JP4967466B2 - タイヤの性能予測方法及びタイヤの性能予測用コンピュータプログラム、並びにタイヤの性能予測装置 - Google Patents

タイヤの性能予測方法及びタイヤの性能予測用コンピュータプログラム、並びにタイヤの性能予測装置 Download PDF

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Description

本発明は、タイヤの性能を予測することに関し、特に、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤの性能を予測することに関する。
近年においては、パンクして内圧が低下した状態でも、そのまま車両の荷重を支えて、安全な場所まで車両を走行させることができる、いわゆるランフラットタイヤが用いられてきている。例えば、特許文献1や特許文献2には、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるランフラットタイヤが開示されている。
特開2002−127719号公報 特開平9−58229号公報
内圧低下時におけるランフラットタイヤの性能(主に耐久性)は、これまでの数値解析を用いたシミュレーションを適用して、タイヤモデルに荷重を負荷し、路面に接触させて走行させたときの状態を数値解析することによって予測することができる。しかし、内圧が非常に低い状態でタイヤモデルを変形させ、かつ走行させる状態をシミュレーションすることは、タイヤモデルの変形が大きいため、非常に計算時間を要する。このため、材料や構造を変更した様々なランフラットタイヤの性能を評価する際にこのような手法を用いることは非現実的であった。
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できるタイヤの性能予測方法及びタイヤの性能予測用コンピュータプログラム、並びにタイヤの性能予測装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤの性能予測方法は、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成するモデル作成手順と、前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する荷重を、前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をする変形計算手順と、前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記タイヤに負荷する荷重を、前記第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する平衡状態計算手順と、前記平衡状態計算手順後における前記タイヤモデル又は前記路面モデルのうち少なくとも一方から、前記タイヤの特性を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出する評価手順と、を含むことを特徴とする。
このタイヤの性能予測方法は、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数及びタイヤモデルに負荷する荷重を、第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数及び第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することにより得られたタイヤモデルを用いて、性能予測対象のタイヤの諸特性を評価する。これによって、ランフラット走行のようにタイヤモデルの変形が大きい場合であっても、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できる。ここで、摩擦係数は動摩擦係数又は静止摩擦係数である。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数とし、また、前記第2の荷重を前記タイヤへ実際に負荷される荷重とすることが好ましい。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも大きくし、また、前記第2の荷重を前記タイヤへ実際に負荷される荷重とすることが好ましい。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記第1の摩擦係数は、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数の0.001倍以上0.5倍以下であり、また、前記第1の荷重は、前記タイヤへ実際に負荷される荷重の1.1倍以上2.0倍以下とすることが好ましい。
次の本発明に係るタイヤの性能予測方法は、ゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成するモデル作成手順と、前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する前後力を前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をする変形計算手順と、前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記前後力を前記第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する平衡状態計算手順と、前記平衡状態計算手順後における前記タイヤモデル又は前記路面モデルのうち少なくとも一方から、前記タイヤの特性を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出する評価手順と、を含むことを特徴とする。
このタイヤの性能予測方法は、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数及びタイヤモデルに負荷する荷重を、第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数及び第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することにより得られたタイヤモデルを用いて、性能予測対象のタイヤの諸特性を評価する。これによって、ランフラット走行のようにタイヤモデルの変形が大きい場合であっても、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できる。また、ランフラットでタイヤが転動しているときのバックリング状態を精度よく再現でき、ランフラット性能を適切に評価することができる。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数とし、また、前記第2の前後力を0とすることを特徴とすることが好ましい。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記第1の摩擦係数は、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数の0.001倍以上0.5倍以下であり、また、前記第1の前後力は、前記第1の摩擦係数と前記タイヤへ実際に負荷される荷重との積の0.1倍以上1.0倍以下とすることが好ましい。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記平衡状態計算手順の後、前記タイヤモデル又は前記路面モデルの少なくとも一方に所定の条件を付加することにより、前記タイヤモデルを変形させる計算をする追加変形計算手順を設け、前記評価手順においては、前記追加変形計算手順後における前記タイヤモデル又は前記路面モデルのうち少なくとも一方から、前記タイヤの特性を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出してもよい。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記特性物理量は、変位、応力、ひずみ、接触面積、接触せん断力、接触圧のうち少なくとも1つとすることが好ましい。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数は、1.0以上1.2以下とすることが好ましい。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測方法のように、前記タイヤの性能予測方法において、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数は、0.01以上0.2以下とすることが好ましい。
次の本発明に係るタイヤの性能予測用コンピュータプログラムは、前記タイヤの性能予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
このタイヤの性能予測用コンピュータプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることによって、コンピュータを利用して前記タイヤの性能予測方法を実現することができ、前記タイヤの性能予測方法と同様の作用、効果を得ることができる。
次の本発明に係るタイヤの性能予測装置は、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成する解析モデル作成部と、前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する荷重を、前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をするとともに、記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記タイヤに負荷する荷重を、前記第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する解析部と、前記解析部が計算した、平衡となった状態の前記タイヤモデルを表示する表示部と、を含むことを特徴とする。
このタイヤの性能予測装置は、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数及びタイヤモデルに負荷する荷重を、第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数及び第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することにより得られたタイヤモデルを用いて、性能予測対象のタイヤの諸特性を評価する。これによって、ランフラット走行のようにタイヤモデルの変形が大きい場合であっても、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できる。
次の本発明に係るタイヤの性能予測装置は、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成する解析モデル作成部と、前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する荷重を、前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をするとともに、前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記前後力を前記第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する解析部と、前記解析部が計算した、平衡となった状態の前記タイヤモデルを表示する表示部と、を含むことを特徴とする。
このタイヤの性能予測装置は、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数及びタイヤモデルに負荷する荷重を、第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数及び第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することにより得られたタイヤモデルを用いて、性能予測対象のタイヤの諸特性を評価する。これによって、ランフラット走行のようにタイヤモデルの変形が大きい場合であっても、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できる。また、ランフラットでタイヤが転動しているときのバックリング状態を精度よく再現でき、ランフラット性能を適切に評価することができる。
また、次の本発明に係るタイヤの性能予測装置のように、前記タイヤの性能予測装置において、前記解析部は、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算した後、前記タイヤモデルの回転軸又は前記路面モデルの少なくとも一方に所定の条件を付加して前記タイヤモデルを変形させ、前記表示部は、変形後の前記タイヤモデルを表示するようにしてもよい。
この発明に係るタイヤの性能予測方法及びタイヤの性能予測用コンピュータプログラム、並びにタイヤの性能予測装置によれば、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できる。
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための最良の形態(以下実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲内のものが含まれる。本発明の適用対象は、内部の空洞に空気や窒素等の気体が充填されて内圧が負荷されるタイヤであり、特に、いわゆるランフラット走行性能を有するタイヤである。
(実施形態1)
実施形態1は、次の点に特徴がある。すなわち、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に、タイヤモデルに負荷する荷重を第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定し、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することにより得られたタイヤモデルを用いて、性能予測対象のタイヤのランフラット性能を評価する。
図1は、タイヤの回転軸を通る子午断面を示す断面図である。タイヤ1の子午断面は、タイヤ1の回転軸(Y軸)と平行かつ回転軸を通る平面でタイヤ1を切ったときの断面である。タイヤ1は、母材であるゴムを、強化材であるカーカス2、ベルト3、あるいはベルトカバー4等の補強繊維によって補強した複合材料の構造体である。
カーカス2は、タイヤ1に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐えるようになっている。ベルト3は、キャップトレッドとカーカス2との間に配置されたゴム引きコードを束ねた補強繊維の層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト3は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。
ベルト3の接地面側には、ベルトカバー4が配置されている。ベルトカバー4は、例えば有機繊維材料を層状に配置したものであり、ベルト3の保護層としての役割や、ベルト3の補強層としての役割を持つ。ビードコア5は、内圧によってカーカス2に発生するコード張力を支えているスチールワイヤの束である。ビードコア5は、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4及びトレッドとともに、タイヤ1の強度部材となる。
また、この実施形態に係るタイヤ1は、サイドウォールSWの内側(IN側)に、ゴム補強層7を備える。このゴム補強層7は、タイヤ1の子午断面において、略三日月形状をしている。タイヤ1がパンク等して内圧が低下した場合に、ゴム補強層7がタイヤ1の縦たわみ(主として重力の作用方向に対するたわみ)を抑制し、タイヤ1の構造が破壊されることを回避する。これによって、タイヤ1にパンク等が発生した場合でも、ある程度の走行を可能とする。このように、タイヤ1は、ゴム補強層7によっていわゆるランフラット走行性能を発揮させるものである。次に、この実施形態に係るタイヤの性能予測装置について説明する。
図2は、実施形態1に係るタイヤの性能予測方法を実行するタイヤの性能予測装置の構成例を示す説明図である。図3は、実施形態1に係るタイヤの性能予測装置が備える処理部の構成を示す説明図である。図2に示すように、タイヤの性能予測装置50は、処理部52と記憶部54と表示部53とを含んで構成される。さらに、このタイヤの性能予測装置50には、入力部51が接続されており、この入力部51により、後述するタイヤモデルを作成するのに必要な値、例えばタイヤ1を構成するゴムや繊維材料等の物性値、及びタイヤの性能の予測に必要な境界条件等を処理部52や記憶部54へ入力する。ここで、入力部51には、キーボード、マウス、マイク等の入力デバイスを使用することができる。
図3に示すように、処理部52は、タイヤの解析モデル(タイヤモデル)を作成する解析モデル作成部52aと、作成したタイヤモデルを用いて、タイヤのランフラット性能を予測する解析部52bとにより構成されている。記憶部54は、この実施形態に係るタイヤの性能予測用方法が組み込まれたタイヤの性能予測用コンピュータプログラムが格納されている。ここで、記憶部54は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、光ディスク等のストレージ手段等の組み合わせにより構成されている。
また、上記プログラムは、必ずしも単一的に構成されるものに限られず、コンピュータシステムへ既に記憶されているプログラム、例えばOS(Operating System)に代表される別個のプログラムとともにその機能を達成するものであってもよい。また、図3に示す処理部52の機能、すなわち解析モデル作成部52a及び解析部52bの機能を実現するための上記プログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、この実施形態に係るタイヤモデル作成方法及びタイヤの性能予測方法を実行してもよい。なお、「コンピュータシステム」とは、上記OSや周辺機器などのハードウェアを含むものである。
処理部52は、RAM、ROM等のメモリとCPU(Central Processing Unit)とにより構成されている。タイヤの性能を予測する際には、後述するタイヤモデルを作成するためのデータに基づいて、この処理部52が上記プログラムを処理部52が備えるメモリに読み込んで演算する。処理部52は、演算途中の数値を適宜記憶部54に格納し、格納した数値を適宜記憶部54から取り出して演算する。なお、この処理部52は、上記プログラムの代わりに専用のハードウェアにより、解析モデル作成部52a、解析部52bの機能を実現するものであってもよい。処理部52が演算することで求められたタイヤモデルやタイヤの性能の予測結果は、表示部53により表示される。
ここで、記憶部54は、処理部52内に設けられていてもよいし、他の装置(例えば、データベースサーバ)内に設けられていてもよい。また、入出力装置を備えた端末装置から、タイヤの性能予測装置50に有線、無線のいずれかの方法でアクセスすることができる構成であってもよい。次に、この実施形態に係るタイヤの性能予測方法、タイヤモデルの作成方法について説明する。なお、次の説明では、適宜図1〜図3を参照されたい。
図4は、実施形態1に係るタイヤの性能予測方法の手順を示すフローチャートである。図5は、タイヤモデルの一例を示す斜視図である。図6は、図5に示すタイヤモデルの子午断面を示す一部断面図である。図7は、図5、図6に示すタイヤモデルを接地させる路面モデルを示す説明図である。図8−1〜図8−3、図9は、実施形態1に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。図10は、実施形態1に係るタイヤの性能予測方法で用いるパラメータの説明図である。この実施形態に係るタイヤの性能予測方法を実行するにあたっては、まず評価対象のタイヤの解析モデル(以下タイヤモデルという)10を作成するとともに、路面の解析モデル(以下路面モデルという)20を作成する(ステップS101、図5〜図7)。この手順は、モデル作成手順である。
タイヤモデル10及び路面モデル20は、タイヤの性能予測装置50が備える処理部52の解析モデル作成部52aが作成する。図5、図6に示すように、解析モデル作成部52aは、有限要素法に基づき、ランフラット性能を予測するタイヤを有限個の要素101、102・・・10n等に分割して、タイヤモデル10を作成する。路面モデル20もタイヤモデル10と同様に、有限要素法に基づき、タイヤが接触する路面を複数の節点を含む有限個の要素201、202・・・20n等に分割して作成される。
タイヤモデル10や路面モデル20を構成する要素には、例えば2次元平面では四辺形要素、3次元体では四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素等、コンピュータで用い得る要素とすることが望ましい。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元座標を用いて逐一特定される。
タイヤモデル10及び路面モデル20を作成したら(ステップS101)、タイヤの性能予測装置50が備える処理部52の解析部52bは、ランフラット条件を設定する(ステップS102)。ランフラット条件は、タイヤモデル10に負荷する内圧を、標準の圧力よりも低い圧力にすることにより設定される。この場合、タイヤモデル10に負荷する内圧は、50kPa以下(0kPaを含む)とする。
次に解析部52bは、タイヤモデルの変形計算における境界条件(第1の境界条件)を設定する(ステップS103)。この実施形態において、タイヤのランフラット性能を予測する際には、タイヤモデル10を転動させることなく、実際のランフラット走行時におけるタイヤの形状、応力あるいはひずみ等の状態を再現する。このため、この実施形態に係るタイヤの性能予測方法では、タイヤモデル10を路面モデル20に接地させて、タイヤモデル10に所定の荷重を負荷してタイヤモデル10を変形させる変形計算における摩擦係数μと荷重(垂直荷重)Lとを、次のように設定する。
タイヤ1と路面9との間における実際の摩擦係数(基準摩擦係数)をμ0とし、タイヤ1へ実際に負荷される荷重(基準荷重)をL0とする(図10参照)。基準荷重L0は、評価対象であるタイヤ1のランフラット性能を評価する際にタイヤ1へ負荷する荷重であり、例えば、タイヤ1を車両100に取り付けた状態での荷重とする。なお、基準荷重は垂直荷重(重力の方向に向かってタイヤ1の回転軸Yに負荷される荷重)、タイヤ1が取り付けられる車両100、及びタイヤ1が取り付けられる位置(前輪か後輪か)によって変化する。この実施形態では、タイヤモデル10の変形計算におけるタイヤモデル10と路面モデル20との間の摩擦係数(第1の摩擦係数)をμ1、荷重(第1の荷重)をL1とすると、0.001×μ0≦μ1≦0.5×μ0、1.1×L0≦L1≦2.0×L0(好ましくは1.1×L0≦L1≦1.5×L0)とする。すなわち、第1の摩擦係数μ1は、基準摩擦係数μ0よりも小さく、第1の荷重L1は基準荷重L0よりも大きく設定される。
ここで、アスファルト路面上におけるタイヤのランフラット性能を評価する際には、基準摩擦係数μ0を1.0〜1.2の範囲に設定する。また、氷上におけるタイヤのランフラット性能を評価する際には、基準摩擦係数μ0を0.01〜0.2の範囲に設定する。このようにすることで、それぞれの路面上におけるランフラット性能を適切に評価することができる。
タイヤモデルの変形計算における条件を設定したら(ステップS103)、解析部52bは、タイヤモデル10を路面モデル20へ接地させて、ステップS103で設定した第1の摩擦係数μ1及び第1の荷重L1の条件で、タイヤモデル10の変形計算(接地変形計算)を実行する(ステップS104、図8−1)。
次に、解析部52bは、タイヤモデル10及び路面モデル20の境界条件を再設定する(ステップS105、図8−2)。再設定した境界条件は、第2の境界条件となる。このときのタイヤモデル10と路面モデル20との間の摩擦係数(第2の摩擦係数)をμ2、荷重(第2の荷重)をL2とすると、μ2=μ0、L2=L0とする。すなわち、第2の摩擦係数μ2は第1の摩擦係数μ1よりも大きく、また、第2の荷重L2は第1の荷重L1よりも小さくする。そして、解析部52bは、設定した第2の摩擦係数μ2及び第2の荷重L2で、タイヤモデル10の応力状態やひずみの状態等が平衡となるまで計算をする(ステップS106)。ここで、ステップS105、ステップS106が、平衡状態計算手順に相当する。
タイヤモデル10の平衡状態が得られたら(図8−3)、基準値(ランフラットの転動解析等によって予め求めておいた基準のタイヤモデル)と、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10とを比較する。例えば、基準値のタイヤモデルの形状と平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10の形状とを比較したり、基準値のタイヤモデルの応力(あるいはひずみ)と平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10の応力(あるいはひずみ)とを比較したりする。
その結果、基準値と、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10との差が許容範囲であれば、ステップS103及びステップS105で設定した境界条件が適切であると判断できる。基準値と、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10との差が許容範囲外の場合、ステップS103及びステップS105で設定した境界条件は適切でないと判断できる。この場合には、ステップS103及びステップS105で設定する境界条件を変更して、基準値と、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10との差が許容範囲になるまで、ステップS103〜ステップS106を繰り返す。
なお、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10と基準値との差が許容範囲内になれば、ステップS103及びステップS105で設定した境界条件は適切であるので、その後は、ステップS103及びステップS105で設定する境界条件を変更する必要はない。この場合、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10と基準値との差が許容範囲内になったときの境界条件を用いて、タイヤモデル10の材料や構造を変更して、様々な仕様のタイヤにおけるランフラット性能を評価する。
基準値と、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10との差が許容範囲になったら、解析部52bは、図8−3に示すタイヤモデル10又は路面モデル20のうち少なくとも一方から、評価対象のタイヤの特性(ランフラット性能、特にランフラット耐久性)を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出する。そして、抽出した特性物理量に基づいてタイヤモデル10の特性を評価する(ステップS107)。このとき、表示部53は、平衡状態となったタイヤモデル10を表示する。これによって、平衡状態となったタイヤモデル10の形状や応力状態等を把握しやすくする。ここで、抽出する所定の特性物理量は、例えば、変位、応力、ひずみ、路面モデル20との接触面積、路面モデル20との接触せん断力、路面モデル20との接触圧のうち少なくとも1つとする。
ランフラット性能は、例えば、タイヤモデル10の形状変化と内部力、タイヤモデル10と路面モデル20との接触特性(接触面積や接触圧力)から評価する。例えば、タイヤモデル10のセンター部における形状変化の変位が大きいとバックリングが大きくなり、ランフラット耐久性が低下すると判断できる。また、例えば、タイヤモデル10の局所応力や局所ひずみが大きいと、ランフラット耐久性が低下すると判断できる。また、タイヤモデル10と路面モデル20との接触面積が小さく局所的な接触圧力が高いと、ランフラット耐久性が低下すると判断できる。
上述した手順により、ランフラット状態でタイヤが転動しているときのバックリング状態を精度よく再現でき、ランフラット性能(特に耐久性能)を適切に評価することができる。ここで、第2の摩擦係数μ2を設定するにあたって、第2の摩擦係数μ2は、第1の摩擦係数μ1よりも大きく、かつ基準摩擦係数μ0より大きくしてもよい(μ2>μ0>μ1)。これによって、平衡状態計算手順においては、変形後におけるタイヤモデル10の形状を維持することが容易となる。
なお、タイヤモデル10の平衡計算(ステップS106)をした後、かつタイヤモデル10の特性を評価する(ステップS107)前に、さらに、タイヤモデル10又は路面モデル20の少なくとも一方に所定の条件を付加して前記タイヤモデルを変形させる計算をしてもよい(追加変形計算手順)。このとき、表示部53は、所定の条件を付加して変形計算した後のタイヤモデル10を表示する。これによって、変形後におけるタイヤモデル10の形状や応力状態等を把握しやすくする。
タイヤモデル10の又は路面モデル20の少なくとも一方に所定の条件を付加した計算としては、例えば、横変位(Y軸(回転軸)と平行な方向の変位)を与えた場合における横剛性の計算、前後変位(X軸と平行な方向の変位)を与えた場合における周剛性の計算、ねじり(Z軸周りの回転変形)を与えた場合におけるねじり剛性の計算等である。図9には、横変位δY(Y軸(回転軸)と平行な方向の変位)を与えた場合を示してある。
摩擦を考慮した計算では、タイヤモデル10の変形や応力状態等は与えられた接触変形の履歴に依存するため、このように、所定の条件を付加してもタイヤモデル10の形状は維持され、所定の条件を付加した状態で適正な計算ができる。このように、横剛性や周剛性等を考慮することによって、実際のタイヤが転動しているときの変形を考慮してタイヤのランフラット性能を評価することができる。
以上、この実施形態では、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。次に、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に、タイヤモデルに負荷する荷重を第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算する。そして、これによって得られたタイヤモデルを用いて、性能予測対象のタイヤのランフラット性能(特に耐久性)を評価する。タイヤモデルの動的な釣り合い状態を評価するためには半周以上の回転が必要になるが、この実施形態では、静的な釣り合い状態を計算することでランフラット走行におけるタイヤの状態を再現する。これによって、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できる。また、この実施形態は、特に、氷上のように摩擦係数が低い状態におけるランフラット性能を評価する際に好適である。なお、この実施形態と同様の構成を備えるものは、この実施形態と同様の作用、効果を奏する。また、この実施形態で開示した構成は、以下の実施形態でも適宜適用することができる。
(実施形態2)
実施形態2は実施形態1と略同様であるが、垂直荷重の代わりにタイヤの前後力を用いる点が異なる。他の構成は実施形態1と同様である。この実施形態に係るタイヤの性能予測方法は、実施形態1に係るタイヤの性能予測装置50(図2、図3参照)によって実現できる。以下の説明においては、適宜図1〜10を参照されたい。
図11は、実施形態2に係るタイヤの性能予測方法の手順を示すフローチャートである。図12−1〜図12−3は、実施形態2に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。この実施形態に係るタイヤの性能予測方法におけるステップS201、ステップS202は、実施形態1に係るタイヤの性能予測方法のステップS101、ステップS102(図4)と同様である。ランフラット条件が設定されたら(ステップS202)、解析部52bは、タイヤモデルの変形計算における境界条件(第1の境界条件)を設定する(ステップS203)。
この実施形態において、タイヤのランフラット性能を予測する際には、タイヤモデル10を転動させることなく、実際のランフラット走行時におけるタイヤの形状、応力あるいはひずみ等の状態を再現する。このため、この実施形態に係るタイヤの性能予測方法では、タイヤモデル10を路面モデル20に接地させて、タイヤモデル10に所定の荷重を負荷してタイヤモデル10を変形させる変形計算における摩擦係数μと荷重(垂直荷重)Lとを、次のように設定する。
ここで、実施形態1で説明したように、タイヤ1と路面9との間における実際の摩擦係数(基準摩擦係数)をμ0とし、車両に装着されたタイヤ1に負荷される荷重(基準荷重)をL0とする(図10参照)。この実施形態では、タイヤモデル10の変形計算におけるタイヤモデル10と路面モデル20との間の摩擦係数(第1の摩擦係数)をμ1、前後力(第1の前後力)をT1とすると、0.001×μ0≦μ1≦0.5×μ0、0.1×μ1×L0≦T1≦1.0×μ1×L0に設定する(図12−1参照)。すなわち、第1の摩擦係数μ1は、基準摩擦係数μ0よりも小さく、第1の前後力T1は基準荷重L0よりも小さく設定される。なお、前後力の代わりに、タイヤモデル10の前後変位を用いてもよい。
タイヤモデルの変形計算における条件を設定したら(ステップS203)、解析部52bは、タイヤモデル10を路面モデル20へ接地させて、ステップS203で設定した第1の摩擦係数μ1及び第1の前後力T1の条件で、タイヤモデル10の変形計算(接地変形計算)を実行する(ステップS204)。
次に、解析部52bは、タイヤモデル10及び路面モデル20の境界条件を再設定する(ステップS205)。再設定された境界条件は、第2の境界条件となる。このときのタイヤモデル10と路面モデル20との間の摩擦係数(第2の摩擦係数)をμ2、前後力(第2の前後力)をT2とすると、μ2=μ0に、T2=0にする(図12−2参照)。すなわち、第2の摩擦係数μ2は第1の摩擦係数μ1よりも大きく、また、第2の前後力T2は第1の前後力T1よりも小さくする。これは、摩擦係数μを変更するとタイヤモデル10の周剛性が変化するため、摩擦係数μの変更にともなってタイヤモデル10の前後力Tを変更する。次に、解析部52bは、設定した第2の摩擦係数μ2及び第2の前後力T2で、タイヤモデル10の応力状態やひずみの状態等が平衡となるまで計算をする(ステップS206、図12−3)。ここで、ステップS205、ステップS206が、平衡状態計算手順に相当する。
タイヤモデル10の平衡状態が得られ、かつ予め求めた基準値と、平衡状態の得られたこの実施形態に係るタイヤモデル10との差が許容範囲である場合には、ステップS203及びステップS206で設定した境界条件を、評価に用いる境界条件とする。以後、タイヤモデル10の材料や構造を変更して、様々な仕様のタイヤにおけるランフラット性能を評価する場合には、ステップS203及びステップS206で設定した境界条件を用いる。
解析部52bは、タイヤモデル10又は路面モデル20のうち少なくとも一方から、評価対象のタイヤの特性(ランフラット性能、特にランフラット耐久性)を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出し、これに基づいてタイヤモデル10の特性を評価する(ステップS207)。このとき、表示部53は、平衡状態となったタイヤモデル10を表示する。これによって、平衡状態となったタイヤモデル10の形状や応力状態等を把握しやすくする。ここで、抽出する所定の特性物理量は、例えば、変位、応力、ひずみ、路面モデル20との接触面積、路面モデル20との接触せん断力、路面モデル20との接触圧のうち少なくとも1つとする。上述した手順により、ランフラットでタイヤが転動しているときのバックリング状態を精度よく再現でき、ランフラット性能(特に耐久性能)を適切に評価することができる。
ここで、第2の摩擦係数μ2を設定するにあたって、第2の摩擦係数μ2は、第1の摩擦係数μ1よりも大きく、かつ基準摩擦係数μ0より大きくしてもよい(μ2>μ0>μ1)。これによって、平衡状態計算手順においては、変形後におけるタイヤモデル10の形状を維持することが容易となる。なお、実施形態1と同様に、タイヤモデル10の平衡計算(ステップS206)をした後、かつタイヤモデル10の特性を評価する(ステップS207)前に、さらに、タイヤモデル10又は路面モデル20の少なくとも一方に所定の条件を付加して前記タイヤモデルを変形させる計算をしてもよい(追加変形計算手順)。これによって、実際のタイヤが転動しているときの変形を考慮してタイヤのランフラット性能を評価することができる。
以上、この実施形態では、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に、タイヤモデルに負荷する荷重を第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することによりタイヤモデルを得る。そして、このような手順で得られたタイヤモデルを用いて、性能予測対象のタイヤのランフラット性能(特に耐久性)を評価する。これによって、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できる。また、ランフラットでタイヤが転動しているときのバックリング状態を精度よく再現でき、ランフラット性能を適切に評価することができる。また、この実施形態は、特に、氷上のように摩擦係数が低い状態におけるランフラット性能を評価する際に好適である。なお、この実施形態と同様の構成を備えるものは、この実施形態と同様の作用、効果を奏する。
上記実施形態からは、さらに次の発明が開示される。上記実施形態から開示される第1の発明は、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成する手順と、前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する荷重を、前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をする手順と、前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記タイヤに負荷する荷重を、前記第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算して評価用のタイヤモデルを作成する手順と、を含むことを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
このタイヤモデルの作成方法では、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に、タイヤモデルに負荷する荷重を第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することにより、ランフラット性能を評価するためのタイヤモデルを得る。タイヤモデルの動的な釣り合い状態を評価するためには半周以上の回転が必要になるが、この実施形態では、静的な釣り合い状態を計算することでランフラット走行におけるタイヤの状態を再現する。これによって、ランフラット走行のようにタイヤモデルの変形が大きい場合であっても、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できるタイヤモデルを作成できる。
上記実施形態から開示される第2の発明は、前記第1の発明において、前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数とし、また、前記第2の荷重を前記タイヤへ実際に負荷される荷重とすることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第3の発明は、前記第1の発明において、前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも大きくし、また、前記第2の荷重を前記タイヤへ実際に負荷される荷重とすることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第4の発明は、前記第1〜前記第3のいずれか1つに記載の発明において、前記第1の摩擦係数は、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数の0.001倍以上0.5倍以下であり、また、前記第1の荷重は、前記タイヤへ実際に負荷される荷重の1.1倍以上2.0倍以下であることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第5の発明は、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成する手順と、前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する前後力を前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をする手順と、前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記前後力を前記第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算して評価用のタイヤモデルを作成する手順と、を含むことを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
このタイヤモデルの作成方法では、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を、タイヤと路面との間における実際の摩擦係数よりも低い第1の摩擦係数に設定し、かつタイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力を前記タイヤモデルに負荷して、前記タイヤモデルの変形計算を実行する。そして、タイヤモデルと路面モデルとの間における摩擦係数を第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に、タイヤモデルに負荷する荷重を第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、タイヤモデルが平衡状態になるまで計算することにより、ランフラット性能を評価するためのタイヤモデルを得る。これによって、ランフラット走行のようにタイヤモデルの変形が大きい場合であっても、走行中におけるタイヤのランフラット性能を効率的かつ精度よく予測できるタイヤモデルを作成できる。また、この方法によって作成されたタイヤモデルは、ランフラットでタイヤが転動しているときのバックリング状態を精度よく再現でき、ランフラット性能を適切に評価することができる。
上記実施形態から開示される第6の発明は、前記第5の発明において、前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数とし、また、前記第2の前後力を0とすることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第7の発明は、前記第5又は前記第6の発明において、前記第1の摩擦係数は、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数の0.001倍以上0.5倍以下であり、また、前記第1の前後力は、前記第1の摩擦係数と前記タイヤへ実際に負荷される荷重との積の0.1倍以上1.0倍以下であることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第8の発明は、前記第1〜前記第7のいずれか1つに記載の発明において、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算した後、前記タイヤモデル又は前記路面モデルの少なくとも一方に所定の条件を付加して前記基準タイヤモデルの変形計算をすることにより得られたタイヤモデルを、前記タイヤの性能評価に用いる評価用タイヤモデルとすることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第9の発明は、前記第1〜前記第8のいずれか1つに記載の発明において、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数は、1.0以上1.2以下であることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第10の発明は、前記第1〜前記第8のいずれか1つに記載の発明において、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数は、0.01以上0.2以下であることを特徴とするタイヤモデルの作成方法である。
上記実施形態から開示される第11の発明は、前記第1〜前記第10のいずれか1つに記載のタイヤモデルの作成方法をコンピュータに実行させることを特徴とするタイヤモデルの作成用コンピュータプログラムである。
このタイヤモデルの作成用コンピュータプログラムをコンピュータに読み取らせて実行させることによって、コンピュータを利用して前記タイヤモデルの作成方法を実現することができ、前記タイヤモデルの作成方法と同様の作用、効果を得ることができる。
図13−1、図13−2は、実施形態1で開示した手法によって得られたランフラット走行時におけるタイヤモデルを示す説明図である。図13−3は、ランフラット走行の転動解析によって得られた結果を示す説明図である。図13−1〜図13−3には、タイヤモデルの子午断面形状を示してあり、節点や要素は省略してある。
図13−1に示すタイヤモデルは、μ1=0.001、L1=1.5×L0とした後、μ2=μ0=0.1、L2=L0とすることによって得られたものである。図13−2に示すタイヤモデルは、μ1=0.001、L1=2.0×L0とした後、μ2=μ0=0.1、L2=L0とすることによって得られたものである。図13−3に示すタイヤモデル10は、車両の走行速度が12km/hである条件で、μ0=0.1としてランフラット走行の転動解析を行うことによって得られたものである。なお、図13−1、図13−2に示すタイヤモデル10は、いずれも静荷重を負荷した静解析を行うことによって得られる。
実施形態1に係る手法により得られたタイヤモデル10(図13−1、図13−2)は静解析により得られたものであるが、ランフラット走行の転動解析で得られたタイヤモデル10(図13−3)と近似した形状が得られることがわかる。また、図13−3に示すタイヤモデル10を得るため転動解析に要した計算時間は8時間であるのに対し、実施形態1に係る手法に要する計算時間は1.8時間であり、転動解析に要する時間の1/4以下である。このように、実施形態1に係る手法によれば、転動解析と比較して計算時間を大幅に短縮し、かつランフラット性能を精度よく評価できる。
図14−1は、実施形態2で開示した手法によって得られたランフラット走行時におけるタイヤモデルを示す説明図である。図14−2は、ランフラット走行の転動解析によって得られた結果を示す説明図である。図14−1、図14−2には、タイヤモデルの子午断面形状を示してあり、節点や要素は省略してある。
図14−1に示すタイヤモデルは、μ1=0.3、第1の前後力T1=0.5×L0とした後、μ2=μ0=1.0、第2の前後力T2=0とすることによって得られたものである。図14−2に示すタイヤモデル10は、車両の走行速度が12km/hである条件で、μ0=1.0としてランフラット走行の転動解析を行うことによって得られたものである。なお、図14−1に示すタイヤモデル10は、静解析によって得られる。
実施形態2に係る手法により得られたタイヤモデル10(図14−1)は静解析により得られたものであるが、ランフラット走行の転動解析で得られたタイヤモデル10(図14−2)と近似した形状が得られることがわかる。また、図14−2に示すタイヤモデル10を得るため転動解析に要した計算時間は8時間であるのに対し、実施形態2に係る手法に要する計算時間は1.8時間であり、転動解析に要する時間の1/4以下である。このように、実施形態2に係る手法によれば、転動解析と比較して計算時間を大幅に短縮し、かつランフラット性能を精度よく評価できる。
以上のように、本発明に係るタイヤの性能予測方法及びタイヤの性能予測用コンピュータプログラム、並びにタイヤの性能予測装置は、タイヤの性能予測に有用であり、特に、サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤの性能を予測することに適している。
タイヤの回転軸を通る子午断面を示す断面図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測方法を実行するタイヤの性能予測装置の構成例を示す説明図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測装置が備える処理部の構成を示す説明図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測方法の手順を示すフローチャートである。 タイヤモデルの一例を示す斜視図である。 図5に示すタイヤモデルの子午断面を示す一部断面図である。 図5、図6に示すタイヤモデルを接地させる路面モデルを示す説明図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。 実施形態1に係るタイヤの性能予測方法で用いるパラメータの説明図である。 実施形態2に係るタイヤの性能予測方法の手順を示すフローチャートである。 実施形態2に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。 実施形態2に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。 実施形態2に係るタイヤの性能予測方法を説明する概念図である。 実施形態1で開示した手法によって得られたランフラット走行時におけるタイヤモデルを示す説明図である。 実施形態1で開示した手法によって得られたランフラット走行時におけるタイヤモデルを示す説明図である。 ランフラット走行の転動解析によって得られた結果を示す説明図である。 実施形態2で開示した手法によって得られたランフラット走行時におけるタイヤモデルを示す説明図である。 ランフラット走行の転動解析によって得られた結果を示す説明図である。
符号の説明
1 タイヤ
2 カーカス
3 ベルト
4 ベルトカバー
5 ビードコア
7 ゴム補強層
9 路面
10 タイヤモデル
20 路面モデル
50 性能予測装置
51 入力部
52 処理部
52a 解析モデル作成部
52b 解析部
53 表示部
54 記憶部
100 車両

Claims (15)

  1. サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成するモデル作成手順と、
    前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する荷重を、前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をする変形計算手順と、
    前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記タイヤに負荷する荷重を、前記第1の荷重よりも小さい第2の荷重に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する平衡状態計算手順と、
    前記平衡状態計算手順後における前記タイヤモデル又は前記路面モデルのうち少なくとも一方から、前記タイヤの特性を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出する評価手順と、
    を含むことを特徴とするタイヤの性能予測方法。
  2. 前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数とし、また、前記第2の荷重を前記タイヤへ実際に負荷される荷重とすることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの性能予測方法。
  3. 前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも大きくし、また、前記第2の荷重を前記タイヤへ実際に負荷される荷重とすることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの性能予測方法。
  4. 前記第1の摩擦係数は、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数の0.001倍以上0.5倍以下であり、また、前記第1の荷重は、前記タイヤへ実際に負荷される荷重の1.1倍以上2.0倍以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤの性能予測方法。
  5. サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成するモデル作成手順と、
    前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する前後力を前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも小さい第1の前後力に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をする変形計算手順と、
    前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記前後力を前記第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する平衡状態計算手順と、
    前記平衡状態計算手順後における前記タイヤモデル又は前記路面モデルのうち少なくとも一方から、前記タイヤの特性を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出する評価手順と、
    を含むことを特徴とするタイヤの性能予測方法。
  6. 前記第2の摩擦係数を前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数とし、また、前記第2の前後力を0とすることを特徴とする請求項5に記載のタイヤの性能予測方法。
  7. 前記第1の摩擦係数は、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数の0.001倍以上0.5倍以下であり、また、前記第1の前後力は、前記第1の摩擦係数と前記タイヤへ実際に負荷される荷重との積の0.1倍以上1.0倍以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載のタイヤの性能予測方法。
  8. 前記平衡状態計算手順の後、前記タイヤモデル又は前記路面モデルの少なくとも一方に所定の条件を付加することにより、前記タイヤモデルを変形させる計算をする追加変形計算手順を設け、
    前記評価手順においては、前記追加変形計算手順後における前記タイヤモデル又は前記路面モデルのうち少なくとも一方から、前記タイヤの特性を評価するために用いる所定の特性物理量を抽出することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のタイヤの性能予測方法。
  9. 前記特性物理量は、変位、応力、ひずみ、接触面積、接触せん断力、接触圧のうち少なくとも1つであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤの性能予測方法。
  10. 前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数は、1.0以上1.2以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤの性能予測方法。
  11. 前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数は、0.01以上0.2以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤの性能予測方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載のタイヤの性能予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とするタイヤの性能予測用コンピュータプログラム。
  13. サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成する解析モデル作成部と、
    前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する荷重を、前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をするとともに、
    前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも小さい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記タイヤに負荷する荷重を、前記第1の荷重よりも大きい第2の荷重に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する解析部と、
    前記解析部が計算した、平衡となった状態の前記タイヤモデルを表示する表示部と、
    を含むことを特徴とするタイヤの性能予測装置。
  14. サイドウォールの内側にゴム補強層を備えるタイヤ及び前記タイヤが接地する路面をモデル化し、解析に用いるタイヤモデル及び路面モデルを作成する解析モデル作成部と、
    前記タイヤモデルと前記路面モデルとの間における摩擦係数を、前記タイヤと前記路面との間における実際の摩擦係数よりも小さい第1の摩擦係数に設定し、また、前記タイヤモデルに負荷する荷重を、前記タイヤへ実際に負荷される荷重よりも大きい第1の荷重に設定して、ランフラット走行時の内圧とした前記タイヤモデルを前記路面モデルに接触させた状態で前記タイヤモデルの変形計算をするとともに、
    前記タイヤモデルの接地面における摩擦係数を、前記第1の摩擦係数よりも大きい第2の摩擦係数に再設定し、また、前記前後力を前記第1の前後力よりも小さい第2の前後力に再設定して、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算する解析部と、
    前記解析部が計算した、平衡となった状態の前記タイヤモデルを表示する表示部と、
    を含むことを特徴とするタイヤの性能予測装置。
  15. 前記解析部は、前記タイヤモデルの状態が平衡となるまで計算した後、前記タイヤモデルの回転軸又は前記路面モデルの少なくとも一方に所定の条件を付加して前記タイヤモデルを変形させ、
    前記表示部は、変形後の前記タイヤモデルを表示することを特徴とする請求項13又は14に記載のタイヤの性能予測装置。
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