気を吸入する吸気ポートを螺旋状に形成したヘリカルポートや、コントロールバルブを備えた可変吸気ポートが提案されている。これらの吸気ポートにより吸気すると、燃焼室内にはスワール(横渦)やタンブル(縦渦)といった気流が発生する。このような気流は、燃焼室内で空気と燃料との混合及び燃焼を促進する。また、近年実用化されている直噴ガソリン機関においては、大幅な燃費向上を主な目的として、燃料を燃焼室に直接噴霧し濃い混合気を点火プラグの周囲に集めて燃焼させる成層燃焼を行っている。濃い混合気を点火プラグの周囲に集めるために、例えば上述したタンブル流などの気流を利用している。これによって、燃焼室内全体としては混合気が希薄な状態であっても燃焼を可能としている。この成層燃焼においては、より好適な気流を燃焼室内に生成して希薄燃焼状態を安定させるとともに希薄燃焼領域を向上させることが重要である。また、直噴ガソリン機関においては中低負荷域で成層燃焼を行う一方、高負荷域では従来の内燃機関と同様な燃焼態様である均質燃焼を行う。この均質燃焼においては、吸気流量を増量して混合気の均質化及び火炎の伝播促進による燃焼促進を図ることが出力向上のために重要でありそのためにタンブル流などの気流を利用している。
上述した成層燃焼と均質燃焼とを適切に行うために、特許文献1では以下の技術を提案している。特許文献1では、順タンブルを生起する吸気ポートを備え、運転条件に応じて吸気ポートの燃焼室中心側を遮断して逆タンブルを生成するタンブルコントロールバルブを備えた筒内直接噴射式火花点火エンジンを提案している。特許文献1によれば、成層燃焼領域でタンブルコントロールバルブを吸気ポートの燃焼室中心側を遮蔽するポジションに保持する。これによって、吸気ポートの直下に位置するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む逆タンブル流を生起する。特許文献1の提案技術では、この逆タンブルによって、濃い混合気を点火プラグの周囲に集め混合気の成層化を図っている。また、均質燃焼領域では、タンブルコントロールバルブを吸気ポートの燃焼室中心側を遮蔽しないポジションに保持する。吸気ポートを通ってシリンダ内に流入する吸気流は、吸気ポートに対向するシリンダ壁に沿って下降した後にピストン冠部へと進む順タンブル流を生起する。また、タンブルコントロールバルブを吸気ポートの燃焼室中心側を遮蔽しないポジションに保持することによって、同時に吸気流量の増量を図っている。特許文献1の提案技術では、この順タンブルによって、混合気を均質化するとともに火炎の伝播を促進している。
また、特許文献2では以下の技術を提案している。特許文献2では、吸気ポートの吸気弁ステムの下流側に、吸気ポートを流通する吸気流と略平行な開位置から吸気ポート内の吸気流と直交する断面の半部側を閉弁されることにより、燃焼室内のガス流動を燃焼室中心側からピストン冠面に向かう順タンブル流から、吸気弁配置側の燃焼室側部からピストン冠面に向かう逆タンブル流に変える制御弁を設けた筒内噴射式火花点火機関の吸気制御装置を提案している。この提案技術によっても、運転条件に応じて制御弁によって順タンブル流と逆タンブル流とを切り替えるとともに吸入流量を増減できるので、特許文献1の提案技術と同様に、筒内直接噴射式火花点火機関において成層燃焼と均質燃焼とを実現可能にしている。
また、特許文献3では以下の技術を提案している。特許文献3では、吸気管の吸気ポートスロート下部における気流の壁面からの剥離状態を制御することにより、シリンダ内のガスタンブル流の生成状態を変更可能なタンブル流制御手段を備えた筒内直接火花点火内燃機関を提案している。また、特許文献3では、このようなタンブル流制御手段を実現するため、例えば吸気ポートスロート壁における上流側端部が、吸気ポートスロート壁に回動可能に支持され、支持位置周りに回動することで吸気ポート内に進退して気流の壁面からの剥離状態を制御するガイド板とされるタンブル流制御手段を提案している。この提案技術によっても、運転条件に応じてタンブル流制御手段が順タンブル流と逆タンブル流とを生成するとともに吸気流量を増減できるので、特許文献1の提案技術と同様に、筒内直接火花点火内燃機関において成層燃焼と均質燃焼とを実現可能である。
また、特許文献4では以下の技術を提案している。特許文献4では、運転条件に応じて空燃比を希薄化する火花点火式内燃機関において、希薄空燃比運転時に、シリンダ内吸気流動のタンブル比が1.6〜3.1、同じくスワール比が1.8〜3.5となるような吸気系を有する火花点火式内燃機関を提案している。また、このような吸気系を実現するために、例えばシリンダ内で縦渦を生起する形状の吸気ポートを有して部分的に開口部が形成された空気制御弁を吸気通路内に介装することを提案している。この提案技術によれば、シリンダ内に最適な空気流動場を形成して、燃焼の安定性を損なわずにより大きな空燃比域での希薄空燃比運転が可能となる。
特開平10−212965号公報
特開平11−270342号公報
特開2003−3854号公報
特開平7−180559号公報
特許文献1から3の提案技術では、気流制御弁(各文献でそれぞれタンブルコントロールバルブ、制御弁、タンブル流制御手段と称す)を吸気バルブ近傍に配置している。しかしながら、これら提案技術の気流制御弁は開閉状態を切り替えることによって順、逆タンブル流それぞれを生成することを目的として配置されている。すなわち、開閉状態を切り替えて順、逆タンブル流を生成する気流制御弁では、成層燃焼と均質燃焼とで気流の効果を両立させるという制約のもとに気流制御弁を配置する必要があるため、より希薄燃焼領域を拡大させるための最適配置を実現することが困難である。
また、特許文献4では気流制御弁に部分的に形成した開口部によって、スワール成分を有するタンブル流を生成可能なことを開示している。しかしながら、気流制御弁に開口部をいかに形成するかによって発揮される効果は様々であり、その効果はスワール成分を有するタンブル流を生成可能なことに限られないが、特許文献4ではそのような開口部の形状及び他の効果については開示されていない。
そこで本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、内燃機関の燃焼室内における気流をより好適に制御する気流制御装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、混合気を燃焼させる燃焼室と、該燃焼室内に吸気を導く吸気ポートと、該吸気ポートを開閉する吸気弁と、燃料を噴射する燃料噴射弁とを備えた内燃機関の吸気流を、運転条件に応じて、前記吸気ポートの遮蔽度合いを変化させて燃焼室内でタンブル流に生成する気流制御弁を備えた気流制御装置であって、前記吸気ポートの壁面に対向する前記気流制御弁の一方の側部側よりも他方の側部側が短縮し且つ前記吸気ポートの一部を遮蔽して形成される流路側の前記気流制御弁の端部が前記一方の側部側から前記他方の側部側にかけて前記気流制御弁が回動するための軸に対して傾斜することで、前記流路が前記一方の側部側から前記他方の側部側にかけて次第に拡大する形状に形成されており、さらに前記端部の前記燃焼室中心に対応する位置に略半円状の切欠が形成されていることを特徴とする。
本発明によれば、吸気流が吸気弁によって妨げられることを抑制でき、スワール成分を有するタンブル強度を低下させることなく希薄燃焼領域を拡大することが可能となる。その結果、内燃機関の燃焼室における気流をより好適に制御することができる。
本発明によれば、内燃機関の燃焼室内における気流をより好適に制御する気流制御装置を提供可能である。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面と共に詳細に説明する。
図1は、本発明に係る気流制御装置100Aを備える内燃機関50Aの主要部分の構成を示す図である。気流制御装置100Aは、気流制御弁1A、図示しないアクチュエータ及び図示しない制御部によって実現可能である。但し、吸気ポート2の形状や燃料噴射弁4の配置による気流制御効果も含めて、吸気ポート2や燃料噴射弁4を気流制御装置100Aの構成とすることも可能である。制御部としては、例えば車両が備えるECU(electronic control unit:電子制御装置)などを適用可能である。また、アクチュエータとしては、例えば取付軸5を回動させる回転モータなどを適用可能であり、リンク機構を介して取付軸5に直動モータを適用することも可能である。本実施例においては、内燃機関50Aは直噴ガソリン機関である。但し、気流制御装置100Aは例えば所謂リーンバーンエンジンにおいても適用可能である。また、直噴ガソリン機関における均質燃焼は従来の内燃機関とほぼ同様の燃焼態様であるため、その他のガソリンエンジンやディーゼルエンジンにおいても適用することが可能である。すなわち、混合気を燃焼させるにあたって混合気のミキシング性向上により出力向上等の効果が得られる内燃機関であれば、本発明に係る気流制御装置100Aを適用可能である。
図1(a)に示すように、内燃機関50Aは、シリンダブロック51、シリンダヘッド52及びピストン53などによって構成されている。シリンダブロック51には、略円筒状のシリンダ51aを形成し、シリンダ51aの内周面には図示しない略円筒状のシリンダライナが配設している。シリンダ51a内には、このシリンダライナを介してピストン53を収容している。ピストン53の冠面には、吸気流を点火プラグ7に導くタンブル流を生成するための凹状の窪みであるキャビティ53aを形成している。ピストン53は図示しないコネクティングロッドと連結されており、さらにコネクティングロッドは図示しないクランクシャフトと連結されている。これによって、ピストン53がシリンダ51a内で往復運動すると、コネクティングロッドを介してクランクシャフトに動力が伝達され、さらにクランクシャフトによって往復運動が回転運動に変換される。例えば内燃機関を備えた車両では、この回転運動に変換された動力を利用して車両を駆動する。
シリンダブロック51の上面にはシリンダヘッド52が固定されている。燃焼室6は、シリンダブロック51、シリンダヘッド52及びピストン53によって囲われた空間として形成されている。シリンダヘッド52には、吸気行程で吸気を燃焼室54内に導入するための吸気ポート2を形成し、吸気ポート2には流路を開閉するための吸気弁3を配設している。また、シリンダヘッド52には、燃焼したガスを燃焼室6から排気するための排気ポート52aを形成し、排気ポート52aには流路を開閉するための排気弁54を配設している。シリンダヘッド52には、燃焼室6頂部に先端が突出するように点火プラグ7を配設している。
本実施例では、気流制御弁1Aを吸気ポート2の燃焼室6中心側に配設している。より具体的には、気流制御弁1Aの基端部Aを吸気ポートの燃焼室6中心側の壁部に配設した取付軸5を介して、回動自在に支持している。気流制御弁1Aは図示しないアクチュエータによって取付軸5周りに回動し、閉状態では吸気ポート2の燃焼室6中心側を遮蔽する。また、本実施例では、気流制御弁1Aが開弁した際に当接する吸気ポート2の壁部Bを、気流制御弁1Aを収容できるように形成し、さらに気流制御弁1Aを、開弁した気流制御弁1Aが吸気ポート2の壁面に沿う形状に形成する。これによって、気流制御弁1Aが吸気流の抵抗になることを回避して、吸気流の強度が低下することを抑制できる。
また、本実施例では、吸気流の流れ方向において、燃料噴射弁4を気流制御弁1Aの後流側に配設し、さらに、燃料噴射弁4を吸気ポート2の燃焼室6中心側に対向する側に配設している。これによって、気流制御弁1Aに噴射した燃料が付着することを抑制できるので、排気ガス中のエミッション増大を招き、燃費悪化の原因となる燃料霧化の悪化を抑制することも可能となる。また、上述のように気流制御弁1A及び燃料噴射弁4を配設することによって、例えば燃料噴射弁4を吸入ポート2の燃焼室6中心側に配設し、気流制御弁1Aを吸気ポート2の燃焼室6中心側に対向する側に配設する場合と比較して、吸気ポート2の形状や燃焼室6の形状の観点から燃料噴射弁4をより容易に配設可能である。なお、燃料噴射弁4は吸入ポート2内に燃料噴射弁4の噴射部が突出するように配設してもよく、燃焼室6内に燃料噴射弁4の噴射部が突出するように配設してもよい。
上述した構成で、吸気行程において吸気弁3を開くと、燃焼室6内に発生した負圧によって吸気ポート2に吸気流が発生する。図1(b)は、内燃機関50Aにおいて吸気行程で気流制御弁1Aを閉じた状態を示す図である。図1(b)に示すように、吸気行程において気流制御弁1Aが閉じている場合、吸気ポート2の流路が縮小されるため吸気流の流速は増大する。吸気流は、さらに吸気ポート2に対向するシリンダ51a壁面に沿ってピストン53冠面のキャビティ53aに導かれ、矢印で示すようなタンブル流に生成される。また、本実施例では、図1(b)に示すように燃料噴射弁4を、燃焼室6内に向けて燃料を噴射するように配設している。これによって、気化潜熱効果により気流強化の効果を相乗的に拡大させることができる。また、開弁時に気流制御弁1Aが吸気流の抵抗にならないことによってタンブル強度を向上させることができる他、噴射方向を燃焼室6内に向けて燃料噴射弁4を配設することによって噴霧の霧化を促進できるので、均質燃焼時においても混合気のミキシング性を向上させて燃焼促進を図ることが可能である。
図2は、実施例1に係る気流制御弁1Aの形状を、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。図2は図1の上面視になっており、さらに吸気弁3及び排気弁54を同時に示している。燃焼室6近傍で分岐するサイアミーズポートに気流制御弁1Aを適用する場合には、図2(a)に示すように内燃機関50Aの1気筒あたりに気流制御弁1Aを1弁配設する。また、図2(b)に示すような吸気2弁独立ポートに気流制御弁1Aを適用する場合には、1気筒あたりに気流制御弁1Aを2弁配設すればよい。なお、吸気3弁独立ポートに気流制御弁1Aを適用する場合には、1気筒あたりに気流制御弁1Aを3弁配設することによって本実施例の気流制御装置100Aを適用可能である。また、上述した各吸気ポートは気流制御弁1Aを適用可能な吸気ポートの具体例であり、これら以外にも適用可能な吸気ポートがあれば、その吸気ポートに対して気流制御弁1Aを適用することを制限するものではない。以上により、内燃機関50Aの燃焼室6内における気流を好適に制御する気流制御装置100Aを実現できる。
本実施例における気流制御装置100Bは、気流制御弁1Aの形状が異なる以外、実施例1に示した内燃機関50Aが備える気流制御装置100Aと同一である。図3は、図2と同様にして、実施例2に係る気流制御弁1Bの形状を、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。本実施例では、吸気ポート2の燃焼室6中心側を遮蔽して形成される流路F側の気流制御弁1Bの端部Cを、気流制御弁1Bの吸気ポート2の壁面に対向する一方の側部D側よりも他方の側部E側を短縮させて流路Fを拡大するような形状(以下、傾斜形状という)に形成している。
上述したように気流制御弁1Bの端部Cを形成することによって、気流制御弁1Bが形成する流路Fが、取付軸5の一方の側部Dから他方の側部Eにかけて次第に拡大されるので、吸気ポート2の他方の側部E側の吸気流量を一方の側部D側の吸気流量よりも大きくすることができる。図3に示す矢印は吸気流量を模式的に示したものであり、矢印の長さで吸気流量の大きさを表している。これによって、吸気流からスワール成分を有するタンブル流を生成することができる。スワール成分を有するタンブル流は、タンブル流のみの場合と比較して燃焼室6内での気流の安定性を向上させることが可能であり、その結果希薄燃焼領域を拡大させることができる。また、本実施例では、実施例1で示した気流制御装置100Aの効果に加え、さらにスワール成分によっても混合気のミキシング性向上及び火炎伝播の促進を図ることができるので、均質燃焼においては混合気の燃焼促進をより一層図ることができる。
なお、一方の側部D側または他方の側部E側とは、端部Cの取付軸5方向中央を基準とするものである。また、端部Cを短縮させるとは、取付軸5方向に対して直交する方向に端部Cを短縮させることをいう。また、端部Cを形成するにあたっては一方の側部D側よりも他方の側部E側を短縮させて流路Fを拡大するように形成すれば、例えば端部Cが円弧状に形成されていてもよく、段状に形成されていてもよい。また、端部Cを形成するにあたっては一方の側部D側のほうが他方の側部E側よりも全体として流路Fが拡大されていればよく、例えば端部Cの他方の側部E側が一方の側部D側よりも部分的に延伸した形状を含んでいてもよい。また、図3は吸気ポート2がサイアミーズポートである場合を示しているが、独立2弁吸気ポートに気流制御弁1Bを適用する場合には、例えば図3に示す気流制御弁1Bを取付軸5方向中央で2分割した気流制御弁それぞれを、各吸気ポートに配設すればよい。また、独立3弁吸気ポートに気流制御弁1Bを適用する場合には、例えば図3に示す気流制御弁1Bを取付軸5方向で3分割した気流制御弁それぞれを、配列順に合せて各吸気ポートに配設すればよい。また、独立2弁吸気ポートや独立3弁吸気ポートに気流制御弁1Bを配設する場合にも、図3に示した気流制御弁1Bのように必ずしも端部Cを傾斜形状に形成しなくてもよい。すなわち、各吸気ポートで気流制御弁1Bによって形成される流路Fが配列順に大きく、若しくは小さくなるように気流制御弁1Bの端部Cを形成すればよい。以上により、内燃機関50Bの燃焼室6内における気流を好適に制御する気流制御装置100Bを実現できる。
本実施例における気流制御装置100Cは、気流制御弁1Cの形状が異なる以外、実施例1に示した内燃機関50Aが備える気流制御装置1Aと同一である。図4は、図2と同様にして、実施例3に係る気流制御弁1Cの形状を、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。本実施例では、吸気ポート2の燃焼室6中心側を遮蔽して形成される流路F側の気流制御弁1Cの端部Cを、流路Fを拡大する切欠状の形状を含むようにして形成している。より具体的には、本実施例では気流制御弁1Cの端部Cの燃焼室6中心に対応する位置に略半円状の切欠(以下、中心拡大形状Gという)を形成している。図4(a)は吸気ポート2がサイアミーズポートである場合を示しており、独立2弁吸気ポートに気流制御弁1Cを適用する場合には、例えば図4(a)に示す気流制御弁1Cを取付軸5方向中央で2分割したものそれぞれを、各吸気ポートに配設すればよい。図4(b)は気流制御弁1Cを、独立2弁吸気ポートに適用した場合を示す模式図である。独立2弁吸気ポートの場合には、各気流制御弁1Ca、1Cbそれぞれの一端部に図4(b)に示すような4半円状の切欠を形成することによって、吸気ポート2に配設した際に燃焼室6中心に対応した流路Fが拡大される。また、独立3弁吸気ポートに気流制御弁1Cを適用する場合には、例えば図4(a)に示す気流制御弁1Cを取付軸5方向で3分割したものそれぞれを、各吸気ポートに配設すればよい。
図5は、図4(a)に示す模式図をX方向から矢視した模式図を図4(a)で示した模式図とともに示す図である。図5に示すように、気流制御弁1Cの端部Cに中心拡大形状Gを形成することによって、拡大した流路Fを通過する吸気流は矢印Hで示すように吸気弁3の傘形状Jに沿って燃焼室6内に流入する。これによって、吸気弁3が吸気流の妨げになることを回避できる。
また、図4(c)に示すように、3つの吸気ポートに分岐したサイアミーズポートの場合には、吸気流が吸気弁3の傘形状Jに沿って燃焼室6内により流入しやすくなるため、より強度が高いタンブル流を生成可能である。なお、中心拡大形状Gは、図4(a)に示す略半円状の切欠でなくてもよく、例えば三角形状、四角形状、多角形状などによって実現可能である。また、流路Fを拡大するために形成する切欠状の形状は、端部Cに複数形成してもよい。また、中心拡大形状Gを形成するにあたっては気流制御弁1Cの端部Cの両端部よりも中心部において全体として流路Fが拡大されていればよく、例えば端部Cの中心部が両端部よりも部分的に拡大された形状を含んでいても全体として流路Fが拡大されていればよい。
図6は、生成されるタンブル強度と吸気流量との関係を、中心拡大形状Gを含む気流制御弁1Cの場合と、図2(a)に示した気流制御弁1Aとの場合について示す図である。図6に示すように、同一タンブル強度Tを有するタンブル流を生成する場合に、中心拡大形状Gを含む気流制御弁1Cのほうが図2(a)に示した気流制御弁1Aよりも吸気流量をより多くできる。これによって、例えば気流制御弁1Aでタンブル強度Tを有するタンブル流を生成した場合に吸気流量が不足して成層燃焼ができなくなる負荷域においても、気流制御弁1Cによれば、同一タンブル強度Tを有するタンブル流を生成して成層燃焼を実現可能である。すなわち、気流制御弁1Cを適用することによって、同一タンブル強度Tのままタンブル強度を低下させることなく、さらに希薄燃焼領域を拡大することが可能である。
図7は、吸気弁3のバルブリフト量に応じて変化するタンブル強度を、中心拡大形状を含む気流制御弁1Cと気流制御弁1Aとで生成したタンブル流について示す図である。図7に示すように、バルブリフト量が小中領域にある場合においては、中心拡大形状Gを含む気流制御弁1Cのほうが気流制御弁1Aよりも生成されるタンブル流のタンブル強度が向上している。すなわち、図4(a)に示す気流制御弁1Cを適用した場合には、バルブリフト量小中領域において、吸気弁3が吸気流の抵抗となることを回避して最もスムースに吸気流を燃焼室6内に流入させることができる。
また、本実施例では、図5に示すように気流制御弁1Cを吸気弁3に近接させて配設している。これにより、吸気ポート2内で吸気流が減衰する前に、すなわち吸気流の強化を維持したまま燃焼室6内に吸気流を導入することができる。また、図5に示すI部のように、中心拡大形状Gを吸気弁3のステム部Kとの干渉を回避することも考慮して形成すれば、気流制御弁1Cをより吸気弁3に近接させて配置することが可能である。図8は、吸気弁3のバルブリフト量に応じて変化するタンブル流の強度を、気流制御弁1Cの配設位置を変化させた場合に生成されるタンブル流それぞれについて示す図である。タンブル強度は、吸気流の流れ方向において吸気ポート2入口部、吸気ポート2略中央部、吸気弁3近傍に配設した場合それぞれについて示している。ここで、吸気弁3近傍、吸気ポート2略中央部、吸気ポート2入口部の順に燃焼室6に近接した配設位置となっている。図8に示すように、バルブリフト量全域において気流制御弁1Cが燃焼室6に近接するほどタンブル強度が向上している。すなわち、吸気ポート2内で強化した吸気流が減衰する前に、燃焼室6内に吸気流を導入することができる吸気弁3近傍に配設することによって、より強度が高いタンブル流を生成することが可能である。
なお、上述した中心拡大形状Gを図3に示した傾斜形状に組み合わせることも可能である。図9は、傾斜形状と中心拡大形状Gを組み合わせた気流制御弁1Dを、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。この場合、中心拡大形状Gによってスワール成分を有するタンブル流を、バルブリフト小中領域においてさらに強化できる。図9(a)に示す吸気ポート2は、燃焼室6近傍で2つに分岐したサイアミーズポートの場合であるが、3つに分岐したサイアミーズポートの場合でも、図9(b)に示すように気流制御弁1Dを適用可能である。この場合には、吸気弁3の配設位置の関係上、吸気流が吸気弁3の傘形状Jに沿って燃焼室6内により流入しやすくなる。そのため、バルブリフト小中領域においてよりタンブル強度が高いスワール成分を有するタンブル流を生成可能である。また、気流制御弁1C、気流制御弁1Dともに、気流制御弁1の遮蔽具合が同一であっても流路Fを拡大して吸入流量を増量させることが可能なので、ある遮蔽具合において、より運転条件に適したタンブル強度及び吸気流量を有するタンブル流を生成すべく調整することが可能である。なお、独立2弁吸気ポートに気流制御弁1Dを適用する場合には、気流制御弁1Dを取付軸5方向中央で2分割したものそれぞれを、各吸気ポートに配設すればよく、また、独立3弁吸気ポートに気流制御弁1Dを適用する場合には、気流制御弁1Dを取付軸5方向で3分割したものそれぞれを各吸気ポートに配設すればよい。また、実施例1及び実施例2で述べた場合と同様、気流制御弁1Dの中心拡大形状G及び傾斜形状は種々の変形が可能である。以上により、内燃機関50Cの燃焼室6内における気流を好適に制御する気流制御装置100Cを実現できる。
本実施例に係る気流制御装置100は、実施例1から3の気流制御装置100A、100Bまたは100Cと構成上は同一である。本実施例では、気流制御装置100は、内燃機関50の負荷に応じて気流制御弁1の開度を変化させる。図10は、内燃機関50の主要部分の構成を示す図において、内燃機関50の負荷と回転数(以下、負荷等という)とに応じて、気流制御弁1の開度を変化させた場合それぞれについて示す図である。図10(a)は、負荷等が低域の場合の気流制御弁1の開度を示す図であり、図10(b)は、負荷等が中低域の場合の気流制御弁1の開度を示す図である。また、図10(c)は、負荷等が中高域の場合の気流制御弁1の開度を示す図であり、図10(d)は、負荷等が高域の場合の気流制御弁1の開度を示す図である。なお、各図に示す円弧状の矢印は生成されるタンブル流を示しており、矢印の長さはタンブル強度を模式的に表したものである。この矢印の長さが長い程、生成されるタンブル流のタンブル強度が強いことを示している。
図10(a)に示すように、制御部は負荷等が低域の場合には気流制御弁1を全閉状態にする。ここで、全閉とは気流制御弁1の可動域において吸気ポート2を遮蔽する側に最大限可動した状態をいう。したがって、全閉状態であっても吸気ポート2は完全に遮蔽されるわけではなく、流路Fを形成する。負荷等が低域である場合には高域である場合と比較して燃焼に必要な吸気流量が少ないため、図10(a)に示すように気流制御弁1を全閉状態にして、吸気流の流速を増大させて生成するタンブル流を強化する。これによって、希薄燃焼を実現させることが可能である。
負荷等が中域の場合には、本実施例では気流制御弁1を全閉状態と全開状態との中間状態に保持する。本実施例では、負荷等が低域から中域に変化するに伴い燃焼に必要な吸気流量が増量しても、必要に応じた分の吸気流量を供給すべく気流制御弁1の開度を上げることができる。したがって、例えば負荷等が高域になるに従って吸気流量が不足し、希薄燃焼を維持することが困難になった状況においても、気流制御弁1を全閉状態から全開状態にして均質燃焼に切り替える前に、気流制御弁1の開度を上げてタンブル流の生成を維持するとともに吸気流量を増量させることができる。これによって、適切なタンブル流の生成を維持するとともに運転条件に応じて吸気流量を増量させることが可能になる。また、本実施例では、負荷等が中域であっても例えば低域に近い中低域、高域に近い中高域でそれぞれ気流制御弁1の開度を変化させることが可能である。すなわち、図10(b)に示すように、負荷等が中低域の場合には中高域の場合と比較して燃焼に必要な吸気流量が少ないので、気流制御弁1の開度を小さくしてその分タンブル流を強化することができる。また、負荷等が中高域の場合には、逆に燃焼に必要な吸気流量が多くなるので、図10(c)に示すように、必要に応じた分の吸気流量を増量すべく気流制御弁1の開度を大きくする。これによって、タンブル強度をその分低下させても希薄燃焼を維持することができる。なお、負荷等が中域の場合に保持する気流制御弁1の開度は、図10(b)及び図10(c)に示すように2段階に設定する必要はなく、低域から高域に変化する負荷等に応じて、全閉状態から全開状態まで無段階に変化させることができる。これによって、タンブル流の生成を維持するとともに運転条件に応じて吸気流量を増量させることが可能になり、吸気流量による制限を緩和して希薄燃焼領域を拡大することができる。
負荷等が高域の場合には、本実施例では図10(d)に示すように気流制御弁1を全開状態に保持する。これによって、負荷等が高域の場合に燃焼に必要になる吸気流量に見合った吸気流量を確保できる。ここで、負荷等が高域の場合には均質燃焼によって混合気を燃焼させるが、希薄燃焼から均質燃焼への切り替えは中負荷域において吸気流量を増量するとともにタンブル強度が低下していった結果、希薄燃焼を維持することが困難になった領域で行う。したがって、均質燃焼を行う場合においても、気流制御弁1を全開にする前に全開状態手前の開度に保持することができ、負荷等の状態によっては吸気流量を若干低下させてもタンブル強度を強化したほうが混合気のミキシング性を向上させることができる場合に、より好適に燃焼促進を図ることが可能である。なお、本実施例では、吸気ポート2をタンブル流を生成可能な形状に形成しているので、気流制御弁1が全開状態の場合でもタンブル流によって燃焼の促進を図ることが可能である。また、タンブル流を生成可能にする吸気ポート自体は公知のものであってもよい。
図11は、負荷等の高低に応じて保持する気流制御弁1の開度領域を示す図である。上述した図10(a)から(d)に示す気流制御弁1の各開度を保持する負荷等の領域は、図11において、全負荷性能ライン8によって区分されている。図11に示す気流制御弁全閉領域は全負荷性能ライン8aによって区分される領域である。この領域が上述した図10(a)で示した負荷等が低域である場合に相当する。なお、図11に示すように負荷が低域であっても回転数が高域であれば気流制御弁1を全開にする必要があり、また、回転数が低域であっても負荷が高域であれば気流制御弁1を全開にする必要がある。すなわち、燃焼に必要な吸気流量は負荷及び回転数の2つのパラメータと相関関係を有している。図11に示すように、気流制御弁中間開度領域は全負荷性能ライン8a及び8cによって区分される領域である。さらに、気流制御弁中間開度領域は全負荷性能ライン8bによって2領域に区分される。このうち、全負荷性能ライン8a及び8bによって区分される領域が上述した図10(b)で示した負荷等が中低域である場合に相当する。また、全負荷性能ライン8b及び8cによって区分される領域が上述した図10(c)で示した負荷等が中高域である場合に相当する。気流制御弁全開領域は全負荷性能ライン8c及び8dによって区分される領域である。この領域が上述した図10(d)で示した負荷等が高域である場合に相当する。制御部は、図11に示す負荷等の高低に応じて保持する気流制御弁1の開度領域をマップデータとして有し、これに基づいて気流制御弁1の開度を制御する。以上により、内燃機関50の燃焼室6内における気流をより好適に制御する気流制御装置100を実現できる。
本実施例に係る気流制御装置100Eは、気流制御弁1Aの代わりに気流制御弁1Eを備えている以外、実施例1に係る気流制御弁100Aと同一のものとなっている。図12は気流制御装置100Eを備える内燃機関50Eを模式的に示す図である。具体的には、図12(a)では内燃機関50Eの主要構成部分の構成を模式的に示しており、図12(b)では図12(a)に示す矢視Yで、内燃機関50Eの各構成のうち気流制御弁1E及び吸気ポート2を模式的に示している。この図12(b)は、吸気ポート2の延伸方向に沿って気流制御弁1Eを見た場合の図となっており、さらに吸気ポート2がサイアミーズポートである場合について示している。また、図12において気流制御弁1Eは全閉状態になっている。
図12(b)に示すように吸気ポート2の面積はS1となっている。また、流路Fの面積はS2となっている。本実施例では面積S1に占める面積S2の割合(S2/S1×100)を開孔面積率と定義し、気流制御弁1Eの端部のうち流路Fを形成する側の端部Cは、気流制御弁1Eが全閉状態のときに開孔面積率が10±5%となるように形成されている。なお、面積S1は流路Fを含む吸気ポート2の垂直断面における吸気ポート2の断面積と実質的に同一であり、同様に面積S2はこの垂直断面における流路Fの断面積と実質的に同一である。但し、この場合には気流制御弁1Eを格納する部分の断面積は、吸気ポート2の断面積には含まれない。
図13は、タンブル強度を開孔面積率との関係で示す図である。図13に示すように、タンブル強度は開孔面積率が略10%に向かって大きくなるに従って次第に大きくなり、開孔面積率が略10%のときに最大となることがわかる。また開孔面積率10%を超えると、逆にタンブル強度は開孔面積率がさらに大きくなるに従って次第に低下することがわかる。このため本実施例では、開孔面積率が10±5%となるように端部Cを形成することで、全閉状態で最大限強度が高くなるようにタンブル流を生成でき、これにより燃焼の促進が好適に図られる。以上により、内燃機関50Eの燃焼室6内における気流をより好適に制御する気流制御装置100Eを実現できる。
本実施例では実施例5に対して吸気ポート2が独立2弁吸気ポートである場合を示す。本実施例に係る気流制御装置100Fは気流制御弁1Eの代わりに各独立ポートに気流制御弁1F夫々を備えている点以外、実施例5に係る気流制御装置100Eと同一のものとなっている。また、内燃機関100Fは吸気ポート2が独立2弁吸気ポートになっている点と、気流制御装置100Eの代わりに気流制御装置100Fを備えている点以外、実施例5に示す内燃機関100Eと同一のものとなっている。図14は図12(a)に示す矢視Yと同様の矢視で、内燃機関100Fの各構成のうち気流制御弁1F及び吸気ポート2を模式的に示す図である。気流制御弁1F夫々は、取付軸5延伸方向略中央で気流制御弁1Eを2分割したもの夫々を、各独立ポートの形状に適合させたものとなっている。
吸気ポート2が独立2弁吸気ポートである場合には、1気筒につき全体として開孔面積率が10±5%を満たすように端部Cを形成する。具体的には、式((S21+S22)/(S11+S12)×100=10±5%)を満たすように端部Cを形成する。この式に示すように1気筒あたりの開孔面積率は、各独立ポートの面積の総和(S11+S12)に占める各独立ポートにおける流路Fの面積の総和(S21+S22)の割合を求めて算出される。これにより、実施例5と同様に独立ポートの場合にも、最大限強度が高くなるようにタンブル流を生成でき、以って燃焼の促進を図ることができる。
なお、開孔面積率については、独立2弁吸気ポートの場合には各独立ポートについての開孔面積率が略同一(S21/S11×100≒S22/S12×100)になるように気流制御弁1F夫々の端部Cを形成することが好ましい。但し、これに限られず、例えば図15に示すように気流制御弁1Fの端部Cを変形して形成してもよい。図15は図14に示す気流制御弁1Fの変形例としての気流制御弁1Fa、1Fb及び吸気ポート2を模式的に示す図である。図15に示す破線は気流制御弁1Fの端部Cを示している。独立ポートの場合には、ポート配列順に独立ポート毎に端部Cを次第に短縮させて、1気筒につき全体として流路Fを拡大する形状に形成することで、タンブル流にスワール成分を付与することも可能である。この場合には、独立ポート毎に開孔面積率が10±5%を満たす範囲内で端部Cを夫々形成することが好ましい。以上により、内燃機関50Fの燃焼室6内における気流をより好適に制御する気流制御装置100Fを実現できる。
本実施例では実施例5で示した気流制御弁1E及び実施例6で示した気流制御弁1Fの変形例として、気流制御弁1Gaから1Gfまで(以下、総称する場合には単に気流制御弁1Gと称す)を例示する。換言すれば、気流制御弁1Gは実施例3で示した気流制御弁1Cを、開孔面積率10±5%を満たすように形成したものとなっている。すなわち気流制御弁1Gは端部Cに流路Fを拡大する切欠状の形状を含んでおり、またこの切欠状の形状は中心拡大形状Gとなっており、さらに本実施例ではこの中心拡大形状Gが、気流制御弁1Gが全閉状態のときに開孔面積率10±5%を満たすように形成されている。なお、本実施例では気流制御弁1Gを備える気流制御装置を気流制御装置100Gと、気流制御装置100Gを備える内燃機関を内燃機関50Gと称す。
図16は図12(a)に示す矢視Yと同様の矢視で、内燃機関100Gの各構成のうち気流制御弁1G及び吸気ポート2を模式的に示す図である。図16(a)から(c)までに示す気流制御弁1Gaから気流制御弁1Gcまでは気流制御弁1Eの変形例となっており、これらは吸気ポート2がサイアミーズポートである場合の変形例である。中心拡大形状Gは例えば気流制御弁1Gaのように取付軸5延伸方向略中央において取付軸5に略直交する面で互いに略対称な形状となる三角形状の切欠きで実現できる。また、中心拡大形状Gは例えば気流制御弁1Gbのように、取付軸5延伸方向略中央において取付軸5に略直交する面で互いに略対称な形状となる円弧状の切欠きで実現できる。なお、気流制御弁1Ga及び1Gbにあっては、開孔面積率10±5%を満たすようにした結果、端部Cのもとのエッジ(例えば気流制御弁1Eをベースとした場合の気流制御弁1Eの端部C)が残らない範囲にまで及んで中心拡大形状Gが形成されているが、このように端部C全体が中心拡大形状Gに形成されている気流制御弁も、端部Cに流路Fを拡大する切欠状の形状を端部Cに含むものである。また、中心拡大形状Gは例えば気流制御弁1Gcのように取付軸5延伸方向略中央において取付軸5に略直交する面で互いに略対称となる四角形状の切欠きで実現できる。
また、図16(d)から(f)までに示す気流制御弁1Gdから気流制御弁1Gfまでは気流制御弁1Fの変形例となっており、これらは吸気ポート2が独立2弁吸気ポートである場合の変形例である。中心拡大形状Gは例えば気流制御弁1Gdのように気流制御弁1Gaを取付軸5延伸方向略中央で2分割したもの夫々(気流制御弁1Gda及び1Gdb)を、各独立ポートの形状に適合させることで実現できる。同様に中心拡大形状Gは、例えば気流制御弁1Geのように気流制御弁1Gbを取付軸5延伸方向略中央で2分割したもの夫々(気流制御弁1Gea及び1Geb)を、各独立ポートの形状に適合させることで実現できる。同様に中心拡大形状Gは、例えば気流制御弁1Gfのように気流制御弁1Gcを取付軸5延伸方向略中央で2分割したもの夫々(気流制御弁1Gfa及び1Gfb)を、各独立ポートの形状に適合させることで実現できる。
換言すれば、独立ポートの場合には中心拡大形状Gは1気筒につき全体として各独立ポートの流路Fを燃焼室6中心に対応させて拡大するように、また1気筒につき全体として開孔面積率10±5%を満たすように各独立ポートの気流制御弁1G夫々の端部Cを形成することで実現される。また、開孔面積率については、独立2弁吸気ポートの場合には各独立ポートについての開孔面積率が互いに略同一(S21/S11×100≒S22/S12×100)になるように気流制御弁1Gの端部Cを形成することが好ましい。これにより、実施例5及び6の場合と比較して、或いは実施例3の場合と比較して全閉状態で最大限強度が高くなるようにタンブル流を生成でき、以って燃焼の促進を好適に図ることができる。
なお、これに限られず、中心拡大形状Gは実施例3で前述した通り種々の変形が可能である。また、例えば内燃機関50Gの諸元(例えば吸気ポート2の配置や形状など)やこれに基づく吸気の流動態様に応じて、以下に示すように中心拡大形状Gを更に変形してもよい。図17は図16に示す気流制御弁1G(具体的にはここでは気流制御弁1Gf)の変形例としての気流制御弁1GA及び吸気ポート2を模式的に示す図である。図17に示すように、例えば気流制御弁1Gfaの流路Fを縮小するようにして変形した気流制御弁1GAaと、気流制御弁1Gfbの流路Fを拡大するようにして変形した気流制御弁1GAbとで、変形した中心拡大形状Gを形成することも可能である。この場合には、独立ポート毎に開孔面積率が10±5%を満たす範囲内で中心拡大形状Gを変形することが好ましい。以上により、内燃機関50Gの燃焼室6内における気流をより好適に制御する気流制御装置100Gを実現できる。
本実施例では実施例5で示した気流制御弁1E及び実施例6で示した気流制御弁1Fの変形例として、気流制御弁1HA及び1HB(以下、総称する場合には単に気流制御弁1Hと称す)を例示する。換言すれば、気流制御弁1Hは実施例2で示した気流制御弁1Bを、開孔面積率10±5%を満たすように形成したものとなっている。すなわち気流制御弁1Hはその端部Cが傾斜形状となっており、さらに本実施例ではこの傾斜形状が、気流制御弁1Hが全閉状態のときに開孔面積率10±5%を満たすように形成されている。なお、本実施例では気流制御弁1Hを備える気流制御装置を気流制御装置100Hと、気流制御装置100Hを備える内燃機関を内燃機関50Hと称す。
図18は図12(a)に示す矢視Yと同様の矢視で、内燃機関100Hの各構成のうち気流制御弁1H及び吸気ポート2を模式的に示す図である。図18(a)に示す気流制御弁1HAは気流制御弁1Eの変形例となっており、これは吸気ポート2がサイアミーズポートである場合の変形例である。また、図18(b)に示す気流制御弁1HBは気流制御弁1Fの変形例となっており、これは吸気ポート2が独立2弁吸気ポートである場合の変形例である。独立ポートの場合には、傾斜形状は、例えば気流制御弁1HBのように気流制御弁1HAを取付軸5延伸方向略中央で2分割したもの夫々(気流制御弁1HBa及び1HBb)を、各独立ポートの形状に適合させることで実現できる。
なお、この場合には独立ポート毎に開孔面積率が10±5%を満たす範囲内で端部C夫々を傾斜形状に形成することが好ましい。但し、これに限られず、例えば各独立ポートについての開孔面積率が互いに略同一になるように端部C夫々を同傾向の傾斜形状に形成してもよい。これにより、実施例5及び6の場合と比較して、或いは実施例2の場合と比較して全閉状態で最大限強度が高くなるようにスワール成分を有する斜めタンブル流を生成でき、以って燃焼の促進を好適に図ることができる。以上により、内燃機関50Hの燃焼室6内における気流をより好適に制御する気流制御装置100Hを実現できる。
本実施例では実施例5で示した気流制御弁1E及び実施例6で示した気流制御弁1Fの変形例として、気流制御弁1JA及び1JB(以下、総称する場合には単に気流制御弁1Jと称す)を例示する。換言すれば、気流制御弁1Jは実施例3で示した気流制御弁1Dを、開孔面積率10±5%を満たすように形成したものとなっている。すなわち気流制御弁1Jはその端部Cが傾斜形状になっているとともに中心拡大形状Gを含んでおり、さらに本実施例ではこの端部Cが、気流制御弁1Jが全閉状態のときに開孔面積率10±5%を満たすように形成されている。なお、本実施例では気流制御弁1Jを備える気流制御装置を気流制御装置100Jと、気流制御装置100Jを備える内燃機関を内燃機関50Jと称す。
図19は図12(a)に示す矢視Yと同様の矢視で、内燃機関100Jの各構成のうち気流制御弁1J及び吸気ポート2を模式的に示す図である。図19(a)に示す気流制御弁1JAは気流制御弁1Eの変形例となっており、これは吸気ポート2がサイアミーズポートである場合の変形例である。また、図18(b)に示す気流制御弁1JBは気流制御弁1Fの変形例となっており、これは吸気ポート2が独立2弁吸気ポートである場合の変形例である。独立ポートの場合には、傾斜形状は、例えば気流制御弁1JBのように気流制御弁1JAを取付軸5延伸方向略中央で2分割したもの夫々(気流制御弁1JBa及び1JBb)を、各独立ポートの形状に適合させることで実現できる。
なお、この場合には独立ポート毎に開孔面積率が10±5%を満たす範囲内で端部C夫々を傾斜形状に形成することが好ましい。但し、これに限られず、例えば各独立ポートについての開孔面積率が互いに略同一になるように端部C夫々を同じ傾向の傾斜形状に形成してもよい。これにより、実施例5及び6の場合と比較して、或いは実施例3の場合と比較して全閉状態で最大限強度が高くなるようにスワール成分を有する斜めタンブル流を生成でき、以って燃焼の促進を好適に図ることができる。以上により、内燃機関50Jの燃焼室6内における気流をより好適に制御する気流制御装置100Jを実現できる。
なお、強度が高い旋回気流を生成する場合は、一般に気流制御弁1が全閉状態のときであることから、上述してきた実施例5から9まででは気流制御弁1が全閉状態のときに開孔面積率が10±5%を満たすように端部Cを形成しているが、例えば全閉状態では開孔面積率が10±5%よりも小さいにも関わらず、実際には運転条件(例えば特に負荷等が低域の場合)に応じて開孔面積率10±5%を満たす開度に気流制御弁1を制御する場合も、意図するところは実質的に同一であるといえる。したがって、気流制御弁1が全閉状態のときに開孔面積率10±5%を満たすという条件の代わりに、所定の運転条件(例えば特に負荷等が低域の場合)に応じて気流制御弁1が制御されているときに開孔面積率10±5%を満たすという条件を適用してもよい。また、上述してきた各実施例では気流制御弁1を燃焼室6中心側の壁面に配設した場合を例示したが、気流制御弁1を例えば燃焼室6中心側の壁面に対向する側の壁面に配設することを制限するものではない。
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
本発明に係る気流制御装置100Aを備える内燃機関50Aの主要部分の構成を示す図である。
実施例1に係る気流制御弁1Aの形状を、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。
実施例2に係る気流制御弁1Bの形状を、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。
実施例3に係る気流制御弁1Cの形状を、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。
図4(a)に示す模式図をX方向から矢視した模式図を図4(a)で示した模式図とともに示す図である。
生成されるタンブル強度と吸気流量との関係を、中心拡大形状Gを含む気流制御弁1Cの場合と、図2(a)に示した気流制御弁1Aとの場合について示す図である。
吸気弁3のバルブリフト量に応じて変化するタンブル強度を、中心拡大形状を含む気流制御弁1Cと気流制御弁1Aとで生成したタンブル流について示す図である。
吸気弁3のバルブリフト量に応じて変化するタンブル流の強度を、気流制御弁1Cの配設位置を変化させた場合に生成されるタンブル流それぞれについて示す図である。
傾斜形状と中心拡大形状Gを組み合わせた気流制御弁1Dを、吸気ポート2、燃焼室6とともに示す模式図である。
内燃機関50の主要部分の構成を示す図において、内燃機関50の負荷と回転数とに応じて、気流制御弁1の開度を変化させた場合それぞれについて示す図である。
負荷等の高低に応じて保持する気流制御弁1の開度領域を示す図である。
内燃機関50Eを模式的に示す図である。
タンブル強度を開孔面積率との関係で示す図である。
気流制御弁1F及び吸気ポート2を模式的に示す図である。
気流制御弁1Fの変形例としての気流制御弁1Fa、1Fb及び吸気ポート2を模式的に示す図である。
気流制御弁1G及び吸気ポート2を模式的に示す図である。
気流制御弁1Gの変形例としての気流制御弁1GA及び吸気ポート2を模式的に示す図である。
気流制御弁1H及び吸気ポート2を模式的に示す図である。
気流制御弁1J及び吸気ポート2を模式的に示す図である。
符号の説明
1 気流制御弁
2 吸気ポート
3 吸気弁
4 燃料噴射弁
5 取付軸
6 燃焼室
7 点火プラグ
8 全負荷性能ライン
50 内燃機関
51 シリンダブロック
51a シリンダ
52 シリンダヘッド
52a 排気ポート
53 ピストン
53a キャビティ
54 排気弁
100 気流制御装置