JP2013197535A - 電解液及び電気二重層キャパシタ - Google Patents

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Abstract

【課題】イオン液体をキャパシタ用電解液に用いる系において、イオン液体を電解液として用いることで得られる電気二重層キャパシタの優れた耐久性を維持しつつ、電極への含浸性が優れ、更にキャパシタの内部抵抗を低くすることができる電解液を提供する。
【解決手段】含フッ素モノエーテルとイオン液体とを含むことを特徴とする電解液。
【選択図】 なし

Description

本発明は、電解液及びそれを用いた電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは、電極と電解質との間に形成される電気二重層を利用したコンデンサである。キャパシタの貯蔵エネルギーを高めるためには、キャパシタへの印加電圧を大きくすることが考えられるが、有機溶媒に電解質を溶解させた電解液を用いた電気二重層キャパシタでは、例えば3V程度の高い電圧を印加すると、耐久性等が低下するという問題があった。
電気二重層キャパシタの電解液としては、イオン液体を使用することが提案されている。イオン液体は耐酸化性に優れるため、イオン液体をキャパシタの電解液として用いた場合、耐久性が向上することが期待される。
例えば、特許文献1には、イオン液体と、下記式:
(式中、R及びRは、同一又は異なって、炭素数1から4の直鎖又は分岐のアルキル基又はフッ化アルキル基を示し、R〜R10は、同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、メチル基又はフッ化メチル基を示す。m及びnはいずれも0以上の整数であり、かつm+nは1〜6である。)で表される化合物とを含有することを特徴とする電気二重層キャパシタ用電解液が開示されている。
特開2011−204918号公報
しかしながら、イオン液体をキャパシタ用電解液に用いた場合、電極への含浸性が悪いことからキャパシタの製造工程に時間がかかることや、電解液の粘度が高いことからキャパシタの内部抵抗が高くなることが課題であった。
本発明は、イオン液体をキャパシタ用電解液に用いる系において、イオン液体を電解液として用いることで得られる電気二重層キャパシタの優れた耐久性を維持しつつ、電極への含浸性が優れ、更にキャパシタの内部抵抗を低くすることができる電解液を提供する。
本発明は、含フッ素モノエーテルとイオン液体とを含むことを特徴とする電解液に関する。
本発明の電解液は、含フッ素モノエーテルとイオン液体との体積比〔含フッ素モノエーテル〕/〔イオン液体〕が、15/85〜99/1であることが好ましい。
上記含フッ素モノエーテルは、下記式(1):
Rf−O−Rf (1)
(式中、Rfは炭素数が1〜10のフルオロアルキル基、Rfは炭素数1〜4のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基である。)で示される含フッ素鎖状モノエーテルであることが好ましい。
上記含フッ素モノエーテルは、HCFCFCHOCFCFH、及び、HCFCFCHOCFCFHCFからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
上記イオン液体は、第4級アンモニウム塩であることが好ましい。
本発明はまた、上記電解液、並びに、正極及び負極を備える電気二重層キャパシタでもある。
本発明の電解液は、イオン液体を電解液として用いることで得られる電気二重層キャパシタの優れた耐久性を維持しつつ、電極への含浸性が優れ、更にキャパシタの内部抵抗を低くすることができる。
図1は、実施例及び比較例の電解液に対して行ったしみ込み試験において、電解液滴下直後の写真である。(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)は比較例3、(d)は実施例1、(e)は実施例2の結果を表す。 図2は、実施例及び比較例の電解液に対して行ったしみ込み試験において、電解液滴下から1分経過後の写真である。(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)は比較例3、(d)は実施例1、(e)は実施例2の結果を表す。 図3は、実施例及び比較例の電解液に対して行ったしみ込み試験において、電解液滴下から2分経過後の写真である。(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)は比較例3、(d)は実施例1、(e)は実施例2の結果を表す。 図4は、実施例及び比較例の電解液に対して行ったしみ込み試験において、電解液滴下から3分経過後の写真である。(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)は比較例3、(d)は実施例1、(e)は実施例2の結果を表す。
本発明の電解液は、イオン液体と含フッ素モノエーテルとを含む。
本発明の電解液は、イオン液体と低粘性の含フッ素モノエーテルとを含むものであることから、電極への含浸性に優れる。そのため、電気二重層キャパシタに本発明の電解液を用いた場合、電解液が電極へ効率よく含浸することから、電気二重層キャパシタの生産性を向上させることができる。
また、イオン液体を用いた電解液では、イオン液体の粘性が高いことから内部抵抗が高いという課題があるが、本発明の電解液は、イオン液体と含フッ素モノエーテルとを含むことによって、キャパシタの内部抵抗を低くすることができる。これにより、電気二重層キャパシタの出力を高くすることもできる。
本発明の電解液は、イオン液体と含フッ素モノエーテルとを含むものであることから、電気二重層キャパシタの耐久性(長期信頼性特性)を優れたものとすることができる。また、耐電圧性にも優れたものとすることができる。
上記含フッ素モノエーテルは、1つ以上のフッ素原子と、1つのエーテル結合とを有する化合物である。
含フッ素モノエーテルとしては、例えば、特開平8−37024号公報、特開平9−97627号公報、特開平11−26015号公報、特開2000−294281号公報、特開2001−52737号公報、特開平11−307123号公報等に記載された化合物を挙げることができる。
上記含フッ素モノエーテルは、下記式(1):
Rf−O−Rf (1)
(式中、Rfは炭素数が1〜10のフルオロアルキル基、Rfは炭素数1〜4のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基である。)で示される含フッ素鎖状エーテルであることが好ましい。
Rfとしては、例えば、HCFCF−、HCFCFCH−、HCFCFCFCH−、HCFCFCFCFCH−、CCH−、CFCFHCFCH−、HCFCF(CF)CH−、CCHCH−、CFCFCH−、CFCHCH−、C13−、C17−、CFCFHCFCH(CH)−、などの炭素数1〜10のフルオロアルキル基を挙げることができる。これらの中でも、炭素数3〜6のフルオロアルキル基が好ましい。
Rfとしては、例えば、炭素数1〜6の非フッ素アルキル基、−CFCFH、−CFCFHCF、−CFCFCFH、−CHCHCF、−CHCFHCF、−CHCHなどを挙げることができ、これらの中でも、炭素数2〜4の含フッ素アルキル基が好ましい。
これらの中でも、Rfが炭素数3〜4の含フッ素アルキル基であり、Rfが炭素数2〜3の含フッ素アルキル基であることが、イオン伝導性が良好な点から特に好ましい。
上記含フッ素鎖状エーテルとしては、HCFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCFH、HCFCFCHOCFCFHCF、CFCFCHOCFCFHCF、C13OCH、C13OC、C17OCH、C17OC、CFCFHCFCH(CH)OCFCFHCF、HCFCFOCH(C、HCFCFOC、HCFCFOCHCH(C、HCFCFOCHCH(CH等が挙げられる。
上記式(1)において、Rfが非フッ素系のアルキル基である場合に比して、Rfが含フッ素アルキル基である場合、耐酸化性に優れているので、高い分解電圧をもつ点で好ましい。
上記含フッ素鎖状エーテルは、HCFCFCHOCFCFH、CFCFCHOCFCFH、HCFCFCHOCFCFHCF、CFCFCHOCFCFHCF、及び、CFCFHCFCH(CH)OCFCFHCFからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
これらの中でも、長期信頼性、出力向上の点から、HCFCFCHOCFCFH、及び、HCFCFCHOCFCFHCFからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、HCFCFCHOCFCFHが更に好ましい。
また、本発明において、含フッ素モノエーテルは、
などの含フッ素環状エーテルであってもよい。
上記イオン液体としては、第4級アンモニウム塩が好ましい。本発明におけるイオン液体は、例えば、下記式(2):
(式中、R11、R12及びR13は、同一又は異なって、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R11とR12とが環を形成してもよい。R14は、炭素1又は2のアルキル基を示す。pは、1又は2を示す。Xは、含フッ素アニオンを示す。)で表わされる第4級アンモニウム塩、下記式(3)
(式中、R15は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を示し、R16は、メチル基又はエチル基を示す。Yは、含フッ素アニオンを示す。)で表される第4級アンモニウム塩等が好ましい。イオン液体としては、上記化合物を2種以上組合せて使用することもできる。
式(2)で表される化合物中のR11、R12及びR13で示される炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。中でも好ましくは、メチル基又はエチル基である。R11とR12とが形成する環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピリジニウム環等が挙げられる。R14で示される炭素数1又は2のアルキル基としては、メチル基、エチル基が挙げられる。
式(3)で表わされる化合物中のR15で示される炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。R15は、好ましくは、炭素数1〜3直鎖又は分岐のアルキル基である。中でも好ましくは、メチル基又はエチル基である。R16は、好ましくは、メチル基又はエチル基である。
式(2)及び(3)における含フッ素アニオンは、フッ素原子を含有するアニオンであれば特に限定されず、含フッ素有機アニオンであってもよく、含フッ素無機アニオンであってもよい。含フッ素有機アニオンの場合、含フッ素アニオンの炭素数は、2〜4が好ましい。
含フッ素アニオンの具体例としては、例えばCFCO 、CFSO 、N(FSO 、N(CFSO 、N(CFCFSO 、N(FSO)(CFSO、N(CFSO)(CFCFSO、C(CFSO 、N(CFSO)(CFCO)、CFBF 、CBF 、(CFBF 、(CF)(C)BF 、(CBF 、(CFBF、BF 、PF などが挙げられる。中でも好ましくは、N(CFSO 、CFBF 、CBF 、BF である。
式(2)で表わされる第4級アンモニウム塩は、例えば、特開2006−265132号公報に記載されている方法等に従って製造することができる。式(3)で表わされる第4級アンモニウム塩は、例えば、WO2005/3108号に記載の方法等によって製造することができる。また、これらのイオン液体は、例えば、関東化学(株)から、商品名NNN−トリメチル−N−プロピルアンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド等として市販されている。
本発明におけるイオン液体は、式(2)及び式(3)で表されるように、第4級アンモニウムカチオンと、含フッ素アニオンとから構成されることが好ましい。第4級アンモニウムカチオンの具体例としては、式(2)における第4級アンモニウムカチオンとして、N,N,N−トリメチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリエチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N−プロピル−N,N−ジメチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N−プロピル−N,N−ジエチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N−ブチル−N,N−ジメチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N−ブチル−N,N−ジエチル−N−メトキシメチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリメチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N−エチル−N,N−ジメチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N,N,N−トリエチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N−プロピル−N,N−ジメチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N−プロピル−N−ジエチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N−ブチル−N,N−ジメチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、N−ブチル−N,N−ジエチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン等が挙げられる。
式(3)における第4級アンモニウムカチオンとして、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エトキシメチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−エトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−エトキシエチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−エトキシエチルピロリジニウムカチオン等が挙げられる。
中でも、好ましくは、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エトキシメチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオン、N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエチルアンモニウムカチオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。更に好ましくは、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウムカチオン、N−エトキシメチル−N−メチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムカチオンなどが挙げられる。
これらのカチオン成分と上記アニオン成分(含フッ素アニオン)との組み合わせからなる塩のうち特に好ましくは、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルフォニルイミド(N−メトキシメチル−N−メチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルフォニルイミド)、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルフォニルイミド、N−エトキシメチル−N−メチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルフォニルイミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチル−N−メチル−N−メトキシエチルアンモニウムビストリフルオロメタンスルフォニルイミド、N−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムビストリフルオロメタンスルフォニルイミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフォニルイミドである。中でも、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルフォニルイミド、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メトキシメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エトキシメチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−メチル−N−メトキシエチルピロリジニウムテトラフルオロボレートが好ましい。
含フッ素モノエーテルとイオン液体との体積比〔含フッ素モノエーテル〕/〔イオン液体〕は、15/85〜99/1であることが好ましい。より好ましくは、15/85〜60/40であり、更に好ましくは15/85〜50/50である。体積比がこの範囲にあると、電解液の含浸性が向上する。また、含浸性とキャパシタの出力とのバランスが良好である。
本発明の電解液は、通常、イオン液体と、含フッ素モノエーテルとを混合することにより製造される。
本発明の電解液は、含フッ素モノエーテル及びイオン液体以外の化合物を含んでもよい。含フッ素モノエーテルとイオン液体以外の化合物の含有量は、本発明の電解液中50体積%未満であることが好ましく、40体積%未満であることがより好ましく、30体積%未満であることが更に好ましい。
以下に、本発明の電解液が含んでいてもよい、含フッ素モノエーテル及びイオン液体以外の化合物について詳述する。
本発明の電解液は、更に、ニトリル化合物(Ib)を含有してもよい。
ニトリル化合物(Ib)としては、下記式(Ib−1):
−(CN) (Ib−1)
(式中、Rは炭素数が1〜10のアルキル基、又は、炭素数1〜10のアルキレン基であり、nは1又は2の整数である。)で示されるニトリル化合物を挙げることができる。
上記式(Ib−1)において、nが1の場合、Rは炭素数が1〜10のアルキル基であり、nが2の場合、Rは炭素数1〜10のアルキレン基である。
上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等の炭素数が1〜10のアルキル基が挙げられ、これらの中でも、メチル基、エチル基が好ましい。
また、アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等の炭素原子数1〜10のアルキレン基が挙げられ、これらの中でも、プロピレン基、エチレン基が好ましい。
ニトリル化合物(Ib−1)の具体例としては、例えば、アセトニトリル(CH−CN)、プロピオニトリル(CH−CH−CN)、グルタロニトリル(NC−(CH−CN)等を挙げることができ、これらの中でも、アセトニトリル、プロピオニトリルが低抵抗の点から好ましい。
ニトリル化合物(Ib)の含有量は、本発明の電解液中50体積%未満であることが好ましく、40体積%未満であることがより好ましく、30体積%未満であることが更に好ましく、20体積%未満であることが特に好ましい。ニトリル化合物を上記範囲内で添加することにより、出力及び低温特性を向上することができる。
本発明の電解液は、耐久性(長期信頼性特性)を向上させる点から、更にスルホラン化合物を含有してもよい。
上記スルホラン化合物としては、非フッ素スルホラン化合物でも含フッ素スルホラン化合物であってもよい。
非フッ素スルホラン化合物としては、スルホランのほか、例えば、
(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、mは1又は2の整数である。)で示される非フッ素系スルホラン誘導体などが挙げられる。
これらの中でも、以下のスルホラン及びスルホラン誘導体が好ましい。
含フッ素スルホラン化合物としては、特開2003−132944号公報に記載された含フッ素スルホラン化合物が例示でき、これらの中でも、
が好ましく挙げられる。
これらの中でもスルホラン化合物としては、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホランが好ましく、特にスルホランが好ましい。
スルホラン化合物の含有量は、本発明の電解液中50体積%未満であることが好ましく、40体積%未満であることがより好ましく、30体積%未満であることが更に好ましく、20体積%未満であることが特に好ましい。スルホラン化合物を上記範囲内で添加することにより、耐久性(長期信頼性特性)を向上することができる。
本発明の電解液は、更に必要に応じて、環状カーボネート(Ic)、鎖状カーボネート(Id)などを含有してもよい。
環状カーボネート(Ic)としては、非フッ素環状カーボネートでも含フッ素環状カーボネートでもよい。
非フッ素環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネートなどが例示できる。なかでも、内部抵抗の低減効果及び低温特性の維持の点からプロピレンカーボネート(PC)が好ましい。
含フッ素環状カーボネートとしては、例えばモノ−、ジ−、トリ−又はテトラ−フルオロエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネートなどが例示できる。これらの中でも、キャパシタの耐電圧向上の点からトリフルオロメチルエチレンカーボネートが好ましい。
鎖状カーボネート(Id)としては非フッ素鎖状カーボネートでも含フッ素鎖状カーボネートでもよい。
非フッ素鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、メチルイソプロピルカーボネート(MIPC)、エチルイソプロピルカーボネート(EIPC)、2,2,2−トリフルオロエチルメチルカーボネート(TFEMC)などが例示できる。なかでも内部抵抗の低減効果、低温特性の維持の点からジメチルカーボネート(DMC)が好ましい。
含フッ素鎖状カーボネートとしては、例えば、下記式(Id−1):
(式中、Rf1aは、式:
(式中、X1a及びX2aは、同じか又は異なり水素原子又はフッ素原子である。)で示される部位を末端に有しかつ好ましくはフッ素含有率が10〜76質量%であるフルオロアルキル基又はアルキル基、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基;Rf2aは前記式で示される部位又は−CFを末端に有しかつ好ましくはフッ素含有率が10〜76質量%であるフルオロアルキル基)で示される含フッ素鎖状カーボネート;
下記式(Id−2):
(式中、Rf1bは−CFを末端に有しかつフッ素含有率が10〜76質量%である、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基;Rf2bはフッ素含有率が10〜76質量%である、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基又は含フッ素アルキル基)で示される含フッ素鎖状カーボネート;
下記式(Id−3):
(式中、Rf1cは式:
HCFX1c
(式中、X1cは水素原子又はフッ素原子)で示される部位を末端に有しかつフッ素含有率が10〜76質量%である、エーテル結合を有する含フッ素アルキル基;R2cは水素原子がハロゲン原子で置換されていてもよく、ヘテロ原子を鎖中に含んでいてもよいアルキル基)で示される含フッ素鎖状カーボネートなどが挙げられる。
使用可能な含フッ素鎖状カーボネートの具体例としては、例えば下記式(Id−4):
において、Rf1d及びRf2dが、H(CFCH−、FCHCFCH−、H(CFCHCH−、CFCFCH−、CFCHCH−、CFCF(CF)CHCH−、COCF(CF)CH−、CFOCF(CF)CH−、CFOCF−などである、含フッ素基を組み合わせた鎖状カーボネートが好適である。
含フッ素鎖状カーボネートのなかでも、内部抵抗の低減効果、低温特性の維持の点から、次のものが好ましい。
その他、含フッ素鎖状カーボネートとしては、次のものも使用できる。
本発明の電解液は、
などの非フッ素ラクトンや含フッ素ラクトン;フラン類、オキソラン類などを含有してもよい。
本発明の電解液は、必要に応じて、他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、例えば金属酸化物、ガラスなどが挙げられる。本発明の電解液は、これらの添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
本発明の電気二重層キャパシタは、上記電解液、並びに、正極及び負極を備える。
本発明の電気二重層キャパシタは、正極及び負極の少なくとも一方は分極性電極であることが好ましく、分極性電極及び非分極性電極としては特開平9−7896号公報に詳しく記載されている以下の電極が使用できる。
上記分極性電極としては、活性炭を主体とする分極性電極を用いることができるが、好ましくは比表面積の大きい不活性炭と電子伝導性を付与するカーボンブラック等の導電剤とを含むものである。分極性電極は種々の方法で形成することができる。例えば、活性炭粉末とカーボンブラックとフェノール系樹脂を混合し、プレス成形後不活性ガス雰囲気中及び水蒸気雰囲気中で焼成、賦活することにより、活性炭とカーボンブラックとからなる分極性電極を形成できる。好ましくは、この分極性電極は集電体と導電性接着剤などで接合する。
また、活性炭粉末、カーボンブラック及び結合剤をアルコールの存在下で混練してシート状に成形し、乾燥して分極性電極とすることもできる。この結合剤には、例えばポリテトラフルオロエチレンが用いられる。また、活性炭粉末、カーボンブラック、結合剤及び溶媒を混合してスラリーとし、このスラリーを集電体の金属箔にコートし、乾燥して集電体と一体化された分極性電極とすることもできる。
活性炭を主体とする分極性電極を両極に用いて電気二重層キャパシタとしてもよいが、片側に非分極性電極を用いる構成、例えば、金属酸化物等の電池活物質を主体とする正極と、活性炭を主体とする分極性電極の負極とを組合せた構成、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする負極、又はリチウム金属やリチウム合金の負極と、活性炭を主体とする分極性電極とを組合せた構成も可能である。
また、活性炭に代えて又は併用して、カーボンブラック、グラファイト、膨張黒鉛、ポーラスカーボン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、ケッチェンブラックなどの炭素質材料を用いてもよい。
非分極性電極としては、好ましくはリチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とするものとし、この炭素材料にリチウムイオンを吸蔵させたものを電極に使用する。
電極の作製におけるスラリーの調製に用いる溶媒は結合剤を溶解するものが好ましく、結合剤の種類に合わせ、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、トルエン、キシレン、イソホロン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸メチル、フタル酸ジメチル、エタノール、メタノール、ブタノール又は水が適宜選択される。
分極性電極に用いる活性炭としては、フェノール樹脂系活性炭、やしがら系活性炭、石油コークス系活性炭などがある。これらのうち大きい容量を得られる点で石油コークス系活性炭又はフェノール樹脂系活性炭を使用するのが好ましい。また、活性炭の賦活処理法には、水蒸気賦活処理法、溶融KOH賦活処理法などがあり、より大きな容量が得られる点で溶融KOH賦活処理法による活性炭を使用するのが好ましい。
分極性電極に用いる好ましい導電剤としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、金属ファイバ、導電性酸化チタン、酸化ルテニウムが挙げられる。分極性電極に使用するカーボンブラック等の導電剤の混合量は、良好な導電性(低い内部抵抗)を得るように、また多すぎると製品の容量が減るため、活性炭との合計量中1〜50質量%とするのが好ましい。
また、分極性電極に用いる活性炭としては、大容量で低内部抵抗の電気二重層キャパシタが得られるように、平均粒径が20μm以下で比表面積が1500〜3000m/gの活性炭を使用するのが好ましい。また、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする電極を構成するための好ましい炭素材料としては、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソカーボン小球体、黒鉛化ウィスカ、気層成長炭素繊維、フルフリルアルコール樹脂の焼成品又はノボラック樹脂の焼成品が挙げられる。
集電体は化学的、電気化学的に耐食性のあるものであればよい。活性炭を主体とする分極性電極の集電体としては、ステンレス、アルミニウム、チタン又はタンタルが好ましく使用できる。これらのうち、ステンレス又はアルミニウムが、得られる電気二重層キャパシタの特性と価格の両面において特に好ましい材料である。リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料を主体とする電極の集電体としては、好ましくはステンレス、銅又はニッケルが使用される。
また、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料にあらかじめリチウムイオンを吸蔵させるには、(1)粉末状のリチウムを、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料に混ぜておく方法、(2)リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料と結合剤により形成された電極上にリチウム箔を載せ、電極と電気的に接触させた状態で、この電極をリチウム塩を溶かした電解液中に浸漬することによりリチウムをイオン化させ、リチウムイオンを炭素材料中に取り込ませる方法、(3)リチウムイオンを可逆的に吸蔵、離脱しうる炭素材料と結合剤により形成された電極をマイナス側に置き、リチウム金属をプラス側に置いてリチウム塩を電解質とする非水系電解液中に浸漬し、電流を流して電気化学的に炭素材料中にリチウムをイオン化した状態で取り込ませる方法がある。
電気二重層キャパシタとしては、捲回型電気二重層キャパシタ、ラミネート型電気二重層キャパシタ、コイン型電気二重層キャパシタなどが一般に知られており、本発明の電気二重層キャパシタもこれらの形式とすることができる。
例えば捲回型電気二重層キャパシタは、集電体と電極層の積層体(電極)からなる正極及び負極を、セパレータを介して捲回して捲回素子を作製し、この捲回素子をアルミニウム製などのケースに入れ、電解液を満たしたのち、ゴム製の封口体で封止して密封することにより組み立てられる。
セパレータとしては、従来公知の材料と構成のものが本発明においても使用できる。例えば、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン繊維やガラス繊維、セルロース繊維の不織布などが挙げられる。
また、公知の方法により、電解液とセパレータを介してシート状の正極及び負極を積層したラミネート型電気二重層キャパシタや、ガスケットで固定して電解液とセパレータを介して正極及び負極をコイン型に構成したコイン型電気二重層キャパシタとすることもできる。
そのほか本発明の電解液は電気二重層キャパシタ以外に、各種の電解液を備えた電気化学デバイスの電解液にも有用である。電気化学デバイスとしては、リチウム二次電池、ラジカル電池、太陽電池(特に色素増感型太陽電池)、燃料電池、各種電気化学センサー、エレクトロクロミック素子、電気化学スイッチング素子、アルミニウム電解コンデンサ、タンタル電解コンデンサ、などが挙げられ、特にリチウム二次電池が好適である。そのほか、帯電防止用コーティング材のイオン伝導体などとしても使用できる。
つぎに本発明を実施例及び比較例に基づいて説明するが、本発明はかかる例のみに限定されるものではない。
実施例1
(電解液の調製)
HCFCFCHOCFCFHと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF)とを、体積比率が15%、85%になるように混合した上で、脱水剤で、含有水分10ppm以下に脱水させて調製した。
実施例2
(電解液の調製)
HCFCFCHOCFCFHと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF)とを、体積比率で20%、80%になるように混合した上で、脱水剤で、含有水分10ppm以下に脱水させて調製した。
比較例1
(電解液の調製)
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF)を脱水剤で、含有水分10ppm以下に脱水させて調製した。
比較例2
(電解液の調製)
メチルテトラグライムと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF)とを、体積比率で5%、95%になるように混合した上で、脱水剤で、含有水分10ppm以下に脱水させて調製した。
比較例3
(電解液の調製)
メチルテトラグライムと1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート(EMIBF)とを、体積比率で15%、85%になるように混合した上で、脱水剤で、含有水分10ppm以下に脱水させて調製した。
(電極の作製)
活性炭粒子(クラレケミカル(株)製のYP50F)を100重量部、導電助剤としてアセチレンブラック(電気化学工業(株)製の粉末タイプ)を4重量部、PVdFバインダー(クレハ(株)製のKF−7200)を7重量部、オルガノゾル(PTFEとTHVの分散溶剤)を固形分相当3重量部混合して電極用スラリーを調製した。
集電体としてエッジドアルミニウム(日本蓄電器工業(株)製の20CB、厚さ約20μm)を用意し、この集電体の両面に塗装装置を用いて導電塗料(日本黒鉛工業(株)製のバニーハイトT602)を塗布し、導電層(厚さ:7μm)を形成した。
ついで、前記で調製した電極用スラリーを集電体の片面に形成した導電層に塗装装置を用いて塗布し、電極層(正極厚さ:103μm、負極厚さ:83μm)を片面に形成し、電極を作製した。
なお、以下、集電体、導電層及び活性炭層をまとめて電極と称する。
実施例1〜2及び比較例1〜3で調製した電解液と電極を用いてしみ込み性試験を行った。
〔しみ込み性試験〕
電極表面に電解液を滴下した直後、1分後、2分後、3分後の電解液の含浸状況を目視にて確認する。
試験結果の写真を図1〜4に示す。図1〜4は、実施例及び比較例において調製した電解液に対して行ったしみ込み試験において、電解液滴下直後、1分後、2分後、3分後の結果を示す写真である。図1〜4において、(a)は比較例1、(b)は比較例2、(c)は比較例3、(d)は実施例1、(e)は実施例2の結果を表す。
比較例1〜3の電解液に対して、実施例1及び2の電解液は電極へのしみ込みが良好であることがわかる。
(ラミネートセル電気二重層キャパシタの作製)
得られた電極を所定の大きさ(20×72mm)に切断して、集電体のアルミ面に電極引出しリードを溶接で接着してラミネート容器(品番:D−EL40H、製造元:大日本印刷(株))に収納し、セパレータを挟んでドライチャンバー中で実施例1、2又は比較例1で調製した電解液を注入・含浸させ、その後封止してラミネートセルを作製した。セパレータとしては、ニッポン高度紙工業(株)製のTF45−30を34mm幅に切断して作製したセパレータを用いた。
(キャパシタの特性評価)
得られた電気二重層キャパシタについて、初期電気特性(初期抵抗、初期容量)を測定した。結果を表1に示す。また、長期信頼性特性(静電容量保持率、内部抵抗上昇比率、体積膨張)を測定した結果を表2〜4に示す。
(1)初期電気特性(初期抵抗、初期容量)、静電容量保持率、内部抵抗上昇比率
ラミネート型キャパシタを温度70℃の恒温槽中に入れ、電圧2.5Vを500時間印加して静電容量と内部抵抗を測定した。測定時期は、140時間、230時間、350時間、及び500時間とした。得られた測定値から、次の計算式に従って静電容量保持率(%)及び内部抵抗上昇比率(%)を算出した。
なお、500時間後の静電容量保持率が70%以上で、かつ、内部抵抗上昇比率が2倍以下のものが、70℃での負荷特性に優れたものであり、常温での使用においてのサイクル特性やレート性能にも優れており、長期信頼性を有するものである。
(2)膨張の測定
長期信頼性試験前のラミネートセルの外装体積を測定し、その値に対して、どれだけ膨れるかを実測した。

Claims (6)

  1. 含フッ素モノエーテルとイオン液体とを含むことを特徴とする電解液。
  2. 含フッ素モノエーテルとイオン液体との体積比〔含フッ素モノエーテル〕/〔イオン液体〕が、15/85〜99/1である
    請求項1記載の電解液。
  3. 前記含フッ素モノエーテルが、下記式(1):
    Rf−O−Rf (1)
    (式中、Rfは炭素数が1〜10のフルオロアルキル基、Rfは炭素数1〜4のフッ素原子を含んでいてもよいアルキル基である。)で示される含フッ素鎖状モノエーテルである
    請求項1又は2記載の電解液。
  4. 前記含フッ素モノエーテルが、HCFCFCHOCFCFH、及び、HCFCFCHOCFCFHCFからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である
    請求項1、2又は3記載の電解液。
  5. 前記イオン液体は、第4級アンモニウム塩である
    請求項1、2、3又は4記載の電解液。
  6. 請求項1、2、3、4又は5記載の電解液、並びに、正極及び負極を備える電気二重層キャパシタ。
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