JP2003327797A - 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Info

Publication number
JP2003327797A
JP2003327797A JP2002141483A JP2002141483A JP2003327797A JP 2003327797 A JP2003327797 A JP 2003327797A JP 2002141483 A JP2002141483 A JP 2002141483A JP 2002141483 A JP2002141483 A JP 2002141483A JP 2003327797 A JP2003327797 A JP 2003327797A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
group
flame
resin composition
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002141483A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroyuki Takenaka
博之 竹中
Masakazu Osada
将一 長田
Shingo Ando
信吾 安藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2002141483A priority Critical patent/JP2003327797A/ja
Publication of JP2003327797A publication Critical patent/JP2003327797A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Structures Or Materials For Encapsulating Or Coating Semiconductor Devices Or Solid State Devices (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 (A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、
(C)無機質充填剤、(D)オルガノポリシロキサン又
は(F)オルガノポリシロキサンのSiH基とアルケニ
ル基含有エポキシ化合物のアルケニル基を付加反応させ
たブロック共重合体、及び(E)ホスファゼン化合物を
必須成分とし、臭素化物及びアンチモン化合物を実質的
に含まない半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物、及
びこの組成物の硬化物で封止した半導体装置。 【効果】 本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組
成物は、成形性に優れるとともに、難燃性及び耐湿信頼
性に優れた硬化物を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形性に優れると
ともに、難燃性及び耐湿信頼性に優れ、臭素化エポキシ
樹脂等の臭素化物、三酸化アンチモン等のアンチモン化
合物を含有しない硬化物を得ることができる半導体封止
用エポキシ樹脂組成物、及び該樹脂組成物の硬化物で封
止した半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】現在、
半導体デバイスは樹脂封止型のダイオード、トランジス
ター、IC、LSI、超LSIが主流であるが、エポキ
シ樹脂が他の熱硬化性樹脂に比べて成形性、接着性、電
気特性、機械特性、耐湿性等に優れているため、エポキ
シ樹脂組成物で半導体装置を封止することが一般的であ
る。半導体デバイスは家電製品、コンピュータ等、生活
環境のあらゆる所で使用されているため、万が一の火災
に備えて、半導体装置には難燃性が要求されている。
【0003】半導体封止用エポキシ樹脂組成物中には、
難燃性を高めるため、一般にハロゲン化エポキシ樹脂と
三酸化アンチモンとが配合されている。このハロゲン化
エポキシ樹脂と三酸化アンチモンとの組み合わせは、気
相においてラジカルトラップ、空気遮断効果が大きく、
その結果、高い難燃効果が得られるものである。
【0004】しかし、ハロゲン化エポキシ樹脂は燃焼時
に有毒ガスを発生するという問題があり、また三酸化ア
ンチモンにも粉体毒性があるため、人体、環境に対する
影響を考慮すると、これらの難燃剤を樹脂組成物中に全
く含まないことが好ましい。
【0005】このような要求に対して、ハロゲン化エポ
キシ樹脂あるいは三酸化アンチモンの代替として、従来
からAl(OH)3、Mg(OH)2等の水酸化物、赤リ
ン、リン酸エステル等のリン系難燃剤等の検討がなされ
てきている。しかし、Al(OH)3、Mg(OH)2
の水酸化物は難燃効果が低いため、難燃組成とするため
には、エポキシ樹脂組成物中に水酸化物を多量に添加し
なければならず、その結果、組成物の粘度が上昇し、成
形時にボイド、ワイヤー流れ等の成形不良が発生すると
いう問題がある。一方、赤リン、リン酸エステル等のリ
ン系難燃剤をエポキシ樹脂組成物に添加した場合、半導
体装置が高温高湿条件にさらされると、リン系難燃剤が
加水分解されてリン酸が生成し、このリン酸がアルミ配
線を腐食させ、信頼性を低下させるという大きな問題が
あった。
【0006】この問題を解決するため、特許第2843
244号公報では、赤リンの表面にSiXY組成からな
る被覆層で被覆した化合物を難燃剤として使用したエポ
キシ樹脂組成物が提案されているが、上記の耐湿信頼性
は改善されていないのが現状である。また、特開平10
−259292号公報では、環状ホスファゼン化合物
を、充填剤を除く配合成分の合計量に対して、燐原子の
量が0.2〜3.0重量%となる量を使用したエポキシ
樹脂組成物も提案されているが、難燃性を得るためには
相当な量をエポキシ樹脂組成物に添加する必要があり、
その場合は硬化性の低下ならびに高温環境下での電気抵
抗性低下を引き起こす等の問題点があった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、臭素化エポキシ樹脂等の臭素化物、三酸化アンチモ
ン等のアンチモン化合物を含有せず、成形性に優れると
ともに、難燃性及び耐湿信頼性に優れる硬化物を得るこ
とができる半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物、及
び該樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者等は、上記目的を達成すべく鋭意検討を行った結
果、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、(C)無機質
充填剤、(D)下記平均組成式(1)で示されるオルガ
ノポリシロキサン又は(F)下記平均組成式(1’)で
示されるオルガノポリシロキサンのSiH基とアルケニ
ル基含有エポキシ化合物のアルケニル基を付加反応させ
たブロック共重合体、及び(E)下記平均組成式(2)
で示されるホスファゼン化合物を必須成分とし、臭素化
物及びアンチモン化合物を実質的に含まない半導体封止
用難燃性エポキシ樹脂組成物が、成形性に優れると共
に、難燃性及び耐湿信頼性に優れる硬化物となり得るこ
とを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】 R1 m2 nSi(OR3p(OH)q(4-m-n-p-q)/2 …(1) (式中、R1はフェニル基、R2は炭素数1〜6の一価炭
化水素基又は水素原子、R3は炭素数1〜4の一価炭化
水素基を表し、m,n,p,qは、0≦m≦2.0、0
≦n≦1.0、0≦p≦2.5、0≦q≦0.35、
0.92≦m+n+p+q≦2.8の範囲である。)
【0010】HrsSiO(4-r-s)/2
(1’) (式中、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基であり、
r,sは、0.001≦r≦1、1≦s≦3、1.00
1≦r+s≦3を満足する正数である。)
【0011】
【化3】 (式中、XはO、S又はNR6であり、YはO、S又は
NR7であり、R4,R5は水素原子、炭素数1〜4のア
ルキル基、アルコキシ基、NR89及びSR8から選ば
れる基であり、R6〜R9はそれぞれ水素原子又は炭素数
1〜4のアルキル基であり、a,b,cは0<a≦2
c、0≦b<2c、a+b=2c、3≦c≦1000で
ある。)
【0012】従って、本発明は、下記に示す半導体封止
用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供す
る。 〔I〕(A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤 (C)無機質充填剤 (D)上記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシ
ロキサン (E)上記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化
合物 を必須成分とし、臭素化物及びアンチモン化合物を実質
的に含まないことを特徴とする半導体封止用難燃性エポ
キシ樹脂組成物。 〔II〕(A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤 (C)無機質充填剤 (E)上記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化
合物 (F)上記平均組成式(1’)で示されるオルガノポリ
シロキサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合
物のアルケニル基を付加反応させたブロック共重合体 を必須成分とし、臭素化物及びアンチモン化合物を実質
的に含まないことを特徴とする半導体封止用難燃性エポ
キシ樹脂組成物。 〔III〕〔I〕又は〔II〕記載の半導体封止用難燃
性エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止した半導体装置。
【0013】本発明のエポキシ樹脂組成物は、このよう
に、臭素化物、アンチモン化合物を実質的に含まないも
のである。一般に、エポキシ樹脂組成物中には、難燃性
を達成するため、臭素化エポキシ樹脂と三酸化アンチモ
ンとが配合されているが、本発明のエポキシ樹脂組成物
は、この臭素化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンとを使
用せずに、難燃規格であるUL−94、V−0を達成す
ることができるものである。
【0014】ここで、臭素化エポキシ樹脂あるいは三酸
化アンチモンの代替として、従来からAl(OH)3
Mg(OH)2等の水酸化物、赤リン、リン酸エステル
等のリン系難燃剤等が検討されている。しかし、これら
の公知の代替難燃剤は、特に高温において耐水性が弱
く、難燃剤自身が溶解、分解して、抽出水中の不純物イ
オンを増加させるという共通の欠点があった。このた
め、臭素化物、アンチモン化合物を実質的に含まない従
来の難燃性エポキシ樹脂組成物で封止された半導体装置
を長時間高温高湿下に放置すると、半導体装置のアルミ
配線が腐食し、耐湿信頼性が低下するという問題があっ
た。
【0015】本発明者等は、上記不都合を解決すべく鋭
意検討を行った結果、難燃剤として、(D)平均組成式
(1)で示されるオルガノポリシロキサン又は(F)平
均組成式(1’)で示されるオルガノポリシロキサンの
SiH基とアルケニル基含有エポキシ化合物のアルケニ
ル基を付加反応させたブロック共重合体と、(E)平均
組成式(2)で示されるホスファゼン化合物の2種を併
用した半導体封止用エポキシ樹脂組成物が、前述のよう
に抽出水中の不純物イオンを増加させることもなく、成
形性に優れ、難燃性及び耐湿信頼性に優れた硬化物を得
ることができることを見出したものである。
【0016】この場合、これらの化合物は、いずれも耐
水性が高く、抽出水中の不純物イオンを増加させる作用
がないものである。しかし、これらの化合物をそれぞれ
単独で使用した場合は、難燃効果が不十分であったり、
エポキシ樹脂組成物の流動性が低下したり、あるいは硬
化性が低下したりする不都合があったが、本発明の難燃
性エポキシ樹脂組成物は、難燃剤として、(D)平均組
成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン又は
(F)平均組成式(1’)で示されるオルガノポリシロ
キサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合物の
アルケニル基を付加反応させたブロック共重合体と、
(E)平均組成式(2)で示されるホスファゼン化合物
の2種を併用したことにより、それぞれの添加量を最小
限に抑えることができるため、上述のような成形時の問
題点もなく、しかも難燃性及び耐湿信頼性に特に優れた
硬化物を得ることができるものである。
【0017】以下、本発明について更に詳しく説明す
る。本発明のエポキシ樹脂組成物を構成する(A)エポ
キシ樹脂は特に限定されない。一般的なエポキシ樹脂と
しては、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラ
ック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキ
シ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格含
有アラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹
脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、複素環型エ
ポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキ
シ化合物、スチルベン型エポキシ樹脂等が挙げられ、こ
れらのうち1種又は2種以上を併用することができる。
これらのうちでは、芳香環を含むエポキシ樹脂が好まし
い。なお、本発明においては臭素化エポキシ樹脂は配合
されない。
【0018】上記エポキシ樹脂は、加水分解性塩素が1
000ppm以下、特に500ppm以下であり、ナト
リウム及びカリウムはそれぞれ10ppm以下の含有量
とすることが好ましい。加水分解性塩素が1000pp
mを超えたり、ナトリウム又はカリウムが10ppmを
超える場合は、長時間高温高湿下に半導体装置を放置す
ると、耐湿性が劣化する場合がある。
【0019】本発明に用いる(B)硬化剤も特に限定さ
れるものではない。一般的な硬化剤としては、フェノー
ル樹脂が好ましく、具体的には、フェノールノボラック
樹脂、ナフタレン環含有フェノール樹脂、アラルキル型
フェノール樹脂、トリフェノールアルカン型フェノール
樹脂、ビフェニル骨格含有アラルキル型フェノール樹
脂、ビフェニル型フェノール樹脂、脂環式フェノール樹
脂、複素環型フェノール樹脂、ナフタレン環含有フェノ
ール樹脂、ビスフェノールA型樹脂、ビスフェノールF
型樹脂等のビスフェノール型フェノール樹脂などが挙げ
られ、これらのうち1種又は2種以上を併用することが
できる。
【0020】上記硬化剤は、エポキシ樹脂と同様に、ナ
トリウム及びカリウムの含有量をそれぞれ10ppm以
下とすることが好ましい。ナトリウム又はカリウムが1
0ppmを超える場合は、長時間高温高湿下に半導体装
置を放置すると、耐湿性が劣化する場合がある。
【0021】ここで、エポキシ樹脂、硬化剤の配合量は
特に制限されないが、硬化剤としてフェノール樹脂を用
いる場合、エポキシ樹脂中に含まれるエポキシ基1モル
に対して、硬化剤中に含まれるフェノール性水酸基のモ
ル比が0.5〜1.5、特に0.8〜1.2の範囲であ
ることが好ましい。
【0022】また、本発明において、エポキシ樹脂と硬
化剤との硬化反応を促進させるため、硬化促進剤を用い
ることが好ましい。この硬化促進剤は、硬化反応を促進
させるものであれば特に制限はなく、例えばトリフェニ
ルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリ(p−メチ
ルフェニル)ホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホス
フィン、トリフェニルホスフィン・トリフェニルボラ
ン、テトラフェニルホスフィン・テトラフェニルボレー
トなどのリン系化合物、トリエチルアミン、ベンジルジ
メチルアミン、α−メチルベンジルジメチルアミン、
1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7
などの第3級アミン化合物、2−メチルイミダゾール、
2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル
イミダゾールなどのイミダゾール化合物等を使用するこ
とができる。
【0023】硬化促進剤の配合量は有効量であるが、
(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との総量100重量
部に対し、0.1〜5重量部、特に0.5〜2重量部と
することが好ましい。
【0024】本発明のエポキシ樹脂組成物中に配合され
る(C)無機質充填剤としては、通常エポキシ樹脂組成
物に配合されるものを使用することができる。例えば溶
融シリカ、結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化
珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、酸化チ
タン、ガラス繊維等が挙げられる。
【0025】これら無機質充填剤の平均粒径や形状及び
無機質充填剤の充填量は、特に限定されないが、難燃性
を高めるためには、エポキシ樹脂組成物中に成形性を損
なわない範囲で可能な限り多量に充填させることが好ま
しい。この場合、無機質充填剤の平均粒径、形状とし
て、平均粒径5〜30μmの球状の溶融シリカが特に好
ましく、また、(C)成分である無機質充填剤の充填量
は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との総量100
重量部に対し、400〜1200重量部とすることが好
ましく、特に500〜1000重量部とすることが好ま
しい。
【0026】なお、本発明において、平均粒径は、例え
ばレーザー光回折法等による重量平均値(又はメディア
ン径)等として求めることができる。
【0027】無機質充填剤は、樹脂と無機質充填剤との
結合強度を強くするため、シランカップリング剤、チタ
ネートカップリング剤などのカップリング剤で予め表面
処理したものを配合することが好ましい。このようなカ
ップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシシラン、N
−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等
のアミノシラン、γ−メルカプトシラン等のメルカプト
シランなどのシランカップリング剤を用いることが好ま
しい。ここで表面処理に用いるカップリング剤の配合量
及び表面処理方法については特に制限されるものではな
い。
【0028】本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂
組成物は、(D)平均組成式(1)で表されるオルガノ
ポリシロキサンを配合する。 R1 m2 nSi(OR3p(OH)q(4-m-n-p-q)/2 …(1) (式中、R1はフェニル基、R2は炭素数1〜6のアルキ
ル基、アルケニル基等の一価炭化水素基(但し、フェニ
ル基を除く)又は水素原子、R3は炭素数1〜4のアル
キル基、アルケニル基等の一価炭化水素基を表し、m,
n,p,qは、0≦m≦2.0、0≦n≦1.0、0≦
p≦2.5、0≦q≦0.35、0.92≦m+n+p
+q≦2.8を満足する数である。)
【0029】本発明の樹脂組成物が良好な難燃性を示す
理由は定かではないが、上記平均組成式(1)で表され
るシリコーン化合物を含む本発明の樹脂組成物を燃焼さ
せた場合、アルコキシ基の酸化分解架橋によりオルガノ
シロキサンと特に芳香族を含むエポキシ樹脂が結合して
燃焼部周辺に固定され、更にオルガノシロキサンに高含
有率で含まれるフェニル基は特に芳香環を含むエポキシ
樹脂との間で、各々が持つ芳香環相互のカップリングに
より不燃性のSi−Cセラミック層を容易に形成し、高
い難燃効果を発現すると考えられる。この難燃化機構が
有効に働くために好ましいアルコキシ基含有率は、オル
ガノシロキサンの平均組成式中のp、すなわちSi原子
1モルに対するアルコキシ基のモル数が、好ましくは
0.42〜2.5である。0.42未満では架橋性が低
すぎて燃焼部周辺に固定化され難いため、また、2.5
を超えると低分子量なオルガノシロキサンしか得られ
ず、燃焼時に固定化される前に熱で気化することによる
損失率が高くなるため、いずれの場合も難燃化効果が低
下してしまう場合がある。更に好ましいアルコキシ基含
有率はSi原子1モルに対して0.5〜2.3モルであ
る。
【0030】平均組成式(1)中のR3は、好ましくは
炭素数1〜4のアルキル基から選ばれ、例えば、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル基であり、炭素数5以上
のアルキル基はアルコキシ基としての反応性が低く、難
燃化効果が期待出来ない。
【0031】一方、オルガノシロキサンに含まれるシラ
ノール基も反応性が低く、難燃性にほとんど寄与するこ
とはないが、保存安定性の面や加工性の面から、オルガ
ノシロキサン平均組成式におけるqの値で0.35以下
が好ましい。
【0032】上述の難燃化機構が有効に働くために必要
なもう一つの要素であるフェニル基含有率については、
平均組成式のm、すなわちSi原子1モルに対するフェ
ニル基のモル数で、好ましくは0.5〜2.0である。
0.5未満だとフェニル基が少なすぎて難燃化効果が得
られない場合がある。2.0を超えるとフェニル基含有
率は十分に高いが、嵩高いフェニル基が一つのSi上に
密集した構造を多く含むため、立体障害が大きく、ポリ
オルガノシロキサン分子の空間的自由度が低下し、芳香
環相互のカップリングによる難燃化機構が作用するのに
必要な芳香環同士の重なりが困難になり、難燃化効果を
低下させる。より好ましいmの値は0.6〜1.8であ
る。
【0033】Si−C結合でSiに結合する置換基はフ
ェニル基以外の置換基R2を含んでもよい。この置換基
は難燃化効果と直接関係がないため、含有量が多くなれ
ば逆効果となるが、適量含有させることで、嵩高いフェ
ニル基含有率の高いオルガノシロキサン分子の立体障害
を緩和して空間的な自由度を向上させ、フェニル基同士
の重なりを容易にして難燃化効果を高める方向に働く場
合もある。この効果を期待できるR2の含有率は、平均
組成式のnの値で1.0以下である。好ましくは平均組
成式中のm+nに対するnの比率n/(m+n)で0〜
0.3の範囲であり、0.3を超えては相対的なフェニ
ル基含有率が低下して難燃化効果が十分に得られなくな
るおそれがある。
【0034】R2は炭素数1〜6の炭化水素基又は水素
原子であり、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6
のアルケニル基が好ましい。例えば、メチル、エチル、
プロピル、ブチル、ヘキシル等のアルキル基、ビニル、
プロペニル、ブテニルなどのアルケニル基が挙げられ
る。特にメチル基、ビニル基が、立体障害緩和の点から
も工業的にも好ましい。
【0035】本発明の(D)成分のオルガノポリシロキ
サンは、下記式(3) R10SiZ3 (3) (但し、式(3)中のR10はR1又はR2と同じ有機基を
表し、Zは−OH、−OR11又はシロキサン残基を表
し、一つのSi原子に結合している三つのZのうち少な
くとも一つはシロキサン結合を含む。)で表されるシロ
キサン単位を50モル%以上含有していることが好まし
い。この三官能性シロキサン単位は、三次元的な架橋構
造を形成してオルガノシロキサン分子構造を強固にする
ことで樹脂的性質を付与し、エポキシ樹脂組成物への分
散性、加工性を向上させる。また、単官能性や二官能性
シロキサン単位を多く含む直線的な分子構造のオルガノ
シロキサンは、燃焼時に起きるシロキサン結合の熱によ
る再配列で揮発性低分子量シロキサンを形成して系外へ
逃げやすいのに対し、架橋反応性の高い三官能性シロキ
サン単位を多く含むオルガノシロキサンは、更に高分子
量化して系内に止まり、難燃化に寄与する。三官能性シ
ロキサン単位が50モル%未満ではこれらの効果が小さ
くなることがあり、より好ましくは三官能性シロキサン
単位を60モル%以上含むオルガノシロキサンで高い難
燃化効果が発現される。
【0036】式(3)のR10はR1又はR2と同じであ
り、アルキル基、アルケニル基、アリール基等であり、
例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル
基等のアルキル基、ビニル、プロペニル、ブテニル基等
のアルケニル基、フェニル基等のアリール基が挙げられ
る。特にフェニル基、メチル基、ビニル基が工業的に好
ましい。
【0037】式(3)中のZは−OH、−OR11、又は
シロキサン残基を表し、一つのSi原子に結合している
Zのうち少なくとも一つはシロキサン単位を含んでいな
ければならない。なお、シロキサン残基、シロキサン結
合とは、−O−(Si≡)を示す(但し、括弧内のSi
≡は隣接するSi原子と結合していることを示す)。ま
た、R11は炭素数1〜3のアルキル基を示す。
【0038】(D)成分のオルガノポリシロキサン中に
は、三官能性シロキサン単位以外の構成単位として、特
性に影響を与えない範囲で二官能性シロキサン単位、単
官能性シロキサン単位、四官能性シロキサン単位を含有
してもよい。特に四官能性シロキサン単位は三次元的な
架橋構造を形成してオルガノポリシロキサン分子構造を
強固にすることや、高い架橋反応性が高分子量化を促し
て系内に止まり、難燃化に寄与する。一方、この四官能
性シロキサン単位の含有率が多くなると、エポキシ樹脂
への分散性が低下するので、好ましい含有率は50モル
%以下である。
【0039】また、(D)成分であるオルガノポリシロ
キサンの平均重合度は2.5〜20量体であることが好
ましい。重合度は難燃化効果を決める重要な因子であ
り、この重合度範囲のオルガノシロキサンは、溶融混合
時に良く分散し、また燃焼時における熱で溶融して移動
し、燃焼部周辺に集まることもできる。また、この動き
易さはフェニル基の重なりを容易にすることでも難燃化
の効果を向上させる。平均重合度が2.5未満の低分子
量オルガノシロキサンでは、燃焼時における熱による気
化で難燃化効果が低下してしまい、20を超えると燃焼
時の動き易さがなくなり難燃化効果が低下し、またエポ
キシ樹脂への分散性が悪くなることがある。より好まし
くは、平均重合度で2.5〜15量体であり、更に好ま
しくは平均分子量で410以上2000未満の範囲をも
満たすことが良い。
【0040】このようなオルガノポリシロキサンは公知
の方法で製造できる。例えば、上記のシロキサン単位を
形成しうるオルガノクロロシランに、全てのクロル基と
反応する過剰のアルコールと水を反応させてアルコキシ
基含有オルガノシランを形成し、減圧ストリップ等の方
法で未反応アルコール、水及び反応副生物である塩化水
素を除去して目的物を得る。目標のアルコキシ基含有率
や平均分子量のものを調製するには、反応させるアルコ
ールと水の量を調整して行う。水は目標の平均分子量が
達成される理論量とし、アルコールは目標のアルコキシ
基量を達成する理論量より過剰にすれば目標の構造に近
いオルガノポリシロキサンが得られる。
【0041】上記のシロキサン単位を形成しうるアルコ
キシシランが入手できれば、目標の平均分子量が達成で
きる理論量の水を加えて部分加水分解縮合反応させる方
法も可能である。この場合は、反応を促進する触媒とし
て、酸、塩基、有機金属化合物を添加することが望まし
い。副生したアルコールは常圧蒸留や減圧ストリップに
より除去して目的物を得る。より保存安定性を高める必
要がある場合は、添加した反応触媒を中和等の方法によ
り除去してもよい。いずれの方法においても、ゲルの発
生や分子量分布の広がりを抑制する目的で有機溶剤を配
合することも可能である。
【0042】本発明における(D)成分であるオルガノ
ポリシロキサンの添加量は、(A)エポキシ樹脂と
(B)硬化剤との総量100重量部に対して0.1〜5
0重量部が好ましく、より好ましくは2〜20重量部で
ある。0.1重量部未満では難燃性を十分に付与するこ
とができないおそれがあり、50重量部を超えると成形
時の粘度が高くなり、また成形品の外観や強度に悪影響
を与える場合がある。
【0043】また、本発明の半導体封止用難燃性エポキ
シ樹脂組成物は、下記平均組成式(1’)で示されるオ
ルガノポリシロキサンのSiH基とアルケニル基含有エ
ポキシ化合物のアルケニル基を付加反応させたブロック
共重合体(F)を使用することもできる。 HrsSiO(4-r-s)/2 …(1’) (式中、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基であり、
r,sは、0.001≦r≦1、1≦s≦3、1.00
1≦r+s≦3を満足する正数である。)
【0044】ここで、式(1’)において、Rの一価炭
化水素基としては、炭素数1〜10、特に1〜8のもの
が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル
基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシ
ル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル
基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェ
ニル基、キシリル基、トリル基等のアリール基、ベンジ
ル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラ
ルキル基などや、これら炭化水素基の水素原子の一部又
は全部を塩素、フッ素、臭素等のハロゲン原子で置換し
たクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、ブロモエ
チル基等のハロゲン置換一価炭化水素基などを挙げるこ
とができる。
【0045】また、式(1’)において、s,rのより
好ましい範囲は、0.01≦r≦0.5、1.5≦s≦
2.5、1.51≦r+s≦3.0であり、式(1’)
のオルガノポリシロキサンの一分子中におけるケイ素原
子数は2〜1000、特に10〜200であることが好
ましく、ケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)の
数は1〜10、特に1〜5であることが好ましい。ま
た、ブロック共重合体中のオルガノポリシロキサン含有
量は5〜50重量%、特に10〜20重量%であること
が好ましい。
【0046】本発明の共重合体の製造方法は、すでに公
知であり(特公昭63−60069号、特公昭63−6
0070号公報等)、アルケニル基含有エポキシ化合物
のアルケニル基と、上記式(1’)で示されるオルガノ
ポリシロキサンのSiH基との付加反応によって得るこ
とができる。ブロック共重合体として、具体的には下記
式(4)で示される構造を例示することができる。
【0047】
【化4】 (上記式中、Rは上記と同じ、R12は水素原子又は炭素
数1〜4のアルキル基、R13は−CH2CH2CH2−、
−OCH2−CH(OH)−CH2−O−CH2CH 2CH
2−又は−O−CH2CH2CH2−である。uは1〜20
0、好ましくは10〜100の整数、t、vは1〜10
0、好ましくは1〜20の整数である。)
【0048】本発明において、(F)ブロック共重合体
中のオルガノポリシロキサン含有量は5〜50重量%、
特に10〜20重量%であることが好ましい。
【0049】(F)成分であるブロック共重合体を使用
する場合の含有量としては、(A)エポキシ樹脂と
(B)硬化剤との総量100重量部に対して0.1〜5
0重量部が好ましく、より好ましくは2〜20重量部で
ある。また、共重合体中のオルガノポリシロキサン含有
量としては、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との総
量100重量部に対してジオルガノポリシロキサン単位
で0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.
5〜8重量部であることが望ましい。
【0050】更に、本発明の半導体封止用難燃性エポキ
シ樹脂組成物は、(E)下記平均組成式(2)で示され
るホスファゼン化合物を使用するものである。
【0051】
【化5】 (式中、XはO、S又はNR6であり、YはO、S又は
NR7であり、R4,R5は水素原子、炭素数1〜4のア
ルキル基、アルコキシ基、NR89及びSR8から選ば
れる基であり、R6〜R9はそれぞれ水素原子又は炭素数
1〜4のアルキル基であり、a,b,cは0<a≦2
c、0≦b<2c、a+b=2c、3≦c≦1000で
ある。)
【0052】上記式(2)で示されるホスファゼン化合
物を添加した本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂
組成物は、赤リン、リン酸エステル等のリン系難燃剤を
添加したエポキシ樹脂組成物と比較して、熱水抽出特性
に優れ、耐湿信頼性に特に優れる硬化物を得ることがで
きる。また、上記式(2)で示されるホスファゼン化合
物を、(D)平均組成式(1)で表されるオルガノポリ
シロキサン又は(F)平均組成式(1’)で示されるオ
ルガノポリシロキサンのSiH基とアルケニル基含有エ
ポキシ化合物のアルケニル基を付加反応させたブロック
共重合体と併用することにより、更に高い難燃効果を得
ることができる。
【0053】ここで、式(2)において、cは3〜10
00であるが、より好ましい範囲は3〜10である。合
成上特に好ましくはc=3である。
【0054】a、bの比率は、0<a≦2c、0≦b<
2cであるが、難燃性と硬化性、高温保管時の電気抵抗
性を高いレベルで両立するためには、0.33c≦a≦
1.67c、0.33c≦b≦1.67cが望ましい。
【0055】Xは、O、S又はNR6、Yは、O、S又
はNR7であるが、より高い硬化性を得る為にはエポキ
シ基と反応するNHなどが望ましい。エポキシ基と反応
する基であれば特に問題ない。
【0056】R4、R5は、炭素数1〜4のアルキル基、
アルコキシ基、NR89、SR8基など電子供与性の基
である。電子供与基の置換が無い場合、X又はYがNH
である時のNの求核性が低下するため、エポキシ基との
反応性が低くなる。その為、式(2)で表されるホスフ
ァゼン化合物の添加量を増やした場合、硬化性の低下、
高温時の電気抵抗性低下が生じる。また、R4、R5が炭
素数5以上のアルキル基、アルコキシ基において、炭素
数が増加すると難燃性が低下する。従って、メチル基、
メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基が望ましい。
【0057】また、(E)成分であるホスファゼン化合
物の添加量は、(A)エポキシ樹脂と(B)硬化剤との
総量100重量部に対し、1〜50重量部、特に2〜2
0重量部が好ましい。添加量が1重量部未満では十分な
難燃効果が得られない場合があり、また50重量部を超
えると、流動性の低下を引き起こす場合がある。
【0058】本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂
組成物は、本発明の目的及び効果を発現できる範囲内に
おいて、他の難燃剤、例えば水酸化アルミニウム、水酸
化マグネシウム等の水酸化物、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜
鉛、モリブデン酸亜鉛等の無機化合物を添加することも
できる。但し、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物
は配合されない。
【0059】本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂
組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合する
ことができる。例えば熱可塑性樹脂、熱可塑性エラスト
マー、有機合成ゴム、シリコーン系等の低応力剤、カル
ナバワックス、高級脂肪酸、合成ワックス等のワックス
類、カーボンブラック等の着色剤、ハロゲントラップ剤
等の添加剤を添加配合することができる。
【0060】本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂
組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機質充填剤、その
他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等
によって十分均一に混合した後、熱ロール、ニーダー、
エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで
冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して成形材料とする
ことができる。
【0061】このようにして得られる本発明の半導体封
止用難燃性エポキシ樹脂組成物は、各種の半導体装置の
封止用として有効に利用でき、この場合、封止の最も一
般的な方法としては、低圧トランスファー成形法が挙げ
られる。なお、本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹
脂組成物の成形は、温度150〜180℃で30〜18
0秒、後硬化は150〜180℃で2〜16時間行うこ
とが望ましい。
【0062】
【発明の効果】本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹
脂組成物は、成形性に優れるとともに、難燃性及び耐湿
信頼性に優れた硬化物を得ることができる。しかも、臭
素化エポキシ樹脂等の臭素化物、三酸化アンチモン等の
アンチモン化合物をエポキシ樹脂組成物中に含有しない
ので、人体、環境に対する悪影響もないものである。ま
た、本発明の半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物の
硬化物で封止された半導体装置は、難燃性、耐湿信頼性
に優れたものであり、産業上特に有用である。
【0063】
【実施例】以下、ホスファゼン化合物、オルガノポリシ
ロキサンの合成例、及びエポキシ樹脂組成物の実施例と
比較例を示し、本発明を具体的に示すが、本発明は下記
の実施例に制限されるものではない。なお、式中のMe
はメチル基を示す。
【0064】[合成例A]窒素雰囲気下、室温にてベン
ジルアミン73.9g(0.69mol)をトルエン1
50mlに溶かし、そこにヘキサクロロトリホスファゼ
ン25.5g(73mmol)のトルエン100ml溶
液を滴下後、15時間加熱還流した。析出した白色結晶
を水を加えて溶かし、5%塩酸水溶液200ml×2、
5%炭酸水素ナトリウム水溶液200ml、水200m
l×3で抽出し、硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、減
圧留去を行うことにより、白色結晶43.2gを得た。
【0065】
【化6】
【0066】[合成例B]窒素雰囲気下、室温にてヘキ
サクロロトリホスファゼン25.5g(73mmo
l)、2−メチルフェノール23.3g(216mmo
l)をトルエンに溶かし、そこにベンジルアミン23.
1g(216mmol)、DBU65.6g(431m
mol)のトルエン100ml溶液を滴下した。加熱還
流下で10時間攪拌した後、デカンテーションにより得
られた下層の黄色シロップ状物を80%酢酸120ml
に溶解し、水500mlに移して結晶を得た。得られた
結晶を水洗後、更にトルエン、アセトンで洗浄し、乾燥
して褐色固体20.2gを得た。
【0067】
【化7】
【0068】[合成例C]窒素雰囲気下、室温にてヘキ
サクロロトリホスファゼン25.5g(73mmo
l)、フェノール17.7g(216mmol)をトル
エンに溶かし、そこにベンジルアミン23.1g(21
6mmol)、DBU65.6g(431mmol)の
トルエン100ml溶液を滴下した。加熱還流下で10
時間攪拌した後、デカンテーションにより得られた下層
の黄色シロップ状物を80%酢酸120mlに溶解し、
水500mlに移して結晶を得た。得られた結晶を水洗
後、更にトルエン、アセトンで洗浄し、乾燥して褐色固
体20.2gを得た。
【0069】
【化8】
【0070】[合成例D]窒素雰囲気下、室温にてヘキ
サクロロトリホスファゼン25.5g(73mmo
l)、フェノール17.3g(216mmol)をトル
エンに溶かし、そこにN−メチルベンジルアミン25.
2g(216mmol)、DBU65.6g(431m
mol)のトルエン100ml溶液を滴下した。加熱還
流下で16時間攪拌した後、5%水酸化ナトリウム水溶
液200ml×2、5%硫酸水溶液200ml×2、5
%炭酸水素ナトリウム水溶液200ml×2、水200
ml×2で抽出を行った。溶媒を減圧留去し、褐色固体
19.2gを得た。
【0071】
【化9】
【0072】[合成例E]攪拌装置、冷却装置、温度計
を取り付けた1lフラスコにフェニルトリクロロシラン
211g(1モル)とトルエン143gを仕込み、オイ
ルバスで内温40℃にまで加熱した。滴下ロートにメタ
ノール64g(2モル)を仕込み、フラスコ内へ攪拌し
ながら1時間で滴下し、アルコキシ化反応中に発生する
塩化水素ガスを系外へ除去しながら反応を進めた。滴下
終了後、更に内温40℃で攪拌を1時間続けて熟成し
た。次に、滴下ロートに水12g(0.7モル)を仕込
み、フラスコ内へ攪拌しながら1時間で滴下し、加水分
解縮合反応中に発生する塩化水素ガスを系外へ除去しな
がら、反応を進めた。滴下終了後、更に内温40℃で攪
拌を1時間続けて熟成し、引き続き減圧蒸留によりトル
エン、過剰分のメタノール、未反応の水、塩化水素を除
去して液状のメトキシ基含有オルガノポリシロキサン1
51gを得た。得られたオルガノポリシロキサンは、R
1 m2 nSi(OR3p(OH)q(4- m-n-p-q)/2で表す
とm=1.0、n=0、n/(n+m)=0でSi原子
上のSi−C結合で結合した有機置換基は100モル%
がフェニル基であり、p=1.5で、R3=メチル基、
q=0.2、三官能性シロキサン単位を100モル%含
み、外観は無色透明液体で、平均重合度3(平均分子量
は500)であった。
【0073】[実施例1〜5、比較例1〜3]表1に示
す成分を熱2本ロールにて均一に溶融混合し、冷却、粉
砕して半導体封止用エポキシ樹脂組成物を得た。これら
の組成物につき、次の(I)〜(VII)の諸特性を測
定した。結果を表2に示した。
【0074】(I)スパイラルフロー値 EMMI規格に準じた金型を使用して、温度175℃、
成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で
測定した。
【0075】(II)ゲル化時間 組成物のゲル化時間を175℃の熱板上で測定した。
【0076】(III)成形硬度 JIS−K6911に準じて、温度175℃、成形圧力
6.9N/mm2、成形時間90秒の条件で10×4×
100mmの棒を成形したときの熱時硬度をバーコール
硬度計で測定した。
【0077】(IV)高温電気抵抗特性 温度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間1
20秒の条件で70φ×3mmの円板を成形し、180
℃で4時間ポストキュアーした。その後、150℃雰囲
気下で体積抵抗率を測定した。
【0078】(V)難燃性 UL−94規格に基づき、1/32インチ厚の板を、温
度175℃、成形圧力6.9N/mm2、成形時間12
0秒の条件で成形し、180℃で4時間ポストキュアー
したものの難燃性を調べた。
【0079】(VI)耐湿性 アルミニウム配線を形成した6×6mmの大きさのシリ
コンチップを14pin−DIPフレーム(42アロ
イ)に接着し、更にチップ表面のアルミニウム電極とリ
ードフレームとを30μmφの金線でワイヤボンディン
グした後、これにエポキシ樹脂組成物を温度175℃、
成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で
成形し、180℃で4時間ポストキュアーした。このパ
ッケージそれぞれ20個を140℃/85%RHの雰囲
気中−5Vの直流バイアス電圧をかけて500時間放置
した後、アルミニウム腐食が発生したパッケージ数を調
べた。
【0080】(VII)高温保管信頼性 アルミニウム配線を形成した6×6mmの大きさのシリ
コンチップを14pin−DIPフレーム(42アロ
イ)に接着し、更にチップ表面のアルミニウム電極とリ
ードフレームとを30μmφの金線でワイヤボンディン
グした後、これにエポキシ樹脂組成物を温度175℃、
成形圧力6.9N/mm2、成形時間120秒の条件で
成形し、180℃で4時間ポストキュアーした。このパ
ッケージそれぞれ20個を200℃雰囲気中500時間
放置した後、発煙硝酸で溶解、開封し、金線引張り強度
を測定した。引張り強度が初期値の70%以下となった
ものを不良とし、不良数を調べた。
【0081】
【表1】
【0082】エポキシ樹脂:o−クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂、EOCN1020−55(日本化薬
製、エポキシ当量200) 硬化剤:フェノールノボラック樹脂、DL−92(明和
化成製、フェノール性水酸基当量110) オルガノポリシロキサン:合成例Eのポリシロキサン
【0083】オルガノポリシロキサンとアルケニル基含
有エポキシ化合物を付加反応させたブロック共重合体:
下記式で表されるブロック共重合体、オルガノポリシロ
キサン含有量16重量%、エポキシ当量238
【化10】
【0084】ホスファゼン化合物:合成例A〜Dの化合
物 無機質充填剤:球状溶融シリカ(龍森製、平均粒径20
μm) 硬化触媒:トリフェニルホスフィン(北興化学製) 離型剤:カルナバワックス(日興ファインプロダクツ
製) カーボンブラック:デンカブラック(電気化学工業製) シランカップリング剤:γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、KBM−403(信越化学工業製)
【0085】
【表2】
【0086】表2の結果から明らかなように、本発明の
半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物は、硬化性に優
れると共に、難燃性、耐湿信頼性に優れ、高温電気抵抗
特性に優れる硬化物を得ることができ、本発明のエポキ
シ樹脂組成物の硬化物で封止された半導体装置は、難燃
性、耐湿信頼性に優れるものである。しかも、臭素化エ
ポキシ樹脂等の臭素化物、三酸化アンチモン等のアンチ
モン化合物を樹脂組成物中に含有しないので、人体・環
境に対する悪影響がないものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 23/29 H01L 23/30 R 23/31 (72)発明者 長田 将一 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 (72)発明者 安藤 信吾 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社シリコーン電子材料 技術研究所内 Fターム(参考) 4J002 CC03X CC04X CC05X CC06X CC07X CD03W CD04W CD05W CD06W CD07W CE00X CP033 CP045 CP053 CP063 CQ014 DE136 DE146 DF016 DJ006 DJ016 DK006 DL006 EW157 FA046 FD016 FD090 FD130 FD134 FD137 FD200 GQ00 4M109 AA01 CA21 EB07 EB18

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤 (C)無機質充填剤 (D)下記平均組成式(1)で表されるオルガノポリシ
    ロキサン R1 m2 nSi(OR3p(OH)q(4-m-n-p-q)/2 …(1) (式中、R1はフェニル基、R2は炭素数1〜6の一価炭
    化水素基又は水素原子、R3は炭素数1〜4の一価炭化
    水素基を表し、m,n,p,qは、0≦m≦2.0、0
    ≦n≦1.0、0≦p≦2.5、0≦q≦0.35、
    0.92≦m+n+p+q≦2.8の範囲である。) (E)下記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化
    合物 【化1】 (式中、XはO、S又はNR6であり、YはO、S又は
    NR7であり、R4,R5は水素原子、炭素数1〜4のア
    ルキル基、アルコキシ基、NR89及びSR8から選ば
    れる基であり、R6〜R9はそれぞれ水素原子又は炭素数
    1〜4のアルキル基であり、a,b,cは0<a≦2
    c、0≦b<2c、a+b=2c、3≦c≦1000で
    ある。)を必須成分とし、臭素化物及びアンチモン化合
    物を実質的に含まないことを特徴とする半導体封止用難
    燃性エポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)エポキシ樹脂 (B)硬化剤 (C)無機質充填剤 (E)下記平均組成式(2)で示されるホスファゼン化
    合物 【化2】 (式中、XはO、S又はNR6であり、YはO、S又は
    NR7であり、R4,R5は水素原子、炭素数1〜4のア
    ルキル基、アルコキシ基、NR89及びSR8から選ば
    れる基であり、R6〜R9はそれぞれ水素原子又は炭素数
    1〜4のアルキル基であり、a,b,cは0<a≦2
    c、0≦b<2c、a+b=2c、3≦c≦1000で
    ある。) (F)下記平均組成式(1’)で示されるオルガノポリ
    シロキサンのSiH基とアルケニル基含有エポキシ化合
    物のアルケニル基を付加反応させたブロック共重合体 HrsSiO(4-r-s)/2 …(1’) (式中、Rは置換又は非置換の一価炭化水素基であり、
    r,sは、0.001≦r≦1、1≦s≦3、1.00
    1≦r+s≦3を満足する正数である。)を必須成分と
    し、臭素化物及びアンチモン化合物を実質的に含まない
    ことを特徴とする半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2記載の半導体封止用難燃
    性エポキシ樹脂組成物の硬化物で封止した半導体装置。
JP2002141483A 2002-05-16 2002-05-16 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Pending JP2003327797A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002141483A JP2003327797A (ja) 2002-05-16 2002-05-16 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002141483A JP2003327797A (ja) 2002-05-16 2002-05-16 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003327797A true JP2003327797A (ja) 2003-11-19

Family

ID=29702052

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002141483A Pending JP2003327797A (ja) 2002-05-16 2002-05-16 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003327797A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018135494A (ja) * 2017-02-24 2018-08-30 信越化学工業株式会社 光半導体用熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018135494A (ja) * 2017-02-24 2018-08-30 信越化学工業株式会社 光半導体用熱硬化性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3388537B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP3582576B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JPH11310688A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JPWO2011125624A1 (ja) 封止用エポキシ樹脂成形材料及び電子部品装置
JP3824066B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
US6783859B2 (en) Semiconductor encapsulating flame retardant epoxy resin composition and semiconductor device
JP3824065B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
KR19990088289A (ko) 반도체봉지용에폭시수지조성물및반도체소자
JP3714399B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP3388536B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP3712045B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP3824063B2 (ja) 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP3824064B2 (ja) 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2003327799A (ja) 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2003327797A (ja) 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2003165897A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置
JPH06256364A (ja) 有機ケイ素化合物、その製法及びそれを含有する樹脂組成物
JP2003268208A (ja) 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2003138097A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置
JP2003171534A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2004352956A (ja) 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2013142136A (ja) 半導体封止用難燃性液状エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2000345009A (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2005154694A (ja) 半導体封止用難燃性エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2004352954A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置