JP4748592B2 - 難燃剤及びそれを含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
多孔性無機微粒子、
前記多孔性無機微粒子に担持された下記平均組成式(1)で示されるホスファゼン化合物、及び、
前記ホスファゼン化合物を担持する多孔性無機微粒子を被覆する樹脂層からなり、
前記樹脂は、熱天秤にて、空気下で、室温から10℃/分で昇温したときに熱分解による重量減が10重量%になる温度が300〜500℃である、
難燃剤。
(A)難燃剤
(B)エポキシ樹脂
(C)硬化剤
(D)無機充填材
を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、
(A)難燃剤が、上記本発明の難燃剤であり、
(A)難燃剤は、(B)エポキシ樹脂と(C)の合計100質量部に対して5〜50質量部で含まれ、及び
該半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、臭素化物及びアンチモン化合物を含まない、
ことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物である。
さらに、本発明は該樹脂組成物で封止された半導体装置を提供する。
本発明の難燃剤は、下記平均組成式(1)で示されるホスファゼン化合物を活性成分とするものである。
(1)ホスファゼン化合物を溶媒に溶解して溶液を調製する。
(2)前記ホスファゼン溶液を、減圧下で、多孔性無機微粒子に添加して、所定時間攪拌した後、有機溶媒を留去する。
(3)別途、被覆層樹脂または組成物を溶媒に溶解して溶液を調製する
(4)工程(2)で得られたホスファゼン化合物を担持した多孔性微粒子に被覆樹脂溶液を添加して、所定時間加熱下で攪拌した後、溶媒を留去する。
(5)工程(4)で得られた、樹脂組成物層で被覆された微粒子を、必要に応じて加熱して該被覆樹脂層を硬化する。
工程(3)は、(1)と並行して行ってもよい。
本発明の組成物において(B)エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、スチルベン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用することができる。これらのうちでは、芳香環を含むエポキシ樹脂、例えばクレゾールノボラック型、トリフェノールアルカン型、が好ましい。なお、本発明において、臭素化エポキシ樹脂は配合されない。
(C)硬化剤としては、フェノール樹脂が好ましく、具体的には、フェノールノボラック樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、複素環型フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF型樹脂等のビスフェノール型フェノール樹脂などが挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を併用することができる。
本発明のエポキシ樹脂組成物中に配合される(D)無機充填材としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維等が挙げられる。
本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲内において、各種の添加剤を配合することができる。該添加剤としては、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物を除く他の難燃剤、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛;熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、及びシリコーン系等の低応力剤;カルナバワックス、高級脂肪酸、合成ワックス等の離型剤;カーボンブラック等の着色剤;ハイドロタルサイト化合物、リン酸ジルコニウム化合物、水酸化ビスマス化合物等のハロゲントラップ剤、及び半導体素子との接着性を高めるためのシランカップリング剤等を添加することもできる。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば、上記(A)〜(D)成分及びその他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー、ボールミル等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等を用いて、加熱下で混合処理を行い、次いで冷却固化させ、所望により、適当な大きさに粉砕して成形材料として得ることができる。(A)難燃剤は、樹脂層で被覆されているので、上記混合工程で、ホスファゼン化合物が(B)エポキシ樹脂中に出てくることはない。
窒素雰囲気下、0℃で水素化ナトリウム8.6g(214mmol)をTHF50mlに懸濁させ、そこにフェノール19.8g(211mmol)のTHF75ml溶液を滴下した。30分攪拌後、ヘキサクロロトリホスファゼン12.0g(34.5mmol)のTHF75ml溶液を滴下し、18時間加熱還流を行った。溶媒を減圧留去し、メタノールを加え、析出した結晶をメタノール、水で洗浄し、下記式で示されるホスファゼン化合物(A−1)白色結晶を23.8g得た。
窒素雰囲気下、0℃で水素化ナトリウム4.8g(119mmol)をTHF50mlに懸濁させ、そこにフェノール10.2g(108mmol)、4,4’−スルホニルジフェノール0.45g(1.8mmol)のTHF50ml溶液を滴下した。30分攪拌後、ヘキサクロロトリホスファゼン12.5g(36.0mmol)のTHF50ml溶液を滴下し、5時間加熱還流を行った。そこに、別途0℃で水素化ナトリウム5.2g(130mmol)をTHF50mlに懸濁させたものを滴下した後、フェノール11.2g(119mmol)のTHF50ml溶液を滴下して、更に19時間加熱還流した。溶媒を減圧留去後、クロロベンゼンを加えて溶解し、5%NaOH水溶液200ml×2回、5%硫酸水溶液200ml×2回、5%炭酸水素ナトリウム水溶液200ml×2回、水200ml×2回で抽出を行った。溶媒を減圧留去し、黄褐色結晶の下記式で示されるホスファゼン化合物(B−1)を20.4g得た。
真空チャンバー内に平均粒径8.8μm、比表面積155m2/gの多孔性シリカ微粒子SS−150(三菱レーヨン株式会社製)50質量部用意した。別途、アセトン100質量部中に被担持物質として(A−1)40質量部を加え溶解させたものと、アセトン100質量部中エポキシ樹脂GTR−1800(日本化薬株式会社製)6質量部、硬化剤MEH−7500(明和化成株式会社製)4質量部、トリフェニルホスフィン0.3質量部を加え、均一な溶液としたものを、夫々調製した。次いで真空チャンバー内を0.5〜1Torrの減圧に保ちながら、シールされた口から、先に調製した(A−1)溶液140質量部を滴下し、多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように30分間放置した後、30分攪拌して大気圧に戻した。次に再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して攪拌しながらアセトンを蒸発分離させた。次いで再び真空チャンバー内を減圧におきながらエポキシ樹脂溶液110.3質量部を加え(A−1)を含む多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように30分間放置した後、30分攪拌して大気圧に戻した。次に再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して攪拌しながらアセトンを蒸発分離させた。ついで乾燥機中180℃で4時間硬化させることにより、エポキシ樹脂で被覆されたA−1を40質量%担持する難燃剤aを調製した。
真空チャンバー内に平均粒径3.2μm、比表面積 242m2/gの多孔性シリカ微粒子SE−MCB−FP−2(エネックス株式会社製)40質量部用意した。これとは別に アセトン100質量部中に被担持物質として(B−1)55質量部を加え溶解させた。また、アセトン100質量部中ビスマレイミド樹脂BMI(KI化成株式会社製)4.8質量部、AIBN(日本油脂株式会社製)0.2部を加え均一な溶液とした。次いで真空チャンバー内を減圧におきながら、先に調製した(B−1)溶液155質量部を加え、多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように30分間放置した後、30分攪拌して大気圧に戻した。次に再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して攪拌しながらアセトンを蒸発分離させた。次いで再び真空チャンバー内を減圧におきながらビスマレイミド樹脂溶液105.0質量部を加え(B−1)を含む多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように30分間放置した後、30分攪拌して大気圧に戻した。次に再び真空チャンバー内を減圧におきながら100℃に加熱して攪拌しながらアセトンを蒸発分離させた。ついで乾燥機中180℃で2時間、次いで220度で2時間乾燥させることにより、ビスマレイミド樹脂で被覆されたB−1を55質量%担持する難燃剤bを調製した。
真空チャンバー内に平均粒径8.8μm、比表面積155m2/gの多孔性シリカ微粒子SS−150(三菱レーヨン株式会社製)50質量部用意した。これとは別にアセトン100質量部中に被担持物質として(A−1)40質量部を加え溶解させた。同様にN−メチル2−ピロリドン100質量部中PES樹脂4100M(住友化学工業株式会社製)10質量部を加え、60℃に加熱し、均一な溶液とした。次いで真空チャンバー内を減圧におきながら、先に調製した(A−1)溶液140質量部を加え、多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように含浸させた後、30分攪拌して大気圧に戻した。次に再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して攪拌しながらアセトンを蒸発分離させた。次いで再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して上記PES樹脂溶液110質量部を加え、(A−1)を含む多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように30分間放置した後、30分攪拌して大気圧に戻した。ろ過により過剰なN−メチル−2−ピロリドンを除去後、乾燥機中200℃で2時間、乾燥させることにより、PES樹脂で被覆されたA−1を40質量%担持する難燃剤cを調製した。
真空チャンバー内に平均粒径8.8μm、比表面積155m2/gの多孔性シリカ微粒子SS−150(三菱レーヨン株式会社製)50質量部用意した。これとは別にアセトン100質量部中に被担持物質として(A−1)40質量部を加え溶解させた。同様にアセトン100質量部中PMMA樹脂(綜研化学株式会社製)10質量部を加え、60℃に加熱し、均一な溶液とした。次いで真空チャンバー内を減圧におきながら、先に調製した(A−1)溶液140質量部を加え、多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように30分間放置した後、30分攪拌して大気圧に戻した。次に再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して攪拌しながらアセトンを蒸発分離させた。次いで再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して上記PMMA樹脂溶液110質量部を加え、(A−1)を含む多孔性シリカ微粒子に十分浸透するように30分間放置した後、30分攪拌して大気圧に戻した。次に再び真空チャンバー内を減圧におきながら60℃に加熱して攪拌しながらアセトンを蒸発分離させ、PMMA樹脂で被覆されたA−1を40質量%担持する難燃剤dを調製した。
水酸化マグネシウム キスマ8N(協和化学株式会社製)80質量部、とエポキシ樹脂 GTR−1800(日本化薬株式会社製)6質量部、硬化剤 MEH−7500(明和化成株式会社製)3.5質量部、トリフェニルホスフィン0.5質量部を80℃で溶融混合したエポキシ樹脂組成物を10〜50μmに微粉砕したものを、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン株式会社製)で高速気流中衝撃法を用いて水酸化マグネシウムを80質量%含む難燃剤eを作成した。
表1に示す成分を熱2本ロールにて均一に溶融混合し、冷却、粉砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。これらの組成物につき、下記の(i)〜(vii)の諸特性を測定した。結果を表1に示した。
エポキシ樹脂 GTR−1800(日本化薬株式会社製)36質量部、硬化剤MEH−7500(明和化成株式会社製)23質量部、トリフェニルホスフィン3質量部を80℃で溶融混合したエポキシ樹脂組成物を10〜50μmに微粉砕したものと、ホスファゼン化合物(A−1)を40質量部とを、メカノフュージョンシステム(細川ミクロン株式会社製)で高速気流中衝撃法を用いて混合した。しかし、A−1及びエポキシ樹脂組成物ともに均一に混合してしまい、比較例1と同様のタイプの難燃剤は得られなかった。
(i)流動性
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃、6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で測定した。
JIS−K6911に準じて175℃、6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で10×4×100mmの棒を成形したときの175℃における硬度をバーコール硬度計で測定した。
UL−94規格に基づき、各樹脂組成物から、1/16インチ厚の板を、成形条件175℃、6.9N/mm2、成形時間120秒で成形し、180℃で4時間ポストキュアーして得られた成形体の難燃性を調べた。
各組成物を、175℃、6.9N/mm2、成形時間90秒で成形し、180℃で4時間ポストキュアーして50mmx3mmの円板を得た。この円板を175℃の雰囲気中1000時間保管後、ディスクミルで粉砕し、粒径63μm〜212μmの粉砕物10gを純水50ml中に加え、125℃で20時間放置した。その後、純水をろ過し、ろ液中のリン酸イオン濃度をイオンクロマトグラフィーで測定した。
各樹脂組成物から、温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で70φ×3mmの円板を成形して180℃で4時間ポストキュアーした。該円板の体積抵抗率を、150℃雰囲気下で測定した。
5μm幅、5μm間隔のアルミニウム配線を形成した6×6mmの大きさのシリコンチップを14pin−DIPフレーム(42アロイ)に接着し、更にチップ表面のアルミニウム電極とリードフレームとを25μmφの金線でワイヤボンディングした後、これを、各組成物で、175℃、6.9N/mm2、時間120秒の成型条件で封止し、180℃で4時間ポストキュアーした。このパッケージ20個を130℃/85%RHの雰囲気中−20Vの直流バイアス電圧をかけて500時間放置した後、アルミニウム腐食が発生したパッケージ数を調べた。
5μm幅、5μm間隔のアルミニウム配線を形成した6×6mmの大きさのシリコンチップを14pin−DIPフレーム(42アロイ)に接着し、該チップ表面のアルミニウム電極とリードフレームとを25μmφの金線でワイヤボンディングした後、これを各組成物で、175℃、6.9N/mm2、時間120秒の成形条件で封止し、180℃で4時間ポストキュアーした。このパッケージ20個を175℃の雰囲気中−5Vの直流バイアス電圧をかけて1000時間放置した後、抵抗値の平均値を調べた。
(B)成分
エポキシ樹脂(イ):o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、EOCN1020−55(日本化薬株式会社製、エポキシ当量200)
エポキシ樹脂(ロ):トリフェニルメタン型 エポキシ樹脂、EPPN−501H(日本化薬株式会社製、エポキシ当量165)
(C)成分
硬化剤(ハ)フェノールノボラック樹脂:DL−92(明和化成株式会社製、フェノール性水酸基当量110)
硬化剤(ニ)トリフェニルメタン型フェノール樹脂:MEH−7500(明和化成株式会社製、フェノール性水酸基当量97)
(D)成分
無機質充填剤:球状溶融シリカ(龍森株式会社製、平均粒径20μm)
硬化触媒:トリフェニルホスフィン(北興化学株式会社製)
離型剤:カルナバワックス(日興ファインプロダクツ株式会社製)
カーボンブラック:デンカブラック(電気化学工業株式会社製)
シランカップリング剤:KBM−403(信越化学工業株式会社製)
Claims (6)
- 前記多孔性無機微粒子が、平均粒径が0.5〜20μm、比表面積が100〜600m2/gの、二酸化珪素、珪酸カルシウム、アパタイト、アルミナ、及びゼオライトからなる群より選ばれることを特徴とする請求項1記載の難燃剤。
- 前記樹脂層が、エポキシ樹脂又はビスマレイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項1記載の難燃剤。
- 前記ホスファゼン化合物が、難燃剤中に10〜60質量%含まれることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃剤。
- (A)難燃剤
(B)エポキシ樹脂
(C)硬化剤
(D)無機充填材
を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、
(A)難燃剤が、請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃剤であり、
(A)難燃剤は、(B)エポキシ樹脂と(C)の合計100質量部に対して5〜50質量部で含まれ、及び
該半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、臭素化物及びアンチモン化合物を含まない、
ことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 - 請求項5に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
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