JP4581539B2 - 構造体の解析モデル作成装置及び構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラム - Google Patents

構造体の解析モデル作成装置及び構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラム Download PDF

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Description

本発明は、構造体のシミュレーションに関し、さらに詳しくは、構造体の形状及び内部の応力を精度よく再現できる構造体の解析モデル作成装置及び構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラムに関するものである。
構造体は、異なる2種以上の材料を組み合わせて構成されるものが一般的であり、近年におけるシミュレーションでは、このような構造体を精度よく再現できることが求められている。このような構造体の一つであるタイヤは、ゴム材料を各種の繊維材料(補強コード)で強化したものであり、近年においては、実際のタイヤをモデル化して転動や接地等をシミュレーションすることにより、実際のタイヤの性能を予測することがよく行われている。タイヤのシミュレーションにおいては、例えば特許文献1には、補強コードの引張り方向における弾性率を、圧縮方向における弾性率よりも大きくする技術が開示されている。
特開2004−102424号公報
ところで、タイヤのように、異なる2種以上の材料を組み合わせて構成される構造体では、材料の線膨張係数が異なる場合、内部に残留応力が発生することがある。また、同種の材料で構成される構造体であっても、材料の熱処理や構造体の製造上におけるばらつき等によっては、構造体の内部に残留応力が発生することがある。シミュレーションにおいては、かかる残留応力を考慮することが好ましいが、構造体の残留応力を考慮して解析モデルを作成した場合、実際の構造体の内部における応力状態及び形状を精度よく再現することは困難であった。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、構造体の形状及び内部の応力を精度よく再現できる構造体の解析モデル作成装置及び構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、解析対象である構造体の一部の物理量を取得して、これを初期物理量に設定するとともに、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、前記物理量に、符号が負である所定の係数を乗じて求めた修正物理量を用いて、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行することにより、前記初期解析モデルを変形させた修正解析モデルを作成する手順と、前記物理量の値以上の条件下で、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算をする手順と、を含み、前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとすることを特徴とする。
この構造体の解析モデル作成方法は、解析対象である構造体の外形寸法を、実際の構造体よりも大きく設定した修正解析モデルを作成し、実際の構造体における物理量の値以上の条件下で、前記修正解析モデルに対する釣り合い計算を実行して、解析モデルを作成する。これにより、実際の構造体の形状及び応力状態を精度よく再現した構造体の解析モデルを作成することができる。ここで、物理量とは、解析対象である構造体の残留応力、残留ひずみ、引張あるいは圧縮力その他の物理量であり、残留応力に相当する物理量をいう。また、「構造体の一部」とは、その周辺とは異なる物理量(例えば応力)の状態となっている部分をいう。例えば、繊維等の強化材で、樹脂等の母材を強化した複合材料からなる構造体では、強化材の部分が「構造体の一部」に相当する。また、同種の材料からなる構造体であっても、例えば熱応力や圧縮応力等の内部応力が存在している部分を有する場合には、前記残留応力が存在している部分が、「構造体の一部」に相当する。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、解析対象である構造体の一部の物理量を取得して、これを初期物理量に設定するとともに、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、前記初期物理量に符号が負である所定の係数を乗じた、修正物理量を求める手順と、前記修正物理量の値を固定して、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行する手順と、前記第1の釣り合い計算後における初期解析モデルの変形に関する情報を、前記第1の釣り合い計算前における初期解析モデルに反映させて、修正解析モデルを作成する手順と、計算中においては前記初期物理量を固定して、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算を実行する手順と、を含み、前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとすることを特徴とする。
この構造体の解析モデル作成方法は、解析対象である構造体の外形寸法を、実際の構造体よりも大きく設定した修正解析モデルを作成し、実際の構造体における物理量の値以上に固定した条件下で、前記修正解析モデルに対する釣り合い計算を実行して、解析モデルを作成する。これにより、実際の構造体の形状及び応力状態を精度よく再現した構造体の解析モデルを作成することができる。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、解析対象である構造体の一部の物理量を取得し、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、前記物理量と同種類で、かつ所定の大きさの物理量初期値を設定し、この物理量初期値の下で前記初期解析モデルの初期釣り合い計算を実行する手順と、前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内になるまで、前記物理量初期値を変化させながら前記初期釣り合い計算を繰り返し、前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内になったときの前記物理量初期値を初期物理量に設定する手順と、前記初期物理量に、符号が負である所定の係数を乗じて修正物理量を求め、この修正物理量を用いて、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行することにより、前記初期解析モデルの形状を変形させた修正解析モデルを作成する手順と、前記初期物理量を用いて、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算を実行する手順と、を含み、前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとすることを特徴とする。
この構造体の解析モデル作成方法は、取得した解析対象の物理量になるように初期物理量を設定し、この初期物理量を用いて、解析対象である構造体の外形寸法を実際の構造体よりも大きく設定した修正解析モデルを作成する。そして、実際の構造体における物理量の値以上の条件下で、前記修正解析モデルに対する釣り合い計算を実行して、解析モデルを作成する。これにより、実際の構造体の形状及び応力状態を精度よく再現した構造体の解析モデルを作成することができる。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法において、前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内に収まっていない場合、前記物理量と、前期初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との比、又は差を用いて、前記物理量初期値の値を修正することを特徴とする。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法において、前記物理量の大きさに応じて前記所定の係数を変化させることを特徴とする。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法において、前記構造物は、複合材料で構成されることを特徴とする。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法において、前記複合材料の母材はゴムであることを特徴とする。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法において、前記構造物はタイヤであり、前記物理量は、前記タイヤ内部の補強コードの残留応力、残留ひずみ又は残留張力の少なくとも一つであることを特徴とする。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法において、前記補強コードの残留応力、残留ひずみ又は残留張力の少なくとも一つを測定し、その測定結果を前記物理量とすることを特徴とする。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法において、前記タイヤのベルト、カーカス又はベルト補強層の少なくとも一つを構成する補強コードの残留応力、残留ひずみ又は残留張力の少なくとも一つを、前記タイヤの製造工程における前記コードの伸びに基づいて設定することを特徴とする。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラムは、前記構造体の解析モデル作成方法を、コンピュータに実行させることを特徴とする。これにより、前述の構造体の解析モデル作成方法がコンピュータを利用して実現できる。
次の本発明に係る構造体の解析モデル作成方法は、前記構造体の解析モデル作成方法により生産されることを特徴とする。これにより、この構造体の解析モデルは、実際の構造体の形状及び応力状態を精度よく再現できる。
以上説明したように、この発明に係る構造体の解析モデル作成方法及び構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラム、並びに構造体の解析モデルでは、構造体の形状及び内部の応力を精度よく再現できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。本発明は、特に複合材料の構造物に対して好適に適用できるが、本発明の適用対象はこれに限られるものではない。例えば、複合材料の構造物ではないが、構造物が熱応力や圧縮応力等の内部応力を持つ場合においても、同様に適用できる。以下の実施例においては、複合材料に本発明を適用した場合を説明する。なお、複合材料の構造体の一例は、タイヤとするが、本発明の適用対象はこれに限られるものではない。
実施例1は、作成しようとする解析モデルの残留応力、残留ひずみその他の物理量を、釣り合い計算による応力緩和を考慮して実際の物理量よりも大きく設定するとともに、作成しようとする解析モデルの寸法を、前記応力緩和による構造体の変形を考慮して実際の構造体の寸法よりも大きく設定して釣り合い計算を実行し、性能評価に供する解析モデルを作成する点に特徴がある。
本発明の実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法は、単一の材料からなる構造体に対しても適用できるが、特に、複合材料からなる構造体に対して好適に適用できる。複合材料(composite material)とは、異種材料を組み合わせ、それぞれの材料が元来備えていない資質を具現化した材料をいう。複合材料の中では、例えば、母材と強化材という二種類以上の素材を組み合わせ、母材を強化材で強化するものがよく知られている。
複合材料には、例えば、エポキシ樹脂やポリエステル樹脂等の高分子(ポリマー:polymer)を母材とした、高分子基複合材料(PMC:Polymer Matrix Composite)と呼ばれるものがある。PMCには、例えば、樹脂材料の母材をガラス繊維や炭素繊維等の強化材で強化した、いわゆる繊維強化型樹脂(Fiber Reinforced Plastics)がある。
また、母材がアルミニウム、チタニウム、銅などの金属の、金属基複合材料(MMC:Metal Matrix Composite)と呼ばれる複合材料もある。MMCには、例えば、繊維強化金属(FRM:Fiber Reinforced Metal)と呼ばれるものがあり、ボロン繊維で強化したアルミニウムや、炭化ケイ素繊維で強化したチタニウム等が知られている。
また、セラミックス基複合材料(CNC:Ceramics Matrix Composite)と呼ばれる複合材料もある。CMCは、高温材料であるセラミックスに強化相としてセラミックスを複合化したものであり、単体セラミックスにはない優れた特性を引き出すことを狙った複合材料である。強化相としてはセラミックス粒子、ウィスカ、短繊維、連続長繊維がある。本発明は、上述したような複合材料や、その他の複合材料に対して適用することができる。
実施例1で取り扱うタイヤは、母材であるゴムを、強化材である補強コードによって強化した複合材料の構造体である。なお、実施例1の適用対象はタイヤに限られず、例えば、ゴム材料の母材を繊維で強化した複合材料で構成されるコンベアベルトや防舷材等の構造体、あるいは鉄筋コンクリートの構造体等に対しても適用できる。まず、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法及び構造体の解析モデルについて説明する前に、複合材料の構造体の一例であるタイヤの構造について簡単に説明する。図1は、タイヤの回転軸を含む子午面で切った場合におけるタイヤの断面を示す一部断面図である。
キャップトレッド11は、タイヤ10の路面接地部に配置されており、カーカス15、ベルト14又はブレーカの外側を覆うゴム層である。キャップトレッド11は、キャップトレッドゴム19Cのゴム層であり、カット衝撃に対してカーカス15やベルト14を保護する役目を持っている。アンダトレッド12は、キャップトレッド11とベルト14との間に配置されるアンダトレッドゴム19Uのゴム層で、発熱性、接着性等を向上させる目的で用いられる。以下、キャップトレッドゴム19C及びアンダトレッドゴム19Uを、ゴムLTという。サイドトレッド13は、サイドウォール部の最も外側に配置されて外からの傷がカーカス15に達するのを防止するとともに、ラジアルタイヤの場合には、車軸からの駆動力を路面に伝える補助的役割も担っている。
ベルト14は、キャップトレッド11とカーカス15との間に配置されたゴム引きコードを束ねた補強コードの層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト14は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。ベルト14の接地面側には、ベルトカバー材(以下カバー材)18が配置されている。カバー材18は、例えば有機繊維材料を層状に配置したものであり、ベルト14の保護層としての役割や、ベルト14の補強層としての役割を持つ。カーカス15はタイヤ10の骨格をなすゴム引きコードを束ねた補強コードの層である。カーカス15は、タイヤ10に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐える構造となっている。
ビード16は、内圧によって発生するカーカス15のコード張力を支えているスチールワイヤの束を、硬質ゴムで固めたリングである。ビード16は、タイヤ10をホイールのリムに固定させる役割を果たす他、カーカス15、ベルト14及びトレッド(キャップトレッド11、アンダトレッド12)とともに、タイヤ10の強度部材となる。ビードフィラ17は、カーカス15をビードワイヤの周囲に巻き込む際に生ずる空間へ充填するゴムである。カーカス15をビード16に固定するとともに、その部分の形状を整え、ビード部全体の剛性を高める。このように、タイヤ10は、母材であるゴムを、強化材であるベルト14、カーカス15、あるいはカバー材18等の補強コードによって補強した複合材料の構造体である。
複合材料の構造体であるタイヤ10は、製造後においては、強化材である補強コードが残留応力を持っている。このため、タイヤ10の転動状態やコーナーリング等の過渡事象をシミュレーションしたり、シミュレーションによってタイヤ10と路面との接触状態を解析したりする際には、精度向上という観点から前記残留応力を考慮することが望ましい。したがって、補強コード(強化材)の残留応力を、解析用のデータに反映する必要がある。
図2−1、図2−2は、タイヤの断面の概念図である。まず、数値シミュレーションにおいては、補強コードの残留応力値をそのまま用いて、解析対象であるタイヤ10の解析モデル(タイヤモデル)TMを作成した場合について説明する。このタイヤモデルTMは、内部の補強コードをモデル化した補強コードモデルCMを含んでいる。タイヤモデルTM及び補強コードモデルCMは、入力された前記残留応力値に応じた釣り合い計算が行われ、形状が変形し、内部の応力の釣り合いが変化する。その結果、タイヤモデルTMは、変形タイヤモデルTM'となり、補強コードモデルは、変形補強コードモデルCM'になる(図2−2)。
図2−2に示すように、変形タイヤモデルTM'の外径は、タイヤモデルTMの外径よりも小さくなるとともに、変形補強コードモデルCM'の残留応力は、補強コードモデルCMよりも緩和される。すなわち、タイヤモデルTMの形状や応力状態は、解析対象であるタイヤ10と異なってしまう。このように、解析対象であるタイヤ10の幾何形状を保持し、かつタイヤ10に含まれる補強コードの実際の残留応力を再現した解析モデルを作成することは、非常に困難であった。
本願発明者らは、上記問題を解決すべく、鋭意研究した。その結果、解析対象構造物を解析用にモデル化した解析モデルの外形寸法と、解析対象構造物が残留応力を持つ部分(例えば複合材料においては、補強コードのような補強材)の残留応力とを、実際の値以上の大きさに予め設定することにより、実際の形状や応力分布を精度よく再現した解析モデルを作成できることを見出した。図3−1、図3−2は、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法により解析モデルを作成する例を示す断面図である。図3−1に示すように、カバー材18やカーカス15等の補強コードの残留応力及び解析モデルの外径を、解析対象であるタイヤ10の補強コードの残留応力値及びタイヤ10の外径以上として、タイヤモデルTM1及び補強コードモデルCM1を作成する。
この状態で釣り合い計算を実行すると、図3−2に示すように、タイヤモデルTM1の外径が縮小して変形タイヤモデルTM2となる。このとき、変形タイヤモデルTM2は、タイヤ10の外径と略等しくなる。同様に、補強コードモデルCM1は、釣り合い計算によって変形補強コードモデルCM2となる。前記釣り合い計算により、変形補強コードモデルCM2は、補強コードモデルCM1よりも残留応力が緩和されて、タイヤ10の補強コードの残留応力と略等しくなる。これによって、解析対象であるタイヤ10の幾何形状を保持し、かつタイヤ10に含まれる補強コードの、実際の残留応力の状態を再現した解析モデルを作成することができる。ここで、図3−1、図3−2の実線がタイヤモデルTM1、補強コードモデルCM1等を表し、点線が実際のタイヤ10を表す。
次に、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法の具体的な処理手順について説明する。図4は、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法の処理手順例を示すフローチャートである。図5は、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法を実現できる構造体の解析モデル作成装置の一例を示す構成図である。図6−1〜図6−3は、実施例1に係る構造体の初期解析モデルや解析モデルを示す概略図である。図7は、タイヤ内部の補強コードの応力分布を示す概略図である。まず、図5を用いて、実施例1に係る構造体の解析モデル作成装置の構成について説明する。
構造体の解析モデル作成装置50は、演算部51と記憶部52とで構成される。また、この構造体の解析モデル作成装置50には、入力ポート(I/P)53及び出力ポート(O/P)54を介して、入出力装置55が接続されている。入出力装置55は、入力手段55i、表示手段55d及び処理手段55pから構成されている。そして、入出力装置55に備えられた入力手段55iで、各種命令や解析モデルの作成に必要なデータ等を演算部51や記憶部52へ入力する。ここで、入力手段55iには、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。
演算部51と記憶部52とは、それぞれ入力ポート(I/P)53及び出力ポート(O/P)54に接続されている。これにより、演算部51は、記憶部52にデータを格納したり、記憶部52に格納されているデータやコンピュータプログラムを読み出したりすることができる。また、構造体の解析モデル作成装置50は、入力ポート(I/P)53及び出力ポート(O/P)54を介して通信網65に接続されている。これにより、演算部51は、通信網65に接続されているデータサーバ61、62に格納されている各種のデータや、同じく通信網65に接続されているコンピュータの機能を利用することができる。
記憶部52には、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法を実現するコンピュータプログラムや、転動解析、接地解析その他の性能解析に用いるFEMのコンピュータプログラム等が格納されている。ここで、記憶部52は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
また、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本発明に係る構造体の物理的特性予測方法を実現できるものであってもよい。また、図5における演算部51の機能を実現するための上記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明に係る予測方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
演算部51は、メモリ及びCPU(Central Processing Unit:中央演算装置)により構成されている。性能予測時においては設定された初期解析モデル及び入力データに基づいて、演算部51が前記コンピュータプログラムを前記メモリに読み込み、前記CPUにより前記コンピュータプログラムを実行する。その際に、演算部51は、適宜記憶部52へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して、前記コンピュータプログラムの実行に用いる。なお、前記コンピュータプログラムを前記演算部51が実行することの代わりに、専用のハードウェアにより前記演算部51を構成し、前記コンピュータプログラムの機能を実現するものであってもよい。
ここで、表示手段55dには、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等を使用することができる。また、記憶部52は、演算部51に内蔵されるものであっても、他の装置(データサーバ61、62やコンピュータ63等)内にあってもよい。さらに、上記構造体の解析モデル作成装置50は、入出力装置55を備えた端末装置64から、通信網65を介して演算部51や記憶部52にアクセスするものであってもよい。次に、図4を用いて、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法の手順について説明する。なお、以下の説明では、適宜図1〜図6を参照されたい。
まず、解析対象であるタイヤ10の補強コードの残留応力α、あるいは残留応力αに相当する物理量を取得する(ステップS101)。すなわち、解析対象である構造体の、一部の物理量を取得する。なお、タイヤの補強コードというときには、ベルト14、カーカス15、あるいはカバー材(ベルト補強層)18等をいう(図1参照)。本発明は、補強コードの材質や撚り方等に限定なく適用できるが、特に、タイヤ製造上において張力が変化しやすい有機繊維の補強コードに好ましい。ここで、前記残留応力αに相当する物理量には、例えば、補強コードの張力やひずみがあげられる。補強コードの残留応力α、あるいは残留応力αに相当する物理量を取得する際には、残留応力α等の分布を考慮して、前記補強コードの少なくとも一箇所から取得することが好ましい。
例えば、図7に示すように、残留応力αあるいは残留応力αに相当する物理量が、タイヤ10の幅W方向に対して分布を持つ場合は、W1、W2、W3、・・・Wnの各位置から残留応力α等を取得する。これにより、実際のタイヤの応力分布や形状をより高い精度で再現した解析モデルを作成することができる。
なお、図7に示す例では、タイヤ10の幅W方向に対する分布を考慮しているが、タイヤ10の周方向に対する残留応力α等の分布を考慮してもよい。また、図7に示す例では、タイヤ10の幅W方向のそれぞれn箇所から残留応力α等を取得しているが、残留応力α等が略一定とみなせる領域を最小単位として、残留応力α等を取得してもよい。
残留応力α、あるいは残留応力αに相当する物理量は、実測により取得することができる。また、過去の知見等から、残留応力α、あるいは残留応力αに相当する物理量の分布を推定することができる場合には、これらを実際に測定することなく、過去の知見等から得られる残留応力α、あるいは残留応力αに相当する物理量の推定値を用いてもよい。例えば、タイヤ10の場合には、製造にともなうタイヤ10の外径の成長率から、ベルト14やカーカス15を構成する補強コードの残留張力分布を推定し、その推定値に基づいて残留応力α等を推定することができる。また、タイヤ10の製造工程におけるカバー材18やカーカス15等を構成する補強コードの伸びに基づいて、前記残留応力αを設定してもよい。
次に、解析対象の構造体であるタイヤ10の初期解析モデル1を作成する(ステップS102)。初期解析モデル1の作成においては、数値解析が可能な要素で、解析対象の構造体(実施例1ではタイヤ10)をモデル化する。実施例1においては、構造体の解析にあたってFEM(Finite Element Method:有限要素法)を使用するので、有限要素法で解析可能な要素でタイヤ10をモデル化する。なお、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法に適用できる解析手法はFEMに限られず、BEM(Boundary Element Method:境界要素法)、FDM(Finite Differences Method:有限差分法)等も使用できる。予測対象の構造体や境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することが好ましい。
図8は、構造体であるタイヤの初期解析モデルを示す斜視図である。図8に示すように、構造体であるタイヤ10(図1参照)は、有限要素法に基づき、有限個の微小要素e1、e2、en等に分割されて、初期解析モデル1が作成される。有限要素法に基づく微小要素とは、例えば2次元平面においては四辺形要素、3次元体としては四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素等、コンピュータで取り扱い得る要素とすることが望ましい。このようにして分割された微小要素は、解析の過程においては、3次元座標を用いて逐一特定される。
次に、補強コードのモデル化の一例について説明する。図9−1は、補強コードの一例を示す説明図である。図9−2、図9−3は、補強コードを断面形状変化がない形状としてモデル化した一例を示す説明図である。タイヤ10のゴム(母材)LT内に配置される補強コード20には、撚り線(図9−1)や、モノフィラメントにスパイラル状又は平面状の波付けをしたもの等が使用される。このように、補強コード20の断面形状は、補強コード20の長さ方向に対して変化しており、補強コード20の形状は複雑である。このため、補強コード20をこのまま微小要素に分割すると、計算量が極めて多くなり、現実的ではない。
したがって、実施例1においては、図9−2や図9−3に示すように、補強コード20の断面形状は補強コード20の長さ方向に対して変化しないものとして、単純化した補強コードモデル2a、2bを作成している。これによって計算量を低減できるので、CPUやメモリその他のハードウェア資源の負荷を低減でき、好ましい。なお、ゴムLTは、有限要素法に基づきゴムモデルLTM化されている。実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法に適用できる補強コードのモデル化は上記例に限られず、断面形状の変化を考慮してモデル化してもよい。上記手順によって、補強コード20を含むタイヤ10の初期解析モデル1を作成することができる。なお、残留応力αの取得(ステップS101)と初期解析モデルの作成(ステップS102)との処理順序は問わない(以下同様)。
次に、所定の係数である拡大係数f1を設定する(ステップS103)。図10−1は、補強コードの残留応力を示す模式図である。図10−2は、補強コードの残留応力とは逆向きの応力が補強コードに作用した状態を示す模式図である。図10−1に示すように、製造後のタイヤ10には、補強コード20に、引張りの残留応力αが作用している。実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法では、図10−2に示すように、構造体の一部(ここではタイヤ10の補強コード20)の物理量(ここでは残留応力)と逆向きの物理量の下で釣り合い計算を実行する。
そして、その計算結果を初期解析モデル1に反映させることで、釣り合い計算後における初期解析モデル1の外形寸法を、予め実際の構造体(タイヤ10)の外形寸法よりも大きく設定する。実施例1では、取得した残留応力α等に、設定した拡大係数f1を乗じた応力条件で、初期解析モデル1の釣り合い計算を実行する。すなわち、構造体(タイヤ10)の一部(補強コード)の物理量とは逆向きの物理量(残留応力)と釣り合うように、初期解析モデル1に対して釣り合い計算を実行する。このため、拡大係数f1は負の値とする。このように、構造体の物理量を用いて、これに拡大係数f1を乗ずることにより、構造体の内部における応力の状態を、簡易かつ正確に、構造体の形状へ反映させることができる。
また、拡大係数f1の範囲は−1.5以上−0.5以下が好ましく、より好ましくは−1.1以上−0.9である。さらには、拡大係数f1は−1とすることが好ましい。また、図7に示すように、補強コード20の残留応力の大きさが分布を持つ場合には、残留応力の大きさに応じて、場所毎に拡大係数f1を変化させてもよい。このようにすれば、実際のタイヤ10の形状や応力状態を、より高い精度で再現した解析モデルを作成することができる。
次に、取得した残留応力α等に、設定した拡大係数f1を乗じた値を補強コードモデル2a等の修正応力(修正物理量)σとする。そして、演算部51は、補強コードモデル2a等の修正応力σをf1×αに固定して、初期解析モデル1の第1の釣り合い計算を実行する(ステップS104)。ここで、「固定」とは釣り合い計算の開始から所定の時間(例えば、釣り合い計算の終了時まで)、補強コードモデル2a等の修正応力σをf1×αに維持することをいう(以下同様)。このように、補強コードモデル2a等の応力を固定して釣り合い計算を実行することにより、第1の釣り合い計算実行中においては、補強コードモデル2a等の応力緩和の影響を排除することができる。
第1の釣り合い計算が終了したら、演算部51は、第1の釣り合い計算による初期解析モデル1の変形情報を初期解析モデル1に反映させて、修正解析モデル1cを作成する(ステップS105、図6−2)。図6−2に示すように、修正解析モデル1cは、初期解析モデル1よりも外形寸法が大きくなる。修正解析モデル1cを作成したら、演算部51は、補強コードモデル2a等の応力を残留応力α、すなわち初期物理量に固定して、修正解析モデル1cの第2の釣り合い計算を実行する(ステップS106)。
このように、補強コードモデル2a等の応力を固定して釣り合い計算を実行することにより、第2の釣り合い計算実行中においては、補強コードモデル2a等の応力緩和の影響を排除することができる。なお、補強コードモデル2a等の応力を固定するということは、釣り合い計算実行中における応力緩和がないということなので、釣り合い計算中においては、補強コードモデル2a等の応力は、残留応力α(解析対象の構造体の物理量)以上の値に維持されることになる。
前記第2の釣り合い計算の結果得られたモデルが、求める解析モデル1t(図6−3)となる。このように、上記手順により実施例1に係る解析モデル1tが完成する(ステップS107)。その後、完成した解析モデル1tを用いて、タイヤ10の性能を予測したり、解析モデル1tをホイールに嵌合させたタイヤ・ホイール組立体を作成して、この性能を予測したりする(ステップS108)。
(変形例)
図11は、実施例1の変形例に係る構造体の解析モデル作成方法の手順を示すフローチャートである。この変形例は、実施例1と略同様の構成であるが、作成した修正解析モデルの物理量(残留応力)に基づいて拡大係数を修正し、修正解析モデルを再作成する点が異なる。他の構成は実施例1と同様なのでその説明を省略する。なお、次の説明では、適宜図1〜10を参照されたい。
この変形例に係る構造体の解析モデル作成方法において、ステップS201〜ステップS206までは、実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法のステップS101〜ステップS101〜ステップS106と同様なので、説明を省略する。修正解析モデル1cに対する第2の釣り合い計算を実行したら(ステップS206)、演算部51は、第2の釣り合い計算後における修正解析モデル1cの応力γを取得する(ステップS207)。
演算部51は、取得した前記応力γとステップS201で取得した残留応力αとの差(ここでは両者の差の絶対値を用いる)と、所定の閾値εとを比較する(ステップS208)。所定の閾値εは、0〜0.1×αの範囲が好ましく、より好ましくは0〜0.01×αの範囲である。また、演算部51は、第2の釣り合い計算により得られた修正解析モデル1c(第2修正解析モデル)の形状が、初期解析モデル1の形状、すなわち、タイヤ10の形状と略同形状であるか否かを判定する。第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とは、第2修正解析モデルを構成する各要素の節点(Xi、Yi、Zi)と、前記節点に対応する、初期解析モデル1の節点(xi、yi、zi)とを比較する。そして、前記節点の変位量(ΔX、ΔY、ΔZ)が所定の閾値よりも小さい場合には、第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とは略同形状であると判定する。ここで、ΔXi=|Xi−xi|、ΔYi=|Yi−yi|、ΔZi=|Zi−zi|である。また、「i」は、節点の番号を示すパラメータである。
|γ−α|≧ε、又は第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とが略同形状でない場合(ステップS208;No)、第2修正解析モデルは、実際のタイヤ10の形状及び応力状態を十分に再現していないと判断できる。この場合には、拡大係数f1を再設定し(ステップS209)、これを用いて新たな修正応力σ(=f1×α)を作成して修正解析モデル1cを再度作成する(ステップS204〜ステップS206)。そして、再度作成した修正解析モデル1cが、|γ−α|<ε、かつ第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とが略同形状となるまで、拡大係数f1の再設定、修正解析モデルの再生成を繰り返す。
|γ−α|<ε、かつ第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とが略同形状である場合(ステップS208;Yes)、前記第2の釣り合い計算の結果得られた修正解析モデル1c(第2修正解析モデル)が、求める解析モデル1t(図6−3)となり、実施例1の変形例に係る解析モデル1tが完成する(ステップS210)。その後、完成した解析モデル1tを用いて、タイヤ10の性能を予測したり、解析モデル1tをホイールに嵌合させたタイヤ・ホイール組立体を作成して、この性能を予測したりする(ステップS211)。
なお、補強コードモデル2a等のすべての節点が|γ−α|<εを満たしていない場合に拡大係数f1を再設定してもよいし、所定の割合(例えば全節点の10%)以上の節点が前記関係を満たしていない場合に拡大係数f1を再設定するようにしてもよい。また、転動解析や接地解析等を考慮して、作成した解析モデルの評価において影響を与える補強コードの領域については、略100%の節点が|γ−α|<εを満たすようにしてもよい。さらには、補強コードモデル2a等のすべての節点における|γ−α|を統計処理し、その標準偏差が所定の値を超えている場合には、拡大係数f1を再設定するようにしてもよい。修正解析モデル1cの形状判定についても同様である。
以上、実施例1及びその変形例では、解析対象である構造体の外形寸法を、実際の構造体よりも大きく設定するとともに、解析対象である構造体の一部の残留応力、残留ひずみその他の物理量を、実際の構造体における物理量の値以上として、前記構造体の解析モデルを作成する。これにより、実際の構造体の形状及び応力状態を精度よく再現した構造体の解析モデルを作成することができる。また、物理量を固定して釣り合い計算を実行するため、簡潔なアルゴリズムで構造体の解析モデル作成方法を実現できる。これにより、ハードウェア資源に対する負荷を小さくできるので、計算速度も向上する。なお、実施例1及びその変形例において開示した構成は、以下の実施例においても適宜適用できる。また、実施例1及びその変形例において開示した構成と同様の構成を備える以上、実施例1及びその変形例と同様の作用、効果を奏する。
実施例2は、実施例1、あるいはその変形例と略同様の構成であるが、取得した構造物の一部の物理量となるように初期物理量を設定し、この初期物理量に基づいて修正解析モデルを作成し、また、釣り合い計算においては、構造体の残留応力、残留ひずみその他の物理量の大きさを固定しない点が異なる。他の構成は実施例1等と同様なのでその説明を省略する。なお、次の説明では、適宜図1〜10を参照されたい。
図12は、実施例2に係る構造体の解析モデル作成方法の手順を示すフローチャートである。残留応力の取得(ステップS301)、初期解析モデルの作成(ステップS302)は、実施例1等と同様なので、説明を省略する。残留応力αを取得し、初期解析モデルを作成したら、物理量初期値である応力初期値βを設定する(ステップS303)。応力初期値βは、例えば、ステップS301で取得した残留応力αとする。
次に、ステップS302で作成した初期解析モデル1の応力をβとし、この条件で、演算部51は前記初期解析モデル1に対して釣り合い計算を実行する(ステップS304)。なお、この釣り合い計算は、「初期釣り合い計算」に相当する。次に、演算部51は、ステップS304での釣り合い計算後における初期解析モデル1の応力α1を取得する(ステップS305)。これにより、初期釣り合い計算による補強コードモデル2a等の応力変化に関する情報を得ることができる。
演算部51は、取得した前記応力α1とステップS301で取得した残留応力αとの差(ここでは両者の差の絶対値を用いる)と、所定の閾値ε1とを比較する(ステップS306)。所定の閾値ε1は、0〜0.05×αの範囲が好ましく、より好ましくは、0〜0.005×αの範囲である。|α1−α|≧ε1である場合(ステップS306;No)、作成する解析モデルの初期物理量として、応力初期値βは不適切であると判断できる。この場合には、応力初期値βを再設定し(ステップS307)、新たな応力初期値βを用いて初期解析モデル1に対する釣り合い計算を実行する(ステップS304、ステップS305)。そして、ステップS304での釣り合い計算後における初期解析モデル1の応力α1が、|α1−α|<ε1となるまで、応力初期値βの再設定、初期解析モデル1の釣り合い計算を繰り返す。
ここで、応力初期値βの再設定について説明する。応力初期値βは、例えば線形を仮定して、式(1)により補正することができる。
βnew=βold×(α/α1)・・・(1)
また、式(2)を用いて、残留応力αと、ステップS304での釣り合い計算後における初期解析モデル1の応力α1との差で補正してもよい。
βnew=βold×(α−α1)・・・(2)
ここで、βnewは、再設定しようとする応力初期値であり、βoldは、|α1−α|≧ε1と判断されたときの応力初期値である。
なお、補強コードモデル2a等のすべての節点が|α1−α|<ε1を満たしていない場合に応力初期値βを再設定してもよいし、所定の割合(例えば全節点の10%)以上の節点が前記関係を満たしていない場合に応力初期値βを再設定するようにしてもよい。また、転動解析や接地解析等を考慮して、作成した解析モデルの評価において影響を与える補強コードの領域については、略100%の節点が|α1−α|<ε1を満たすようにしてもよい。さらには、補強コードモデル2a等のすべての節点における|α1−α|を統計処理し、その標準偏差が所定の値を超えている場合には、応力初期値βを再設定するようにしてもよい。
|α1−α|<ε1である場合(ステップS306;Yes)、解析対象である構造体(タイヤ10)全体が、補強コード20の実際の残留応力αで釣り合った状態を得るには、作成しようとする解析モデルの補強コードモデル2a等の初期物理量に、|α1−α|<ε1となる応力初期値βを設定すればよいと判断できる。この場合には、|α1−α|<ε1となったときの応力初期値(物理量初期値)βを、初期物理量として設定する。
次に、拡大係数f1を設定する(ステップS308)。拡大係数f1については、実施例1と同様である。拡大係数f1の設定においては、図7に示すように、補強コード20の残留応力が分布を持つ場合には、この分布を考慮して、場所毎に拡大係数f1を変化させてもよい。このようにすれば、実際のタイヤ10の形状や応力状態をより高い精度で再現した解析モデルを作成することができる。
次に、上記手順によって設定した初期物理量(ここではβ)に、ステップS308で設定した拡大係数f1を乗じて求めた応力条件において、初期解析モデル1の釣り合い計算を実行する。ここで、設定した初期物理量(ここではβ)に、設定した拡大係数f1を乗じた値を、補強コードモデル2a等の修正応力(修正物理量)σ(=f1×β)とする。演算部51は、補強コードモデル2a等の応力を修正応力σ(=f1×β)とした条件下で、初期解析モデル1に対して第1の釣り合い計算を実行する(ステップS309)。なお、|α1−α|<ε1である場合、補強コードモデル2a等の応力は、残留応力α(解析対象の構造体の物理量)以上となる。
第1の釣り合い計算が終了したら、演算部51は、第1の釣り合い計算による初期解析モデル1の変形情報を初期解析モデル1に反映させて、修正解析モデル1cを作成する(ステップS310、図6−2)。図6−2に示すように、修正解析モデル1cは、初期解析モデル1よりも外形寸法が大きくなる。修正解析モデル1cを作成したら、演算部51は、補強コードモデル2a等の応力を初期物理量(ここではβ)に設定して、修正解析モデル1cの第2の釣り合い計算を実行する(ステップS311)。
次に、演算部51は、第2の釣り合い計算後における修正解析モデル1cの応力γを取得する(ステップS312)。演算部51は、取得した前記応力γとステップS301で取得した残留応力αとの差の絶対値と、所定の閾値ε2とを比較する(ステップS313)。所定の閾値ε2は、0〜0.1×αの範囲が好ましく、より好ましくは、0〜0.01×αの範囲である。また、演算部51は、第2の釣り合い計算により得られた修正解析モデル1c(第2修正解析モデル)の形状が、初期解析モデル1の形状、すなわち、タイヤ10の形状と略同形状であるか否かを判定する。この判定は、実施例1の変形例において説明した通りである。
|γ−α|≧ε2、又は第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とが略同形状でない場合(ステップS313;No)、第2修正解析モデルは、実際のタイヤ10の形状及び応力状態を十分に再現していないと判断できる。この場合には、ステップS302に戻って初期解析モデルを再作成する。そして、そして、再度作成した修正解析モデル1cが、|γ−α|<ε、かつ第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とが略同形状となるまで、ステップS303〜ステップS313を繰り返す。
|γ−α|<ε2、かつ第2修正解析モデルの形状と、初期解析モデル1の形状とが略同形状である場合(ステップS313;Yes)、前記第2の釣り合い計算の結果得られた修正解析モデル1c(第2修正解析モデル)が、求める解析モデル1t(図6−3)となり、実施例1の変形例に係る解析モデル1tが完成する(ステップS314)。その後、完成した解析モデル1tを用いて、タイヤ10の性能を予測したり、解析モデル1tをホイールに嵌合させたタイヤ・ホイール組立体を作成して、この性能を予測したりする(ステップS315)。
なお、補強コードモデル2a等のすべての節点が|γ−α|<ε2を満たしていない場合に、初期解析モデルを再作成してもよいし、所定の割合(例えば全節点の10%)以上の節点が前記関係を満たしていない場合に、初期解析モデルを再作成するようにしてもよい。また、転動解析や接地解析等を考慮して、作成した解析モデルの評価において影響を与える補強コードの領域については、略100%の節点が|γ−α|<εを満たすようにしてもよい。さらには、補強コードモデル2a等のすべての節点における|γ−α|を統計処理し、その標準偏差が所定の値を超えている場合には、初期解析モデルを再作成するようにしてもよい。修正解析モデル1cの形状判定についても同様である。
以上、実施例2では、解析対象である構造体の外形寸法を、実際の構造体よりも大きく設定するとともに、解析対象である構造体の一部の残留応力、残留ひずみその他の物理量を、実際の構造体における物理量の値以上として、前記構造体の解析モデルを作成する。これにより、実際の構造体の形状及び応力状態を精度よく再現した構造体の解析モデルを作成することができる。また、第1、第2の釣り合い計算においては、応力を固定する必要はないので、このような機能を持たない解析ツールを使用する際にも、構造体の解析モデルを作成できる。
実施例3は、タイヤのような複合材料からなる構造体以外の解析対象に本発明を適用した例を説明する。図13は、実施例3に係る構造体の他を示す説明図である。この構造体80は、平行に配置される2個の第1部材81を、これらと直交する2本の第2部材82及び1本の第3部材83で締結した構造である。ここで、第1〜第3部材81〜83は、すべて同一の材料である。
例えば、第3部材83の温度が第2部材82の温度よりも低くなっているとする。この場合、第3部材83の長手方向における長さは短くなるが、この収縮は第2部材82により拘束される。このため、構造体80全体で見ると、第3部材83には引張りの応力が発生し、第2部材82には圧縮の応力が発生する。このとき、第3部材83を、実施例1、2等におけるタイヤ10の補強コード20とすれば、上記実施例1、2等に係る構造体の解析モデル作成方法をそのまま適用して、実施例3に係る構造体80の解析モデルを作成することができる。
このように、本発明は、複合材料のように、異なる2種類以上の材料からなる構造体のみならず、単一材料からなる構造体に対しても適用できる。また、熱処理した金属材料に発生する残留応力のように、単一材料からなる構造体であっても、材料の処理工程によって前記材料内部に内部応力が生ずる場合には、本発明が適用できる。さらに、単一材料からなる構造体であっても、例えば構造体構成部品の寸法誤差により、構造体の製造工程において構造体に内部応力が発生する場合には、本発明が適用できる。
(評価例)
乗用車用のタイヤ(205/65R15)を対象として、異なる3種類の解析モデル作成方法によりタイヤの解析モデルを作成した。そして、補強コードの応力分布、解析モデルの幾何学形状、及び解析モデルの接地形状について評価した。第1解析モデル(以下モデル1)は、タイヤの初期形状をモデル化した初期解析モデルに、ベルトカバー材を構成する補強コードの残留応力αを設定して作成したものである。第2解析モデル(以下モデル2)は、ベルトカバー材を構成する補強コードの残留応力αを取得し、−αの条件の下で初期解析モデルに対して釣り合い計算を実行した後に、前記補強コードの残留応力αを設定して作成したものである。第3解析モデル(以下モデル3)は、本発明の実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法により作成したものである。
図14は、タイヤの回転軸を通る子午断面におけるベルトカバー材の応力分布を示す説明図である。図14中の■印が測定値であり、一点鎖線がモデル1を、破線がモデル2を、実線がモデル3の結果である。図14から分かるように、モデル1、モデル2と比較して、実施例1に係る本発明の実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法により作成したモデル3が、測定値との相関が最も高いことが分かる。
図15は、タイヤ断面の形状を示す一部断面図である。図15中の二点鎖線が実際のタイヤの形状であり、一点鎖線がモデル1を、破線がモデル2を、実線がモデル3の結果である。図15から分かるように、実施例1に係る本発明の実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法により作成したモデル3は、実際のタイヤの形状をよく再現していることが分かる。
図16−1〜図16−3は、接地形状と接地圧分布とを示す平面図である。図16−1はモデル1を、図16−2はモデル2を、図16−3はモデル3の結果を表す。また、表1は、設置形状の評価結果を示している。接地形状は、最大接地長さ、最大接地幅、接地面積により評価する。表1の結果は、実測の結果を100としたときの相対値である。表1から、モデル3が実測値を最もよく再現していることが分かる。また、図16−1〜図16−3の結果から、モデル3は、実際の接地形状と接地圧分布とをよく再現していることが分かる。
Figure 0004581539
表2は、上記評価結果をまとめたものである。評価結果は、×が不可、△が実用上最低限の精度、○が実用上十分な精度を示す。表2から分かるように、本発明の実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法により作成したモデル3は、補強コードの応力分布、解析モデルの幾何形状、及び接地形状すべてにおいて、実際のタイヤをよく再現しており、実用上十分な精度を確保していることが分かる。
Figure 0004581539
以上のように、本発明に係る構造体の解析モデル作成装置及び構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラムに有用であり、特に、内部に残留応力等の内部応力を持つ構造体のシミュレーションに適している。
タイヤの回転軸を含む子午面で切った場合におけるタイヤの断面を示す一部断面図である。 タイヤの断面の概念図である。 タイヤの断面の概念図である。 実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法により解析モデルを作成する例を示す断面図である。 実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法により解析モデルを作成する例を示す断面図である。 実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法の処理手順例を示すフローチャートである。 実施例1に係る構造体の解析モデル作成方法を実現できる構造体の解析モデル作成装置の一例を示す構成図である。 実施例1に係る構造体の初期解析モデルや解析モデルを示す概略図である。 実施例1に係る構造体の初期解析モデルや解析モデルを示す概略図である。 実施例1に係る構造体の初期解析モデルや解析モデルを示す概略図である。 タイヤ内部の補強コードの応力分布を示す概略図である。 構造体であるタイヤの初期解析モデルを示す斜視図である。 補強コードの一例を示す説明図である。 補強コードを断面形状変化がない形状としてモデル化した一例を示す説明図である。 補強コードを断面形状変化がない形状としてモデル化した一例を示す説明図である。 補強コードの残留応力を示す模式図である。 補強コードの残留応力とは逆向きの応力が補強コードに作用した状態を示す模式図である。 実施例1の変形例に係る構造体の解析モデル作成方法の手順を示すフローチャートである。 実施例2に係る構造体の解析モデル作成方法の手順を示すフローチャートである。 実施例3に係る構造体の他を示す説明図である。 タイヤの回転軸を通る子午断面におけるベルトカバー材の応力分布を示す説明図である。 タイヤ断面の形状を示す一部断面図である。 接地形状と接地圧分布とを示す平面図である。 接地形状と接地圧分布とを示す平面図である。 接地形状と接地圧分布とを示す平面図である。
符号の説明
1 初期解析モデル
1c 修正解析モデル
1t 解析モデル
2a、2b 補強コードモデル
10 タイヤ
11 キャップトレッド
12 アンダトレッド
13 サイドトレッド
14 ベルト
15 カーカス
16 ビード
17 ビードフィラ
18 カバー材
20 補強コード
50 解析モデル作成装置
51 演算部
52 記憶部

Claims (13)

  1. メモリ及びCPUにより構成される演算部が、
    解析対象である構造体の一部の物理量を取得して、これを初期物理量に設定するとともに、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、
    前記物理量に、符号が負である所定の係数を乗じて求めた修正物理量を用いて、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行することにより、前記初期解析モデルを変形させた修正解析モデルを作成する手順と、
    前記物理量の値以上の条件下で、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算をする手順と、を含み、かつ、前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとするコンピュータプログラムを前記メモリに読み込み、前記CPUが前記コンピュータプログラムを実行することにより前記構造体の解析モデルを作成することを特徴とする構造体の解析モデル作成装置
  2. メモリ及びCPUにより構成される演算部が、
    解析対象である構造体の一部の物理量を取得して、これを初期物理量に設定するとともに、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、
    前記初期物理量に符号が負である所定の係数を乗じた、修正物理量を求める手順と、
    前記修正物理量の値を固定して、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行する手順と、
    前記第1の釣り合い計算後における初期解析モデルの変形に関する情報を、前記第1の釣り合い計算前における初期解析モデルに反映させて、修正解析モデルを作成する手順と、
    計算中においては前記初期物理量を固定して、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算を実行する手順と、を含み、かつ、前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとするコンピュータプログラムを前記メモリに読み込み、前記CPUが前記コンピュータプログラムを実行することにより前記構造体の解析モデルを作成することを特徴とする構造体の解析モデル作成装置
  3. メモリ及びCPUにより構成される演算部が、
    解析対象である構造体の一部の物理量を取得し、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、
    前記物理量と同種類で、かつ所定の大きさの物理量初期値を設定し、この物理量初期値の下で前記初期解析モデルの初期釣り合い計算を実行する手順と、
    前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内になるまで、前記物理量初期値を変化させながら前記初期釣り合い計算を繰り返し、前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内になったときの前記物理量初期値を初期物理量に設定する手順と、
    前記初期物理量に、符号が負である所定の係数を乗じて修正物理量を求め、この修正物理量を用いて、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行することにより、前記初期解析モデルの形状を変形させた修正解析モデルを作成する手順と、
    前記初期物理量を用いて、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算を実行する手順と、を含み、かつ、前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとするコンピュータプログラムを前記メモリに読み込み、前記CPUが前記コンピュータプログラムを実行することにより前記構造体の解析モデルを作成することを特徴とする構造体の解析モデル作成装置
  4. 前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内に収まっていない場合、前記物理量と、前期初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との比、又は差を用いて、前記物理量初期値の値を修正することを特徴とする請求項3に記載の構造体の解析モデル作成装置
  5. 前記物理量の大きさに応じて前記所定の係数を変化させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の構造体の解析モデル作成装置
  6. 前記構造物は、複合材料で構成されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の構造体の解析モデル作成装置
  7. 前記複合材料の母材はゴムであることを特徴とする請求項6に記載の構造体の解析モデル作成装置
  8. 前記構造物はタイヤであり、前記物理量は、前記タイヤ内部の補強コードの残留応力、残留ひずみ又は残留張力の少なくとも一つであることを特徴とする請求項7に記載の構造体の解析モデル作成装置
  9. 前記補強コードの残留応力、残留ひずみ又は残留張力の少なくとも一つを測定し、その測定結果を前記物理量とすることを特徴とする請求項8に記載の構造体の解析モデル作成方法。
  10. 前記タイヤのベルト、カーカス又はベルト補強層の少なくとも一つを構成する補強コードの残留応力、残留ひずみ又は残留張力の少なくとも一つを、前記タイヤの製造工程における前記コードの伸びに基づいて設定することを特徴とする請求項8に記載の構造体の解析モデル作成装置
  11. 解析対象である構造体の一部の物理量を取得して、これを初期物理量に設定するとともに、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、
    前記物理量に、符号が負である所定の係数を乗じて求めた修正物理量を用いて、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行することにより、前記初期解析モデルを変形させた修正解析モデルを作成する手順と、
    前記物理量の値以上の条件下で、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算をする手順と、を含み、かつ、前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとする構造体の解析モデル作成方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであり、
    メモリが読み込んだ前記コンピュータプログラムを、前記CPUが実行することにより前記構造体の解析モデルを作成することを特徴とする構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラム。
  12. 解析対象である構造体の一部の物理量を取得して、これを初期物理量に設定するとともに、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、
    前記初期物理量に符号が負である所定の係数を乗じた、修正物理量を求める手順と、
    前記修正物理量の値を固定して、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行する手順と、
    前記第1の釣り合い計算後における初期解析モデルの変形に関する情報を、前記第1の釣り合い計算前における初期解析モデルに反映させて、修正解析モデルを作成する手順と、
    計算中においては前記初期物理量を固定して、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算を実行する手順と、を含み、
    前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとする構造体の解析モデル作成方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであり、
    メモリが読み込んだ前記コンピュータプログラムを、前記CPUが実行することにより前記構造体の解析モデルを作成することを特徴とする構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラム。
  13. 解析対象である構造体の一部の物理量を取得し、前記構造体の形状を再現した初期解析モデルを作成する手順と、
    前記物理量と同種類で、かつ所定の大きさの物理量初期値を設定し、この物理量初期値の下で前記初期解析モデルの初期釣り合い計算を実行する手順と、
    前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内になるまで、前記物理量初期値を変化させながら前記初期釣り合い計算を繰り返し、前記物理量と、前記初期釣り合い計算後における前記物理量初期値との差が所定の範囲内になったときの前記物理量初期値を初期物理量に設定する手順と、
    前記初期物理量に、符号が負である所定の係数を乗じて修正物理量を求め、この修正物理量を用いて、前記初期解析モデルに対して第1の釣り合い計算を実行することにより、前記初期解析モデルの形状を変形させた修正解析モデルを作成する手順と、
    前記初期物理量を用いて、前記修正解析モデルに対して第2の釣り合い計算を実行する手順と、を含み、
    前記第2の釣り合い計算後における修正解析モデルを、前記構造体の解析モデルとする構造体の解析モデル作成方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであり、
    メモリが読み込んだ前記コンピュータプログラムを、前記CPUが実行することにより前記構造体の解析モデルを作成することを特徴とする構造体の解析モデル作成用コンピュータプログラム。
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