JP4762090B2 - パンツ型着用物品の製造方法 - Google Patents
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一般に、使い捨ておむつに弾性伸縮性を付与する場合、実質的に非伸縮性の2枚のシート間に、伸長状態とした糸状又は帯状の弾性部材を接着剤を介して固定し、その弾性部材を収縮させてギャザーを形成する方法が一般的である。
例えば、特許文献1には、2枚のシート間に、胴回りギャザー形成用の弾性部材を伸長状態で固定して、パンツ型使い捨ておむつとされたときの幅方向を機械方向とする外包材連続体を製造し、その外包材連続体に、その機械方向に直交する方向に長手方向を向けて吸収性本体を間欠的に固定した後、切断してパンツ型おむつを製造する方法が記載されている。しかし、2枚のシート間に弾性部材を弾性部材を固定して胴回りギャザーを形成する方法によっては、弾性部材を2枚のシート間に固定するために接着剤を塗工する必要があるため、おむつの柔らかさや通気性の一層の向上を図ることが難しい。他方、柔らかさや通気性を向上させるために、接着剤の塗工量を減らせば弾性部材の固定が不充分となって、フィット性や漏れ防止性が低下する。
前記個々のパンツ型着用物品として、前記伸縮領域に対応する高伸縮部を両側部に有し、前記低又は非伸縮領域に対応する低又は非伸縮部を幅方向の中央部に有する外包材を具備するパンツ型着用物品を得る、パンツ型着用物品の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
先ず、本実施形態の製造方法により製造されるパンツ型使い捨ておむつ(パンツ型着用物品)について説明する。
図1には、本実施形態の製造方法により製造されるパンツ型使い捨ておむつの一例の斜視図が示されている。図2には、図1のおむつの展開状態の平面図が示されている。図3には、図2のII−II線断面図が示されている
そして、両シート12,13が、このような伸縮領域、及び低又は非伸縮領域を有することによって、おむつ1の長手方向の両側部1S,1Sは、おむつ幅方向の良好に伸縮する高伸縮部となっており、左右の高伸縮部間の領域1Cは、高伸縮部に比しておむつ幅方向に伸縮しにくい低又は非伸縮部となっている。
腹側部A及び背側部Bそれぞれの幅L(サイドシール部の幅を含まない幅、図3参照)に対する、伸縮領域12H,12H,13H,13Hの幅L1(図3参照)の割合は、10〜50%、特に15〜25%が好ましく、前記幅Lに対する、低又は非伸縮領域12L,13Lの幅L2の割合は、50〜90%、特に75〜85%が好ましい。
パンツ型使い捨ておむつ1において、外包材11を構成するシート12,13は、図2に示すように、ウエスト開口部の開口周縁端5a,5bにおいて、一体的に、吸収性本体10側に折り返されており、シート13の折り返していない部分と折り返した部分との間に、ウエスト部弾性部材51、51は、接着剤を介して伸長状態で固定されている。
ウエスト部弾性部材及びレッグ部弾性部材としては、それぞれ、天然ゴム、ポリウレタン系樹脂、発泡ウレタン系樹脂、ホットメルト系伸縮部材等の伸縮性素材を糸状(糸ゴム)又は帯状(平ゴム)に形成したものが好ましく用いられる。
本実施形態においては、図4に示すように、延伸前には実施的に伸縮性を有しないが延伸により伸縮性が発現する帯状シート120’を、延伸装置30における一対の歯溝ロール31,32間に噛み込ませて延伸し、それにより、長手方向に、伸縮領域12Hとそれより低伸縮性の低又は非伸縮領域12Lとがそれぞれ間欠的に形成された伸縮性の帯状シート120を得ている。おむつ1における外層シート12は、この伸縮性の帯状シート120からなる。
本実施形態においては、上述した内層シート13は、伸縮性の帯状シート130からなり、この帯状シート130は、外層シート用の上記帯状シート120と同様にして得られたものであり、帯状シート12と同様の、ウエスト伸縮領域13C、伸縮領域13H、及び低又は非伸縮領域13Lとを有している。従って、帯状シート120の構成及びその製造方法に関する以下の説明は、帯状シート130についても同様に適用される。
なお、ここでいう「伸縮性が向上する」とは、小さな力でより伸びやすくなることであり、具体的には1.0N/25mm荷重をかけたときの伸度が大きくなること、または破断伸度が大きくなることを意味する。
例えば、1.0N/25mm荷重をかけたときの伸度は、以下のようにして測定することができる。幅(帯状シートの長手方向と同方向の長さ)が25mm、長さ(帯状シートの幅方向と同方向の長さ)が75〜100mmの試験片を切り出し、引張り試験機により、該試験片をその長さ方向に荷重1.0Nとなるまで伸長させたときの伸度を測定する(初期長50mm)。破断伸度も、同様にして、幅25mmの試験片を、引っ張り試験機により引っ張り、破断したときの伸度を測定する。
伸縮を阻害しにくい構造への変化としては、非弾性繊維の伸張や切断、非弾性繊維層の分断、非弾性繊維層の構成繊維の伸長や切断、構成繊維同士の接合点の破壊等が挙げられる。
積層タイプの場合、非弾性繊維層は、弾性層の両面に配されていても良いし、片面のみに配されていても良い。
弾性層としては、繊維層からなるものに代えて、フィルム状のもの、ネット状のもの等を用いることもできる。フィルムやネットの形成材料としては、上記各種の弾性材料を用いることができる。
弾性層が弾性繊維を含む繊維層である場合、該弾性層中の弾性繊維の含有率は50〜100重量%、特に75〜100重量%であることが好ましい。弾性層が、弾性繊維と共に非弾性繊維を含む場合の非弾性繊維としては、後述する非弾性繊維層を構成する繊維を挙げることができる。弾性繊維は、メルトブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法にスパンボンド法を組み合わせたスピニングブローン法等により得られる。弾性繊維層は、例えば、スピニングブローン法、スパンボンド法、メルトブローン法等によって形成されたウエブや不織布であり得る。
弾性繊維層の片面又は両面に非弾性繊維層が一体化されているものを用いる場合、弾性繊維層と非弾性繊維層とは、両層の界面及びその近傍において、弾性繊維層の構成繊維と、非弾性繊維層の構成繊維との交点が熱融着しており、実質的に全面で均一に接合されていることが好ましい。このような接合はエアースルー法等により達成できる。全面で接合されていることによって、弾性繊維層と非弾性繊維層との間に浮きが生じること、つまり、両層が離間して空間が形成されることが防止される。また、弾性繊維層は、その構成繊維が繊維形態を保った状態で非弾性繊維層と一体化されていることが好ましい。また、エアースルー法による全面的な接合に加え、熱エンボス等による部分的な接合を行っても良い。部分的に接合されている態様としては、円形や矩形等の任意の形状の接合部が、平面方向に散点状に分布しているもの等が挙げられる。
尚、両ロール31,32における、一対の高延伸部と、低又は非延伸部それぞれの位置(ロール軸線方向と平行な方向の位置)は、ロールの軸線方向において一致しており、また、両ロール31,32の間欠高延伸部は、ロールの回転に伴い周期的に噛み合うように形成されている。
そのため、帯状シート120における、高延伸部31H,32H間に噛み込まれた部分は、シートの幅方向に大きく延伸され優れた伸縮性を発現する伸縮領域12Hとなる。
また、帯状シート120における、間欠高延伸部31C間に噛み込まれた部分も、シートの幅方向に大きく延伸され優れた伸縮性を発現するウエスト伸縮領域12Cとなる。
各歯溝ロールにおける歯溝の形態がこのような条件を満たすものであると、これら歯溝ロール31,32間に供給される帯状シート120’に従来にない高い伸縮性を付与することができる。歯溝ロール31,32における隣接する歯のピッチとは、1つの歯の中心線とそれと隣り合う歯の中心線との距離をいう。歯溝ロールの歯の幅とは、1つの歯の幅をいう。歯の幅は均等でなく、図5に示すように、歯の根元から歯の先端に向って細くなる台形型の歯が好ましい。そのほか、長方形型、三角型の歯であってもよい。この場合、各歯の幅Wは、歯の根元の幅を示す。ロールの歯の高さとは、歯の根元から先端までの長さをいう。
伸縮領域12H(13H)と低又は非伸縮領域12L(13L)とは、延伸の程度が異なることによって、各領域を帯状シートの幅方向と同方向に引っ張ったときの伸長のし易さ(特に荷重1.0N/25mmとなるまで伸長させたときの伸度)が異なっている。
最大破断強度の大小は、例えば、延伸加工を施した帯状シートにおける前記領域12H,12Lそれぞれから、幅(帯状シートの長手方向と同方向の長さ)が25mm、長さ(帯状シートの幅方向と同方向の長さ)が75〜100mmの試験片を切り出し、該試験片を、帯状シートの長手方向(機械流れ方向)に直交する方向(試験片の長手方向と同じ)が引っ張り方向となるように、引張り試験機にて引っ張り、破断したときの荷重を測定して判断することができる。
また、突き抜け強度の大小は、例えば、それぞれの領域から試験片を作製し、プッシュプルゲージにて該試験片の突き抜けに要する力を測定して判断することができる。
そして、第1帯状シート120と第2帯状シート130との間に、レッグ部弾性部材61を、両帯状シートの機械方向に沿うように連続的に供給し、これら両帯状シート120,130を、これら両者間に、レッグ部弾性部材61を挟むようにして貼り合わせて、外包材連続体110を得る。具体的には、2本の帯状シート120、130を重ね合わせる前に、2本の帯状シートの何れか一方又は双方の相対向する面の所定の部位に、弾性部材固定用の接着剤を塗工しておき、弾性部材61を挟んだ状態で、両帯状シート120、130を、ニップロール7で狭圧して弾性部材61を固定すると共に両帯状シート120、130間を接合する。レッグ部弾性部材61、61は、外包材連続体110の両側縁端から離れてレッグ開口部の周縁形状に沿った形状(略円弧状)を描く部分と、連続体110の両側縁端の近傍に配された部分とが交互に生じるように、帯状シート120、130の機械方向に直交する方向に公知の揺動ガイドで揺動させながら、両帯状シート間に導入して固定する。
第1帯状シート120と第2帯状シート130との貼り合わせは、両者の低又は非伸縮領域12L,13L同士、両者のウエスト伸縮領域12C,13C同士が重なるように行う。
そして、吸収性本体10を固定した外包材連続体110’を、搬送路における矢印P1で示す位置において、所定の間隔で幅方向に亘って切断する。切断には、ローラーカッター、レーザーカッター等の各種公知の切断手段を用いることができる。
90度回転させた短尺物112は、図6及び図7に示すように、流れ方向の端部112a同士を重ねるようにして配置する。そして、その重ね合わせた部分に、ヒートシール、超音波シール、高周波シール等の加工を施して、相隣接する短尺物112同士を連結する。図6には、吸収性本体10を固定した外包材連続体110’を、カッターブレード113で切断し、90度回転させた後の短尺物112を、ドット状パターンのヒートシール114にて連結する様子を示してある。
90度回転させた後の短尺物112のピッチを詰めて、隣合う短尺物の流れ方向の端部同士を重ね合わせる方法としては、90度回転させた後の単尺物112を、交互に異なる2つの搬送経路で搬送し、一方の搬送経路により搬送された単尺物112Aを、ベルトコンベア等の連続搬送手段上に間隔を設けて配置し、他方の搬送経路により搬送された単尺物112Bを、その両端部112b、112bが、前後の単尺物112Aの端部112aと重なるようにして、同じ連続搬送手段上に配置する方法等を用いることができる。
一方の搬送経路及び他方の搬送経路は、周面に単尺物112を吸着しながら回転し、その吸着の制御により、単尺物を所定の位置で周面に受け取り他の位置で周面から離脱させることのできる吸着ロールや、これとベルトコンベア等の公知の搬送手段との組み合わせ等から構成することができる。吸着ロールの周面は、複数に分轄された吸着ヘッドから構成されていても良い。
次いで、このようにして得られたおむつ連続体100の機械方向に沿うように、ウエスト部弾性部材51,51を連続的に供給し、おむつ連続体100の両側部12a,12bを、ウエスト部弾性部材51,51を挟み込むように、吸収性本体10側に折り返す。おむつ連続体100の折り返す部分及びその対向面部の何れか一方又は双方には、弾性部材51固定用の接着剤を塗工しておく。
また、第1帯状シート120は、弛緩状態としても、該第1帯状シート120に起因するひだが形成されない。そのため、第1帯状シート120からなるおむつの外面の外観が良好となる。また、帯状シート120の伸縮領域12Hと低又は非伸縮領域12Lとが一枚のシート中に存在して連続しているため、第1帯状シート120からなるおむつ外面の外観が一層良好である。
このように、本発明のパンツ型着用物品の製造方法によれば、伸縮特性が異なる複数の領域を有する一枚のシートを用いて、外包材に様々パターンで、伸縮特性が相異なる複数の部分を形成したパンツ型着用物品を製造することができる。
これにより、レッグ部弾性部材が、レッグ開口部の周縁部分にのみ配されたおむつ連続体100が得られるため、おむつ連続体100が幅方向に縮むことによる不都合を防止でき、また、個々のおむつに切断する際に弾性部材付きのトリムが生じるようなカットをする必要がなくなる。尚、図8に示す実施態様について、特に説明しない点は、上述した実施態様と同様に行うことができる。
例えば、上述したおむつの製造方法においては、高延伸部31H,32Hと、歯が形成されていない低又は非延伸部31Lとを設けた一対の歯溝ロールを用い、帯状シートの幅方向に、伸縮領域12H、12Hと低又は非伸縮領域12Lとを形成したが、それに代えて、高延伸部31H,32Hと、該高延伸部における歯よりも高さが低い低又は非延伸部31Lとを設けた一対の歯溝ロールを用いて、伸縮領域12Hと該伸縮領域12よりも低伸縮性の低又は非伸縮領域12Lとを形成することもできる。
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収性コア
5 ウエスト開口部
6 レッグ開口部
10 吸収性本体
11 外包材
12 外層シート
13 内層シート
30 延伸装置
31,32 歯溝ロール
31H,32H 高延伸部
31L 低延伸部
31C 間欠延伸部
120’ 延伸により伸縮性が向上する帯状シート
120 第1帯状シート(延伸後のシート)
130’ 延伸により伸縮性が向上する帯状シート
130 第2帯状シート(延伸後のシート)
110 外包材連続体
Claims (2)
- 外包材を具備するパンツ型着用物品の製造方法であって、
延伸により伸縮性が向上する帯状シートを、互いに噛み合う歯溝を有する一対の歯溝ロール間に噛み込ませて幅方向に延伸し、該帯状シートの幅方向の伸縮性を向上させる延伸工程を具備し、
前記延伸工程においては、一対の歯溝ロールとして、前記帯状シートをその幅方向に延伸させる延伸部と、該延伸部に比して該帯状シートをその幅方向に低倍率に延伸させるか又該帯状シートをその幅方向に延伸させない低又は非延伸部を有するものを用いて、該帯状シートの幅方向に、伸縮領域とそれよりも低伸縮性の低又は非伸縮領域とを形成し、
前記個々のパンツ型着用物品として、前記伸縮領域に対応する高伸縮部を両側部に有し、前記低又は非伸縮領域に対応する低又は非伸縮部を幅方向の中央部に有する外包材を具備するパンツ型着用物品を得る方法であり、
前記外包材は、パンツ型着用物品の外面側に配される外層シート及びパンツ型着用物品の内面側に配される内層シートを有し、前記伸縮性が向上した前記帯状シートから前記外層シートが形成されており、
前記延伸工程後に、該帯状シートに、内層シート用の第2帯状シートを貼り合わせる工程を具備する、パンツ型着用物品の製造方法。 - 前記パンツ型着用物品が、前記外包材及び該外包材に固定された吸収性本体を具備するパンツ型吸収性物品であり、
前記延伸工程後に、前記帯状シート又はそれを含む外包材連続体に前記吸収性本体を接合する工程を具備する、請求項1記載のパンツ型着用物品の製造方法。
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