JP5541045B2 - タイヤの解析方法及びタイヤの解析用コンピュータプログラム、並びに解析装置 - Google Patents

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Description

本発明は、コンピュータを用いたタイヤの解析に関する。
コンピュータを用いた解析によってタイヤの様々な性能を評価し、これに基づいて構造物を設計する手法が提案され、実用化されてきている。特許文献1には、複数の陸部からなるパターンを備えたパターン付きタイヤを複数の部品に分割し、各々の部品を多数要素に分割して形成した複数の部品モデルを組み合わせたタイヤモデル、及びホイールを多数要素に分割して形成したホイールモデルを作成すると共に、サスペンションを多数要素に分割したサスペンションモデルを作成し、タイヤモデルとホイールモデルとを組み合わせることにより作成したタイヤホイール組付体モデルからなる第1の数値計算モデルとサスペンションモデルを含む第2の数値計算モデルとを1つの数値計算モデルとしてパターン付きタイヤの性能を使用状態で解析するようにしたものが開示されている。
特開2005−263222号公報、段落[0012]
特許文献1に開示されている技術は、パターン付きタイヤのタイヤモデルを用いるため、詳細な解析ができるという利点があるが、計算時間は増加してしまう。特に、懸架装置を介してタイヤモデルを車体に取り付けた車両全体のモデルを作成し、例えば、このモデルを用いて車体の振動応答解析を実行するような場合、計算時間の増加は顕著になる。一方、パターンのない簡略化されたタイヤモデルを用いれば、計算時間は短縮できるが、大まかな解析結果しか得られず、また解析の精度が低下するおそれもあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、コンピュータを用いたタイヤの解析において、計算時間の増加を抑制しつつ、計算精度の低下を抑制することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤの解析方法は、コンピュータがタイヤの解析を実行するにあたり、前記コンピュータが、解析対象のタイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割されることによって作成された、前記コンピュータで解析可能な第1解析モデルを前記コンピュータで解析可能な接触対象モデルに接触させ、接触解析を実行する接触解析手順と、前記コンピュータが、前記接触解析の終了した後における前記第1解析モデルの前記接触対象モデルとの接触部分から物理量を取得する物理量取得手順と、前記タイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割され、かつ前記要素は前記第1解析モデルよりも寸法が大きい、前記コンピュータで解析可能な第2解析モデルに、前記コンピュータが、前記物理量取得手順で取得した前記物理量を付与する物理量付与手順と、前記コンピュータが、前記物理量を付与した前記第2解析モデルを解析する解析手順と、を含むことを特徴とする。
本発明の望ましい態様としては、前記第1解析モデルは、前記タイヤの表面に形成されるパターンがモデル化されており、前記第2解析モデルは、前記第1解析モデルよりも前記パターンが簡略であることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記物理量付与手順においては、前記コンピュータが、前記第2解析モデルの所定の節点の位置情報、及び当該所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルの節点の位置情報に基づいて、前記所定の節点に、前記第1解析モデルの節点の物理量を付与することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記物理量付与手順においては、前記コンピュータが、前記第2解析モデルの所定の節点と、当該所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルの節点との相対位置に基づいた重みを前記第1解析モデルの節点の物理量に与えるとともに、前記重みが与えられた後における物理量を加算することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記物理量付与手順は、前記第2解析モデルの所定の節点に、当該所定の節点が受け持つ領域A1を設定するとともに、前記所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルの節点に、当該節点が受け持つ領域A2を設定するとともに、当該領域A2の面積S2を求める手順と、前記所定の節点が受け持つ領域A1と、当該所定の節点の周囲に存在する前記第1解析モデルの節点が受け持つ領域A2とが重なる部分の面積S3を求める手順と、前記重なる部分に対応する前記第1解析モデルの節点の物理量に、S3/S2を重みとして与え、当該重みが与えられた物理量を、前記所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルのすべての節点について加算して得られた値を、前記所定の節点の物理量とする手順と、を含むことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記物理量付与手順においては、前記第2解析モデルの所定の節点に、当該所定の節点が受け持つ範囲を設定する手順と、当該範囲に属する前記第1解析モデルの節点を抽出する手順と、抽出された前記第1解析モデルの節点の物理量を、前記範囲に属する前記第1解析モデルのすべての節点について加算して得られた値を、前記第2解析モデルの節点の物理量とする手順と、を含むことが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記物理量付与手順においては、前記コンピュータが、取得した前記物理量を、複数の正方格子要素で構成された面の第3モデルに付与した後、前記第3モデルに付与された物理量を前記第2解析モデルに付与することが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記第1解析モデルの表面に形成されるパターンの部分における要素の平均寸法をA、前記第2解析モデルの表面に形成されるパターンの部分における要素の平均寸法をB、前記第3モデルの正方格子要素の平均寸法をCとしたとき、B>A>Cであることが好ましい。
本発明の望ましい態様としては、前記Cは、前記Aの1/1000以上1/10以下であることが好ましい。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤの解析用コンピュータプログラムは、前記タイヤの解析方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るタイヤの解析装置は、解析対象のタイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割されることによって作成された、コンピュータで解析可能な第1解析モデルをコンピュータで解析可能な接触対象モデルに接触させ、接触解析を実行する第1解析部と、前記接触解析の終了した後における前記第1解析モデルの前記接触対象モデルとの接触部分から物理量を取得する物理量取得部と、前記タイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割され、かつ前記要素は前記第1解析モデルよりも寸法が大きい、コンピュータで解析可能な第2解析モデルに、取得した前記物理量を付与する物理量付与部と、前記コンピュータが、前記物理量を付与した前記第2解析モデルを解析する第2解析部と、を含むことを特徴とする。
本発明は、コンピュータを用いたタイヤの解析において、計算時間の増加を抑制しつつ、計算精度の低下を抑制できる。
図1は、タイヤの子午断面図である。 図2は、本実施形態に係るタイヤの解析方法を実行する解析装置を示す説明図である。 図3は、本実施形態に係るタイヤの解析方法の手順を示すフローチャートである。 図4は、第1解析モデルの一例を示す部分斜視図である。 図5は、第2解析モデルの一例を示す部分斜視図である。 図6−1は、第1解析モデルの一部平面図である。 図6−2は、第1解析モデルを構成する要素の模式図である。 図7−1は、第2解析モデルの一部平面図である。 図7−2は、第2解析モデルを構成する要素の模式図である。 図8は、第1解析モデルに対して接触解析を実行する際の概念図である。 図9は、第1解析モデルの節点と第2解析モデルの節点との関係を示す模式図である。 図10は、物理量付与手順の第1の例を示すフローチャートである。 図11−1は、第1解析モデルの節点の受け持つ領域と、第2解析モデルの節点の受け持つ領域との関係を示す模式図である。 図11−2は、領域と要素との関係を示す模式図である。 図12は、物理量付与手順の第2の例を示すフローチャートである。 図13は、第1解析モデルの節点の受け持つ面積と、第2解析モデルの節点とを示す模式図である。 図14は、第1解析モデルの接地圧分布を第2解析モデルへ付与した一例を示す図である。 図15は、第2解析モデルを用いて振動応答解析を実行した例を示す図である。 図16は、第2解析モデルを用いた解析例を示す模式図である。 図17−1は、第3モデルを示す模式図である。 図17−2は、第3モデルを構成する正方格子要素を示す模式図である。 図18は、第3モデルを用いる物理量付与手順を示すフローチャートである。 図19は、第1解析モデルの節点と第3モデルの節点とを示す模式図である。 図20は、第3モデルを用いて第1解析モデルの物理量を第2解析モデルへ付与した一例を示す図である。
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の発明を実施するための形態(以下実施形態という)の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、以下に説明する構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
図1は、タイヤの子午断面図である。タイヤ1は、回転軸(Y軸)を中心として回転する環状構造体であり、中心軸の周りに、周方向に向かって同様の形状の子午断面が展開される。図1に示すように、タイヤ1の子午断面には、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4、ビードコア5が現れている。タイヤ1は、母材であるゴムを、補強材であるカーカス2、ベルト3、あるいはベルトカバー4等の補強コードによって補強した複合材料の構造体である。カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4等の、金属繊維や有機繊維等のコード材料で構成される補強コードの層をコード層という。
カーカス2は、タイヤ1に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐えるようになっている。ベルト3は、キャップトレッド6とカーカス2との間に配置されたゴム引きコードを束ねた補強コードの層である。ラジアルタイヤにおいて、ベルト3は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。
ベルト3の踏面G側には、ベルトカバー4が配置されている。ベルトカバー4は、ベルト3の保護層としての役割や、ベルト3の補強層としての役割を持つ。ビードコア5は、内圧によってカーカス2に発生するコード張力を支えているスチールワイヤの束である。ビードコア5は、カーカス2、ベルト3、ベルトカバー4及びトレッドとともに、タイヤ1の強度部材となる。キャップトレッド6の踏面G側には、溝7が形成される。これによって、雨天走行時の排水性を向上させる。また、タイヤ1の側部はサイドウォール8と呼ばれており、ビードコア5とキャップトレッド6との間を接続する。また、キャップトレッド6とサイドウォール8との間はショルダー部Shである。次に、本実施形態に係るタイヤの解析方法を実行する装置について説明する。
図2は、本実施形態に係るタイヤの解析方法を実行する解析装置を示す説明図である。本実施形態に係るタイヤの解析方法は、図2に示す解析装置50によって実現できる。解析装置50はコンピュータであり、図2に示すように、処理部52と記憶部54とで構成される。また、この解析装置50には、入出力装置51が電気的に接続されており、ここに備えられた入力手段53でタイヤを構成するゴムの物性値や補強コードの物性値、あるいは接触解析、転動解析、振動解析等における境界条件等を処理部52や記憶部54へ入力する。
入力手段53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。記憶部54には、タイヤの解析(接触解析や転動解析等)や本実施形態に係るタイヤの解析方法を含むコンピュータプログラムが格納されている。記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムに既に記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、接触解析や転動解析、あるいは本実施形態に係るタイヤの解析方法を実現できるものであってもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
処理部52は、モデル作成部52aと、第1解析部52bと、物理量取得部52cと、物理量付与部52dと、第2解析部52eとを含む。モデル作成部52aは、解析対象のタイヤを複数の節点で構成される複数の要素に分割して、解析に供する第1解析モデル及び第2解析モデルを作成して、記憶部54に保存する。第1解析部52bは、モデル作成部52aが作成した第1解析モデルを記憶部54から読み出し、所定の条件の下で接触解析や転動解析を実行して、解析結果を記憶部54の所定領域に保存する。
物理量取得部52cは、第1解析部52bが接触解析や転動解析を実行した後の第1解析モデルから物理量を取得し、記憶部54の所定領域へ一時的に保存する。より具体的には、物理量取得部52cは、記憶部54の所定領域に保存された解析終了後における第1解析モデルの解析結果から物理量を取得する。なお、この物理量は、解析モデルを構成する要素(より具体的には積分点)から取得される。
物理量付与部52dは、取得され、記憶部54の所定領域に保存されている第1解析モデルの物理量を取得し、第2解析モデルを構成する所定の節点へ付与する。そして、物理量付与部52dは、第1解析モデルの物理量が付与された第2解析モデルを、記憶部54の所定領域へ一時的に保存する。第2解析部52eは、物理量が付与された第2解析モデルを記憶部54から読み出し、所定の条件の下で振動解析等の解析を実行して、解析結果を記憶部54の所定領域に保存する。
処理部52は、例えば、メモリ及びCPU(Central Processing Unit)により構成されている。解析時においては、モデル作成部52aが作成した解析モデルや入力データ等に基づいて、処理部52が前記プログラムを処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、記憶部54へ演算途中の数値を適宜格納し、また記憶部54へ格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアによって、その機能を実現するものであってもよい。
表示手段55には、例えば、液晶表示装置等の表示用デバイスである。記憶部54は、他の装置(例えばデータベースサーバ)内にあってもよい。例えば、解析装置50は、入出力装置51を備えた端末装置から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。次に、本実施形態に係るタイヤの解析方法を説明する。なお、本実施形態に係るタイヤの解析方法は、上述した解析装置50により実現できる。
図3は、本実施形態に係るタイヤの解析方法の手順を示すフローチャートである。図4は、第1解析モデルの一例を示す部分斜視図である。図5は、第2解析モデルの一例を示す部分斜視図である。図6−1は、第1解析モデルの一部平面図であり、図6−2は、第1解析モデルを構成する要素の模式図である。図7−1は、第2解析モデルの一部平面図であり、図7−2は、第2解析モデルを構成する要素の模式図である。図6−1、図7−1では、第1解析モデル10、第2解析モデル20を構成する要素は省略している。図8は、第1解析モデルに対して接触解析を実行する際の概念図である。
本実施形態に係るタイヤの解析方法を実行するにあたり、ステップS10で、図2に示す解析装置50のモデル作成部52aは、解析対象であるタイヤの解析モデルを作成する。また、モデル作成部52aは、ステップS20において実行される接触解析において、タイヤの解析モデルと接触させる接触対象の解析モデル(接触対象モデル)を作成する。本実施形態において、解析モデルとは、コンピュータを用いて数値解析可能なモデルであり、数学的モデルや数学的離散化モデルを含む。本実施形態において、モデル作成部52aは、解析対象のタイヤに基づき、図4に示す第1解析モデル10及び図5に示す第2解析モデル20を作成し、記憶部54の所定の領域に保存する。なお、第2解析モデル20は、後述するステップS40が実行されるまでに作成されていればよいので、必ずしもステップS10で作成される必要はない。モデル作成部52aは、例えば、解析対象のタイヤのCAD(Computer Aided Design)データから、第1解析モデル10や第2解析モデル20を作成する。
第1解析モデル10及び第2解析モデル20は、有限要素法や有限差分法等の数値解析手法を用いて解析(接触解析や転動解析、振動解析等)を行うために用いるモデルである。例えば、本実施形態では、第1解析モデル10及び第2解析モデル20の解析に有限要素法(Finite Element Method:FEM)を使用するので、第1解析モデル10及び第2解析モデル20は、有限要素法に基づいて作成される。
本実施形態に係る解析に適用できる解析手法は有限要素法に限られず、有限差分法(Finite Differences Method:FDM)や境界要素法(Boundary Element Method:BEM)等も使用できる。また、境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することもできる。なお、有限要素法は、構造解析に適した解析手法なので、特にタイヤのような構造体に対して好適に適用できる。
ステップS10において、モデル作成部52aは、環状構造体であるタイヤを、複数かつ有限個の要素11に分割して、図4に示すような第1解析モデル10を作成し、複数かつ有限個の要素21に分割して、図5に示すような第1解析モデル20を作成する。本実施形態では、第1解析モデル10及び第2解析モデル20は、それぞれ図4、図5に示すような3次元形状の解析モデルとなる。
第1解析モデル10及び第2解析モデル20を構成する要素11、21は、例えば、3次元の解析モデルでは四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素、面要素等、コンピュータで取り扱い得る要素とすることが望ましい。このようにして分割された要素は、解析の過程においては、3次元の解析モデルでは3次元座標や円筒座標を用いて逐一特定される。接触対象モデルは、例えば、路面を解析モデル化したものであり、平面の解析モデルのような2次元の解析モデルで構成されてもよい。2次元の解析モデルを構成する要素は、例えば、三辺形要素、四辺形要素がある。2次元の解析モデルを構成する要素は、解析の過程においては2次元座標を用いて逐一特定される。
図6−1に示すように、第1解析モデル10は、周方向溝L及びラグ溝Rが踏面に形成される。周方向溝L及びラグ溝Rにより、第1解析モデル10の踏面には、元となったタイヤの表面に形成されるパターンがモデル化される。一方、図7−1に示すように、第2解析モデル20は、周方向溝Lのみが踏面に形成される。周方向溝Lのみが踏面に配置されることにより、第2解析モデル20の踏面には、元となったタイヤの表面に形成されるパターンが簡略化されてモデル化される。このように、第2解析モデル20は、踏面に形成されるパターンが第1解析モデル10よりも簡略であり、踏面にパターンが形成されていなくてもよい。タイヤ単体、タイヤとリムとの組、あるいはこれらに加えて懸架装置や車体を解析モデル化して振動応答解析をするような場合、パターンを詳細に再現した解析モデルを用いると計算時間が膨大になってしまう。本実施形態では、第1解析モデル10よりも簡略にした第2解析モデル20を用いて、振動応答解析や転動解析といった、タイヤの性能を評価するための解析を実行する。これによって、計算時間の増加を抑制する。また、後述するように、パターンを詳細にモデル化した第1解析モデル10を接触解析することにより得られた物理量を第2解析モデル20に付与することで、パターンを簡略にすることに起因する解析精度の低下等を抑制する。
図6−2に示すように、第1解析モデル10を構成する要素(必要に応じて第1要素という)11は、複数の節点12で構成される。図7−2に示すように、第2解析モデル20を構成する要素(必要に応じて第2要素という)21は、複数の節点22で構成される。第1解析モデル10の表面(踏面)に形成されるパターンの部分における第1要素11の平均寸法をA、第2解析モデル20の表面(踏面)に形成されるパターンの部分における第2要素21の平均寸法をBとすると、B>Aとなる。第1解析モデル10と第2解析モデル20とは、同じタイヤから作成されるので、第2解析モデル20の要素数の方が第1解析モデル10の要素数よりも少なくなる。第1要素11の平均寸法A、第2要素21の平均寸法Bには、例えば、パターンの部分におけるすべての第1要素11やすべての第2要素21の代表寸法の平均値を用いるが、これに限定されるものではない。第1要素11、第2要素21の代表寸法は、例えば、これらの最も寸法の大きい辺の値を用いる。
ステップS10で第1解析モデル10及び第2解析モデル20が作成されたらステップS20へ進む。ステップS20において、図2に示す解析装置50の第1解析部52bは、記憶部54から第1解析モデル10を読み出し、第1解析モデル10に対して接触解析を実行し、解析結果(各節点の座標や物理量等)を記憶部54の所定領域に保存する。この手順が接触解析手順に対応する。接触解析を実行するにあたっては、解析条件(使用環境の条件や負荷する荷重等)が設定される。解析条件は、例えば、図2に示す解析装置50の入力手段53を介して入力されて、記憶部54へ一時的に保存される。解析条件が設定されたら、解析部52bは、記憶部54から解析条件を取得しながら、第1解析モデル10の接触解析を実行する。
接触解析とは、第1解析モデル10と平面あるいは曲面との静的、動的な接触状態において、少なくとも第1解析モデル10の変形やひずみ、あるいは応力の状態を解析するものである。本実施形態では、図8に示すように、第1解析モデル10を接触対象(この例では路面モデル41であり、接触対象モデルに相当する)に接触させた状態で、第1解析モデル10の変形やひずみ、あるいは応力の状態を解析する。接触解析は、荷重や内圧を第1解析モデル10に負荷した状態で解析してもよい。また、接触解析に加え、第1解析モデル10を回転軸(Y軸)周りに回転させながら転動させる転動解析(動的転動解析や定常輸送解析)を実行してもよい。
接触解析が終了したら、ステップS30へ進み、図2に示す解析装置50の物理量取得部52cは、記憶部54に保存されている第1解析モデル10を接触解析した解析結果から、第1解析モデル10の路面モデル41(接触対象モデル)との接触部分42(図8参照)から物理量を取得する。この手順が物理量取得手順に相当する。物理量取得部52cが取得する物理量としては、例えば、第1解析モデル10と路面モデル41との接触部分42に生じる相互作用によって生ずるものであり、接触反力、接触せん断力、位置、変位、速度、接地圧、接触せん断応力等が挙げられる。このような物理量は、第1解析モデル10を構成する節点12から取得される。第1解析モデル10から物理量を取得する場合、物理量取得部52cは、前記接触部分に存在する節点12の物理量とともに、節点12の位置情報(例えば、座標)も取得する。物理量取得部52cは、取得した物理量を、当該物理量を取得した節点、及び当該節点の位置情報と対応付けておき、例えば、記憶部54の所定領域へ保存する。
第1解析モデル10の物理量が取得されたら、ステップS40へ進み、図2に示す解析装置50の物理量付与部52dは、物理量取得部52cが取得した物理量を、第2解析モデル20に付与する。この手順が、物理量付与手順に相当する。次に、物理量付与手順を説明する。
図9は、第1解析モデルの節点と第2解析モデルの節点との関係を示す模式図である。物理量付与手順において、物理量付与部52dは、図9に示す第2解析モデル20の所定の節点(第2節点)22の位置情報、及び第2節点22の周りに存在する第1解析モデル10の節点(第1節点)12の位置情報に基づいて、第2節点22に、第1節点12の物理量を付与する。このように、第1節点12と第2節点22との相対位置に関係付けて第1節点12の物理量を第2節点22に付与することで、第1解析モデル10の物理量の分布を第2解析モデル20に付与することができる。
例えば、物理量付与部52dは、図9に示す第2節点22の周りに存在する第1節点12のうち、第2節点22からの距離が所定範囲内にあるものの物理量を加算した値を、第2節点22の物理量とする。また、例えば、物理量付与部52dは、第2節点22と、第2節点22の周りに存在する第1節点12との相対距離の大きさに基づいた重みを第1節点12の物理量に与えるとともに、この重みが与えられた後における物理量を加算した値を、第2節点22の物理量とする。これによって、第2節点22が受け持つ領域23(図9参照)に含まれる物理量を、第1節点12の物理量の総和で代表させることができる。なお、ステップS40で第2解析モデル20へ付与する物理量は、加算できる物理量であることが必要である。このような物理量は、例えば、力(反力、引張力、圧縮力)であり、応力や圧力は、そのままでは加算できないが、面積を乗ずることにより加算できる物理量に変換できる。
例えば、第2節点22からの第1節点12の相対距離が大きくなるにしたがって、第1節点12の物理量に与える重みを小さくしたり、第2節点22に近い順に重みを付けたり、第2節点22に最も近い第1節点12の重みを1、他を0としたりすることで、第1節点12の物理量に重みを与える。これによって、第1解析モデル10の物理量の分布が第2解析モデル20に表れるようにすることができる。次に、第2節点22と第1節点12との相対距離の大きさに基づいた重みを第1節点12の物理量に与え、重みが与えられた物理量を加算して第2節点22の物理量とする手法の一例を説明する。
図10は、物理量付与手順の第1の例を示すフローチャートである。図11−1は、第1解析モデルの節点の受け持つ領域と、第2解析モデルの節点の受け持つ領域との関係を示す模式図である。図11−2は、領域と要素との関係を示す模式図である。この物理量付与手順を実行するにあたり、ステップS411において、物理量付与部52dは、第2解析モデル20の所定の節点(第2節点)22に、この第2節点22が受け持つ領域A1(領域23)を設定する。同時に、物理量付与部52dは、第2節点22の周りに存在する第1解析モデル10の節点(第1節点)12a、12b、12c、12dに、これらの第1節点12a、12b、12c、12dが受け持つ領域A2(領域13a、13b、13c、13d)を設定するとともに、領域A2の面積S2を求める。
領域13a、13b、13c、13dの面積S2は、複数の第1節点12a、12b、12c、12dで構成される要素11で解析対象のタイヤを要素分割して第1解析モデル10を作成する際に、第1解析モデル10の踏面に存在するそれぞれの第1節点12に対して予め設定し、図2に示す解析装置50の記憶部54に保存しておく。そして、ステップS411においては、物理量付与部52dが記憶部54から領域13a、13b、13c、13dの面積S2を読み出す。
また、物理量付与部52dは、図8に示す接触部分42に存在するすべての第1節点12、及び接触部分42に対応する第2解析モデル20の部分に存在するすべての第2節点22について、領域23及び領域13a、13b等を生成してもよい。例えば、図11−2に示すように接触部分42に対応する第2解析モデル20の部分に存在する4個の要素21の重心g2で囲まれる領域を領域23とする。また、例えば、接触部分42に存在する4個の要素11の重心g1で囲まれる部分を、領域13(図11−1に示す領域13a、13b等に相当する)とする。
次に、ステップS412へ進み、物理量付与部52dは、図11−1に示す、領域23と領域13a、13b、13c、13dとが重なる部分14a、14b、14c、14dの面積S3を求める。重なる部分14a、14b、14c、14dは、図11においてはハッチングの部分である。例えば、領域13cは、すべての部分が領域23と重なっているが、領域13a、13b、13dは、一部が領域23と重なっている。このため、重なる部分14cの面積S3は、領域13cが最も大きくなる。
次に、ステップS413へ進み、物理量付与部52dは、ステップS412で求めた重なる部分14a、14b等に対応する第1節点12a、12b等の物理量に、第1節点12a、12b等が受け持つ領域13a、13b等の面積S2に対する、重なる部分14a、14b等の面積S3の割合S3/S2を重みとして与える。例えば、第1節点12aの物理量を力Faとし、第1節点12aが受け持つ領域13a(領域A2)に対する、領域13aと第2節点22が受け持つ領域23(領域A1)とが重なる部分14aの面積S3の割合をSa=S3/S2とすると、FaにSaを乗ずることにより、第1節点12aに重みが与えられることになる。同様に、第1節点12cの物理量を力Fcとし、第1節点12cが受け持つ領域13c(領域A2)に対する、領域13cと第2節点22が受け持つ領域23(領域A1)とが重なる部分14cの面積S3の割合をSc=S3/S2とすると、Fc×Scにより第1節点12cの力Fcに重みが与えられることになる。領域13a、13b、13c、13dの面積が等しいとすると、領域13cはすべてが領域23と重なっているため、Sc=1となり、領域13a、13b、13dは一部が領域23と重なっているため、Sa<1となる。
物理量付与部52dは、第2節点22に周りであって、領域23と重なる領域を有するすべての第1節点12a、12b等の物理量について上述した手法で重みを付与する。そして、ステップS414へ進み、物理量付与部52dは、重みが与えられた物理量を、第2節点22の周りに存在するすべての第1節点12a、12b等について加算し、これによって得られた値を、領域23に対応する第2節点22の物理量とする。物理量付与手順において、物理量付与部52dは、図8に示す接触部分42に存在するすべての第1節点12の物理量を、接触部分42に対応する第2解析モデル20の部分に存在するすべての第2節点22に付与するまで、上述したステップS411〜ステップS414を繰り返す。このような手順により、第1解析モデル10の物理量の分布を精度よく反映して第2節点22に付与できる。次に、物理量付与手段の他の第2の例を説明する。
図12は、物理量付与手順の第2の例を示すフローチャートである。図13は、第1解析モデルの節点の受け持つ面積と、第2解析モデルの節点とを示す模式図である。この物理量付与手順を実行するにあたり、ステップS421において、物理量付与部52dは、第2解析モデル20の所定の節点(第2節点)22に、この第2節点22が受け持つ範囲(領域23)を設定する。領域23は、複数の第2節点22で構成される要素21で解析対象のタイヤを要素分割して第2解析モデル20を作成する際に、第2解析モデル20の踏面に存在するそれぞれの第2節点22に対して予め設定し、図2に示す解析装置50の記憶部54に保存しておく。ステップS421においては、物理量付与部52dが記憶部54から領域23を読み出す。また、物理量付与部52dは、例えば、図8に示す接触部分42に対応する第2解析モデル20の部分に存在する第2節点22について、隣接する第2節点22同士を結ぶ線分と直交し、かつ当該線分の中点を通る直線で囲まれる部分を領域23としてもよい。
次に、ステップS422へ進み、物理量付与部52dは、領域23に属する第1解析モデル10の節点(第1節点)12iを抽出する。図13に示す例では、領域23に属する節点として第1節点12iが抽出され、第1節点12oは領域23外であるとして抽出されない。領域23に属する第1節点12iが抽出されたら、ステップS423へ進み、物理量付与部52dは、抽出された第1節点12iの物理量を、領域23に属するすべての第1節点12iについて加算し、これによって得られた値を、領域23に対応する第2節点22の物理量とする。この物理量付与手順においても、物理量付与部52dは、図8に示す接触部分42に存在するすべての第1節点12の物理量を、接触部分42に対応する第2解析モデル20の部分に存在するすべての第2節点22に付与するまで、上述したステップS421〜ステップS423を繰り返す。第2の例は、上述した第1の例と比較して精度は低下するが、処理速度は向上する。
図14は、第1解析モデルの接地圧分布を第2解析モデルへ付与した一例を示す図である。図14は、本実施形態に係るタイヤの解析方法を用いて、周方向溝Lとラグ溝Rとを有する第1解析モデル10の接地面CPにおける接地圧分布を、周方向溝Lのみを有し、かつ要素の寸法が第1解析モデル10よりも大きい第2解析モデル20へ付与した例を示している。濃淡が接地圧の分布を表現しているが、本実施形態に係るタイヤの解析方法によれば、第1解析モデル10の接地圧分布が第2解析モデル20へ適切に付与されていることが理解できる。このように物理量が付与された第2解析モデル20を用いて解析することで、第2解析モデル20のパターンを簡略化することに起因する解析精度の低下等を抑制できる。また、パターンが簡略化された第2解析モデル20を用いて解析することで、計算時間の増加を抑制できる。
図15は、第2解析モデルを用いて振動応答解析を実行した例を示す図である。図16は、第2解析モデルを用いた解析例を示す模式図である。ステップS40(物理量付与手順)が終了したら、ステップS50へ進み、図2に示す解析装置50の第2解析部52eは、第1解析モデル10の物理量が付与された第2解析モデル20を用いて解析を実行する。この手順が解析手順に相当する。解析手順において、第2解析部50eは、例えば、物理量が付与された第2解析モデル20を路面モデル41に接触させ、振動応答解析を実行する(図15参照)。また、図16に示すように、第2解析部50eは、懸架装置モデル40を介して、物理量が付与された第2解析モデル20を車体モデル43へ取り付けて、第2解析モデル20の接地部からの入力による車両の応答特性を解析する。
図16に示すように、懸架装置を介して車体にタイヤを取り付けた車両を解析モデル化して振動応答解析等を実行する場合、タイヤのパターンを詳細にモデル化すると計算時間が膨大になるため、タイヤの解析モデルは簡略化する必要がある。本実施形態に係るタイヤの解析方法によれば、解析対象のタイヤを簡略に解析モデル化した第2解析モデル20を用いても、解析対象のタイヤを詳細に解析モデル化した第1解析モデル10の物理量が適切に精度よく付与される。その結果、タイヤや懸架装置を含む車両の振動応答解析等においては、計算時間の増加を抑制しつつ、解析精度を確保できる。物理量付与手順において、次に、第1解析モデル10の物理量を、第3モデルへの転写を介して第2解析モデル20へ付与する例を説明する。
図17−1は、第3モデルを示す模式図であり、図17−2は、第3モデルを構成する正方格子要素を示す模式図である。図3に示すステップS40(物理量付与手順)においては、図17−1に示すような、複数の正方格子要素31で構成された面の第3モデル30を用い、第1解析モデル10の物理量を第3モデル30に付与した後、第3モデル30に付与された物理量を第2解析モデル20に付与してもよい。
図17−1に示すように、第3モデル30は、第1解析モデル10の接地面CP全体が含まれる大きさとする。図17−2に示すように、第3モデル30を構成する正方格子要素31は、複数の節点32で構成される、1辺の長さがCの正方形の要素である。本実施形態において、第3モデル30を構成する正方格子要素31は、すべて同じ寸法である。このため、本実施形態において、正方格子要素31の平均寸法はCとなる。
本実施形態において、上述した第1要素11(図6−2参照)の平均寸法Aよりも正方格子要素31の平均寸法Cを小さくする(A>C)。上述したように、上述した第2要素21(図7−2参照)の平均寸法Bは平均寸法Aよりも大きいので、B>A>Cとなる。B>Aとすることで、物理量が付与された第2解析モデル20を用いた解析の計算時間を低減して計算時間を短縮できる。平均寸法Cが平均寸法Aよりも大きいと、第1解析モデル10の物理量を第2解析モデル20へ付与する際の精度が低下してしまう。このため、A>Cとすることが好ましい。これによって、第1解析モデル10の物理量を第2解析モデル20へ精度よく、かつ適切に付与することができる。
平均寸法Cを平均寸法Aよりも小さくし過ぎると、第3モデル30が大きくなり過ぎて、第1解析モデル10の物理量を第3モデル30へ付与する処理に要する時間が増加してしまう。このため、平均寸法Cは、平均寸法Aの1/1000以上1/10以下とすることが好ましく、より好ましくは、1/100以上1/10以下とすることが望ましい。これによって、第1解析モデル10の物理量を第2解析モデル20へ付与する際の精度低下を抑制しつつ、物理量を第3モデル30へ付与する際の処理時間の増加を抑制できる。
図18は、第3モデルを用いる物理量付与手順を示すフローチャートである。図19は、第1解析モデルの節点と第3モデルの節点とを示す模式図である。図20は、第3モデルを用いて第1解析モデルの物理量を第2解析モデルへ付与した一例を示す図である。第3モデル30を用いた物理量付与手順を実行するにあたって、ステップS431で、物理量付与部52dは、図6−1や図6−2に示す第1解析モデル10の物理量を図17−1や図17−2に示す第3モデル30へ付与する。
図19に示すように、正方格子要素31の平均寸法Cは第1要素11の平均寸法Aよりも小さい。図19に示す例では、節点12a、12b、12c、12dで構成される第1要素11の内部に、節点32a、32b、32c、32dで構成される正方格子要素31を構成が含まれる。ステップS431において、物理量付与部52dは、第1要素11を構成する節点12a、12b、12c、12dの物理量を、形状関数N(x、y)を用いた内部補間を用いて、正方格子要素31を構成するそれぞれの節点32a、32b、32c、32dに付与する。x、yは、正方格子要素31及び第1要素11が存在する2次元座標系のx軸、y軸を示している。
形状関数N(x、y)は、要素内の任意点での座標と結果(変位、応力度、力)等を補間し、計算するための関数である。例えば、2次元の4節点の四角形要素で、要素内の任意点の座標を知るためには、与えられた4節点の座標を基に、指定した任意点の座標を計算するための関数が必要となる。このときの関数が形状関数N(x、y)である。同様に、各節点での変位を計算した後、要素内の任意点の変位を計算する場合も、形状関数N(x、y)を利用して、4節点で得られた変位を基に、要素内における任意位置での変位が計算できる。
ステップS431において、物理量付与部52dは、第3モデル30の各節点の座標情報及び第1解析モデル10の各節点の座標情報を記憶部54から読み出す。そして、物理量付与部52dは、物理量を付与しようとする正方格子要素31の節点32a、32b、32c、32dが、どの第1要素11に含まれるかを判定する。次に、物理量付与部52dは、物理量を付与しようとする節点32a、32b、32c、32dと、これらを含む第1要素11の節点12a、12b、12c、12dとの位置情報(座標)から、形状関数N(x、y)による補間に必要な媒介変数を同定する。そして、物理量付与部52dは、同定された媒介変数と、第1要素11の節点12a、12b、12c、12dの物理量とから、節点32a、32b、32c、32dの物理量を求める。
物理量付与部52dは、このようにして節点32a、32b、32c、32dそれぞれの物理量を求め、これらに付与する。これを、物理量付与部52dは、図17に示す第1解析モデル10の接地面CP全体に含まれる第1節点12及び第3モデル30の節点32に対して繰り返すことによって、第1解析モデル10の物理量を第3モデル30へ付与する。
次に、ステップS432へ進み、物理量付与部52dは、第3モデル30の物理量を図7−1、図7−2に示す第2解析モデル20に付与する。これは、上述した物理量付与手順の第1例や第2例において第1解析モデル10を第3モデル10に置き換えることで実現できる。
図20は、周方向溝Lとラグ溝Rとを有する第1解析モデル10の接地面CPにおける接地圧分布を、第3モデル30を介して、周方向溝Lのみを有し、かつ要素の寸法が第1解析モデル10よりも大きい第2解析モデル20へ付与した例を示している。濃淡が接地圧の分布を表現しているが、本実施形態に係るタイヤの解析方法によれば、第3モデル30を用いた場合でも第1解析モデル10の接地圧分布が第2解析モデル20へ適切に付与されていることが理解できる。
第1解析モデル10の第1要素11や第2解析モデル20の第2要素21は、要素が正方格子とは限らないため、第1解析モデル10の物理量を第2解析モデル20へ付与する際には、第1要素11と第2要素21とが重なる部分の面積を求めることが困難であることが多い。上述したように、正方格子要素で構成され、かつ要素の平均寸法が最も小さい第3モデル30を用いることで、形状関数を利用して、第1解析モデル10の物理量を確実に第3モデル30へ付与できる。また、正方格子要素で構成される第3モデル30から第2解析モデルへ物理量を付与するので、第3モデル30の正方格子要素31が受け持つ面積は簡易に設定できる。その結果、正方格子要素31と第2要素21とが重なる部分の面積は比較的容易に求められるので、第3モデル30の物理量は第2解析モデル20へ容易に付与できる。第2解析モデル20の先に接続されるモデル(例えば、懸架装置モデルや車体モデル等)が変化することにより、第2解析モデル20を構成する第2要素21の寸法や形状が変化する場合、変化に応じて第1解析モデル10の物理量を第2解析モデル20へ付与する必要がある。このような場合、第3モデル30を用いる手法は、容易かつ確実に第1解析モデル10の物理量を第2解析モデル20へ付与できるので好ましい。
以上のように、本発明に係るタイヤの解析方法及びタイヤの解析用コンピュータプログラム、並びに解析装置は、コンピュータを用いたタイヤの解析に有用であり、計算時間の増加を抑制しつつ、計算精度の低下を抑制することに適している。
1 タイヤ
7 溝
10 第1解析モデル
11 第1要素(要素)
12、12a、12b、12c、12d、12i、12o 第1節点(節点)
13a、13b、13c、13d 領域
14a、14b、14c、14d 部分
20 第2解析モデル
21 第2要素(要素)
22 第2節点(節点)
23 領域
30 第3モデル
30 第3要素(要素)
31 正方格子要素
32、32a、32b、32c、32d 節点
40 懸架装置モデル
41 路面モデル
42 接触部分
43 車体モデル
50 解析装置
52 処理部
52a モデル作成部
52b 第1解析部
52c 物理量取得部
52d 物理量付与部
52e 第2解析部
54 記憶部

Claims (11)

  1. コンピュータがタイヤの解析を実行するにあたり、
    前記コンピュータが、解析対象のタイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割されることによって作成された、前記コンピュータで解析可能な第1解析モデルを前記コンピュータで解析可能な接触対象モデルに接触させ、接触解析を実行する接触解析手順と、
    前記コンピュータが、前記接触解析の終了した後における前記第1解析モデルの前記接触対象モデルとの接触部分から物理量を取得する物理量取得手順と、
    前記タイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割され、かつ前記要素は前記第1解析モデルよりも寸法が大きい、前記コンピュータで解析可能な第2解析モデルに、前記コンピュータが、前記物理量取得手順で取得した前記物理量を付与する物理量付与手順と、
    前記コンピュータが、前記物理量を付与した前記第2解析モデルを解析する解析手順と、
    を含むことを特徴とするタイヤの解析方法。
  2. 前記第1解析モデルは、前記タイヤの表面に形成されるパターンがモデル化されており、前記第2解析モデルは、前記第1解析モデルよりも前記パターンが簡略である請求項1に記載のタイヤの解析方法。
  3. 前記物理量付与手順においては、
    前記コンピュータが、前記第2解析モデルの所定の節点の位置情報、及び当該所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルの節点の位置情報に基づいて、前記所定の節点に、前記第1解析モデルの節点の物理量を付与する請求項1又は2に記載のタイヤの解析方法。
  4. 前記物理量付与手順においては、
    前記コンピュータが、前記第2解析モデルの所定の節点と、当該所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルの節点との相対位置に基づいた重みを前記第1解析モデルの節点の物理量に与えるとともに、前記重みが与えられた後における物理量を加算する請求項3に記載のタイヤの解析方法。
  5. 前記物理量付与手順は、
    前記第2解析モデルの所定の節点に、当該所定の節点が受け持つ領域A1を設定するとともに、前記所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルの節点に、当該節点が受け持つ領域A2を設定するとともに、当該領域A2の面積S2を求める手順と、
    前記所定の節点が受け持つ領域A1と、当該所定の節点の周囲に存在する前記第1解析モデルの節点が受け持つ領域A2とが重なる部分の面積S3を求める手順と、
    前記重なる部分に対応する前記第1解析モデルの節点の物理量に、S3/S2を重みとして与え、当該重みが与えられた物理量を、前記所定の節点の周りに存在する前記第1解析モデルのすべての節点について加算して得られた値を、前記所定の節点の物理量とする手順と、
    を含む請求項4に記載のタイヤの解析方法。
  6. 前記物理量付与手順においては、
    前記第2解析モデルの所定の節点に、当該所定の節点が受け持つ範囲を設定する手順と、
    当該範囲に属する前記第1解析モデルの節点を抽出する手順と、
    抽出された前記第1解析モデルの節点の物理量を、前記範囲に属する前記第1解析モデルのすべての節点について加算して得られた値を、前記第2解析モデルの節点の物理量とする手順と、
    を含む請求項3に記載のタイヤの解析方法。
  7. 前記物理量付与手順においては、
    前記コンピュータが、取得した前記物理量を、複数の正方格子要素で構成された面の第3モデルに付与した後、前記第3モデルに付与された物理量を前記第2解析モデルに付与する請求項1から6のいずれか1項に記載のタイヤの解析方法。
  8. 前記第1解析モデルの表面に形成されるパターンの部分における要素の平均寸法をA、前記第2解析モデルの表面に形成されるパターンの部分における要素の平均寸法をB、前記第3モデルの正方格子要素の平均寸法をCとしたとき、B>A>Cである請求項7に記載のタイヤの解析方法。
  9. 前記Cは、前記Aの1/1000以上1/10以下である請求項8に記載のタイヤの解析方法。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載のタイヤの解析方法をコンピュータに実行させることを特徴とするタイヤの解析用コンピュータプログラム。
  11. 解析対象のタイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割されることによって作成された、コンピュータで解析可能な第1解析モデルをコンピュータで解析可能な接触対象モデルに接触させ、接触解析を実行する第1解析部と、
    前記接触解析の終了した後における前記第1解析モデルの前記接触対象モデルとの接触部分から物理量を取得する物理量取得部と、
    前記タイヤが複数の節点で構成される複数の要素で分割され、かつ前記要素は前記第1解析モデルよりも寸法が大きい、コンピュータで解析可能な第2解析モデルに、取得した前記物理量を付与する物理量付与部と、
    前記コンピュータが、前記物理量を付与した前記第2解析モデルを解析する第2解析部と、
    を含むことを特徴とする解析装置。
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