JP4759715B2 - キノコ栽培方法及びキノコ栽培用培地 - Google Patents
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Description
項1.可食性キノコ子実体調製物及び/またはキノコエキスであるキノコ由来栄養材を使用することを特徴とする、可食性キノコ栽培方法。
項2.上記キノコ由来栄養材が、キノコ磨砕物である、項1に記載の可食性キノコ栽培方法。
項3.上記キノコ由来栄養材が、キノコ磨砕物から得られるキノコエキスである、項1に記載の可食性キノコ栽培方法。
項4.上記キノコエキスが、キノコ磨砕物を凍結後、解凍する工程を経て得ることができるキノコエキスである、項3に記載の可食性キノコ栽培方法。
項5.可食性キノコがシイタケ、エノキタケ、ブナシメジ、ヒラタケ、マイタケおよびエリンギからなる群から選ばれる、項1〜4に記載の可食性キノコ栽培方法。
項6.上記可食性キノコ栽培方法が菌床栽培であって、
(1)培地または培地材料に上記キノコ由来栄養材を添加し、培地を調製する工程、
(2)種菌を該培地に接種し、培養する工程、
(3)キノコ子実体を発生させ、育成する工程、及び、
(4)該キノコ子実体を収穫する工程
を包含する、項1〜5に記載の可食性キノコ栽培方法。
項7.項1〜6に記載の栽培方法により栽培される可食性キノコ子実体。
項8.可食性キノコ子実体調製物及び/またはキノコエキスであるキノコ由来栄養材を含有することを特徴とする、可食性キノコ栽培用培地。
項9.上記キノコ由来栄養材が、キノコ磨砕物である、項8に記載の可食性キノコ栽培用培地。
項10.上記キノコ由来栄養材が、キノコ磨砕物から得られるキノコエキスである、項8に記載の可食性キノコ栽培用培地。
項11.上記キノコエキスが、キノコ磨砕物を凍結後、解凍する工程を経て得ることができるキノコエキスである、項10に記載の可食性キノコ栽培用培地。
項12.可食性キノコ子実体調製物及び/またはキノコエキスからなる、可食性キノコ栽培用培地添加剤。
項13.エリタデニンを22〜50mg/100g、及び/または、γ−アミノ酪酸を55〜110mg/100g含有することを特徴とする、生シイタケ。
項14.可食性キノコ子実体磨砕物を凍結しその後解凍することを特徴とするキノコエキス製造方法。
項15.項14に記載の方法により得ることができるキノコエキス。
項16.項7に記載の可食性キノコ子実体の調製物、エキス、または粉末を含有する配合物。
本発明のキノコ栽培方法は、可食性キノコ子実体調製物及び/またはキノコエキスであるキノコ由来栄養材を使用することを特徴とする。
(1)培地または培地材料にキノコ由来栄養材を添加し、培地を調製する工程
(2)種菌を該培地に接種し、培養する工程
(3)キノコ子実体を発生させ、育成する工程
(4)該キノコ子実体を収穫する工程
(1)培地材料の準備
A.広葉落葉樹のチップ(5mmメッシュ)及びオガ粉(3mmメッシュ)を用意する
B.本発明のシイタケ由来栄養材を用意する
(2)培地の調整
(1)のAの培地原料を7:3の割合で混合攪拌する
混合攪拌した培地原料に(1)のBで得られたシイタケ由来栄養材を培地全体の水分含有量が62重量%前後の割合になるように添加し調整する
(3)培地の充填
培地の充填は培養袋を使用し概ね2.5kgになるように調整し充填機で自動充填する
(4)培地の殺菌
充填した培地をワゴンに並べて高温高圧殺菌釜により121℃で50分間殺菌処理する
(5)培地の冷却
殺菌終了した培地をクリーンルームにて20℃まで冷却する
(6)種菌の接種
冷却した培地にシイタケ種菌を接種機にて接種して開口部をシールする
(7)菌糸の培養
培地に種菌を接種したものを20℃の一次培養室にて菌糸の培養を行う
一次培養後約35日経過後に二次培養室にて20℃〜27℃で培養して菌糸の栄養成長を促す。
(8)キノコの発生
菌糸培養積算温度が2400℃となった時キノコの発生操作を行う
具体的には培養袋を剥離して散水、水洗いを行う
(9)キノコの育成管理
発生操作として芽だし温度を20℃〜10℃の変温操作を日中に行う
さらに、子実体育成温度を18℃〜8℃の変温操作する
(10)キノコの収穫調整
シイタケ子実体の傘部の開度が7分開きになった時収穫する。
本発明のキノコ由来栄養材は、キノコ栽培において、培地等に添加される栄養材であって、キノコ子実体由来のものである。
本発明において、キノコ由来栄養材の原料として使用されるキノコ子実体は、可食性キノコ子実体であれば特に限定されるものではない。具体的な例としては、シイタケ、エノキタケ、ブナシメジ、ヒラタケ、マイタケ、エリンギ等のキノコ子実体が挙げられる。また、本発明においてキノコ由来栄養材の原料として使用されるキノコ子実体の種類は、栽培目的であるキノコと異なる種類であっても良いが、好ましくは栽培目的であるキノコと同種類のキノコである。
本発明においてキノコ由来栄養材として使用されるキノコ子実体調製物は、培地または培地材料に対する分散性・混合性の向上や、キノコの持つ栄養成分がより効率的に利用されることを目的として、キノコ子実体を調製したものである。具体的には、キノコ子実体に対して磨砕、破砕、粉砕、細断等の処理を加えた調製物や、ペースト化したキノコ(キノコペースト)が例示される。特に好ましい調製物としては、キノコ子実体を磨砕処理したキノコ磨砕物が挙げられる。
本発明のキノコエキスとしては、キノコ調製物を凍結し、解凍する工程を経た後、ろ布ろ過、圧搾機等により液部を分離して製造されるキノコエキスが好ましい。さらに好ましくは、キノコ磨砕物を凍結し、解凍する工程を経た後、ろ布ろ過等により液部を分離して製造されるキノコエキスである。
本発明において、キノコ栽培用培地とは、菌床栽培等の人工栽培に用いられている培地である。菌床栽培等の人工栽培に用いられている培地は一般に、(A)おが粉、チップ、チップダスト、コーンコブミール等の培地基材、(B)米ヌカ、フスマ、トウモロコシ等の栄養添加剤(栄養材)、及び(C)消石灰、発酵残渣物、無機成分、その他市販物等の微量添加剤から構成される。
本発明のキノコ栽培用培地添加剤は、可食性キノコ子実体調製物及び/またはキノコエキスからなることを特徴とする。また、本発明のキノコ栽培用培地添加剤は、公知のキノコ栽培用培地添加剤、栄養材等と併用することができる。
本発明のキノコ子実体は、本発明の可食性キノコ栽培方法、可食性キノコ栽培用培地、可食性キノコ栽培用培地添加剤を使用して栽培される可食性キノコ子実体である。最も好ましい実施態様であるシイタケの場合について例示すると、本発明の栽培方法により得られる生シイタケは、エリタデニンを22.5〜40mg/100g、好ましくは25〜40mg/100g、さらに好ましくは27.5〜40mg/100g含有し、γ−アミノ酪酸を55〜110mg/100g、好ましくは60〜110mg/100g、より好ましくは80〜110mg/100g含有する。
(1)培地栄養体の原材料として用いたキノコ
原材料として、徳島県において菌床栽培方式で栽培された生シイタケ、特に菌傘の径が3cm未満(低価格規格外品)のものを用いた。
生シイタケをペースト化する際には、磨砕機にて、1,600rpmの回転数で40μm程度まで磨砕してペーストとした。その際、シイタケ磨砕物の品温が30℃前後となるように調節した。
ペースト化した生シイタケ(以下、シイタケペーストとする。)の自家発酵を行うため、シイタケペーストを適当量袋に詰め、真空ポンプ等による減圧操作を行い、密封した。これを4時間、前記の温度で保温した。
自家発酵させたシイタケペーストをアルミパウチに充填し、−20℃に庫内温度を設定した、冷却方式がエアブラスト方式の冷凍庫内に入れ、緩慢凍結させた。完全に凍結後、該アルミパウチを、品温が1〜5℃になるまで水道水に漬け、緩慢解凍を行った。解凍したシイタケペーストをフィルタープレスでろ過して得られた液部を収集し、液中の酵素失活及び殺菌を兼ねて加熱処理を行った(120℃、40分)。加熱処理により発生した沈殿をフィルタープレスでろ過後、再度、加熱殺菌処理を行い、目的のエキスを得た。得られたエキスは、水分93重量%でほとんど多糖類を含まず、グルコース、トレハロース等の糖質を2重量%、遊離アミノ酸を0.8重量%、γ−アミノ酪酸を50mg/100ml、エリタデニンを14mg/100ml含み、pH6.4であった。当該エキスを水にて適宜希釈し培地栄養体とした。
(1)接種源
直径95mm×高さ20mmの滅菌シャーレに、殺菌したポテトデキストロース寒天培地(日水製薬社製)10mlを無菌的に分注してプレートを作成した。その中央にシイタケ種菌を接種し、25℃で10日間培養した。培養終了後、生長したコロニーの周辺部分を直径5mmのコルクボーラーにて打ち抜いたディスクを接種源とした。
シイタケ等担子菌類の合成培地として使用されるHenneberg培地(グルコース50g、硝酸カリウム2g、リン酸アンモニウム2g、リン酸二水素カリウム1g、硫酸マグネシウム7水和物0.5g、塩化カルシウム0.1g、蒸留水1L)を基本培地として、前述の培地栄養体としたシイタケエキスを各々、培地濃度で0(対照)、5、10重量%になるように添加し、寒天を1.5重量%となるように加え、121℃、15分のオートクレーブ殺菌、直径95mm×高さ20mmの滅菌シャーレに無菌的に分注してプレートを作成した。このプレートの中心に前述のシイタケ菌糸ディスク(径5mm)を接種し、25℃で培養した。培養7日目及び11日目に菌そう直径をノギスで測定した。図1に生長量を示した。
(1)エキス添加菌床培地
広葉樹チップ及びおが粉を主原料にその12重量%の米糠を混合した基本培地に栄養体として各種濃度(0(対照)、10重量%)のシイタケエキスを培地水分が62重量%となるよう添加、以下定法どおりに菌床培地を作成した。
前述した菌床栽培法にて発生したシイタケを収穫し、徳島県の生シイタケ標準出荷基準に準拠し、菌傘直径4cm以上(Mサイズ以上)のシイタケを判別、計量した(図2)。
(1)遊離アミノ酸の定量
シイタケエキスを培地全体の水分量に対し各種濃度(0(対照)、10、100重量%)添加した菌床栽培用培地にて発生したシイタケについて、収穫後すぐに試験区分ごと磨砕機にて磨砕処理し、その溶液部分を分離・収集したエキスについて遊離アミノ酸(γ−アミノ酪酸を含む)を定量し、原料生シイタケ100g当りに換算した(図3及び図4)。
(1)生シイタケの官能評価
シイタケエキスを培地全体の水分量に対し各種濃度(0(対照)、10、20、50重量%)添加した菌床栽培用培地にて発生したシイタケについて、各試験区分Mサイズ(菌傘直径4cm以上5cm未満)の生シイタケを焦がさないよう同様の条件にてホットプレートにて加熱し、試食シイタケとした。これらは、10名のパネラー(一般消費者男女5名ずつ)にて官能評価に供した。評価項目は、歯触り、旨味、甘味、苦味、後味で各5段階(非常に良い+2、良い+1、普通0、悪い−1、非常に悪い−2)で評価し、それぞれの得点を合計した(図5)。
(1)エリタデニンの定量
シイタケエキスを最終的な培地全体の水分量に対し各種濃度(0(対照)、10、100重量%)添加した菌床栽培用培地にて発生したシイタケについて、収穫後すぐに試験区分ごと磨砕機にて磨砕処理し、その溶液部分を分離・収集したエキスについてエリタデニンを定量し、原料生シイタケ100g当たりに換算した(図6)。
Claims (9)
- 可食性キノコ磨砕物を自家発酵させて得ることができるキノコエキスを、キノコ由来栄養材として使用することを特徴とする、可食性キノコ栽培方法。
- 上記キノコ由来栄養材が、可食性キノコ磨砕物を自家発酵させ、さらに凍結後、解凍する工程を経て得ることができるキノコエキスである、請求項1に記載の可食性キノコ栽培方法。
- キノコ磨砕物に使用するキノコおよび栽培目的である可食性キノコが、同一又は異なって、シイタケ、エノキタケ、ブナシメジ、ヒラタケ、マイタケおよびエリンギからなる群から選ばれる、請求項1又は2に記載の可食性キノコ栽培方法。
- 上記可食性キノコ栽培方法が菌床栽培であって、
(1)培地または培地材料に上記キノコエキスを添加し、培地を調製する工程、
(2)種菌を該培地に接種し、培養する工程、
(3)キノコ子実体を発生させ、育成する工程、及び、
(4)該キノコ子実体を収穫する工程
を包含する、請求項1〜3のいずれかに記載の可食性キノコ栽培方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の栽培方法により栽培される可食性キノコ子実体。
- 可食性キノコ磨砕物を自家発酵させて得ることができるキノコエキスを、キノコ由来栄養材として含有することを特徴とする、可食性キノコ栽培用培地。
- 上記キノコ由来栄養材が、可食性キノコ磨砕物を自家発酵させ、さらに凍結後、解凍する工程を経て得ることができるキノコエキスである、請求項6に記載の可食性キノコ栽培用培地。
- 可食性キノコ磨砕物を自家発酵させて得られるキノコエキスからなる、可食性キノコ栽培用培地添加剤。
- 可食性キノコ磨砕物を自家発酵させ、さらに凍結後、解凍して得ることができるキノコエキスからなる、請求項8に記載の可食性キノコ栽培用培地添加剤。
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