JP4639461B2 - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents
エポキシ樹脂組成物及び半導体装置Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント配線板や金属リードフレームの片面に半導体素子を搭載し、その搭載面側の片面のみを樹脂封止されたいわゆるエリア実装型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体素子の高集積化が年々進み、又、半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、新規にエリア実装型半導体装置が開発され、従来構造の半導体装置から移行し始めている。
エリア実装型半導体装置としてはBGA(ボールグリッドアレイ)或いは更に小型化を追求したCSP(チップスケールパッケージ)等が代表的であるが、これらは従来QFP、SOPに代表される表面実装型半導体装置では限界に近づいている多ピン化・高速化への要求に対応するために開発されたものである。構造としては、BT樹脂/銅箔回路基板(ビスマレイミド・トリアジン樹脂/ガラスクロス基板)に代表される硬質回路基板、或いはポリイミド樹脂フィルム/銅箔回路基板に代表されるフレキシブル回路基板の片面上に半導体素子を搭載し、その半導体素子搭載面、即ち基板の片面のみがエポキシ樹脂組成物等で成形・封止されている。又、基板の半導体素子搭載面の反対面には半田ボールを2次元的に並列して形成し、半導体装置を実装する回路基板との接合を行う特徴を有している。更に、半導体素子を搭載する基板としては、上記の有機回路基板以外にもリードフレーム等の金属基板を用いる構造も開発されている。
【0003】
これらエリア実装型半導体装置の構造は、基板の半導体素子搭載面のみをエポキシ樹脂組成物で封止し、半田ボール形成面側は封止しないという片面封止の形態をとっている。リードフレーム等の金属基板等では、半田ボール形成面でも数十μm程度の封止樹脂層が存在することもあるが、半導体素子搭載面では数百μmから数mm程度の封止樹脂層が形成されるため、実質的に片面封止となっている。このため、有機基板や金属基板とエポキシ樹脂組成物の硬化物との間での熱膨張・熱収縮の不整合、或いはエポキシ樹脂組成物の成形硬化時の硬化収縮による影響で、これらの半導体装置では成形直後から反りが発生しやすい。
更に、これらの半導体装置を実装する回路基板上に半田接合を行う場合、200℃以上の加熱工程を経るが、この際にも半導体装置の反りが発生し、多数の半田ボールが平坦とならず、半導体装置を実装する回路基板から浮き上がってしまい、電気的接合の信頼性が低下する問題が起こる。
【0004】
基板上の片面のみをエポキシ樹脂組成物で封止した半導体装置において、反りを低減するには、基板の熱膨張係数とエポキシ樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数とを近づけること、及びエポキシ樹脂組成物の硬化物の硬化収縮量を小さくすることの二つの方法が重要である。
基板としては、有機基板ではBT樹脂やポリイミド樹脂のような高いガラス転移温度(以下、Tgという)を有する樹脂が広く用いられており、これらはエポキシ樹脂組成物の成形温度である170℃近辺よりも高いTgを有する。従って、成形温度から室温までの冷却過程では有機基板の線膨張係数(以下、α1という)の領域のみで収縮する。従って、エポキシ樹脂組成物の硬化物も、Tgが高く且つα1が有機基板と同じで、更に硬化収縮量がゼロであれば、反りはほぼゼロであると考えられる。このため、多官能型エポキシ樹脂と多官能型フェノール樹脂との組み合わせによりTgを高くし、無機充填材の配合量でα1を合わせる手法が既に提案されている。
【0005】
又、赤外線リフロー、ベーパーフェイズソルダリング、半田浸漬等の手段での半田処理による半田接合を行う場合、エポキシ樹脂組成物の硬化物並びに有機基板からの吸湿により半導体装置内部に存在する水分が高温で急激に気化することによる応力で半導体装置にクラックが発生したり、有機基板の半導体素子搭載面とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面で剥離が発生することもあり、エポキシ樹脂組成物の低応力化・低吸湿化とともに、有機基板との接着性も求められる。
従来のBGAやCSP等のエリア実装型半導体装置には、反りの低減のためにトリフェノールメタン型エポキシ樹脂とトリフェノールメタン型フェノール樹脂を樹脂成分とするエポキシ樹脂組成物が用いられてきた。このエポキシ樹脂組成物は、Tgが高く、硬化性、熱時曲げ強度に優れた特性を有しているが、硬化物の吸湿率が高く、又、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が比較的高く、無機充填材の高充填化には限界があり、低吸湿化が不十分で、耐半田クラック性には問題があった。
【0006】
一方、従来のQFPやSOP等の表面実装型半導体装置では、半田実装時のクラックや各素材界面での剥離防止のために、ビフェニル型エポキシ樹脂に代表されるような結晶性エポキシ樹脂を使用して無機充填材の高充填化を図っているが、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物と比較すると熱時曲げ強度が低く、かつ硬化が遅いのが問題であった。そこで、反りが小さく、硬化性、熱時曲げ強度に優れ、かつ低吸湿性により耐半田クラック性に優れるエポキシ樹脂組成物を得るため、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂と結晶性エポキシ樹脂の特徴を生かすべく、エポキシ樹脂組成物の製造時に両方のエポキシ樹脂を適正量併用したり、予め両方のエポキシ樹脂を溶融混合したものを用いても、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂を用いた時の反りが小さく、硬化性、熱時曲げ強度に優れるという特徴と、結晶性エポキシ樹脂を用いて無機充填材の高充填化を図った時の耐半田クラック性に優れるという特徴とを両立することはできておらず、不十分であった。
【0007】
又、これらのエポキシ樹脂組成物中には、難燃性を確保するために難燃剤としてハロゲン系難燃剤と酸化アンチモンが配合されている。ところが、環境・衛生の点からハロゲン系難燃剤、酸化アンチモンを使用しない難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が要求されている。この要求に対して、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の水酸化物、硼素系化合物が検討されてきたが、多量に配合しないと難燃性の効果が発現せず、又、不純物が多く耐湿性に問題があることから実用化されていない。又、赤燐系の難燃剤は少量の添加で効果があり、エポキシ樹脂組成物の難燃化に有用であるが、赤燐は微量の水分と反応しホスフィンや腐食性の燐酸を生じるため耐湿性に問題があり、耐湿性に対する要求が極めて厳しい半導体封止用エポキシ樹脂組成物には使用できない。このため、赤燐粒子を水酸化アルミニウム、金属酸化物、その他無機化合物、熱硬化性樹脂等の有機化合物で被膜し、赤燐の安定化を図っているが、依然耐湿性に問題があり、ハロゲン系難燃剤、酸化アンチモンを使用せずに難燃性、耐湿性を両立出来るエポキシ樹脂組成物がないのが実状である。
又、環境・衛生の点以外でも、ハロゲン系難燃剤、酸化アンチモンを含むエポキシ樹脂組成物で封止された半導体装置を高温下で保管した場合、これらの難燃性成分から熱分解したハロゲン化物が遊離し、半導体素子の接合部を腐食し、半導体装置の信頼性を損なうという不具合が知られており、この様な点からもハロゲン系難燃剤、酸化アンチモンを使用しない難燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が要求されている。この様に、半導体装置を高温下(例えば185℃)に保管した後の半導体素子の接合部(ボンディングパッド部)の耐腐食性のことを、高温保管特性といい、この高温保管特性を改善する手法としては、五酸化二アンチモンを使用する方法(特開昭55−146950号公報)や、酸化アンチモンと有機ホスフィンとを組み合わせる方法(特開昭61−53321号公報)等が提案され、効果が確認されているが、最近の半導体装置に対する高温保管特性の高い要求特性を満足させることが困難になってきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、成形後の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性、硬化性に優れ、かつ難燃剤を配合せずにUL−94垂直試験においてV−0を達成できる、エリア実装型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1](A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(a)、(B)式(2)で示されるフェノール化合物と式(3)で示されるフェノール化合物とを混合しグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂(b)、(C)一般式(4)で示される樹脂硬化剤を全樹脂硬化剤中に30〜100重量%含む樹脂硬化剤、(D)無機充填材、及び(E)硬化促進剤を必須成分とし、(a)が全エポキシ樹脂中に30〜70重量%であり、(b)が全エポキシ樹脂中に30〜70重量%であり、全エポキシ樹脂中のエポキシ基と全樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材が全エポキシ樹脂組成物中に75〜95重量%であり、硬化促進剤が全エポキシ樹脂と全樹脂硬化剤との合計量100重量部当たり0.4〜25重量部であることを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
【化4】
(式中のR1、R2は、炭素数1〜4のアルキル基で、aは0〜3の整数、bは0〜4の整数で、互いに同一であっても異なっていてもよい。 nは平均値で、1〜10の正数。)
【0010】
【化5】
【0011】
【化6】
(式中のR3、R4は、炭素数1〜4のアルキル基で、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数で、互いに同一であっても異なっていてもよい。 nは平均値で、1〜10の正数。)
[2]全エポキシ樹脂組成物中に含有される臭素原子及びアンチモン原子が、それぞれ0.1重量%未満である第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[3]基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の片面のみが第[1]項、又は第[2]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されていることを特徴とする半導体装置、
を提供するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明では、特定のエポキシ樹脂と特定の樹脂硬化剤を組み合わせることにより、成形後の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性、硬化性に優れ、かつ難燃剤を配合せずにUL−94垂直試験においてV−0を達成できるエポキシ樹脂組成物が得られることを見出した。
本発明に用いる一般式(1)で示されるエポキシ樹脂は、分子中にビフェニル誘導体を含むノボラック構造であり、一般式(4)で示される樹脂硬化剤は、分子中にナフタレン誘導体を含むノボラック構造の樹脂であり、エポキシ樹脂、樹脂硬化剤の分子中にビフェニル誘導体やナフタレン誘導体等の芳香族環を含むものである。エポキシ樹脂及び樹脂硬化剤にビフェニル誘導体やナフタレン誘導体のような芳香族環が含まれると、分子間の結合エネルギーが大きくなり、燃焼による分解が起こり難くなるため難燃性が発現する。又、エポキシ樹脂あるいは樹脂硬化剤の分子中に芳香族環の数がより多いもの、即ちナフタレン誘導体よりもアントラセン誘導体を含む方が燃え難くなり、難燃性は向上するが、軟化点が高くなり過ぎて流動性に問題があり、ビフェニル誘導体、ナフタレン誘導体が難燃性と流動性のバランスが良く最適である。
又、本発明のエポキシ樹脂、及び樹脂硬化剤が疎水性の芳香族環を有していることと、架橋間距離が汎用のオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂やフェノールノボラック樹脂と比較すると大きいために吸湿率が比較的低いこと等により、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置は、実装時の半田処理下でも高い信頼性を得ることができる。
【0013】
本発明で用いる一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(a)は、分子中にビフェニル誘導体を含むノボラック構造のエポキシ樹脂であり、具体的には、フェノール類とビス(メトキシメチレン)ビフェノール類とをフリーデル・クラフツ・アルキル化反応させて得られたフェノール樹脂を、グリシジルエーテル化させて得られるエポキシ樹脂である。一般式(1)中のnは平均値で、1〜10であり、nが10を超えると、粘度が高くなり過ぎ、流動性が低下するので好ましくない。
【0014】
本発明で用いる式(2)で示されるフェノール化合物と式(3)で示されるフェノール化合物とを混合しグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂(b)は、優れた流動性、硬化性を付与する。
式(2)と、式(3)のフェノール化合物の混合比としては、重量比で10/90〜90/10が好ましい。
本発明のエポキシ樹脂(b)の合成方法については特に限定しないが、例えば、混合した式(2)、式(3)のフェノール化合物を過剰のエピクロルヒドリンに溶解した後、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物の存在下で50〜150℃、好ましくは60〜120℃で1〜10時間反応させる方法が挙げられる。反応終了後、過剰のエピクロルヒドリンを留去し、残留物をトルエン、メチルイソブチルケトン等の溶剤に溶解し、濾過し、水洗して無機塩を除去し、次いで溶剤を留去することにより目的のエポキシ樹脂(b)を得ることができる。生成したエポキシ樹脂(b)の塩素イオン、ナトリウムイオン、その他フリーのイオンは極力少ないことが望ましい。
【0015】
エポキシ樹脂(a)が全エポキシ樹脂中に30〜70重量%であり、エポキシ樹脂(b)が全エポキシ樹脂中に30〜70重量%となる様に調整すると、エポキシ樹脂組成物中に臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモンを配合しなくてもV−0レベルの難燃性を得易くなる。エポキシ樹脂(a)が、全エポキシ樹脂中に30重量%未満だと良好な難燃性が得られず、70重量%を越えると流動性が悪くなる。又、エポキシ樹脂(b)が、全エポキシ樹脂中に30重量%未満だと流動性が悪くなり、70重量%を越えると良好な難燃性が得られない。エポキシ樹脂(a)とエポキシ樹脂(b)の特性を最大限に引き出すためには、全エポキシ樹脂中にそれぞれ30重量%以上含まれることが好ましく、これにより優れた流動性、耐湿信頼性、難燃性が得られる。
エポキシ樹脂(a)、エポキシ樹脂(b)の特性を損なわない範囲で、他のエポキシ樹脂を併用できる。併用できるエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、テルペン変性フェノール型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
本発明で用いる一般式(4)で示される樹脂硬化剤は、剛直なα−ナフトール骨格(ナフタレン誘導体)を1分子中に少なくとも2個以上有するため、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなるという特性を有している。更にβ−ナフトール骨格を有する樹脂硬化剤と比較すると、硬化時のエポキシ樹脂組成物の硬化収縮率が小さく、接着強度の低下あるいは硬化物のTgの低下等が生じ難いという特徴を有している。
更に、一般式(4)で示される樹脂硬化剤を全樹脂硬化剤中に30重量%以上、好ましくは80重量%以上含有することにより、エポキシ樹脂組成物で封止された半導体装置は、耐半田クラック性に優れ、反りが小さくなる。30重量%未満だと、硬化収縮率を低減できないため反りが大きくなり、更に併用する樹脂硬化剤によっては、吸水率が高くなるため、耐半田クラック性が低下するので好ましくない。又、一般式(4)中のnは平均値で、1〜10であり、nが10を越えると、トランスファー成形時の流動性が低下し、成形性が劣化する傾向があるので好ましくない。
一般式(4)で示される樹脂硬化剤と他の樹脂硬化剤を併用する場合は、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン化合物等が挙げられる。
【0017】
全エポキシ樹脂のエポキシ基と樹脂硬化剤のフェノール性水酸基の当量比は0.5〜2が好ましい。0.5未満であっても、2を越えても、エポキシ樹脂組成物の硬化性の低下、あるいは硬化物のTgの低下等が起こるので好ましくない。
【0018】
本発明で用いる無機充填材の種類については特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム等が挙げられ、特に溶融球状シリカが好ましい。球状シリカの粒子の形状としては、流動性改善のために限りなく真球状であり、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。
無機充填材の含有量としては、成形性と信頼性のバランスから、全エポキシ樹脂組成物中に75〜95重量%が好ましい。75重量%未満だと、反りが大きくなり、良好な信頼性が得られず、95重量%を越えると、成形性に問題が生じるので好ましくない。
無機充填材は、予め十分に混合しておくことが好ましい。又、必要に応じてカップリング剤やエポキシ樹脂あるいは樹脂硬化剤で予め処理して用いても良く、処理の方法としては、溶剤を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や、直接無機充填材に添加し混合機を用いて処理する方法等がある。
【0019】
本発明で用いる硬化促進剤としては、エポキシ基とフェノール性水酸基との硬化反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に用いられているものを広く用いることができる。例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリフェニルホスフィン、ベンジルジメチルアミン、2−メチルイミダゾール等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いてもよい。
硬化促進剤の含有量としては、エポキシ樹脂と樹脂硬化剤との合計量100重量部あたり0.4〜25重量部が好ましい。0.4重量部未満だと、加熱成形時に十分な硬化性が得られないおそれがある。一方、25重量部を越えると、硬化が速すぎて成形時に流動性の低下により充填不良等が生じるおそれがある。
【0020】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン等の難燃剤を含有することは差し支えないが、半導体装置の150〜200℃の高温下での電気特性の安定性が要求される用途では、臭素原子、アンチモン原子の含有量が、全エポキシ樹脂組成物中にそれぞれ0.1重量%未満であることが好ましく、完全に含まれない方がより好ましい。臭素原子が0.1重量%以上だと、高温下に保管した場合、難燃剤成分から熱分解した臭素化物が遊離することにより半導体素子の接合部を腐食し、半導体装置の信頼性を損なう可能性がある。又、環境保護の観点からも、臭素原子、アンチモン原子のそれぞれの含有量が0.1重量%未満で、極力含有されていないことが望ましい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分の他、必要に応じて酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力化成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸及びその金属塩類もしくはパラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(E)成分、及びその他の添加剤等をミキサーを用いて常温混合し、ロール、ニーダー、押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕して得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形すればよい。特に、本発明のエポキシ樹脂組成物は、エリア実装型半導体装置用に適している。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
【化7】
【0022】
式(2)で示されるフェノール化合物と、式(3)で示されるフェノール化合物とを1:1(重量比)で混合したものを、グリシジルエーテル化したエポキシ
【化8】
を、常温でミキサーを用いて混合し、70〜120℃で2本ロールを用いて混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。
【0023】
・スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、圧力7MPa、硬化時間120秒で測定した。単位はcm。
・硬化トルク:キュラストメータ((株)オリエンテック・製、JSRキュラストメータIVPS型)を用い、金型温度175℃、加熱開始90秒後のトルクを求めた。キュラストメータにおけるトルクは硬化性のパラメータであり、数値の大きい方が硬化性が良好である。単位はN・m。
・吸湿率:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、圧力7MPa、硬化時間120秒で直径50mm、厚さ3mmの円板を成形し、175℃、8時間で後硬化し、更に85℃、相対湿度60%の環境下で168時間放置し、重量変化を測定して吸湿率を求めた。単位は重量%。
・パッケージ反り量:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、圧力7MPa、硬化時間120秒で352pBGA(基板は厚さ0.56mm、ビスマレイミド・トリアジン/ガラスクロス基板、パッケージサイズは35×35mm、厚さ2.00mm、シリコンチップはサイズ10×10mm、厚さ0.35mm、チップと回路基板のボンディングパッドとを25μm径の金線でボンディングしている。)を成形し、175℃、8時間で後硬化した。室温に冷却後、パッケージのゲートから対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。単位はμm。
・耐半田クラック性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力800N/cm2、硬化時間120秒で前記の352pBGAを8個成形し、175℃、8時間で後硬化した。その後、60℃、相対湿度60%で120時間処理した後、IRリフロー処理(240℃)を行った水準(以下、L2Aという)と、85℃、相対湿度60%で168時間処理した後、IRリフロー処理(240℃)を行った水準(以下、L2という)の2水準を実施した。処理後の内部の剥離、及びクラックの有無を超音波探傷機で観察し、不良パッケージの個数を数えた。不良パッケージの個数がn個であるとき、n/8と表示する。
・難燃性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、圧力7MPa、120秒で試験片(厚さ1.6mm)を成形し、175℃、8時間で後硬化した。その後、 UL−94垂直試験に準じて以下の判定を行った。
難燃性(V−0)の判定:Fmaxが10秒以内、ΣFが50秒以内、Gmaxが30秒以内。
難燃性(V−1)の判定:Fmaxが30秒以内、ΣFが250秒以内、Gmaxが60秒以内。
(但し、Fmaxはフレーミング時間の最大値(単位は秒)、ΣFはフレーミング時間の合計(単位は秒)、Gmaxはグローイング時間の最大値(単位は秒)。)
・高温保管特性:トランスファー成形機を用いて、成形温度175℃、圧力7MPa、硬化時間120秒で16pDIP(チップサイズ3.0mm×3.5mm)を成形し、175℃、8時間で後硬化した。その後、高温保管試験(185℃、1000時間)を行い、配線間の電気抵抗値が初期値に対し20%上昇したパッケージを不良と判定した。15個のパッケージ中の不良率を百分率で示した。
単位は%。
・Br原子、Sb原子の含有量:圧力5.9MPaで直径40mm、厚さ5〜7mmに圧縮成形し、蛍光X線分析装置を用いて、全エポキシ樹脂組成物中の臭素原子、アンチモン原子の含有量を定量した。単位は重量%。
【0024】
実施例2〜9、比較例1〜9
表1、表2の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、表2に示す。
なお、実施例1以外で用いたエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の性状を以下に示す。
・オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点55℃、エポキシ当量196)、
・式(7)のフェノール樹脂(軟化点110℃、水酸基当量98)、
【化9】
【0025】
・式(8)のフェノール樹脂(軟化点70℃、水酸基当量170)、
【化10】
【0026】
・式(9)の樹脂硬化剤(軟化点70℃、水酸基当量190)。
【化11】
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】
本発明に従うと、流動性、硬化性に優れ、かつ難燃剤を配合せずにUL−94垂直試験においてV−0を達成できる、エリア実装型半導体装置に適した半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られ、これを用いた半導体装置は、成形後の反りが小さく、耐半田クラック性に優れている。
Claims (3)
- (A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(a)、(B)式(2)で示されるフェノール化合物と式(3)で示されるフェノール化合物とを混合しグリシジルエーテル化したエポキシ樹脂(b)、(C)一般式(4)で示される樹脂硬化剤を全樹脂硬化剤中に30〜100重量%含む樹脂硬化剤、(D)無機充填材、及び(E)硬化促進剤を必須成分とし、(a)が全エポキシ樹脂中に30〜70重量%であり、(b)が全エポキシ樹脂中に30〜70重量%であり、全エポキシ樹脂中のエポキシ基と全樹脂硬化剤中のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材が全エポキシ樹脂組成物中に75〜95重量%であり、硬化促進剤が全エポキシ樹脂と全樹脂硬化剤との合計量100重量部当たり0.4〜25重量部であることを特徴とするエリア実装型半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 全エポキシ樹脂組成物中に含有される臭素原子及びアンチモン原子が、それぞれ0.1重量%未満である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
- 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の片面のみが請求項1、又は2記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されていることを特徴とする半導体装置。
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