JP4373834B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学用途やディスプレイなどに用いられる光学フィルムの製造方法に関し、より詳細には、熱可塑性樹脂の押し出し成形により得られ、厚み精度に優れた光学フィルムを得ることを可能とする製造方法に関する。
近年、光学用途やディスプレイにおいては、厚み精度に優れた光学フィルムが求められている。そこで、従来、高品位の光学フィルムを得るために、溶液流延法による成膜法が多用されてきた。しかしながら、溶液流延法では、溶剤コストがかかり、生産性が十分でなかった。従って、溶液流延法に代わり、溶融押出成形により光学フィルムを製造する方法が試みられている。
例えば、下記の特許文献1には、環状オレフィン樹脂を溶融押出法により成膜するに際し、特定の剥離強度を有するリップ部を備えたダイと平滑化ロールとを用いた製造方法が開示されており、ここでは、表面平滑性を有する光学フィルムが得られるとされている。
特開2000−280315号公報
しかしながら、特許文献1に記載のような溶融押出成形法により光学フィルムを製造した場合、フィルムの厚み精度はなお十分ではなかった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、生産性に優れた溶融押出成形法を用いた光学フィルムの製造方法であって、さらに厚み精度に優れたフィルムを得ることを可能とする方法を提供することにある。
本願発明者らは、熱可塑性樹脂の溶融押出成形法により、光学フィルムを製造するに際し、表面が弾性を有する弾性タッチロールを用い、押し出されたフィルムを冷却ロールに密着させることにより、厚み精度に優れたフィルムを得ることを見出した。
例えば、特許文献1に記載のような従来の製造方法では、冷却ロールにフィルムを密着させるためのタッチロールの表面の硬度や接触させる際の圧力については十分な注意が払われておらず、厚み精度に優れたフィルムを得ることはできなかった。これに対して、本願発明者らは、弾性タッチロールを用い、押し出されたフィルムを冷却用金属ロールに密着させ、さらに金型出口から冷却用金属ロールとの接点までの距離であるエアーギャップと、冷却ロールの温度とを制御することにより、得られるフィルムの厚み精度を高め得ることを見出した。
しかしながら、より一層厚み精度を高めるには、上記エアーギャップ及びロール温度を制御するだけでは不十分であった。そこで、本願発明者らは、さらに検討した結果、押し出されたフィルムを表面が弾性変形可能なタッチロールを用いて冷却ロールに密着させる際のロール同士の接触幅を制御すれば、厚みばらつきをより一層小さくし得ることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、非晶性熱可塑性樹脂を用いて押し出された光学フィルムの製造方法であって、押出機に取り付けられたダイから非晶性熱可塑性樹脂をフィルム状に押し出し、押し出されたフィルムを弾性変形可能な表面を有するタッチロールを用い、冷却ロールに密着させるに際し、タッチロールの半径をr(mm)としたときに、フィルムの幅方向中央及び幅方向中央から左右に600mm離れた2点における非回転時のタッチロールと冷却ロールとの接触幅がr/100mm〜5r/100mmとなる条件でタッチロールを用いてフィルムを冷却ロールに密着させることを特徴とする。
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、好ましくは、上記非晶性熱可塑性樹脂として、ノルボルネン系樹脂が用いられる。
本発明に係る光学フィルムの製造方法のある特定の局面では、弾性変形が可能なタッチロールの表面がさらに金属チューブで被覆されている。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、上記のように、押出機から押し出されたフィルムをタッチロールを用いて冷却ロールに接触させる際の、非回転時のタッチロール接触幅が上記特定の範囲となるように、タッチロールによりフィルムが冷却ロールに接触される。本発明において、非回転時の接触幅を用いて、タッチロールの接触幅を規定しているのは、回転時の接触幅を求めることが困難だからである。すなわち、回転時の接触幅を求めるのが困難であるため、回転時の接触幅に代えて非回転時の接触幅が用いられている。
タッチロールの半径をr(mm)とたとき、接触幅がr/100mm未満の場合には、樹脂フィルムの変動や冷却ロールの回転変動に対し、タッチロールが十分に追従できずに、フィルムと冷却ロールとの間に空気が侵入し、厚み変動が生じるおそれがある。逆に、接触幅が5r/100mmを超えると、フィルムの流れ方向に厚み変動が生じる。これは、樹脂フィルムがロールから受ける圧力の分布と、樹脂の冷却時の粘度とが影響するためと考えられる。接触幅が大きいと、接触開始直後の接触圧力が小さくなり、圧力が弱い状態で樹脂が固化し、厚み変動の影響が大きくなるためと考えられる。
上記圧力変動またはフィルムの厚み変動は、冷却ロールもしくはタッチロールの回転周期変動により大きく影響を受け、特にタッチロールの回転周期の変動により大きく影響を受けがちである。これは、ロールの偏心振れの影響が大きいためと考えられる。一般に、金属ロールに比べ、弾性タッチロールでは、高精度に研磨することが困難であるため、偏心振れを完全に消去することは困難である。
これに対して、本発明の製造方法では、接触幅が上記特定の範囲とされていることにより、上記偏心振れによる影響を最小限に抑えることができる。接触幅の上限は、5r/100mmであるが、より好ましくは3r/100mm以下とすることが望ましい。
上記接触幅をr/100mm〜5r/100mmとする方法は、タッチロール表面のゴム硬度を制御する方法、及び/またはタッチロールと冷却ロールとによる挟圧力を制御する方法が考えられる。
挟圧力は、通常、ロールに与える圧力を幅で除算することにより得られる線圧(N/mm)で表されることが多い。線圧が小さ過ぎると、接触幅がr/100mm〜5r/100mmの範囲にあったとしても、樹脂フィルムとロールとの密着が十分とならず、空気を巻き込むおそれがある。また、ロールの偏心振れの影響を受けるおそれがある。従って、具体的には、線圧は、0.49N/mm以上であることが好ましく、0.98N/mm以上であることがさらに好ましい。
また、弾性タッチロールをロールの全幅ではなく、軸受けなどの端部のみで加圧した場合には、ロール圧力が強くなると弾性タッチロールがベンディングするおそれがある。ベンディングが生じると、タッチロール中央方向中央部における圧力が弱くなり、接触幅が幅方向で異なることとなる。このような状態を防止する方法としては、タッチロール中央部を若干細くするクラウン加工を施したり、タッチロールの曲げ剛性を高めたり、タッチロールの接触圧を上げ過ぎず、適正な範囲とする方法などが挙げられる。
上記タッチロール表面の材質としては、特に限定されないが、表面が平滑であり柔軟な材料を用いればよく、例えばシリコーン樹脂やフッ素樹脂などが挙げられる。また、複数の材料からなる積層構造を有していてもよい。さらに積層構造を有する場合には、少なくとも1つの層が柔軟性を有しておればよく、また外側表面に金属製チューブが被覆されていてもよい。
弾性タッチロールの表面の硬度は特に限定されないが、加工の容易性及び耐久性を考慮すると、例えばシリコーンゴムからなる場合には、ショアーA硬度で30°〜90°程度であればよい。
また、タッチロール表面が金属チューブで被覆されている構造を有する場合には、内部の柔軟性を有する材料によりフィルムとタッチロールが十分に密着され得るだけでなく、金属チューブが外表面に配置されているので、ロール外表面が平滑化され、得られるフィルムの表面平滑性を高めることができる。また、タッチロールの偏心振れを抑制することが可能となる。
上記金属チューブの材料は特に限定されず、炭素綱、ステレンス綱、あるいは電鋳法で製造されたニッケルなどが挙げられる。また、金属チューブ表面は、クロム等の他の金属でメッキされていてもよく、すなわち金属チューブ自体が積層構造を有するものであってもよい。
金属チューブの厚みは特に限定されないが、所定の圧力を加えたときに、金属ロールと樹脂フィルムとを密着させるのに十分な柔軟性を有するものであればよい。例えば、電鋳ニッケルを用いた場合には、金属チューブの厚みは100μm〜1mm程度の範囲であればよい。
冷却ロール及びタッチロール間に溶融樹脂を通過させ、挟圧するに際し、冷却ロール及びタッチロールは圧力に耐える材質からなる堅牢な構造を有することが必要である。従って、上記タッチロール及び冷却ロールの軸芯部は、鋼、ステンレスまたはアルミニウムなどの金属からなるものが好ましい。
また、一般にロール温度は、樹脂の固化点に大きく影響を与えるため、ロールの温度を適切に調節できる構造を有する軸芯部を備えているものが望ましい。好ましく用いられる温度調節手段としては、シーズヒーターが軸芯部に組み込まれてロールを加熱するように構成されている電気加熱方式の温度調節手段、誘導発熱式コイルによる電磁誘導加熱によりロールを加熱する誘導加熱方式の温度調節手段、軸芯部内に設けられた流路に温度制御用熱媒体を循環させロールを間接加熱する熱媒体循環加熱方式の温度調節手段などが挙げられる。特に好ましくは、熱媒体循環加熱方式が用いられ、熱媒体は気体でもよく、水や油などの液体であってもよいが、水や油などの液体が好ましい。熱媒体流路の好適な例としては、内部に二条スパイラルまたは四条スパイラルなどの構造を有するものが挙げられる。
上記弾性タッチロール及び冷却ロールの外径は特に限定されず、またいずれが大きくと
もよく、両者が同じ大きさであってもよい。
冷却ロールの材質は特に限定されず、例えば、炭素綱やステンレス綱などの金属ロールが好適に用いられる。冷却ロールと樹脂との接点における温度が低過ぎると、タッチロールと冷却ロールによる挟圧時に空気の巻き込みが生じ易くなる。また、上記温度が高くなり過ぎると、樹脂が冷却・固化し難くなるため、適切な温度制御が必要である。具体的には、樹脂のガラス転移温度をTgとしたとき、Tg+50℃〜Tg+150℃の範囲が望ましい。樹脂温度を制御する方法としては、ダイの温度を制御したり、前述したエアーギャップを短くしたりする方法が考えられる。
ダイの温度が変動していると、樹脂の流動性が変化するため、ダイの温度は均一であることが望ましい。好ましくは、設定温度±0.5℃以下とされ、より好ましくは0.2℃以下とされる。
ダイの出口から冷却ロールと樹脂シートの接点までの距離であるエアーギャップは短い方が望ましい。エアーギャップとは、図1に示すようにダイとしての例えばTダイ1の出口から冷却ロール2とフィルムAとの接点までの距離である。なお、3はタッチロール、4は第2の冷却ロールを示す。エアーギャップが長過ぎると、外乱の影響を受け易くなり、また樹脂の温度も低下するおそれがある。従って、具体的には、エアーギャップは90mm以下が好ましく、さらに好ましくは70mm以下とされる。
本発明に係る光学フィルムの製造方法では、非晶性熱可塑性樹脂が用いられる。非晶性熱可塑性樹脂とは、ほとんど結晶構造をとりえない無定形状態を保つ高分子であり、そのガラス転位点Tgは樹脂によって異なるため、特に限定されるものではないが、一般にTgは100℃以上である。上記非晶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリサルホン、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニルまたはノルボルネン系樹脂などが挙げられる。上記非晶性熱可塑性樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記樹脂の中でも、固有複屈折率が低くかつ光弾性係数が小さいため、ノルボルネン系樹脂が好適に用いられる。また、ノルボルネン系樹脂は、温度の低下により急激に固化する樹脂であるため、金属ロールと樹脂との接点における厚みの変動が他の非晶性熱可塑性樹脂に比べて生じ易い。従って、ノルボルネン系樹脂を用いた場合には、本発明の製造方法による効果、すなわち厚みばらつきの低減効果がより大きい。
ノルボルネン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物、ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体、ノルボルネン系モノマー同士の付加重合体並びにこれらの誘導体などが挙げられる。
また、ノルボルネン系樹脂は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとしては、例えば、ビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン(ノルボルネン)や、6−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、5,6−ジメチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、1−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−エチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−n−ブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、6−イソブチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エン、7−メチルビシクロ〔2,2,1〕ヘプト−2−エンなどのノルボルネン系誘導体などが挙げられる。
上記ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物としては、ノルボルネン系モノマーを公知の方法で開環重合した後、残留している二重結合を水素添加したものが広く用いられ得る。なお、開環重合体水素添加物は、ノルボルネン系モノマーの単独重合体であってもよく、ノルボルネン系モノマーと他の環状オレフィン系モノマーとの共重合体であってもよい。
上記ノルボルネン系モノマーとオレフィンとの付加重合体としては、ノルボルネン系モノマーとα−オレフィンとの共重合体が挙げられる。α−オレフィンとしては、特に限定されないが、炭素数が2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンなどが挙げられる。中でも、共重合性に優れているため、エチレンが好適に用いられる。また、他のα−オレフィンをノルボルネン系モノマーと共重合させる場合にも、エチレンが存在している方が共重合性を高めることができ、好ましい。
上記ノルボルネン系樹脂は、公知であり、商業的に入手可能である。公知のノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、特開平1−240517号公報に記載されているものが挙げられ、商業的に入手され得るノルボルネン系樹脂の例としては、例えば、JSR社製、商品名「アートン」シリーズ、日本ゼオン社製、商品名「ゼオノア」シリーズなどが挙げられる。
本発明においては、上記熱可塑性樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で、必要に応じて、種々の添加剤が添加されてもよい。このような添加剤としては、熱可塑性樹脂の劣化防止や、成形された光学フィルムの耐熱性、耐紫外線性、あるいは平滑性などを向上させる様々な添加剤が挙げられ、フェノール系もしくはリン系の酸化防止剤、ラクトン系などの熱劣化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、アクリロニトリル系などの紫外線吸収剤;脂肪族アルコールのエステル系、多価アルコールの部分エステル系や部分エーテル系などの滑剤;アミン系などの帯電防止剤などを挙げることができる。これらの添加剤は、1種もしくは2種以上添加され得る。
本発明の製造方法により得られる光学フィルムは厚み精度に優れているため、光ディスクや液晶ディスプレイといった光学分野において広く用いられ得る。例えば、光ディスクの保護フィルム、偏光子の保護フィルムなどに好適に用いられる。さらに、厚み精度が高いため、位相差間の延伸前原反として好適に用いられ、それによって位相差ムラの小さい位相差板を得ることができる。
前述したように、タッチロールと、冷却ロールの温度とを制御しただけでは、得られるフィルムの厚み精度を十分に高め得ないことがあった。より具体的には、例えばタッチロールの冷却ロールに接触する圧力を高め過ぎた場合には、流れ方向の厚み変動が起き易くなり、特にタッチロールの表面のゴム硬度が低い場合に、厚み変動が顕著に現われがちであった。逆に、接触圧力が低くなり過ぎ、あるいはゴム硬度が高くなり過ぎた場合には、フィルムが全面で冷却ロールに接触せず、空気を巻き込み、厚み変動が生じることがあった。
これに対して、本発明に係る製造方法では、タッチロールの金属ロールに対するフィルムの接触幅がr/100mm〜5r/100mmの範囲とされているため、得られる光学フィルムの厚みばらつきを低くすることが可能となる。
言い換えれば、本発明に係る製造方法では、タッチロールの表面のゴム硬度及びタッチロールの冷却ロール、ひいてはフィルムに対する接触圧を制御することにより上記接触幅がr/100mm〜5r/100mmの範囲とされ、それによって厚み精度が飛躍的に高められた光学フィルムを製造することを可能としたことに特徴を有する。
本発明に係る製造方法において、非晶性熱可塑性樹脂としてノルボルネン系樹脂を用いた場合には、ノルボルネン系樹脂は、固有複屈折率が低くかつ光弾性係数が小さいため、厚み精度に優れた光学フィルムを提供することができる。また、ノルボルネン系樹脂は温度低下により急激に固化される樹脂であるため、金属ロールとフィルムとの接点における厚みばらつきが他の非晶性樹脂の場合に比べて生じ易いが、本発明の製造方法を用いることによりノルボルネン系樹脂を用いた場合であっても厚みばらつきの少ない光学フィルムを得ることができる。
弾性変性が可能なタッチロール表面が金属チューブで被覆されている場合には、内部の柔軟な材料によりフィルムと冷却ロールとが確実に密着されかつタッチロールの外表面が平滑になるため、得られる光学フィルムの表面平滑性をも高めることができる。
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより本発明を明らかにする。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)使用した樹脂………熱可塑性ノルボルネン系樹脂(日本ゼオン社製、商品名:ZEONOR1420、Tg=135℃)を110℃及び3時間の条件で予備乾燥したもの。
(2)製造装置
L/D=32であり、軸芯部の径が100mmである押出装置、押出温度は220〜280℃の範囲で調整し、押出量120kg/時間とした。また、Tダイとして、幅1800mm、リップクリアランス800μmのコートハンガータイプのTダイを用い、Tダイの温度は280℃に設定した。なお、この温度の誤差は±0.1℃以下である。Tダイから押し出された樹脂フィルムを、エアーギャップを60mmとなるようにして、直径200mm×幅1700mm、シリコーンゴム層を有し、外表面にNi−Crからなる200μmの金属チューブが被覆されている弾性タッチロールを用い、直径300mm×幅1900mmのオイルで温度調節されたロール偏心が5μmの冷却用金属ロールに挟圧し、光学フィルムを製造した。なお、弾性タッチロールの温度調節は水により行われるように構成されており、ロール偏心は30μmである。
上記装置及び製造装置を用い、以下の実施例及び比較例により、側端部を除く幅1400mmのフィルムを得、幅方向中央、並びに幅方向中央から左右に600mm離れたタッチロールの合計3点について、長さ3mの厚みを5mmピッチで測定した。厚みの測定は、セイコーEM社製接触式厚み測定器Millitron1240を用いた。なお、以下において示す厚み差とは、上記のようにして測定された全点における厚みの最大値から最小値を引いたものである。
また、富士写真フィルム社製プレスケールフィルムをタッチロールと冷却ロールとの間に挟んで1分間挟圧した後、ロールの幅方向中央及び中央から左右に600mm離れた点の合計3点において、変色部分のロール周方向の幅を測定することにより接触幅を求めた。
(実施例1)
冷却用金属ロール温度、弾性タッチロール表面温度、弾性タッチロールの構造、弾性タッチロールの圧力を以下の大きさとし、フィルムを製造した。なお、接触幅は、フィルムの幅方向中央で2.8mmであり、幅方向中央から左右に600mm離れた2点ではいずれも4mmである。
金属ロール温度:120℃
弾性タッチロール表面温度:110℃
弾性タッチロール構造:シリコーンゴム70°、5mm厚
弾性タッチロール圧力:39.2N/cm
その結果、平均厚みが60μmの光学フィルムが得られ、厚み差は、幅方向中央で0.81μmであり、幅方向中央から600mm離れた2点では0.98μm及び1.12μmであった。
(実施例2)
冷却用金属ロール温度、弾性タッチロール表面温度、弾性タッチロールの構造、弾性タッチロールの圧力を以下の大きさとし、フィルムを製造した。
なお、接触幅は、フィルムの幅方向中央で2mmであり、幅方向中央から左右に600mm離れた2点ではいずれも3mmである。
金属ロール温度:120℃
弾性タッチロール表面温度:110℃
弾性タッチロール構造:シリコーンゴム70°、5mm厚
弾性タッチロール圧力:2kg/cm
その結果、平均厚みが60μmの光学フィルムが得られ、厚み差は、幅方向中央で0.46μmであり、幅方向中央から600mm離れた2点では0.8μm及び0.66μmであった。
(比較例1)
冷却用金属ロール温度、弾性タッチロール表面温度、弾性タッチロールの構造、弾性タッチロールの圧力を以下の大きさとし、フィルムを製造した。なお、接触幅は、フィルムの幅方向中央で4.8mmであり、幅方向中央から左右に600mm離れた2点ではいずれも6mmである。
金属ロール温度:120℃
弾性タッチロール表面温度:110℃
弾性タッチロール構造:シリコーンゴム30°、5mm厚
弾性タッチロール圧力:7kg/cm
その結果、平均厚みが60μmの光学フィルムが得られ、厚み差は、幅方向中央で1.42μmであり、幅方向中央から600mm離れた2点では1.75μm及び1.89μmであった。
(比較例2)
冷却用金属ロール温度、弾性タッチロール表面温度、弾性タッチロールの構造、弾性タッチロールの圧力を以下の大きさとし、フィルムを製造した。なお、接触幅は、フィルムの幅方向中央で1.0mmであり、幅方向中央から左右に600mm離れた2点ではいずれも0.8mmである。
金属ロール温度:120℃
弾性タッチロール表面温度:110℃
弾性タッチロール構造:シリコーンゴム90°、5mm厚
弾性タッチロール圧力:0.5kg/cm
その結果、平均厚みが60μmの光学フィルムが得られ、厚み差は、幅方向中央で1.12μmであり、幅方向中央から600mm離れた2点では2.15μm及び2.09μmであった。
本発明に係る光学フィルムの製造方法を説明するための概略構成図。
符号の説明
1…Tダイ
2…冷却ロール
3…タッチロール
4…第2の冷却ロール
フィルム

Claims (3)

  1. 非晶性熱可塑性樹脂を用いて押し出された光学フィルムの製造方法であって、
    押出機に取り付けられたダイから非晶性熱可塑性樹脂をフィルム状に押し出し、押し出されたフィルムを弾性変形可能な表面を有するタッチロールを用い、冷却ロールに密着させるに際し、タッチロールの半径をr(mm)としたときに、フィルムの幅方向中央及び幅方向中央から左右に600mm離れた2点における非回転時のタッチロールと冷却ロールとの接触幅がr/100mm〜5r/100mmとなる条件でタッチロールを用いてフィルムを冷却ロールに密着させることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記非晶性熱可塑性樹脂として、ノルボルネン系樹脂を用いる請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 弾性変形が可能な表面を有するタッチロール表面が金属チューブで被覆されている請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
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