JP3364679B2 - 粉末状難燃剤 - Google Patents

粉末状難燃剤

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、新規な粉末状難燃
剤に関する。 【0002】 【従来の技術】ホスファゼン化合物、リン酸エステル化
合物等の合成樹脂用の難燃剤は、一般に液状であるか、
或いは本質的には固体状であっても、製造の過程におけ
る同族体又は類似体の副生により、液体又は粘稠状固体
の状態を呈する混合物として得られる傾向にある。この
傾向は、難燃剤の純度が、例えば98%以上と高い場合
でも変わらない。 【0003】ところで、合成樹脂等に難燃剤を添加する
に際しては、液体又は粘稠状固体の物質よりも粉末状物
質の方が取り扱いが容易で、供給手段が簡便になるのは
言うまでもないことである。包装や運搬の際にも、粉末
状物質の方が有利である。 【0004】一般に、液体又は粘稠状固体の物質を粉末
化するためには、有機溶剤を使用した再結晶法や分別蒸
留法等の精製処理方法が実施されている。しかしなが
ら、このような方法は、特殊な装置や熱源となるエネル
ギーを必要とするだけでなく、有機溶剤の回収と再利用
を余儀なくされるという欠点がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、常温
で液体又は粘稠状固体の難燃剤を、上記従来の欠点の無
い簡便な方法により粉末化してなる新規な粉末状難燃剤
を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
達成すべく鋭意研究を重ねた結果、常温で液体又は粘稠
状固体の難燃剤を、無機質繊維状物質に混合して付着乃
至吸着せしめるという極めて簡便な方法により、難燃剤
の性能を損なうことなく、粉末状難燃剤が得られること
を見い出し、これに基づき本発明を完成するに至った。 【0007】即ち本発明は、常温で液体又は粘稠状固体
の状態を呈する難燃剤を、無機質繊維状物質に混合し
て、該難燃剤を該繊維状物質に付着乃至吸着せしめてな
り、該難燃剤5〜70重量%及び該繊維状物質95〜3
0重量%を含有する粉末状難燃剤であって、該難燃剤
が、ホスファゼン化合物であり、該繊維状物質が、繊維
状チタン酸アルカリ金属塩、繊維状ホウ酸遷移金属塩、
繊維状ホウ酸アルカリ土類金属塩、繊維状酸化亜鉛、繊
維状酸化チタン、繊維状酸化マグネシウム、繊維状石
膏、繊維状珪酸アルミニウム、繊維状珪酸カルシウム、
繊維状炭化珪素、繊維状炭化チタン、繊維状窒化珪素、
繊維状窒化チタン、炭素繊維、アルミナ繊維、アルミナ
−シリカ繊維、ジルコニア繊維、ガラス繊維及び石英繊
維から選ばれる少なくとも1種である粉末状難燃剤に係
る。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明の粉末状難燃剤は、常温で
液体又は粘稠状固体の難燃剤及び無機質繊維状物質を有
効成分とする。 【0009】本発明の粉末状難燃剤の原料である常温で
液体又は粘稠状固体の難燃剤としては、公知のものをい
ずれも使用できる。該原料難燃剤としては、特に良好な
状態の粉末状難燃剤を得ようとするならば、ホスファゼ
ン化合物、リン酸エステル化合物、有機ハロゲン化合物
等が好ましい。ここで、「常温で液体」とは25℃での
粘度が0.3mPa・s〜10Pa・s程度に相当し、
又「常温で粘稠状固体」とは25℃での粘度が10Pa
・s以上程度に相当する。また、「特に良好な粉末状
態」とは、粉末の粒度にばらつきが少なく、長期間保存
しても固化が起り難く、且つ使用時に粉塵発生しない状
態を意味する。 【0010】上記原料難燃剤であるホスファゼン化合物
としては、特許公報、文献等に記載の公知化合物をいず
れも使用できる。具体的には、例えば、James E.Mark,H
arryR.Allcock、Robert West著、"Inorganic Polymers"
(Prentice-Hall International,Inc.,1992)第61〜1
40頁に記載されているホスファゼン化合物等を挙げる
ことができる。 【0011】より具体的には、例えば、下記(1)〜
(4)の化合物を挙げることができる。 (1)一般式 【0012】 【化1】 〔式中、mは3〜25の整数を示す。2つのR1は、同
一又は異なって、炭素数1〜6のアルキル基及びアリル
基から選ばれる少なくとも1種が置換したフェニル基又
は無置換フェニル基を示す。〕で表される環状ホスファ
ゼン化合物。 (2)一般式 【0013】 【化2】 〔式中、nは3〜1000の整数を示す。R1は上記に
同じ。Xは基−N=P(OR13又は基−N=P(O)
OR1を示す。Yは基−P(OR14又は基−P(O)
(OR12を示す。〕で表される直鎖状ホスファゼン化
合物。 (3)上記(1)及び(2)のホスファゼン化合物から
選ばれる少なくとも1種を、o−フェニレン基、m−フ
ェニレン基,p−フェニレン基、ビフェニレン基及び一
般式 【0014】 【化3】 〔式中、Aは基−SO2−、基−S−、基−O−又は基
−C(CH32−を示す。〕で表される基から選ばれる
少なくとも1種の架橋基で架橋した架橋ホスファゼン化
合物。該架橋基は、上記(1)及び(2)のホスファゼ
ン化合物の基R1が脱離した2個の酸素原子間に介在す
る。この架橋ホスファゼン化合物中の基R 1の含有割合
は上記、架橋前のホスファゼン化合物中のR1の総個数
を基準にして50〜99.9%である。 (4)一般式 【0015】 【化4】 〔式中、R2はシアノ置換フェニル基を示す。R3は、炭
素数1〜18のアルキル基又は炭素数6〜10のアリー
ル基であり、これらの基には炭素数1〜10のアルキル
基、アリル基及びアリール基から選ばれる少なくとも1
種の基が置換されていても良い。R3が2個以上ある場
合には、それらのR3同士は、同一であっても良いし、
異なっていても良い。p及びqは、p>0、q≧0であ
り、p+q=2を満たす実数を示す。rは3〜25の整
数を示す。〕で表される環状ホスファゼン化合物、並び
に一般式 【0016】 【化5】 〔式中、R2、R3、p及びqは前記に同じ。sは3〜1
000の整数を示す。X’は基−P(OR2)4、基−P
(OR2)3(OR3)、基−P(OR2)2(OR3)2、基−P(O
2)(OR3)3、基−P(OR3)4、基−P(O)(OR2)2
基−P(O)(OR2)(OR3)又は基−P(O)(OR3)2を示
し、Y’は基−N=P(OR2)3、基−N=P(OR2)
2(OR3)、基−N=P(OR2)(OR3)2、基−N=P(O
3)3、基−N=P(O)OR2又は基−N=P(O)OR
3を示す。〕で表される直鎖状ホスファゼン化合物から
なる群より選ばれた少なくとも1種のホスファゼン化合
物。 【0017】ホスファゼン化合物は、1種を単独で使用
でき又は2種以上を併用することができる。環状ホスフ
ァゼン化合物と直鎖状ホスファゼン化合物との混合物で
あっても良い。 【0018】上記(1)の環状ホスファゼン化合物及び
(2)の直鎖状ホスファゼン化合物の具体例としては、
例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンを120〜13
0℃程度で反応して得られるヘキサクロルシクロトリホ
スファゼン、オクタクロルシクロテトラホスファゼン等
の環状及び直鎖状のクロルホスファゼン混合物にフェノ
キシ基及び/又はアルコキシ基が置換したホスファゼン
化合物、前記クロルホスファゼン混合物からヘキサクロ
ルシクロトリホスファゼン、オクタクロルシクロテトラ
ホスファゼン、デカクロルシクロペンタホスファゼン等
の単一物を取り出し、これにフェノキシ基及び/又はア
ルコキシ基を置換したヘキサフェノキシシクロトリホス
ファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼ
ン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン、ヘキサ
アルコキシシクロトリホスファゼン、オクタアルコキシ
シクロテトラホスファゼン、デカアルコキシシクロペン
タホスファゼン等の環状ホスファゼン化合物を挙げるこ
とができる。また、ヘキサクロルシクロトリホスファゼ
ンの加熱(220〜250℃)開環重合により得られる
ジクロルホスファゼンにフェノキシ基及び/又はアルコ
キシ基を置換した直鎖状ホスファゼン化合物を挙げるこ
とができる。 【0019】(3)の架橋ホスファゼン化合物の具体例
としては、例えば、4,4’−スルホニルジフェニレン
(ビスフェノールS残基)による架橋構造を有するフェ
ノキシホスファゼン、2,2−(4,4’−ジフェニレ
ン)イソプロピリデン基による架橋構造を有するフェノ
キシホスファゼン、4,4’−オキシジフェニレン基に
よる架橋構造を有するフェノキシホスファゼン、4,
4’−チオジフェニレン基による架橋構造を有するフェ
ノキシホスファゼン、4,4’−ジフェニレン基による
架橋構造を有するフェノキシホスファゼン等を挙げるこ
とができる。 【0020】(4)のホスファゼン化合物の具体例とし
ては、例えば、モノシアノフェノキシペンタフェノキシ
シクロトリホスファゼン、ジシアノフェノキシテトラフ
ェノキシシクロトリホスファゼン、トリシアノフェノキ
シトリフェノキシシクロトリホスファゼン、テトラシア
ノフェノキシジフェノキシシクロトリホスファゼン、及
びペンタシアノフェノキシモノフェノキシシクロトリホ
スファゼン等のシクロトリホスファゼン化合物、モノシ
アノフェノキシヘプタフェノキシシクロテトラホスファ
ゼン、ジシアノフェノキシヘキサフェノキシシクロテト
ラホスファゼン、トリシアノフェノキシペンタフェノキ
シシクロテトラホスファゼン、テトラシアノフェノキシ
テトラフェノキシシクロテトラホスファゼン、ペンタシ
アノフェノキシトリフェノキシシクロテトラホスファゼ
ン、ヘキサシアノフェノキシジフェノキシシクロテトラ
ホスファゼン、へプタシアノフェノキシモノフェノキシ
シクロテトラホスファゼン等のシクロテトラホスファゼ
ン化合物、シアノフェノキシ基とフェノキシ基とが混合
置換したシクロペンタホスファゼン化合物等の環状ホス
ファゼン化合物、シアノフェノキシ基とフェノキシ基が
混合置換した直鎖状のホスファゼン化合物等を挙げるこ
とができる。 【0021】これらの中でも、(1)の環状ホスファゼ
ン化合物において、mが3〜8の整数のもの、(2)の
直鎖状ホスファゼン化合物において、nが3〜25の整
数のもの、(3)の架橋ホスファゼン化合物において、
Aが基−SO2−、基−S−又は基−C(CH32−で
あるもの、(4)のホスファゼン化合物において、シア
ノフェノキシ基とフェノキシ基とが混合置換したもの等
が好ましい。 【0022】ホスファゼン化合物の純度は、その原料、
製造法及び製造条件により異なるが、通常98〜99%
程度である。本発明で用いることのできるホスファゼン
化合物の純度は、特に制限されないが、通常90%以
上、好ましくは95%以上であるのが良い。純度がこの
範囲であれば、簡便にしかも短時間に粉末化することが
でき、より一層粉末状態の良好な粉末が得られる。 【0023】原料難燃剤であるリン酸エステル系化合物
としては、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチ
ルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリス(2
−クロロエチル)ホスフェート、トリス(p−トリル)
ホスフェート、レゾルシノール−ビス(ジフェニルホス
フェート)、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート
等を挙げることが出来る。 【0024】これらの中でも、トリス(p−トリル)ホ
スフェート、レゾルシノール−ビス(ジフェニルホスフ
ェート)等が好ましい。 【0025】尚、これら有機リン化合物の製造法につい
ては、新実験化学講座(丸善),Vol.12,p421〜p470、Jo
hn R.Van Wazer,”Phosphorus and its Compounds”,In
terscience Publishers,Inc.,New York、Harry R. Allc
ock,et. al.,"Inorganic Polymers"Prentice-Hall Inte
rnational,Inc.p61〜p140、特公平6-19003号公報、Macr
omolecules 1985,18,p139〜p144等に記載されている方
法を利用することが出来る。 【0026】原料難燃剤である有機ハロゲン化合物とし
ては、例えば、ジブロモクレジルグリシジルエーテル、
塩素化パラフィン等を挙げることが出来る。 【0027】本発明の粉末状難燃剤の原料である無機質
繊維状物質としては、例えば、タルク、シリカ、クレ
ー、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、
硅酸カルシウム、酸化チタン、硝子ビーズ、硝子バルー
ン、硝子フレーク、ガラス繊維、繊維状チタン酸アルカ
リ金属塩、繊維状ホウ酸遷移金属塩、繊維状ホウ酸アル
カリ土類金属塩、繊維状酸化亜鉛、繊維状酸化チタン、
繊維状酸化マグネシウム、繊維状石膏、繊維状珪酸アル
ミニウム(鉱物名ムライト)、繊維状珪酸カルシウム
(鉱物名ウォラストナイト)、繊維状炭化珪素、繊維状
炭化チタン、繊維状窒化珪素、繊維状窒化チタン、炭素
繊維、アルミナ繊維、アルミナ−シリカ繊維、ジルコニ
ア繊維、石英繊維等があげられる。繊維状チタン酸アル
カリ金属塩、繊維状ホウ酸遷移金属塩及び繊維状ホウ酸
アルカリ土類金属塩の代表的な繊維として、チタン酸カ
リウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維及びホウ酸マグネ
シウム繊維等があげられる。これらのなかで好ましいの
は繊維状チタン酸アルカリ金属塩、ウォラストナイト及
びホウ酸マグネシウム繊維等であり、特に好ましいのは
繊維状チタン酸アルカリ金属塩及びウォラストナイトで
ある。これらは1種又は2種以上の混合物であっても良
い。また、一般に使用されている無機質添加剤と併用し
ても良い。 【0028】上記無機質繊維状物質は、公知の特許公
報、文献等に記載されている方法に基づいて製造され
る。例えば、繊維状酸化亜鉛については特公昭60−5
529号、特公平3−51657号等、繊維状酸化マグ
ネシウムについては特開昭60−11223号、特開昭
61−210000号等、繊維状石膏については特公昭
58−12235号、特公昭58−34410号等、繊
維状珪酸アルミニウム(鉱物名ムライト)については特
公平4−76956号、特公平7−96480号等、繊
維状珪酸カルシウム(鉱物名ウォラストナイト)につい
ては特開平8−319199号、特開平9−40840
号等、繊維状炭化珪素については特開昭56−1098
11号、特公平1−4999号等、繊維状炭化チタンに
ついては特公昭59−45638号、特開昭62−25
0225号等、繊維状窒化珪素については特開昭57−
17499号、特開昭57−17500号等、繊維状窒
化チタンについては特開平2−221198号、特開平
7−173000号等を挙げることが出来る。 【0029】また、チタン酸カリウム繊維としては、ア
スペクト比が10以上の六チタン酸カリウム繊維が好ま
しい。アスペクト比が10以上であれば、特に制限され
ず、公知のものが使用できる。アスペクト比とは、繊維
長/繊維径を意味する。該比が10未満では、十分な難
燃効果が得られない。チタン酸カリウム繊維は、出発原
料としてカリウム化合物とチタン化合物を用い、公知の
方法に従って製造できる。通常、平均繊維径が0.05
〜2.0μm程度、平均繊維長が1〜500μm程度の
ものを、好適に使用できる。 【0030】上記チタン酸カリウム繊維のうち、pH
6.0〜8.5のものを使用するのが好ましい。ここ
で、チタン酸カリウム繊維のpHとは、チタン酸カリウ
ム繊維の1.0重量%水性スラリー(脱イオン水を使
用)を10分間撹拌後、更に撹拌を続けながらその水性
スラリーのpHを20℃で測定した値をいう。チタン酸
カリウム繊維のpHが8.5を大幅に越えると、これを
原料とした粉末状難燃剤を難燃化すべき樹脂に配合した
ときに該樹脂の物性や耐熱変色性の低下が起る場合があ
り、好ましくない。一方、pHが6.0を極端に下回る
と、これを原料とした粉末状難燃剤を難燃化すべき樹脂
に配合した樹脂組成物の成形体の強度向上効果が低下す
るのみならず、残留する酸により、加工機械、金型を腐
蝕する原因にもなるので、好ましくない。 【0031】本発明の粉末状難燃剤は、常温で液体又は
粘稠状固体の状態を呈する難燃剤を、無機質繊維状物質
に混合して、該難燃剤を該繊維状物質に付着乃至吸着せ
しめてなるが、通常、常温で液体又は粘稠状固体の状態
を呈する難燃剤5〜70重量%及び無機質繊維状物質9
5〜30重量%を含有する。好ましくは、常温で液体又
は粘稠状固体の状態を呈する難燃剤20〜60重量%、
特に30〜50重量%に対して、無機質繊維状物質80
〜40重量%、特に70〜50重量%である。無機質繊
維状物質の使用量が95重量%を超えると難燃性が低下
し、30重量%未満では全体に粘着性が見られ、粉体が
かたまり易く、不均一となり、充分な粉末化が行われず
好ましくない。また、常温で液体又は粘稠状固体の状態
を呈する難燃剤の使用量が70重量%を超えると全体に
粘着性が見られ、且つ、コスト的に不利であり、5重量
%未満では難燃性が低下するので好ましくない。 【0032】本発明の粉末化難燃剤は、常温で液体又は
粘稠状固体の状態を呈する難燃剤を、無機質繊維状物質
に混合して、該難燃剤を該繊維状物質の表面に付着乃至
吸着せしめることにより、調製することができるが、こ
の混合手段としては、通常公知の機器を使用することが
できる。例えば、鋤板混合機、リボン混合機、スクリュ
ウ混合機等の撹拌機付き混合機等が使用できる。粉末化
の具体的方法としては、必要量の該繊維状物質を予め、
撹拌機付き混合機に仕込み、該繊維状物質を撹拌、混合
下に、常温で液体又は粘稠状固体の状態を呈する難燃剤
を、必要に応じて加熱して、液体状にして少しづつ滴下
等により添加して、全体を粉体化する。該混合機の撹拌
回転速度は機種又は形態により異なるが、一般的には、
100〜5,000rpm程度が適当であり、500〜
1,000rpmがより好ましい。この粉末化におい
て、添加する難燃剤が比較的、低粘度の液体状物の場合
には、公知の液体注入装置を用い、そのまま上記の混合
機に供給することができる。また、添加する難燃剤が高
粘度を有する場合又はワックス状のような粘稠状固体で
ある場合は予めオーブン等の加熱器で加熱後、該粘度を
25℃で0.01〜1Pa・s、好ましくは0.05〜
0.5Pa・sまで低下させた状態で供給する。難燃剤
を添加終了した後、更に、0.5〜10分間、好ましく
は1〜2分間、撹拌、混合を継続して粉末化を完結させ
る。 【0033】かくして本発明の粉末化難燃剤が得られ
る。本発明の粉末化難燃剤は、各種合成樹脂の難燃化用
として好適に使用できる。本発明難燃剤を樹脂と混練す
る場合に、該難燃剤のより均一な分散性を得るため、4
〜16メッシュ、好ましくは6〜10メッシュの篩いを
通して、平均粒子径500μm〜4mm程度、好ましく
は1〜3mmに粒子径を揃えるのが好ましい。尚、「混
練」とは、樹脂に粉末状難燃剤を混ぜ合わせる場合、樹
脂と粉末状難燃剤に同時に剪断力を与え、粉末状難燃剤
を樹脂内部に均一に分散させることをいう。 【0034】本発明粉末化難燃剤を適用できる樹脂とし
ては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイ
ソプレン、ポリブタジエン、ポリスチレン、耐衝撃性ポ
リスチレン(HIPS)、アクリロニトリル・スチレン
樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・ス
チレン樹脂(ABS樹脂)、メチルメタクリレート・ブ
タジエン・スチレン樹脂(MBS樹脂)、メチルメタク
リレート・アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹
脂(MABS樹脂)、アクリロニトリル・アクリルゴム
・スチレン樹脂(AAS樹脂)、ポリアルキル(メタ)
アクリレート、芳香族ポリカーボネート(PC)、ポリ
フェニレンエーテル(PPE)、ポリフェニレンスルフ
ィド(PPS)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポ
リスルホン(PSU)、ポリブチレンテレフタレート
(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(P
A)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)、ポリアミドイミド(PA
I)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリイミド(P
I)等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
等を挙げることができる。 【0035】本発明の粉末化難燃剤を、合成樹脂と混練
して難燃性樹脂組成物を得る場合においては、通常、該
樹脂100重量部に対して該粉末化難燃剤20〜60重
量部程度、好ましくは25〜50重量部を配合するのが
好適である。該粉末化難燃剤が60重量部を超えると難
燃性樹脂組成物の機械的物性の低下を来たし、又コスト
的に不利であり、一方20重量部未満では難燃性が不十
分となるので、いずれも好ましくない。 【0036】また、本発明の粉末化難燃剤を種々の合成
樹脂と混練して難燃性樹脂組成物を得る際に、該難燃剤
の性質を阻害しない種類及び量の各種樹脂用添加剤を適
宜組合せて添加することができる。これらの各種樹脂用
添加剤(以下、各種添加剤という)としては、例えば、
他の難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、遮
光剤、金属不活性剤、消光剤、耐熱安定剤、潤滑剤、離
型剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、可塑剤、衝撃
強度改良剤、充填剤、相溶化剤等が挙げられる。 【0037】これらの各種添加剤の具体例としては、水
酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチ
モン、五酸化アンチモン、ホウ酸、ホウ酸バリウム、ホ
ウ酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バ
リウム、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、ポリ燐
酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ソーダ、ナフタレ
ンスルホン酸ソーダ、グアニジン、メラミンシアヌレー
ト、メラミン、キチン、キトサン、液晶ポリマー、マイ
カ、カオリン等を挙げることができる。これらの中で、
好ましいのは水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、ポリ燐酸アンモ
ニウム及び液晶ポリマーであり、特に好ましいのは水酸
化アルミニウム及び硫酸バリウムである。これらの各種
添加剤は、1種を用いても又は2種以上の混合物を用い
ても良い。尚、これらの添加剤は、本発明難燃剤の製造
時に加えることも可能である。 【0038】上記各種添加剤を使用する場合は、通常、
合成樹脂100重量部に対して、該各種添加剤0.01
〜30重量部、好ましくは0.5〜20重量部を、本発
明の粉末化難燃剤と併用して、混練するのが適当であ
る。各種添加剤を併用することで、該添加剤の性質に応
じて、例えば難燃性等が更に向上する場合がある。当該
添加剤が0.01重量部以下では難燃性等の向上効果を
発揮せず、30重量部以上では混練後の樹脂の機械的物
性の低下を引き起こすので好ましくない。 【0039】また、常温で液体又は粘稠状固体の難燃剤
であってハロゲン元素を含まない難燃剤を原料とした本
発明粉末化難燃剤を、合成樹脂に配合した難燃性樹脂組
成物は、ハロゲン元素を含まず、UL−94の難燃性試
験法(Test for Flammability of Plastic Materials f
or Parts in Devices and Appliances UL-94,FourthEdi
tion)に準拠した試験でV−0レベルの難燃性を達成す
ることが出来る。 【0040】本発明粉末化難燃剤を配合した難燃性樹脂
組成物は、成形後の機械的物性及び難燃性において優れ
ている。該組成物は、例えば、射出成形、シート押出、
真空成形、異形押出成形、ブロー成形、発泡成形、射出
プレス成形、ガス注入成形等によって各種成形品に成形
することができる。 【0041】上記の方法によって得られた成形品は、例
えば、電気、電子、通信、農林水産、鉱業、建設、食
品、繊維、衣類、医療、石炭、石油、ゴム、皮革、自動
車、精密機器、木材、家具、印刷、楽器等の産業分野に
使用できる。より具体的には、例えば、プリンター、パ
ソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末
機)、電話機、ファクシミリ、複写機、ECR(電子式
金銭登録機)、電卓、電子手帳、電子辞書、カード、ホ
ルダー、文具等の事務・OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃
除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、炬
燵等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカ
セ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレイヤ
ー、スピーカー、液晶ディスプレイ等のAV機器、コネ
クター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基
板、コイルボビン、半導体封止材料、電線、ケーブル、
トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部
品及び通信機器等の用途に使用できる。また、座席(詰
物、表地等)、ベルト、天井張り、コンパーチブルトッ
プ、アームレスト、ドアトリム、リアパッケージトレ
イ、カーペット、マット、サンバイザー、ホイルカバ
ー、マットレスカバー、エアバック、絶縁材、吊り手、
吊り手帯、電線被服材、電気絶縁材、塗料、コーティン
グ材、上張り材、床材、隅壁、デッキパネル、カバー
類、合板、天井板、仕切り板、側壁、カーペット、壁
紙、壁装材、外装材、内装材、屋根材、防音板、断熱
板、窓材等の自動車、車両、船舶、航空機及び建築用材
料や、衣類、カーテン、シーツ、合板、合繊板、絨毯、
玄関マット、シート、バケツ、ホース、容器、眼鏡、
鞄、ケース、ゴーグル、スキー板、ラケット、テント、
楽器等の生活・スポーツ用品の用途に好適である。 【0042】 【実施例】以下、合成例、実施例、比較例及び試験例を
挙げて、本発明を一層具体的に説明する。各例におい
て、部及び%は特に断らない限り重量基準である。 【0043】合成例1(原料難燃剤であるフェノキシホ
スファゼン(化合物1)の合成) 撹拌機、温度計及び還流冷却器を備えた1リットル四つ
口フラスコにフェノール1.30モル(123.0g)
を入れ、テトラヒドロフラン(THF)500mlを加
え均一に溶解した。次に、25℃以下で金属ナトリウム
7.6gを投入した後1時間かけて61℃まで昇温し、
61〜68℃で6時間撹拌を続け、ナトリウムフェノラ
ート溶液を調製した。 【0044】前記反応と並行し、0.5ユニットモル
(58g)のジクロロホスファゼンオリゴマー(3量体
59%、4量体12%、5及び6量体11%、7量体3
%、8量体以上15%の混合体)を含む20%クロルベ
ンゼン溶液290gを2リットル四ツ口フラスコに準備
し、この中へ、25℃以下で撹拌した状態で、先に調製
した前記ナトリウムフェノラート混合溶液を滴下した。
滴下後、71〜73℃で15時間撹拌反応した。 【0045】反応終了後、反応混合物を濃縮し、500
mlのクロルベンゼンに再溶解した後、水洗、5%水酸
化ナトリウム水溶液洗浄を3回、5%硫酸洗浄、5%重
曹水洗浄及び水洗3回を順次行い、濃縮乾固して淡黄色
のワックス状物108gを得た。収率98.5%。 【0046】生成物のGPC分析による重量平均分子量
(Mw)はポリスチレン換算で810であり、TG/D
TA分析による融解温度(Tm)は103℃で、5%重
量減少温度(T5)と分解開始温度(Td)は各々33
0℃及び347℃であった。また、残存塩素量(Hy−
Cl)は0.09%であり、燐並びにCHN元素分析値
より、下記化学構造式の構成単位を有する化合物である
ことを確認した。 【0047】化合物1:[N=P(−O−Ph)2.00] 上記式中の−Phは、フェニル基を示す。以下、同様で
ある。 【0048】合成例2(原料難燃剤である、4,4’−
スルホニルジフェニレン(ビスフェノールS残基)によ
る架橋構造を有するフェノキシホスファゼン(化合物
2)の合成) 1.25モル(118.0g)のフェノールと0.03
3モル(8.3g)のビスフェノールSを用いて、合成
例1と同様に反応し、淡黄色のワックス状物を得た。収
率91.5%。 【0049】生成物のGPC分析による重量平均分子量
(Mw)はポリスチレン換算で820であり、5%重量
減少温度(T5)と分解開始温度(Td)は各々342
℃及び357℃であった。また、残存塩素量(Hy−C
l)は≦0.01%であり、燐並びにCHN元素分析値
より、下記化学構造式の構成単位を有する化合物である
ことを確認した。 【0050】化合物2:[N=P(−O−Ph−SO2
−Ph−O−)0.05(−O−Ph)1.90] 上記式中の−Ph−は、p−フェニレン基を示す。 【0051】合成例3(原料難燃剤であるレゾルシノー
ル−ビス(ジフェニルホスフェート)(化合物3)の合
成) 2Lの4つ口フラスコに、2,6−キシレノール1.9
2モル(234.4g)、キシレン19.2g、塩化マ
グネシウム0.02モル(1.4g)を入れ、加熱混合
した。反応液の温度が120℃に達した時点で、オキシ
塩化リン1.0モル(147.2g)を約2時間かけて
添加した。このとき発生した塩酸ガスは水スクラバーへ
導いた。オキシ塩化リンの添加終了後、反応液の温度を
徐々に180℃まで2時間かけて昇温させ、反応を完結
させた。 【0052】次いで、反応液にレゾルシン0.53モル
(52.8g)、塩化アルミニウム0.01モル(1.
4g)を加え、加熱混合し、反応温度を徐々に180℃
まで2時間かけ昇温させた。同温度にて2時間攪拌後、
200mmHg減圧下で更に2時間攪拌を行い、反応を
完結させた。反応完結後、反応液にキシレン330g、
10%塩酸水33gを添加し、撹拌して残存する触媒等
を除去し、更に4%食塩水99gで洗浄した。 【0053】得られた化合物3と溶剤との混合物(化合
物3の濃度は約50%)に2,6−ジ−tert−ブチ
ル−p−クレゾール1.0g(化合物3に対して0.3
%)、更に3%水酸化ナトリウム水溶液132gを添加
し、70℃まで加熱し、1時間加熱撹拌を行った。次い
で、反応液のオイル相132gを6%食塩水で70℃に
て洗浄後、更に4%蓚酸水132gで90℃にて洗浄を
行い、オイル相653g(化合物3の濃度は約50%)
を得た。得られたオイル相から、減圧下でキシレンを除
去し、油状物の化合物3を得た。収率99.2%。 【0054】化合物3の化学構造式:[(2,6-Me26
3O)2P(=O)OC64OP(=O)(2,6-Me263O)
2] 実施例1 予め、合成例1において得られた粘稠性化合物1,35
0gを130℃のオーブンに入れ1時間加熱し液状物と
した。ついで、スーパーミキサー(川田製作所製、商品
名「SM−V−20型」、内容量20L)に、チタン酸
カリウム繊維(大塚化学(株)製、商品名「TISMO
N−102」、以下「TISMO」と略すことがあ
る。)1,350gを仕込み、室温下、700rpm回
転で攪拌しながら、予熱済みの合成例1の油状物1,3
50gを少しづつ、上部の投入口より5分間かけて滴下
した。注入後、さらに2分間、室温下、700rpm回
転で攪拌を続け、粉末化を完結させた。スーパーミキサ
ーの下部より、白色粉末混合物を取り出して、本発明粉
末化難燃剤を得た。 【0055】実施例2〜3 実施例1において、チタン酸カリウム繊維をウォラスト
ナイト(大塚化学(株)製、商品名「バイスタル」、以
下「WN」と略すことがある。)又はホウ酸マグネシウ
ム繊維(大塚化学(株)製、商品名「PGM」、以下
「PGM」と略すことがある。)に代えた以外は実施例
1と同様に操作して、本発明粉末化難燃剤を得た。 【0056】実施例4〜5 実施例1において、化合物1を化合物2又は化合物3に
代えた以外は実施例1と同様に操作して、本発明粉末化
難燃剤を得た。 【0057】比較例1〜5 実施例1〜5において、繊維状物質の仕込み量を450
gに代えた以外は実施例1〜5と同様に操作して、比較
の粉末化難燃剤を得た。 【0058】次に、実施例1〜5及び比較例1〜5で得
た各粉末化難燃剤の粉末化状態を、下記の基準に基づい
て、評価した。 【0059】○は完全粉末化(均一且つ完全に粉末化し
ている状態)を、△は一部粉未化(未粉末化部分が残る
状態)を、×は不完全粉末化を、それぞれ示す。 【0060】また、各粉末化難燃剤の平均粒子径(m
m)を、粒度分布測定機(商品名「ルーゼックス」、
(株)ニコレ製)を用いて、測定した。 【0061】下記表1に、各粉末化難燃剤の原料組成、
平均粒子径及び粉末化状態を示す。 【0062】 【表1】表1より、実施例1〜5の本発明粉末化難燃剤は、比較
例1〜5の比較の粉末化難燃剤に比して、平均粒子径が
小さく、粉末化状態が優れていることが判る。 試験例1〜13 実施例1〜5及び比較例1〜5で得られた各粉末化難燃
剤を、後記表2に示す配合割合で、熱可塑性樹脂に配合
し、二軸押出機(商品名「S1−KRC, 25mm
Kneader」、(株)栗本鐵工所製)を用いて溶融
混練、ペレット化した後、射出成形機(商品名「MIN
IMAT−26/15B」、住友重機械工業(株)製)
で成形して試験片を作製した。 【0063】上記熱可塑性樹脂としては、以下のものを
用いた。 【0064】PC/ABS:三菱エンジニアリングプラ
スチック(株)製、商品名「ユーピロンS−2000」
/三井化学(株)製、商品名「サンタックUT−61」
=3/1(重量比)混合物。 【0065】PC/PBT:三菱エンジニアリングプラ
スチック(株)製、商品名「ユーピロンS−2000」
/東レ(株)製、商品名「PBT−1200S」=7/
3(重量比)混合物。 【0066】PPE/HIPS:旭化成(株)製、商品
名「ザイロン X−9108」。 【0067】上記で得られた試験片を、下記の評価方法
で評価した。 【0068】1.曲げ弾性率:JIS−K7203。 【0069】2.熱変形温度:ASTM D−648。
荷重18.6kgf/cm2で測定。 【0070】3.アイゾッド衝撃強さ(IZ):JIS
−K7110。23℃で測定。 【0071】4.メルトフローレート(MFR):JI
S−K7210。240℃で10kgfの荷重をかけて測
定。 【0072】5.難燃性:UL−94の試験法(Test f
or Flammability of Plastic Materials for Parts in
Devices and Appliances UL-94,Fourth Edition)に基
づき、厚さ1/16インチ、長さ5インチ、幅0.5イ
ンチの試験片を用い評価試験を実施した。評価基準は下
記の通りである。 【0073】V−0:下記A〜Eの全てを満たす。 【0074】A;1セット5個のどの試験片も接炎後の
Flaming(炎をあげて燃え続ける)は10秒以下、 B;1セット5個の試験片に2回づつ、合計10回の接
炎後のFlaming合計が50秒以内、 C;1セット5個のどの試験片もクランプまでFlaming
しない、 D;1セット5個のどの試験片も305mm下の綿を発火
するFlaming粒を滴下しない、 E;1セット5個のどの試験片も2回目の接炎後、Glow
ing(炎をあげて燃えないが、赤熱した火種として残
る)は30秒以内。 【0075】V−1:下記A〜Eの全てを満たす。 【0076】A;1セット5個のどの試験片も接炎後の
Flamingは30秒以内、 B;1セット5個の試験片に2回づつ、合計10回の接
炎後のFlaming合計は250秒以内、 C及びD;V−0に同じ、 E;1セット5個のどの試験片も2回目の接炎後、Glow
ingは60秒以内。 【0077】V−2:下記A〜Eの全てを満たす。 【0078】A、B、C及びE;V−1に同じ、 D;1セット5個の試験片のうち一つ以上が305mm下
の綿を発火するFlaming粒を滴下する。 【0079】HB:水平試験で1セット3個のどの試験
片も接炎後101.6mm標線まで燃えない。 【0080】6.ドリップ性:難燃試験時、綿を発火す
るFlaming粒(ドリップ)の有無をみた。 【0081】7.粘度:(株)東京計器製「B型粘度
計」を用い、新実験化学講座(昭和53年3月20日、
第3刷、丸善(株))1−(1)、第170〜172頁
の記載に準じて測定した。 【0082】下記表2に、熱可塑性樹脂と粉末化難燃剤
の組成及び上記試験結果を示す。 【0083】 【表2】 表2より、実施例1〜10の本発明粉末化難燃剤を配合
した難燃性樹脂組成物から得た成形品は、比較例1〜5
の比較の粉末化難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物から
得た成形品に比して、難燃性が顕著に優れていることが
判る。 【0084】 【発明の効果】本発明粉末状難燃剤によれば、常温で液
体又は粘稠状固体の難燃剤を、無機質繊維状物質に混合
して付着乃至吸着せしめてなることにより、粉末状であ
るために取り扱いが容易であり、又特別な工程に付すこ
となく短時間で粉末化できるという、簡便且つ工業的に
有利な方法で得られ、しかも原料となる難燃剤の性能を
損なうことも無いという格別顕著な効果が奏される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 亀島 隆 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (72)発明者 西岡 洋一 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (72)発明者 高瀬 裕行 徳島県徳島市川内町加賀須野463 大塚 化学株式会社徳島研究所内 (56)参考文献 特開 平4−63869(JP,A) 特開 昭63−265960(JP,A) 特開 昭63−268752(JP,A) 特開 平11−263885(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08K 3/00 - 13/08 C08L 1/00 - 101/16 C08K 21/02 - 21/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】常温で液体又は粘稠状固体の状態を呈する
    難燃剤を、無機質繊維状物質に混合して、該難燃剤を該
    繊維状物質に付着乃至吸着せしめてなり、該難燃剤5〜
    70重量%及び該繊維状物質95〜30重量%を含有す
    る粉末状難燃剤であって、 該難燃剤が、ホスファゼン化合物であり、該繊維状物質
    が、繊維状チタン酸アルカリ金属塩、繊維状ホウ酸遷移
    金属塩、繊維状ホウ酸アルカリ土類金属塩、繊維状酸化
    亜鉛、繊維状酸化チタン、繊維状酸化マグネシウム、繊
    維状石膏、繊維状珪酸アルミニウム、繊維状珪酸カルシ
    ウム、繊維状炭化珪素、繊維状炭化チタン、繊維状窒化
    珪素、繊維状窒化チタン、炭素繊維、アルミナ繊維、ア
    ルミナ−シリカ繊維、ジルコニア繊維、ガラス繊維及び
    石英繊維から選ばれる少なくとも1種である粉末状難燃
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