JP4747247B2 - 等方性ヒステリシスボンド磁石 - Google Patents

等方性ヒステリシスボンド磁石 Download PDF

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Description

本発明はヒステリシスボンド磁石に関し、更に詳しくは、安価で安全性に優れ、トルクリミッター、ダンパー、ショックアブソーバー、アクセルペダル等に有用なヒステリシスボンド磁石に関する。
従来、この種の磁石としては、図1に示すように、内側に金属製ヒステリシス板1を張設した円筒状ケーシング2内に、シャフト3を挿通した焼結磁石4を回転可能に装着したトルクリミッターが知られている(例えば、特許文献1、第4頁、図4参照)。
また、総重量に対して75〜95重量%の鋳造磁石粉体と、3〜20重量%の樹脂バインダーと、0.1〜5重量%の滑り剤と、0.5〜3重量%のカップリング剤とからなり、筒状に成形されていることを特徴とする半硬質プラスチックマグネットが提案されている(例えば、特許文献1、第4頁、図1参照)。
また、高い磁気特性を有するボンド磁石を得るために、W型フェライト磁性粉を用いることが提案されている(特許文献2又は3)。
また、特定の磁気特性を有する半硬質磁性材プラスチックマグネットを用いたトルクリミッターが提案されている(特許文献4)。
また、フェライト磁性粉を配向させてヒステリシスボンド磁石に用いることが提案されている(特許文献5)。
特開2000−243613号公報 特開平2−102507号公報 特開2000−311808号公報 特開2002−295510号公報 特開2005−12047号公報
しかしながら、前者のトルクリミッターは、金属製のヒステリシス板1が必要であるため、部品点数及び組立工数が多くなり、コストアップとなるという問題がある。また、部品点数及び組立工数が多くなるため、寸法誤差が生じやすく、ヒステリシス板1と焼結磁石4との間のクリアランス5を大き目に設定する必要がある。従って、ヒステリシストルクにバラツキを生じるばかりでなく、クリアランス5を大き目に設定する分だけサイズが大きくなるのを避けられず、小型化の要請を満足することが困難である。
後者の半硬質プラスチックマグネットによれば、上記した問題は解消されるものの、鋳造磁石を粉砕した鋳造磁石粉体を使用するため、粒度分布が大きく、また粒形が尖ったり角ばった凹凸状からなり、そのため溶融成形時の流動性が悪く成形が困難で、ショートショット、ウエルドライン等の問題が生じる。成形性を改善するために鋳造磁石粉の含有量を下げると、磁気特性が低下するという新たな問題が惹き起こされる。更に、鋳造磁石を粉砕するためのエネルギー消費量が大きく、コストアップとなる。
また、鋳造磁石粉体は高価なCoやNi等を含むため、コストアップとなるばかりでなく、またNiは、例えば、製造過程で人体に触れるとカブレを起こす場合があり、労働環境上問題を含んでいる。
また、特許文献2又は3には、W型フェライト磁性粉を用いたボンド磁石が記載されているが、単に高い磁気特性を有するボンド磁石を得ることを目的とするものであり、トルクリミッターに用いた場合にヒステリシストルクが高く漏洩磁束を低減することについては、考慮されていない。
また、特許文献4によれば、磁束密度が180〜1000mT(1800〜10000G)であって保磁力が16〜48kA/m(200〜600Oe)の半硬質磁性材プラスチックマグネットを用いたトルクリミッターが記載されているが、漏洩磁束を抑制するためには磁気シールド材を用いて被覆する必要があり、漏洩磁束を低減できるとは言い難いものである。
また、特許文献5によれば、異方性のボンド磁石を用いているが、後出比較例に示すとおり、漏洩磁束を低減することは困難であった。
本発明はかかる実情に鑑み、上記従来技術の欠点を解消し、トルクが大きくしかも、磁束漏洩が少ないヒステリシスボンド磁石を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意研究の結果、特定のフェライト磁性粉を用いたヒステリシスボンド磁石では、トルクが大きくしかも、磁束漏洩が少ないことを見い出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、平均粒径が0.5〜5.0μm、圧縮密度が2.7〜3.5g/cm及び粉体iHcが40〜104kA/m(500〜1300Oe)であるW型フェライト磁性粉75〜95重量%と、バインダー樹脂25〜5重量%とからなる等方性ヒステリシスボンド磁石であり、該等方性ヒステリシスボンド磁石の残留磁束密度Brが120〜160mT(1200〜1600G)、保磁力bHcが32〜72kA/m(400〜900Oe)、保磁力iHcが52〜104kA/m(650〜1300Oe)、最大エネルギー積BHmaxが1.6〜4.8kJ/m(0.2〜0.6MGOe)、配向性Br/(4πIs)が0.45〜0.60であることを特徴とする等方性ヒステリシスボンド磁石である。
また、本発明は、W型フェライト磁性粉とバインダー樹脂との合計100重量%に対して、滑剤0.1〜5重量%及びカップリング剤0.5〜3重量%を含有してなる請求項1記載の等方性ヒステリシスボンド磁石である。
また、本発明は、前記等方性ヒステリシスボンド磁石において、W型フェライト磁性粉の組成が、SrO・(2−x)FeO・xZnO・8Fe(1.0≦x≦2.0)であることを特徴とする等方性ヒステリシスボンド磁石である。
また、本発明は、円筒状又は円盤状からなる前記いずれかの等方性ヒステリシスボンド磁石である。
また、本発明は、トルクリミッター用である前記いずれかの等方性ヒステリシスボンド磁石である。
尚、本発明において、ヒステリシスボンド磁石とは、トルクリミッター、ダンパー、ショックアブソーバー、クラッチ、アクセルペダル等に要求されるヒステリシス発生装置に用いられるボンド磁石を指称する。
本発明のヒステリシスボンド磁石はトルクが大きく、しかも、磁束漏洩が少ないので、ヒステリシスボンド磁石として好適である。
本発明のヒステリシスボンド磁石は、安価で安全性に富み、汎用性のトルクリミッター、ダンパー、ショックアブソーバー、クラッチ、アクセルペダル等のヒステリシス発生装置用として有用である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
本発明に用いられるW型フェライト磁性粉は、平均粒径が0.5〜5.0μm、圧縮密度が2.7〜3.5g/cm、保磁力が40〜104kA/m(500〜1300Oe)である。
フェライト磁性粉の平均粒径が0.5μm未満では、圧縮密度を2.7〜3.5g/cmとすることが困難である。ボンド磁石の成形性を考慮した場合、平均粒径の上限は5.0μm程度である。好ましくは0.8〜3.0μmである。
フェライト磁性粉の圧縮密度が2.7g/cm未満では、残留磁気が十分に大きくならない。一方、3.5g/cmを越えると溶融成形時の流動性が低下し成形性に支障が生じる傾向にある。これは、例えば0.2μm前後の微粉を増やすことにより対応できるが、この場合は、磁性粉の比表面積が大きくなり過ぎ、バインダー樹脂との組成物の溶融時の流動性が悪化する傾向がある。
フェライト磁性粉の保磁力が40kA/m(500Oe)未満では、例えばトルクリミッター用に用いた場合に十分なヒステリシストルクが得られない傾向があり、一方、104kA/m(1300Oe)を越えると、例えば、ヒステリシスボンド磁石とともに用いられる磁石の残留磁気が小さい場合に、コギングが生じる場合があり、スムーズなヒステリシストルクが得られない傾向がある。好ましくは48〜104kA/m(600〜1300Oe)である。
W型フェライト磁性粉の組成は、SrO・(2−x)FeO・xZnO・8Fe(1.0≦x≦2.0)であることが好ましく、前記組成に制御した場合、容易に所望の磁気特性を有するフェライト磁性粉を得ることができる。
また、焼結フェライトを粉砕して混合したり、粒度分布を制御することによって充填性を向上させても良い。
本発明に用いられるバインダー樹脂は、例えば、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリアミド66、芳香環を含む芳香族ポリアミドなどのポリアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレンなどを単独又は共重合したポリオレフィン系樹脂;ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、塩素化ポリエチレン(CPE)樹脂、クロロスルホン化ポリエチレン樹脂(デュポン社の商品名「ハイパロン」)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、液晶樹脂、エポキシ系樹脂,フエノール系樹脂等;イソプレン、ネオプレン、スチレンブタジエン、ブタジエン、アクリロニトリルブタジエンなどのゴム;オレフィン系エチレン−プロピレン−ジエン−メチレン(EPDM)、ウレタン系、ポリエステル系などののエラストマー等が使用でき、これらは単独で又は必要により2種以上混合して用いられる。これらの中で、ポリアミド樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、PPS樹脂、液晶樹脂、エラストマーが好ましい。
本発明のヒステリシスボンド磁石は、フェライト磁性粉75〜95重量%とバインダー樹脂25〜5重量%とからなる。フェライト磁性粉が75重量%未満では実用に耐えるヒステリシストルクが得られず、一方、95重量%を越えると、成形時の流動性が低下し、成形品にウエルドラインが発生して機械的強度の大巾な低下を惹き起こしたり、また磁性粉の配向度の低下を招き、十分なヒステリシストルクが得られない。
本発明のヒステリシスボンド磁石は、必要に応じて、滑剤及びカップリング剤を含有することができる。
滑剤としては、ステアリン酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ラウリン酸カルシウム、リノール酸亜鉛等の脂肪酸塩、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、パラフィンワックス、流動パラフィン、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバ等のワックス類等が挙げられ、これらは単独で又は必要に応じ組み合わせて用いられる。
カップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等のチタネート系カップリング剤等が挙げられ、これらは磁性粉の種類とバインダー樹脂の種類に応じて選択され、単独で又は必要に応じ組み合わせて用いられる。
滑剤は、W型フェライト磁性粉とバインダー樹脂との合計100重量%に対して、通常、0.1〜5重量%用いられる。滑剤が0.1重量%未満では金型からの離型が困難となる場合があり、生産性が低下してコストアップを招いたり、離型時に成形品の表面がえぐり取られることがあり、この場合には該部分から機械的強度の低下及びヒステリシストルクの低下をもたらす場合がある。一方、5重量%を越えると成形品表面からのブリードを惹き起こしたり、機械的強度の低下をもたらす場合がある。
カップリング剤は、W型フェライト磁性粉とバインダー樹脂との合計100重量%に対して、通常、0.5〜3重量%用いられる。カップリング剤が0.5重量%未満では、添加効果が十分に得られない場合があり、一方、3重量%を越えると成形時の熱による分解により発泡が起こり、機械的強度の低下を伴う場合がある。
本発明のヒステリシスボンド樹脂は、更に、通常使用される可塑剤、抗酸化剤、安定剤等を含有させても差し支えない。
本発明のヒステリシスボンド磁石は、上記の如き樹脂組成物を射出成形、押出成形等により円筒状、円盤状等に成形される。本発明に係る等方性ヒステリシスボンド磁石は、等方性とすることにより磁束漏洩を低減でき、更に、ヒステリシストルクを増大させることができる。
本発明に係る等方性ヒステリシスボンド磁石は、残留磁束密度Brが120〜160mT(1200〜1600G)であり、保磁力bHcが32〜72kA/m(400〜900Oe)であり、保磁力iHcが52〜104kA/m(650〜1300Oe)であり、最大エネルギー積BHmaxが1.6〜4.8kJ/m(0.2〜0.6MGOe)であり、配向性Br/(4πIs)が0.45〜0.60である。
好ましくは残留磁束密度Brが130〜160mT(1300〜1600G)であり、保磁力bHcが44〜68kA/m(550〜850Oe)であり、保磁力iHcが60〜100kA/m(750〜1250Oe)であり、最大エネルギー積BHmaxが2.0〜4.8kJ/m(0.25〜0.6MGOe)であり、配向性Br/(4πIs)が0.46〜0.60である。
本発明に係る等方性ヒステリシスボンド磁石の磁気特性が前記範囲外の場合には、ヒステリシストルクが低下し、磁束漏洩を低減することが困難である。殊に、配向性Br/(4πIs)が前記範囲外の場合には磁束漏洩を低減することが困難となる。
また、本発明に係る等方性ヒステリシスボンド磁石は、その円筒状の外側に強磁性体を設置させてもよい。
上記の如くして得られる本発明のヒステリシスボンド磁石は、トルクリミッター、ダンパー、ショックアブソーバー、クラッチ、アクセルペダル等のヒステリシス発生装置用として有用である。
本発明のヒステリシスボンド磁石とともに用いられる磁石としては、通常、永久磁石が用いられ、焼結磁石、ボンド磁石のいずれでもよい。しかしながら、焼結磁石は、そのままでは寸法精度に劣るため、ヒステリシスボンド磁石との間のクリアランスを大き目に設定する必要があり、従って、ヒステリシストルクにバラツキを生じるばかりでなく、クリアランスを大き目に設定する分だけサイズが大きくなるのを避けられず、小型化の要請を満足することが困難である。この問題は、焼結磁石を研磨して寸法精度を高めることにより解決されるが、別途研磨工程が必要となるので、それだけコストアップとなる。また、割れや欠けが発生し易いという欠点もある。
これに対して、ボンド磁石は上記のような問題がなく、成形性及び寸法精度に優れ、割れや欠けが発生し難い点で好適である。
このようなボンド磁石の磁性粉としては、上記したフェライト系磁性粉の他、サマリュウム−コバルト系磁性粉やネオジム−鉄−ボロン系磁性粉、サマリュウム−鉄−窒素系磁性粉等の希土類系磁性粉など、従来公知の異方化永久磁性粉が挙げられ、これらは単独で又は必要により2種以上組み合わせて使用できる。バインダー樹脂は、上記したヒステリシスボンド磁石と同じものが用いられる。配合割合は磁性粉が40〜70体積%、バインダー樹脂が60〜30体積%が好ましい。磁性粉が40体積%未満では磁気特性が不十分で、一方、70体積%を越えると成形性が悪くなる。
<作用>
本発明においては、ヒステリシスボンド磁石を等方性とすることによって、磁束漏洩を低減できるとともに、ヒステリシストルクを増大させることができる。
本発明において、ヒステリシストルクを向上させるとともに、磁束漏洩が低減された理由は、未だ明らかではないが、本発明者は、次のように推定している。
即ち、異方性ヒステリシスボンド磁石の場合、円筒状の内側から外側に向かって磁化容易軸方向が存在するので自己バックヨーク効果は発生せず、永久磁石からの磁束はヒステリシスボンド磁石の磁化容易軸方向に進み、一旦外側に出た後、隣の反対極に戻る。従って、磁路の磁気抵抗が大きくなり、ギャップ(クリアランス:ヒステリシスボンド磁石と永久磁石との間)に発生する磁束密度は小さくなり、磁束漏洩も大きいものとなる。
一方、等方性ヒステリシスボンド磁石の場合、永久磁石からの磁束は自己バックヨーク効果により磁路の磁気抵抗が小さくなり、結果、ギャップに発生する磁束密度は大きくなり、また、磁束漏洩も小さくなる。
また、本発明に係るヒステリシスボンド磁石は、保磁力が40〜104kA/m(500〜1300Oe)、平均粒径が0.5〜5.0μm、圧縮密度が2.7〜3.5g/cmであるW型フェライト磁性粉75〜95重量%と、バインダー樹脂25〜5重量%とからなることを特徴とし、高価なCoやNi、安全性に問題のあるNi等を使用する鋳造磁石粉体に比べて安価で且つ安全であり、汎用性のヒステリシスボンド磁石を提供することができる。
本発明に係るヒステリシスボンド磁石は、適度な強度を有するとともに、漏洩磁束を低減することができるので、ケーシングが不要であり、簡単な装置とすることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されないことはいうまでもない。
製造例1<W型フェライト磁性粉の製造>
SrO・ZnO・FeO・8Feの割合となる量の炭酸ストロンチウム、酸化亜鉛及び酸化鉄の所定量を湿式のボールミルで混合した。得られた混合粉末を乾燥後、プレス圧49MPaの圧力で、36mm×7mmの円柱状に成型し、大気中にて1200〜1350℃×4時間反応焼成する。焼成試料を150μm以下に粗粉砕し、ステンレス製振動ミル(湿式法)を用い、1.0h〜4.0hの微粉砕を行った。これらの試料を乾燥後、解砕して、W型フェライト磁性粉を得た。
得られたW型フェライト磁性粉は、平均粒径が0.86μm、圧縮密度が2.9g/cm及び粉体iHcが56kA/m(700Oe)であった。
実施例1
前記W型フェライト磁性粉88重量%と、バインダー樹脂としてポリアミド12を11重量%、滑剤としてステアリン酸系添加剤及びシラン系カップリング剤を、それぞれ0.3重量%及び0.7重量%からなる磁石組成物を射出成形金型により射出成形した。得られたヒステリシスボンド磁石6は、円筒状(内径15mm、外径18mm、長さ18mm)であった。
得られた等方性ヒステリシスボンド磁石は、Brが140mT(1400G)、bHcが48.8kA/m(610Oe)、iHcが65.6kA/m(820Oe)、BHmaxが2.2kJ/m(0.27MGOe)、Br/(4πIs)が0.55であった。
フェライト磁性粉の平均粒径は、「レーザー回折式粒度分布測定装置 HELOS」(SYMPATEC社製)を用いて測定した。
フェライト磁性粉の圧縮密度は、粒子粉末を1t/cmの圧力で圧縮したときの密度を採用した。
フェライト磁性粉及びヒステリシスボンド磁石の磁気特性は、「直流磁化特性自動記録装置3257」(横川北辰電気(株)製)を用いて、1120kA/m(14000Oe)の磁場をかけて測定した。
得られた円筒状ヒステリシスボンド磁石と永久磁石を用いてヒステリシストルク及び磁束漏洩を測定した。
ヒステリシストルクを測定したところ、0.30kg・cmであった。ガウスメーターにより測定した磁束漏洩は60mTであった。
なお、評価に用いた永久磁石はNd系異方性ボンド磁石であり、Brが850mT、bHcが520kA/m、iHcが850kA/m、BHmaxが130kJ/mであった。
テンションメーターは、「デジタルフォースゲージSSII−20R」((株)今田製作所製)を用いた。
ガウスメーターは、「マグネチックアナライザーUHS−3DS」(日本電磁測器(株)製)を用いた。
比較例1
実施例1に示したヒステリシスボンド磁石において、磁石組成物を磁場配向射出成形金型により、フェライト磁性粉を円筒の厚み方向に配向させた以外は、実施例1と同様にして射出成形した。
得られた異方性ヒステリシスボンド磁石は、Brが270mT(2700G)、bHcが55.2kA/m(690Oe)、iHcが57.6kA/m(720Oe)、BHmaxが8.0kJ/m(1.0MGOe)、Br/(4πIs)が0.90であった。
得られたヒステリシスボンド磁石は、ヒステリシストルクが0.27kg・cm、磁束漏洩が85mTであった。
実施例から明らかなとおり、特定の磁気特性を有するW型フェライト磁性粉を用いたヒステリシスボンド磁石は、ヒステリシストルクが大きく、磁束漏洩も低減することができる。
叙上のとおり、本発明のヒステリシスボンド磁石は、安価で安全性に富み、汎用性のトルクリミッター、ダンパー、ショックアブソーバー、クラッチ、アクセルペダル等のヒステリシス発生装置用として有用である。
従来のトルクリミッターを示す概略断面図である。 本発明のヒステリシスボンド磁石内に永久磁石を装着した状態を示す概略図(断面図)である。
符号の説明
1 ヒステリシス板
2 ケーシング
3 シャフト
4 焼結磁石
5 クリアランス
6 ヒステリシスボンド磁石
7 永久磁石

Claims (5)

  1. 平均粒径が0.5〜5.0μm、圧縮密度が2.7〜3.5g/cm及び粉体iHcが40〜104kA/mであるW型フェライト磁性粉75〜95重量%と、バインダー樹脂25〜5重量%とからなる等方性ヒステリシスボンド磁石であり、該等方性ヒステリシスボンド磁石の残留磁束密度Brが120〜160mT、保磁力bHcが32〜72kA/m、保磁力iHcが52〜104kA/m、最大エネルギー積BHmaxが1.6〜4.8kJ/m、配向性Br/(4πIs)が0.45〜0.60であることを特徴とする等方性ヒステリシスボンド磁石。
  2. 酸化物磁性粉とバインダー樹脂との合計100重量%に対して、滑剤0.1〜5重量%及びカップリング剤0.5〜3重量%を含有してなる請求項1記載の等方性ヒステリシスボンド磁石。
  3. 前記等方性ヒステリシスボンド磁石において、W型フェライト磁性粉の組成が、SrO・(2−x)FeO・xZnO・8Fe(1.0≦x≦2.0)であることを特徴とする等方性ヒステリシスボンド磁石。
  4. 円筒状又は円盤状からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の等方性ヒステリシスボンド磁石。
  5. トルクリミッター用である請求項1〜4のいずれか1項に記載の等方性ヒステリシスボンド磁石。
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