JP4749285B2 - 伸縮性シートの製造方法 - Google Patents
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また、特許文献2には、おむつ等に使用する基部素材を弾性化する方法として、基部素材に結合するエラストマーの貼り合わせ方を異ならせることによって、ウエスト部(胴回り部も含む)と股下部分の伸縮特性の異ならせることが記載されている。
しかし、伸縮性シートを用いる従来の方法においては、伸縮特性が相異なる複数の伸縮領域を形成する場合、複数の伸縮性シートを使用しており、そのため、使用材料数が増加したり、それぞれの伸縮性シートの位置や伸縮率の調整が必要となる等により、製造工程が複雑化したりする不都合がある。
本発明のパンツ型着用物品の製造方法によれば、伸縮特性が相異なる複数の伸縮領域を有し、フィット性等に優れたパンツ型着用物品を効率よく製造することができる。
本実施形態の伸縮性シートの製造方法は、延伸により伸縮性が向上する帯状シート120’を、図1に示すように、軸線方向に延び且つ互いに噛み合う歯溝を有する一対の歯溝ロール31,32間に噛み込ませて延伸して、該帯状シート120’の少なくとも一部の伸縮性を向上させる延伸工程を具備するものである。
そして、その延伸により、少なくとも一部の伸縮性が向上した伸縮性の帯状シート(伸縮性シート)120が得られる。本実施形態においては、帯状シート120’は、その幅方向の全域に延伸加工が施され、その結果、得られた帯状シート120は、その幅方向の全域が、伸縮性が発現した伸縮領域12H,12H,12Lとなっている。
なお、ここでいう「伸縮性を向上する」とは、「小さな力でもより伸びやすくすること」で、具体的には1.0N/25mm荷重をかけたときの伸度が大きくなること、または破断伸度が大きくなることを意味する。
例えば、1.0N/25mm荷重をかけたときの伸度は、次のようにして測定することができる。幅(帯状シートの幅方向と同方向の長さ)が25mm、長さ(帯状シートの長手方向と同方向の長さ)が75〜100mmの試験片を切り出し、引張り試験機により、該試験片をその長さ方向に荷重1.0Nとなるまで伸長させたときの伸度を測定する(初期長50mm)。破断伸度も、同様にして、幅25mmの試験片を、引っ張り試験機により引っ張り、破断したときの伸度を測定する。
伸縮を阻害しにくい構造への変化としては、非弾性繊維の伸張や切断、非弾性繊維層の分断、非弾性繊維層の構成繊維の伸長や切断、構成繊維同士の接合点の破壊等が挙げられる。
積層タイプの場合、非弾性繊維層は、弾性層の両面に配されていても良いし、片面のみに配されていても良い。
弾性層としては、繊維層からなるものに代えて、フィルム状のもの、ネット状のもの等を用いることもできる。フィルムやネットの形成材料としては、上記各種の弾性材料を用いることができる。
弾性層が弾性繊維を含む繊維層である場合、該弾性層中の弾性繊維の含有率は50〜100重量%、特に75〜100重量%であることが好ましい。弾性層が、弾性繊維と共に非弾性繊維を含む場合の非弾性繊維としては、後述する非弾性繊維層を構成する繊維を挙げることができる。弾性繊維は、メルトブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法にスパンボンド法を組み合わせたスピニングブローン法等により得られる。弾性繊維層は、例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成されたウエブや不織布であり得る。
弾性繊維層の片面又は両面に非弾性繊維層が一体化されているものを用いる場合、弾性繊維層と非弾性繊維層とは、両層の界面及びその近傍において、弾性繊維層の構成繊維と、非弾性繊維層の構成繊維との交点が熱融着しており、実質的に全面で均一に接合されていることが好ましい。このような接合はエアースルー法等により達成できる。全面で接合されていることによって、弾性繊維層と非弾性繊維層との間に浮きが生じること、つまり、両層が離間して空間が形成されることが防止される。また、弾性繊維層は、その構成繊維が繊維形態を保った状態で非弾性繊維層と一体化されていることが好ましい。また、エアースルー法による全面的な接合に加え、熱エンボス等による部分的な接合を行っても良い。部分的に接合されている態様としては、円形や矩形等の任意の形状の接合部が、平面方向に散点状に分布しているもの等が挙げられる。
高延伸部31H,32Hは、帯状シート120’をその長手方向(流れ方向)に大きく延伸させる部位であり、低延伸部31L,32Lは、高延伸部31H,32Hに比べて、該帯状シート120’を同方向に低倍率に延伸させる部位である。高延伸部31Hについて大きく延伸とは、低延伸部31Lにおける延伸と比較して大きく延伸する意味である。
高延伸部31H,32Hは、図2に示すように、各ロールの軸中心線(図示せず)から歯先33Hまでの距離が、低延伸部31Lにおける、各ロールの軸中心線(図示せず)から歯先33Lまでの距離より長くなっている。それにより、一対の歯溝ロール31,32の噛み合いの深さは、高延伸部31H、32H同士が噛み合う部分の方が、低延伸部31L、32L同士が噛み合う部分よりも大きくなっている。
一対の歯溝ロール31,32の噛み合い深さDは、図3に示すように、歯溝ロール31,32どうしを噛み合わせて回転させるとき、隣接する歯31a,32aが重なり合う長さである。
尚、本実施形態における各歯溝ロール31,32は、高延伸部31Hと低延伸部31Lとで、歯31a,32aの高さH(図3参照、歯底38H,38Lから歯先33H,33Lまでの高さ)は略同じである。
一対の歯溝ロールを、帯状シートの延伸倍率が部分的に異なるように構成するには、前記比(b/a)を部分的に変え得る多様な方法を採用し得るが、噛み合い深さ、歯のピッチ及び歯の幅の何れか1以上を部分的に異ならせることが好ましい。
各歯溝ロールにおける歯溝の形態がこのような条件を満たすものであると、これら歯溝ロール31,32間に供給される帯状シート120’に従来にない高い伸縮性を付与することができる。歯溝ロール31,32における隣接する歯のピッチとは、1つの歯の中心線とそれと隣り合う歯の中心線との距離をいう。歯溝ロールの歯の幅とは、1つの歯の幅をいう。歯の幅は均等でなく、図3のように、歯の根元から歯の先端に向って細くなる台形型の歯が好ましい。そのほか、長方形型、三角型の歯であってもよい。この場合、各歯の幅Wは、歯の根元の幅を示す。ロールの歯の高さとは、歯の根元から先端までの長さをいう。
また、高延伸部31H,32Hと低延伸部31L,31Lとの境界部に位置する歯の先端は、特に高延伸部と低延伸部とが並ぶ方向(ロール軸線方向)における角部も面取りしておくか、又は高延伸部から低延伸部に向かって歯先の位置が漸次低くなるようにすることが、帯状シート120’のダメージを防止する観点から好ましい。
歯溝ロール31,32の各軸に歯31a,32aとは別に、一般的な、JIS B1701に規定されているギアを駆動用のギアとして取り付けてもよい。その場合、歯溝ロール31,32の歯31a,32aは接触することなく、それら駆動用のギアが噛み合うことによって、歯溝ロール31,32を回転させることができる。本発明における歯溝ロールの噛み合いには、このように、一方のロールの歯と他方のロールの歯とが接触しない場合も含まれる。
100%伸長時の伸長応力は、それぞれの領域から、帯状シート120の長手方向と同方向の長さが50mm、幅方向と同方向の長さが25mmの短冊状の測定片を切り出し、該測定片を自然に収縮させた状態から、帯状シート120の長手方向と同方向に伸長率が100%となるまで(2倍の長さとなるまで)伸長させたときの応力を測定する。
高伸縮領域12H,12Hの100%伸長時の伸長応力PHは、50〜120cN、特に60〜100cNであることが好ましく、低伸縮領域12Lの100%伸長時の伸長応力PLは、100〜600cN、特に200〜500cNであることが好ましい。また、伸長応力の比(PH/PL)は、1/6〜1/2、特に1/5〜1/3であることが好ましい。
本実施形態のパンツ型使い捨ておむつの製造方法においては、図1に示すように、帯状シート120を、外包材11のおむつ外面側を構成する外層シート12の原料シートとして用いると共に、外包材11のおむつ内面側を構成する内層シート13の原料シートとして第2帯状シート130を用いている。第2帯状シート130は、長手方向に伸長性を有するが伸縮性を有しないシートである。第2帯状シート130の長手方向の最大伸度は100%以上である。
例えば、図1に示すように、外包材連続体110上に、吸収性本体連続体を切断して得た吸収性本体10を、それぞれ90度回転して、間欠的に接着固定し、また、ロータリーカッター、レーザーカッター等により、レッグ開口部形成用のトリム111を除去して、おむつ連続体100を得る。次いで、おむつ連続体100における外包材連続体110の両側部12a,12bを、吸収性本体10の両端部を覆うように折り返して該両端部を固定した後、おむつ連続体100を2つ折りし、次いで、サイドシール部S,Sを、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等により形成した後、あるいはサイドシール部S,Sを形成すると同時に、個々のおむつに切断することにより、パンツ型使い捨ておむつ1を得る。
吸収性本体10を外包材連続体110に固定する接着剤15は、吸収性本体10及び外包材連続体110の何れか一方又は双方に塗工しておくことができる。また、レッグ開口部形成用のトリム111の除去は、吸収性本体10の固定前に行うこともできる。
吸収性本体10の長手方向両端部は、ウエスト開口部の開口周縁端5a,5bにおいて、おむつ内面側に折り返した外層シートの折り返し部分12a,12bと内層シート13との間に挟まれて固定されている。
具体的には、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおける外包材11を、おむつ幅方向に伸長率100%まで伸長させたときの伸長応力が、股下部Cにおける外包材11を、同条件で伸長させたときの伸長応力よりも小さい。
おむつ1は、腹側部A及び背側部Bにおける外包材11が伸縮性に富むため、ウエスト開口部5の周縁部50及び該周縁部50よりも下方でレッグ開口部より上方に位置する胴回り部7が、それぞれ、着用者に良好にフィットして、装着性に優れると共に、股下部Cにおける外包材は腹側部Aおよび背側部Bよりも伸縮性が低いため、内層シートに接合されている吸収体にしわが起こりにくく、外観及び装着性が良好となる。
例えば、上述したおむつ1の製造方法においては、帯状シート120の高伸縮領域12Hをおむつ1の腹側部A及び背側部Bに配する一方、帯状シート120の低伸縮領域12Lを股下部Cに配したが、これに代えて、帯状シート120の高伸縮領域12Hをおむつ1のウエスト開口部の周縁部50に配する一方、帯状シート120の低伸縮領域12Lを前記胴回り部7に配することもできる。
ウエスト開口部の周縁部50を高伸縮性とする一方、胴回り部をやや劣るが伸縮性とすることで、おむつを装着させる際に、ウエスト開口部が伸びやすいことから拡げやすくて装着しやすいというメリットがある一方で、胴回り部での伸縮特性をやや落とすことで、フィット性がよくなる。また、この場合、帯状シート120における股下部Cに配される部分は、延伸加工されておらずに伸縮性を有しない非伸縮領域としても良いし、胴回り部と同程度に延伸されて胴回り部と同程度の伸縮性を有する伸縮領域とすることもできる。更に胴回り部よりやや低倍率に延伸されて胴回り部よりやや劣る伸縮性を有する伸縮領域とすることもできる。
伸縮性を有しない領域を形成するには、一対の歯溝ロールの一方又は双方に歯溝のない非延伸部を設ければ良い。伸縮性が胴回り部よりやや劣る領域を形成するには、一対の歯溝ロールに、噛み合い深さが胴回り部より小さくなる部分を形成すれば良い。
このように、本発明のパンツ型着用物品の製造方法によれば、伸縮特性が異なる複数の伸縮領域を有する一枚のシートを用いて、外包材に様々パターンで、伸縮特性が相異なる複数の伸縮部を形成したパンツ型着用物品を製造することができる。
また、本発明の伸縮性シートの製造方法は、パンツ型着用物品の外包材の全部又は一部を構成する伸縮性シートを製造するものに限られず、パンツ型着用物品における他の部位を構成するシート、更には、テープ型の紙おむつ、生理用ナプキン、湿布、サポーター、マスク等を製造するものであっても良い。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性コア
5 ウエスト開口部
50 ウエスト開口部の周縁部
6 レッグ開口部
60 レッグ開口部の周縁部
7 胴回り部
10 吸収性本体
11 外包材
12 外層シート
13 内層シート
30 延伸装置
31,32 歯溝ロール
31a,32a 歯
110 外包材連続体
120’ 延伸により伸縮性が向上する帯状シート
12H 高伸縮領域
12L 低伸縮領域
120 延伸加工により伸縮性が向上した帯状シート
Claims (6)
- 延伸により伸縮性が向上する帯状シートを、互いに噛み合う歯溝を有する一対の歯溝ロール間に噛み込ませて延伸し、該帯状シートの伸縮性を向上させる延伸工程を具備する伸縮性シートの製造方法であって、
一対の前記歯溝ロールを、帯状シートの延伸倍率が部分的に異なるように構成し、伸縮特性が相異なる伸縮領域を長手方向又は幅方向に複数有する伸縮性シートを得る伸縮性シートの製造方法。 - 一対の前記歯溝ロールについて、噛み合いの深さ又はそれぞれの歯のピッチ若しくは回転方向における歯の幅を部分的に異ならせることにより、前記延伸倍率を部分的に異ならせる請求項1記載の伸縮性シートの製造方法。
- 前記各歯溝ロールは、前記帯状シートを延伸させる高延伸部と、該帯状シートを該高延伸部に比して低倍率に延伸させる低延伸部とを有し、前記各ロールにおける隣接する歯のピッチが1.0mm〜5.0mmであり、前記各歯の幅が前記ピッチの1/2未満であり、且つ前記各歯の高さHが、前記ピッチ以上であり、高延伸部における延伸倍率は1.5〜5.0倍で、低延伸部における延伸倍率よりも大きい請求項1記載の伸縮性シートの製造方法。
- 伸縮特性が相異なる複数の伸縮部を有する外包材を具備するパンツ型着用物品の製造方法であって、
延伸により伸縮性が向上する帯状シートを、互いに噛み合う歯溝を有する一対の歯溝ロール間に噛み込ませて延伸し、該帯状シートの伸縮性を向上させる延伸工程、伸縮性を付与した前記帯状シートを含む外包材連続体をその幅方向に2つ折りする工程、2つ折りした前記外包材連続体にサイドシール部を形成するシール工程、及び、2つ折りした前記外包材連続体を切断し、個々のパンツ型着用物品に分離する工程を具備し、
前記延伸工程においては、一対の前記歯溝ロールを、帯状シートの延伸倍率が部分的に異なるように構成し、伸縮特性が相異なる伸縮領域を長手方向又は幅方向に複数有する伸縮性シートを形成し、前記個々のパンツ型吸収性物品として、複数の前記伸縮領域に対応し伸縮特性が相異なる複数の伸縮部を有する外包材を具備するパンツ型着用物品を得る、パンツ型着用物品の製造方法。 - 前記外包材は、パンツ型着用物品の外面側に配される外層シート及びパンツ型着用物品の内面側に配される内層シートを有し、前記伸縮領域を形成した前記帯状シートから前記外層シートが形成されており、前記延伸工程後に、該帯状シートに、内層シート用の第2帯状シートを貼り合わせる工程を具備する、請求項4記載のパンツ型着用物品の製造方法。
- 前記パンツ型着用物品が、前記外包材及び該外包材に固定された吸収性本体を具備するパンツ型吸収性物品であり、
前記延伸工程後に、前記外包材連続体に前記吸収性本体を接合する工程を具備する、請求項4又は5記載のパンツ型着用物品の製造方法。
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