JP4758975B2 - 加熱凝固卵加工食品及び硫化黒変抑制材 - Google Patents

加熱凝固卵加工食品及び硫化黒変抑制材 Download PDF

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Description

本発明は、良好な色調と風味を有する加熱凝固卵加工食品及び硫化黒変抑制材に関する。
卵を加熱凝固させると卵白より硫化水素が発生し、これが卵黄中に含まれる鉄分と結びついて硫化第一鉄となり、灰黒色ないし灰緑色に変色する硫化黒変が生じる。
厚焼き卵やスクランブルエッグ等の加熱凝固卵加工食品において、硫化黒変を生じたものでも家庭ではさほど問題にならいが、商工業的に大量生産し販売する際は、硫化黒変を起こしたものは色調の面から商品価値が低下したものとなる。
このような問題に関し、特開2000−060494号公報(特許文献1)には、スクランブルエッグにリン酸塩等のキレート剤を特定量用いることで、硫化黒変を防止する技術が提案されている。また、特開2002−119251号公報(特許文献2)には、有機酸塩を添加することで硫化黒変の発生を抑える技術が提案されている。しかしながら、これらの技術によれば、硫化黒変は防止されるものの、添加材の風味により加熱凝固卵加工食品特有の風味が損なわれ易いという問題があった。
特開2000−060494号公報 特開2002−119251号公報
本発明の目的は、良好な色調と風味を有する加熱凝固卵加工食品及び硫化黒変抑制材を提供するものである。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、意外にも、特定の平均粒径となるように微粉砕化した卵殻は、風味を損なわずに加熱凝固卵加工食品の硫化黒変を抑制する性質を有することを見出し、遂に本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)平均粒径0.01〜1μmの卵殻を有効成分とする加熱凝固卵加工食品の硫化黒変抑制材、
である。
本発明によれば、硫化黒変が抑制されて良好な色調を有する上に、風味が損なわれておらず、加熱凝固卵加工食品特有の良好な風味を有する加熱凝固卵加工食品を提供できる。したがって、商工業的に大量生産し販売する加熱凝固卵加工食品等の商品価値を上げることができ、これらの更なる需要の拡大が期待できる。
以下、本発明の卵加工食品を詳述する。なお、本発明において「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」を意味する。
本発明において、加熱凝固卵加工食品とは、液卵に必要に応じて調味料、添加材及び清水等を加えて混合した卵混合液を加熱凝固させた食品である。このような加熱凝固卵加工食品としては、具体的には、例えば、だし巻き卵、厚焼き卵、薄焼き卵(オムライスシート、錦糸卵)、オムレツ、スクランブルエッグ、芙蓉蟹等が挙げられる。
本発明で用いる前記液卵とは、常法により殻付生卵を割卵して、卵殻を取り除いて得られた卵黄と卵白の混合液をいい、例えば、殻付生卵を割卵しで溶きほぐして調製した液卵、殻付生卵を割卵して卵黄と卵白を分離してこれらをそれぞれ溶きほぐして調製した液卵黄及び液卵白の混合液、並びに乾燥卵を乾燥前の液卵の水分含量となるように水戻しした液卵等が挙げられる。また、本発明の液卵としては、卵の調理特性である加熱凝固性能を有するものであればよく、アルコール抽出法や超臨界二酸化炭素抽出法等により脂質やコレステロールを低減処理された液卵、バッチ式殺菌タンクやプレート式熱交換機やジュール加熱装置等で殺菌処理された液卵、脱塩処理された液卵等であってもよい。原料とする殻付生卵としては、食用に供されるものであれば特に限定はなく、例えば、鶏、鶉、アヒル、鴨等の殻付生卵が挙げられるが、入手のし易さから一般によく流通している鶏卵を用いればよい。
また、前記卵混合液を加熱凝固させる加熱方法としては、通常行われる加熱方法であれば特に制限はなく、例えば、湯せん、スチーム、熱風、赤外線、電子レンジ、焼成、油ちょう等により加熱する方法が挙げられる。また、加熱する際には、適宜減圧や加圧を行ってもよい。
本発明は、このような加熱凝固卵加工食品であって、平均粒径0.01〜1μmの卵殻を含有することを特徴とする。ここで、卵殻とは、鳥類の卵の殻、特に鶏卵の殻をいい、平均粒径0.01〜1μmの卵殻とは、前記卵殻を平均粒径が前記値となるまで微粉砕化したものである。
卵白成分と卵黄成分を含む卵混合液を加熱して凝固させると、卵白成分から硫化水素が発生し、この硫化水素が卵黄に由来する鉄分と反応して暗色の硫化第一鉄が生成する。硫化第一鉄が生じると加熱凝固卵加工食品の黄色い色調がくすんだものとなり、強度の加熱処理がされた場合等硫化第一鉄の生成量が多くなると黄色い色調がくすむだけでなく、加熱凝固卵加工食品全体の色調が緑色から暗緑色に変化する。このように加熱により生成した硫化第一鉄により加熱凝固卵加工食品の色調が変色することを硫化黒変といい、従来、加熱凝固卵加工食品を製造する場合には加熱条件等に細心の注意を払ってもある程度生じることが避けられないものであったが、本発明においては、加熱凝固卵加工食品に前記特定粒径となるまで微粉砕化した卵殻を含有させることにより硫化黒変の発生を抑制することができ、黄色い鮮やかな色調の加熱凝固卵加工食品を得ることができる。
また、加熱凝固卵加工食品は、熱変性した卵と調味料等の風味が調和した特有風味を有するが、例えばリン酸塩等の従来用いられている硫化黒変抑制材は、この特有の風味を損ない易い問題があった。これに対し、前記微粉砕化した卵殻は、水に溶け難い性質によるためか加熱凝固卵加工食品に添加しても加熱凝固卵加工食品特有の風味を損なうことがない。したがって、本発明においては、前記微粉砕化した卵殻を用いることにより、黄色い鮮やかな色調を有する上に、加熱凝固卵加工食品本来の良好な風味を有する加熱凝固卵加工食品が得られる。
前記特定粒径となるように微粉砕化した卵殻を加熱凝固卵加工食品に含有させることにより硫化黒変抑制効果が得られる理由は定かではないが、卵殻は炭酸カルシウムを主成分とした多孔質構造を有し、この多孔質構造を有する卵殻が微粒子状とされ、卵殻中に含まれるタンパク質が卵殻の表面に効率的に露出することにより、加熱凝固卵加工食品の硫化黒変抑制効果が得られるものと推察される。
前記卵殻の平均粒径は、より分散性に優れて卵殻が凝集し難い点からは、0.05μm以上が好ましい。これに対して、卵殻の平均粒径が0.01μm未満であると、凝集しやすく加熱凝固卵加工食品中に分散させ難く、1μmを超えると、加熱凝固卵加工食品の硫化黒変を抑制する効果が得られない。
前記微粉砕化卵殻は、原料卵殻そのものあるいは原料卵殻を粗く粉砕した卵殻粉末を、例えば、振動ミル、ボールミル、シェカーやハンマーミルターボミル、ファインミル、ジェットミル、バンタムミル、グラインダーミル、カッターミル、ビーズミル等の粉砕機を使用する機械的粉砕により得ることができる。これらの粉砕機は単独もしくは2つ以上組み合わせて使用することができる。
平均粒径が0.01〜1μmであり、かつ、粒度分布が狭い微粉砕化卵殻を得ることができる点で、微粉砕化卵殻は特に、ビーズミルによる湿式粉砕にて粉砕されたものであることが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、スターミルLMZ(アシザワ・ファインテック株式会社製)、OBミル(ターボ工業株式会社製)、スーパーアペックスミル(寿工業株式会社製)等が挙げられる。
ビーズミルを使用して卵殻を前記平均粒径に湿式粉砕することにより、クリーム状の微粉砕化卵殻含有分散液(微粉砕化卵殻含有スラリー)が得られる。前記スラリーをそのまま卵混合液に添加することにより、微粉砕化卵殻の凝集を抑制したまま使用することができる。
また、前記スラリーを乾燥させて得られた微粉砕化卵殻を使用してもよい。乾燥方法としては特に限定されるものではなく、噴霧乾燥や凍結乾燥など、一般的に行われる方法で実施することができる。また、デキストリン等の賦形剤や、ショ糖脂肪酸エステル等の乳化剤を、前記スラリーに適宜添加してから乾燥を行ってもよい。
本発明で用いる微粉砕化卵殻は、平均粒径が0.01〜1μmであるが、更に、硫化黒変抑制効果により優れている点で、微粉砕化卵殻の粒度分布が、粒径1μm以下の割合が50%以上であり、かつ、粒径10μm以上の割合が5%以下であることが好ましく、粒径0.5μm以下の割合が50%以上であり、かつ、粒径2μm以上の割合が5%以下であることがより好ましい。
また、微粉砕化卵殻の粒度の分布状態を示す変動係数は0.1〜0.8であるのが好ましく、0.1〜0.7であるのがより好ましい。微粉砕化卵殻の変動係数が0.1〜0.8であることにより、凝集しにくいため分散性に優れ、かつ、硫化黒変抑制効果に優れている。
本発明の加熱凝固卵加工食品における微粉砕化卵殻の含有量は、硫化黒変抑制効果が得られやすい点から、製品に対して0.001%以上であるのが好ましく、硫化黒変抑制効果をより高めるには、0.05%以上であることがより好ましい。なお、微粉砕化卵殻の含有量の上限は、あまり多すぎても加熱凝固卵加工食品の食感に影響を与える場合があることを考慮し、5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。
なお、本発明の加熱凝固卵加工食品においては、例えば、卵混合液に占める卵白の割合が高かったりして製品のpHが高すぎる場合は加熱の際に硫化黒変が生じ易くなるため、前記微粉砕化卵殻の含有量を多くする必要があるが、このような場合には、製品のpHを好ましくは8.5以下、より好ましくは8以下に調整すると微粉砕化卵殻の含有量を食感に影響を与えない範囲にとどめることができ好ましい。pHの調整は、例えば、クエン酸等のpH調整剤を上述した卵混合液に加えることにより調整できる。なお、pHが低すぎると酸味により加熱凝固卵加工食品特有の風味が損なわれる場合があることから、製品のpHは好ましくは6以上、より好ましくは6.5以上とすることが好ましい。ここで、前記製品のpHの値は、加熱凝固卵加工食品10gと清水90gをストマッカー袋に入れ、オレガノ社製ストマッカー(400−T)を用いてノーマルスピードで60秒間ストマッカー処理し、その処理物(品温20℃)を試料としてpHメーター(MP225、メトラー・トレド社製)で測定した値である。
本発明の加熱凝固卵加工食品には、上述の液卵と微粉砕化卵殻以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、従来の加熱凝固卵加工食品において用いられている各種食品原料や添加材等を適宜選択し含有させることができる。このような食品原料や添加材等としては、例えば、牛乳やバター等の乳製品、菜種油やオリーブ油等の食用油脂、カツオやコンブ等の動植物から抽出したエキス、醤油や食塩やグルタミン酸ナトリウム等の調味料、食酢やクエン酸等のpH調整剤、増粘多糖類、乳化剤等の品質改良剤、着色料、甘味料、保存料等が挙げられる。
本発明の加熱凝固卵加工食品の製造方法は、特に限定するものではなく、液卵に、前記本発明の微粉砕化卵殻、更に必要に応じて、清水、調味料、添加材等を加えて略均一になるように撹拌混合して卵混合液を製し、これを加熱凝固卵加工食品の種類に応じた調理方法に従って常法により加熱して凝固させればよい。具体的には、例えば、加熱凝固卵加工食品として厚焼き卵を製する場合、液卵に本発明の微粉砕化卵殻、だし汁、醤油、砂糖及び清水を加えて撹拌混合して卵混合液を製し、これを卵焼き鍋等を用いて常法にしたがって焼成して凝固させればよい。なお、微粉砕化卵殻を配合する際には、上述したように湿式粉砕することにより得たクリーム状の微粉砕化卵殻含有スラリーをそのまま卵混合液に配合すると、微粉砕化卵殻の凝集を防止したまま卵混合液中に微粉砕化卵殻を分散させることができ好ましい。
以上のようにして製した本発明の加熱凝固卵加工食品は、必要に応じて、ポリエチレン製のパウチ等に充填後、好ましくはヒートシールして密封して容器詰めし、ボイル槽等による湯せん加熱や、スチーマー等による蒸気加熱等により殺菌をすると長期保存できる製品とすることができ好ましい。硫化黒変は加熱の程度が強いとより発生し易いため、従来の加熱凝固卵加工食品はこのような加熱殺菌による硫化黒変の発生が引き起こす色調の悪化が避けられなかったが、本発明の微粉砕化卵殻を加熱凝固卵加工食品に含有させるとこのような加熱殺菌による硫化黒変も抑制することができる。従って、本発明はこのような加熱殺菌される加熱凝固卵加工食品においてより好適に実施できる。
容器詰めした本発明の加熱凝固卵加工食品は、例えば、チルド温度や常温で流通させる製品、あるいは、冷凍処理して冷凍流通させる製品とすることができる。これら製品は、良好な色調を有し、しかも、加熱凝固卵加工食品特有の良好な風味を有するものとなる。
ところで、上述した微粉砕化卵殻は、加熱凝固卵加工食品の風味を損うことなく加熱凝固卵加工食品の硫化黒変を抑制する性質を有する。本発明はこのような硫化黒変抑制材の態様において、平均粒径0.01〜1μmの卵殻を有効成分とすることを特徴とする硫化黒変抑制材である。本発明の硫化黒変抑制材は、有効成分である前記微粉砕化卵殻を含有したものであればよく、前記微粉砕化卵殻の他に本発明の効果を損なわない範囲で、賦形剤や乳化剤等を含有させたものであってもよい。
以下、本発明の実施例等を述べ、本発明を更に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。
[調製例]
本実施例においては、以下の条件にて特定の平均粒径を有するように原料卵殻を粉砕して微粉砕化卵殻を調製した。具体的には、精製水に原料卵殻を分散させた原料卵殻分散液について、以下の条件で湿式ビーズミルを使用して、原料卵殻を湿式粉砕した。
1.原料
(1)原料卵殻(平均粒径:11.0μm((株)全農・キユーピー・エツグステーシヨン製))
(2)精製水
2.粉砕(湿式粉砕)条件
湿式ビーズミル:スターミルLMZ2(アシザワ・ファインテック(株)製)
ビーズ:ジルコニア製,0.3Φmm
ビーズ充填率:85%(粉砕室容量に対し);空間率49%
ローター周速:12m/s
3.微粉砕化卵殻の調製方法
精製水8kgをビーズミルに連結したミキシングタンクに仕込み、原料卵殻2kgを投入して、湿式ビーズミルの循環運転(ミルで粉砕された分散液をタンクにリターン)を行うことにより、微粉砕化卵殻を20%含有する分散液(スラリー)を調製した。湿式ビーズミルによる粉砕処理を所定時間(5、15、60分)行うことにより、粒径の異なる微粉砕化卵殻(微粉砕化卵殻1〜3)を得た。
4.平均粒径および粒度分布測定
試料(微粉砕化卵殻含有スラリー)0.3gを精製水10gに分散させて1分間超音波を照射した後、粒径分析計に供した。分散剤を添加する際は超音波照射前に2滴滴下した。また、原料卵殻の粒度分布を測定する場合は、まず、原料卵殻0.1gを精製水10gに分散させ、この分散液4gを精製水20gに分散させた後、超音波を照射して供試検体とした。
粒度分布測定は、装置内蔵の超音波照射機(3分間、40W)を使用して行った。なお、平均粒径はメジアン径とした。粒度分布測定における測定装置および測定条件は以下の通りである。
粒度分布計:マイクロトラックMT3300EXII(日機装(株));レーザ回折式
屈折率:1.68(重炭酸カルシウムの文献値);水(分散媒)1.33
分散剤:アロンA−6330(ポリカルボン酸系重合体、東亜合成(株)製)
微粉砕化卵殻1〜3の平均粒径はそれぞれ、0.12μm(粒径の実測範囲:0.03〜0.58μm)、0.59μm(粒径の実測範囲:0.19〜7.78μm)、0.94μm(粒径の実測範囲:0.45〜7.78μm)であり、これらの変動係数(CV)はそれぞれ0.70、0.67、0.57であった。
また、これら微粉砕化卵殻の粒度分布はいずれも、粒径1μm以下の割合が50%以上であり、かつ、粒径10μm以上の割合が5%以下であった。なかでも、微粉砕化卵殻の平均粒径が0.12μmである微粉砕化卵殻の粒度分布は、粒径0.5μm以下の割合が50%以上であり、かつ、粒径2μm以上の割合が5%以下であった。
以下、平均粒径が0.12μmの微粉砕化卵殻を微粉砕化卵殻1とし、平均粒径が0.59μmの微粉砕化卵殻を微粉砕化卵殻2とし、平均粒径が0.94μmの微粉砕化卵殻を微粉砕化卵殻3とする。
[試験例1]
本試験例では、微粉砕化卵殻の硫化黒変抑制効果を調べるために、表1に記載されている2種類の添加材、つまり、調製例で調製した微粉砕化卵殻1(平均粒径0.12μm)及び原料卵殻(平均粒径11.0μm)をそれぞれ添加した加熱凝固物を以下の方法により調製し、これらの色調の評価を行った。結果を表1に示す。
1.加熱凝固物の調製方法
液全卵84.9部、添加材1部、キサンタンガム0.1部、清水10部をミキサーに投入して撹拌混合し、得られた卵混合液を折径60mmのナイロン製のケーシングに充填して90℃で40分間加熱して添加材の異なる2種類の加熱凝固物を調製した。また、対照として添加材を配合せず、その減少分は清水の配合量を増やして補正した以外は同様にして無添加の加熱凝固物を得た。
2.色調の評価方法
加熱凝固物を室温に放置して品温を20℃にした後、各加熱凝固物をケーシングから取り出して、長さ方向に対して直角に厚さ3cmにカットした。このカットした加熱凝固物の切断面の色調を、以下の評価基準により目視により評価した。更に、無添加の対照と比較した各加熱凝固物切断面の色の差異を調べるために色差計(日本電色工業社製Color Meter ZE−2000)による測定を行った。なお、無添加の対照と比較した色の差異(ΔE)は、添付マニュアルの透過色測定法に従って測定及び算出を行った。つまり、ΔEの値は、色差測定により得られるΔL(明るさ)、Δa(赤色)、Δb(黄色)の値を元に、[(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2]1/2の計算式により算出した値である。
Figure 0004758975
<表中の評価記号>
◎:黄色い鮮やかな色調である。
○:ややくすんだ黄色い色調であるが問題のない程度である。
△:くすんだ黄色い色調である。
×:緑色である。
表1より、微粉砕化していない原料卵殻を含有した試験品2の加熱凝固物は、無添加の対照と同様に硫化黒変により緑色に変色しており硫化黒変抑制効果が得られなかったのに対し、本発明の平均粒径0.01〜1μmの微粉砕化した卵殻を含有する試験品1の加熱凝固卵物は黄色い鮮やかな色調であり硫化黒変が抑制されていることが理解できる。
[実施例1]
液全卵78部、昆布だし2部、醤油2部、砂糖7部、清水6部、調製例で調製した微粉砕化卵殻1を20%含有するスラリー5部をミキサーに投入して略均一に混ぜ合わせて卵混合液を得た。次に、卵焼き鍋を加熱して油を塗り、前記卵混合液300gを3回に分けて流し入れて常法にしたがって焼成して厚焼き卵を得た。続いて、ポリエチレン製のパウチに厚焼き卵を充填密封した後、スチーマーを用いて90℃で20分間加熱殺菌を行い、微粉砕化卵殻1(平均粒径0.12μm)を製品全体に対して1%含む実施例1の容器詰め厚焼き卵を得た。得られた厚焼き卵のpHは7.5であった。
[比較例1]
実施例1において、微粉砕化卵殻1を含有したスラリーを配合せず、その減少分は清水の配合量を増やして補正した他は、実施例1と同様にして比較例1の容器詰め厚焼き卵を得た。
[比較例2]
実施例1において、微粉砕化卵殻1を含有したスラリーを配合せず、代わりにメタリン酸ナトリウム1部を配合し、その減少分は配合量を増やして補正した他は、実施例1と同様にしてメタリン酸ナトリウムを製品全体に対して1%含む比較例2の容器詰め厚焼き卵を得た。
[試験例2]
実施例1、並びに比較例1及び2で得られた容器詰め厚焼き卵を5℃で1日間保存し、次いで、室温に放置して品温20℃とした後に開封し、風味と色調を下記評価基準により評価した。結果を表2に示す。
Figure 0004758975
<風味の評価>
◎:厚焼き卵特有の大変好ましい風味がある。
○:厚焼き卵特有の好ましい風味がある。
△:厚焼き卵特有の風味に乏しい。
×:厚焼き卵特有の風味が著しく乏しい。
<色調の評価>
※表1と同じ
表2より、メタリン酸ナトリウムを含有する比較例2の厚焼き卵は硫化黒変が抑制されていたものの厚焼き卵特有の風味に乏しかったのに対し、本発明の平均粒径0.01〜1μmの微粉砕化した卵殻を含有する実施例1の厚焼き卵は、硫化黒変が抑制されて黄色い鮮やかな色調である上に、厚焼き卵特有の大変好ましい風味を有することが理解できる。
[実施例2]
実施例1において、微粉砕化卵殻1を20%含有するスラリーの配合量を1部に減らし、その減少分は清水を配合して調整した他は、実施例1と同様にして微粉砕化卵殻1(平均粒径0.12μm)を製品全体に対して0.2%含む実施例2の容器詰め厚焼き卵を得た。得られた厚焼き卵のpHは7.5であった。
[実施例3]
実施例2において、微粉砕化卵殻1を含有するスラリーの代わりに調整例で調製した微粉砕化卵殻2(平均粒径0.59μm)を含有するスラリーを用いた他は、実施例2と同様にして微粉砕化卵殻2(平均粒径0.59μm)を製品全体に対して0.2%含む実施例3の容器詰め厚焼き卵を得た。得られた厚焼き卵のpHは7.5であった。
[実施例4]
実施例2において、微粉砕化卵殻1を含有するスラリーの代わりに調整例で調製した微粉砕化卵殻3(平均粒径0.94μm)を含有するスラリーを用いた他は、実施例2と同様にして微粉砕化卵殻3(平均粒径0.94μm)を製品全体に対して0.2%含む実施例4の容器詰め厚焼き卵を得た。得られた厚焼き卵のpHは7.5であった。
実施例2〜4で得られた容器詰め厚焼き卵を5℃で1日間保存した後に開封して食したところ、いずれも厚焼き卵特有の大変好ましい風味であり、また、容器詰め後殺菌されているにも拘らず、黄色い鮮やかな色調を有していた。
[実施例5]
液全卵85部、生クリーム9.6部、塩0.2部及びこしょう0.2部、調製例で調製した微粉砕化卵殻1を20%含有するスラリー5部をミキサーに投入して略均一に混ぜ合わせて卵混合液を得た。次に、フライパンを加熱しバター10gを入れ、バターが溶けたところで前記卵混合液を200g流し入れ、これを箸で撹拌しながら卵混合液が凝固するまで焼成してスクランブルエッグを得た。続いて、ポリエチレン製のパウチにスクランブルエッグを充填密封した後、スチーマーを用いて90℃で10分間殺菌を行い、微粉砕化卵殻1(平均粒径0.12μm)を製品全体に対して1%含む実施例5の容器詰めスクランブルエッグを得た。得られたスクランブルエッグのpH7.5であった。
得られた容器詰めスクランブルエッグを5℃で1日間保存した後に開封して食したところ、スクランブルエッグ特有の大変好ましい風味であった。また、容器詰め後殺菌されているにも拘らず、黄色い鮮やかな色調を有していた。



Claims (1)

  1. 平均粒径0.01〜1μmの卵殻を有効成分とすることを特徴とする加熱凝固卵加工食品の硫化黒変抑制材。
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