JP2001006913A - ロータ - Google Patents

ロータ

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JP2001006913A
JP2001006913A JP11176859A JP17685999A JP2001006913A JP 2001006913 A JP2001006913 A JP 2001006913A JP 11176859 A JP11176859 A JP 11176859A JP 17685999 A JP17685999 A JP 17685999A JP 2001006913 A JP2001006913 A JP 2001006913A
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JP
Japan
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rotor
ring
anisotropic
ring magnet
ferrite
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Pending
Application number
JP11176859A
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English (en)
Inventor
Tokuyuki Noda
徳幸 野田
Osamu Fujita
修 藤田
Nobuyuki Hirai
信之 平井
Yasunobu Ogata
安伸 緒方
Yutaka Kubota
裕 久保田
Takashi Takami
崇 高見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 異方性フェライトリング磁石を具備するとと
もに従来よりも高い表面磁束密度を有する高効率の回転
機用ロータを提供する。 【解決手段】 異方性フェライトリング磁石を具備し、
前記異方性フェライトリング磁石は、(A1-x x )O
・n[(Fe1-y Coy 2 3 ](AはSrおよび/
またはBa、RはYを含む希土類元素の少なくとも1種
でありLaを必ず含む、0.01≦x≦0.4,[x/
(2.6n)]≦y≦[x/(1.6n)],5.0≦
n≦6.4)により表される主成分組成および実質的に
マグネトプランバイト型結晶構造を有し、かつ磁化M
(単位emu/g)−温度T(単位℃)曲線において複
数のキュリー点(Tc)および微分値(dM/dT)の
極小値を有するロータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は実質的にマグネトプ
ランバイト型結晶構造を有し、かつ従来に比べてLaお
よび/またはCo濃度分布が不均一なミクロ組織を有す
る異方性フェライトリング磁石を具備したことにより、
高い表面磁束密度を有する高効率の回転機用ロータに関
する。
【0002】
【従来の技術】フェライト磁石は、モータ、発電機等の
回転機を含む種々の用途に使用されている。最近は特に
自動車用回転機分野では小型・軽量化を目的とし、電気
機器用回転機分野では高効率化を目的としてより高性能
のものが求められている。
【0003】従来の高性能フェライトリング磁石は例え
ば以下のように製造されていた。酸化鉄とSrの炭酸塩
を混合後、仮焼処理してフェライト化する。仮焼された
クリンカーを粗砕、粗粉砕、微粉砕する。微粉砕時に焼
結性を制御する添加物としてSiO2 、SrCO3 およ
びCaCO3 を所定量添加し、さらに必要に応じて微粉
砕時に保磁力iHcを制御する添加物としてAl2 3
および/またはCr23 を所定量添加する。その後、
所望の粒径まで微粉砕する。微粉を配向磁界を印加しつ
つ圧縮成形してリング形状の成形体を得る。この成形体
を焼結後、機械加工してフェライトリング磁石製品を得
ていた。
【0004】異方性フェライトリング磁石を用いたロー
タは、回転軸であるシャフトと異方性フェライトリング
磁石とが射出成形部材により抱持固定された構造を有す
る。このロータはリング磁石とシャフトとを所定の射出
成形用金型(図示せず)のキャビティに同軸に装着した
後、両者を抱持するように溶融した熱可塑性樹脂を充填
して固化するInjection-sub-Assy手段により形成され
る。
【0005】異方性フェライトリング磁石を用いた他の
ロータの構成としては、中心にシャフト(回転軸)を設
けた強磁性の回転子コアの外周側に異方性フェライトリ
ング磁石を接着した構造もある。
【0006】界磁用フェライト磁石の高性能化手段は次
の5つに大きく分類される。第1の手段は微粒化であ
る。フェライト磁石の焼結体のC面(磁気異方性付与方
向に対して実質的に直角な面)の結晶粒径が、マグネト
プランバイト(M)型フェライト磁石の臨界単磁区粒子
径である約0. 9μmに近いほどiHcは大きくなる。
よって、焼結時の結晶粒成長を見込んで、微粉砕の平均
粒径を例えば0. 7μm以下に微粒化すればよい。しか
し、この方法によると、微粒化するほど湿式成形時の脱
水特性が悪くなり、生産効率が落ちるという問題を有す
る。
【0007】第2の手段は焼結体のC面の結晶粒径分布
を約0.9μm近傍の狭い分布にすることである。0.
9μmより大きな結晶粒も小さな結晶粒もiHcの低下
を招くからである。このための具体的な手段は微粉砕粉
の粒径分布を改善することにある。しかし、工業生産上
ボールミルまたはアトライターなどの既存の粉砕機を用
いざるを得ないので微粉砕粉の粒径分布の改善は自ずと
制限される。また、近年は、化学的沈殿法により狭い粒
径分布に調整したフェライト微粒子を用いて高性能フェ
ライト磁石を作製する試みがなされているが、工業生産
に適合する方式ではない。
【0008】第3の手段は磁気異方性度を左右するフェ
ライト磁石の配向度を向上することである。具体的に
は、成形体の配向度向上および焼結による配向度の向上
がある。界面活性剤を微粉砕スラリーに添加してスラリ
ー中のフェライト微粒子の分散性を改善するか、あるい
は配向磁界強度を増大して成形体の配向度を向上する方
法が考えられる。さらに、仮焼時のフェライト化反応の
促進および/または成形体の緻密な焼結に寄与する添加
物(SiO2 ,CaCO3 等)を所定量添加して焼結体
の配向度を向上することが考えられる。
【0009】第4の手段は焼結体の密度を向上すること
である。Srフェライト磁石の理論密度は5.15g/
cm3 である。実用に供されているSrフェライト磁石
の密度は約4.9〜5.0g/cm3 であり、対理論密
度比で95〜97%に相当する。高密度化すればBrが
向上するが、前記密度範囲を超えてさらに高密度化する
にはHIP等の特殊な高密度化手段が必要である。しか
し、このような特殊なプロセスの導入は製造原価を増大
させる。
【0010】第5の手段はM型フェライト磁石を構成す
る主相のフェライト化合物(M相)自体の飽和磁化σs
あるいは結晶磁気異方性定数を向上することである。σ
sが向上すればBrが向上し、結晶磁気異方性定数が向
上すれば保磁力Hc、iHcが向上する。近年、M型フ
ェライト磁石より大きなσsを有するW型フェライト磁
石の開発が行われているが、雰囲気制御の困難さのため
量産には至っていない。
【0011】次に、特開平9−115715号公報に
は、A1-x x ( Fe12-yM1y ) Z19、(AはS
r,Ba,Ca,Pbのうちの少なくとも1種の元素で
あり、RはYおよびBiを含む希土類元素のうちの少な
くとも1種の元素であってLaを必ず含み、M1はZn
および/またはCdであり、モル比で、0.04≦x≦
0.45、0.04≦y≦0.45、0.7≦z≦1.
2で表される主成分および六方晶マグネトプランバイト
型フェライトの主相を有するフェライト磁石が開示され
ている。しかし、本発明者らの検討によれば、このフェ
ライト磁石の主成分組成を選択すると2.5kOe超の
高いiHcを実現困難なことがわかった。
【0012】次に、国際公開番号:WO98/38654には、
Sr、Ba、CaおよびPbから選択される少なくとも
1種の元素であってSrを必ず含むものをAとし、Yお
よびBiを含む希土類元素の少なくとも1種の元素であ
ってLaを必ず含むものをRとし、CoであるかCoお
よびZnをM2としたとき、A,R,FeおよびM2の
それぞれの金属元素の総計の構成比率が、全金属元素量
に対し、A:1〜13原子%、R:0.05〜10原子
%、Fe:80〜95原子%、M2:0.1〜5原子%
である主成分組成を有するフェライト磁石が開示されて
いる。このフェライト磁石は従来に比べて高いBrおよ
びiHcを有する高性能フェライト磁石であり、各種磁
石応用製品分野へ採用されつつある。
【0013】しかし、本発明者らの検討によれば、WO
98/38654に記載の製造条件に従い作製したフェライト磁
石は角形比Hk/iHcがLaおよびCoの置換量の増
大とともに劣化して、高効率の要求される回転機の界磁
用磁石に用いると角形比Hk/iHc不良で要求仕様を
十分満足できない場合が発生した。Hkは4πI(磁化
の強さ)−H(磁界の強さ)曲線の第2象限において、
4πIが0.95Brの値になる位置のH軸の読み値で
あり、減磁曲線の矩形性の尺度である。このHkを前記
4πI−H曲線のiHcで除した値:Hk/iHcを角
形比として定義する。
【0014】次に、回転機の界磁用異方性フェライトリ
ング磁石は、異方性の付与程度が顕著になると割れを発
生するという問題がある。このため、従来の界磁用異方
性フェライトリング磁石では割れを発生しない程度に異
方性を付与することが行われていた。したがって、従来
の異方性フェライトリング磁石を界磁用磁石に用いた場
合、高効率の回転機を構成し得る高い表面磁束密度を有
するロータの実現が困難だった。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、実質
的にマグネトプランバイト型結晶構造を有し、かつ従来
に比べてLaおよび/またはCo濃度分布が不均一なミ
クロ組織を有する異方性フェライトリング磁石を具備し
たことにより、高い表面磁束密度を有する高効率の回転
機用ロータを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明は、異方性フェライトリング磁石を具備するロータで
あって、前記異方性フェライトリング磁石は、 (A1-x x )O・n[(Fe1-y Coy 2 3
(原子比率) (ただし、AはSrおよび/またはBaであり、RはY
を含む希土類元素の少なくとも1種でありLaを必ず含
む、x、yおよびnはそれぞれ下記条件: 0.01≦x≦0.4,[x/(2.6n)]≦y≦
[x/(1.6n)],および5.0≦n≦6.4 を満たす数字である。)により表される主成分組成およ
び実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有し、か
つ磁化M(単位emu/g)−温度T(単位℃)曲線に
おいて複数のキュリー点(Tc)および微分値(dM/
dT)の極小値を有するロータである。
【0017】また、本発明は、異方性フェライトリング
磁石を具備するロータであって、前記異方性フェライト
リング磁石は、 (A1-x x )O・n[(Fe1-y Coy 2 3
(原子比率) (ただし、AはSrおよび/またはBaであり、RはY
を含む希土類元素の少なくとも1種でありLaを必ず含
む、x、yおよびnはそれぞれ下記条件: 0.01≦x≦0.4,[x/(2.6n)]≦y≦
[x/(1.6n)],および5.0≦n≦6.4 を満たす数字である。)により表される主成分組成およ
び実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有すると
ともに、EPMAにより前記異方性フェライトリング磁
石のc面をLaまたはCoについて面分析し、計数され
たLaまたはCo Levelの最大値(Level,max )と最小
値(Level,min )とから求めた中間値:( Level,max+
Level,min)/2よりもLaまたはCo Levelの高い部
分を高濃度領域とし、かつ前記中間値以下のLaまたは
Co Levelの部分を低濃度領域と定義したとき、Laま
たはCoの低濃度領域が少なくとも直径0.5μmの円
が入る範囲で存在するロータである。
【0018】前記異方性フェライトリング磁石はラジア
ル異方性または極異方性を有しており、かつ内径(D
i)と外径(Do)との比率(Di/Do)が、0.7
5≦Di/Do≦0.85であることが好ましい。
【0019】Di/Doが0.75未満であると内径側
と外径側との配向度の差が大きくなり、焼結の際に収縮
率の差が大きくなって割れが生じやすい。逆にDi/D
oが0.85を超えると射出成形手段を用いてロータを
構成する際に充填する溶融樹脂の充填圧力により割れが
生じやすい。
【0020】本発明のロータは従来の異方性フェライト
リング磁石を用いたロータに比べて表面磁束密度が高く
なる。これは本発明に用いる異方性フェライトリング磁
石のLaおよび/またはCoの不均一な濃度分布を反映
したものと判断される。ロータ単体のパーミアンス係数
Pcが好ましくは0.5〜6、より好ましくは1〜4で
あれば、従来の異方性フェライトリング磁石を用いたロ
ータに比べて回転機効率を向上可能である。Pcが0.
5未満ではiHcが反映されるので従来のロータとの差
異が消失する。Pcが6超のものは実用性が低い。ロー
タのPcとはロータの1磁極あたりの平均のPcであ
る。
【0021】本発明に用いる異方性フェライトリング磁
石は、後添加方式あるいは前/後添加方式により作製す
ることができる。
【0022】まず、後添加方式について説明する。AO
・nFe2 3 (原子比率)(ただし、AはSrおよび
/またはBaであり、n=5.0〜6.4)で示される
主成分組成に対応した混合原料を作製する。次に、仮
焼、粗砕、粗粉砕、微粉砕を行い、空気透過法による平
均粒径が0.4〜0.9μmの微粉を得る。微粉の平均
粒径が0.4μm未満では焼結時に異常な結晶粒成長が
生じて保磁力が低下し、かつ湿式成形法を採用した場合
では脱水特性が悪化する。微粉の平均粒径が0.9μm
超では粗大な結晶粒が相対的に多くなり、Br、iHc
が低下する。
【0023】次に、湿式または乾式の磁界中成形を行う
が、仮焼後から成形前までの製造工程でLaを含むR元
素およびCoを所定量を添加して、最終的に本発明のフ
ェライト磁石の主成分組成になるようにする。以後、成
形体を焼結、加工して本発明のフェライト磁石が得られ
る。この方式を後添加方式という。
【0024】前/後添加方式とは、最終的に(A1-x
x ) O・n[(Fe1-y Coy 23 ](原子比率)
で示される本発明のフェライト磁石を製造するに際し、
仮焼前にLaを含むR元素および/またはCoを0原子
%超で90原子%以下の割合(最終的なR元素またはC
oの総含有量対比)で添加して均一混合後仮焼する。次
に、仮焼後から成形前までの製造工程でLaを含むR元
素および/またはCoの残量分を添加して、本発明に用
いるフェライト磁石の主成分組成に調整する方式であ
る。
【0025】後添加方式または前/後添加方式の採用に
より、モル比nが5.0未満になることが懸念される。
モル比nを5.0〜6.4に調整するために、仮焼後か
ら成形前までの製造工程で、本発明のフェライト磁石の
全鉄含有量に対して0.1〜11重量%の鉄に相当する
鉄化合物を添加することが好ましい。鉄の添加量が0.
1重量%未満ではモル比nを増大することが困難であ
り、11原子%超では成形体の配向性が低下してBrが
低くなる。
【0026】後添加方式または前/後添加方式により作
製した異方性フェライトリング磁石は、焼結段階におい
て、仮焼後から成形前までの製造工程で添加されたLa
を含むR元素および/またはCoがSrおよび/または
Baフェライト結晶粒内に拡散・置換していく。しか
し、Srおよび/またはBaフェライト結晶粒内に十分
に拡散して均一に置換するまでには至らない。よって、
Laを含むR元素および/またはCoの濃度分布が不均
一な焼結体組織を呈する。このことがロータの表面磁束
密度の向上に寄与しているものと判断する。
【0027】本発明に用いる異方性フェライトリング磁
石において、飽和磁化向上のために、Rに占めるLaの
比率を、好ましくは50原子%以上、より好ましくは7
0原子%以上、特に好ましくは99原子%以上とするこ
とがよい。理想的には、不可避不純物以外はRがLaか
らなるのがよい。
【0028】本発明に用いる異方性フェライトリング磁
石のモル比nは5.0〜6.4とする必要がある。nが
6.4超ではM相以外の異相(例えばα−Fe2 3 )
の存在により磁気特性が大きく低下する。またnが5.
0未満ではBrが大きく低下する。
【0029】xは0.01〜0.04とする。xが0.
01未満では添加効果が認められず、0.4超では逆に
磁気特性が低下する。
【0030】yとxとの間には、電荷補償のために理想
的には、y=x/(2.0n)の関係が成立する必要が
あるが、yがx/(2.6n)以上、x/(1.6n)
以下であれば従来に比べて高い表面磁束密度を示すロー
タを実現可能である。本発明ではyがx/(2.0n)
からずれた場合、Fe2+を含む場合があるが、何ら支障
はない。典型的な例では、yの好ましい範囲は0.04
以下であり、特に0.005〜0.03である。
【0031】次に、本発明に用いる異方性フェライトリ
ング磁石は緻密な焼結体とするために、焼結性を制御す
る添加物としてSiO2 およびCaOを含有することが
望ましい。
【0032】SiO2 は焼結時の結晶粒成長を抑制する
添加物であり、本発明に用いる異方性フェライトリング
磁石の総重量を100重量%としてSiO2 含有量は
0.05〜0.5重量%が好ましい。SiO2 含有量が
0.05重量%未満では焼結時に結晶粒成長が過度に進
行して保磁力が低下し、0.5重量%超では結晶粒成長
が過度に抑制されて結晶粒成長による配向度の改善が不
十分となりBrが低下する。
【0033】CaOは結晶粒成長を促進する添加物であ
り、本発明に用いる異方性フェライトリング磁石の総重
量を100重量%としてCaO含有量は0.35〜0.
85重量%が好ましい。CaO含有量が0.85重量%
超では焼結時に結晶粒成長が過度に進行して保磁力が低
下し、0.35重量%未満では結晶粒成長が過度に抑制
されて結晶粒成長による配向度の改善が不十分となりB
rが低下する。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により説明
するが、本発明はそれら実施例に限定されるものではな
い。
【0035】(実施例1)後添加方式によるラジアル異
方性および極異方性フェライトリング磁石を用いたロー
タの実施例を以下に説明する。
【0036】純度99.0%超のSrCO3 、α−Fe
2 3 を用いて、SrO・6.0Fe2 3 で示される
主成分組成に均一混合後、大気中の1250℃で2時間
仮焼した。仮焼粉を粗砕、粗粉砕後、アトライタで湿式
微粉砕して平均粒径が約0.8μmの微粉砕粉を得た。
微粉砕の初期に、微粉砕に投入した粗粉の総重量に対し
て、純度99.0%超のLa2 3 、Co3 4 および
Fe3 4 (マグネタイト)を重量比でそれぞれ2.5
重量%、1.2重量%および8重量%添加した。また、
微粉砕初期に、焼結助剤として、SrCO3 、CaCO
3 およびSiO2 を微粉砕粉に投入した粗粉の総重量対
比でそれぞれ0.1重量%、1.0重量%および0.3
重量%添加した。
【0037】次に、前記微粉砕スラリーを用いて、約3
kOeのラジアル配向磁界を印加しつつ圧縮成形し、ラ
ジアル異方性のリング状成形体を得た。成形体を121
0℃で2時間焼結し、後添加方式によるラジアル異方性
のフェライトリング磁石(以後、ラジアルリングとい
う)を得た。焼結上がりのラジアルリングに割れは発生
していなかった。次に、ラジアルリング表面の焼結肌が
なくなるまで加工してDo,Diおよび厚みを測定し
た。前記ラジアルリングの(Di/Do)は約0.80
だった。代表的なDo、Di,厚み,(Di/Do)を
表1に示す。
【0038】次に、前記微粉砕スラリーを用いて、約
4.5kOeの極異方性配向磁界を印加しつつ圧縮成形
してリング状成形体を得た。成形体を1210℃で2時
間焼結して外周面側に対称16極の極異方性を付与した
後添加方式によるフェライトリング磁石(以後、極異方
性リングという)を得た。焼結上がりの極異方性リング
に割れは発生していなかった。次に、極異方性リング表
面の焼結肌がなくなるまで加工後、測定した(Di/D
o)は約0.80だった。代表的なDo、Di,厚み,
(Di/Do)を表1に示す。
【0039】また、前記のラジアルリングおよび極異方
性リングは、ほぼ下記の主成分組成、 (Sr1-x Lax )O・n[(Fe1-y Coy
2 3 ] x=0.15、n=5.8、y=x/2n を有していた。
【0040】次に、前記ラジアルリングを用いて図1の
ロータ10を形成した。まず、前記ラジアルリング1と
シャフト5とが所定の射出成形用金型のキャビティ(図
示省略)において同軸の位置関係になるように組み込ま
れた。次に、所定の射出成形機(図示省略)により溶融
した熱加塑性樹脂(PBT:ポリプラスチックス株式会
社製のジュラネックス2000)を射出温度250℃、
射出圧力500kgf/cm2 で前記キャビティ(図示
省略)に射出充填し、固化して射出成形部材6を形成し
た。
【0041】固化直後のロータ10’を図2に示す。図
2において、8はゲート、9はランナーである。この射
出成形では、ラジアルリング1の内径側に沿って抱持固
定する射出成形部材6a(6)と、シャフト5を抱持固
定する射出成形部材6c(6)と、射出成形部材6a、
6cとを連結する射出成形部材6b(6)と、ラジアル
リング1の外径側をバックアップする射出成形部材6d
(6)とを形成する方式を採用した。
【0042】固化後のロータ10’を離型後、バックア
ップ部材である射出成形部材6d等を除去して図1のロ
ータ10を得た。射出成形部材6a部分はラジアルリン
グ1の上端面1aおよび下端面(図示せず)の一部を覆
っており、ラジアルリング1の抜け止め部材の機能を有
する。射出成形によりラジアルリング1は割れなかっ
た。次に、ロータ10のラジアルリング1が磁気飽和す
る条件で外周面に対称16極着磁を施した後、ロータ1
0の各磁極の表面磁束密度の最大値を測定し、平均した
値(Bo)を表1に示す。
【0043】次に、前記極異方性リングを用いた以外は
前記ラジアルリングの場合と同様にしてロータ10を形
成し、極異方性リング1’が磁気飽和する条件で外周面
に対称16極着磁を施した。その後、ロータの各磁極の
表面磁束密度の最大値の平均値(Bo)を測定した。測
定結果を表1に示す。
【0044】前述の通り、ラジアルリング1または極異
方性リング1’の内径側に射出充填される溶融樹脂の圧
力により、ラジアルリング1または極異方性リング1’
が割れるのを抑えるためにバックアップ部として射出成
形部材6dを設けた。この工夫により、関連した検討か
ら、(Di/Do)=0.75〜0.85、Do=10
〜100mmのラジアルリングまたは極異方性リングを
用いたロータ10では射出成形時の割れを回避できるこ
とが確認された。
【0045】(比較例1)実施例1において、ラジアル
リングまたは極異方性リングの(Di/Do)=0.6
7になるように、対応したラジアル異方性または極異方
性の成形体寸法を調整した成形体を作製した。その後、
1210℃で2時間焼結した。しかし、焼結上がりのリ
ング品に割れが発生し、焼結条件上適さない(Di/D
o)比であることがわかった。
【0046】(比較例2)実施例1において、(Di/
Do)=0.87になるように、対応したラジアル異方
性または極異方性の成形体寸法を調整した成形体を作製
した。その後、1210℃で2時間焼結した。その結
果、焼結上がりのリング品に割れは発生しなかった。
【0047】以降は実施例1と同様にして、射出成形に
より図2に示すロータ10’を形成した。しかし、射出
充填された樹脂の圧力によりラジアルリング1または極
異方性リング1’が割れる現象が見られた。このことか
ら、射出成形条件上適さない(Di/Do)比であるこ
とがわかった。
【0048】(実施例2)前/後添加方式によるラジア
ル異方性および極異方性フェライトリング磁石を用いた
ロータの実施例を以下に説明する。
【0049】純度99.0%超のSrCO3 、α−Fe
2 3 、La2 3 、Co3 4 を用いて、 (Sr1-x Lax )O・n[(Fe1-y Coy
2 3 ]、x=0.075、n=5.9、y=x/2n で示される主成分組成に対応した組成に均一混合後、大
気中の1250℃で2時間仮焼した。仮焼粉を粗砕、粗
粉砕後、アトライタで湿式微粉砕して平均粒径が約0.
8μmの微粉砕粉を得た。微粉砕の初期に、x=0.1
5、n=5.8、y=x/2n の主成分組成になるよ
うに所定量のLa2 3 、Co3 4 およびFe3 4
(マグネタイト)をそれぞれ添加した。
【0050】また、微粉砕初期に、焼結助剤として、S
rCO3 、CaCO3 およびSiO2 を微粉砕に投入し
た粗粉の総重量対比でそれぞれ0.1重量%、1.0重
量%および0.3重量%添加した。
【0051】次に、前記微粉砕スラリーを用いて、約3
kOeのラジアル配向磁界を印加しつつ圧縮成形し、ラ
ジアル異方性のリング状成形体を得た。成形体を121
0℃で2時間焼結し、前/後添加方式によるラジアル異
方性のフェライトリング磁石(ラジアルリング)を得
た。以降は実施例1と同様にしてDo,Diおよび厚み
を測定した。代表的な測定結果を表1に示す。
【0052】次に、前記微粉砕スラリーを用いて、約
4.5kOeの極異方性配向磁界を印加しつつ圧縮成形
してリング状成形体を得た。成形体を1210℃で2時
間焼結して外周面側に対称16極の極異方性を付与した
前/後添加方式によるフェライトリング磁石(極異方性
リング)を得た。以降は実施例1と同様にしてDo、D
i,厚み,(Di/Do)を測定した。代表的な測定結
果を表1に示す。
【0053】また、前記のラジアルリングおよび極異方
性リングは、ほぼ下記の主成分組成、 (Sr1-x Lax )O・n[(Fe1-y Coy
2 3 ] x=0.15、n=5.8、y=x/2n を有していた。
【0054】以降は実施例1と同様にして、前記のラジ
アルリングまたは極異方性リングを用いてロータ10を
構成し、Boを測定した。測定結果を表1に示す。
【0055】また、関連した検討から、前/後添加方式
による前記ラジアルリングまたは極異方性リングを用い
てロータ10を構成した場合、(Di/Do)=0.7
5〜0.85、Do=10〜100mm では射出成形
時の割れを回避できることがわかった。
【0056】(比較例3)前添加方式によるラジアル異
方性および極異方性フェライトリング磁石を用いたロー
タの比較例を以下に説明する純度99.0%超のSrC
3 、α−Fe2 3 、La2 3 、Co3 4 を用い
て、 (Sr1-x Lax )O・n[(Fe1-y Coy
2 3 ] x=0.15、n=5.9、y=x/2n で示される主成分組成に対応した組成に均一混合後、大
気中の1250℃で2時間仮焼した。仮焼粉を粗砕、粗
粉砕後、アトライタで湿式微粉砕して平均粒径が約0.
8μmの微粉砕粉を得た。以降は実施例1と同様にして
前添加方式によるラジアルリングおよび極異方性リング
を作製した、これらのDo、Di,厚み,(Di/D
o)を測定した結果を表1に示す。
【0057】次に、作製した前添加方式のラジアルリン
グおよび極異方性リングを各々用いた以外は実施例1と
同様にしてロータ10を構成し、Boを測定した。測定
結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1より、後添加方式による実施例1のラ
ジアルリングを用いたロータのBoは、前添加方式によ
る比較例3のラジアルリングを用いたロータのBoに比
べて約3%高いことがわかる。また、後添加方式による
実施例1の極異方性リングを用いたロータのBoは、前
添加方式による比較例3の極異方性リングを用いたロー
タのBoに比べて約4%高いことがわかる。
【0060】次に、前/後添加方式による実施例2のラ
ジアルリングを用いたロータのBoは、前添加方式によ
る比較例3のラジアルリングを用いたロータのBoに比
べて約1.5%高いことがわかる。また、前/後添加方
式による実施例2の極異方性リングを用いたロータのB
oは、前添加方式による比較例3の極異方性リングを用
いたロータのBoに比べて約2%高いことがわかる。し
たがって、実施例1、2のロータは比較例3のロータに
比べてBoが高い分、高効率の回転機用ロータ10を構
成することができる。
【0061】次に、実施例1、2および比較例3の同一
寸法のラジアルリングを各々用いて、図3に示すよう
に、中心にシャフト15(回転軸)を設けた強磁性の回
転子コア13の外周側に異方性フェライトリング磁石1
1を接着したロータ20を構成し、Boを測定した。
【0062】その結果、実施例1のラジアルリングを用
いた場合のBoを100%として、実施例2のラジアル
リングを用いた場合のBoは98.8%、比較例3のラ
ジアルリングを用いた場合のBoは97.4%だった。
【0063】次に、実施例1、2および比較例3の同一
寸法の極異方性リングを各々用いてロータ20を構成
し、Boを測定した、その結果、実施例1の極異方性リ
ングを用いた場合のBoが最も高く、実施例2の極異方
性リングを用いた場合のBoが次に高く、比較例3の極
異方性リングを用いた場合のBoが最も低かった。
【0064】よって、実施例1、2のラジアルリングま
たは極異方性リングを用いた場合、比較例3のラジアル
リングまたは極異方性リングを用いた場合に比べてBo
が高い分、高効率の回転機用ロータ20を構成すること
ができる。
【0065】実施例1のラジアルリングから所定サイズ
の試料を切り出した後、c面が表面(表面が異方性付与
方向に略垂直)になるように外径25mm、厚み20m
mの円盤状に形成したアクリル樹脂中に埋め込み、表面
(c面)をラップ研磨後、さらにアルミナ粉末を用いて
鏡面研磨した。その後、結晶粒界を露呈するために塩酸
でエッチング後、水洗浄し、乾燥して試料とした。次に
試料を電子線プローブマイクロアナライザ(JEOL:
日本電子製のEPMA、JXA−8900R型)にセッ
トし、c面の代表的な断面組織写真を撮影した。
【0066】実施例1のラジアルリングの断面写真を図
4に示す。また図4とほぼ同一視野におけるLa、C
o、Fe、Srの相対濃度分布を測定するためにEPM
Aにより下記の条件で面分析を行った。
【0067】分光結晶は、LaおよびCoでは高感度型
フッ化リチウム(LiF)を、Srではペンタエリスリ
トール(PET、C(CH2 OH)4 )を、Feではフ
ッ化リチウム(LiF)を用いた。検出器はキセノン封
入型を用いた。倍率5000倍、加速電圧15kV、照
射電流:0.3μA、プローブ径:約2μm、画素(面
分析範囲の基本単位)サイズ:縦0.04μm×横0.
04μmの矩形、1画素あたりの計数時間30msec、計
測画素数:縦(X)方向および横(Y)方向がともに4
00画素である。面分析結果を図5に示す。
【0068】図5の右側に、各元素のLevel 、各Level
のArea%を示す。EPMAにより実施例1のラジアルリ
ングのc面をLa、Co、Fe、Srについて各々面分
析したとき、各検出器からLa、Co、Fe、Srの各
計数値が出力される。この出力を調整した最大値(Leve
l,max) および最小値(Level,min) ならびに(Level,max)
と (Level,min)とを等間隔で16分割したものが各元
素の Levelである。画素に対する各Level の画素の占め
る面積比率がArea%である。
【0069】本発明ではLa、Co、Fe、Srの各々
において、Level の最大値(Level,max )と最小値(Le
vel,min )とから求めた中間値:( Level,max+ Leve
l,min)/2よりもLevel の高い部分を高濃度領域と
し、かつ前記中間値以下のLevelの部分を低濃度領域と
定義する。この定義により、図5において、Laの低濃
度領域はLevel が36.5以下の部分であり、Coの低
濃度領域は Levelが82.5以下の部分である。よっ
て、図5において、直径0.5μm以上の円よりも大き
いLaおよびCoの低濃度領域が複数箇所存在すること
がわかる。
【0070】なお、図4のSEMによる断面写真には試
料作製時に導入された脱落部が認められるが、本発明者
らは脱落部の影響を考慮して面分析結果を解析した。
【0071】比較例3のラジアルリングから所定サイズ
の試料を切り出した後、以降は実施例1のラジアルリン
グの場合と同様にしてc面の断面組織写真の撮影および
面分析を行った。断面写真を図6に示す。また、図6と
ほぼ同一視野におけるLa、Co、Fe、Srの相対濃
度分布を図7に示す。
【0072】図7より、比較例3の前添加方式によるラ
ジアルリングはLa、Co、Fe、Srがほぼ均一に分
布していることがわかる。
【0073】実施例2の前/後添加方式によるラジアル
リングから所定サイズの試料を切り出した後、以降は実
施例1のラジアルリングの場合と同様にしてc面の断面
組織写真の撮影および面分析を行った。その結果、図5
とほぼ同様に、直径0.5μm以上の円よりも大きいL
aおよびCoの低濃度領域が複数箇所存在することが確
認された。
【0074】実施例1、2および比較例3の極異方性リ
ングについても前記ラジアルリングと同様の面分析を行
った、その結果、実施例1、2の極異方性リングは実施
例1、2のラジアルリングとほぼ同様に、LaおよびC
o濃度の不均一なミクロ組織になっていた。また、比較
例3の極異方性リングは比較例3のラジアルリングと同
様にLaおよびCo濃度のほぼ均一なミクロ組織になっ
ていた。
【0075】実施例1、比較例3で作製したラジアルリ
ングおよび極異方性リングから、各々約3mm×3mm
×3mm(磁化方向)の立方体形状に切り出した試料を
準備した。次に振動試料型磁力計(東栄工業(株)製、
VSM−3型)に各試料を順次セットし、500℃まで
加熱後、2〜5℃/min.の降温速度で冷却しつつ磁
化M(emu/g )−温度T(℃)曲線を描いた。
【0076】実施例1のラジアルリングの磁化−温度曲
線を図8の下側に、図8の上側にはその(dM/dT)
−温度T曲線をとっている。図8より、実施例1のラジ
アルリングは磁化Mの温度Tに対する変化率(dM/ d
T)−T曲線が2つの極小点および1つの極大点を有す
ることがわかる。
【0077】図8に例示するように、極小点P、Rおよ
び極大点Qに対応する磁化−温度曲線の接点P’、
Q’、R’から磁化−温度曲線の接線L1、L2、L3
を引いたとき、接線L1とL2との交点S2の温度を第
2キュリー点(Tc2)、接線L3と磁化=0の横軸
(温度T軸)との交点S1を第1キュリー点(Tc1)
と定義する。この定義によれば、実施例1のラジアルリ
ングは2つのTc(高温側:Tc1、低温側:Tc2)
を有しており、Tc1=453℃およびTc2=441
℃になった。
【0078】比較例3のラジアルリングの磁化−温度曲
線を図9の下側に、図9の上側にはその(dM/dT)
−温度T曲線をとっている。図9より、比較例3のラジ
アルリングの(dM/ dT)−T曲線が1つの極小点の
みを有することがわかる。この極小点に対応する磁化−
温度曲線の位置を接点として磁化−温度曲線に接線を引
いて、接線と温度T軸との交点を読取り、キュリー点
(Tc)を求めた。Tc=443℃だった。
【0079】次に、実施例2のラジアルリング、実施例
1、2の極異方性リングについても、各々、同様にして
磁化−温度曲線を描き評価した、その結果、各実施例の
異方性リングはいずれも2つのキュリー点および(dM
/dT)−T曲線における2つの極小値と1つの極大値
を有することが確認された。
【0080】これに対し、比較例3の極異方性リングで
は、1つのキュリー点および(dM/dT)−T曲線に
おける1つの極小値のみを持つことが確認された。
【0081】本発明に用いるラジアルリングまたは極異
方性リングは付与された異方性が単純な平行配向による
ものではないので厳密に減磁曲線の良否を議論すること
が困難である。しかし、本発明のロータのBoが高いの
は後添加方式または前/後添加方式による異方性フェラ
イトリング磁石のBr、Hk/iHcが高いことによる
と判断される。
【0082】図10は成形体の配向度がほぼ飽和する1
0kOeの平行磁界を印加して湿式圧縮成形後、焼結し
て得られた後添加方式(実線)および前添加方式(点
線)による代表的なフェライト磁石の20℃、−40℃
における減磁曲線である。両者の減磁曲線の比較から、
後添加方式(実線)の方が前添加方式(点線)に比べて
iHcがやや低下するがHk/iHc、Brが向上して
いる。
【0083】この傾向は上記実施例のように、割れを抑
えるために配向磁界強度を抑えて作製した後添加方式と
前添加方式の異方性フェライトリング磁石との間にも成
立することが推察され、本発明のロータのBoが高くな
っているものと判断する。この傾向は割れを抑えるため
に配向磁界強度を抑えて作製した前/後添加方式の異方
性フェライトリング磁石と前添加方式のものとの間にも
成立すると判断される。
【0084】上記実施例ではラジアルリングまたは極異
方性リングの場合を記載したが、径2極の異方性フェラ
イトリング磁石においても同様の効果が期待される。
【0085】上記実施例ではRがLa必須の場合を記載
した。本発明はこれに限定されず、異方性フェライトリ
ング磁石を具備するロータであって、前記異方性フェラ
イトリング磁石は、 (A1-x R’x )O・n[(Fe1-y Coy 2 3
(原子比率) (ただし、AはSrおよび/またはBaであり、R’は
Yを含む希土類元素の少なくとも1種でありNdを必ず
含む、x、yおよびnはそれぞれ下記条件: 0.01≦x≦0.4,[x/(2.6n)]≦y≦
[x/(1.6n)],および5.0≦n≦6.4 を満たす数字である。)により表される主成分組成およ
び実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有し、か
つ磁化M(単位emu/g)−温度T(単位℃)曲線に
おいて複数のキュリー点(Tc)および微分値(dM/
dT)の極小値を有するロータとした場合に、従来に比
べて高効率の回転機を構成可能である。
【0086】あるいは、異方性フェライトリング磁石を
具備するロータであって、前記異方性フェライトリング
磁石は、 (A1-x R’x )O・n[(Fe1-y Coy 2 3
(原子比率) (ただし、AはSrおよび/またはBaであり、R’は
Yを含む希土類元素の少なくとも1種でありNdを必ず
含む、x、yおよびnはそれぞれ下記条件: 0.01≦x≦0.4,[x/(2.6n)]≦y≦
[x/(1.6n)],および5.0≦n≦6.4 を満たす数字である。)により表される主成分組成およ
び実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有すると
ともに、EPMAにより前記異方性フェライトリング磁
石のc面をLaまたはCoについて面分析し、計数され
たLaまたはCo Levelの最大値(Level,max )と最小
値(Level,min )とから求めた中間値:( Level,max+
Level,min)/2よりもLaまたはCo Levelの高い部
分を高濃度領域とし、かつ前記中間値以下のLaまたは
Co Levelの部分を低濃度領域と定義したとき、Laま
たはCoの低濃度領域が少なくとも直径0.5μmの円
が入る範囲で存在するロータとした場合に、従来に比べ
て高効率の回転機を構成可能である。
【0087】回転機の効率を高めるために、R’に締め
るNdの比率は全含有量の50原子%以上がよく、理想
的には不可避不純物を除いてR’=Ndからなるのがよ
い。
【0088】
【発明の効果】以上記述の通り、本発明によれば、従来
の異方性フェライトリング磁石を用いたロータに比べ
て、高いBoを有する高効率の回転機用ロータを提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロータの一例を示す斜視図である。
【図2】射出成形直後のロータの一例を示す斜視図であ
る。
【図3】本発明の他のロータを示す要部断面図である。
【図4】本発明に用いるラジアルリングの断面組織の一
例を示す図である。
【図5】図4に対応するLa、Co、Fe、Srの相対
濃度分布の一例を示す図である。
【図6】比較例のラジアルリングの断面組織を示す図で
ある。
【図7】図6に対応するLa、Co、Fe、Srの相対
濃度分布の一例を示す図である。
【図8】本発明に用いるラジアルリングの代表的な磁化
−温度曲線および(dM/dT)−温度曲線を示す図で
ある。
【図9】比較例のラジアルリングの磁化−温度曲線およ
び(dM/dT)−温度曲線を示す図である。
【図10】10kOeの平行磁界中で成形し、焼結した
異方性フェライト磁石の減磁曲線の一例を示す図であ
る。
【符合の説明】
1 ラジアルリング 1’ 極異方性リング 5 シャフト 6 射出成形部材 6a 射出成形部材 6b 射出成形部材 6c 射出成形部材 6d 射出成形部材 8 ゲート 9 ランナー 10 ロータ 10’ロータ 11 異方性フェライトリング磁石 13 回転子コア 15 シャフト 20 ロータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平井 信之 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社熊谷工場内 (72)発明者 緒方 安伸 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 久保田 裕 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社磁性材料研究所内 (72)発明者 高見 崇 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地 日立金属株 式会社磁性材料研究所内 Fターム(参考) 5E040 AB04 AB09 BD01 CA01 NN02 NN06 NN15 5H622 AA03 CA01 CA05 DD01 PP03 PP16 PP17 PP18 PP20 QA06 QB05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異方性フェライトリング磁石を具備する
    ロータであって、 前記異方性フェライトリング磁石は、 (A1-x x )O・n[(Fe1-y Coy 2 3
    (原子比率) (ただし、AはSrおよび/またはBaであり、RはY
    を含む希土類元素の少なくとも1種でありLaを必ず含
    む、x、yおよびnはそれぞれ下記条件: 0.01≦x≦0.4,[x/(2.6n)]≦y≦
    [x/(1.6n)],および5.0≦n≦6.4 を満たす数字である。)により表される主成分組成およ
    び実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有し、か
    つ磁化M(単位emu/g)−温度T(単位℃)曲線に
    おいて複数のキュリー点(Tc)および微分値(dM/
    dT)の極小値を有することを特徴とするロータ。
  2. 【請求項2】 前記異方性フェライトリング磁石はラジ
    アル異方性または極異方性を有しており、かつ内径(D
    i)と外径(Do)との比率(Di/Do)が、0.7
    5≦Di/Do≦0.85である請求項1に記載のロー
    タ。
  3. 【請求項3】 異方性フェライトリング磁石を具備する
    ロータであって、 前記異方性フェライトリング磁石は、 (A1-x x )O・n[(Fe1-y Coy 2 3
    (原子比率) (ただし、AはSrおよび/またはBaであり、RはY
    を含む希土類元素の少なくとも1種でありLaを必ず含
    む、x、yおよびnはそれぞれ下記条件: 0.01≦x≦0.4,[x/(2.6n)]≦y≦
    [x/(1.6n)],および5.0≦n≦6.4 を満たす数字である。)により表される主成分組成およ
    び実質的にマグネトプランバイト型結晶構造を有すると
    ともに、 EPMAにより前記異方性フェライトリング磁石のc面
    をLaまたはCoについて面分析し、計数されたLaま
    たはCo Levelの最大値(Level,max )と最小値(Leve
    l,min )とから求めた中間値:( Level,max+ Level,m
    in)/2よりもLaまたはCo Levelの高い部分を高濃
    度領域とし、かつ前記中間値以下のLaまたはCo Lev
    elの部分を低濃度領域と定義したとき、LaまたはCo
    の低濃度領域が少なくとも直径0.5μmの円が入る範
    囲で存在することを特徴とするロータ。
  4. 【請求項4】 前記異方性フェライトリング磁石はラジ
    アル異方性または極異方性を有しており、かつ内径(D
    i)と外径(Do)との比率(Di/Do)が、0.7
    5≦Di/Do≦0.85である請求項3に記載のロー
    タ。
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