JP4340962B2 - 積層透明ガスバリア性フィルム - Google Patents

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本発明は、ガスバリア性に優れ、かつ、他のフィルムとラミネートした際に、高いラミネート強度をもつフィルムで、スナック食品、米菓類、乾物品、穀物類等の食品包装用や、IC等の電子材料包装用、太陽電池等の保護用フィルムなどに適したバリア性フィルムに関するものである。
ガスバリア性の包装材料および包装体としては、各種プラスチックをラミネートしたものが用いられている。例えばOPP(延伸ポリプロピレン)フィルムとPE(ポリエチレン)フィルム、または、PET(ポリエステル)フィルムとCPP(未延伸ポリプロピレン)フィルムをラミネートしたもの。また、PETフィルム上にアルミ蒸着したもの、あるいは、塩化ビニリデンやエチレンビニルアルコール共重合体をコーティングしたものをPEやCPPフィルムとラミネートした包装材料を使い、袋、カップ、トレイといった様々な包装体が製作され使用されている。又、最近酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの薄膜をバリアフィルムとして使った物も提案されている。
かかる従来の包装材料および包装体は、次のような課題を有していた。アルミニウム箔、あるいはアルミニウム蒸着を用いたものは、ガスバリア性には優れているが、不透明であり、包装時の内容物が見えないという欠点があった。またアルミニウムを乾燥食品用包装材料および包装体の構成の一部に含むとプラスチックフィルムの回収再利用(リサイクリング)ができないという問題点もある。
塩化ビニリデンや、エチレンビニルアルコール共重合体を、乾燥食品包装材料及び包装体の構成の一部に含む物は、水蒸気、酸素などのガスバリア性が不充分であり、内容物の保存期間が短い。又、塩化ビニリデン系については、容易に熱分解し、リサイクリングが行いにくく、焼却時の塩素ガスの発生など、地球環境への影響も懸念されている。また、エチレンビニルアルコール系は乾燥時のガスバリア性は優れているものの、高湿度下においては酸素バリア性の低下が著しく、保存期間が短くなる。また、透明蒸着のガスバリアフィルムは、基材との接着性が高くなく、他の素材とラミネートした際に剥離するなどの問題を生じることが多かった。
基材フィルム表面にプラズマ処理を施し、無機蒸着層と基材フィルムの接着性を改善した物が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2001−322201号公報
しかしながら、この方法は無機酸化物が特に弱い水付け時のラミ強力には、改善の効果が定かではない。
一方、基材フィルム上に金属層を設け、ラミ強力を向上させることが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
特開2002−200700号公報
しかしながら、この方法は金属蒸着を前提にしている為、透明性が低下し、無機蒸着フィルムの特徴である透明性を著しく低下させる懸念がある。
また、プラスチックフィルム上に酸化アルミニウム薄膜を設け、高いガスバリア性のフィルムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開2001−6442号公報
しかしながら、この方法は酸素に対しては高いバリア性を有するものの、水蒸気に対しては、それほどバリア性は高くなく、内容物によっては、十分な水蒸気バリア性を持たないという欠点がある。
かかる問題を解決する為に、酸化・窒化アルミニウム、珪素を用いた例も報告されている(例えば、特許文献4参照。)。
特開2002−361778号公報
しかしながら、この方法は、酸素に対する高いバリア性は記載されている物の、水蒸気バリア性に対する記載が無い。
本発明は、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性に優れ、他のフィルムとラミネートした際にも、基材フィルムとラミ強度、特に水付け時のラミ強度が十分に高い透明バリア性フィルムを経済的に提供せんとするものである。
すなわち本発明のガスバリア性フィルムは、プラスチック基材の少なくとも一方の面にアンカー層と厚み5〜30nmの無機バリア層を設けたフィルムであって、該アンカー層が金属の酸・窒化物からなり、厚み50〜300Åの無機バリア層を設けたフィルムであって、前記無機バリア層が、AlとSiと酸素、窒素からなり、Al原子とSi原子の重量比が15:85〜40:60の範囲であり、窒素の酸素に対するモル比が10〜40%であり、純金属分100gに対する酸素原子と窒素原子の合計モル数が下記の式を満足することを特徴とするものである。

Qc=Ototal×(1−n)+Ntotal×n
=(0.056a+(3.559−0.036a)×2)(1−n)
+(0.037a+3.559−0.036a)×(4/3) ・・・ (1)
=(0.017n−0.016)a−2.375n+7.119

0.9×Qc<Q<1.0×Qc ・・・ (2)

a :金属分100g中のAlの重量(15<a<40)
n :Oに対するNのモル比(0.1<n<0.4)
Q :薄膜の実際の酸・窒化度
Qc :計算より算出した完全酸・窒化度
total:完全酸化物に必要な酸素のトータル量(mol)
total:完全窒化物に必要な窒素のトータル量(mol)
この場合において、前記フィルムアンカー層を形成する金属が、チタニウム、アルミニウム、珪素のひとつか、あるいは2種類以上により形成され、前記アンカー層がスパッタリングを用いて作成されることが好適である。
基材であるフィルムは、有機物からなり、無機バリア層と化学的な反応がおきにくく、ラミ強度などの接着性が得ることが困難である。しかし、スパッタ法は、蒸着法に比べ、堆積する粒子のエネルギーが高く、基材上で十分マイグレーションがおき、高い密着性を得ることが出来る。しかし、全ての層をスパッタ法で作成すると、バリア性をもたせる為に必要な膜厚を得るためには、堆積速度が遅い為、フィルムの速度を非常に遅くする必要があるため、生産性に問題が生じる。一方、スパッタで作成した無機層と、蒸着などで作成した第2層の無機層は、化学的な反応も起きやすく、スパッタで作成した層とは、高い密着強力を得ることが出来る。これらの問題を解決する為に、第一層として密着の高いスパッタ層を生産性に影響を与えない範囲で形成し、第二層として蒸着法を用いてバリア性を得るために十分な膜厚を形成する方法を見出した。
さらに、これまでも水蒸気バリア性の改善の為に、珪素窒化物を検討したりしていたが、薄膜層の強い内部応力により、フィルムが強いカールを起こしたり、また強い内部応力により、薄膜自体が破壊されるという問題があった。また、上記問題を解決する為に、珪素窒化物を珪素酸・窒化物にするなどの方法もとられたが、酸化度の増加に伴い目的の水蒸気バリア性が低下し、逆に酸化度が減少すると、着色がきつくなったり、膜のフレキシブル性が低下し、外部からの力により、膜が破壊され、バリア性が低下するなどの問題が生じた。また、そこで、本願発明では、アルミニウムと珪素の複合系酸・窒化物の薄膜を形成することにより、高い水蒸気バリア性と、着色の問題が少なく、また外部応力に対して高い耐久性を持ち、かつ接着性の高いバリア性フィルムを提供することが出来る。
プラスチックフィルム基材上に、金属酸化物からなるアンカーコート層、金属酸化物からなる、バリア性層を順次積層することで、高いバリア性と、高い接着強力を持った透明バリア性フィルムが得ることが出来る。
本発明で言うプラスチック基材とは、有機高分子を溶融押出しをして、必要に応じ、長手方向、及び、または、幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフィルムであり、有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイドなどがあげられる。また、これらの(有機重合体)有機高分子は他の有機重合体を少量共重合したり、ブレンドしたりしてもよい。
さらに、この有機高分子には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑材、滑材、着色剤などが添加されてもよく、その透明度は特に限定するものではないが、透明ガスバリア性フィルムとしては使用する場合には、50%以上の透過率を持つ物が好ましい。
本発明のプラスチック基材は、本発明の目的を損なわない限りにおいて、薄膜層を積層するに先行して、該フィルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、その他の表面粗面化処理を施してもよく、また、アンカーコート処理、印刷、装飾が施されてもよい。本発明のプラスチック基材は、その厚さとして5〜500μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは、8〜300μmの範囲である。
本発明におけるアンカー層は、Al、Si、Tiの酸化・窒化物からなると考えられ、これらの比率は作成条件により異なる。完全酸化物に対し、窒素の導入量は、高いほうがラミ強度の改善効果高いが、窒素の割合が高くなりすぎると、スパッタリングの堆積速度が低下すると共に、着色がきつくなる。一方酸素濃度が高くなると、着色はなくなるが、水付け時のラミ強度の改善効果が小さい。窒素の量は、完全酸化物に対し、10%〜40%の酸素が窒素に置換された物が好ましく、更に好ましくは、15〜30%が好ましい。また、アンカー層の膜厚は、薄いと改善の効果が期待できず、逆に厚すぎるとラミ強度に対する効果は大きくなるが、可尭性の点から、1〜8nmが好ましく、更に好ましくは2〜5nmである。
かかるアンカー層の作成には、スパッタ法が用いられる。スパッタ法の中でも、特にバリア層の形成と連続で行うことを考慮すると、DCマグネトロンスパッタ法が好ましい。更に好ましくは、ターゲットに金属を用い、酸素と窒素を導入しながらスパッタを行う反応性スパッタが好ましい。また、放電状態を安定させる為に、圧力は1.33×10-2Paから1.33Paの間が望ましい。圧力を一定に保つ為に、酸素・窒素以外にArなどの不活性ガスを導入することが好ましい。
本発明におけるバリア性層は、Al、Si、O、Nを元素として含み、これらの比率は作成条件により異なる。この成分中に、特性が損なわれない範囲で微量(全成分に対して高々3%まで)の他成分を含んでもよい。該薄膜の厚さとしては、特にこれを限定するものではないが、ガスバリア性及び可尭性の点からは、5〜50nmが好ましく、更に好ましくは7〜30nmである。
窒素の含有量は酸素と窒素の合計の10〜40%の範囲が好ましく、更に好ましくは、20〜35%の範囲である。窒素の含有量が10%よりも低いと十分な水蒸気バリアが得られず、窒素が40%よりも多くなると着色がきつくなったり、ゲルボなどの外力に対し弱くなる。
純金属分100gに対する酸素、窒素の合計モル量(ONtotal)下記のように計算される。
1)純金属分 100g中の金属アルミニウムの重量をagとすると
Al、Siのそれぞれのモル量は
Almol=a/26.98
Simol=(100−a)/28.09
で表される。
2)Al23に必要な酸素量は、(a/26.98)×1.5
SiO2に必要な酸素量は、((100−a)/28.09)×2
となる。
したがって、完全酸化物に必要な酸素のトータル量は、
total=(a/26.98)×1.5+((100−a)/28.09)×2
3)Alの窒化物はAlN、Siの窒化物は、Si34で表されるため
AlNに必要な窒素量は、a/26.98
Si34に必要な窒素量は、((100−a)/28.09)×(4/3)
したがって、完全窒化物に必要な窒素のトータル量は、
total=a/26.98+(100−a)/28.09)×(4/3)
4)ここで、酸素に対する窒素のモル量をnとすると
純金属分100gに対する酸素、窒素の合計モル量は
ONtotal=Qc
=Ototal×(1−n)+Ntotal×n
=(0.056a+(3.559−0.036a)×2)(1−n)
+(0.037a+3.559−0.036a)×(4/3)
=(0.017n−0.016)a−2.375n+7.119
本発明のバリア性層は、金属アルミニウムあるいは、金属珪素を原料として用い、酸素、窒素を前述の割合になるように導入して無機薄膜を作製する。この場合において、無機薄膜中のアルミニウムと珪素の比が15:85〜40:60であることが好適である。アルミニウムの比が低くなると、十分なバリア性が得られず、逆にアルミニウムの比率が高くなると、初期のバリア性は高いものが得られるが、ゲルボなどの外部応力により破壊されやすい膜となる。
かかる、酸・窒化物薄膜の作成には、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティングなどのPVD法(物理蒸着法)が、適宜用いられる。例えば、真空蒸着法においては、蒸発材料源としてAl23、Al、SiO、SiO2、SiOなどの混合物などを用いることが材料の取扱や、安全性の点で好ましい。
また、各粒子の大きさは、蒸着時の圧力が変化しないように適当な大きさにする必要がある。粒子径が大きすぎると熱を加えられてから、蒸発までに時間がかかり、圧力の変動が大きくなり、小さすぎると突沸を起こし、スプラッシュの原因となる。
また、加熱方式としては、抵抗加熱、高周波誘導加熱、電子ビーム加熱、レーザー加熱などを用いることができる。また、反応性ガスとして、酸素、窒素、水蒸気等を導入したり、オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着を用いてもよい。
エミッション電流は、0.3A〜1.0Aの間が好ましく、更に好ましくは、0.5〜0.8Aの間である。エミッション電流が0.3Aよりも小さいと十分な蒸発速度が得られず、生産性が低くなる。また、エミッション電流が大きくなりすぎると蒸発量が多くなりすぎ、圧力の上昇やアルミナの分解が大きくなり、圧力の制御が難しくなる。
本発明でいう酸素・窒素濃度とは、X線光電子分光法(以下ESCA)あるいはオージェ電子顕微鏡などを用いて、測定した薄膜中に含まれる酸素・窒素濃度である。上記の方法では、同時にアルミニウム、ケイ素、チタニウムの量も測定でき5者の比率が測定できる。また、アルゴンなどを用いて、薄膜をエッチングすることにより、薄膜の厚さ方向での組成の変動を測定することができる。
次に実施例を挙げて本発明を説明する。
次に酸素透過率、水蒸気透過率の測定方法、耐屈曲疲労性、ラミ強度のテスト方法をしめす。
1)酸素透過率(OTR)の測定方法
作成したガスバリアフィルムの酸素透過率を酸素透過率測定装置(モダンコントロールズ社製 OX−TRAN100)を用いて測定した。
2)水蒸気透過率(WVTR)の測定方法
作成した試料を40℃、100%R.H.の条件で米国、モコン(MOCON)社製の測定機(PARMATRAN−W)を用いて測定した。
3)耐屈曲疲労性(以下ゲルボ特性)のテスト方法
耐屈曲疲労性は、いわゆるゲルボフレックステスター(理学工業(株)社製)を用いて評価した。条件としては(MIL−B131H)で、11.2inch×8inchの試料片を直径3(1/2)inchの円筒状とし、両端を保持し、初期把持間隔7inchとし、ストローク3(1/2)inchで、400度のひねりを加えるものでこの動作の繰り返し往復運動を40回/minの速さで、20℃、相対湿度65%の条件下で行った。
4)ラミ強度の測定方法
東洋モートン社製TM590/CAT56を15:2.4の重量比で混合し、バーコータでドライコート量3gになうように塗布し、東洋紡社製ポリエチレンフィルム(L6102、40μm)をラミネートした。これを幅15mm、長さ100mmに切り出し、ポリエチレンフィルムと、ベースのPETフィルムの剥離強度を測定した。
(実施例1)
図1に示すような連続式蒸着装置において、冷却ロール1に向けて、マグネトロンスパッタのターゲット2を配置した。ターゲットには、純度99.5%のチタン板を用いた。ターゲット周辺には、ガスの流出を防止する為の仕切り版を設け、ターゲット付近の圧力が、蒸着室に影響を与えないようにした。12μm厚のPETフィルム(東洋紡績(株):E5100)上に酸素・窒素を導入し反応性スパッタを行った。スパッタ時の圧力は、酸素を10SCCM、窒素を10SCCM導入し、5.3×10-1Paにした。出来上がった薄膜は、酸化チタンであった。投入電力は4.7W/cm2で行った。フィルムの走行速度は、130m/minで行い、膜厚は3nmであった。フィルム上にTiO2の薄膜を設けた後、連続で無機蒸着膜を加工した。
無機蒸着膜の作成は、蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状のアルミニウム(純度99.5%)と3mm〜5mm程度のSiO2を用いて、電子ビーム蒸着法で、PETフィルム上にアルミニウム・珪素の酸・窒化物のガスバリア層の形成を行った。アルミニウムとSiO2の混合比の混合比は、重量比25:75とした。電子ビームの出力は、0.5Aで、フィルムの送り速度は100m/minで15nm厚の膜を作った。真空層内には、巻き出し部、コーティング部、巻取り部が入っており、連続でフィルムに蒸着が可能である。蒸着時の圧力を窒素ガスと酸素ガスを導入し3.3×10-2Paになるように調整した。この時の酸素分圧は、1.33×10-3Paで、窒素の分圧は2.5×10-2Paであった。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を−10℃に調整した。
(実施例2)
ターゲットをアルミニウムと珪素の混合物(重量比40:60)とし、投入電力を5.2W/cm2とし、酸素を15SCCM、窒素を10SCCM導入しながら反応性スパッタを行いアルミニウムと珪素の混合酸化物の薄膜を作成した。薄膜は、3nmであった。蒸着膜は、実施例1と同じ条件でフィルムを作成した。
(実施例3)
ターゲットをアルミニウムにし、投入電力を3.3W/cm2とし、酸素を10SCCM、窒素を10SCCM導入しながら反応性スパッタを行い、酸化アルミニウムの薄膜を作成した。膜厚は、3nmであった。蒸着膜は、実施例1と同じ条件でフィルムを作成した。
(実施例4)
ターゲットには、純度99.5%のチタン板を用いた。ターゲット周辺には、ガスの流出を防止する為の仕切り版を設け、ターゲット付近の圧力が、蒸着室に影響を与えないようにした。12μm厚のPETフィルム(東洋紡績(株):E5100)上に酸素・窒素を導入し反応性スパッタを行った。スパッタ時の圧力は、酸素を10SCCM、窒素を10SCCM導入し、5.3×10-1Paにした。出来上がった薄膜は、酸化チタンであった。投入電力は4.7W/cm2で行った。フィルムの走行速度は、130m/minで行い、膜厚は3nmであった。フィルム上にTiO2の薄膜を設けた後、連続で無機蒸着膜を加工した。
無機蒸着膜の作成は、蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状のアルミニウム(純度99.5%)と3mm〜5mm程度のSiO2を用いて、電子ビーム蒸着法で、PETフィルム上にアルミニウム・珪素の酸化・窒化のガスバリア層の形成を行った。アルミニウムとSiO2の混合比は、重量比40:60とした。電子ビームの出力は、0.5Aで、フィルムの送り速度は100m/minで15nm厚の膜を作った。真空層内には、巻き出し部、コーティング部、巻取り部が入っており、連続でフィルムに蒸着が可能である。蒸着時の圧力を窒素ガスと酸素ガスを導入し2.5×10-4Torrになるように調整した。この時の酸素分圧は、2.6×10-3Paで、窒素の分圧は2.6×10-2Paであった。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を−10℃に調整した。
(比較例1)
アンカーコートを作成せず、PET上に直接蒸着膜を作成した。蒸着膜は、実施例1と同じ条件で作成した。
(比較例2)
実施例1と同じ条件で、アンカー層を作成した。無機蒸着膜の作成は、蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状のアルミニウム(純度99.5%)と3mm〜5mm程度のSiO2を用いて、電子ビーム蒸着法で、PETフィルム上にアルミニウム・珪素の酸化・窒化のガスバリア層の形成を行った。アルミニウムとSiO2の混合比はの混合比は、重量比10:90とした。電子ビームの出力は、0.45Aで、フィルムの送り速度は100m/minで150nm厚の膜を作った。真空層内には、巻き出し部、コーティング部、巻取り部が入っており、連続でフィルムに蒸着が可能である。蒸着時の圧力を窒素ガスと酸素ガスを導入し3.3×10-2Paになるように調整した。この時の酸素分圧は、1.3×10-3Paで、窒素の分圧は2.5×10-2Paであった。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を−10℃に調整した。
(比較例3)
実施例1と同じ条件でアンカー層を作成した。無機蒸着膜の作成は、蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状のアルミニウム(純度99.5%)と3mm〜5mm程度のSiO2を用いて、電子ビーム蒸着法で、PETフィルム上にアルミニウム・珪素の酸化・窒化のガスバリア層の形成を行った。アルミニウムとSiO2の混合比はの混合比は、重量比90:10とした。電子ビームの出力は、0.55Aで、フィルムの送り速度は100m/minで15nm厚の膜を作った。真空層内には、巻き出し部、コーティング部、巻取り部が入っており、連続でフィルムに蒸着が可能である。蒸着時の圧力を窒素ガスを導入し3.3×10-2Paになるように調整した。この時の酸素分圧は、1.1×10-2Paで、窒素の分圧は1.3×10-2Paであった。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を−10℃に調整した。
(比較例4)
図1に示すような連続式蒸着装置において、冷却ロール1に向けて、マグネトロンスパッタのターゲット2を配置した。ターゲットには、純度99.5%のチタン板を用いた。ターゲット周辺には、ガスの流出を防止する為の仕切り版を設け、ターゲット付近の圧力が、蒸着室に影響を与えないようにした。12μm厚PETフィルム(東洋紡績(株):E5100)上に、スパッタを行った。スパッタ時の圧力は、Arを、10SCCM導入し、5.3×10-1Paにした。の投入電力は4.7W/cm2で行った。フィルム上にTiの薄膜を設けた後、連続で無機蒸着膜を加工した。蒸着膜は、実施例1と同じ条件で作成した。
(比較例5)
図1に示すような連続式蒸着装置において、冷却ロール1に向けて、マグネトロンスパッタのターゲット2を配置した。ターゲットには、純度99.5%のチタン板を用いた。ターゲット周辺には、ガスの流出を防止する為の仕切り版を設け、ターゲット付近の圧力が、蒸着室に影響を与えないようにした。12μm厚PETフィルム(東洋紡績(株):E5100)上に、酸素・窒素を導入し反応性スパッタを行った。スパッタ時の圧力は、酸素を10SCCM導入し5.3×10-1Paにした。スパッタ時の投入電力は4.7W/cm2で行った。フィルムの送り速度を100m/minとし、3nmの薄膜を作成した。フィルム上にTiの薄膜を設けた後、連続で無機蒸着膜を加工した。
無機蒸着膜の作成は、蒸着源として、3mm〜5mm程度の粒子状のアルミニウム(純度99.5%)と3mm〜5mm程度のSiO2を用いて、電子ビーム蒸着法で、PETフィルム上にアルミニウム・珪素の酸化・窒化のガスバリア層の形成を行った。アルミニウムとSiO2の混合比は、重量比25:75とした。電子ビームの出力は、0.375Aで、フィルムの送り速度は100m/minで15nm厚の膜を作った。真空層内には、巻き出し部、コーティング部、巻取り部が入っており、連続でフィルムに蒸着が可能である。蒸着時の圧力を窒素ガスと酸素ガスを導入し3.3×10-2Paになるように調整した。この時の酸素分圧は、1.3×10-3Torrで、窒素の分圧は2.5×10-2Paであった。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を−10℃に調整した。
(比較例6)
図1に示すような連続式蒸着装置において、冷却ロール1に向けて、マグネトロンスパッタのターゲット2を配置した。ターゲットには、純度99.5%のチタン板を用いた。ターゲット周辺には、ガスの流出を防止する為の仕切り版を設け、ターゲット付近の圧力が、蒸着室に影響を与えないようにした。12μm厚PETフィルム(東洋紡績(株):E5100)上に、酸素・窒素を導入し反応性スパッタを行った。スパッタ時の圧力は、酸素を10SCCM、窒素を10SCCM導入し、5.3×10-2Paにした。スパッタ時の投入電力は5.5W/cm2で行った。フィルムの送り速度を75m/minとし、9nmの薄膜を作成した。フィルム上にTiの薄膜を設けた後、連続で無機蒸着膜を加工した。
無機蒸着膜の作成は、蒸着源として、3〜5mm程度の粒子状のSiO2(純度99.9%)とAl23(純度99.9%)を用いて、電子ビーム蒸着法で、アンカーコートを施したPETフィルム上に酸化アルミニウムと二酸化ケイ素の混合ガスバリア層の形成を行った。蒸発材料は、混合せずに、2つに区切って入れた。加熱源として、電子銃(以下EB銃)を用い、2種類の原料をそれぞれ時分割で加熱した。その時、EB銃のエミッション電流を1.2Aとし、SiO2とAl23の加熱比を1:2とした。フィルムの送り速度は、130m/minとし、20nm厚の膜を作った。また、蒸着時のフィルムを冷却する為のロールの温度を−10℃に調整した。薄膜の酸素濃度を測定するために、得られたガスバリアフィルムの一部を切り取りESCAを用いて酸素濃度とAl,Si,Oの比率を測定した。AlとSiの重量比は、40:60であった。
[ラミネートフィルムの作成]
次に、得られた実施例1〜4、比較例1〜6フィルムの蒸着面にポリウレタン系接着剤(東洋モートン株式会社製,主剤/硬化剤 TM−590/CAT56)を約3μm塗布し、80℃で熱処理した後、低密度ポリエチレンフィルム(東洋紡績製 L6102 厚み40μm)を80℃に加熱した金属ロール上で490kPaのニップ圧力でドライラミネートし、ラミネートフィルムを得た。得られたラミネートフィルムについて、ゲルボ前後の酸素透過量、水蒸気透過量を作成した。
実施例1〜4、比較例1〜6の測定結果を表1に示す。
本発明は、ガスバリア性、特に水蒸気バリア性に優れ、水分を嫌う食品や、高度な水蒸気バリア性の求められる医薬品、電子材料の包材や、有機EL、太陽電池などの電子材料の保護層に関する。
Figure 0004340962
連続式蒸着装置の概要図である。
符号の説明
1:冷却ロール
2:マグネトロンスパッタ装置
3:蒸着用坩堝
4:電子銃
5:巻き出しロール
6:巻き取りロール

Claims (2)

  1. プラスチック基材の少なくとも一方の面にアンカー層と厚み5〜30nmの無機バリア層を設けたフィルムであって、該アンカー層が金属の酸・窒化物からなり、厚み50〜300Åの無機バリア層を設けたフィルムであって、前記無機バリア層が、AlとSiと酸素、窒素からなり、Al原子とSi原子の重量比が15:85〜40:60の範囲であり、窒素の酸素に対するモル比が10〜40%であり、純金属分100gに対する酸素原子と窒素原子の合計モル数が下記の式を満足することを特徴とするガスバリア性フィルム。

    Qc=Ototal×(1−n)+Ntotal×n
    =(0.056a+(3.559−0.036a)×2)(1−n)
    +(0.037a+3.559−0.036a)×(4/3) ・・・ (1)
    =(0.017n−0.016)a−2.375n+7.119

    0.9×Qc<Q<1.0×Qc ・・・ (2)

    a :金属分100g中のAlの重量(15<a<40)
    n :Oに対するNのモル比(0.1<n<0.4)
    Q :薄膜の実際の酸・窒化度
    Qc :計算より算出した完全酸・窒化度
    total:完全酸化物に必要な酸素のトータル量(mol)
    total:完全窒化物に必要な窒素のトータル量(mol)
  2. 請求項1に記載するガスバリア性であって、前記フィルムアンカー層を形成する金属が、チタニウム、アルミニウム、珪素のひとつか、あるいは2種類以上により形成され、該アンカー層がスパッタリングを用いて作成されることを特徴とするガスバリア性フィルム。
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