JP3470259B2 - 粉末状難燃剤 - Google Patents

粉末状難燃剤

Info

Publication number
JP3470259B2
JP3470259B2 JP34130398A JP34130398A JP3470259B2 JP 3470259 B2 JP3470259 B2 JP 3470259B2 JP 34130398 A JP34130398 A JP 34130398A JP 34130398 A JP34130398 A JP 34130398A JP 3470259 B2 JP3470259 B2 JP 3470259B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fibrous
flame retardant
fiber
weight
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP34130398A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000160164A (ja
Inventor
忠男 薮原
祐二 多田
真司 中野
隆 亀島
洋一 西岡
裕行 高瀬
Original Assignee
大塚化学ホールディングス株式会社
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 大塚化学ホールディングス株式会社 filed Critical 大塚化学ホールディングス株式会社
Priority to JP34130398A priority Critical patent/JP3470259B2/ja
Publication of JP2000160164A publication Critical patent/JP2000160164A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3470259B2 publication Critical patent/JP3470259B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、新規な粉末状難燃
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂用の難燃剤として使用されるホ
スファゼン化合物は、一般に液状であるか、或いは本質
的には固体状であっても、製造の過程における同族体又
は類似体の副生により、液体又は粘稠状固体の状態を呈
する混合物として得られる傾向にある。この傾向は、ホ
スファゼン化合物の純度が、例えば98%以上と高い場
合でも変わらない。
【0003】ところで、合成樹脂等に難燃剤を添加する
に際しては、液体又は粘稠状固体の物質よりも粉末状物
質の方が取り扱いが容易で、供給手段が簡便になるのは
言うまでもないことである。包装や運搬の際にも、粉末
状物質の方が有利である。
【0004】一般に、液体又は粘稠状固体の物質を粉末
化するためには、有機溶剤を使用した再結晶法や分別蒸
留法等の精製処理方法が実施されている。しかしなが
ら、このような方法は、特殊な装置や熱源となるエネル
ギーを必要とするだけでなく、有機溶剤の回収と再利用
を余儀なくされるという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常温
で液体又は粘稠状固体のホスファゼン化合物を、上記従
来の欠点の無い簡便な方法により粉末化してなる新規な
粉末状難燃剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、常温で液体又は粘稠
状固体のホスファゼン化合物、無機繊維状物質及び固体
バインダーを混合することにより、これらを付着乃至吸
着させるという極めて簡便な方法により、ホスファゼン
化合物の難燃剤としての性能を損なうことなく、粉末状
難燃剤が得られることを見い出し、これに基づき本発明
を完成するに至った。
【0007】即ち本発明は、常温で液体又は粘稠状固体
のホスファゼン化合物、無機繊維状物質及び固体バイン
ダーを混合してなり、該ホスファゼン化合物0.5〜8
0.0重量%、該繊維状物質60.0〜19.9重量%
及び固体バインダー35.0〜0.1重量%を含有する
粉末状難燃剤に係る。
【0008】無機繊維状物質及び固体バインダーを用い
る粉末化は、常温で液体又は粘稠状固体の難燃剤の内、
特定のもの、即ちホスファゼン化合物に適用した場合に
有効な結果をもたらす。例えば、ホスファゼン化合物と
同じ難燃剤として用いられ且つ常温で液体又は粘稠状固
体のリン酸エステル化合物を、無機繊維状物質及び固体
バインダーで粉末化しても、良好な粉末状態のものを得
ることはできない。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の粉末状難燃剤は、常温で
液体又は粘稠状固体のホスファゼン化合物、無機繊維状
物質及び固体バインダーを有効成分とする。
【0010】本発明の粉末状難燃剤の原料である常温で
液体又は粘稠状固体のホスファゼン化合物としては、公
知のものをいずれも使用できる。ここで、「常温で液
体」とは25℃での粘度が0.3mPa・s〜10Pa
・s程度に相当し、又「常温で粘稠状固体」とは25℃
での粘度が10Pa・s以上程度に相当する。
【0011】上記原料難燃剤であるホスファゼン化合物
としては、特許公報、文献等に記載の公知化合物をいず
れも使用できる。具体的には、例えば、James E.Mark,H
arryR.Allcock、Robert West著、"Inorganic Polymers"
(Prentice-Hall International,Inc.,1992)第61〜1
40頁に記載されているホスファゼン化合物等を挙げる
ことができる。
【0012】より具体的には、例えば、下記(1)〜
(4)の化合物を挙げることができる。 (1)一般式
【0013】
【化1】
【0014】〔式中、mは3〜25の整数を示す。2つ
のR1は、同一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル
基及びアリル基から選ばれる少なくとも1種が置換した
フェニル基又は無置換フェニル基を示す。〕で表される
環状ホスファゼン化合物。 (2)一般式
【0015】
【化2】
【0016】〔式中、nは3〜1000の整数を示す。
1は上記に同じ。Xは基−N=P(OR13又は基−
N=P(O)OR1を示す。Yは基−P(OR14又は
基−P(O)(OR12を示す。〕で表される直鎖状ホ
スファゼン化合物。 (3)上記(1)及び(2)のホスファゼン化合物から
選ばれる少なくとも1種を、o−フェニレン基、m−フ
ェニレン基,p−フェニレン基、ビフェニレン基及び一
般式
【0017】
【化3】
【0018】〔式中、Aは基−SO2−、基−S−、基
−O−又は基−C(CH32−を示す。〕で表される基
から選ばれる少なくとも1種の架橋基で架橋した架橋ホ
スファゼン化合物。該架橋基は、上記(1)及び(2)
のホスファゼン化合物の基R1が脱離した2個の酸素原
子間に介在する。この架橋ホスファゼン化合物中の基R
1の含有割合は上記、架橋前のホスファゼン化合物中の
1の総個数を基準にして50〜99.9%である。 (4)一般式
【0019】
【化4】
【0020】〔式中、R2はシアノ置換フェニル基を示
す。R3は、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数6
〜10のアリール基であり、これらの基には炭素数1〜
10のアルキル基、アリル基及びアリール基から選ばれ
る少なくとも1種の基が置換されていても良い。R3
2個以上ある場合には、それらのR3同士は、同一であ
っても良いし、異なっていても良い。p及びqは、p>
0、q≧0であり、p+q=2を満たす実数を示す。r
は3〜25の整数を示す。〕で表される環状ホスファゼ
ン化合物、並びに一般式
【0021】
【化5】
【0022】〔式中、R2、R3、p及びqは前記に同
じ。sは3〜1000の整数を示す。X’は基−P(O
2)4、基−P(OR2)3(OR3)、基−P(OR2)2(O
3)2、基−P(OR2)(OR3)3、基−P(OR3)4、基−
P(O)(OR2)2、基−P(O)(OR2)(OR3)又は基−P
(O)(OR3)2を示し、Y’は基−N=P(OR2)3、基−
N=P(OR2)2(OR3)、基−N=P(OR2)(OR3)2
基−N=P(OR3)3、基−N=P(O)OR2又は基−N
=P(O)OR3を示す。〕で表される直鎖状ホスファ
ゼン化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種のホ
スファゼン化合物。
【0023】ホスファゼン化合物は、1種を単独で使用
でき又は2種以上を併用することができる。環状ホスフ
ァゼン化合物と直鎖状ホスファゼン化合物との混合物で
あっても良い。
【0024】上記(1)の環状ホスファゼン化合物及び
(2)の直鎖状ホスファゼン化合物の具体例としては、
例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンを120〜13
0℃程度で反応して得られるヘキサクロルシクロトリホ
スファゼン、オクタクロルシクロテトラホスファゼン等
の環状及び直鎖状のクロルホスファゼン混合物にフェノ
キシ基及び/又はアルコキシ基が置換したホスファゼン
化合物、前記クロルホスファゼン混合物からヘキサクロ
ルシクロトリホスファゼン、オクタクロルシクロテトラ
ホスファゼン、デカクロルシクロペンタホスファゼン等
の単一物を取り出し、これにフェノキシ基及び/又はア
ルコキシ基を置換したヘキサフェノキシシクロトリホス
ファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼ
ン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン、ヘキサ
アルコキシシクロトリホスファゼン、オクタアルコキシ
シクロテトラホスファゼン、デカアルコキシシクロペン
タホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物を挙げるこ
とができる。また、ヘキサクロルシクロトリホスファゼ
ンの加熱(220〜250℃)開環重合により得られる
ジクロルホスファゼンにフェノキシ基及び/又はアルコ
キシ基を置換した直鎖状ホスファゼン化合物を挙げるこ
とができる。
【0025】(3)の架橋ホスファゼン化合物の具体例
としては、例えば、4,4’−スルホニルジフェニレン
(ビスフェノールS残基)による架橋構造を有するフェ
ノキシホスファゼン、2,2−(4,4’−ジフェニレ
ン)イソプロピリデン基による架橋構造を有するフェノ
キシホスファゼン、4,4’−オキシジフェニレン基に
よる架橋構造を有するフェノキシホスファゼン、4,
4’−チオジフェニレン基による架橋構造を有するフェ
ノキシホスファゼン、4,4’−ジフェニレン基による
架橋構造を有するフェノキシホスファゼン等を挙げるこ
とができる。
【0026】(4)のホスファゼン化合物の具体例とし
ては、例えば、モノシアノフェノキシペンタフェノキシ
シクロトリホスファゼン、ジシアノフェノキシテトラフ
ェノキシシクロトリホスファゼン、トリシアノフェノキ
シトリフェノキシシクロトリホスファゼン、テトラシア
ノフェノキシジフェノキシシクロトリホスファゼン、及
びペンタシアノフェノキシモノフェノキシシクロトリホ
スファゼン等のシクロトリホスファゼン化合物、モノシ
アノフェノキシヘプタフェノキシシクロテトラホスファ
ゼン、ジシアノフェノキシヘキサフェノキシシクロテト
ラホスファゼン、トリシアノフェノキシペンタフェノキ
シシクロテトラホスファゼン、テトラシアノフェノキシ
テトラフェノキシシクロテトラホスファゼン、ペンタシ
アノフェノキシトリフェノキシシクロテトラホスファゼ
ン、ヘキサシアノフェノキシジフェノキシシクロテトラ
ホスファゼン、へプタシアノフェノキシモノフェノキシ
シクロテトラホスファゼン等のシクロテトラホスファゼ
ン化合物、シアノフェノキシ基とフェノキシ基とが混合
置換したシクロペンタホスファゼン化合物等の環状ホス
ファゼン化合物、シアノフェノキシ基とフェノキシ基が
混合置換した直鎖状のホスファゼン化合物等を挙げるこ
とができる。
【0027】これらの中でも、(1)の環状ホスファゼ
ン化合物において、mが3〜8の整数のもの、(2)の
直鎖状ホスファゼン化合物において、nが3〜25の整
数のもの、(3)の架橋ホスファゼン化合物において、
Aが基−SO2−、基−S−又は基−C(CH32−で
あるもの、(4)のホスファゼン化合物において、シア
ノフェノキシ基とフェノキシ基とが混合置換したもの等
が好ましい。
【0028】ホスファゼン化合物の純度は、その原料、
製造法及び製造条件により異なるが、通常98〜99%
程度である。本発明で用いることのできるホスファゼン
化合物の純度は、特に制限されないが、通常90%以
上、好ましくは95%以上であるのが良い。純度がこの
範囲であれば、簡便にしかも短時間に粉末化することが
でき、より一層粉末状態の良好な粉末が得られる。
【0029】本発明の粉末状難燃剤の原料である無機繊
維状物質としては、例えば、繊維状チタン酸アルカリ金
属塩、繊維状ホウ酸遷移金属塩、繊維状ホウ酸アルカリ
土類金属塩、繊維状酸化亜鉛、繊維状酸化チタン、繊維
状酸化マグネシウム、繊維状石膏、繊維状珪酸アルミニ
ウム(鉱物名ムライト)、繊維状珪酸カルシウム(鉱物
名ワラストナイト)、繊維状炭化珪素、繊維状炭化チタ
ン、繊維状窒化珪素、繊維状窒化チタン、炭素繊維、ア
ルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、ジルコニア繊維、
石英繊維等を挙げることができる。繊維状チタン酸アル
カリ金属塩、繊維状ホウ酸遷移金属塩及び繊維状ホウ酸
アルカリ土類金属塩の代表的な繊維として、チタン酸カ
リウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びホウ酸マグネ
シウム繊維等があげられる。これらのなかで好ましいの
は、繊維状チタン酸アルカリ金属塩、ワラストナイト、
ホウ酸マグネシウム繊維等であり、特に好ましいのは繊
維状チタン酸アルカリ金属塩、ワラストナイト等であ
る。これらは1種を単独で使用でき又は2種以上を併用
できる。
【0030】上記の無機繊維状物質は、公知の特許公
報、文献等に記載されている方法に基づいて製造され
る。例えば、繊維状酸化亜鉛については特公昭60−5
529号公報、特公平3−51657号公報等、繊維状
酸化マグネシウムについては特開昭60−11223号
公報、特開昭61−210000号公報等、繊維状石膏
については特公昭58−12235号公報、特公昭58
−34410号公報等、繊維状珪酸アルミニウム(鉱物
名ムライト)については特公平4−76956号公報、
特公平7−96480号公報等、繊維状珪酸カルシウム
(鉱物名ワラストナイト)については特開平8−319
199号公報、特開平9−40840号公報等、繊維状
炭化珪素については特開昭56−109811号公報、
特公平1−4999号公報等、繊維状炭化チタンについ
ては特公昭59−45638号公報、特開昭62−25
0225号公報等、繊維状窒化珪素については特開昭5
7−17499号公報、特開昭57−17500号公報
等、繊維状窒化チタンについては特開平2−22119
8号公報及び特開平7−173000号公報等を挙げる
ことが出来る。
【0031】また、チタン酸カリウム繊維及びワラスト
ナイトとしては、アスペクト比が10以上のものを好ま
しく使用できる。アスペクト比とは、繊維長/繊維径を
意味する。10を著しく下回ると、十分な難燃防止効果
が得られない。通常平均繊維径が0.05〜2.0μm
程度、平均繊維長が1〜500μm程度のものを、好適
に使用できる。
【0032】上記、チタン酸カリウム繊維及びワラスト
ナイトのうち、pH6.0〜9.5のものを使用するの
が特に好ましい。ここで、チタン酸カリウム繊維及びワ
ラストナイトのpHとは、チタン酸カリウム繊維又はワ
ラストナイトの1.0重量%水性スラリー(脱イオン水
を使用)を10分間撹拌後、更に撹拌を続けながらその
水性スラリーのpHを20℃で測定した値をいう。pH
が9.5を大幅に越えると、これを原料とした粉末状難
燃剤を難燃化すべき樹脂に配合したときに該樹脂の物性
や耐熱変色性の低下が起る場合があり、好ましくない。
一方pHが6.0を極端に下回ると、これを原料とした
粉末状難燃剤を難燃化すべき樹脂に配合した樹脂組成物
の成形体の強度向上効果が低下するのみならず、残留す
る酸により、加工機械、金型等を腐蝕する原因にもなる
ので、好ましくない。
【0033】本発明における固体バインダーは、ホスフ
ァゼン化合物と無機繊維状物質とを結びつける役目をな
している。特に、ホスファゼン化合物、無機繊維状物質
及び固体バインダーが特異的に作用し合っていることが
特長である。また、該固体バインダーは、難燃化すべき
樹脂と本発明粉末化難燃剤とを結びつける機能もなし、
その結果、混練、成形後の樹脂の難燃性と機械的物性の
向上に寄与している。
【0034】本発明の粉末状難燃剤の原料である固体バ
インダーとしては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネ
シウム、酸化アンチモン、硫酸マグネシウム、硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、ホウ酸、炭
酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸アルミニウムア
ンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニ
ウムナトリウム、燐酸アンモニウム等の無機塩類、p−
トルエンスルホン酸ソーダ、1−ナフタレンスルホン酸
ソーダ、2−ナフタレンスルホン酸ソーダ、グアニジ
ン、グアニジン炭酸塩、メラミンシアヌレート、メラミ
ン、サーモトロピック液晶ポリマー等の有機化合物を挙
げることができる。これらの固体バインダーは1種を単
独で使用でき又は2種以上を併用できる。
【0035】これら固体バインダーの中でも、硫酸マグ
ネシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、水酸化ア
ルミニウム、水酸化マグネシウム、ポリ燐酸アンモニウ
ム、1−ナフタレンスルホン酸ソーダ、メラミンシアヌ
レート、サーモトロピック液晶ポリマー等が好ましく、
硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム等が特に好ましい。サーモトロピ
ック液晶ポリマーのうち好ましいものとしては、p−ヒ
ドロキシ安息香酸とポリエチレンテレフタレートを主構
成単位とするもの、p−ヒドロキシ安息香酸と2−ヒド
ロキシ−6−ナフトエ酸を主構成単位とするもの等を挙
げることができる。
【0036】上記固体バインダーである無機塩類につい
ては、平均水分5.0重量%以下、pH3〜9、平均粒
子径0.1〜100μm及び比表面積1〜500m2
gのものが好ましく、平均水分1.0重量%以下、pH
4〜8、平均粒子径1〜50μm及び比表面積10〜5
00m2/gのものがより好ましい。該無機塩類は、通
常、粉末状である。
【0037】また、上記固体バインダーである有機化合
物については、平均水分2.0重量%以下、pH3〜
9、平均粒子径0.5〜1000μm及び比表面積1〜
500m2/gのものが好ましく、平均水分0.5重量
%以下、pH4〜8、平均粒子径1〜500μm及び比
表面積10〜500m2/gのものがより好ましい。該
有機化合物は、使用時に、粉末状であるのが好ましい。
【0038】上記の固体バインダーとしては、一般に市
販されているものを使用できる。また、公知の特許公報
及び文献等に記載されている方法に基づいて製造しても
よい。例えば、サーモトロピック液晶ポリマーの製法
は、エンジニアリングプラスチック活用ガイド(日刊工
業新聞社刊)第178〜187頁、工業材料(日刊工業
新聞社刊、Vol.37、No.9、1989)第18
〜75頁、特開平9−59524号公報等に記載されて
いる。
【0039】本発明の粉末状難燃剤は、前記無機繊維状
物質及び固体バインダー以外に、必要に応じて、従来公
知の架橋剤や充填剤等を併用してもよい。
【0040】架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼ
ン、1,5−ヘキサジエン−3−イン、ヘキサトリエ
ン、ジビニルエーテル、ジビニルスルホン、フタル酸ジ
アリル、2,6−ジアクリロイルフェノール、ジアリル
カルビノール、ジアルデヒド系化合物、ジカルボン酸系
化合物、ジアミン系化合物、ジイソシアナート系化合
物、ビスエポキシ系化合物、ビスエチレンイミン系化合
物等を挙げることができる。
【0041】充填剤としては、例えば、タルク、炭酸カ
ルシウム、澱粉、粘土、木粉、アスベスト、雲母、パル
プ粉等を挙げることができる。
【0042】本発明の粉末状難燃剤は、常温で液体又は
粘稠状固体のホスファゼン化合物を、無機繊維状物質及
び固体バインダーに混合して、該ホスファゼン化合物を
該繊維状物質に付着乃至吸着させてなるが、通常、常温
で液体又は粘稠状固体のホスファゼン化合物0.5〜8
0.0重量%、無機繊維状物質60.0〜19.9重量
%及び固体バインダー35.0〜0.1重量%を含有す
る。好ましくは、常温で液体又は粘稠状固体の状態を呈
するホスファゼン化合物35.0〜50.0重量%、無
機繊維状物質40.0〜35.0重量%及び固体バイン
ダー30.0〜10.0重量%を含有する。
【0043】該ホスファゼン化合物の含有量が80.0
重量%を越えると粘着性が残り、適切な状態の粉末状難
燃剤が得られず、コスト的にも不利であり、0.5重量
%未満では難燃性能が低下する。無機繊維状物質の含有
量が60.0重量%を越えると難燃剤の相対的濃度が希
釈されて難燃性能が低下し、19.9重量%未満では全
体にべたつき感があり、粉体粒子径が不均一になる。固
体バインダーの含有量が35.0重量%を越えると成型
後の樹脂の機械物性等が低下し、0.1重量%未満では
粉末化が達成し難くなる。
【0044】本発明の粉末状難燃剤は、常温で液体又は
粘稠状固体のホスファゼン化合物を無機繊維状物質及び
固体バインダーに混合して、該ホスファゼン化合物を該
無機繊維状物質の表面に付着乃至吸着させることによ
り、調製することができる。この混合には公知の方法が
採用でき、例えば、鋤板混合機、リボン混合機、スクリ
ュウ混合機等の撹拌機付き混合機を用いる方法等を挙げ
ることができる。粉末化の具体的方法としては、必要量
の無機繊維状物質及び固体バインダーを予め、撹拌機付
き混合機に仕込み、該無機繊維状物質及び固体バインダ
ーを撹拌、混合下に、常温で液体又は粘稠状固体の状態
を呈するホスファゼン化合物を少しづつ滴下等により添
加して、全体を粉体化する。該混合機の撹拌回転速度は
機種、形態等により異なるが、一般的には、100〜
5,000rpm程度が適当であり、500〜1,00
0rpmがより好ましい。この粉末化において、添加す
るホスファゼン化合物が比較的、低粘度の液体状物の場
合には、公知の液体注入装置を用い、そのまま上記の混
合機に供給することができる。また、添加するホスファ
ゼン化合物が高粘度を有する場合又はワックス状のよう
な粘稠状固体である場合は、予めオーブン等の加熱器で
加熱後、該粘度を25℃で0.01〜1Pa・s、好ま
しくは0.05〜0.5Pa・sまで低下させた状態で
供給する。該ホスファゼン化合物の添加を終了した後、
更に、0.5〜10分間、好ましくは1〜2分間、撹
拌、混合を継続して該化合物の粉末化を完結させる。
【0045】かくして本発明の粉末状難燃剤が得られ
る。本発明の粉末状難燃剤は、各種合成樹脂の難燃化用
として好適に使用できる。本発明難燃剤を樹脂と混練す
る場合に、該難燃剤のより均一な分散性を得るため、4
〜16メッシュ、好ましくは6〜10メッシュの篩いを
通して、平均粒子径を500μm〜4mm程度、好まし
くは1〜3mmに揃えるのが好ましい。尚、「混練」と
は、樹脂に粉末状難燃剤を混ぜ合わせる場合、樹脂と粉
末状難燃剤に同時に剪断力を与え、粉末状難燃剤を樹脂
内部に均一に分散させることをいう。
【0046】本発明粉末化難燃剤を適用できる樹脂とし
ては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイ
ソプレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、耐衝撃性ポ
リスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン
樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブ
タジエン・スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタク
リレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹
脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム
・スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリアルキル(メタ)ア
クリレート、芳香族ポリカーボネート(PC)、ポリフ
ェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフィ
ド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリ
スルホン(PSU)、ポリブチレンテレフタレート(P
BT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ
エチレンナフタタレート(PEN)、ポリアミド(P
A)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PA
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(P
I)等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
等を挙げることができる。これらは単独または二種類以
上を混合して用いることができる。
【0047】本発明の粉末状難燃剤を、合成樹脂と混練
して難燃性樹脂組成物を得る場合においては、通常、該
樹脂100重量部に対して該粉末化難燃剤20〜60重
量部程度、好ましくは25〜50重量部を配合するのが
好適である。該粉末化難燃剤が60重量部を越えると難
燃性樹脂組成物の機械的物性の低下を来たし、コスト的
にも不利であり、一方20重量部未満では難燃性が不充
分となるので、いずれも好ましくない。
【0048】また、本発明の粉末化難燃剤を種々の合成
樹脂と混練して難燃性樹脂組成物を得る際に、該難燃剤
の性質を阻害しない種類及び量の樹脂用添加剤を適宜組
合せて添加することができる。樹脂用添加剤としては公
知のものを使用でき、例えば、他の難燃剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、酸化防止剤、遮光剤、金属不活性剤、消
光剤、耐熱安定剤、潤滑剤、離型剤、着色剤、帯電防止
剤、老化防止剤、可塑剤、衝撃強度改良剤、充填剤、相
溶化剤等を挙げることができる。
【0049】本発明の粉末化難燃剤は、完全にハロゲン
元素を含まない。そして、該粉末化難燃剤と種々の樹脂
とを混練、成型してなる難燃性成形品は、UL−94の
難燃性試験法(Test for Flammability of Plastic Mat
erials for Parts in Devices and Appliances UL-94,F
ourth Edition)に準拠した試験でV−0レベルの難燃
性を達成することが出来る。
【0050】本発明の粉末化難燃剤を合成樹脂に配合し
た難燃性樹脂組成物は、成型後の機械物性及び難燃性に
おいて優れている。該組成物は、例えば、射出成形、シ
ート押出、真空成形、異形押出成形、ブロー成形、発泡
成形、射出プレス成形、及びガス注入成形などによって
各種成形品に成形することができる。
【0051】上記の方法によって得られた成形樹脂組成
物は電気、電子、通信、農林水産、鉱業、建設、食品、
繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動車、
精密機器、木材、家具、印刷及び楽器等の産業分野に使
用できる。例えば、プリンター、パソコン、ワープロ、
キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、ファク
シミリ、複写機、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電
子手帳、電子辞書、カード、ホルダー、文具等の事務・
OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明
器具、ゲーム機、アイロン、炬燵等の家電機器、TV、
VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、
ミニディスク、CDプレイヤー、スピーカー、液晶ディ
スプレイ等のAV機器、コネクター、リレー、コンデン
サー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体
封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分
電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器等の用途に
使用できる。また、座席(詰物、表地等)、ベルト、天井
張り、コンパーチブルトップ、アームレスト、ドアトリ
ム、リアパッケージトレイ、カーペット、マット、サン
バイザー、ホイルカバー、マットレスカバー、エアバッ
ク、絶縁材、吊り手、吊り手帯、電線被服材、電気絶縁
材、塗料、コーティング材、上張り材、床材、隅壁、デ
ッキパネル、カバー類、合板、天井板、仕切り板、側
壁、カーペット、壁紙、壁装材、外装材、内装材、屋根
材、防音板、断熱板、窓材等の自動車、車両、船舶、航
空機及び建築用材料や、衣類、カーテン、シーツ、合
板、合繊板、絨毯、玄関マット、シート、バケツ、ホー
ス、容器、眼鏡、鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラ
ケット、テント、楽器等の生活・スポーツ用品の用途に
好適である。
【0052】
【実施例】以下、合成例、比較合成例、実施例、比較例
及び試験例を挙げ、本発明を一層具体的に説明する。
尚、「部」及び「%」とあるのは、特に断らない限り、
それぞれ「重量部」及び「重量%」を意味する。
【0053】合成例1(フェノキシホスファゼン(化合
物1)の合成) 撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた1リットル四つ
口フラスコにフェノール1.30モル(123.0g)
を入れ、テトラヒドロフラン(THF)500mlを加
え均一に溶解した。次に、25℃以下で金属ナトリウム
7.6gを投入した後1時間かけて61℃まで昇温し、
61〜68℃で6時間撹拌を続け、ナトリウムフェノラ
ート溶液を調製した。
【0054】前記反応と並行し、0.5ユニットモル
(58g)のジクロロホスファゼンオリゴマー(3量体
59%、4量体12%、5及び6量体11%、7量体3
%、8量体以上15%の混合体)を含む20%クロルベ
ンゼン溶液290gを2リットル四ツ口フラスコに準備
し、この中へ、25℃以下で撹拌した状態で、先に調製
した前記ナトリウムフェノラート混合溶液を滴下した。
滴下後、71〜73℃で15時間撹拌反応した。
【0055】反応終了後、反応混合物を濃縮し、500
mlのクロルベンゼンに再溶解した後、水洗、5%水酸
化ナトリウム水溶液洗浄を3回、5%硫酸洗浄、5%重
曹水洗浄及び水洗3回を順次行い、濃縮乾固して淡黄色
のワックス状物108gを得た。収率98.5%。
【0056】生成物のGPC分析による重量平均分子量
(Mw)はポリスチレン換算で810であり、TG/D
TA分析による融解温度(Tm)は103℃で、5%重
量減少温度(T5)と分解開始温度(Td)は各々33
0℃及び347℃であった。また、残存塩素量(Hy−
Cl)は0.09%であり、燐並びにCHN元素分析値
より、下記化学構造式の構成単位を有する化合物である
ことを確認した。
【0057】化合物1:[N=P(−O−Ph)2.00] 上記式中の−Phは、フェニル基を示す。以下、同様で
ある。
【0058】合成例2(4,4’−スルホニルジフェニ
レン(ビスフェノールS残基)による架橋構造を有する
フェノキシホスファゼン(化合物2)の合成) 1.25モル(118.0g)のフェノールと0.03
3モル(8.3g)のビスフェノールSを用いて、合成
例1と同様に反応し、淡黄色のワックス状物を得た。収
率91.5%。
【0059】生成物のGPC分析による重量平均分子量
(Mw)はポリスチレン換算で820であり、5%重量
減少温度(T5)と分解開始温度(Td)は各々342
℃及び357℃であった。また、残存塩素量(Hy−C
l)は≦0.01%であり、燐並びにCHN元素分析値
より、下記化学構造式の構成単位を有する化合物である
ことを確認した。
【0060】化合物2:[N=P(−O−Ph−SO2
−Ph−O−)0.05(−O−Ph)1.90] 上記式中の−Ph−は、p−フェニレン基を示す。
【0061】比較合成例1(レゾルシノール−ビス(ジ
フェニルホスフェート)(化合物3)の合成) 2Lの4つ口フラスコに、2,6−キシレノール1.9
2モル(234.4g)、キシレン19.2g、塩化マ
グネシウム0.02モル(1.4g)を入れ、加熱混合
した。反応液の温度が120℃に達した時点で、オキシ
塩化リン1.0モル(147.2g)を約2時間かけて
添加した。このとき発生した塩酸ガスは水スクラバーへ
導いた。オキシ塩化リンの添加終了後、反応液の温度を
徐々に180℃まで2時間かけて昇温させ、反応を完結
させた。
【0062】次いで、反応液にレゾルシン0.53モル
(52.8g)、塩化アルミニウム0.01モル(1.
4g)を加え、加熱混合し、反応温度を徐々に180℃
まで2時間かけ昇温させた。同温度にて2時間攪拌後、
200mmHg減圧下で更に2時間攪拌を行い、反応を
完結させた。反応完結後、反応液にキシレン330g、
10%塩酸水33gを添加し、撹拌して残存する触媒等
を除去し、更に4%食塩水99gで洗浄した。
【0063】得られた化合物3と溶剤との混合物(化合
物3の濃度は約50%)に2,6−ジ−tert−ブチ
ル−p−クレゾール1.0g(化合物3に対して0.3
%)、更に3%水酸化ナトリウム水溶液132gを添加
し、70℃まで加熱し、1時間加熱撹拌を行った。次い
で、反応液のオイル相132gを6%食塩水で70℃に
て洗浄後、更に4%蓚酸水132gで90℃にて洗浄を
行い、オイル相653g(化合物3の濃度は約50%)
を得た。得られたオイル相から、減圧下でキシレンを除
去し、油状物の化合物3を得た。収率99.2%。
【0064】化合物3の化学構造式: [(2,6-Me263O)2P(=O)OC64OP(=O)(2,
6-Me263O)2] 実施例1 スーパーミキサー(商品名「SM−V−20型」、内容
量20リットル、川田製作所製)に、チタン酸カリウム
繊維(商品名「ティスモN−102」、大塚化学(株)
製)1350g及び無水硫酸マグネシウム(商品名「乾
燥硫酸マグネシウムSN−00」、馬居化成工業(株)
製、平均水分0.8重量%以下、pH7.8、平均粒子
径45μm及び比表面積170m2/gの粉末)810
gを仕込み、室温下、570rpmで攪拌しながら、予
め130℃のオーブンにて1時間加熱して液状物とした
フェノキシホスファゼン(合成例1で得た化合物1)1
350gを少しづつ、上部の投入口より5分間かけて添
加した。添加後、さらに2分間、室温下、700rpm
で攪拌を続け粉末化を完結させ、本発明の粉末状難燃剤
3510gを製造した。
【0065】実施例2〜3 チタン酸カリウム繊維に代えてワラストナイト(商品名
「バイスタル」、大塚化学(株)製、実施例2)又はホ
ウ酸マグネシウム繊維(商品名「PGM」、大塚化学
(株)製、実施例3)を使用する以外は、実施例1と同
様に操作し、本発明の粉末化難燃剤を製造した。
【0066】実施例4 化合物1に代えて化合物2(合成例2)を、又固体バイ
ンダーとして無水硫酸マグネシウムに代えて硫酸アルミ
ニウム(商品名「タイエースS100」、大明化学工業
(株)製、平均水分0.9重量%以下、pH6.0、平
均粒子径8μm及び比表面積380m2/gの粉末)
を、それぞれ使用する以外は、実施例1と同様に操作
し、本発明の粉末状難燃剤を製造した。
【0067】実施例5〜8 固体バインダーとして、無水硫酸マグネシウムに代えて
水酸化アルミニウム(試薬、関東化学(株)製、平均水
分0.5重量%以下、pH6.5、平均粒子径4μm及
び比表面積430m2/gの粉末、実施例5)、サーモ
トロピック液晶ポリマー(商品名「ノバキュレートE3
21」、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)
製、平均水分0.3重量%以下、pH6.0、平均粒子
径500μm及び比表面積20m2/gの粉末、実施例
6)、1−ナフタレンスルホン酸ナトリウム(試薬、片
山化学工業(株)、実施例7)又は硫酸バリウム(試
薬、関東化学(株)製、平均水分1.0重量%以下、p
H7.0、平均粒子径9μm及び比表面積480m2
gの粉末、実施例8)を使用する以外は、実施例2と同
様に操作し、本発明の粉末化難燃剤を製造した。
【0068】比較例1 無水硫酸マグネシウムを使用しない以外は、実施例1と
同様に操作し、粉末化難燃剤を製造した。
【0069】比較例2〜3 化合物1に代えて化合物3(比較合成例1、比較例2)
又は燐酸トリフェニル(試薬、和光純薬工業(株)、比
較例3)を使用する以外は、実施例2と同様に操作し、
粉末化難燃剤を製造した。
【0070】比較例4 無水硫酸マグネシウムを使用しない以外は、実施例2と
同様に操作し、粉末化難燃剤を製造した。
【0071】試験例1 実施例1〜8及び比較例1〜4で得られた各粉末状難燃
剤200gを、直径203mm、高さ45mm、JIS
目開き2.0mmのステンレス製篩に入れ、1分間振盪
後、該篩を通過した粉末の割合(重量%)を測定し、こ
れを指標として、粉末化状態を、下記基準により評価し
た。
【0072】は完全粉末化(該篩を通過した粉末が80
重量%以上であった)を、△は一部粉未化(該篩を通過
した粉末が79〜50重量%であった)を、×は不完全
粉末化(該篩を通過した粉末が49重量%以下であっ
た)を、それぞれ示す。
【0073】また、各粉末化難燃剤の平均粒子径(m
m)を、粒度分布測定機(商品名「ルーゼックスII
I」、(株)ニコレ製)を用いて測定した。
【0074】下記表1に、各粉末化難燃剤の原料組成比
(%)、平均粒子径及び粉末化状態を示す。
【0075】
【表1】
【0076】尚、表1において、略号で示される化合物
は、次の通りである。
【0077】TISMO:チタン酸カリウム繊維(商品
名「ティスモN−102」、大塚化学(株)製)。
【0078】WN:ワラストナイト(商品名「バイスタ
ル」、大塚化学(株)製)。
【0079】PGM:ホウ酸マグネシウム繊維(商品名
「PGM」、大塚化学(株)製)。
【0080】TPP:リン酸トリフェニル(試薬、和光
純薬(株)製)。
【0081】NASA:1−ナフタレンスルホン酸ナト
リウム(試薬、片山化学工業(株)製)。
【0082】LCP:サーモトロピック液晶ポリマー
(商品名「ノバキュレートE321」、三菱エンジニア
リングプラスチックス(株)製)。
【0083】表1から、本発明の粉末化難燃剤が、適度
に小さな平均粒子径を有し、しかも良好な粉末化状態を
示すことが明らかである。
【0084】試験例2 表2に示す配合割合(部)で、実施例1〜8及び比較例
1〜4の粉末状難燃剤と合成樹脂を、二軸押出機(商品
名「S1−KRC、25mm Kneader」、
(株)栗本鐵工所製)を用いて、250℃で溶融混練、
ペレット化し、No.1〜14の難燃性樹脂組成物を製
造した。
【0085】
【表2】
【0086】表2において、略号で示す合成樹脂は、次
の通りである。
【0087】PC/ABS:ポリカーボネート樹脂(商
品名「ユーピロンS−2000」、三菱エンジニアリン
グ(株)製)/ABS樹脂(商品名「サンタックUT−
61」、三井化学(株)製)=3/1(重量比)混合
物。
【0088】PC/PBT:ポリカーボネート樹脂
(「ユーピロンS−2000」)/ポリブチレンテレフ
タレート樹脂(商品名「PBT−1200S」、東レ
(株)製)=7/3(重量比)混合物。
【0089】PPE/HIPS(商品名「ザイロンX−
9108」、旭化成(株)製)。
【0090】上記で得られたNo.1〜14の難燃性樹
脂組成物を用い、射出成形機(商品名「MINIMAT
−26/15B」、住友重機械工業(株)製)で試験片
を作製し、次に示す方法で物性を評価した。
【0091】1.曲げ弾性率:JIS−K7203に準
拠した方法で測定した。
【0092】2.熱変形温度:ASTM D−648に
準じ、荷重18.6kgf/cm2で測定した。
【0093】3.アイゾッド衝撃強さ(IZ):JIS
−K7110に準拠し、23℃で測定した。
【0094】4.メルトフローレート(MFR):JI
S−K7210に準拠し、240℃で10kgfの荷重を
かけて測定した。
【0095】5.難燃性:UL−94の試験法(Test f
or Flammability of Plastic Materials for Parts in
Devices and Appliances UL-94,Fourth Edition)に基
づき、厚さ1/16インチ、長さ5インチ、幅0.5イ
ンチの試験片を用い評価試験を実施した。評価基準を以
下に示す。
【0096】V−0:下記A〜Eの全てを満たす。
【0097】A;1セット5個のどの試験片も接炎後の
Flaming(炎をあげて燃え続ける)は10秒以下、 B;1セット5個の試験片に2回づつ、合計10回の接
炎後のFlaming合計が50秒以内、 C;1セット5個のどの試験片もクランプまでFlaming
しない、 D;1セット5個のどの試験片も305mm下の綿を発火
するFlaming粒を滴下しない、 E;1セット5個のどの試験片も2回目の接炎後、Glow
ing(炎をあげて燃えないが、赤熱した火種として残
る)は30秒以内。
【0098】V−1:下記A〜Eの全てを満たす。
【0099】A;1セット5個のどの試験片も接炎後の
Flamingは30秒以内、 B;1セット5個の試験片に2回づつ、合計10回の接
炎後のFlaming合計は250秒以内、 C及びD;V−0に同じ、 E;1セット5個のどの試験片も2回目の接炎後、Glow
ingは60秒以内。
【0100】V−2:下記A〜Eの全てを満たす。
【0101】A、B、C及びE;V−1に同じ、 D;1セット5個の試験片のうち一つ以上が305mm下
の綿を発火するFlaming粒を滴下する。
【0102】HB:水平試験で1セット3個のどの試験
片も接炎後101.6mm標線まで燃えない。
【0103】6.ドリップ性:難燃試験時、綿を発火す
るFlaming粒(ドリップ)の有無をみた。
【0104】表3に、上記試験結果を示す。
【0105】
【表3】
【0106】表3から、本発明の粉末化難燃剤を配合し
た樹脂組成物から得た成形品であるNo.1〜9は、比
較例の粉末化難燃剤を配合した樹脂組成物から得た成形
品であるNo.10〜14に比して、著しく優れた難燃
性を有し、且つ、機械的強度も同等又はそれ以上である
ことが明らかである。
【0107】
【発明の効果】本発明の粉末状難燃剤によれば、常温で
液体又は粘稠状固体のホスファゼン化合物を無機繊維状
物質及び固体バインダーに混合してなることにより、粉
末状で取り扱いが容易であり、又特別な工程に付するこ
となく短時間で粉末化できるという、簡便且つ工業的に
有利な方法で得られ、しかもそれを用いた難燃性樹脂組
成物及びその成形品は、難燃性と機械的強度において優
れるという格別顕著な効果が奏される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀島 隆 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (72)発明者 西岡 洋一 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (72)発明者 高瀬 裕行 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (56)参考文献 特開2000−63564(JP,A) 特開 平3−281553(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 21/12 C08K 9/08 JICSTファイル(JOIS) 特許ファイル(PATOLIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】常温で液体又は粘稠状固体のホスファゼン
    化合物、無機繊維状物質及び固体バインダーを混合して
    なり、該ホスファゼン化合物0.5〜80.0重量%、
    該繊維状物質60.0〜19.9重量%及び固体バイン
    ダー35.0〜0.1重量%を含有する粉末状難燃剤。
  2. 【請求項2】無機繊維状物質が、繊維状チタン酸アルカ
    リ金属塩、繊維状ホウ酸遷移金属塩、繊維状ホウ酸アル
    カリ土類金属塩、繊維状酸化亜鉛、繊維状酸化チタン、
    繊維状酸化マグネシウム、繊維状石膏、繊維状珪酸アル
    ミニウム、繊維状珪酸カルシウム、繊維状炭化珪素、繊
    維状炭化チタン、繊維状窒化珪素、繊維状窒化チタン、
    炭素繊維、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、ジル
    コニア繊維、ガラス繊維及び石英繊維から選ばれる少な
    くとも1種である請求項1に記載の粉末状難燃剤。
  3. 【請求項3】固体バインダーが、水酸化アルミニウム、
    水酸化マグネシウム、酸化アンチモン、硫酸マグネシウ
    ム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウ
    ム、ホウ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸
    アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウ
    ム、硫酸アルミニウムナトリウム、燐酸アンモニウム、
    トルエンスルホン酸ソーダ、ナフタレンスルホン酸ソー
    ダ、グアニジン、グアニジン炭酸塩、メラミンシアヌレ
    ート、メラミン及びサーモトロピック液晶ポリマーから
    選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の粉末状
    難燃剤。
JP34130398A 1998-12-01 1998-12-01 粉末状難燃剤 Expired - Fee Related JP3470259B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34130398A JP3470259B2 (ja) 1998-12-01 1998-12-01 粉末状難燃剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP34130398A JP3470259B2 (ja) 1998-12-01 1998-12-01 粉末状難燃剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000160164A JP2000160164A (ja) 2000-06-13
JP3470259B2 true JP3470259B2 (ja) 2003-11-25

Family

ID=18345017

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP34130398A Expired - Fee Related JP3470259B2 (ja) 1998-12-01 1998-12-01 粉末状難燃剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3470259B2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3505594B2 (ja) * 1999-03-04 2004-03-08 大塚化学ホールディングス株式会社 難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
JP3122818B1 (ja) * 1999-11-09 2001-01-09 大塚化学株式会社 難燃性芳香族ポリアミド樹脂組成物
US6825254B2 (en) * 2000-09-04 2004-11-30 Asahi Kasei Chemicals Corporation Polyphenylene ether resin composition
DE10241375A1 (de) * 2002-09-06 2004-03-18 Clariant Gmbh Granulare Flammschutzmittelzusammensetzung
KR101238054B1 (ko) 2004-01-16 2013-02-28 세이렌가부시끼가이샤 난연성 금속 피복포백
JP4748592B2 (ja) * 2005-04-04 2011-08-17 信越化学工業株式会社 難燃剤及びそれを含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物
JP5122116B2 (ja) * 2006-11-29 2013-01-16 ポリプラスチックス株式会社 熱伝導性樹脂組成物
JP5760283B2 (ja) * 2011-03-24 2015-08-05 住友化学株式会社 ポリスルホン組成物および成形体
CN102807353B (zh) * 2012-08-29 2014-05-07 黑龙江省科学院石油化学研究院 一种纤维处理剂处理石英纤维增强磷酸盐基耐高温复合材料的制备方法
CN102910928B (zh) * 2012-11-13 2014-05-07 黑龙江省科学院石油化学研究院 一种耐超高温1700℃石英纤维增强磷酸盐基复合材料的制备方法
KR101979449B1 (ko) * 2018-05-29 2019-08-28 유한회사 장인내화 단열재용 난연 코팅 조성물을 이용한 난연 단열재
CN111363154A (zh) * 2020-03-09 2020-07-03 南华大学上虞高等研究院有限公司 一种含有氨基的聚磷腈微球的制备方法、应用及脱色方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2869809B2 (ja) * 1990-03-29 1999-03-10 株式会社フジクラ 難燃性樹脂組成物
JP3364679B2 (ja) * 1998-08-26 2003-01-08 大塚化学株式会社 粉末状難燃剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000160164A (ja) 2000-06-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3364679B2 (ja) 粉末状難燃剤
EP1130061B1 (en) Flame-retardant resin composition
KR100444241B1 (ko) 가교 페녹시포스파젠 화합물, 그의 제조법, 난연제,난연성 수지 조성물 및 난연성 수지 성형체
KR100486443B1 (ko) 가교 페녹시포스파젠 화합물, 난연제, 난연성 수지 조성물 및 난연성 수지 성형체
JP3389553B2 (ja) フェノキシホスファゼン系化合物の改質方法、難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形体
JPH11181429A (ja) 難燃剤、難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形体
JP3470259B2 (ja) 粉末状難燃剤
JP3122818B1 (ja) 難燃性芳香族ポリアミド樹脂組成物
JP2004115815A (ja) 難燃剤、難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形体
JP2000256551A (ja) 難燃性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物
JP2002114981A (ja) 難燃剤、難燃性樹脂組成物及び難燃性樹脂成形体
JPH11302512A (ja) 難燃性樹脂組成物
JP2000160030A (ja) 難燃性樹脂組成物

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070912

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080912

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080912

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090912

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090912

Year of fee payment: 6

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090912

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees