JP4752111B2 - 透明ガスバリアフィルムロール - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、ガスバリア性、印刷性、柔軟性に優れた食品、医薬品、化学薬品、電子部品、機械部品等の気密性を要求される包装材料、または、ガス遮断材料として優れた特性を持つフィルムロールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、積層材およびそれを使用した包装用容器に関し、更に詳しくは、透明性、水蒸気あるいは酸素等のバリア性に優れ、食品包装分野、医薬品包装分野、洗剤、シャンプ−、オイル、歯磨き等の非食品分野、電子部品や機械部品等における種々の物品の包装適性を有し、特に長期に渡って高度な水蒸気バリア性および酸素バリア性を有する積層材およびそれを使用した包装用容器に関するものである。透明ガスバリアフィルムとしてプラスチックフィルムに無機酸化物を積層したフィルムが使用されている。
【0003】
無機酸化物としては透明の観点より金属酸化物が多く利用されている。特に金属酸化物の中でも酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等、さらにこれらの混合物を蒸着法、あるいはCVD法等により積層したフィルムが市販されている。
【0004】
このガスバリアフィルムは主として蒸着装置、CVD装置等で製造されている。製造した透明バリアフィルムはスリッターにより裁断し幅400〜1000mm程度、長さ4000m〜10000m程度の単位で紙管等に巻いた巻取りフィルムの形態にする。一般的にフィルムはこの巻取りフィルムの形態で流通している。この巻取りフィルムをコンバーターメーカーは他のフィルムまたは紙等とラミネートしたり、透明バリアフィルムに印刷しその上で他のフィルムとラミネートして積層フィルムを作成する。このラミネートフィルムを使い種々の包装袋を作成しながら、充填したり、袋を作成したのちに内容物を充填し、シールする。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような包装用積層材においては、無機酸化物バリア層自体が可撓性に劣ることから、そのフィルムを丸めたり、あるいは折り曲げたりすると、蒸着膜に簡単にクラックを発生し易く、例えば、印刷・ラミネ−ト等の後加工時に、上記のような操作を採ると、簡単にクラックを発生し、一旦、クラックが発生すると、バリア性を著しく低下するという問題点がある。
また、上記の包装用積層材においては、例えば、そのバリア性を向上させるために、蒸着膜の膜厚を厚くすることを試みると、逆に、蒸着膜の膜厚を厚くすることにより、クラック等が発生し易くなり、上記と同様な問題点を有するものである。また、膜厚を大きくさせると、酸化物の種類によっては、蒸着膜に着色が起こり、包装用材料等として使用した時に、内容物の商品価値を損なったり、内容物が見にくいという問題点もある。そこで、最もバリア性が得られる膜厚に一定に制御する必要がある。
一方、蒸着膜の膜厚にばらつきがあると、フィルムロールに均一に力がかかるように巻くことができず、一箇所に応力が集中し、また、ラミネートにおいてもクラックが発生しやすいという問題も有する。
このような要因から、高度なバリア性が必要な透明バリアフィルムを得ることは難しかった。
透明蒸着バリアフィルムを複数枚張りあわせたものとしては、「特開平3−63127」等があるが、このように複数枚張りあわせたものは、単体での使用用途よりも一段と要求バリア特性の高い用途のものが多く、バリア特性に対するばらつきの要求も同様に厳しく、不良率を極端に小さくすることがより強く求められている。
【0006】
以上の理由より、バリアフィルムを製造するときの無機酸化物層の厚みの制御が必要となるが、膜厚の検出方法の精度が不十分である。一般には膜厚を測定するのには、光学式モニターが使われている。すなわち、薄膜層を積層したフィルムの一方より光をあて、他方より透過してきた光を受け、その強度により膜厚を算出する方法である。しかしながら、透明ガスバリアフィルムはその無機酸化物層の光透過性が元来よく、膜厚変化に対して光の透過量の変化が非常に小さい。また、酸化珪素あるいは酸化アルミニウムは、その酸化度が変化すると薄膜層に色がつき光透過度がかわる。そこで、なるべく影響を避けるため特定波長の光を用いる等の工夫はされているものの、十分な精度を得ることは難しい。
【0007】
従って、精度が充分でないモニターを使って、制御をかけても膜厚を安定させることが出来ない。そこで、要求に充分なバリア性をフィルム全域で確保するために、膜厚についての変動実績幅を考慮し、最低の膜厚でも、バリア性が確保できるような膜厚になるように、予め安全サイドに、無機酸化物層を厚くして製造するなど、製造ソフト面から工夫を試みているのが、現状である。
これが、複合酸化物層をもつバリアフィルムでは、一層困難になる。すなわち、複合酸化物層の組成を測定することは光学式では不可能なので、膜厚のみの制御になり、組成の変動を抑えることが出来ない。このように、安定した膜厚、組成の透明バリアフィルムロールを得ることが難しく、安定したバリア性を確保することが難しいのが現状である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、プラスチックフィルムの少なくとも片面に無機酸化物層をもつガスバリアフィルムを複数枚貼り合わせた積層体からなる透明ガスバリアフィルムロールにおいて、該無機酸化物層の膜厚の最大値が最小値の1.5倍以下であることを特徴とする透明ガスバリアフィルムロールである。
また、この場合において、前記無機酸化物層が少なくとも2種類以上の酸化物を混合してなる複合酸化物よりなり、複合酸化物の1成分の組成の最大値と最小値との差が20wt%以内であることが好適である。
さらにまた、この場合において、前記透明ガスバリアフィルムロールからなる包装材料及び包装体が好適である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明でいうプラスチックフィルムとは、有機高分子を溶融押し出しをして、必要に応じ、長手方向、及び、または、幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタート、ポリエチレン2、6ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイドなどがあげられる。また、これらの(有機重合体)有機高分子は他の有機重合体を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。
【0010】
さらにこの有機高分子には、公知の添加剤、たとえば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤などが添加されていてもよく、その透明度は特に限定するものではないが、透明性を利用したフィルムの観点より70%程度以上の透過率をもつものが好ましい。
【0011】
本発明に使用するプラスチックフィルムは、薄膜層を積層するに先行して、該フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、その他の表面粗面化処理を施してもよく、また、公知のアンカーコート処理が施されていてもよい。本発明に使用するベースプラスチックフィルムは、その厚さとして5〜1000μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜500μmの範囲である。
【0012】
本発明における無機酸化物とは酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム等の金属酸化物と酸化ケイ素等の半金属酸化物、または、これらの複合物をいう。酸化が完全でなく酸素を若干欠損したもの、たとえばSiOx(x=1.5〜1.9)といった表現で表わされる無機酸化物も含む。最適な膜厚は無機酸化物層の種類、条件、状態によって異なるが、一般的に無機酸化物層の厚みとしてはガスバリア性及び可尭性の点からは、5〜300nmが好ましく、さらに好ましくは、10〜50nmであるが、特にこれを限定するものではない。たとえば、熱処理をする用途に用いる場合、ボイル性、レトルト性などを満足する限り薄いほうが好ましい。
また、本発明の効果を損なわないかぎり、無機酸化物層の上、下に既存のアンカーコート、保護コート、制電コート等の既存のコートや、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理等の表面処理をほどこしてもよい。
【0013】
本発明でいう無機酸化物層の膜厚の最大値、及び最小値とは、ロールフィルム単位で1本のフィルム内部で測定した膜厚の中で最も厚い部分と最も薄い部分での膜厚の値の事を言う。無機酸化物層の膜厚値は、直接、電子顕微鏡等を使用して測定した値でもよいし、蛍光X線分析機を使い、予かじめ作成した検量線を元に間接的に測定するといった測定法により求めた値を用いて良い。ただし、対象とするサンプル内、及び、サンプル間では同一の測定方法で測定し、求めた値を用いる。
【0014】
本発明で言う無機酸化物層が少なくとも2種類以上の酸化物を混合してなる複合酸化物のとき、複合酸化物の1成分の組成の最大値と最小値との差が20w%以内とは、各成分の組成比を重量比率で表したときの値の差の事をいい、膜厚同様にロールフィルム単位で1本のフィルム内部で測定した何れかの成分の組成の中で最も濃度の高い部分と最も低い部分との値を1成分の組成の最大値及び最小値とする。
【0015】
無機酸化物層の組成については、すべてのバリアフィルムにおいて同一である必要はなく、各層で異なっていてもよい。すなわち、酸化ケイ素系無機酸化物層バリアフィルム、酸化アルミニウム系無機酸化物層バリアフィルム、および複合酸化物系無機酸化物層バリアフィルム等が、一つの積層体の中で、混在していても問題はないだけでなく、逆に各々の無機酸化物層の特徴が生かされ、本発明の効果を大きくするものである。同様に、一つのバリアフィルムの両面に無機酸化物層がある場合においても、該無機酸化物層の組成が異なっていてもよい。ベースフィルムについても、積層体の中で、一種類である必要はなく、PET、NY、OPPフィルム等が混在していても問題はなく、同様に各ベースフィルムの特色が生かされ、望ましい。
また、この時、本発明の目的を損なわない限り、無機酸化物層と無機酸化物層の間には、接着剤層以外に、既存のアンカー層、コート層等及びコロナ処理、プラズマ処理層等が存在してもよい。
【0016】
本発明におけるフィルムロールとは、3インチ、6インチ、8インチ等の紙管、プラスチック管、金属管等を巻芯として、プラスチックフィルムを巻いたものをいい、取り扱い上差し支えがないかぎり、巻長、巻幅に特に制限はない。
【0017】
本発明においては、ガスバリアフィルムが複数枚よりなるとは2枚以上であり、特に上限はない。積層体の構成例としては、「ベースフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースフィルム」、「ベースフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースフィルム/ベースフィルム・無機酸化物層」、「ベースフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースフィルム/プラスチックフィルム」「ベースフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースフィルム/ヒートシール性樹脂層」、「ヒートシール性樹脂層/ベースフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースフィルム/ヒートシール性樹脂層」等の構成を有する透明ガスバリアフィルムロールであるが、特にこれに限定されるものではない。。
【0018】
本発明において、透明ガスバリアフィルムロールからなる包装材料、包装体は食品包装、機械部品、電子部品、化学薬品、医薬用包材等に使用でき、高度にバリア性を要求される内容物のものに使用できる。
包装する内容物の要求性に応じ、各種フィルムや紙を用いて、本発明のガスバリアロール及び包装材料積層体にラミネートしてよく、さらに、装飾又は内容物の説明のための印刷を施したり、意匠用フィルムあるいは補強剤などと貼り合わせてもよい。
【0019】
本発明における包装体としては、袋、蓋材、カップ、チューブ、スタンディングパック、トレイなどがあり、形状、種類に対し、特に制限はなく、例えば、袋物の包装形式としては、ピロータイプ、三方シール、四方シールなどを用いることができる。これらの包装材料及び包装袋の構成の全部あるいは一部として本発明の包装材料を用いる。
【0020】
次に本発明における包装用材料及び包装袋を形状別に分けると、ペーパーカートン、チューブ用、袋用、カップ用、スタンディングパック用、トレイ用などの用途に分けられる。例えばペーパーカートンとは、複合容器のことをいい、ペーパーカートン用包装材料としては、紙、プラスチックフィルムなどとガスバリア性のあるフィルムとのラミネート品を用いる。形状、種類としては屋根形(ゲーべルトップ:gable top)、レンガ型(ブリック型:brick type)、直方型、カップ型など特に制限はない。また、内袋、注出口などと組み合わせてよい。
【0021】
本発明の包装材料及び包装袋は、使用温度範囲が広いためボイル、レトルト等の熱処理、及び、冷蔵、冷凍等の保存の用途にも適用が可能である。また、工程間輸送、トラック、鉄道、船、航空機輸送等にも、適用でき、長期間におよぶ場合にも、その間の環境変化に十分適用できる。
【0022】
本発明を達成する手段としては、蒸着したフィルムを小巻きのロールフィルムにスリットする際に膜厚を測定し、規格より外れた部分を取り除くことによっても達成できるが、このような方法は、経済的な観点より好ましくない。好ましい方法の一例として、蛍光X線を利用したモニター装置を蒸着装置のフィルム幅方向(以後TDと言う)に、一定間隔で配置し、かつ、連続的に測定することによりフィルム流れ方向(以後MDと言う)にも膜厚を測定可能にした装置を使い、制御をかけながら製造する方法がある。
【0023】
【作用】
均一な膜厚、組成のロールフィルムにより印刷、ラミネート、製袋等加工後の最終製品でバリア性の品質不良率の低減が図れ、さらに最小限必要な薄膜層の厚みで済むので蒸着が効率的に行なうことができ、非常に経済的である。
【0024】
以下に実施例をあげて本発明を説明する。
(実施例1)
蛍光X線モニター(図2)を具備した電子ビーム加熱方式蒸着装置(図1)を使用し、SiOを蒸着原料として、フィルム幅1100mm、フィルム長16200mの12μm厚みPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート 東洋紡績株式会社製 製品名:エステルフィルム E5100)を基板として薄膜層を蒸着した。蛍光X線モニタ−は、波長分散方式を使っており、二個の比例計数管を具備している。X線管に50kV、40mAの条件でX線を発生させ、試料に照射、試料から発生する蛍光X線を分光器で分光、比例計数管でフォトンをカウントすることによりX線強度を測定している。モニターは予め膜厚の既知なフィルムを使い、検量線を作成しており、この検量線を使い、膜厚を測定した。
【0025】
使用しているPETフィルムは、滑剤としてシリカを含んでいるので、予め滑剤からのX線強度を補正し膜厚を測定した。
蒸着中に酸素ガスを蒸着室に導入して、酸化度を調整するとともに、薄膜層は20nmを目標厚みとして蒸着した。得られたフィルムをスリットにかけて幅500mm,長さ4000mの巻き取りフィルム数本にして、蛍光X線分析装置を用いて膜厚を各々10点を測定した。 その結果、膜厚の最大値は最小値の約1.3倍程度であった。また、近傍の位置の酸素透過量も測定した。(表1)
【0026】
上記で得られたバリアフィルムを2枚、無機酸化物層面同士を張り合わせて、ドライラミネーションし、「ベースプラスチックフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースプラスチックフィルム」の構成を有する積層体からなるフィルムロールを作成した。 ちょうどAロールの1Aの位置に対し、Bロールの1Bの位置が貼られるような位置関係にした。 接着剤はドライラミネーション用ポリウレタン接着剤(東洋モートン社製 製品名:TM590/CAT56)を使い、接着剤量は2.5g/m2とした。ここで、エージングは1日目30℃で、2日目以降40℃とし、計3日間処理した。
【0027】
このように作成したバリアフィルムロールをサンプリングし、酸素透過量を測定した。また、屈曲後の酸素バリア性を評価するためゲルボテストを行ったのちにも測定した。
【0028】
(酸素透過率の測定方法)
作成したガスバリアフィルムの酸素透過率を酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製 OX−TRAN10/50)を用いて測定した。
(耐屈曲性(以下ゲルボ)のテスト方法)
耐屈曲性は、いわゆるゲルボフレックステスター(理学工業(株)社製)を用いて評価した。条件としては(MIL−B131H)で112inch×8inchの試料片を直径3(1/2)inchの円筒状とし、両端を保持し、初期把持間隔7inchとし、ストロークの3(1/2)inchで、400度のひねりを加えるものでこの動作の繰り返し往復運動を40回/minの速さで、20℃、相対湿度65%の条件下で行った。
結果を表1に示す。
【0029】
(比較例1)
実施例1において、蒸着装置の蛍光X線モニターの変わりに光学式モニターを使った以外は実施例1と全く同様に作製し、評価した。
【0030】
実施例1では、ラミネート状態でのバリア性が、0.5〜0.9cm3/m2・24h・atmと安定しているのに対し、比較例1では0.7〜6.2 cm3/m2・24h・atm(以下cm3/m2と表示)とバリア性の悪いものも含まれている。また、ゲルボ処理後にはこの差がより大きくなっているおり、非常に特性の劣っている部分が含まれている。
【0031】
(実施例2)
実施例1に使用した装置で、SiO2とAl23を蒸着原料としてフィルム幅1100mm、フィルム長16200mの15μm厚みNyフィルム(ナイロン東洋紡績株式会社製 製品名:ハーデンフィルム N2100)を基板として薄膜層を蒸着した。SiO2とAl2O3は別々の坩堝に入れ、電子ビームで交互に加熱することで薄膜層としてSiO2とAl23との複合酸化物を得た。目標として膜厚15nm、Al23含有率 30重量%として作成した。得られたフィルムをスリットにかけて、幅500mm,長さ4000mの巻き取りフィルムロール数本を作成した。このフィルムロールの無機複合酸化物層の膜厚、組成を、蛍光X線分析装置を用いて各々10点を測定した。また、近傍の位置の酸素透過量も同様に測定した。その結果を表2に示す。
膜厚の最大値は最小値の約1.3倍であり、また、組成の最大値と最小値の差は約12%となり、20%以内である。
【0032】
上記で得られたバリアフィルムを2枚、無機酸化物層面同士を張り合わせてにドライラミネーションし、「ベースプラスチックフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースプラスチックフィルム」の構成を有する積層体からなるフィルムロールを作成した。 接着剤はドライラミネーション用ポリウレタン接着剤(大日本インキ社製 製品名:LX951/KMW70)を使い、接着剤量は3.5g/m2とした。
エージング条件としては、室温エージング1日後、40℃でのエージングを1日施した。続いてCPPフィルム(40μm)(東洋紡株式会社製 製品名:P1153)をバリアフィルム積層体のベースフィルム側にドライラミネーションし、「ベースプラスチックフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・ベースプラスチックフィルム/ヒートシール性樹脂層 」の構成を有する積層体からなるフィルムロールを作成した。
【0033】
このように作成したバリアフィルムロールをサンプリングし、酸素透過量を測定した。また、対屈曲性を評価するためゲルボテストを行った。更に実包評価をするために、バリアロールフィルムから、130mm×150mmの4方シール袋を150袋作成し、内容物として機械部品の代わりに鉄小片を入れ、40℃×90%RHの環境下に、6ヶ月間保管したのちに、開封し、外観異常、さび発生の有無を確認した。
【0034】
(比較例2)
実施例2において、蒸着装置の蛍光X線モニターの変わりに光学式モニターを使った以外は、実施例2と同様にサンプルを作製し評価した。その結果を表2に示す。
【0035】
実施例2では、どのサンプルも酸素透過量が0.7 cm3/m2以下と安定したバリア性を示しているのに対し、比較例2では2〜3cm3/m2程度のバリア性の悪いものも含まれていた。ゲルボ処理後には比較例2で8cm3/m2と、非常に特性の劣っている部分が含まれている。
実包保存テストの鉄片サンプルについて、外観、さび発生有無を確認したところ、実施例2はすべて良好なのに対し、比較例2では150袋の内、7袋に薄っすらと、さびが発生しているものが見られ、保存状態にばらつきのあることがわかった。
【0036】
(実施例3)
実施例2と同様に、SiO2とAl23を蒸着原料としてフィルム幅1100mm、フィルム長 16200mの15μm厚みNyフィルム(東洋紡績株式会社製 N1100)と、同様の12μm厚みPETフィルム(東洋紡績株式会社製 製品名:エステルフィルム E5100)を基板として薄膜層を蒸着し、NYベース及び、PETベースのガスバリアフィルムを作製した。SiO2とAl23は別々の坩堝に入れ、電子ビームで交互に加熱することで薄膜層としてSiO2とAl23との複合酸化物を得た。NYフィルムベースのサンプルは、膜厚14nm、Al23含有率 30重量%を目標とし、PETベースは膜厚20nm、Al23含有率 40重量%を目標とした。得られたフィルムサンプルはスリットにかけて、幅500mm,長さ4000mの巻き取りフィルムロールを幅方向に2本、長さ方向に4本作成した。この内の一本について蛍光X線分析装置を用いて膜厚、組成を10点ずつ測定し、さらに酸素透過量を測定した結果を表3に示す。NYベース及び、PETベースのガスバリアフィルム共に、膜厚が1.5倍以内でかつ、Al23組成の最大値と最小値の差は約15%と、20%以内である。
【0037】
次に、各々作成したNYベースとPETベースのバリアフィルムを張り合わせ、積層体を作成した。ラミネート方法としてはドライラミネートで、接着剤はポリウレタン接着剤(東洋モートン社製 製品名:AD980A/B)、塗布量は3.5g/m2とした。エージング条件は、40℃でのエージングを1日施し、更に、 このNY/PETのバリア積層体の上にレトルト用未延伸PPフィルム(東洋紡株式会社製 製品名:P1146)を用い、ドライラミネートを行い、「PETベースフィルム・無機酸化物層/無機酸化物層・NYベースフィルム/ヒートシール性樹脂層 」の構成を有する積層体からなるフィルムロールを作成した。
【0038】
このように作成したフィルムロールをサンプリングし、酸素透過量を測定し、単体でのPETベースバリアフィルム、NYベースバリアフィルムの測定値と比較できるように整理し、表3に示した。 また、対屈曲性を評価するためゲルボテストを行った。
更に、実包評価をするために、バリアロールフィルムから、内寸130mm×150mmの4方シール袋を100袋作り、内容物としてカレーを150gずつ充填し、これを120℃×30分のレトルト処理を施した後に、45℃×90%RHの環境下に12ヶ月間保管したのちに、開封し、色、風合い、味を確認した。
【0039】
(比較例3)
実施例3において、蒸着装置の蛍光X線モニターの変わりに光学式モニターを使用した以外は実施例と同様にサンプルを作製し評価した。その結果を表3に示す。
【0040】
実施例3では、どのサンプルも酸素透過量が0.6 cm3/m2以下と安定したバリア性を示しているのに対し、比較例3では2〜4.5cm3/m2程度のバリア性の悪いものも含まれていた。ゲルボ処理後には比較例3で8.5cm3/m2と、非常に特性の劣っている部分が含まれている。
保存後のサンプルについて、カレーの色、風合い、味を確認したところ、実施例3はすべて良好なのに対し、比較例3では100袋の内、12袋に官能的にやや劣るものが見られた。
【0041】
【表1】
Figure 0004752111
【0042】
【表2】
Figure 0004752111
【0043】
【表3】
Figure 0004752111
【0044】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明はプラスチックフィルムの少なくとも片面に無機酸化物層をもつガスバリアフィルムを複数枚貼り合わせた積層体からなる透明ガスバリアフィルムロールにおいて、該無機酸化物層の膜厚の最大値が最小値の1.5倍以下であることを特徴とするガスバリアフィルムロール、あるいは、無機酸化物層が少なくとも2種類以上の酸化物を混合してなる複合酸化物よりなり、複合酸化物の1成分の組成の最大値と最小値との差が20wt%以内である透明ガスバリアフィルムロールを製造し、これらを包装用材料として使用することで、酸素バリア性、印刷性などの品質が巻き取りフィルムロール内で安定し、最終製品である包装体の性能安定性が向上する。
該包装材料を使用し、製袋または製函して包装用容器を製造し、該包装用容器内に種々の物品を充填包装しても、優れた透明性と高いバリア性を有し、かつ、無機酸化物層をもつガスバリアフィルム特有の後加工時のクラック等の発生によるバリア特性のバラツキの影響も少なく、極めて高い後加工適性を有し、包装用材料として種々の物品の包装適性を有する積層材、および、それを使用した包装用袋を製造し得ることができるというものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用した蒸着装置の概略図
【図2】 実施例で使用した蛍光X線モニター概略図
【図3】 ガスバリアフィルムロールの構成例1
【図4】 ガスバリアフィルムロールの構成例2
【図5】 ガスバリアフィルムロールの構成例3
【図6】 ガスバリアフィルムロールの構成例4
【図7】 ガスバリアフィルムロールの構成例5
【符号の説明】
1:巻きだしフィルム
2:電子ビーム
3:ルツボ
4:コーティングロール
5:電子銃
6:蛍光X線モニター
7:ガイドロール
8:巻取りロール
9:X線管
10:比例計数管
11:分光結晶

Claims (5)

  1. プラスチックフィルムの少なくとも片面に無機酸化物層をもつガスバリアフィルムを複数枚貼り合わせた積層体からなる透明ガスバリアフィルムロールであって、該無機酸化物層の膜厚が10〜17.3nmであり、膜厚の最大値が最小値の1.5倍以下であることを特徴とする透明ガスバリアフィルムロール。
  2. 請求項1記載の無機酸化物層が少なくとも2種類以上の酸化物を混合してなる複合酸化物よりなり、複合酸化物の1成分の組成の最大値と最小値との差が20wt%以内であることを特徴とする透明ガスバリアフィルムロール。
  3. 請求項1、2いずれかに記載の透明ガスバリアフィルムロールからなる包装材料。
  4. 請求項3に記載の包装材料を用いた包装体。
  5. 請求項1または2に記載の透明ガスバリアフィルムロールの製造方法であって、
    蛍光X線を利用したモニター装置をフィルム幅方向に一定間隔で配置し、フィルム流れ方向にも無機酸化物層の膜厚を連続的に測定することにより、無機酸化物層の膜厚の制御をかけながら、透明ガスバリアフィルムロールを構成するガスバリアフィルムを製造することを特徴とする製造方法。
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