JP4760251B2 - 回路基板の製造方法及び回路基板、半導体モジュール - Google Patents

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本発明は、セラミックス基板に金属回路及び金属放熱板を設けた回路基板の製造方法及びこれによって得られた回路基板、半導体モジュールに関する。
近年、半導体素子を用いた大電力用半導体モジュールがロボットやモーターに代表される多数の産業機器に使用されている。これらの半導体モジュールにおいては、大電力で動作できる半導体素子が回路基板上に実装されているが、大電力で動作させる際の半導体素子の発熱が大きく、その対策が重要である。そのため、これらが搭載される回路基板には、高い放熱性が要求されている。
そのため、これらの大電力用半導体モジュールに用いられる回路基板の構造としては、熱伝導率の高い材料(窒化アルミニウム、窒化珪素等)からなるセラミックス(焼結体)基板の一方の面に半導体素子を実装するための金属回路が形成され、他方の面には基板の放熱性を高めるための金属放熱板が形成されたものが用いられている。これらの金属回路及び金属放熱板は、例えばろう付け法によって前記のセラミックス基板に接合される。半導体素子をこの金属回路上に実装し、金属回路と電気的接続をとるためには、はんだやワイヤーボンディングが用いられる。そのため、これらの金属回路の表面は、はんだ濡れ性及び耐腐食性に優れていると共に、この上にワイヤーボンディングができるということが要求される。ワイヤーボンディングができるためには、金属回路とワイヤー(例えばアルミニウム製)との密着性が高く、これらの間で剥離を生じないことが必要である。金属回路の表面は、その電気抵抗の低さから例えば銅が用いられるが、銅の表面は非常に酸化しやすい。ワイヤーボンディングが容易にできるためには、この金属回路の表面に銅の厚い酸化膜が形成されていないことが要求される。さらに、量産時にはこのワイヤーボンディングは人間の手を介さずに、ワイヤーボンダー(機械)が自動的に行なうのが通常である。この場合、金属回路のパターンをワイヤーボンダーが自動的に認識してワイヤーボンディングを行うため、ワイヤーボンダーがこのパターン認識をできることが必要である。このとき、金属回路表面の光沢度が低いと、このパターン認識が困難となる。そのため、その光沢度が大きいことが要求され、そのためには金属回路の表面の平坦度が高いことが要求される。このためには、金属回路表面はキズに起因する凹凸が少ないことが必要である。このキズとしては、銅および銅合金を所定の厚さに圧延加工する際に、圧延方向に向かって生じるキズが主であり、また、各種工程や基板の取り扱い時に必然的に発生するキズも含まれるため、金属回路をセラミックス基板に接合した後でこのキズを除去する工程が必要になる。
このため、前記の金属回路及び金属放熱板がセラミックス基板に接合された後に、化学研磨を行うことによってその表面を平坦かつ清浄にし、その後に無電解Ni−Pめっきを行うことによって、以上の要求をすべて満たした回路基板を得ていた(例えば特許文献1を参照)。この方法においては、化学研磨は、例えば硝酸と硫酸の混合液に浸漬することによって行われ、金属回路等の最表面部をエッチングすることによって、機械研磨を用いた場合よりも高い光沢度を得ることができた。さらにその後の無電解Ni−Pめっきによって、平坦な表面と高い光沢度をもち、はんだ濡れ性が高くワイヤーボンディングが容易にできる金属回路表面が得られた。この回路基板を用いることにより、信頼性の高い大電力用半導体モジュールが得られた。
特開平7−147465
しかしながら、近年、鉛のもつ有毒性のために、回路基板上に半導体素子を実装する際に用いるはんだとしては、特に鉛レスはんだが広く用いられるようになった。鉛レスはんだは鉛を全く含まず、例えば、錫、銀等を主成分とする。具体的には、Sn−3.5%Ag、Sn−5%Ag−0.5%Cu、Sn−2.5%Ag−1%Bi−0.5%Cu、Sn−8%Zn−3%Bi等が用いられている。この場合、上記の化学研磨と無電解Ni−Pめっきを用いた方法で製造された金属回路上にこれらのはんだ層を形成すると、金属回路表面のめっき層に含まれるP(隣)成分と、鉛レスはんだ層とが反応を起こし脆性層が生成される場合がある。これにより、はんだ層が脆くなり半導体モジュールの信頼性が低下するという問題があった。さらに、無電解Ni−Pめっきの工程を行う場合には、このめっき工程だけでなく、めっき前の脱脂、酸化スケール除去および硫酸パラジュウムあるいは塩化パラジュウム溶液などの触媒付与処理、さらに、セラミックス部分の残留パラジュウムの除去処理等、めっき後にはめっき液を洗浄除去する工程等、これに付随して多数の工程も必要になるため、回路基板製造コストが上昇するという問題もある。従って、このめっきの工程を行わないで信頼性の高い回路基板を製造することが望まれた。
本発明は斯かる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、はんだ濡れ性及び耐腐食性に優れ、ワイヤーボンディングが容易にできる回路基板を、めっき工程を用いずに得る回路基板の製造方法を提供し、これによって半導体素子の実装が容易な回路基板、及びこの回路基板を用いた信頼性の高い半導体モジュールを提供することにある。
本発明は、上記課題を解決すべく、以下に掲げる構成とした。
請求項1記載の発明の要旨は、セラミックス基板の一方の面に金属回路、他方の面に金属放熱板が接合された構成を具備する回路基板の製造方法であって、めっき層が形成されていない接合後の前記金属回路又は前記金属放熱板に化学研磨を行ない、表面における表面粗さをRaにして0.1〜1.0μm、またはRmaxにして1.0〜5.0μmとし、かつ0.5mm×0.5mmの視野面積当たりのキズの数を50本以下とする化学研磨工程と、めっき層が形成されていない前記化学研磨後の前記金属回路又は前記金属放熱板の表面に防錆剤を付与して0.05〜10μmの厚さの防錆層を形成する防錆剤付与工程と、を具備することを特徴とする回路基板の製造方法に存する。
請求項記載の発明の要旨は、請求項に記載の製造方法によって製造された回路基板に存する。
請求項記載の発明の要旨は、セラミックス基板の一方の面に金属回路、他方の面に金属放熱板が接合された構成を具備する回路基板であって、めっき層が形成されていない前記金属回路又は前記金属放熱板の表面における表面粗さがRaにして0.1〜1.0μm、またはRmaxにして1.0〜5.0μmであり、かつ0.5mm×0.5mmの視野面積当たりのキズの数が50本以下であり、めっき層が形成されていない前記金属回路又は前記金属放熱板の表面に0.05〜10μmの厚さの防錆層を具備することを特徴とする回路基板に存する。
請求項記載の発明の要旨は、波長600nmにおける光の反射率が、前記防錆層を具備する前記金属回路または前記金属放熱板の表面において40〜100%であることを特徴とする請求項に記載の回路基板に存する。
請求項記載の発明の要旨は、請求項乃至のいずれか1項に記載の回路基板と、該回路基板に搭載された半導体素子とからなることを特徴とする半導体モジュールに存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記回路基板と前記半導体素子とが鉛レスはんだで接合されたことを特徴とする請求項に記載の半導体モジュールに存する。
請求項記載の発明の要旨は、前記金属放熱板に銅または銅合金からなる放熱ベース板が結合されたことを特徴とする請求項又はに記載の半導体モジュールに存する。


本発明は以上のように構成されているので、はんだ濡れ性及び耐腐食性に優れ、ワイヤーボンディングが容易にできる金属回路が形成された回路基板をめっき工程を経ることなしに得ることができる。これによって低コストで信頼性の優れた回路基板を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の回路基板の製造方法においては、セラミックス基板の一方の面に金属回路を形成し、他方の面に金属放熱板を形成した後に化学研磨を行ない、前記化学研磨を行った後に防錆剤を付与することを特徴とする。この際、化学研磨後にめっき工程は行わない。
図1は、本発明の回路基板の製造方法を示す一例のフロー図である。
図においては、セラミックス基板の一方の面に金属回路を形成し、他方の面に金属放熱板が形成された後の工程を示している。
セラミックス基板としては、熱伝導率が高く放熱効果が大きい窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の焼結体で構成され、その厚さは例えば0.63mmである。強度・靱性に優れる窒化ケイ素を用いる場合には、放熱性を向上させる観点で、基板厚さを0.32mmにすることが可能である。大きさは例えば50mm×40mmのものが用いられる。
金属回路および金属放熱板は前記セラミックス基板にろう付け法によってその両面に結合される。例えば、金属回路及び金属放熱板を構成する金属層の材料としては、例えばCu(銅)およびCu−Zr、Cu−Ni等の銅合金、あるいはCuとモリブデン(Mo)を含んだ積層構造として例えばCu/Mo/Cuのクラッド材が用いられる。ろう付けのろうの材料としては、例えばTi、ZrあるいはHf等を含有したAg−Cu系の活性金属ろう材が用いられる。ろう付けによる結合は、このろう材料が含まれるろう材を前記セラミックス基板表面に塗布した後に金属回路及び金属放熱板を構成する金属層を接着し、Ag/Cu比の組成に応じて700〜900℃程度の熱処理を加えることにより行われる。
前記の金属回路は実装される半導体素子に応じたパターンを有しており、このパターンは例えば以下のように形成される。まず、例えば金属回路を構成する材料となる前記の金属層が前記のようにセラミックス基板に結合された後に、その上に所望のパターンに対応したフォトレジストパターンをフォトリソグラフィ工程で形成する。この後に例えば金属層がCuあるいはCu合金で構成されている場合には、塩化第2鉄溶液あるいは塩化第2銅溶液を用いたウェットエッチングを行ない、フォトレジストパターンで覆われておらず露出した金属層を選択的に除去する。その後、フォトレジストを例えば水酸化ナトリウム溶液によって除去することができる。これにより、パターニングされた前記の金属層からなる金属回路を前記セラミックス基板上に得ることができる。
以上の工程を経た後に、図1における「ろう材除去」の工程を行なう。この工程は、前記の金属回路のパターニング後に、エッチングされた金属層があった部分に露出したろう材を除去する工程である。ここでは、以上の工程を経て金属回路等が形成された前記セラミックス基板を、例えばフッ化アンモニウムを過酸化水素水溶液に混合したエッチング液に40℃~80℃で30分〜2時間浸漬する。
次に、応力除去工程を行なう。この工程は、ろう付け後にセラミックス基板と金属回路の接合界面部に生じた残留応力を緩和するための工程である。ここでは、例えば、前記の工程を経た基板を強酸(例えば濃硫酸+濃硝酸)に、80℃で10秒浸漬する。
次に、酸液超音波工程を行なう。この工程は、前記金属回路等の表面に形成された酸化スケール膜を酸によって清浄化するための工程である。ここでは、例えば、前記の工程を経た基板を例えば塩酸に、50℃で1分浸漬する。
化学研磨工程においては、前記の工程に引き続き、整面エッチングを行なうこともできる。この工程は、光沢度を低下させる原因となる金属回路表面のキズを減少させるために行なう。ここでは、例えばトップグルップCu8(商品名:奥野製薬製)とグリセリンとの混合液に、50℃で3〜10分間浸漬する。
以上の工程により、表面粗さがRaにして0.1〜1.0μm、またはRmaxにして1.0〜5.0μmと小さくすることができる。
次に、皮膜除去工程を行なう。この工程は、化学研磨工程によって金属回路表面にできた皮膜層(金属回路表面がCuの場合には主にCuOで構成される)を除去するための工程である。このためには、前記の工程を経た基板を例えば硫酸に、主に室温(25℃)で2分間浸漬することにより行われる。
次に、防錆剤付与工程を行なう。この工程は、金属回路表面に防錆の効果をもつ防錆層を形成する工程である。このためには、前記の工程を経た基板を例えば有機防錆剤であるベンゾトリアゾール系防錆剤をIPA(イソプロピルアルコール)に溶かした0.5〜5%溶液を用い、主に室温(25℃)で0.5〜5分間浸漬することにより行われる。ベンゾトリアゾール系防錆剤の具体的な好適例としては、1、2、3−ベンゾトリアゾール、4−メチルベンゾトリアゾール等である。ここで、塩素を含む防錆剤を用いた場合、塩素成分が、はんだ濡れ性およびワイヤーボンディング性を劣化させる不具合があり、また、多湿環境下では防錆効果が維持することができなくなる。したがって、塩素を含む1−クロロ−1、2、3−ベンゾトリアゾールなどの使用は望ましくない。また、防錆剤の形成方法としては、上記の浸漬法の他に、回路基板を減圧環境下において、ベンゾトリアゾールの昇華性を利用して、ベンゾトリアゾール固形物を100〜200℃で加熱することで、回路基板表面に蒸着させることも可能である。これらによって、例えば金属回路表面がCuの場合には0.05〜10μmの防錆層が形成される。この防錆層によって、金属回路等の表面への酸素供給が遮断されるために、金属回路の腐食が抑制される。また、はんだ濡れ性ならびにワイヤーボンディングの容易さを確保するためにも防錆層の厚さの範囲を制御することが肝要である。また、鉛レスはんだを実装に用いる場合には、Cu回路およびCu放熱板表面のはんだ濡れ性を向上させることが必要となるため、ロジンアミン、ドデシルアミンなどの有機アミン石鹸を用いて、上記の防錆層の範囲に制御することがより望ましい。
次に、洗浄工程を行なう。この工程は、前記防錆剤付与工程の際に金属回路間の基板表面に残留した防錆剤を洗浄して除去する工程である。このためには、前記の工程を経た回路基板を例えばIPAに室温で2分間浸漬することにより行われる。
最後に、乾燥工程を行なう。この工程は、基板を取り出して、基板上のIPAを乾燥によって除去する工程である。このためには、前記の工程を経た回路基板を例えば窒素雰囲気に85℃で20分間放置することにより行われる。
以上の工程を経て得られた回路基板において、その金属回路または金属放熱板の表面は、めっき工程を経ていないにもかかわらず、平坦であり、その光沢度も高い。その平坦度については、表面粗さがRaにして0.1〜1.0μm、またはRmaxにして1.0〜5.0μmとすることができる。その光沢度としては100以上とすることができる。このような良好な表面状態の金属回路を、めっき工程を経ることなしに得ることができるのが本発明の特徴である。Raが1.0μmまたはRmaxが5.0μmより大きいと、光沢度が低下したり、その凹部に沿ってはんだが流れることによりはんだ濡れ性が劣化する。Raが0.1μmまたはRmaxを1.0μmより小さくすることは本発明の製造方法だけによって実現することは困難な上に、例えばこれに鏡面研磨をさらに行って実現した場合でも、凹凸が少なすぎるためにはんだの濡れ広がりが悪くなるため、はんだ濡れ性が劣化する。
なお、上記の表面粗さにおけるRaは平均粗さはJISB0601:2001に準拠した量であり、RmaxはJISB0601:2001に準拠した最大高さRzと同じ量である。光沢度はJISZ8741に準拠した量である。
また、本発明の製造方法によって得られた回路基板における金属回路または金属放熱板の表面の平坦度を示す量として、その表面において、0.5mm×0.5mmの視野面積当たりのキズの数を50本以下とすることができる。キズの数がこれより多いと、光沢度が低下するため、ワイヤーボンディングの際の金属配線のパターン認識が困難になる。また、このキズに沿ってはんだ流れが生じるため、はんだ濡れ性が劣化する。この数は、光学顕微鏡で前記金属回路または前記金属放熱板を観察し、直線上のキズの数を調べることによって測定できる。
前記金属回路及び前記金属放熱板の表面は前記のように銅で構成される場合が多く、銅の酸化物がその表面に形成されると、ワイヤーボンディング時の金属回路とワイヤーとの密着性に支障をきたす。また、光沢度も小さくなるため、金属回路のパターン認識も困難になり、はんだ濡れ性も低下する。この銅の酸化物が存在することにより、赤色の光沢から赤褐色に色調が変化し、これを反映して、波長が600nm程度の光の反射率は低下する。このため、この波長の光の反射率を測定することでその有無及び厚さを判定できる。この場合、本発明の回路基板の製造方法によれば、この反射率を40〜100%とすることができ、この範囲の反射率をもつ金属回路は、その光沢度が良好で、ボンディングワイヤーとの密着性が良好なものとなる。反射率が40%よりも小さくなると、ワイヤーボンディングの際の金属配線のパターン認識が困難になり、はんだ濡れ性も低下する。
本発明によれば、前記の0.05〜10μmの厚さの防錆層が金属回路及び金属放熱板表面に形成される。この厚さが0.05μmより薄いと、防錆効果が不充分となり、半導体モジュールとして使用している間に金属回路表面の腐食が発生する。また、10μmよりも厚いと、はんだ濡れ性が低下したり、光沢度が低下するためにワイヤーボンディングの際の金属配線のパターン認識が困難になる。
また、本発明の半導体モジュールは、以上の回路基板と、この回路基板に搭載された半導体素子とからなる。特に、回路基板の放熱性が高いために、大電力用として高電圧、大電流でこの半導体素子を使用することが可能となる。従って、大電力用の半導体モジュールとして使用することができる。
また、この半導体モジュールとしては、金属放熱板に銅または銅合金からなる放熱ベース板をさらに結合してもよい。この場合には、さらに放熱性が高くなるので好ましい。
以下に、本発明の実施例である回路基板の特性を比較例と共に調べた結果について説明する。比較例としては、金属回路表面のキズ密度、表面粗さ等が本発明の範囲とは異なった回路基板、及び化学研磨後に無電解Ni−Pめっきを行った従来の回路基板を作成した。
実施例1〜18の回路基板は以下の製造方法で製造した。
セラミックス基板としては厚さ0.32mmの、50mm×60mmの窒化ケイ素焼結体基板を用いた。
セラミック基板には金属回路及び金属放熱板表面がろう付けによって接合された。金属回路及び金属放熱板はどちらもCuの金属層から形成されており、ろう材としてTiを活性金属に用いたAg−Cu−In合金ろう材を用い、760℃で20分の熱処理を行うことにより接合を行った。
前記金属回路のパターンの形成は、まず、所望のパターンのフォトレジストパターンをフォトリソグラフィ工程で形成し、塩化第2鉄溶液を用いたウェットエッチングを行ない、その後、フォトレジストを3重量%の水酸化ナトリウム溶液によって除去した。
以上の工程を経た後に、図1における「ろう材除去」の工程を行った。ここでは、フッ化アンモニウムを過酸化水素を体積比で2:1の割合で混合したエッチング液に45℃で2時間浸漬した。
次に、応力除去工程を行った。ここでは、前記の工程を経た基板を濃硫酸に、80℃で1分浸漬した。
次に、酸液超音波工程を行った。ここでは、前記の工程を経た基板を塩酸に、50℃で2分浸漬し、超音波を印可した。
次に、化学研磨工程を行った。ここでは、前記の工程を経た基板を硫酸に過酸化水素水を体積比で3:1の割合で混合した液に、50℃で3〜10分間浸漬した。
次に、皮膜除去工程を行った。ここでは、前記の工程を経た基板を10%硫酸溶液に、室温で2分間浸漬した。
次に、防錆剤付与工程を行った。ここでは、前記の工程を経た基板をベンゾトリアゾール系防錆剤に室温で℃で0.5〜5分間浸漬した。
次に、洗浄工程を行った。ここでは、前記の工程を経た回路基板をIPA(イソプロピルアルコール)に室温で2分間浸漬した。
最後に、乾燥工程を行った。ここでは、前記の工程を経た基板を窒素雰囲気に80℃で5分間放置した。
比較例1としては、化学研磨の時間を短くすることによりキズ密度を本発明の回路基板よりも高くした回路基板を製造した。比較例としては、同様に表面粗さが本発明の回路基板よりも高くなった回路基板を製造した。比較例としては表面の平坦度をさらに上げるために化学研磨後にさらに鏡面研磨を行い、平坦度が本発明の回路基板よりも高い回路基板を製造した。比較例6としては防錆処理の時間を長くして防錆層を厚くした回路基板を製造した。比較例7としては逆に防錆処理の時間を短くして防錆層を薄くした回路基板を製造した。比較例8〜10は、化学研磨後に無電解Ni−Pめっきを行った従来の製造方法で製造した
以上のすべての回路基板について、金属回路表面のキズ密度、表面粗さ、防錆層の厚さ、反射率を測定した。その結果を表1に示す。
キズ密度は、光学顕微鏡でその表面を観察することにより、キズ(直線上のキズ)の0.5mm×0.5mmの領域における数を測定した。
表面粗さは、金属回路表面を触針式の表面粗さ計(SURFCOM 480A:東京精密製)を用いて長さ0.8mmの領域を0.1mm/secの速度で走査することによってその表面粗さプロファイルを求め、その結果からJISB0601に準拠してRaとRmaxを算出した。図2は、本実施例の金属回路の表面写真の例であり、図3はその表面粗さプロファイルの例である。
防錆層の厚さは、膜厚計(SURFIX-PRO FN:MKサイエンティフィック製)によって測定した。なお、組成分析の結果、防錆層は主にベンゾトリアゾールから形成されていた。
反射率は、波長600nm(赤色)の光について、分光光度計(紫外可視近赤外分光光度計Ubest V-550iRM/DS:日本分光製)によって測定した。
また、同回路基板について、金属回路表面の光沢度、はんだ濡れ性、金属配線パターン認識度、防錆性を評価した。その結果を表2に示す。
光沢度は、デジタル変角光沢度計UGV−5D(スガ試験機製)を用いてJISZ8741に準拠した角度20°での光沢度Gs(20°)を測定した。
はんだ濡れ性は、金属配線上の50mm×30mmの領域に鉛レスのペーストはんだ(Sn−3%Ag−0.5%Cu(千住金属製:M705))にて厚さが300μm程度になるように、メタルマスクを用いて印刷し、温度260℃で3分間保持後冷却した後の、はんだ部面積率を調べることによって判定した。この面積率が95%以上の場合を「良好」とした。
金属配線パターン認識度は、ワイヤーボンダー(MPB-1000:カイジョー製)において金属配線のパターン認識におけるパターン位置精度を調べ、基準位置に対する位置ずれが±0.1mm以下となっている場合を「良好」とした。
防錆性は、5℃で6時間と60℃で6時間のサイクルを湿度90%中で20日後(40サイクルに相当)の金属回路表面部の変色状態を観察し、変色が認められなかった場合を「良好」とした。
表1、表2より、本発明の実施例1〜18の回路基板は、金属回路表面の光沢度、はんだ濡れ性、金属配線パターン認識度、防錆性のすべての点において、比較例と比べて良好な結果を示し、本発明の有効性が示された。
また、金属回路表面の反射率について、本発明の実施例の回路基板において、Raが異なったものと、従来の、化学研磨の後に無電解Ni−Pめっきを行ったものとの比較を行ったのが図4である。図においては、200nmから800nmの光の波長での反射率を示している。本発明の回路基板は、いずれもNi−Pめっきを行った従来の回路基板よりも高い反射率をもつ。さらに、同等のRaをもつ場合でも、本発明の回路基板は、Ni−Pめっきを行った従来の回路基板よりも高い反射率をもつ。従って、本発明の回路基板の表面の方が高い光沢度をもち、ワイヤーボンディングが容易となる。また、比較例1における金属回路の表面写真の例を図5に示す。これにより、図2に示した本発明の実施例においては、化学研磨を用いることにより大幅にキズが減少していることが確認できた。
本発明の回路基板の製造方法を示すフロー図である。 本発明の回路基板における金属回路の表面写真の一例である。 本発明の回路基板における金属回路の表面の表面粗さプロファイルの一例である。 本発明の回路基板における金属回路の表面の反射率を従来の金属回路の表面の反射率と比較した図である。 比較例の回路基板における金属回路の表面写真の一例である。

Claims (7)

  1. セラミックス基板の一方の面に金属回路、他方の面に金属放熱板が接合された構成を具備する回路基板の製造方法であって、
    めっき層が形成されていない接合後の前記金属回路又は前記金属放熱板に化学研磨を行ない、表面における表面粗さをRaにして0.1〜1.0μm、またはRmaxにして1.0〜5.0μmとし、かつ0.5mm×0.5mmの視野面積当たりのキズの数を50本以下とする化学研磨工程と、
    めっき層が形成されていない前記化学研磨後の前記金属回路又は前記金属放熱板の表面に防錆剤を付与して0.05〜10μmの厚さの防錆層を形成する防錆剤付与工程と、
    を具備することを特徴とする回路基板の製造方法。
  2. 請求項に記載の製造方法によって製造された回路基板。
  3. セラミックス基板の一方の面に金属回路、他方の面に金属放熱板が接合された構成を具備する回路基板であって、
    めっき層が形成されていない前記金属回路又は前記金属放熱板の表面における表面粗さがRaにして0.1〜1.0μm、またはRmaxにして1.0〜5.0μmであり、かつ0.5mm×0.5mmの視野面積当たりのキズの数が50本以下であり、
    めっき層が形成されていない前記金属回路又は前記金属放熱板の表面に0.05〜10μmの厚さの防錆層を具備することを特徴とする回路基板。
  4. 波長600nmにおける光の反射率が、前記防錆層を具備する前記金属回路または前記金属放熱板の表面において40〜100%であることを特徴とする請求項に記載の回路基板。
  5. 請求項乃至のいずれか1項に記載の回路基板と、該回路基板に搭載された半導体素子とからなることを特徴とする半導体モジュール。
  6. 前記回路基板と前記半導体素子とが鉛レスはんだで接合されたことを特徴とする請求項に記載の半導体モジュール。
  7. 前記金属放熱板に銅または銅合金からなる放熱ベース板が結合されたことを特徴とする請求項又はに記載の半導体モジュール。
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