JP2018092978A - 電気二重層キャパシタ - Google Patents

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千菜美 森島
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仁 宮脇
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康治 中林
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Abstract

【課題】高い静電容量を有するとともに、応答性に優れた電気二重層キャパシタをもたらす。【解決手段】活性炭のミクロ孔の細孔径を所定範囲内に抑えるとともに、交流インピーダンス測定のコール・コール・プロットでコンデンサ成分を含む電荷移動抵抗R2の値が所定範囲内となるようにした。【選択図】図15

Description

本発明は、電気二重層キャパシタに関するものである。
近年、電気二重層キャパシタは、大電流充放電が可能で、長寿命かつ高温安定性に優れるため、例えばハイブリッド自動車等の蓄電デバイスとして注目されている。電気二重層キャパシタは、活性炭などの多孔質炭素電極内の細孔と電解液の界面に形成される電気二重層に電荷を蓄えるコンデンサである。
ところで、従来、電子機器等に組み込まれる電子回路には、高応答性が求められることから、電解コンデンサが用いられてきた。例えば、オーディオ機器のノイズ対策等に使用される電解コンデンサは容量を大きくするために大型のものが使用されている。
電気二重層キャパシタは、電解コンデンサよりも高容量化が可能であるため、応答性を向上させることにより、電子回路用途等への適用が期待できる。そうすると、電子回路、及びその電子回路を導入した電子機器等のさらなる小型・軽量化に寄与することができる。また、例えばハイブリッド自動車搭載用等のその他の用途においても、応答性を向上させることにより、キャパシタ性能を向上させることができる。
例えば、特許文献1には、周波数応答速度が高くて、高速で充放電可能な電気二重層キャパシタが提案されている。
特開2014−036113号公報
しかしながら、特許文献1のものでは、多孔質炭素の細孔の径が2nm未満のものについては、炭素材料内への電解液の拡散が円滑に行われなくなることがあると記載されている。
この点、本願出願人は、細孔径2nm未満のミクロ孔を備えた活性炭を電極として用いることにより、高電圧下充放電に対しても優れたキャパシタ性能をもたらす電気二重層キャパシタが得られることを見出し、特許出願(特願2015−222101、特願2016−133594)を行っている。
従って、より応答性の高い電気二重層キャパシタを得る観点からも、改善の余地があると考えられる。
そこで、本発明は、高い静電容量を有するとともに、応答性に優れた電気二重層キャパシタをもたらすことを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明では、多孔質炭素材料のミクロ孔の細孔径を所定範囲内に抑えるとともに、交流インピーダンス測定のコール・コール・プロットでコンデンサ成分を含む電荷移動抵抗の値が所定範囲内となるようにした。
すなわち、ここに開示する第1の技術に係る電気二重層キャパシタは、多孔質炭素材料を含む電極と、電解液とを備えた電気二重層キャパシタであって、前記多孔質炭素材料のミクロ孔の細孔径は、0.98nm以上2.0nm未満であり、電位3V以下の充電状態で行った交流インピーダンス測定におけるコール・コール・プロットから求めた電荷移動抵抗は、2.4Ω・cm未満であることを特徴とする。
活性炭等の多孔質炭素材料の細孔は、一般に、直径50nm以上のマクロ孔、直径2nm以上50nm未満のメソ孔、直径2nm未満のミクロ孔に分類される。電気二重層キャパシタでは、多孔質炭素材料のミクロ孔に吸着保持されるイオン量が容量に大きく寄与する。
上記ミクロ孔の細孔径は、電解液のイオン及び溶媒分子の直径の合計値近傍から少し大きいサイズであるから、このような細孔を有することにより、電解液中のイオンのうち活性炭の細孔に吸着保持されるイオンの量を最大限増加させることができる。また、例えば、細孔径が0.98nm未満のミクロ孔は、イオン及び溶媒分子の直径の合計値近傍に比べて小さいサイズであるから、これらの小さいミクロ孔にはイオンのスムーズな取り込み及び排出が困難となり得る。
第1の技術によれば、多孔質炭素材料のミクロ孔に吸着保持するイオン量を効果的に増大させつつ、そのイオンのミクロ孔への取り込み及び排出をスムーズに行うことができるから、電気二重層キャパシタの容量を増大させ且つ応答性を高めることができる。また、コール・コール・プロットから求めた、コンデンサ成分を含む電荷移動抵抗の値を上記範囲に抑えることで、高い応答性を示す電気二重層キャパシタをもたらすことができる。
第2の技術は、第1の技術において、比容量は、28F/g超である。
第2の技術によれば、高い応答性を示しつつ、大容量を確保した電気二重層キャパシタをもたらすことができる。
第3の技術は、第1又は第2の技術において、前記多孔質炭素材料の比表面積は、2500m/g以上である。
第3の技術によれば、多孔質単層材料のミクロ孔に吸着保持するイオン量をさらに増大させ、容量を増加させることができる。
第4の技術は、第1〜第3の技術のいずれか1つにおいて、前記多孔質炭素材料は、平均粒径10μm以上20μm以下の略球状粒子である。
第4の技術によれば、高い比表面積を有しつつ、ミクロ孔の細孔径が適切に調整された多孔質炭素材料を備えた電気二重層キャパシタを得ることができる。
なお、本明細書において「平均粒径」とは、レーザー散乱回析式粒度分布測定を用いて測定したメディアン径(D50)をいう。また、本明細書において「略球状粒子」とは、真球状及び球状に近い形状の粒子を含んでおり、粒子の長径と短径の比(アスペクト比)が1.3以下のものをいう。
以上述べたように、本発明によれば、活性炭の細孔に吸着保持するイオン量を効果的に増大させ、電気二重層キャパシタの容量を増大させるとともに、応答性を向上させることができる。
図1は、一実施形態に係るコインセル型の電気二重層キャパシタを模式的に示す縦断面図である。 図2は、一実施形態に係る巻回型の電気二重層キャパシタを模式的に示す斜視図である。 図3は、一実施形態に係る電気二重層キャパシタの電極に用いられる活性炭の製造方法を説明するための図である。 図4は、図3の製造方法における炭化工程に使用する装置を示す模式図である。 図5は、図3の製造方法における賦活工程に使用する装置を示す模式図である。 図6は、一実施形態に係る電気二重層キャパシタの製造方法を説明するための図である。 図7は、実施例及び比較例の電気二重層キャパシタについて、掃引速度10mV/sにおけるサイクリックボルタモグラムである。 図8は、実施例及び比較例の電気二重層キャパシタについて、掃引速度50mV/sにおけるサイクリックボルタモグラムである。 図9は、実施例及び比較例の電気二重層キャパシタについて、サイクリックボルタンメトリ測定により得られた、比容量の電位依存性を示すグラフである。 図10は、実施例及び比較例の電気二重層キャパシタについて、サイクリックボルタンメトリ測定により得られた、電位3Vにおける比容量の掃引速度依存性を示すグラフである。 図11は、実施例及び比較例に係る電気二重層キャパシタの放電状態における交流インピーダンス測定により得られた仮想静電容量の周波数応答性を示すグラフである。 図12は、図11に示す交流インピーダンス測定についてのコール・コール・プロットである。 図13は、実施例及び比較例に係る電気二重層キャパシタの電位3V充電状態における交流インピーダンス測定により得られた仮想静電容量の周波数応答性を示すグラフである。 図14は、図13に示す交流インピーダンス測定についてのコール・コール・プロットである。 図15は、電気二重層キャパシタにおけるコール・コール・プロットの評価方法を説明するための模式的な図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
−電気二重層キャパシタ−
本実施形態に係る電気二重層キャパシタの構造に制限はなく、例えば図1に示すような金属製ケースに収容したコイン型、アルミラミネートフィルムに収容したラミネート型、図2に示すような集電体両面に電極層を形成した一対の帯状電極体の間に帯状セパレータを介して捲回し有底円筒型容器に収容させた円筒型、集電体両面に活性炭シートを貼り付けた活性炭シート電極をセパレータを介して複数交互に積層し有底角型容器に収容させた積層型など公知の構造とすることができる。
図1に示す電気二重層キャパシタとしてのコインセル11は、ガスケット14でシールされた上ケース12と下ケース13との間に、後述する活性炭(多孔質炭素材料)を含む上側活性炭電極21Aと下側活性炭電極21Bとがセパレータ23を介して配置され、スプリング15により固定された構造である。コインセル11は、平面視で円形であるが、角型の電極を用いて角型セルとしてもよい。
図2に示す巻回型キャパシタ本体31は、帯状の集電体33の表面に活物質層34を形成した2つの電極35と、2つの電極35の間に介在する帯状セパレータ36とを巻回した構造である。2つの電極35には、リード端子32がそれぞれ接続されている。そして、図示はしないが、巻回型キャパシタ本体31に電解液を含浸させ、リード端子32の一部を外部に露出した状態で金属容器に収容し、金属容器の開口部をキャップで密閉し、電気二重層キャパシタとしての巻回型キャパシタが得られる。
−活性炭の製造方法−
図3に、本実施形態に係る電気二重層キャパシタに使用する活性炭の製造工程を示す。
<原料>
原料4は、活性炭の原料として一般的に用いられる、例えばピッチ等の炭素材料や、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂などの樹脂材料等を用いることができる。
原料4の形状は、略球状、特に真球状の粒子であることが好ましい。これにより、粒子同士の接触面積が小さくなり且つ電極内に均一に分散可能であるから、より多くの細孔に電解液のイオンを吸着保持することができる。このとき、粒子の平均粒径は、活性炭の比表面積の増加、分散性向上の観点から、好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは5μm以上30μm以下、特に好ましくは10μm以上20μm以下である。
<炭化工程>
上記原料4を、例えば、図4に示す装置1内のステンレス管2中に配置されたNi管3に入れ、電気炉5により、不活性ガス雰囲気下、加熱する(図3、S1)。
なお、本実施形態において、不活性ガスは、具体的には例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、又はこれらのガスのいずれかを主成分とする混合ガスとすることができる。
室温から炭化温度までの昇温速度は、炭化速度を制御しつつ、作業効率の観点から、好ましくは1℃/分以上20℃/分以下、より好ましくは3℃/分以上15℃/分以下、特に好ましくは5℃/分以上10℃/分以下である。
炭化温度は、後述する賦活工程において活性炭のミクロ孔の形成を促進させつつ、過度に大きな孔とならないようこれらの径を制御する観点から、好ましくは500℃以上1000℃以下、より好ましくは600℃以上900℃以下、特に好ましくは600℃以上800℃以下である。なお、500℃未満の炭化温度では、形成される細孔の分布の不均一性が増す傾向がある。また、1000℃を超える炭化温度では、炭化が進み、細孔の形成が難しくなる傾向がある。
炭化時間は、後述する賦活工程において活性炭のミクロ孔の形成を促進させつつ、過度に大きな孔とならないようこれらの径を制御する観点から、好ましくは0.5時間以上2時間以下、より好ましくは0.7時間以上1.5時間以下、特に好ましくは0.8時間以上1.2時間以下である。なお、0.5時間未満の炭化時間では、所定温度での熱処理効果が得られにくく、また2時間を超える炭化時間では、製造時間が長くなりすぎるため不利である。
<賦活工程>
上記炭化工程S1において得られた炭化物に対して、アルカリ剤を添加・混合し、得られた混合物4’を、図5に示すように、カーボンフェルト6を設置した装置1’により、不活性ガス雰囲気下において、加熱する(図3、S2)。
アルカリ剤は、アルカリ金属化合物を用いることができ、具体的には例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム等の水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩などを用いることができる。特に、活性炭の細孔径を制御する観点から、水酸化カリウム(KOH)を用いることが好ましい。
室温から賦活温度までの昇温速度は、活性炭の細孔径の制御及び作業効率の観点から、好ましくは1℃/分以上20℃/分以下、より好ましくは3℃/分以上15℃/分以下、特に好ましくは5℃/分以上10℃/分以下である。
賦活温度は、活性炭の細孔径0.98nm未満のミクロ孔の形成を抑制しつつ、細孔径0.98nm以上2.0nm未満のミクロ孔の形成を促進させる観点から、好ましくは500℃以上1000℃以下、より好ましくは550℃以上950℃以下、特に好ましくは600℃以上900℃以下である。なお、賦活温度が500℃未満の場合、賦活反応の進行が遅く賦活時間が長くなるため不利である。また、賦活温度が1000℃を超えると賦活反応が速くなりすぎるため、比較的均一な細孔の形成が困難となる。
賦活時間は、活性炭の細孔径0.98nm未満のミクロ孔の形成を抑制させつつ、細孔径0.98nm以上2.0nm未満のミクロ孔の形成を促進させる観点から、好ましくは0.5時間以上2時間以下、より好ましくは0.7時間以上1.5時間以下、特に好ましくは0.8時間以上1.2時間以下である。なお、賦活温度が0.5時間未満では、十分に賦活反応が進行しない傾向がある。また、賦活温度が2時間を超えると、二次的な賦活反応により比較的均一な細孔の形成が困難となる傾向がある。
<洗浄・濾過・乾燥工程>
賦活工程S2後の賦活物を、活性炭の製造方法として一般的な方法で、洗浄・濾過・乾燥させる(図3、S3)。具体的には例えば、水で洗浄後、例えば塩酸や硝酸などの酸で洗浄、濾過し、得られた固形物を乾燥する。これにより賦活工程S2で使用した余剰のアルカリ剤を取り除くことができる。
<官能基除去処理工程>
上記乾燥物に対し、活性炭の製造方法として一般的な方法で、官能基除去処理を施す(図3、S4)。具体的には例えば、水素ガスなどの非酸化性雰囲気下、加熱処理する。これにより、上記洗浄・濾過・乾燥工程S3で得られた乾燥物表面に存在し、電解液の分解反応の活性点となり得る、例えば(水酸基などの)官能基を効果的に除去することができる。
−活性炭の物性−
<比表面積>
上述のごとく調整された活性炭は、細孔径0.98nm未満の細孔の形成を抑制しているにも拘わらず、高い比表面積を有しており、後述するα比表面積は、好ましくは2500m/g以上、より好ましくは2700m/g以上、特に好ましくは2800m/g以上3000m/g未満である。これにより、電気二重層キャパシタの電極材料として使用したときに、電解液中のイオンの吸着量が増大し、例えば電気二重層キャパシタの容量増加等に寄与することができる。
<細孔容量>
また、活性炭は、高い細孔容量を有しており、後述するα法により得られるミクロ孔の細孔容量は、好ましくは1.16cm/g超、より好ましくは1.20cm/g以上3.00cm/g以下、特に好ましくは1.30cm/g以上2.50cm/g以下である。これにより、電気二重層キャパシタの電極材料として使用したときに、電解液中のイオンの吸着量が増大し、電気二重層キャパシタの容量増加に寄与することができる。
<細孔径>
以下、活性炭の細孔径について検討する。
電気二重層キャパシタに用いられる電解液としては、メチルエチルピロリジニウムテトラフルオロホウ酸(MEPYBF)、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロホウ酸(TEABF)、及びスピロ−(1,1’)−ビピロリジニウムテトラフルオロホウ酸(SBPBF)などの電解質が、プロピレンカーボネート(PC)やアセトニトリル(AN)などの溶媒に溶解したもの等が用いられる。これらのイオン及び溶媒分子の大きさは、分子軌道計算によれば、MEPY:0.50nm、TEA:0.55nm、SBP:0.66nm、BF :0.23nm、PC:0.55nm、AN:0.32nmであることが知られている。
例えば、MEPYが活性炭の細孔に取り込まれるには、MEPYは溶媒とともに細孔内に取り込まれるため、少なくともMEPYとPCとを合計した大きさである1.05nm以上の細孔であることが必要である。同様にTEAとPCでは1.10nm、BF とPCでは0.78nm以上の細孔であることが必要である。また、SBPとANでは0.98nm、BF とANでは0.55nm以上の細孔であることが必要である。これらのことから、例えば0.98nm未満の大きさの細孔は少なくともMEPY、TEA又はSBPイオンを取り込む、及び排出することが困難であり、イオン及び溶媒分子の移動が阻害され得る。そうすると、このような小さすぎる細孔は、電極の容量として寄与しない上に、応答性の観点からも不利となる。さらに、このような小さすぎる細孔は、電解液の分解反応の活性点となり得るため、分解反応を抑制する観点からも、できる限りこのような細孔の数が低減されることが望ましい。
なお、細孔径が大きくなると、細孔内へのイオンの出入りが容易になり、電気二重層キャパシタの応答性が向上すると考えられる。しかしながら、細孔径が大きすぎる場合には、細孔に取り込まれたイオンが細孔に保持されることなく細孔外へ放出される可能性が高まり、応答性のさらなる向上は見込めるものの、電気二重層キャパシタの静電容量が低下する虞がある。
以上のことから、本実施形態の活性炭において、後述するα法により得られる細孔径は、高容量及び高応答性の電気二重層キャパシタを得る観点から、好ましくは0.98nm以上2.0nm未満、より好ましくは1.0nm以上1.8nm以下、特に好ましくは1.07nm以上1.68nm以下である。
−電気二重層キャパシタの製造方法−
本実施形態においては、図1に示す、コイン型の電気二重層キャパシタであるコインセル11の作製手順を例に挙げて説明する。
<混練工程>
図6に示すように、上述のごとく調製した活性炭と、導電補助剤と、バインダ材とを混練機により混練する(図6、S11)。
導電補助剤は、活物質としての活性炭の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電補助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック(KB)、その他のファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック、Super−P(TIMCAL社製)など)等の炭素材料が挙げられる。混練物中における導電補助剤の混合割合は、電極の導電性向上の観点から、好ましくは5〜15質量%、より好ましくは6〜14質量%、特に好ましくは7〜13質量%である。
バインダ材は、活性炭や導電補助剤同士、またこれらの電極材料と後述する集電体とを結合させるものである。バインダ材は、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等のフッ素樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ポリアセチレン等が挙げられる。混練物中におけるバインダ材の混合割合は、活性炭、導電補助剤及び集電体間の接着性向上の観点から、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは7〜35質量%、特に好ましくは8〜32質量%である。
混練機は、例えば、加圧式ニーダー、押し出し機、プラネタリーミキサーなど公知の混練機やミキサーを用いることができる。
<圧延及び乾燥工程>
上記混練工程S11で得られた混練物をカレンダロールなどの公知の圧延機で圧延することによって、シート状に成形する(図6、S12)。
圧延により成形された活性炭シートは水を含むので、乾燥により水分を除去する(図6、S13)。活性炭シートからの水の除去は、圧延して成形した後で乾燥してもよいし、圧延と同時に乾燥して水の一部又は全部を除去してもよい。具体的には例えば、真空中好ましくは100℃〜150℃の温度に6時間〜24時間加熱し、乾燥させる。これにより、充放電に伴う残留水分のガス化に起因する電気二重層キャパシタの破損を防止することができる。
<打ち抜き工程>
そして、得られたシート状の圧延物を、例えば円形や矩形の打抜き型を用いてディスク状に打抜く(図6、S14)。
得られたディスク体の質量及び厚さを測定した後、そのディスク体を、例えば黒鉛系の導電性接着剤などを用いて集電体に貼り付け、電極を得る。
なお、集電体としては、導電性に優れ且つ電気化学的に耐久性のある材料であればよく、例えばアルミニウム、チタン、タンタルなどの金属やステンレス鋼などが通常用いられる。
<コインセル組立工程>
上述のごとく得られた電極を、不活性ガス雰囲気下、電解液を用いて、コインセルを組み立てる(図6、S15)。
電解液は、電気二重層キャパシタの内部に含有させるものであり、電解質と溶媒とを含む。
電解液に含有される電解質としては、カチオンとアニオンとを含む塩であって、例えば、カチオンは、テトラエチルアンモニウム(TEA)、トリエチルメチルアンモニウム、メチルエチルピロリジニウム(MEPY)、スピロ−(1,1’)−ビピロリジニウム(SBP)、ジエチルメチル−2−メトキシエチルアンモニウム(DEME)、1、3−ジアルキルイミダゾリウム、1,2,3−トリアルキルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム(EMI)、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム(DMPI)等であり、アニオンは、BF 、PF 、ClO 、AlCl 又はCFSO であるものを採用することができる。
電解液の溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、アセトニトリル(AN)、プロピオニトリル、γ−ブチロラクトン(BL)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、ジメトキシメタン(DMM)、スルホラン(SL)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルソルブなどの有機溶媒などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
電解液中の電解質の濃度は、電気二重層キャパシタの十分な容量発現の観点から、好ましくは0.3〜2.0mol/L、より好ましくは0.5〜1.7mol/L、特に好ましくは0.7〜1.5mol/Lである。
−キャパシタ性能−
<静電容量>
本実施形態に係る電気二重層キャパシタは、電解液としてTEABF/PCを用いた場合、高い静電容量を示す電気二重層キャパシタを得る観点から、後述する充放電試験により得られる比容量、すなわちコインセル全体における単位質量当たりの静電容量(F/g)が、好ましくは28F/g超、より好ましくは30F/g以上、特に好ましくは35F/g以上である。
また、電解液としてMEPYBF/PCを用いた場合、高い静電容量を示す電気二重層キャパシタを得る観点から、後述する充放電試験により得られる比容量、すなわちコインセル全体における単位質量当たりの静電容量(F/g)が、好ましくは31F/g超、より好ましくは32F/g以上、特に好ましくは41F/g以上である。
また、電解液としてSBPBF/ANを用いた場合、高い静電容量を示す電気二重層キャパシタを得る観点から、後述するサイクリックボルタンメトリ測定により求めた角型セルの比容量、すなわち角型セル全体に含まれる電極物質の単位質量当たりの静電容量(F/g)が、好ましくは31F/g超、より好ましくは32F/g以上、特に好ましくは33F/g以上である。
いずれの電解液を用いた場合であっても、比容量の上限値は特に限定されないが、例えば100F/g以下とすることができる。
<応答性>
本実施形態に係る電気二重層キャパシタは、高い応答性を示す。すなわち、電極に用いる活性炭の細孔径を調整することにより、電解液に含まれるイオンのうち、活性炭の細孔に吸着保持されるイオンの量を最大限増加させることができる。また、イオン及び溶媒分子の直径の合計値近傍よりも小さいサイズのミクロ孔の形成を抑制することにより、ミクロ孔へのイオンの取り込み及び排出がスムーズに進行する。そうして、電気二重層キャパシタの容量を増大させることができるとともに、その応答性を効果的に向上させることができる。
電気二重層キャパシタの応答性は、例えば、交流インピーダンス測定により得られるコール・コール・プロットを解析することにより評価することができる。具体的には例えば、後述する交流インピーダンス測定において得られたコール・コール・プロットで、コンデンサ成分を含む電荷移動抵抗R2の値が小さい程、応答性が高いと判断することができる。本実施形態において、後述するように電位3V以下の充電状態又は電位0Vの放電状態で行った交流インピーダンス測定のコール・コール・プロットから得られた電荷移動抵抗R2は、高い応答性を示す電気二重層キャパシタを得る観点から、好ましくは2.4Ω・cm未満、より好ましくは、2.0Ω・cm以下、特に好ましくは1.0Ω・cm以下である。
<用途>
本実施形態に係る電気二重層キャパシタは、高容量・高応答性の観点から、例えば通常の家電製品、例えば、ラジオ、オーディオ機器の電子回路用コンデンサや、ハイブリッド自動車などに搭載される蓄電デバイス、ブラックボックスのバックアップ電源として有用である。
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
−活性炭の調製−
表1に、製造例1〜5の活性炭の調製条件及び各物性値について示す。
Figure 2018092978
[製造例1]
<炭化工程>
原料4として市販の粒状フェノール樹脂(平均粒径17μm)を、図4に示す装置1のステンレス管2中に設置されたNi管3中に入れ、窒素ガス気流下(200mL/分)、電気炉5により5℃/分で室温から600℃まで昇温した。その後、600℃の温度で1時間保持し、炭化物を得た。
<賦活工程>
次に、炭化物を室温まで冷却後、炭化物が入ったNi管3内に、炭化物に対して質量比が4となるようにKOHを添加した。そして、図5に示すようにカーボンフェルト6を設置して、5℃/分で室温から600℃まで昇温した。その後600℃の温度で1時間保持し、賦活物を得た。
<洗浄・濾過・乾燥工程>
賦活物を室温まで冷却後、イオン交換水、次いで塩酸で洗浄後、濾過して得られた固形物を乾燥した。
<官能基除去工程>
上記固形物を、Hガス50mL/分、及びArガス200mL/分の気流下、600℃の温度で24時間加熱することにより、活性炭表面の官能基除去処理を行い、製造例1の活性炭P1を得た。
[製造例2]
表1に示すように、賦活温度を700℃とした以外は、製造例1と同様の条件により活性炭P2を調製した。
[製造例3]
表1に示すように、賦活温度を800℃とした以外は、製造例1と同様の条件により活性炭P3を調製した。
[製造例4]
表1に示すように、賦活温度を900℃とした以外は、製造例1と同様の条件により活性炭P4を調製した。
[製造例5]
表1に示すように、賦活温度を900℃とするとともに、KOH量を炭化物に対して質量比が6となるようにした以外は、製造例1と同様の条件により活性炭P5を調製した。
−活性炭の物性−
製造例1〜5の活性炭について、比表面積、ミクロ孔の細孔容量、及びミクロ孔の細孔径について、窒素ガスを用いて測定した吸着等温線よりα法(K. Kaneko,C. Ishii,M. Ruike,H. Kuwabara,“Origin of Superhigh Surface Area and Microcrystalline Graphitic Structures of Activated Carbons”,Carbon,30,(1992) 1075-1088)にて算出した。結果を表1に示す。
−コインセル及び角型セル−
次に、製造例1〜5の活性炭及び表2に示す電解液を用い、電気二重層キャパシタとして、実施例1〜8及び比較例1,2のコインセル並びに実施例9〜12及び比較例3の角型セルを作製した。
Figure 2018092978
−コインセル−
表3にコインセルの構成を示す。
Figure 2018092978
[実施例1]
<混練工程>
表3に示すように、製造例2の活性炭P2と、ケッチェンブラック(KB)と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とを、質量比で8:1:1の割合となるように、混練機に入れ、混練を行った。
<圧延・乾燥工程>
その後上記混練物を圧延し、真空下120℃の温度で12時間加熱し、乾燥させた。
<打抜き工程>
そして、円形の打抜き型を用いて直径12mmのディスク状に打抜き、ディスク体を得た。得られたディスク体の質量及び厚さを測定した後、アルミニウムシート製集電体に貼り付け、電極を得た。
<コインセル作製>
得られた電極を用いて、Ar雰囲気下、表2に示す電解液Tを使用して、図1に示すCR2032型のコインセルを組み立てた。
[実施例2]
表3に示すように、製造例3の活性炭P3を用いた以外は実施例1と同様の条件により
コインセルを作製した。
[実施例3]
表3に示すように、製造例4の活性炭P4を用いた以外は実施例1と同様の条件によりコインセルを作製した。
[実施例4]
表3に示すように、製造例5の活性炭P5を用いた以外は実施例1と同様の条件によりコインセルを作製した。
[比較例1]
表3に示すように、製造例1の活性炭P1を用いた以外は実施例1と同様の条件によりコインセルを作製した。
[実施例5]
表3に示すように、電解液Mを用いた以外は実施例1と同様の条件によりコインセルを作製した。
[実施例6]
表3に示すように、電解液Mを用いた以外は実施例2と同様の条件によりコインセルを作製した。
[実施例7]
表3に示すように、電解液Mを用いた以外は実施例3と同様の条件によりコインセルを作製した。
[実施例8]
表3に示すように、電解液Mを用いた以外は実施例4と同様の条件によりコインセルを作製した。
[比較例2]
表3に示すように、電解液Mを用いた以外は比較例1と同様の条件によりコインセルを作製した。
<充放電試験>
実施例1〜8及び比較例1,2のコインセルについて、静電容量を測定するため、充放電試験を行った。まず、電圧値を2.7Vとし、充放電レート1mA/cmで100サイクルの充放電試験を行い、コインセルの静電容量(終止容量)を、コインセル全体の単位質量当たりの比容量(F/g)として算出した。そして、電圧値を3.0V、及び3.3Vとして、同様の充放電試験を行い、比容量を算出した。表3に、結果を示す。
表3に示すとおり、電解液Tを用いた場合、比容量が、実施例1〜4では35F/g〜46F/gであったのに対し、比較例1では26F/g〜28F/gと低下することが判った。
また、表3に示すとおり、電解液Mを用いた場合は、比容量が、実施例5〜8では41F/g〜44F/gであったのに対し、比較例2では29F/g〜31F/gと低下することが判った。
電解液T,Mを用いた場合、上述のごとく、カチオンであるTEA,MEPYと溶媒分子PCの大きさの合計値は各々1.10nm,1.05nmとなる。例えばカソード電極では、上記カチオンが活性炭の細孔内に吸着・保持されて静電容量が発現する。カチオンの移動には溶媒分子PCの移動が伴うところ、少なくとも上記1.10nm,1.05nm未満の細孔径を有する細孔には、各々のカチオンは吸着・保持されにくく、容量が発現し難いと考えられる。実際、表3に示すように、特に細孔径0.94nmの活性炭P1では、他の活性炭に比べて、比容量の低下が確認された。このことは、活性炭P1では細孔径が小さすぎるために、カチオンが細孔内に吸着・保持され難く、容量が発現し難いことを示していると考えられる。
−角型セル−
[実施例9]
表4に角型セルの構成を示す。
Figure 2018092978
混錬工程で、製造例2の活性炭P2と、カーボンブラック(TIMCAL社製、Super−P)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)と、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)とを、質量比で85:7:3:5の割合で混錬した。また、打抜き工程で、2cm×2cm角型の打抜き型を用いて電極を作製し、表2に示す電解液Sを使用して、角型セルを組み立てた。上記以外は、実施例1と同様の条件により、角型セルを作製した。
[実施例10]
表4に示すように、製造例3の活性炭P3を用いた以外は実施例9と同様の条件により角型セルを作製した。
[実施例11]
表4に示すように、製造例4の活性炭P4を用いた以外は実施例9と同様の条件により角型セルを作製した。
[実施例12]
表4に示すように、製造例5の活性炭P5を用いた以外は実施例9と同様の条件により角型セルを作製した。
[比較例3]
表4に示すように、製造例1の活性炭P1を用いた以外は実施例9と同様の条件により角型セルを作製した。
<サイクリックボルタンメトリ測定>
表4に示す実施例9〜12及び比較例3の角型セルについて、サイクリックボルタンメトリ測定を行った。結果を、図7〜図10に示す。
サイクリックボルタンメトリ測定は、Potentiostats/Galvanostats(Princeton Applied Reseach社製、VersaSTAT3)を用い、室温、掃引速度10〜50mV/s、電位窓0〜3.0Vの条件で行った。なお、図9に示す電位窓確認実験は、室温、掃引速度5mV、電位窓0〜2.7V、0〜2.8V、0〜2.9V、0〜3.0V、0〜3.1V及び0〜3.2Vの条件で行った。さらに、図9及び図10に示す比容量(F/g)の値は、角型セルに含有される電極物質の総質量に対する値であり、電極物質単位質量当たりの静電容量である。
図7及び図8は、それぞれ掃引速度10mV及び50mVにおける、サイクリックボルタモグラムである。
比較例3の角型セルでは、0V及び3V近傍でヒステリシスカーブが緩やかになっている。一方、実施例9〜12の角型セルでは、矩形に近いヒステリシスカーブとなっている。このことから、実施例9〜12の角型セルでは、比較例3の角型セルに比べて、電気二重層キャパシタの応答性が高いことが判る。
なお、図9及び図10に示すように、実施例9〜12の角型セルでは、比較例3の角型セルに比べて、比容量が大きいことが判る。具体的には、図9及び図10において、比容量は、実施例9〜12の角型セルでは、32F/g以上の値であるのに対し、比較例3の角型セルでは、31F/g以下の値となっている。この結果は、実施例1〜8及び比較例1,2の上記充放電試験の結果と整合するものである。
<交流インピーダンス測定>
表4に示す実施例9〜12及び比較例3の角型セルについて、交流インピーダンス測定を行った。結果を表4、及び図11〜図14に示す。
測定は、インピーダンス測定装置(Princeton Applied Research社製、VersaSTAT3)を用いて、放電状態(0V)及び充電状態(1V、2V、及び3V)について、25℃、測定周波数範囲0.01Hz〜100000Hzの条件で各々行った。
図11及び図12は、放電状態(0V)での測定結果を示している。また、図13及び図14は、充電状態(3V)での測定結果を示している。図11及び図13は、周波数に対する仮想静電容量の変化を示しており、図12及び図14は、それぞれ図11及び図13の測定から得られたコール・コール・プロットである。
図11及び図13に示すように、放電状態(0V)及び充電状態(3V)のいずれにおいても、低周波数側で仮想静電容量の増加が見られた。特に、実施例9〜12の角型セルでは、0.1Hz以上1Hz以下の範囲に仮想静電容量のピークが見られるのに対し、比較例3の角型セルでは、0.1Hz未満の範囲で仮想静電容量のピークが見られている。
図12及び図14に示すコール・コール・プロットは、模式的に図15に示すようなプロットとなっている。図15に示すように、抵抗成分を大きく以下の3種類に分離することができる。具体的には、点Aまでの第1の抵抗、すなわちバルク抵抗R1、点AB間の第2の抵抗、すなわち電荷移動抵抗R2、及び、点BC間の第3の抵抗、すなわちイオン拡散抵抗R3である。
バルク抵抗R1は、高周波数側の抵抗であり、角型セルのバルク成分に由来する抵抗と考えられる。また、電荷移動抵抗R2は、円弧成分として得られていることから、何らかのコンデンサ成分が存在することを示しており、例えば電解液と活性炭との間に存在する界面に由来するコンデンサ成分の存在を示していると考えられる。さらにイオン拡散抵抗R3は、低周波数側の抵抗であり、その他の種々の界面等に由来する抵抗を示していると考えられる。
表4に、各測定で得られたR1及びR2の値を示す。比較例3の角型セルでは、バルク抵抗R1は、0V〜3Vの全ての電位において、3.5Ω・cmであった。一方、実施例9〜12の角型セルでは、1.8〜2.8Ω・cmであった。また、電荷移動抵抗R2は、0V〜3Vの全ての電位において、比較例3の角型セルでは、2.4〜7.2Ω・cmであったのに対し、実施例9〜12の角型セルでは、0〜1.0Ω・cmであった。特に、実施例9〜12の角型セルにおいて、電位0V、1V、2V、及び3Vの測定では、電荷移動抵抗R2は、それぞれ1.0Ω・cm以下、1.0Ω・cm以下、0.8Ω・cm以下、及び0.9Ω・cm以下の値であった。
上述のごとく、電荷移動抵抗R2の円弧が大きさは、電解液と活性炭の間に界面が存在することによるコンデンサ成分の大きさを示していると考えられる。
比較例3の角型セルに用いた活性炭P1は、細孔径が0.98nmよりも小さい。そうすると、細孔へのイオンの出入りが困難となり、このイオンの出入りの困難性に由来する界面が、電解液と活性炭の間に存在し、R2が大きくなると考えられる。一方、実施例9〜12の角型セルに用いた活性炭P2〜P5は、細孔径が0.98nmよりも大きい。ゆえに、細孔へのイオンの出入りが、比較例3の場合と比べて、容易であるため、上記イオンの出入りの困難性に由来する界面の影響が小さいと考えられる。そうして、R2が小さくなると考えられる。
本発明は、多孔質炭素材料のミクロ孔に吸着保持するイオン量を効果的に増大させ、電気二重層キャパシタの容量を増大させるとともに、応答性を向上させることができるので、極めて有用である。
1 装置
1’ 装置
2 ステンレス管
3 Ni管
4 原料
4’ 混合物
5 電気炉
6 カーボンフェルト
11 コインセル(電気二重層キャパシタ)
12 上ケース
13 下ケース
14 ガスケット
15 スプリング
21A 上側活性炭電極
21B 下側活性炭電極
23 セパレータ
31 巻回型キャパシタ本体
32 リード端子
33 集電体
34 活物質層
35 電極
36 帯状セパレータ
R1 バルク抵抗
R2 電荷移動抵抗
R3 イオン拡散抵抗

Claims (4)

  1. 多孔質炭素材料を含む電極と、電解液とを備えた電気二重層キャパシタであって、
    前記多孔質炭素材料のミクロ孔の細孔径は、0.98nm以上2.0nm未満であり、
    電位3V以下の充電状態で行った交流インピーダンス測定におけるコール・コール・プロットから求めた電荷移動抵抗は、2.4Ω・cm未満である
    ことを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  2. 請求項1において、
    比容量は、28F/g超であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記多孔質炭素材料の比表面積は、2500m/g以上であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
    前記多孔質炭素材料は、平均粒径10μm以上20μm以下の略球状粒子であることを特徴とする電気二重層キャパシタ。
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