JP4756753B2 - 画像処理装置及び方法及びプログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用画像を解析して特長量を求めるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
センサ、カメラ等何らかの撮影装置で撮影されたデータを、モニター画面、X線診断用フィルム等に表示する場合、撮影されたデータに対して何らかの階調変換を行い、観察しやすい濃度値に変換するのが一般的である。例えば、胸椎等の撮影データをX線診断用フィルムに表示する場合、撮影データから階調変換のための特徴量を抽出し、抽出した特徴量を一定濃度に変換する階調変換を行う。
【0003】
特徴量を抽出する方法として、画像全体のヒストグラムを作成し、ヒストグラムの形状から階調変換のための特徴量を抽出することが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
胸椎の画像では胸椎中央部の濃度を所定濃度にすると診断能が上がる。ヒストグラムの形状から特徴量を抽出する方法を胸椎の画像に適用した場合、おおまかな脊柱部領域の画素値を抽出する事はできるが、胸椎中央部のような特定領域の画素値を抽出するのが困難である問題がある。したがって、従来は、胸椎画像などでは階調変換後の画像が安定せず、診断能が落ちるという問題が有った。
【0005】
本発明は、画像内容にかかわらず安定して高精度に特徴量を抽出できるようにすることを目的とする。
【0006】
特に、本願請求項5の発明は、胸椎の画像において、簡単な方法によって安定して高精度に特徴量を求め、適切な階調補正条件を設定できるようにすることにより、診断能を向上できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を有する。
【0008】
本願請求項1の発明は、医療用画像を解析し、特徴量を抽出する画像処理装置であって、前記医療用画像における複数行のそれぞれの行について、複数の特徴量を抽出する特徴量抽出手段と、前記特徴量抽出手段で抽出された複数の特徴量から、前記医療用画像における特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段で算出された前記特徴量から、前記医療用画像における注目領域を設定する領域設定手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本願請求項5の発明は、胸部画像を解析し、胸椎を診断するのに適した画像に変換する階調変換条件を求める画像処理方法であって、前記医療用画像における複数行のそれぞれの行について、凸部の最大値と凹部の最小値を求め、同一行における前記凸部の最大値と前記凹部の最小値の差分を求め、該差分の最大値を有する行を求め、前記最大値を有する行における、前記凹部の最小値を有する画素位置を求め、前記画素位置を含むように、前記医療用画像の注目領域を設定し、前記注目領域に含まれる画像データの統計量から前記階調変換条件を求めることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1で用いるX線撮影装置100を示す。X線撮影装置100は、画像処理機能を有するX線の撮影装置であり、前処理回路106、CPU108、メインメモリ109、操作パネル110、画像変換回路111を備えており、CPUバス107を介して互いにデータ授受することができる。
【0011】
X線撮影装置100は、前処理回路106に接続されたデータ収集回路105と、データ収集回路105に接続された2次元X線センサ104及びX線発生回路101とを備えており、これらの各回路もCPUバス107に接続されている。
【0012】
メインメモリ109は、CPU108での処理に必要な各種のデータなどが記憶されるものであると共に、CPU108の作業用のワークメモリとして使用される。CPU108は、メインメモリ109を用いて、操作パネル110からの操作に応じて装置全体の動作制御等を行う。X線撮影装置100は、以下のように動作する。
【0013】
先ず、X線発生回路101は、被検査体103に対してX線ビーム102を放射する。X線発生回路101から放射されたX線ビーム102は、被検査体103を減衰しながら透過して、2次元X線センサ104に到達する。2次元X線センサ104は、到達したX線を検出し、X線画像を出力する。本実施形態におけるX線画像は、医療用の人体部画像である。
【0014】
データ収集回路105は、2次元X線センサ104から出力されたX線画像を電気信号に変換して前処理回路106に供給する。前処理回路106は、データ収集回路105からの信号(X線画像信号)に対して、オフセット補正処理やゲイン補正処理等の前処理を行う。前処理が行われたX線画像信号は、CPU108の制御により、CPUバス107を介して、メインメモリ109、画像処理回路111に転送される。
【0015】
111は画像処理回路の構成を示すブロック図であり、同一行内から複数の特徴量を抽出する第一の解析回路112、第一の解析回路112で抽出した特徴量から新たな特徴量を計算する第二の解析回路113、第二の解析回路113で算出した特徴量から所定の領域を算出する領域抽出回路114、領域抽出回路115で抽出した領域から階調変換のための特徴量を計算する特徴抽出回路115、特徴抽出回路115で算出した特徴量に基づき階調変換を行う階調変換回路116を備える。
【0016】
図2は実施の形態1の処理の流れを示す図であり、図3(a)は胸椎画像を示し、301が肺領域、302が脊柱領域、303が胸部画像を水平に横切る線を示す。図3(b)は線303上の画素値列を示すプロファイルであり横軸が座標、縦軸が画素値を示し、303がプロファイル上の凸部の最大値を示す座標、304が凹部の最小値を示す座標をあらわす。図4(a)は図3(a)において第一の解析回路112が抽出した凸部領域最大値の画素値列401と凹部領域の最小値の画素値列402、領域抽出回路114が抽出した所定領域403を示す。図4b(b)は第二の解析回路113が算出した画素値列401と402の画素値の差分を示し、横軸が座標、縦軸が画素値を示す。
【0017】
胸椎の画像では胸椎中央部の画像を所定濃度に変換すると診断能が向上する。本実施形態では簡単な処理で高精度に安定して胸部画像から胸椎中央部を抽出する。画像処理回路111の動作について図2を用いて説明する。
【0018】
まず、第一の解析回路112が、画像の同一行から凹部領域及び凸部領域を抽出し、同一行における凹部領域の最小値及び凸部領域の最大値を抽出する(s201)。同一行内の注目画素および注目画素を挟む2つの画素で構成される3点の画素の値を比較し、注目画素値が残りの画素値の値よりも小さければ凹部とする。逆に注目画素値が残りの画素値の値よりも大きければ凸部とする。例えば図3(b)の303が凸部の最大値で通常は肺の領域の峰部となる。一方、図3(b)の304が凹部の最小値を示し、通常、脊柱の中心部付近となる。第一の解析回路112は画像最上部の行から最下部の行まで上記抽出の処理を繰り返し、全行について凹部領域の最小画素値及び凸部領域の最大値を算出する。例えば図4(a)のライン401、402がそれぞれ凸部の最大値を示す線、凹部の最小値を示す線を示す。
【0019】
第二の解析回路113は、第一の解析回路112で抽出した凹部領域の最小画素値及び凸部領域の最大値の差分を行ごとに全行について算出する(s202)。図4(b)は、差分値のグラフである。
【0020】
ここで第二の解析回路113で算出する特徴量は単なる差分にとどまらず(1)式で示される様な多変量な計算式で選られる特徴量でも構わない。
x1=f1(y1、y2、…yn)
x2=f2(y1、y2、…yn)
:…(1)
xn=fn(y1、y2、…yn)
ここでy1、y2…ynが第一の解析回路112で算出した特徴量、x1、x2…xnが第二の解析回路113で算出した特徴量である。第一の解析回路112で算出する特徴量には例えば、最大値、最小値、被写体の輪郭間間隔、凸部領域の幅、凹部領域の幅等が考えられる。
【0021】
次に、領域抽出回路114は第二の解析回路113で算出した特徴量(図4(b)のグラフの最大画素値を求め、その座標y1(矢印)を求める(s203)。通常の胸椎画像では胸椎の中心付近において、胸部の凸部のピークと凹部のピークの差が最大となる性質があるため、座標y1は胸椎画像ではほぼ胸椎の中心付近を示す。そして、領域抽出回路114は座標y1と線402の交点を中心とする一定方形領域(403)を特徴量を計算する注目領域とする(s204)。
【0022】
例えば領域を抽出する場合に、図4(a)の画像のy軸上へのプロジェクションをとる手法が用いられる、しかし、プロジェクションでは有効特徴量401,402などが他の画素値の中に埋もれて情報がなまり、精度よく情報を抽出できない。一方本手法のように画像中の不用領域は取得せず、有効情報(凹部最小値、凸部最大値)を取得するため、情報がなまる事なく、高精度に目的とする領域を取得できる。
【0023】
特徴量抽出回路115は領域抽出手段で決定した領域403から、X線画像の特徴量として平均値、中間値、最大値、最小値などの統計量を計算する。本実施形態では領域403内の平均値を計算する(s205)。
【0024】
階調変換回路116は特徴抽出回路115で算出した特徴量に基づき画像の階調変換を行う(s207)。例えば領域403の画素値平均が階調変換後の画像で濃度1.4になるように階調変換条件を求め、階調変換を行う。
【0025】
本実施形態によれば、不要領域により特徴量の精度が低下するのを防ぐことができる。また、精度よい特徴量に基づき階調変換を行うため、階調変換後の画像において、注目領域の濃度を診断に適する濃度に安定して変換でき、診断能を向上させることができる。
【0026】
また、凹部、凸部領域を3点の並びから判定するため、計算処理時間が短縮できるとともに安定して凹部、凸部を算出できる効果がある。また、人体画像においては、凸部のピークや凹部のピークなどは肺の峰線や脊柱の中心部を示す等、有効な情報を示す事が多く、これら特徴量を用いる事で注目領域の抽出精度があがる効果がある。さらに、胸部画像などにおいては凹部のピークと凸部のピークの差が最大となる領域が胸椎の中心領域となるため、凹部のピークと凸部のピークの差を特徴量として用いることで安定して胸椎の中心領域を抽出できる効果が有る。
【0027】
なお、本実施形態では、s201の処理を画像の各行について行ったが、3ラインおきに処理するなど全行に処理を行わなくても良い。
【0028】
(他の実施形態)
前述した実施形態の機能を実現する様に各種のデバイスを動作させる様に該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、前記実施形態機能を実現するためのソフトウエアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0029】
この場合、前記ソフトウエアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、及びそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
【0030】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることが出来る。
【0031】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0032】
更に供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、画像にかかわらず安定して高精度に特徴量を抽出できるようにすることができる。
【0034】
特に、本願請求項5の発明によれば、胸椎の画像において、簡単な方法によって安定して高精度に特徴量を求め、適切な階調補正条件を設定することができ、診断能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】X線撮影装置の構成を示すブロック図である。
【図2】画像処理回路で行われる処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】胸椎画像とそのプロファイルを示す図である。
【図4】図3の胸椎画像から抽出した特徴量を説明する図である。

Claims (3)

  1. 胸椎画像を画像処理する画像処理装置であって、
    前記胸椎画像を横切る複数行におけるX線透過量の差をそれぞれの行における凸部の最大値と凹部の最小値から得て、前記差の値が最大値を示す行を求め、最大値を示す行における、凹部の最小値を示す画素位置を求め、当該画素位置を含むように設定した所定領域から胸椎画像の階調変換のための統計量を求める手段と、
    前記統計量に応じた階調変換条件を用いて、前記胸椎画像に対して階調変換を行う階調変換手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 胸椎画像を画像処理する画像処理方法であって、
    前記胸椎画像を横切る複数行におけるX線透過量の差をそれぞれの行における凸部の最大値と凹部の最小値から得て、前記差の値が最大値を示す行を求め、最大値を示す行における、凹部の最小値を示す画素位置を求め、当該画素位置を含むように設定した所定領域から胸椎画像の階調変換のための統計量を求める工程と、 前記統計量に応じた階調変換条件を用いて、前記胸椎画像に対して階調変換を行う階調変換工程と、を有することを特徴とする画像処理方法。
  3. 胸椎画像を画像処理する画像処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    前記胸椎画像を横切る複数行におけるX線透過量の差をそれぞれの行における凸部の最大値と凹部の最小値から得て、前記差の値が最大値を示す行を求め、最大値を示す行における、凹部の最小値を示す画素位置を求め、当該画素位置を含むように設定した所定領域から胸椎画像の階調変換のための統計量を求める、
    前記統計量に応じた階調変換条件を用いて、前記胸椎画像に対して階調変換を行う階調変換を行うこと、を実現するためのプログラム。
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