JP4748145B2 - ころ軸受用保持器及びころ軸受 - Google Patents

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Description

本発明はころ軸受用保持器及びころ軸受に関し、特に、一対の保持器形成部材を含むころ軸受用保持器及び該ころ軸受用保持器を備えるころ軸受に関する。
従来、ころ軸受においてフレッティング(振動の影響を受けてころと外輪との間に生じる繰り返しの摩擦力を伴った相対すべり)を防止する対策として、ころ軸受用保持器を分割型にする手法が採られている。この分割型の保持器には、通常一ツ割保持器と二ツ割保持器とがあり、分割された保持器が軌道部材(外輪や内輪など)に対して相対回転を起こしやすいことから、フレッティング対策の上で有利とされている。
一ツ割保持器を金属製とした例については、特許文献1に開示されている。また、二ツ割保持器は、一ツ割保持器では取り付けが困難な場合(例えば自動車用エンジンのクランクシャフト、長軸、圧延機用のロールネックなど、軸に対する軸方向からの取り付けが困難という組立上の制約がある場合)に、主として使用される。
特開平7−42744号公報
しかしながら、上記二ツ割保持器の場合、保持器を二分割して分割型転がり軸受とするため、軸受運転時(エンジン稼働時など)に、ころ軸受用保持器の分割部分同士が接触(衝突)し、この接触(衝突)により振動及び騒音が生じてしまう。
これに対し、2分割(又は多分割)された保持器の分割部分を連結し、一体化した分割型転がり軸受用保持器も提案されているが(例えば、特開2007−247815号公報、特開2003−120680号公報参照)、この技術を採用した場合、上述したフレッティング対策において不利になるとともに、クランクシャフトなどの軸への組み付け(軸を挟むように保持器の分割部分を取り付けて、分割部分間を連結する組み付け)が、その構造上困難である。
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、軸への組み付けが容易で、振動及び騒音の発生が抑制されるとともにフレッティング対策上有利なころ軸受用保持器及びころ軸受を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、一対の第1の保持器形成部材及び第2の保持器形成部材を含むころ軸受用保持器であって、前記第1の保持器形成部材及び前記第2の保持器形成部材は、略1/2円環形状を有し、前記第1の保持器形成部材は、凸部と、前記凸部と対称な形状の凹部とを有する第1連結部をその一端部に有し、前記第2の保持器形成部材は、凹部と、前記凹部と対称な形状の凸部とを有する第2連結部をその一端部に有し、前記第1連結部の凸部と前記第2連結部の凹部、前記第1連結部の凹部と前記第2連結部の凸部のそれぞれが嵌合して前記第1の保持器形成部材と前記第2の保持器形成部材とが前記ころ軸受用保持器の円周方向に対して隙間無く連結することにより、第1の保持器形成部材及び第2の保持器形成部材の他端部間が互いに非接触な隙間を形成して分割された略円環形状を形成し、前記第1の保持器形成部材と前記第2の保持器形成部材は、同一の形状を有することを特徴とするころ軸受用保持器と、前記ころ軸受用保持器に保持された複数のころと、を備えるころ軸受である。
これによれば、一対の保持器形成部材が、第1連結部及び第2の連結部にて連結されるので、保持器形成部材同士が接触(衝突)することによる振動及び騒音の発生を抑制することができる。また、一対の保持器形成部材の一端部同士が連結して、一部が分割された略円環形状を形成するので、フレッティング対策上有利となる。更に、一対の保持器形成部材の一端部同士(第1連結部と第2連結部)を連結するのみで良いので、例えば、組み付け対象の軸上で保持器形成部材間を連結することもでき、軸への組み付けを簡易に行うことが可能である。
また、かかる場合には、第1の連結部と第2の連結部の形状を同一形状(左右対称)とすることができる。
そして、かかる場合には、一種類の保持器形成部材を用意するのみで良いので、製造工程の簡素化、及び製造コストの低減などを図ることができる。
更に、これによれば、振動及び騒音の発生が抑制されるとともに、フレッティング対策上有利なころ軸受を提供することができる。
本発明によれば、振動及び騒音の発生が抑制されるとともに、フレッティング対策上有利なころ軸受用保持器及びころ軸受を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を図1、図2に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のころ軸受の一実施形態を示す。ころ軸受100は、図1に示すように、複数のころ16を保持する略1/2円環状の第1の保持器形成部材12A及び第2の保持器形成部材12Bと、1/2円環状の第1の外輪14A及び第2の外輪14Bと、を備え、自動車用エンジンのクランクシャフトなどの軸10に装着される。
ころ16は、円筒(又は円柱)状の部材から成り、図1に示すように、その直径が第1、第2の保持器形成部材12A,12Bの厚さよりも大きく設定されている。これにより、ころ16は、軸10と外輪14A(又は14B)のそれぞれに対して常に線接触するようになっている。ころ16の材料としては、例えば高炭素クロム軸受鋼等の金属、又は窒化珪素、炭化珪素、アルミナ等のセラミックなどを採用することができる。
第1の保持器形成部材12Aには、複数の矩形状のポケット26が所定間隔で、第1の保持器形成部材12Aの厚さ方向に貫通形成されている。このポケット26には、上述した円筒状のころ16が回転可能に組み込まれる。また、第1の保持器形成部材12Aの一端部(図1における紙面右側の端部)には、図2に示すように、等脚台形状の凸部(第1の連結部)18aが形成されている。
図1に戻り、第2の保持器形成部材12Bも、第1の保持器形成部材12Aと同様、複数の矩形状のポケット26が所定間隔で、第2の保持器形成部材12Bの厚さ方向に貫通形成されている。このポケット26には、上述した円筒状のころ16が回転可能に組み込まれる。また、第2の保持器形成部材12Bの一端部(図1における紙面右側の端部)には、図2に示すように、等脚台形状の凹部(第2の連結部)18bが形成されている。この凹部18bは、第1の保持器形成部材12Aの凸部18aと同一形状(対称な形状)を有している。
これら第1、第2の保持器形成部材12A,12Bの材料としては、銅系や鉄系などの金属材料や、これらに比べ軽量で耐磨耗性や低摩擦特性に優れた合成樹脂材料(例えば、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド(略称PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(略称PEEK)、ポリイミド等)を採用することができる。
本実施形態では、第1の保持器形成部材12Aと第2の保持器形成部材12Bを、クランクシャフトなどの軸10を径方向外側から挟み込むような状態で接近させ、その状態で第1の保持器形成部材12Aの凸部18aと第2の保持器形成部材12Bの凹部18bとを嵌合することにより、連結する。このようにすることで、第1、第2の保持器形成部材12A,12Bそれぞれの一端部間が連結される一方で、第1、第2の保持器形成部材12A,12Bそれぞれの他端部間には、隙間20が形成される。すなわち、本実施形態では、第1の保持器形成部材12Aと第2の保持器形成部材12Bとにより、一部が分割された略円環形状(略C字状の形状)が形成される。
第1の外輪14A及び第2の外輪14Bは、1/2円環状部材から成り、外輪14A,14Bを一体的に接続(固定)することにより、円環状の形状を構成する。これら外輪14A,14Bの内周には、ころ16の軌道面(凹溝)が形成されている(不図示)。
なお、本実施形態では、第1、第2の保持器形成部材12A,12Bが、第1、第2の外輪14A、14Bと軸10との間で保持されているため、第1、第2の保持器形成部材12A,12B間の連結部分をネジ等の固定手段を用いて固定しなくても、両保持器形成部材12A,12B間の連結状態(嵌合状態)を維持することが可能である。
以上のように構成されるころ軸受100では、第1、第2の保持器形成部材12A、12Bが、凸部18aと凹部18bとにより連結されるので、ころ軸受100が組み込まれる軸10の回転中(軸10がクランクシャフトである場合には、エンジンの稼働中)において、保持器形成部材12A,12B同士が接触(衝突)して振動及び騒音が発生するのを抑制することができる。また、一対の保持器形成部材12A,12Bの一端部同士が連結される一方、他端部側は連結されないため、全体として、一部が分割された略円環形状(略C字状の形状)を形成する。これにより、一対の保持器形成部材12A,12Bが外輪14A,14Bや軸10に対して相対回転を起こしやすいため、フレッティング対策上有利となる。また、本実施形態では、第1、第2の保持器形成部材12A,12Bの一端部同士のみを連結することとしているので、第1、第2の保持器形成部材12A,12Bを、軸10に対して径方向外側から挟み込む状態で接近させて連結することができる。これにより、クランクシャフト、長軸、圧延機用のロールネックなど、軸方向からの取り付けが困難な軸部材に対しても、簡易にころ軸受100を取り付けることが可能である。
なお、上記実施形態では、第1の保持器形成部材12Aの一端部(第1の連結部)が等脚台形状の凸部18aで、第2の保持器形成部材12Bの一端部(第2の連結部)が等脚台形状の凹部18bである場合について説明したが、これに限らず、例えば、図3(a)に示すような第1、第2の保持器形成部材12A’、12B’を採用しても良い。第1の保持器形成部材12A’は、図3(b)に示すように、一端部に直角三角形状の凸部38aと、該凸部38aに対して対称な形状を有する凹部42aとを有し、第2の保持器形成部材12B’は、一端部に直角三角形状の凸部38bと、該凸部38bに対して対称な形状を有する凹部42bとを有している。この場合、凸部38aと凹部42bとが嵌合し、かつ、凸部38bと凹部42aとが嵌合することにより、両保持器形成部材12A’,12B’が連結されることになる。
また、これに限らず、例えば、図4に示すように、一端部に凸部28aと、該凸部28aに対して対称な形状を有する凹部32aとを有する第1の保持器形成部材12A”、及び一端部に凸部28bと、該凸部28bに対して対称な形状を有する凹部32bとを有する第2の保持器形成部材12B”を採用することとしても良い。この場合、凸部28aと凹部32bとが嵌合し、凸部28bと凹部32aとが嵌合して、第1の保持器形成部材12A”と、保持器形成部材12B”とが連結される。本変形例の場合、第1の保持器形成部材12A”と第2の保持器形成部材12B”とが回転対称な形状を有することになるので、各保持器形成部材12A”、12B”を同一の製造工程で製造することが可能となる。
また、第1の保持器形成部材と第2の保持器形成部材の形状を回転対称な形状(同一形状)にするという観点からは、例えば、図5に示すように、第1の保持器形成部材と第2の保持器形成部材のそれぞれの一端部に、等脚台形状の凸部48と等脚台形状の凹部52とを設けるようにしても良い。
もちろん、上記実施形態及び変形例に例示した形状に限らず、第1の保持器形成部材と第2の保持器形成部材とが凸部と凹部とで連結できるのであれば、種々の形状を採用することができる。
なお、上記実施形態では、第1の保持器形成部材と第2の保持器形成部材とが、略1/2円環状の形状を有する場合について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、第1の保持器形成部材及び/又は第2の保持器形成部材を円環の周に沿って複数個に分割可能な構成としても良い。
なお、上記実施形態では、ころ16が軸10に直接接触する構成について説明したが、これに限られるものではなく、第1、第2の保持器形成部材12A,12Bの内側に、軸に固定される内輪(例えば分割型の内輪)を設けることとしても良い。
なお、上記実施形態では、本発明のころ軸受を円筒ころ軸受に採用した場合について例示的に説明したが、これに限らず、本発明のころ軸受をその他の軸受に採用することも可能である。
上述した実施例は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
一実施形態に係るころ軸受100の断面図である。 図1のころ軸受を構成する第1、第2の保持器形成部材それぞれの一端部近傍を示す斜視図である。 変形例(その1)に係るころ軸受の部分断面図及び第1、第2の保持器形成部材それぞれの一端部近傍を示す斜視図である。 変形例(その2)に係る第1、第2の保持器形成部材それぞれの一端部近傍を示す斜視図である。 変形例(その3)に係る第1、第2の保持器形成部材それぞれの一端部近傍を示す斜視図である。
符号の説明
12A 第1の保持器形成部材
12B 第2の保持器形成部材
16 ころ
18a 凸部
18b 凹部
100 ころ軸受

Claims (1)

  1. 一対の第1の保持器形成部材及び第2の保持器形成部材を含むころ軸受用保持器であって、
    前記第1の保持器形成部材及び前記第2の保持器形成部材は、略1/2円環形状を有し、
    前記第1の保持器形成部材は、凸部と、前記凸部と対称な形状の凹部とを有する第1連結部をその一端部に有し、前記第2の保持器形成部材は、凹部と、前記凹部と対称な形状の凸部とを有する第2連結部をその一端部に有し、
    前記第1連結部の凸部と前記第2連結部の凹部、前記第1連結部の凹部と前記第2連結部の凸部のそれぞれが嵌合して前記第1の保持器形成部材と前記第2の保持器形成部材とが前記ころ軸受用保持器の円周方向に対して隙間無く連結することにより、第1の保持器形成部材及び第2の保持器形成部材の他端部間が互いに非接触な隙間を形成して分割された略円環形状を形成し、
    前記第1の保持器形成部材と前記第2の保持器形成部材は、同一の形状を有することを特徴とするころ軸受用保持器と、
    前記ころ軸受用保持器に保持された複数のころと、を備えるころ軸受。
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