JP4743932B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性に優れ、かつ難燃性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高機能化の市場動向において、半導体の高集積化が年々進み、又半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、新規にエリア実装型半導体装置が開発され、従来構造の半導体装置から移行し始めている。エリア実装型半導体装置としては、ボールグリッドアレイ(以下、BGAという)、あるいは更に小型化を追求したチップサイズパッケージ(以下、CSPという)が代表的であるが、これらは従来QFP、SOPに代表される表面実装型半導体装置では限界に近づいている多ピン化・高速化への要求に対応するために開発されたものである。構造としては、ビスマレイミド・トリアジン(以下、BTという)樹脂/銅箔回路基板に代表される硬質回路基板あるいはポリイミド樹脂フィルム/銅箔回路基板に代表されるフレキシブル回路基板の片面上に半導体素子を搭載し、その素子搭載面、即ち基板の片面のみが樹脂組成物等で成形・封止されている。又基板の素子搭載面の反対面には半田ボールを2次元的に並列して形成し、半導体装置を実装する回路基板との接合を行う特徴を有している。更に素子を搭載する基板としては、上記有機回路基板以外にもリードフレーム等の金属基板を用いる構造も考案されている。
【0003】
これらエリア実装型半導体装置の構造は基板の素子搭載面のみを樹脂組成物で封止し、半田ボール形成面側は封止しないという片面封止の形態をとっている。ごく希に、リードフレーム等の金属基板等では、半田ボール形成面でも数十μm程度の封止樹脂層が存在することもあるが、素子搭載面では数百μmから数mm程度の封止樹脂層が形成されるため、実質的に片面封止となっている。このため有機基板や金属基板と樹脂組成物の硬化物との間での熱膨張・熱収縮の不整合あるいは樹脂組成物の成形・硬化時の硬化収縮による影響により、これらの半導体装置では成形直後から反りが発生しやすい。又これらの半導体装置を実装する回路基板上に半田接合を行う場合、200℃以上の加熱工程を経るが、この際に半導体装置の反りが発生し、多数の半田ボールが平坦とならず、半導体装置を実装する回路基板から浮き上がってしまい、電気的接合信頼性が低下する問題も起こる。
【0004】
基板上の実質的に片面のみを樹脂組成物で封止した半導体装置において、反りを低減させるには、基板の線膨張係数と樹脂組成物の硬化物の線膨張係数を近づけること、及び樹脂組成物の硬化収縮を小さくする二つの方法が重要である。
基板としては有機基板では、BT樹脂やポリイミド樹脂のような高いガラス転移温度(以下、Tgという)の樹脂が広く用いられており、これらは樹脂組成物の成形温度である170℃近辺よりも高いTgを有する。従って、成形温度から室温までの冷却過程では有機基板のα1の領域のみで収縮するので、樹脂組成物の硬化物もTgが高く、かつα1が回路基板と同じであり、更に硬化収縮がゼロであれば反りはほぼゼロであると考えられる。このため、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂とトリフェノールメタン型フェノール樹脂との組合せによりTgを高くし、無機充填材の配合量でα1を合わせる手法が既に提案されている。
【0005】
又、赤外線リフロー、ベーパーフェイズソルダリング、半田浸漬等の手段での半田処理による半田接合を行う場合、樹脂組成物の硬化物並びに有機基板からの吸湿により半導体装置内部に存在する水分が高温で急激に気化することによる応力で半導体装置にクラックが発生したり、基板の半導体素子搭載面と樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生することもあり、硬化物の高強度化、低応力化、低吸湿化とともに、基板との高密着も求められる。
従来のBGAやCSP等のエリア実装型半導体装置には、反りの低減のためにトリフェノールメタン型エポキシ樹脂とトリフェノールメタン型フェノール樹脂を樹脂成分とする樹脂組成物が用いられてきた。この樹脂組成物は、Tgが高く、硬化性、熱時曲げ強度に優れた特性を有しているが、硬化物の吸水率が高く、又樹脂組成物の溶融粘度が比較的高く、無機充填材の高充填化には限界があり、低吸湿化が不十分で、耐半田クラック性には問題があった。
【0006】
一方、従来のQFPやSOP等の表面実装型半導体装置では、半田実装時のクラックや各素材界面での剥離防止のために、ビフェニル型エポキシ樹脂に代表されるような結晶性エポキシ樹脂を使用して無機質充填材の高充填化を図っているが、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いた樹脂組成物の硬化物と比較して熱時曲げ強度が低く、かつ硬化が遅いのが問題であった。そこで、反りが小さく、硬化性、熱時曲げ強度に優れ、かつ低吸湿、耐半田クラック性に優れる樹脂組成物を得るため、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂と結晶性エポキシ樹脂の特徴を生かすべく、樹脂組成物の製造時に両方のエポキシ樹脂を適正量併用したり、予め両方のエポキシ樹脂を溶融混合したものを用いても、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いた時の反りが小さく、硬化性、熱時曲げ強度に優れるという特徴と、結晶性エポキシ樹脂を用いて無機質充填材の高充填化を図った時の低吸湿、耐半田クラック性に優れるという特徴を両立することはできておらず、不十分であった。
【0007】
又これらエポキシ樹脂組成物中には、難燃性を確保するために難燃剤として、通常ブロム化エポキシ樹脂と三酸化アンチモンが配合されている。ところが、環境・衛生の点からブロム化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン等の酸化アンチモンを使用しない難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が要求されている。この要求に対して、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の水酸化物、硼素系化合物が検討されてきたが多量に配合しないと難燃性の効果が発現しない、不純物が多く耐湿性に問題があることから実用化されていない。更に赤燐系の難燃剤は少量の添加で効果がありエポキシ樹脂組成物の難燃化に有用であるが、赤燐は微量の水分と反応しフォスフィンや腐食性の燐酸を生じるため、耐湿性に問題があり、耐湿性に対する要求が極めて厳しい半導体封止用エポキシ樹脂組成物には使用できない。このため、赤燐粒子を水酸化アルミニウム、金属酸化物、その他無機化合物、熱硬化性樹脂等の有機化合物で被覆し、赤燐の安定化をはかっているが、依然耐湿性に問題があり、ブロム化エポキシ樹脂、酸化アンチモンを使用せずに難燃性、耐湿性を両立できるエポキシ樹脂組成物がないのが現状である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性に優れ、かつ難燃性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供するところにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1]基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみがエポキシ樹脂組成物によって封止されてなる半導体装置に用いられ、樹脂成分がエポキシ樹脂と樹脂硬化剤のみから構成され、(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(a)と式(2)で示されるエポキシ樹脂(b)の重量割合(a)/(b)が、30/70〜70/30のエポキシ樹脂、(B)一般式(3)で示される樹脂硬化剤を総樹脂硬化剤中に30〜100重量%含む樹脂硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)硬化促進剤を必須成分とし、ブロム化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、水酸化物、硼素系化合物、赤燐系の難燃剤等の難燃剤を配合しないエポキシ樹脂組成物であって、総エポキシ樹脂のエポキシ基と樹脂硬化剤のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(C)の含有量が、総エポキシ樹脂組成物中70〜95重量%であり、硬化促進剤の含有量が、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
【化4】
(式中のR1、R2は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。aは0〜3、bは0〜4の整数、nは平均値で1〜10の正数。)
【0010】
【化5】
【0011】
【化6】
(式中のR3、R4は、炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。cは0〜3、dは0〜4の整数、nは平均値で1〜10の正数。)
【0012】
[2]基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが第[1]項記載のエポキシ樹脂組成物によって封止されてなることを特徴とする半導体装置、
を提供するものであり、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性に優れ、かつ難燃性に優れる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明では、特定のエポキシ樹脂と特定の樹脂硬化剤を組合せすることにより、流動性、低成形収縮性、耐湿信頼性、難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られることを見出した。本発明に用いるエポキシ樹脂とは、分子中にビフェニル誘導体を含むノボラック構造のことであり、樹脂硬化剤とは分子中にナフタレン誘導体を含むノボラック構造の樹脂のことであり、エポキシ樹脂、樹脂硬化剤の分子中にビフェニル誘導体やナフタレン誘導体等の芳香族環を含有するものである。エポキシ樹脂及び樹脂硬化剤にビフェニル誘導体やナフタレン誘導体のような芳香族環が含まれると分子間の結合エネルギーが大きくなり燃焼による分解が起こりにくくなり難燃性が発現する。エポキシ樹脂あるいは樹脂硬化剤の分子中に芳香族環の数が多いもの、即ちナフタレンよりアントラセンの方が燃えにくくなり難燃性は向上するが、軟化点が高くなり過ぎ、流動性の問題があり、ビフェニル誘導体、ナフタレン誘導体が難燃性と流動性のバランスがよく最適である。
【0014】
又本発明に用いるエポキシ樹脂、樹脂硬化剤は疎水性の芳香族環を有していることと、架橋間距離が汎用のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂とフェノールノボラック樹脂と比較して大きいために吸水率が比較的低く、従って、本発明の樹脂組成物を用いた半導体装置は、実装時の半田処理下でも高い信頼性を得ることができる。
本発明で用いる一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、分子中にビフェニル誘導体を含むノボラック構造のエポキシ樹脂であり、具体的にはフェノール類とビス(メトキシメチレン)ビフェノール類をフリーデル・クラフツ・アルキル化反応により得られたフェノール樹脂をグリシジルエーテル化させて得られる樹脂である。一般式(1)のnは1〜10であり、nが10を越えると樹脂粘度が高くなり過ぎ流動性が低下する。
【0015】
本発明で用いる一般式(3)で示される樹脂硬化剤は、剛直なナフトール骨格を1分子中に少なくとも2個以上有するため、これを用いた樹脂組成物の硬化物の吸水率が低いという特性を有している。更に従来のβ−ナフトール骨格の樹脂硬化剤と比較して、硬化時の樹脂組成物の成形収縮率が小さく、接着強度の低下あるいは硬化物のTgの低下等が生じにくい特徴を有している。
本発明では、一般式(1)及び式(2)で示されるエポキシ樹脂と一般式(3)で示される樹脂硬化剤が必須であるが、エポキシ樹脂(a)と式(2)で示されるエポキシ樹脂(b)の重量割合(a)/(b)としては、30/70〜70/30、より好ましくは50/50〜70/30であり、樹脂組成物中にブロム化エポキシ樹脂、酸化アンチモンを含まなくともV−0レベルの難燃性を得易くなる。一般式(1)のエポキシ樹脂(a)が、30重量%未満であると良好な難燃性が得られず、70重量%を越えると流動性が悪くなる。又式(2)のエポキシ樹脂(b)が、30重量%未満であると流動性が悪くなり、70重量%を越えると良好な難燃性が得られない。
一般式(1)と式(2)のエポキシ樹脂の特性を最大限引きだすためには、総エポキシ樹脂中に50重量%以上含んでいることが好ましく、これにより優れた流動性、低成形収縮性、耐湿信頼性、難燃性を得ることができる。併用するエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
更に一般式(3)の樹脂硬化剤を総樹脂硬化剤中に、好ましくは30重量%以上、より好ましくは80重量%以上用いることにより、これを用いた樹脂組成物で封止された半導体装置は、耐半田クラック性に優れ、反りが小さい。更に式中のnの値は平均値で、nは1〜10で、nが10を越えるとトランスファー成形時での流動性が低下し、成形性が劣化する傾向にある。
一般式(3)で示される樹脂硬化剤と他の樹脂硬化剤を併用する場合は、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン化合物等が挙げられる。
【0017】
総エポキシ樹脂のエポキシ基と総樹脂硬化剤のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、当量比が0.5未満であっても、2を越えても、樹脂組成物の硬化性の低下あるいは硬化物のTgの低下等が生じるので好ましくない。本発明で用いる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト等が挙げられ、特に溶融球状シリカが好ましい。溶融球状シリカの形状としては、流動性改善のために限りなく真球状であり、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。この無機充填材の配合量としては、成形性と信頼性のバランスから総エポキシ樹脂組成物中に70〜95重量%含有することが好ましい。70重量%未満だと難燃性が得られず、95重量%を越えると成形性の問題が生じ好ましくない。本発明で用いる無機充填材は、予め十分に混合しておくことが好ましい。又必要に応じて無機充填材をカップリング剤やエポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂で予め処理して用いてもよく、処理の方法としては、溶剤を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や直接無機充填材に添加し、混合機を用いて処理する方法等がある。
【0018】
本発明で用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に用いられているものを広く用いることができる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等を単独でも混合して用いてもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部あたり0.4〜20重量部含有する。0.4重量部未満であると、加熱成形時において十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、20重量部を越えると、硬化が速すぎて成形時に流動性の低下により充填不良等が生ずるおそれがある。
【0019】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分の他、必要に応じて酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合しても差し支えない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(D)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。本発明の樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。
【0020】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
を常温においてミキサーで混合し、70〜120℃で2本ロールにより混練し、冷却後粉砕して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を以下の方法で評価した。
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
・スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定した。単位はcm。
・硬化トルク:キュラストメータ((株)オリエンテック・製、JSRキュラストメータIVPS型)を用い、金型温度175℃、加熱開始90秒後のトルクを求めた。キュラストメータにおけるトルクは硬化性のパラメータであり、数値の大きい方が硬化性が良好である。単位はkgf−cm。
・吸水率:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で直径50mm、厚さ3mmの成形品を成形し、175℃、8時間で後硬化し、得られた成形品を85℃、相対湿度60%の環境下で168時間放置し、重量変化を測定して吸水率を求めた。単位は重量%。
・パッケージ反り量:トランスファー成形機を用いて、金型温度180℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間2分で225pBGA(基板は厚さ0.36mm、ビスマレイミド・トリアジン/ガラスクロス基板、パッケージサイズは24×24mm、厚さ1.17mm、シリコンチップはサイズ9×9mm、厚さ0.35mm、チップと回路基板のボンディングパッドとを25μm径の金線でボンディングしている)を成形した。更にポストキュアとして175℃で8時間処理した。室温に冷却後パッケージのゲートから対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。単位はμm。
・ 耐半田クラック性:トランスファー成形機を用いて、金型温度180℃、注入圧力75kg/cm2、硬化時間2分で225pBGA(基板は厚さ0.36mm、ビスマレイミド・トリアジン/ガラスクロス基板、パッケージサイズは24×24mm、厚さ1.17mm、シリコンチップはサイズ9×9mm、厚さ0.35mm、チップと回路基板のボンディングパッドとを25μm径の金線でボンディングしている)を成形した。ポストキュアとして175℃で8時間処理したパッケージ8個(各水準)を用いて評価を行った。処理条件は、60℃、相対湿度60%で120時間処理した後、IRリフロー処理(240℃)を行った水準(以下L2Aとする)と、85℃、相対湿度60%で168時間処理した後、IRリフロー処理(240℃)を行った水準(以下L2とする)の2水準を実施した。処理後の内部の剥離、及びクラックの有無を超音波探傷機で観察し、不良パッケージの個数を数えた。不良パッケージの個数がn個であるとき、n/8と表示する。
・ 難燃性:得られた樹脂組成物をタブレット化し、低圧トランスファー成型機にて175℃、70kg/cm2、120秒の成形条件で難燃性試験用試験片を作製し、下記の難燃性試験を実施した。
【0023】
実施例2〜5、比較例1〜5
表1、表2の組成に従って配合し、実施例1と同様にして樹脂組成物を得、同様に評価した。これらの評価結果を表1、表2に示す。なお、実施例1以外で用いたエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の性状を以下に示す。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点55℃、エポキシ当量196g/eq)
式(6)のフェノール樹脂(軟化点110℃、水酸基当量98g/eq)
【化9】
【0024】
式(7)のフェノール樹脂(軟化点74℃、水酸基当量170g/eq)
【化10】
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【発明の効果】
本発明に従うと、流動性、難燃性に優れるエポキシ樹脂組成物が得られ、これを用いた半導体装置は成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性に優れている。
Claims (2)
- 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみがエポキシ樹脂組成物によって封止されてなる半導体装置に用いられ、樹脂成分がエポキシ樹脂と樹脂硬化剤のみから構成され、(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(a)と式(2)で示されるエポキシ樹脂(b)の重量割合(a)/(b)が、30/70〜70/30のエポキシ樹脂、(B)一般式(3)で示される樹脂硬化剤を総樹脂硬化剤中に30〜100重量%含む樹脂硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)硬化促進剤を必須成分とし、ブロム化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、水酸化物、硼素系化合物、赤燐系の難燃剤等の難燃剤を配合しないエポキシ樹脂組成物であって、総エポキシ樹脂のエポキシ基と樹脂硬化剤のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(C)の含有量が、総エポキシ樹脂組成物中70〜95重量%であり、硬化促進剤の含有量が、総エポキシ樹脂と総樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが請求項1記載のエポキシ樹脂組成物によって封止されてなることを特徴とする半導体装置。
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