JP2009292116A - 光学フィルムロール、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】微粒子を添加せずに光学フィルム同士のスベリ性を安定に確保しつつ、ヘイズが低い透明性な光学フィルムを提供する。
【解決手段】溶融押出し製膜法で製膜され、長さが2000m〜10000mの光学フィルムのロールであって、該光学フィルムの内部には微粒子を実質的に含有せず、かつ、該光学フィルムロールの巻き外端から10mに位置する該光学フィルム中央部の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)をRa1、該光学フィルムロールの巻き芯端から10mに位置する該光学フィルム中央部の表面粗さをRa2とした場合、Ra1およびRa2いずれも0.5〜2.4nmであり、かつ、0.8≦Ra1/Ra2≦1.2であることを特徴とする光学フィルムロール及びその製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムロール、及びその製造方法に関する。
偏光板保護フィルムに代表される透明光学フィルムには、フィルム同士のスベリ性付与、搬送適性、巻品質、貼り付き故障防止のためにシリカ等の微粒子を添加することが通常行われる(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、シリカ等の微粒子を添加する従来法では十分なスベリ性を確保するために添加量を増加させるとフィルムの透明度が低下したり、異物故障が増えたりしてしまう問題があり、スベリ性との両立が困難であった。これに対し微粒子の添加はせずにフィルム同士のスベリ性を確保する手段として、フィルム表面を表面形状転写ロールで表面加工する手段(例えば、特許文献2参照)が提案されている。この方法は確かにスベリ性との両立が図れるものの、表面形状ロールの磨耗や目詰まりにより転写性が低下してしまい、長尺生産適性に欠ける欠点を有していた。
特開2002−194106号公報 特開2006−240228号公報
本発明の目的は上記の従来技術の問題を解決し、微粒子を添加せずに光学フィルム同士のスベリ性を安定に確保しつつ、ヘイズが低い透明性な光学フィルムを得ることにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.溶融押出し製膜法で製膜され、長さが2000m〜10000mの光学フィルムのロールであって、該光学フィルムの内部には微粒子を実質的に含有せず、かつ、該光学フィルムロールの巻き外端から10mに位置する該光学フィルム中央部の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)をRa1、該光学フィルムロールの巻き芯端から10mに位置する該光学フィルム中央部の表面粗さをRa2とした場合、Ra1およびRa2いずれも0.5〜2.4nmであり、かつ、0.8≦Ra1/Ra2≦1.2であることを特徴とする光学フィルムロール。
2.前記光学フィルムロールは主成分が、下記式(A1)及び(A2)を同時に満足するセルロースエステルであることを特徴とする前記1に記載の光学フィルムロール。
式(A1) 2.0≦X+Y≦3.0
式(A2) 1.0≦Y≦2.5
[式中、Xはアセチル基の置換度を表し、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度を表す。]
3.前記1または2に記載の光学フィルムロールの製造方法であって、前記光学フィルムロールを構成する熱可塑性樹脂A層の両面に、該熱可塑性樹脂A層とは非接着性であり、微粒子を含有する熱可塑性樹脂B層とを配する積層共流延によって積層フィルムを製作し、フラットダイから3層積層された状態でフィルム状に押出し、該フラットダイから押し出された溶融物を冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら流延して積層体を形成させた後、該積層体から熱可塑性樹脂B層を剥離して熱可塑性樹脂A層からなる光学フィルムをロール状に巻き取ることを特徴とする光学フィルムロールの製造方法。
4.前記熱可塑性樹脂B層の微粒子含有量は1〜20質量%であり、かつ微粒子の一次粒径が0.5〜10μmであることを特徴とする前記3に記載の光学フィルムロールの製造方法。
本発明により、微粒子を添加せずに光学フィルム同士のスベリ性を安定に確保しつつ、ヘイズが低い透明性な光学フィルムを提供することができた。
本発明を更に詳しく説明する。
(機構の説明)
本発明では、光学フィルム(以後、単にフィルムともいう)本体には実質的に微粒子は含まず、該光学フィルムを構成する熱可塑性樹脂Aと、熱可塑性樹脂Aとは非接着性であり、かつ、微粒子を含有する熱可塑性樹脂Bとを両者とも溶融状態で層状に組合わせ、該熱可塑性樹脂A層の両側に該熱可塑性樹脂B層を配し、フラットダイから3層積層された状態でフィルム状に押出し、該フラットダイから押し出された溶融物を冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら流延し積層体BABを形成させた後、該積層体から熱可塑性樹脂B層を剥離して該光学フィルムを得ることにより、光学フィルム表面に微粒子及び微粒子に起因した表面形状を転写固定化することにより本発明の効果が得られるものである。尚、積層体BABとは、熱可塑性樹脂B層が熱可塑性樹脂A層をサンドウィッチ状に挟んだ層構成を意味する。
(微粒子)
本発明で言う微粒子とは、フィルム中あるいはその表面に存在する平均粒径10μm未満の粒子を言い、主に無機微粒子である。無機微粒子としては例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等が挙げられる。中でも二酸化ケイ素が入手し易く好ましい。
これらの含有量や存在状態は電子顕微鏡によって確認もできるし、アルカリなどでフィルムを溶解後、誘導結合プラズマ発光分光分析装置で元素分析すれば、確認できる。
フィルム内部には微粒子を実質的に含有しないとは、前記光学フィルムを厚み方向に10等分した領域の中で、最外層を除く8つの領域における樹脂に対する微粒子存在量が、0.02%質量%以下であることを言う。従来の製法と同様のフィルム製造ラインを共用するような場合には、従来添加していた微粒子がコンタミとして混入する可能性がある。その場合でも、実質的に微粒子の添加工程を用いないため、フィルム中の微粒子の含有量は、樹脂に対し0.02質量%以下で含まれることもあるが、極微量であるため内部へイズへの影響は無い。
(微粒子添加量)
本発明では冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら共流延することで、光学フィルム表面に微粒子及び微粒子に起因した表面形状を転写固定化するため、熱可塑性樹脂Bに対する微粒子含有量は通常の添加量よりも多くする必要があり、熱可塑性樹脂Bに対して微粒子含有量は1〜20質量%が好ましい。1質量%より少ないと効果が乏しく、20質量%を越えると溶融流延が困難となるおそれがある。また微粒子の一次粒径としては、0.5〜10μmが好ましい。0.5μm以下だと効果が乏しく、10μm以上だと剥離脱落が生じた場合、故障の原因となるおそれがある。
(熱可塑性樹脂)
本発明の光学フィルムを構成する熱可塑性樹脂Aとしては、従来公知のものが挙げられ例えば、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられるが、中でもセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂が好ましい。
本発明において熱可塑性樹脂Aと非接着性の熱可塑性樹脂Bとは、上記熱可塑性樹脂Aとは相溶せず、熱可塑性樹脂A層(以後、層Aとも言う)と、熱可塑性樹脂B層(以後、層Bとも言う)を積層した場合に接着せず剥離が可能である熱可塑性樹脂を意味する。このような熱可塑性樹脂としては、該層Aと層Bの二枚のシートを溶融状態で積層した押出シートを冷却した後に、層Aと層Bとの剥離力が好ましくは100g/cm以下、より好ましくは1g/cm〜50g/cm程度と容易に剥離出来る程度の接着力を有していることが好ましいが、あまり容易に剥離出来るとシート搬送時の層間剥離を起こすため上記範囲が好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂Bは、表層用樹脂として溶融状態で熱可塑性樹脂Aと積層されるため、ダイの設定温度における熱可塑性樹脂Aの溶融粘度と近い溶融粘度を示すものが好ましい。もし溶融粘度が大きく異なる樹脂を積層した場合、得られる熱可塑性樹脂Aの膜厚均一性の制御が困難になる。また、表層は製品にはならないため、なるべくコストの安い樹脂が好ましい。この2点からポリオレフィン系樹脂、特にポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはポリエステル系樹脂、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらは分子量や分岐度、立体規則性などの違いにより、溶融粘度の異なる多数の品種が市販されており、本発明の目的に合うような溶融粘度特性をもったものを選ぶことが出来る。
(共押出し)
本発明の積層されたフィルムは溶融流延法によって製造されるが、まず別々の押出機に熱可塑性樹脂A及び熱可塑性樹脂Bを供給して溶融混練し、熱可塑性樹脂Aからなる層Aの両側に、同一種でも異なっていてもよい熱可塑性樹脂Bを含有する層Bを配し、該層A、Bをフラットダイから3層積層された状態でフィルム状に押出し、冷却し成形されることを特徴とする。
加熱溶融する溶融流延による成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法等に分類出来る。これらの中で、機械的強度及び表面精度等に優れる偏光板保護フィルムを得るためには、溶融押出し法が優れており、本発明では特に好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いることのできる共押出しダイ溶融製膜装置の概略図を図1に示す。共押出しダイ4は、マルチマニフォールドダイであり、単軸押出し機1、3若しくは二軸押出し機2によって溶融混練された熱可塑性樹脂Aまたは熱可塑性樹脂Bは、流量制御のためのギヤポンプ(図示していない)を介して共押出しダイ4に導入され、液だまりであるマニフォールドA、B、C(図示していない)にて押出し量を安定化し、リップ調整ボルト(図示していない)によって制御された膜厚で溶融押出し製膜される。押出し機とダイの間にフィルターを配置することも好ましい。
共押出しダイ4の材質としては、溶融樹脂がダイなどの金属材質と接着しやすくなり、このためにダイすじといわれる固定すじが発生しやすくなり、光学用途としては利用出来なくなる恐れがある為、溶融樹脂との接液面材質は、通常のクロムメッキや窒化鋼などではなく、TiNのような離形性に優れたセラミック系材質や、SUS材質などが好ましい。
本発明では、共押出しダイ4から3層以上積層された状態でフィルム状に押出し、該共押出しダイ4から押し出された溶融物を第1冷却ロール5と弾性タッチロール6との間に押圧しながら流延し積層体BABを形成させることを特徴とする。弾性タッチロール6圧時のタッチロール線圧は5kg/cm以上、150kg/cm以下に調整することが好ましい。タッチロール線圧をこの範囲とすることで、スベリ性が付与された熱可塑性樹脂Aからなる光学フィルムが得られる。線圧とは、弾性タッチロール6がフィルムを押圧する力を押圧時のフィルム幅で除した値である。線圧を上記の範囲にする方法は、特に限定はなく、例えば、エアーシリンダーや油圧シリンダーなどでロール両端を押圧することができる。サポートロールにより弾性タッチロール6を押圧することで、間接的にフィルムを押圧してもよい。
弾性タッチロール6でフィルムを押圧する際のフィルム温度は、高いほど歪が低減されるが、あまり高すぎると、別の歪が発生する場合がある。これは、フィルム中から揮発成分が揮発し、弾性タッチロール6で押圧する際に均一に押圧されないためと予想している。低すぎると本発明の効果は得られない。本発明では弾性タッチロール6側フィルム表面温度Tを、Tg<T<Tg+110℃とすることが好ましい。押圧時のフィルム温度を上記範囲にする方法は特に限定はないが、例えば、共押出しダイ4と第1冷却ロール5間の距離を近づけて、共押出しダイ4と第1冷却ロール5間での冷却を抑制する方法や共押出しダイ4と第1冷却ロール5間を断熱材で囲って保温する方法、あるいは熱風や赤外線ヒータやマイクロ波加熱等により加温する方法が挙げられる。もちろん押出温度を高く設定してもよい。
フィルム表面温度およびロール表面温度は非接触式の赤外温度計で測定できる。具体的には、非接触ハンディ温度計(IT2−80、(株)キーエンス製)を用いてフィルムの幅手方向に10箇所を被測定物から0.5mの距離で測定する。
弾性タッチロール6側フィルム表面温度Tは、搬送されているフィルムを、弾性タッチロール6をはずした状態で弾性タッチロール6側から非接触式の赤外温度計で測定したフィルム表面温度のことをさす。
冷却ロール(第1冷却ロール5、第2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8)は、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体または冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、溶融押出されたフィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。更に表面の硬度をあげ、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。冷却ロール表面の表面粗さは、Raで0.1μm以下とすることが好ましく、更に0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面も平滑にできる。もちろん表面加工した表面は更に研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
(内部ヘイズ値)
本発明は透明である光学フィルムに関するものであり、本発明で言う透明とは以下の測定法によって求めることが出来る内部ヘイズ値が0.0〜0.2の範囲にあることを指す。シリカ等無機微粒子を添加することによって内部ヘイズ値は一般に上昇するが、フィルム表面にのみシリカ等無機微粒子が存在、あるいは表面形状転写した場合には、表面ヘイズは上昇するが内部ヘイズは上昇しない。光学フィルムを用いて偏光板を作製する場合、接着剤の寄与もあり、透明性は内部ヘイズが重要視される。
フィルムの表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着し、表面ヘイズを除去した状態でJIS−K7136に準じてヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズとして算出する。
(巻取り後のフィルムの表面粗さ:Ra)
製膜して巻き取られた2600m巻きのフィルムを巻き返しながら、巻外側から10mの位置および該巻芯側から10mの位置をサンプリングし、フィルム中央部の表面粗さを測定し、巻芯側をRa1、巻外側をRa2としてRa1/Ra2を算出した。
測定はZYGO社製 New View5010を用いて、下記測定条件にて10カ所測定したデータの平均値を用いた。
測定条件
対物レンズ:50倍
中間レンズズーム:1倍
カメラ解像度:320×240 30Hz
Scan length:5μm(5sec)
最小変調許容値(min mod):7%
(動摩擦係数)
フィルム表面と裏面間の動摩擦係数は、JIS−K−7125(1987)に準じ、フィルムの表裏面が接触するように切り出し、200gのおもりを載せ、サンプル移動速度100mm/分、接触面積80mm×200mmの条件で重りを水平引っ張り、重りが移動中の平均荷重(F)を測定し、下記式より動摩擦係数(μm)を求めた。動摩擦係数が小さいほどスベリ性が良好で、0.85以下が好ましく、より好ましくは0.65以下である。
動摩擦係数=F(mN)/おもりの重さ(mN)
(巻取り)
本発明では、表層である非接着性の熱可塑性樹脂層(層B)を剥離して熱可塑性樹脂Aよりなる光学フィルムだけを巻き取ってもよいし、或いは該熱可塑性樹脂層を剥離せずに巻き取ってもよい。前者の場合は、最終的には不要な層Bを後工程に持ち込まず、製膜工程での再利用に有利である。一方後者の場合は、長期間に渡る保管中でもゴミの付着などを防げたり、偏光板作製時の傷防止用保護フィルムとしても使用出来る点では好ましいが、フィルムとしての厚みが増えるため、巻取りフィルム1本当たりの長さが短くならざるを得ない欠点も有するので、適宜判断すれば良い。
(延伸)
また、冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら冷却され得られたフィルムは、1つまたは複数のロール群及び/または赤外線ヒーター等の加熱装置を介して、再度加熱して長手もしくは幅手方向に一段または多段縦延伸後冷却することが出来る。この時、非接着性の熱可塑性樹脂層は、剥離しても剥離しなくてもよいが、傷防止の観点からは剥離しないで行うことが好ましい。
延伸は、本発明の熱可塑性樹脂A層のガラス転移温度をTgとすると(Tg−30)〜(Tg+100)℃、より好ましくは(Tg−20)〜(Tg+80)℃の範囲内で加熱して搬送方向(長手方向;MD)或いは幅手方向(TD)に延伸することが好ましい。(Tg−20)〜(Tg+40)℃の温度範囲内で横延伸し次いで熱固定することが好ましい。また延伸工程の後、緩和処理を行うことも好ましい。また、同時2軸延伸も好ましく用いられる。この時、非接着性の熱可塑性樹脂層は、剥離しても剥離しなくてもよいが、延伸工程での加熱温度がTm以上となる場合には、層Aの表面形成が損なわれたり、層Aと層Bが混合しやすくなり剥離、回収の精度が落ちるおそれがあるため、剥離してから延伸を施す方が好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
実施例1
下記組成のセルロースエステルフィルム製造工程について、本発明の効果を検討した。
(ペレット1の作製)
セルロースアセテートプロピオネート 100質量部
(80℃で6時間乾燥済み(水分率200ppm)のアセチル基の置換度1.65、プロピオニル基の置換度1.21、重量平均分子量170000)
ペンタエリスリトールテトラベンゾエート 8.0質量部
TINUVIN928(チバ・ジャパン(株)製) 1.5質量部
IRGANOX1010(チバ・ジャパン(株)製) 0.5質量部
SumilizerGS(住友化学(株)製) 0.2質量部
GSY−P101(堺化学工業(株)製) 0.25質量部
上記混合物を、真空ナウターミキサーで80℃、133Paで3時間混合しながら更に乾燥した。
得られた混合物を2軸式押し出し機を用いて235℃で溶融し樹脂混合物のペレット1を作製した。この際、混錬時のせん断による発熱を抑えるためオールスクリュータイプのスクリューを用いた。
また、ベント孔から真空引きを行い、混錬中に発生する揮発成分を吸引除去した。なお、押出機に供給するフィーダーやホッパー、押出機ダイから冷却槽間は、乾燥窒素ガス雰囲気として、樹脂への水分の吸湿を防止した。このペレットのTgは135℃であった。
(実施例1のフィルム成形)
次いで、このペレット1を用いて窒素雰囲気下、図1に示す2軸押出し機(B)2に供給し、フィルム状に成形した。このとき、2台の単軸押出し機(A)1と(C)3に熱可塑性樹脂BとしてポリプロピレンF704NP(出光石油化学社製)を供給して、共押出しダイを使用し、中心層にセルロースエステル、両表層にポリプロピレンが来るように成形した。図には省略したが、押出し機先端にフィルターとギヤポンプを設置している。
3台の押出し機の設定温度をすべて240℃とし、共押出しダイ4を250℃に設定した。共押出しダイ4はコートハンガータイプ3層積層型マルチマニフォールドダイで、リップ間隙を200μmとした。間隙は、押し引きボルトにより、製膜したフィルムの厚みに応じて調整可能となっている。各層の厚みはそれぞれのギヤポンプ回転数を変更することにより、任意に調整可能である。
押出し機(A)1と(C)3それぞれの中間部に設けてある添加剤ホッパーの開口部から、すべり剤としてシリカ粒子(粒径1μm)を押出し量の2質量%となるように連続式フィーダーにより添加した。溶融押出したフィルムは第1冷却ロール5と弾性タッチロール6との間にフィルムを挟圧して成形した。その後、第1冷却ロール5、第2冷却ロール7、及び第3冷却ロール8により冷却され、剥離ロール9で剥離してから、巻取りロール10に巻き取った。
タッチロールとしては、弾性タッチロールを使用し、その内部に冷却オイルとして120℃のオイルを流した。
その後、弾性タッチロール6を第1冷却ロール5から離間させ、第1冷却ロール5と弾性タッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tを測定した。
本実施例において、第1冷却ロール5と弾性タッチロール6とのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tは、ニップ上流端よりも更に1mm上流側の位置で、温度計(安立計器株式会社製HA−200E)により測定した。
本実施例では測定の結果、温度Tは210℃であった。
弾性タッチロール6の第1冷却ロール5に対する線圧(TR圧と省略する)は10kg/cmとした。フィルムのうちセルロースフィルムの厚みが80μm、表層フィルムが両方とも20μmになるように各ギヤポンプの回転数、押出し機の回転数、巻取りロール10の回転速度を調整した。
膜厚調整終了後、表層フィルムを剥がしつつ、仕上がりのフィルム幅が1430mm幅になるようにエッヂをスリットし、フィルム両端に幅10mm、高さ5μmのナーリング加工を施し、巻き取り張力220N/m、テーパー40%で光学フィルム1を巻芯に巻き取った。巻芯の大きさは、内径152mm、外径165〜180mm、長さ1550mmであった。
この巻芯母材として、エポキシ樹脂をガラス繊維、カーボン繊維に含浸させたプリプレグ樹脂を用いた。巻芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表面粗さRaは0.3μmに仕上げた。なお、巻長は2600mとした。
(比較例1のフィルム成形)
ペレット1を用い、2軸押出し機のみを用い、表層をつけずに厚みが80μmのセルロースフィルムを製膜した。ダイはコートハンガータイプ単層ダイを用いた。得られたフィルムを特開2006−240228号記載の方法と同様に、180℃に熱した表面粗さRa1.2μmの表面形状転写ロールと鏡面ロールとの間を線圧200kg/cmでニップすることにより、フィルム表面形状をフィルム両面に加工し、以下実施例1と同様に巻き取った。
(比較例2のフィルム成形)
ペレット1を用い、2軸押出し機のみを用い、表層をつけずにセルロースフィルムを製膜した。なお2軸押出し機の中間部に設けてある添加剤ホッパーの開口部から、すべり剤としてシリカ粒子(粒径1μm)を押出し量の0.2質量%となるように連続式フィーダーにより添加した。ダイはコートハンガータイプ単層ダイを用いた。
評価方法
上記のようにして得られたフィルム3種を上述した、表面粗さの測定方法と、動摩擦係数の測定方法により測定し、結果を表1に示す。
Figure 2009292116
表1から、本発明の光学フィルムは、巻外から巻中まで全体にわたりスベリ性が良好で、ヘイズが低い光学フィルムであることが判る。
実施例2
ペレット1を用い、熱可塑性樹脂Bのマット剤を表2に記載の通りに変更し、実施例1のフィルムの作製と同様にして、光学フィルム2−1〜11を作製した。
(実施例2−12のフィルム成形)
実施例1のフィルム作製と同様にして、出来上がりのセルロースエステルフィルムの膜厚が110μmとなるように製膜し、得られた3層フィルムの表層は剥がさずに、ロール式長手方向延伸機にて150℃に加熱して1.6倍に延伸した。次いで表層を剥がし、テンターに導き165℃で幅手方向に1.7倍延伸して、膜厚が40μmとなる光学フィルム2−12を形成した。
得られたフィルムの評価は、実施例1と同様に行い、結果を表2に示す。
Figure 2009292116
表2から、本発明の光学フィルムは、スベリ性が良好で、ヘイズが低い光学フィルムであることが判る。
本発明に好ましく用いることのできる共押出しダイ溶融製膜装置の概略図である。
符号の説明
1 単軸押出し機A
2 2軸押出し機B
3 単軸押出し機C
4 共押出しダイ
5 回転支持体(第1冷却ロール)
6 挟圧回転体(弾性タッチロール)
7 回転支持体(第2冷却ロール)
8 回転支持体(第3冷却ロール)
9 剥離ロール
10 巻取り装置

Claims (4)

  1. 溶融押出し製膜法で製膜され、長さが2000m〜10000mの光学フィルムのロールであって、該光学フィルムの内部には微粒子を実質的に含有せず、かつ、該光学フィルムロールの巻き外端から10mに位置する該光学フィルム中央部の表面粗さ(算術平均粗さ:Ra)をRa1、該光学フィルムロールの巻き芯端から10mに位置する該光学フィルム中央部の表面粗さをRa2とした場合、Ra1およびRa2いずれも0.5〜2.4nmであり、かつ、0.8≦Ra1/Ra2≦1.2であることを特徴とする光学フィルムロール。
  2. 前記光学フィルムロールは主成分が、下記式(A1)及び(A2)を同時に満足するセルロースエステルであることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムロール。
    式(A1) 2.0≦X+Y≦3.0
    式(A2) 1.0≦Y≦2.5
    [式中、Xはアセチル基の置換度を表し、Yはプロピオニル基またはブチリル基の置換度を表す。]
  3. 請求項1または2に記載の光学フィルムロールの製造方法であって、前記光学フィルムロールを構成する熱可塑性樹脂A層の両面に、該熱可塑性樹脂A層とは非接着性であり、微粒子を含有する熱可塑性樹脂B層とを配する積層共流延によって積層フィルムを製作し、フラットダイから3層積層された状態でフィルム状に押出し、該フラットダイから押し出された溶融物を冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら流延して積層体を形成させた後、該積層体から熱可塑性樹脂B層を剥離して熱可塑性樹脂A層からなる光学フィルムをロール状に巻き取ることを特徴とする光学フィルムロールの製造方法。
  4. 前記熱可塑性樹脂B層の微粒子含有量は1〜20質量%であり、かつ微粒子の一次粒径が0.5〜10μmであることを特徴とする請求項3に記載の光学フィルムロールの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013152430A (ja) * 2011-12-26 2013-08-08 Fujifilm Corp 光学フィルム、積層フィルム、及びそれらの製造方法
JP2013190757A (ja) * 2012-03-15 2013-09-26 Nippon Zeon Co Ltd 光学フィルム、及び光学フィルムの製造方法

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