JP4760203B2 - 電気二重層キャパシタ - Google Patents

電気二重層キャパシタ Download PDF

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Description

本発明は、電気二重層キャパシタに関する。
近年、電気二重層キャパシタ(EDLC)が着目されている。この種の電気二重層キャパシタは、一対の電極と、これら一対の電極に接触する電解液とを備えている。
電解液としては、一般に非水電解液(nonaqueouselectrolytic solutions)とよばれる、電解質を有機溶媒に溶解させたものが用いられる。電極には、活性炭等の炭素材料が用いられる。
代表的な電解液としては、例えば、有機溶媒としてのプロピレンカーボネート(PC)に電解質としてのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEABF )を溶解させた電解液、プロピレンカーボネートにトリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEMABF )を溶解させた電解液等が知られている。
また、4級アンモニウムカチオンを含む電解液も知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2003−243260号公報 特開2004−87956号公報
近年、このような電気二重層キャパシタに対して、耐電圧性能を向上させることが要求されている。しかしながら、従前の電気二重層キャパシタでは、耐電圧特性が十分ではなかった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、耐電圧特性を一層向上させられる電気二重層キャパシタを提供することを目的とする。
本発明者らが検討したところ、特定の炭素材料と特定の有機溶媒とを含む電気二重層キャパシタが従来に比して耐電圧特性を向上できることを見出して本発明に想到するに至った。
本発明に係る電気二重層キャパシタは、一対の電極と、一対の電極に接触する電解液とを備えている。電極は炭素材料を有し、この炭素材料の比表面積は500m/g以下であり、かつ、この炭素材料における1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.1cm/g以下である。また、当該炭素材料はアセチレンブラックであり、電解液は電解質及び有機溶媒を有し、この有機溶媒は、(1)式の化合物、及び、(2)式の鎖状カーボネートを含む。
Figure 0004760203
ここで、R及びRは、それぞれH、又は、C2n+1であり、nは1〜6のいずれかの整数である。R及びRは互いに同一でも異なっても良い。
Figure 0004760203
ここで、R及びRは、それぞれC2n+1であり、nは1〜6のいずれかの整数である。R及びRは互いに同一でも異なっても良い。
ここで、R及びRがいずれもHである、又は、RがHかつRがCHであることが好ましい。
また、R及びRがいずれもCHである、又は、RがCHかつRがCである、又は、R及びRがいずれもCであることが好ましい。
また、電解質がオニウム塩である、特に、4級アンモニウム塩であることが好ましい。
本発明によれば、耐電圧特性に優れた電気二重層キャパシタが実現する。
本実施形態に係る電気二重層キャパシタの例について説明する。
図1は、本実施形態に係る電気二重層キャパシタ100を示す断面図である。
電気二重層キャパシタ100は、主として、積層体20、積層体を収容する外装袋50、及び積層体20に接続された一対のリード60,62を備えている。
積層体20は、一対の電極10がセパレータ18を挟んで対向配置されたものである。電極10は、それぞれ、集電体12上に活物質含有層14が設けられた物である。各活物質含有層14,14がセパレータ18の両側にそれぞれ接触している。集電体12,12の端部には、それぞれリード60,62が接続されており、リード60,62の端部は外装袋50の外部にまで延びている。
集電体12は、例えば、アルミ箔等の金属箔により形成されている。
活物質含有層14は、例えば、活物質となる炭素材料とバインダとの混合物により形成される。ここで、この炭素材料として、比表面積が500m/g以下であり、かつ、1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.1cm/g以下であるものを用いる。比表面積は、例えばBET法等により、1nm以下の細孔径を有する細孔の容積は吸着等温線に基づくMP法等により容易に取得できる。このような比表面積及び細孔容積に関する条件を満たす炭素材料としては、アセチレンブラックがあげられる。
バインダとしては、例えば、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等のフッ素樹脂等を利用できる。
セパレータ18は、絶縁性の多孔体で構成されている。絶縁性の多孔体としては、例えばセルロース不織布が挙げられる。
そして、積層体20には電気二重層キャパシタ用電解液が含浸されている。この電気二重層キャパシタ用電解液は、主として、セパレータ18、及び、電極10内の活物質含有層14に含浸されている。
ここで、本実施形態に係る電気二重層キャパシタ用電解液について詳しく説明する。本実施形態に係る電気二重層キャパシタ用電解液は、電解質及び有機溶媒を含む。
電解質は特に限定されないが、例えば、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム等のオニウム塩が挙げられる。特に好適な電解質としては、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレイト、トリエチルモノメチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩が挙げられる。
有機溶媒は、特に、(1)式の化合物、及び、(2)式の鎖状カーボネートを含む。
Figure 0004760203

ここで、R及びRは、それぞれH、又は、C2n+1であり、nは1〜6のいずれかの整数である。R及びRは互いに同一でも異なっても良い。
Figure 0004760203

ここで、R及びRは、それぞれC2n+1であり、nは1〜6のいずれかの整数である。R及びRは互いに同一でも異なっても良い。
(1)式の化合物は、いわゆるスルホラン又はその誘導体である。(1)式の化合物の好適な例としては、Rがメチル基又は水素原子であり、Rが水素原子であるものがあげられる。
(2)式の化合物は、いわゆる鎖状カーボネートであり、(2)式の化合物の好適な例は、R及びRがメチル基であるジメチルカーボネート、R及びRがエチル基であるジエチルカーボネート、及び、Rがメチル基でありRがエチル基であるエチルメチルカーボネート等が挙げられ、これらを単独で又は任意の比率で混合することができる。
また、(1)式の化合物と(2)式の化合物との比は特に限定されないが、(1)式の化合物の重量:(2)式の化合物の重量が、1:10〜10:1程度となることが好ましい。
電解液中の電解質濃度は、0.5〜3mol/Lの範囲内であることが好ましい。
なお、このような電解液は、ゲル状であっても良い。例えば、(1)式及び(2)式の化合物、電解質、可塑剤、及び、高分子マトリクスを混合したゲル状の電解液は、流動せず、自立性を有する膜状の電解液となる。
外装袋50は、その内部に積層体20及び電気二重層キャパシタ用電解液を密封する。外装袋50は、電気二重層キャパシタ用電解液の外部への漏出や電気二重層キャパシタ100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、外装袋50として、図1に示すように、金属箔52を合成樹脂膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔としては例えばアルミ箔を、合成樹脂膜としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。
リード60,62は、アルミ等の導電材料から形成されている。
このような電気二重層キャパシタ100は、従来に比して耐電圧特性に優れる。例えば、高温高電圧通電試験前後のインピーダンスの増加率が従来に比して極めて少なくなる。このような特性が得られる原因は明らかではないが、細孔の構造による電解液効果が低減したことがその一因とも考えられる。
このような電気二重層キャパシタ100は以下のように製造すればよい。まず、リード60,62の接続された積層体20、外装袋50、及び電気二重層キャパシタ用電解液をそれぞれ用意する。このとき、積層体20、外装袋50は、それぞれ、十分に乾燥処理を施しておく。例えば、空気中での加熱の後、さらに、真空中で加熱等することにより、これらの水分を十分に低減させることができる。
続いて、外装袋50内に積層体20を収容し、この積層体20に電気二重層キャパシタ用電解液を滴下し、その後、外装袋50を密封すれば上述の電気二重層キャパシタが完成する。
なお、電気二重層キャパシタ100は、上述の形態に限定されず、例えば、積層体20が多数積層されたもの等でもよい。
<実施例1>
以下のようにして実施例1の電気二重層キャパシタを作成した。
<電極の作製>
活物質となる炭素材料としてアセチレンブラックを、バインダとしてPVDFを用い、活物質:バインダ=70:30となるようにこれらを混合し、得られた混合物にN−メチルピロリドンを加えて混練することにより、塗料を調製した。アセチレンブラックの比表面積は60m/g、アセチレンブラックにおける1nm以下の細孔径を有する細孔の容積は0.08cm/gであった。
この塗料をドクターブレード法で30μmのエッチングアルミ箔の片面上に塗布した後、空気中で150℃30分放置し、その後、真空下において175℃12時間加熱することにより、塗膜を乾燥させた。次いで、塗膜形成領域を中心としてアルミ箔をタブ部を持った長方形状に打ち抜き、電気二重層キャパシタ用の一対の電極を得た。
<セルの作成>
セルの作成は露点−40℃以下の環境で行った。打抜いた電極2枚をセパレータとしての再生セルロース製不織布を介して対向させ、中心部を熱圧着し、積層体を得た。この積層体の各タブ部に超音波溶接でそれぞれアルミ製のリードを溶着した。リードを付けた積層体を、4方のうち2方を開けた袋状アルミラミネートフイルムに入れ、一方の開口部からリードを取り出し、リード部を挟んでラミネートフィルムの開口部を熱圧着した。積層体が入ったアルミラミネート外装袋の最後に残った開口部から積層体に対して電気二重層キャパシタ用電解液を注入し、真空熱圧着により残った開口部をシールし、エージングした後、図1の如き形態の実施例1の電気二重層キャパシタを得た。電解液は、電解質としてのテトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート(TEABF )を、スルホラン(SL)の重量:ジエチルカーボネート(DEC)の重量=1:1となる混合有機溶媒に溶解したものであり、電解液中の電解質濃度は0.6mol/Lとした。
<実施例2>
実施例2では、炭素材料を、比表面積が450m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<実施例3>
実施例3では、有機溶媒の重量比をSL:DMC(ジメチルカーボネート)=1:1とする以外は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<実施例4>
実施例4では、炭素材料を、比表面積が450m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は実施例3と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<実施例5>
実施例5では、有機溶媒の重量比をSL:EMC(エチルメチルカーボネート)=1:1とする以外は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<実施例6>
実施例6では、炭素材料を、比表面積が450m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は実施例5と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<実施例7>
実施例7では、有機溶媒の重量比をSL:DEC:DMC=1:1:1とする以外は実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<実施例8>
実施例8では、有機溶媒の重量比をSL:DEC:EMC=1:1:1とする以外は実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<実施例9>
実施例9では、有機溶媒の重量比をSL:DEC:DMC:EMC=1:1:1とする以外は実施例2と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例1>
比較例1では、有機溶媒をPC(プロピレンカーボネート)のみとする以外は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例2>
比較例2では、炭素材料を、比表面積が250m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例3>
比較例3では、炭素材料を、比表面積が800m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例4>
比較例4では、炭素材料を、比表面積が800m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は実施例1と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例5>
比較例5では、炭素材料を、比表面積が800m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例6>
比較例6では、炭素材料を、比表面積が60m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例7>
比較例7では、炭素材料を、比表面積が450m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例4と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例8>
比較例8では、炭素材料を、比表面積が60m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例3と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例9>
比較例9では、炭素材料を、比表面積が450m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例8と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例10>
比較例10では、炭素材料を、比表面積が800m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例8と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例11>
比較例11では、炭素材料を、比表面積が800m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例8と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例12>
比較例12では、炭素材料を、比表面積が60m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は実施例5と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例13>
比較例13では、炭素材料を、比表面積が450m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例12と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例14>
比較例14では、炭素材料を、比表面積が800m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.08cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例12と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<比較例15>
比較例15では、炭素材料を、比表面積が800m/gかつ1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.3cm/gであるアセチレンブラックに代える以外は比較例12と同様にして電気二重層キャパシタを得た。
<電気二重層キャパシタの特性評価>
各実施例及び各比較例の電気二重層キャパシタについて、70℃、3.0Vの通電試験を500時間連続で行い、通電試験前後のインピーダンスの増加率を測定した。それぞれの値を図2に示す。
実施例1〜9では、インピーダンスの増加率は130%未満である一方、比較例1〜15ではインピーダンスの増加率が大きかった。
図1は、実施形態に係る電気二重層キャパシタを示す断面図である。 図2は、実施例1〜9、比較例1〜15についてキャパシタの条件、及び、通電試験前後のインピーダンス増加率を示す表である。
符号の説明
10…電極、18…セパレータ、20…積層体、50…外装袋、80…電解液、100…電気二重層キャパシタ。

Claims (5)

  1. 一対の電極と、前記一対の電極に接触する電解液とを備え、
    前記電極は炭素材料を有し、前記炭素材料の比表面積は500m/g以下であり、かつ、前記炭素材料における1nm以下の細孔径を有する細孔の容積が0.1cm/g以下であり、
    前記電解液は電解質及び有機溶媒を有し、
    前記有機溶媒は、(1)式の化合物、及び、(2)式の鎖状カーボネートを含み、
    前記炭素材料はアセチレンブラックである、電気二重層キャパシタ。
    Figure 0004760203
    ここで、R及びRは、それぞれH、又は、C2n+1であり、nは1〜6のいずれかの整数である。R及びRは互いに同一でも異なっても良い。
    Figure 0004760203
    ここで、R及びRは、それぞれC2n+1であり、nは1〜6のいずれかの整数である。R及びRは互いに同一でも異なっても良い。
  2. 前記R及びRがいずれもHである、又は、前記RがHかつ前記RがCHである請求項1に記載の電気二重層キャパシタ。
  3. 前記R及びRがいずれもCHである、又は、前記RがCHかつ前記RがCである、又は、前記R及び前記RがいずれもCである請求項1又は2に記載の電気二重層キャパシタ。
  4. 前記電解質がオニウム塩である請求項1〜3のいずれかに記載の電気二重層キャパシタ。
  5. 前記電解質が4級アンモニウム塩である請求項4の電気二重層キャパシタ。
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