JP4752389B2 - 無延伸ポリアミド樹脂シートの製造方法 - Google Patents
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Description
まず、図1に示される、溶融樹脂を押出す押出機1と、同押出機1から押出された溶融樹脂をシート3状に成形するダイ2と、フレーム(図示せず)に回転可能に軸支された冷却ロール4と、軸6に回動可能に枢支されたアーム5と、同アーム5の上端部に回転可能に軸支された金属タッチロール7と、前記アーム5の下端部に取付けたエアシリンダ8から構成されたものがある。
そして冷却ロール4は所定の速度で矢印A1 方向に回転し、金属タッチロール7も矢印A2 方向に回転して、ダイ2から押出された溶融樹脂シート3を矢印B方向へ搬送する一方、エアシリンダ8を伸長方向へ作動し、アーム5及び金属タッチロール7を軸6を中心として時計方向へ回転させ、溶融樹脂シート3を冷却ロール4の外周面へ所定の接触圧により押し付けて、溶融樹脂シート3を冷却しながら均一の厚さに成形する。
上記方式は、溶融樹脂と冷却ロール間の空気巻込みが防止され、表面光沢度の良好なシートが高速で得られる。またタッチロールの表面は研磨仕上げされているため、シートのタッチロール側面においても良好な光沢面が得られ、更にタッチロール表面は非粘着のため、溶融樹脂がタッチロールに巻付く等のトラブルはない。またタッチロールとの粘着による肌荒れが発生することはなく、かつタッチロールは弾性体のため、シートの厚薄パターンに高追従し、約0.1mm厚のシートに対しても全巾均一タッチが可能であるとされている。
即ち本発明は、
(1)60m/min以上の速度で回転する冷却ロールとタッチロールとの間にポリアミド樹脂の溶融物を押出して無延伸ポリアミド樹脂シートを製造するにあたり、前記タッチロールの表面が厚み3〜20mmのフッ素系樹脂で被覆されており、前記タッチロールと補助冷却ロールが、厚み10〜100μmのフッ素系樹脂で表面が被覆された金属ベルトで結ばれており、前記設備により製造した無延伸ポリアミド樹脂シートを二軸延伸する為に用いることを特徴とする無延伸ポリアミド樹脂シートの製造方法。(2)前記無延伸樹脂シートの端部より10mm部の厚みと中央部の厚みとの比率が1.5〜4.0である(1)の無延伸ポリアミド樹脂シートの製造方法である。
またタッチロールの表面は弾性体であり、冷却ロールとの押し圧を制御することにより、シートの耳厚みを充分にとることができ、後の横延伸工程におけるフィルム端の把持部分付近での破れを防止することができる。
さらに、金属ベルトの表面に熱可塑性樹脂がコーティングされているので、メンテナンス性に優れる。
このことにより、必要以上に溶融樹脂層の端部を圧することがないため、シートの耳厚みを充分にとることができ、後の横延伸工程におけるフィルム端の把持部分付近での破れを防止することができる。更にまた、ユーザーからの要望で、各種の厚みの二軸延伸フィルムを製造するが、該二軸延伸フィルムの厚みにより、延伸前の無延伸シートの端部の厚みは該二軸延伸フィルムの厚みによって異なる。また、形成される該無延伸シートの端部の厚みは、生産性に極めて重要である。仮に、タッチロールの表面の材質に金属を使用した場合、上記の理由で、厚みの異なる二軸延伸フィルムを製造する度に、それぞれの厚みに対応したクラウニングされたタッチロールへ変更する必要があり、好ましくない。タッチロールの表面の材質に熱可塑性樹脂のような弾性体を用いれば、これら全ての厚みの二軸延伸フィルムに対応することができる。
そもそもポリアミド樹脂は電気的に両性であり、所謂溶融比抵抗が小さく、伝導度が高い為、静電印加によるキャスト法は極めて困難あり、高速で製膜することが困難であり、また、原料コストも他の樹脂に比べて高く、製造方法によりコストダウンが望まれていた。
ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度管にて測定した。
コールター株式会社のコールター・カウンター(TA−II)を用いて、凝集タイプのシリカの平均粒径を測定した。
株式会社島津製作所の示差走査型熱量計(DSC−60)を用いて測定を行った。原材料としてのポリアミド樹脂を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷した。その10mgを試料とし、20℃/分の速度で昇温していった際に現れる結晶融解に基づく吸熱ピーク温度(融点)を測定した。
目視試験により無延伸シートの表面を以下のように評価した。
○ : 良好(表裏共に全体が鏡状態である)
△ : やや良好(表面積の内5%以内の軽微なタッチ不良部分がある)
× : 不良(明確なタッチ不良、非鏡面部分がある)
ポリアミド樹脂として、平均粒径1.8μmの凝集タイプのシリカ0.45重量%を含み、相対粘度2.1、融点243℃のメタロキシジアミン・アジピン酸重縮合物を4%含有する相対粘度2.8、融点223℃のポリカプロラクタムを用いた。上記凝集タイプのシリカとして、市販品(商品名:サイリシア350、富士シリシア化学株式会社製)を用いた。上記メタロキシジアミン・アジピン酸重縮合物、ポリカプロラクタムとして、それぞれ市販品(商品名:東洋紡ナイロンT−600、東洋紡績株式会社製、商品名:東洋紡ナイロンT−814、東洋紡績株式会社製)を用いた。上記ポリアミド樹脂を真空乾燥し、原料ホッパーに供給し、東芝機械株式会社製の二台の単軸押出機SE−250CA機からそれぞれ、樹脂温度260℃、樹脂押出量650kg/時間で溶融樹脂を供給し、フィードブロックで合流させ、1380mm幅のTダイから溶融樹脂を押出し、80m/分で回転させた表面をハードクロムメッキを施した20℃の冷却水を循環させて温調させた直径1200mm、面長1500mmのキャスティングロールと表面を70°のゴム硬度のフッ素系樹脂(商品名:FST、持田商工株式会社製)で巻いた20℃の冷却水を循環させて温調させた直径400mm、面長1500mmのタッチロールの間に押圧0.02MPaで挟み、溶融樹脂を急冷させた。また、無端金属ベルトの冷却の補助冷却ロール(20℃の冷却水を循環させて温調させた直径400mm、面長1500mm)をタッチロール表面をテフロン(登録商標)(商品名:NK−013、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)でコーティング(コート厚み50μm)された無端金属ベルト(SUS420J2)と接するように配置させた。得られた無延伸シートの端部から10mm位置と中央部の厚みは、それぞれ390μm、175μmであり、端部から10mm位置と中央部の厚みとの比率は2.2であった。上記無延伸シートの表面性評価結果は、○であった。その後、上記無延伸シートを85℃で縦方向に3.1倍、180℃で横方向に3.8倍延伸し、210℃で熱固定して、厚さ15μmの二軸延伸ポリアミド系フィルムを端部から破断することなく製造することができた。
補助冷却ロール(5):20℃の温水循環で温度制御した直径400mm、面長1500mmのロール
無端金属ベルト(6):厚み0.8mm、巾1450mm、周長4100mmのSUS420J2の溶融樹脂の接する面にテフロン(登録商標)(商品名:NK−013、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)でコート(コート厚み50μm)を施した。
無端金属ベルトの表面のテフロン(登録商標)コートを施さない以外は実施例1と同様に二軸延伸ポリアミド系フィルムの製造した。
ピニング方式をタッチロール方式ではなく、針電極方式(先端直径が0.10mm、太さ2.0mmφ、長さ12mmのステンレススチール(SUS304)の針を2mmピッチで真鍮の板に埋め込んだ長さ1300mmの電極)を使用したが、キャスティングロールの速度が、60m/分を超えると、無延伸樹脂シートとキャスティングロールの間に空気の巻き込みが起こり、表面性の良い製品を製造することが出来なかった。この時の表面性の評価は、×であった。また、キャスティングロールの速度を50m/分に下げて、製造したが、約1日の生産の後、針電極の汚れの為、原反厚みの制御ができなくなり、1回/日の電極掃除が必要になり、製膜速度の割には、生産性の悪いものとなった。
Claims (2)
- 60m/min以上の速度で回転する冷却ロールとタッチロールとの間にポリアミド樹脂の溶融物を押出して無延伸ポリアミド樹脂シートを製造するにあたり、前記タッチロールの表面が厚み3〜20mmのフッ素系樹脂で被覆されており、前記タッチロールと補助冷却ロールが、厚み10〜100μmのフッ素系樹脂で表面が被覆された金属ベルトで結ばれており、前記設備により製造した無延伸ポリアミド樹脂シートを二軸延伸する為に用いることを特徴とする無延伸ポリアミド樹脂シートの製造方法。
- 前記無延伸樹脂シートの端部より10mm部の厚みと中央部の厚みとの比率が1.5〜4.0であることを特徴とする請求項1記載の無延伸ポリアミド樹脂シートの製造方法。
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