JP4750984B2 - 複合体の有限要素モデル作成方法及び装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コードとゴムとからなる複合体の解析精度を向上するのに役立つ複合体の有限要素モデル作成方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、有限要素法は広く工業製品の開発、設計に用いられ、例えばタイヤの開発に際してシミュレーションなどにも好適に用いられる。有限要素法により解析を行う場合、解析対象物を有限個の要素で置き換えることにより数値解析用のモデルを作成する必要がある。
【0003】
一方、タイヤは、図2(A)に略示するように、コードcを実質的に平行に配列したコード配列体9をトッピング用のゴムgで被覆した複合体Fを積層する事によりカーカスプライ、ベルトプライといった骨格部分が形成される。このような複合体Fは、コードcの長手方向jと、該長手方向と直交する方向とでは剛性が異なる(異方性)。また、前記複合体Fを有限要素法モデルに置き換える場合、コードcを一本毎にモデル化していくと、要素が微小化されてしまいかつその数が膨大となるため、解析に要する計算時間が著しく大になる。これは、現在の計算機の能力では実用的ではない。
【0004】
そこで前記複合体Fを、図2(B)に分解して示すように、コード配列体9については異方性を持った膜要素e2で、ゴムgについてはソリッド要素e1、e1でそれぞれモデル化し、これらを重ねて近似的にモデル化することにより、要素数を大幅に削減しつつシミュレーションにおいて実機とほぼ等価の解析結果を得ることが行われている。
【0005】
ところで、従来の前記膜要素e2は引張、圧縮とも同一のヤング率が設定されれる。しかしながら、コードcは、複数の細い繊維(素線)を撚り合わせて形成されているため、引張力が作用すると撚り合わされた素線同士が互いに密着し、各々の素線の持つ剛性がほぼそのままコード全体の剛性に寄与するので高い剛性を示す一方、圧縮力が作用したときには撚り合わされた素線同士の間隔が広がることができるので剛性が低くなる。
【0006】
そしてタイヤの一般的な使用では、空気圧の充填によりコードcには引張側の応力が作用するため、圧縮と引張とにおける剛性差は問題とはなりにくいが、内圧が0の状態でも所定の速度で走行可能なランフラットタイヤ等を解析する場合にはコードcに圧縮力が働くことがある。また自動二輪車用タイヤのように、トレッド面の曲率が大きいタイヤの場合、荷重負荷時においてはトレッド接地部が局部的に大きく変形しこの部分のコードcが圧縮力を受けることがある。従って、従来の前記膜要素では、コードcに圧縮力が働く状況では、実際の変形挙動と異なる結果、精度の良い解析結果を得ることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、膜要素について圧縮用のヤング率を引張用のヤング率よりも小に設定することを基本として、コードとゴムとからなる複合体の解析精度を向上するのに役立つ複合体の有限要素モデル作成方法及び装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち請求項1記載の発明は、コードを配列したコード配列体をゴムで被覆した複合体から該複合体の数値解析用の有限要素モデルを作成する複合体の有限要素モデル作成方法であって、前記ゴムをソリッド要素でモデル化するステップと、前記コード配列体を、そのコードの長手方向とこの長手方向と直交する方向とでヤング率が異なる異方性が定義された膜要素でモデル化するステップとを含むとともに、少なくとも前記膜要素のコードの長手方向のヤング率は、圧縮時の計算に用いられる圧縮用のヤング率と、引張時の計算に用いられる引張用のヤング率とを含み、かつ前記圧縮用のヤング率を前記引張用のヤング率よりも小に決定することを特徴としている。
【0009】
また請求項2記載の発明は、前記圧縮用のヤング率が0であることを特徴とする請求項1記載の複合体の有限要素モデル作成方法である。
【0010】
また請求項3記載の発明は、前記圧縮用のヤング率は、引張用のヤング率に0より大かつ1より小の係数を乗じて計算されることを特徴とする請求項1記載の複合体の有限要素モデル作成方法である。
【0011】
また請求項4記載の発明は、前記膜要素は、少なくともコードの長手方向の圧縮用のヤング率、引張用のヤング率がともに同一の値(≠0)に設定された第1の膜要素と、この第1の膜要素と節点を共有することにより幾何学的に重なりしかもコードの長手方向の圧縮用のヤング率が0に設定された第2の膜要素とからなることを特徴とする請求項1又は3に記載の複合体の有限要素モデル作成方法である。
【0012】
また請求項5記載の発明は、前記第1の膜要素の前記ヤング率の値は、コード配列体の圧縮時のヤング率に近似させて設定されるとともに、前記第2の膜要素の引張用のヤング率が、コード配列体の引張時のヤング率から前記第1の膜要素のヤング率を引いた値に設定されることを特徴とする請求項4に記載の複合体の有限要素モデル作成方法である。
【0013】
また請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の複合体の有限要素モデル作成方法を実行することを特徴とするコンピュータを含む装置である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1は本実施形態の解析対象である空気入りタイヤTの断面図を示す。空気入りタイヤTは、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5で折り返されたカーカスプライ6Aからなるカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配された内、外2枚のベルトプライ7A、7Bからなるベルト層7とを具える。
【0015】
前記カーカスプライ6A、ベルトプライ7A(又は7B)は、いずれも図2(A)に部分的に示すように、コードcを配列したコード配列体9の両側面をトッピング用のゴムgで被覆したプライ、即ち複合体Fから構成される。前記コードcは、素線ないし繊維材を撚り合わせることにより形成された撚り線であって、例えばスチールコード、有機繊維コード又は無機繊維コードなど各種のコードを含む。
【0016】
図3には、上述のような複合体Fから該複合体の数値解析用の有限要素モデルFaを作成する複合体の有限要素モデル作成装置を示す。本装置としては、例えばコンピュータ10が使用される。コンピュータ10は、演算処理装置であるCPUと、このCPUの処理手順などが予め記憶されるROMと、CPUの作業用メモリであるRAMと、入出力ポートと、これらを結ぶバスとを含んで構成されている。前記入出力ポートには、本例では所定の情報を入力、設定するためのキーボード、マウス等の入力手段Iと、入力結果などを表示しうるディスプレイ、プリンタなどの出力手段Oと、磁気ディスク、光磁気ディスクなどの外部記憶装置Dとが接続される。また前記外部記憶装置Dには、本実施形態の方法の手順などのプログラム、データが記憶される。
【0017】
図4には本実施形態の複合体の有限要素モデル作成方法の処理手順の一例を示している。図4、図2(B)に示すように、本実施形態では、先ず前記ゴムgをソリッド要素e1でモデル化する(ステップS1)。「ソリッド要素」は、モデル化対象物を立体的に定義しうる要素である。ソリッド要素e1として本例では6面体ソリッド要素を用いたものを例示するが、これ以外にも4面体ソリッド要素又は5面体ソリッド要素などを用いることができる。
【0018】
モデル化に際しては、複合体Fのゴムgの部分を適当な大きさに分割し、その分割された領域を順次ソリッド要素e1にモデル化していく。本例では、コード配列体9の上側及び下側のゴムgを、それぞれ上、下のソリッド要素e1、e1としてモデル化している。各ソリッド要素e1の厚さt1は、例えば複合体Fにおけるコード配列体9の内外でコード輪郭に接する仮想直線N、Nと複合体の外表面との間のゴム厚さtgに略等しく設定される。
【0019】
またコード配列体9の隣り合うコードc、c間に満たされるゴムについては、少量でありかつ剛性への寄与が少ないため本実施形態では無視している。またソリッド要素e1は、その各節点nの座標、材料特性(弾性率、比重)などが複合体Fのゴムgに基づき定義される。
【0020】
次に本実施形態では、前記コード配列体9を、そのコードcの長手方向jとこの長手方向jと直交する方向kとでヤング率が異なる異方性が定義された膜要素e2でモデル化する(ステップS2)。
【0021】
「膜要素」とは、面内の力のみ、すなわち、引張、圧縮、面に沿った方向のせん断のみを伝える要素であり、本例では四辺形膜要素を例示している。ただし、例えば三角形膜要素なども適宜用いることができる。このような膜要素e2は、特にコードの長手方向jの剛性に対してコードに沿って曲げる際の曲げ剛性が著しく低い複合材の特徴を表現するのに適する。
【0022】
また図8に示すように、複合体Fは、厚さ方向に関して、ひとつのソリッド要素e1と、ひとつの膜要素e2とでモデル化することもできる。このとき、ソリッド要素e1は、図2(A)における厚さ(2×tg+D)が与えられる。なお膜要素は厚さを無視して取り扱いできる。一般にコード配列体9の上側及び下側のゴムgは、0.5〜1.2mm程度と小厚さをなすため、このようなモデルは、ソリッド要素の厚さを図2(B)のものより大にでき、要素のアスペクト比が悪化して計算精度が低下するのを防止できる。
【0023】
図5に略示する如く、前記膜要素e2のコードの長手方向jに沿うヤング率E1は、圧縮応力作用時の計算に用いられる圧縮用のヤング率E1cと、引張応力作用時の計算に用いられる引張用のヤング率E1tとを含んで設定される。本例では、前記引張用のヤング率E1tは、実際のコードcの引張時のヤング率に近似した値が設定される。他方、前記圧縮用のヤング率E1cは、前記引張用のヤング率E1tよりも小に設定される。
【0024】
このように、圧縮用のヤング率E1cを引張用のヤング率E1tよりも小に設定することにより、膜要素e2の圧縮剛性を、複合体Fのコード配列体9の変形挙動と近似させて設定することが可能となり、コード配列体9が実際に引張、圧縮荷重を受けたときの特性と近似した解析結果をうることが可能になる。従って、より精度の高い解析が可能となる。
【0025】
前記圧縮用のヤング率E1cは、引張用のヤング率E1tよりも小であれば特に限定はされないが、例えばその値を0に設定することができる。この場合、複合体FのモデルFaに圧縮力が作用すると、膜要素e2は、前記ゴムgをモデル化したソリッド要素e1、e1と一体となって変位するが、該膜要素には内部応力が生じず、ポアソン比が大きいゴム部分をモデル化したソリッド要素e1にのみ圧縮応力が作用するものとして計算が行われる。これにより、従来に比してより実機に近い解析結果を得るのに役立つ。
【0026】
なお、このように膜要素e2のヤング率を圧縮側と引張側とで異ならせる場合、応力の計算に際しては、要素に生じている変形が引張側なのか、或いは圧縮側なのかを個々に判断しかつその結果に基づいて圧縮用、引張用のヤング率を適用する必要があり、一見手間のようにも考えられる。しかしながら、膜要素e2が圧縮状態にある場合には、該膜要素e2についての応力の計算を行う必要がないため、計算ステップの増加といった不具合は実質的には生じない。
【0027】
また、さらに精度良く実際の複合体Fの挙動などを解析したい場合には、前記膜要素の圧縮用のヤング率E1cを引取用のヤング率E1tよりも低く設定しつつ0よりも大の値に設定する。この場合、タイヤの構成要素であるコード材料自体の特性をより良く再現することが可能であるため、結果的にタイヤのたわみ等の挙動を、さらに精度良く再現しうる。またコードcの材料は、大別すると有機繊維と金属繊維とに分けられる。引張側と圧縮側との剛性差は、とりわけ有機繊維の方が大きく、金属繊維の場合には比較的小さい。従って、前記のように圧縮用のヤング率E1cを0とする実施態様は、例えば有機繊維材料からなるコードcをモデル化する場合に好適となる。
【0028】
また、コード配列体9は、繊維の撚り方、打ち込み本数などによっても、圧縮、引張時の剛性差が変化する。従って複合体Fの解析精度をさらに向上するためには、圧縮用のヤング率E1cと引張用のヤング率E1tとの差を任意に設定できるものが望ましい。例えば、前記圧縮用のヤング率E1cは、引張用のヤング率E1tに0より大かつ1より小の係数Gを乗じて計算することもできる。係数Gは、撚りの方法、撚りピッチ、撚り回数などに応じて経験則的に求めることもできるし、また各種実験の結果から算出することもできる。このような方法は、引張/圧縮の剛性を任意の比率で変えることが可能になる点で好ましい。またこのように要素のヤング率を変化させる処理は、例えばサブルーチンとして定義し、一般に市販されている有限要素法解析ソフトウエアの計算課程に組み入れることが望ましい。
【0029】
図6には、本発明の他の実施形態を示している。
この実施形態では、コード配列体9をモデル化した膜要素e2は、少なくともコードcの長手方向jにおいて、圧縮用のヤング率E1c’、引張用のヤング率E1t’がともに同一の値(≠0)に定義された第1の膜要素e2aと、この第1の膜要素e2aと節点nを共有することにより幾何学的に重なりしかもコードの長手方向jの圧縮用のヤング率が0に定義された第2の膜要素e2bとから構成されたものを示す。
【0030】
前記第1の膜要素e2aの圧縮用のヤング率E1c’、引張用のヤング率E1t’の値は、ともに実際のコード配列体9の圧縮時のヤング率に近似させて定義される。他方、前記第2の膜要素e2bの引張用のヤング率E1c”は、実際のコード配列体9の引張時のヤング率から前記第1の膜要素e2aの引張用のヤング率E1c’を引いた値に定義される。そして、膜要素e2の変形計算は、前記第1、第2の膜要素e2a、e2bが一体に重ね合わされたもの、即ち2枚の膜要素が節点nの共有を保った状態で変形するものとして取り扱う。これにより、実際の材料の特性を簡易に表現できる。
【0031】
この実施形態では、第1の膜要素e2aについては、ヤング率が引張、圧縮で同一の値が設定される。従って、該膜要素e2aの変形が圧縮か或いは引張かを判断する必要がない、他方、第2の膜要素e2bは、ヤング率が引張、圧縮で異なるため、膜要素e2bの変形が圧縮か或いは引張かを判断する必要はあるが、圧縮の場合には、応力計算をする必要がない。従って、計算コストはやや増加するが、係数を乗じるものに比べて新たにユーザーサブルーチンを作成する必要が無い点で好ましい。
【0032】
上記各実施形態では、膜要素について、コードの配列方向jについてヤング率を違えるものを例に挙げて説明したが、コードの配列方向と直交する方向kについては、引張、圧縮で剛性が実質的に変わらないため、ヤング率についても引張、圧縮で同一としても良い。具体的な値は、一例として複合体Fの値を参考にし適宜定めることができる。例えば実際の複合体Fのコード配列方向jにおける引張時のヤング率をX、コードの配列方向と直交する方向kの引張時のヤング率をY、モデルの前記方向jのヤング率をX1、モデルの前記方向kのヤング率をY1とするとき、前記方向kの前記ヤング率Y1は、Y・X1/Xにて算出しても良い。
【0033】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々変更できる。例えばステップS1と、ステップS2とは、実行する順番を入れ替えても良いし、これらを並列に処理することもできる。
【0034】
【実施例】
耐パンク構造を有するサイズP225/60R16のランフラットタイヤから表1の使用に基づき有限要素モデルを作成した。タイヤは、カーカスプライが有機繊維コードを用いた複合体で形成されるとともに、ベルトプライが金属コードを用いた複合体で構成されている。そして、このカーカスプライ、ベルトプライを本発明に従って有限要素モデルにモデル化し、図7に示すようなタイヤ解析モデルを作成した。
【0035】
またこのタイヤ解析モデルに、内圧充填条件(200kPa、リム7JJ、縦荷重5.0kN)とパンク条件(0kPa、リム7JJ、縦荷重5.0kN)をそれぞれ設定し、タイヤの縦撓み量を計算するシミュレーションを行った。シミュレーションは、解析ソフトとして汎用陽解法ソフトウエアLS−DYNAを、またハードウエアとして日本電気(株)社製のコンピュータSX−4を用いて行った。また実際のタイヤについても同様の条件で試験を行い、実機と解析モデルとの差異を評価した。テストの結果などを表1に示すが、ヤング率は、従来例の値を100とする指数表示である。また各実施例、比較例は概略次の手順で作成された。
【0036】
(従来例)
コード配列体を1枚の膜要素でモデル化している。圧縮用のヤング率、引張用のヤング率はともに同一の値に設定されている。
【0037】
(実施例1)
コード配列体を1枚の膜要素でモデル化している。圧縮用のヤング率は、有機繊維コードの配列体(カーカスプライ)、金属コードの配列体ともに0に設定している(請求項2に対応)。
【0038】
(実施例2)
コード配列体を1枚の膜要素でモデル化している。圧縮用のヤング率は、引張用のヤング率に係数を乗じて計算している。このような処理を実行するユーザーサブルーチンを定義した(請求項3に対応)。
【0039】
(実施例3)
コード配列体を第1、第2の膜要素でモデル化している。第1の膜要素のヤング率の値は、コード配列体の圧縮時のヤング率に近似させて定義される。第2の膜要素の引張時のヤング率が、コード配列体の引張時のヤング率から前記第1の膜要素のヤング率を引いた値に定義される(請求項5に対応)。
テストの結果などを表1に示す。
【0040】
【表1】
Figure 0004750984
【0041】
テストの結果、比較例、実施例とも内圧充填条件では、実機に非常に近い解析結果を得ていることが確認できる。しかし、コードに圧縮応力が作用するパンク条件においては、比較例では実機との差が大きく精度が悪くなっていることが判る。他方、実施例1〜3の解析モデルでは、パンク条件においても実機と近い良好な結果が得られている。また解析に要したコンピュータ計算時間についても比較例と大きな差は無い。
【0042】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明では、コード配列体をモデル化した膜要素において、圧縮用のヤング率を引張用のヤング率よりも小に設定することにより、膜要素の圧縮剛性を、実際のコード配列体の圧縮挙動と近似させて設定することが可能となる。従って、コード配列体が実際に引張、圧縮荷重を受けたときの特性と近似した解析結果をうることが可能になり、解析精度を向上するのに役立つ。
【0043】
また請求項2記載の発明のように、前記圧縮用のヤング率を0とする方法は、膜要素が圧縮変形するときの応力計算を不要とするため、変形計算時間の短縮に役立つほか、引張時と圧縮側との剛性差が比較的大きい有機繊維からなるコードのモデル化に大きな誤差を生じることなく好適に採用しうる。
【0044】
また請求項3記載の発明のように、前記圧縮用のヤング率を、引張用のヤング率に0より大かつ1より小の係数を乗じて得るときには、簡単な方法で圧縮用のヤング率を得ることができるとともに、コードの撚りなどに応じて圧縮用のヤング率をより実機に近い値に設定しうる。
【0045】
また請求項4及び5記載の発明のように、前記膜要素を第1、第2の膜要素を重ね合わせかつ各膜要素の圧縮、引張のヤング率を規制することによっても、膜要素の圧縮剛性を、コード配列体の圧縮剛性と近似させて設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤの断面図である。
【図2】(A)は複合体であるプライの断面斜視図、(B)はその有限要素モデルの分解斜視図である。
【図3】本発明の処理を行うコンピュータ装置の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の処理の一例を示すフローチャートである。
【図5】膜要素を例示する斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す膜要素の分解斜視図である。
【図7】有限要素モデルの斜視図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す有限要素モデルの分解斜視図である。
【符号の説明】
9 コード配列体
c コード
g ゴム
F 複合体
Fa 複合体の有限要素モデル

Claims (6)

  1. コードを配列したコード配列体をゴムで被覆した複合体から該複合体の数値解析用の有限要素モデルを作成する複合体の有限要素モデル作成方法であって、
    前記ゴムをソリッド要素でモデル化するステップと、
    前記コード配列体を、そのコードの長手方向とこの長手方向と直交する方向とでヤング率が異なる異方性が定義された膜要素でモデル化するステップとを含むとともに、
    少なくとも前記膜要素のコードの長手方向のヤング率は、圧縮時の計算に用いられる圧縮用のヤング率と、引張時の計算に用いられる引張用のヤング率とを含み、
    かつ前記圧縮用のヤング率を前記引張用のヤング率よりも小に設定することを特徴とする複合体の有限要素モデル作成方法。
  2. 前記圧縮用のヤング率が0であることを特徴とする請求項1記載の複合体の有限要素モデル作成方法。
  3. 前記圧縮用のヤング率は、引張用のヤング率に0より大かつ1より小の係数を乗じて計算されることを特徴とする請求項1記載の複合体の有限要素モデル作成方法。
  4. 前記膜要素は、少なくともコードの長手方向の圧縮用のヤング率、引張用のヤング率がともに同一の値(≠0)に設定された第1の膜要素と、
    この第1の膜要素と節点を共有することにより幾何学的に重なりしかもコードの長手方向の圧縮用のヤング率が0に設定された第2の膜要素とからなることを特徴とする請求項1又は3に記載の複合体の有限要素モデル作成方法。
  5. 前記第1の膜要素の前記ヤング率の値は、コード配列体の圧縮時のヤング率に近似させて設定されるとともに、
    前記第2の膜要素の引張用のヤング率が、コード配列体の引張時のヤング率から前記第1の膜要素のヤング率を引いた値に設定されることを特徴とする請求項4に記載の複合体の有限要素モデル作成方法。
  6. 請求項1乃至5の複合体の有限要素モデル作成方法を実行することを特徴とするコンピュータを含む装置。
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