JP3582576B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形性が良好で、高温放置特性、難燃性及び耐リフロークラック性に優れると共に、安全性の高い硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び該樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
現在、半導体デバイスは、樹脂封止型のダイオード、トランジスター、IC、LSI、超LSIが主流となっており、一般にエポキシ樹脂が他の熱硬化性樹脂に比べ成形性、接着性、電気特性、機械特性、耐湿性等に優れているため、エポキシ樹脂組成物で半導体装置を封止することが多く行われている。
【0003】
近年、このエポキシ樹脂組成物中には、難燃性規格であるUL−94のV−0を達成するために、一般にハロゲン化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンとが配合されている。このハロゲン化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンとの組み合わせは、気相においてラジカルトラップ、空気遮断効果が大きく、その結果、高い難燃効果が得られるものである。
【0004】
しかしながら、ハロゲン化エポキシ樹脂は燃焼時に有毒ガスを発生するという問題があり、また、三酸化アンチモンにも粉体毒性があるため、人体・環境に対する影響を考慮すると、これらの難燃剤は樹脂組成物成分として好適とは言い難いものであり、全く含まないことが望ましい。
【0005】
そこで、このような要求に対して、ハロゲン化エポキシ樹脂或いは三酸化アンチモンの代替として、従来からAl(OH)3、Mg(OH)2等の水酸化物、リン系難燃剤等を使用することの検討がなされてきている。しかし、いずれの化合物を使用しても、成形時の硬化性が悪くなったり、耐湿性が悪くなる等の問題点があり、実用化には至っていないのが現状である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、成形性に優れ、高温放置特性、難燃性及び耐リフロークラック性に優れると共に、安全性の高い硬化物を与える半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びその硬化物で封止された半導体装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、エポキシ樹脂として下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂、その硬化剤として下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂、無機充填剤を必須成分として含有してなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物に、難燃剤としてモリブデン化合物を配合することにより、優れた成形性を有し、難燃性、耐リフロークラック性及び耐湿性に優れると共に、安全性の高い硬化物が得られ、この硬化物で封止した半導体装置は、高い信頼性を有することを見出した。
【0008】
この場合、モリブデン酸亜鉛などのモリブデン化合物は、プラスチック燃焼時の減煙、チャー生成に効果があることが知られ、従来は三酸化アンチモン同様、ハロゲン化樹脂と併用して用いられていた。本発明者は、このモリブデン化合物を耐熱性樹脂である式(1)のエポキシ樹脂及び式(2)のフェノール樹脂と組み合わせて配合することにより、ハロゲン化樹脂を用いなくとも十分な難燃性を得ることができ、しかもモリブデン化合物は、三酸化アンチモンのような粉体毒性は認められず、硬化性、耐湿性等を低下させることもないため、極めて有効な難燃剤として上記エポキシ樹脂組成物に配合できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
【化3】
(但し、式中R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基及びフェニル基から選択される同一もしくは異なる原子又は基であり、nは0〜10の整数である。)
【0010】
【化4】
(但し、式中R2は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基及びフェニル基から選択される同一もしくは異なる原子又は基であり、mは0〜10の整数である。)
従って、本発明は、
(A)上記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂
(B)上記一般式(2)で表されるフェノール樹脂硬化剤
(C)モリブデンアセチルアセトナート、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(V)、酸化モリブデン(VI)、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸炭酸カルシウム及びモリブデン酸カルシウムから選ばれるモリブデン化合物、又はこのモリブデン化合物を無機充填剤に担持させた難燃剤(但し、球状シリカにモリブデン酸亜鉛を担持させた難燃剤を除く)
(D)無機充填剤
を配合してなることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこの半導体封止用エポキシ樹脂組成物で封止された半導体装置を提供する。
【0011】
以下、本発明について更に詳しく説明すると、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、(A)成分の下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂及び(B)成分の下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂硬化剤は、いずれもビフェニル骨格及びフェノール骨格を有する樹脂である。これらの樹脂は、低吸水性かつ優れた靭性を有し、優れた耐リフロークラック性を示す硬化物を与え、また、熱分解開始温度が高く、熱分解速度が遅いため、耐熱性に優れた材料である。
【0012】
(A)成分は、下記一般式(1)で表される、ビフェニル骨格を含有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂(即ち、ビフェニルアラルキル骨格を有するエポキシ樹脂)であり、具体的には、以下のようなものが挙げられる。
【0013】
【化5】
(但し、式中R1は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基といった炭素数1〜4のアルキル基及びフェニル基から選択される同一もしくは異なる原子又は基であり、nは0〜10、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2の整数である。)
【0014】
【化6】
(nは0〜10、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2の整数である。)
【0015】
上記式(1)で表されるエポキシ樹脂は、150℃においてICI粘度計(コーンプレート型)により測定される樹脂溶融粘度が0.1〜2.5ポイズ、特に0.1〜0.8ポイズであることが望ましい。樹脂溶融粘度が2.5ポイズを超えると、耐リフロークラック性向上のため無機充填剤量を80〜90重量%と高充填にする場合、溶融時の流動性が著しく低下してしまう場合があり、0.1ポイズ未満では成形時に内部ボイドが発生し易くなり、信頼性が低下する場合がある。
【0016】
本発明では、エポキシ樹脂として、必要に応じて他のエポキシ樹脂を併用することができる。併用する他のエポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリフェノールプロパン型エポキシ樹脂等のトリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を含有しないフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。また、これらの中では溶融時に低粘度であるビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等が好ましい。
【0017】
式(1)で表されるエポキシ樹脂の配合量は、エポキシ樹脂総量(式(1)で表されるエポキシ樹脂+他のエポキシ樹脂)に対して50〜100重量%、特に70〜100重量%であることが望ましい。式(1)のエポキシ樹脂の配合量が50重量%未満では、十分な耐リフロークラック性、難燃性が得られない場合がある。
【0018】
また、(B)成分は、下記一般式(2)で表される、ビフェニル骨格を含有するアラルキル型フェノール樹脂(即ち、ビフェニルアラルキル骨格を有するフェノール樹脂)硬化剤であり、具体的には下記のものを挙げることができる。
【0019】
【化7】
(但し、式中R2は水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基といった炭素数1〜4のアルキル基及びフェニル基から選択される同一もしくは異なる原子又は基であり、mは0〜10、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2の整数である。)
【0020】
【化8】
(mは0〜10、好ましくは0〜4、より好ましくは0〜2の整数である。)
【0021】
本発明に用いる(B)成分の式(2)で表されるフェノール樹脂硬化剤は、150℃においてICI粘度計(コーンプレート型)により測定される樹脂溶融粘度が0.1〜1.2ポイズ、特に0.2〜0.8ポイズであることが望ましい。これはエポキシ樹脂と同様の理由によるものである。
【0022】
本発明では、必要に応じて、硬化剤として他の硬化剤を併用することができる。併用する他の硬化剤としては、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、ビフェニル骨格を含有しないフェノールアラルキル型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、トリフェノールメタン型フェノール樹脂、トリフェノールプロパン型フェノール樹脂等のトリフェノールアルカン型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹脂、複素環型フェノール樹脂、ビスフェノールA型フェノール樹脂、ビスフェノールF型フェノール樹脂等のビスフェノール型フェノール樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種又は2種以上を使用することができる。
【0023】
式(2)で表されるフェノール樹脂硬化剤の配合量は、フェノール樹脂硬化剤総量(式(2)で表されるフェノール樹脂硬化剤+他のフェノール樹脂硬化剤)に対して50〜100重量%、特に70〜100重量%であることが望ましい。式(2)のフェノール樹脂硬化剤の配合量が50重量%未満では、十分な耐リフロークラック性、難燃性が得られない場合がある。
【0024】
本発明において、(A)成分のエポキシ樹脂、(B)成分の硬化剤の配合量は特に制限されないが、組成物中のエポキシ樹脂の総量中に含まれるエポキシ基1モルに対して、組成物中のフェノール樹脂硬化剤の総量中に含まれるフェノール性水酸基のモル比が0.5〜1.5、特に0.8〜1.2となる範囲が好ましい。
【0025】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物においては、難燃剤としてモリブデン化合物(C)を配合する。
【0026】
この(C)成分のモリブデン化合物としては、ホウ化モリブデン、2ケイ化モリブデン、モリブデンアセチルアセトナート、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(V)、酸化モリブデン(VI)、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸炭酸カルシウム、モリブデン酸カルシウム等の、モリブデン酸化物、モリブデンホウ化物、モリブデンケイ化物、モリブデンエステル化合物やモリブデン酸塩などが挙げられる。モリブデン化合物は、プラスチック燃焼時の減煙効果及び炭化層生成促進作用があることが知られており、従来は三酸化アンチモンと同様に、ハロゲン化樹脂と併用して用いられていたが、本発明者は、前記した特定構造のエポキシ樹脂(A)、特定構造のフェノール樹脂硬化剤(B)と併用して用いることにより、三酸化アンチモンやハロゲン化樹脂を配合せずに、UL−94のV−0を達成する優れた難燃性が得られることを見出したものである。このモリブデン化合物は、三酸化アンチモンのような粉体毒性もなく、またハロゲン化樹脂のように熱分解による有害なガスを発生することもないので極めて安全な難燃剤である。この中でも、エポキシ樹脂組成物の硬化性に悪影響を及ぼさない化合物としてモリブデン酸亜鉛が特に好ましい。
【0027】
上記モリブデン化合物は、そのまま配合してもよいが、十分な難燃効果を得るためにはエポキシ樹脂組成物中に均一に分散させることが好ましく、このため分散性を向上させるために予めモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物をタルク、球状溶融シリカ等の微細無機充填剤(粉体)に担持させてモリブデン化合物担持無機充填剤としてから配合することが望ましい。この場合、かかる無機充填剤としては、溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、タルク、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維等が挙げられる。特に、タルク、球状溶融シリカがエポキシ樹脂組成物への分散性の点から好ましい。
【0028】
好ましくは、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物は、モリブデン化合物担持無機充填剤全体に対してモリブデン化合物含有量が1〜50重量%、特に5〜40重量%の範囲となるように上記無機充填剤(粉体)に担持させることが好ましく、1重量%未満では十分な難燃性が得られない場合があり、50重量%を超えると組成物の硬化性、成形性(或いは流動性)が低下する場合がある。
【0029】
また、モリブデン化合物及びモリブデン化合物担持無機充填剤の平均粒径は0.1〜20μm、特に0.2〜10μm、とりわけ0.5〜3μm、BET吸着法による比表面積は0.5〜50m2/g、特に0.7〜20m2/gが好適である。平均粒径が小さすぎたり、或いは比表面積が大きすぎると樹脂組成物中への分散性が悪くなる場合があり、一方、平均粒径が大きすぎたり、或いは比表面積が小さすぎるとモリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物を上記の無機充填剤に均一に担持させることが困難になり、難燃性が低下する場合がある。
【0030】
なお、この平均粒径は、例えばレーザー光回折法などによる粒度分布測定装置等を用いて、重量平均値(メジアン径)などとして求めることができる。
【0031】
このようなモリブデン酸亜鉛担持無機充填剤としては、市販品を用いることができ、例えばSHERWIN−WILLIAMS社のKEMGARD 1260,1261,1270,1271,911C等のKEMGARDシリーズなどが挙げられる。
【0032】
モリブデン化合物の配合量は、エポキシ樹脂と硬化剤の総量100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.15〜10重量部、特に0.2〜4重量部が望ましく、0.1重量部未満では十分な難燃効果が得られない場合があり、30重量部を超えると硬化性が低下する場合がある。なお、モリブデン酸亜鉛等のモリブデン化合物を担持する無機充填剤全体としての配合量は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤との合計100重量部に対して0.5〜120重量部、特に1〜80重量部、とりわけ1〜50重量部が好ましい。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物中に配合される(D)成分の無機充填剤としては、通常エポキシ樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。無機充填剤としては、上記(C)成分におけるモリブデン化合物担持無機充填剤以外の、例えば溶融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チタン、ガラス繊維等が挙げられる。
【0034】
これら無機充填剤の平均粒径や形状は特に限定されないが、成形性及び流動性の面から平均粒径が1〜40μm、特に5〜20μmの球状の溶融シリカが特に好ましい。
【0035】
なお、上記無機充填剤は、樹脂と無機充填剤との結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面処理したものを配合することが好ましい。このようなカップリング剤としては、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシランなどを用いることが好ましい。なお、表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではない。
【0036】
無機充填剤の充填量は、エポキシ樹脂と硬化剤の総量100重量部に対して400〜1100重量部、特に600〜900重量部が好適であり、充填量が400重量部未満では膨張係数が大きくなり、半導体素子に加わる応力が増大し素子特性の劣化を招く場合があり、また、組成物全体に対する樹脂量が多くなるために、本発明の目的とする難燃性が得られない場合がある。一方、1100重量部を超えると成形時の粘度が高くなり、成形性が悪くなる場合がある。なお、この無機充填剤は組成物全体の75〜92重量%、特に83〜90重量%の含有量とすることが好ましい。
【0037】
本発明においては、エポキシ樹脂と硬化剤との硬化反応を促進させるため、硬化促進剤を配合することが好ましい。この硬化促進剤は、硬化反応を促進させるものであれば特に制限はなく、例えばトリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートなどの有機リン系化合物、トリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7などの第3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物等を使用することができる。
【0038】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、シリコーン系等の低応力剤、カルナバワックス、高級脂肪酸、合成ワックス等のワックス類、カーボンブラック等の着色剤、ハロゲントラップ剤等が挙げられる。なお、これらの添加剤の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0039】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填剤、その他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料とすることができる。
【0040】
このようにして得られる本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、各種の半導体装置の封止用に有効に利用でき、この場合、封止の最も一般的な方法としては、低圧トランスファー成形法が挙げられる。なお、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の成形温度は150〜180℃で30〜180秒、後硬化は150〜180℃で2〜16時間行うことが望ましい。
【0041】
【発明の効果】
本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、成形性、難燃性、耐リフロークラック性及び耐湿性に優れた硬化物を与え、しかもハロゲン化エポキシ樹脂、三酸化アンチモンを樹脂組成物中に含有しないので、人体・環境に対する悪影響もないものである。従って、本発明の組成物で封止した半導体装置は、高い信頼性を有する。
【0042】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に示すが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において部はいずれも重量部である。
【0043】
[実施例1〜9、比較例1〜4]
表1、2に示す成分を熱2本ロールにて均一に溶融混合し、冷却、粉砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。
【0044】
使用した原材料を下記に示す。
・エポキシ樹脂
(イ)式(1−1)で表されるエポキシ樹脂:NC3000P(日本化薬製、エポキシ当量272、150℃でICI粘度計(コーンプレート型)による樹脂溶融粘度0.8ポイズ)
(ロ)ビフェニル型エポキシ樹脂:YX4000HK(油化シェル製、エポキシ当量190)
(ハ)o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:EOCN1020−55(日本化薬製、エポキシ当量200)
・硬化剤
(ニ)式(2−1)で表されるフェノール樹脂:MEH7851L(明和化成製、フェノール当量199、150℃でICI粘度計(コーンプレート型)による樹脂溶融粘度0.8ポイズ)
(ホ)フェノールアラルキル樹脂:MEH7800SS(明和化成製、フェノール当量175)
・無機充填剤
球状溶融シリカ(平均粒径13μm)
・硬化促進剤
トリフェニルホスフィン
・モリブデン化合物担持タルク(平均粒径0.8μm、比表面積(BET法)12m2/g(モリブデン化合物の含有量:19重量%))
・離型剤:カルナバワックス(日興ファインプロダクツ(株)製)
・シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、KBM403(信越化学工業(株)製)
【0045】
【化9】
【0046】
これらの組成物につき、諸特性を下記方法で測定した。結果を表1、2に併記する。
《スパイラルフロー値》
EMMI規格に準じた金型を使用して、175℃、70kgf/cm2、成形時間120秒の条件で測定した。
《成形硬度》
JIS−K6911に準じて175℃、70kgf/cm2、成形時間90秒の条件で10×4×100mmの棒を成形したときの熱時硬度をバーコール硬度計で測定した。
《耐リフロークラック試験》
14×20×2.7mmのフラットパッケージを成形した。180℃で4時間ポストキュアーしたものを、85℃/85%RHの恒温恒湿器に168時間放置して吸湿させた後、温度240℃の半田浴に30秒浸漬し、パッケージ外部のクラックを観察し、クラック発生率を求めた。
《難燃性》
UL−94規格に基づき、1/16インチ厚の板を成形し難燃性を調べた。
《耐湿性》
アルミニウム配線を形成した6×6mmの大きさのシリコンチップを14pin−DIPフレーム(42アロイ)に接着し、更にチップ表面のアルミニウム電極とリードフレームとを30μmφの金線でワイヤボンディングした後、これにエポキシ樹脂組成物を成形条件175℃、70kgf/cm2、成形時間120秒で成形し、180℃で4時間ポストキュアーした。このパッケージを140℃/85%RHの雰囲気中5Vの直流バイアス電圧をかけて500時間放置した後、アルミニウム腐食が発生したパッケージ数を調べた。
【0047】
表1、2の結果より、本発明の半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、成形性が良好で、難燃性、耐リフロークラック性及び耐湿性に優れた硬化物を与え、しかもハロゲン化エポキシ樹脂、三酸化アンチモンを樹脂組成物中に含有しないので、人体・環境に対する悪影響もないものであることが確認された。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
Claims (6)
- (A)下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂
(B)下記一般式(2)で表されるフェノール樹脂硬化剤
(C)モリブデンアセチルアセトナート、酸化モリブデン(IV)、酸化モリブデン(V)、酸化モリブデン(VI)、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸炭酸カルシウム及びモリブデン酸カルシウムから選ばれるモリブデン化合物、又はこのモリブデン化合物を無機充填剤に担持させた難燃剤(但し、球状シリカにモリブデン酸亜鉛を担持させた難燃剤を除く)
(D)無機充填剤
を配合してなることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。 - エポキシ樹脂及び硬化剤の総量100重量部に対して、モリブデン化合物を0.1〜30重量部、無機充填剤を400〜1100重量部の範囲で配合した請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 一般式(1)で表されるエポキシ樹脂が、150℃においてICI粘度計(コーンプレート型)により測定される樹脂溶融粘度が0.1〜2.5ポイズのものである請求項1又は2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 一般式(2)で表されるフェノール樹脂が、150℃においてICI粘度計(コーンプレート型)により測定される樹脂溶融粘度が0.1〜1.2ポイズのものである請求項1、2又は3記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- (C)成分として、モリブデン酸亜鉛又はこのモリブデン酸亜鉛をタルクに担持させたものを配合した請求項1乃至4のいずれか1項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか1項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置。
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JP13100699A JP3582576B2 (ja) | 1998-05-15 | 1999-05-12 | 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 |
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