以下、本発明に係る遊技機の好適な実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
(遊技機概要)
図1は、本実施形態に係る遊技機の前面パネルを示す図である。遊技機1は、スロットマシンタイプであって遊技媒体として遊技球を使用する所謂パロットと呼ばれる装置である。所定の賭率が選択されると、選択された賭率の単位に応じた球数の遊技球を取り込んで遊技を開始させ、遊技結果に応じた球数の遊技球を払い出す。遊技においては、各種図柄を表面に連続的に付した複数のドラムが回転し、ドラムの停止により表れた図柄の組み合わせに応じて所定数の遊技球が払い出される。
遊技機1は、遊技ホールの島設備に取り付け固定される外枠2と、中枠3及び前枠4で筐体が構成されている。外枠2には、一方の側縁部にヒンジ部12が設けられている。中枠3は、外枠2の前面側に位置し、ヒンジ部12に枢支されて開閉可能となっている。前枠4は、中枠3の前面側に位置し、ヒンジ部12に枢支されて開閉可能となっている。中枠3と前枠4には、枢支端と反対側の側縁部に施錠装置17が設けられている。中枠3と前枠4は、施錠装置17による施錠固定により外枠2に対して一体開閉し得る構成となっている。
前枠4には、表面に演出部5及び遊技状態表示部6が配設されている。演出部5は、液晶ディスプレイ、LEDランプ、及びスピーカを含み構成され、液晶ディスプレイの表示やLEDランプの点滅やスピーカから出力される音によって遊技を演出する。遊技状態表示部6は、LEDランプや7SEGを含み構成される。この遊技状態表示部6は、LEDランプや7SEGの点灯により、賭率や有効な組み合わせラインの表示、遊技球の払い出し数の表示、当たり図柄の表示、クレジットの表示等、遊技状態の表示をする。また、演出部5及び遊技状態表示部6は、遊技機1に詰まりや不具合や不正等による遊技球取込エラーが発生した場合に、そのエラーを報知する。
尚、遊技状態表示部6は、クレジット表示等の常時表示すべき情報を表示する表示部分と、適宜状況に応じて情報を表示する表示部分とに大別して配置され、エラーの表示は、適宜状況に応じて情報を表示する表示部分に表示することが望ましい。
前枠4の前面中央には、窓部13が設けられている。窓部13は、中枠3に設置されて前枠4の裏面に臨む可変表示装置を覆い、可変表示装置を視認可能としている。可変表示装置は、表面に各種図柄を連続的に付して並べられた複数のドラムを有する。
窓部13の下方位置には、球受け皿15が配設されている。球受け皿15は、前枠4から遊技機1の外部前方へ膨出したカバー部材150によってその外形が構成されている。この球受け皿15は、入賞により払い出された遊技球を貯留すると共に、この貯留した遊技球を前枠4の裏面に設けた遊技球取込装置50(図3参照)へ供給する。
球受け皿15の下方位置には、下皿16が配設されている。下皿16は、球受け皿15からオーバーフローした遊技球を貯留する。
カバー部材150の上面及び前面には操作部14が設置されている。操作部14には、その前面にレバー141、ストップボタン142及び精算ボタン145が配されている。上面には、BETボタン143a、MAX BETボタン143b、及び切替ボタン144が配されている。
レバー141は、操作部14の左側に配されている。ストップボタン142,142,142は、レバー141の右側に各ドラムと対応して並べられている。精算ボタン145は、ストップボタン142の右側に配されている。BETボタン143a及びMAX BETボタン143bは、レバー141の上方に配されている。切替ボタン144は、精算ボタン145の上方に配されている。
レバー141は、図柄組み合わせゲームにおける可変表示を開始させるために操作される始動操作手段を構成し、押下操作によって各ドラムを一斉に回転開始させる。ストップボタン142,142,142は、押下操作によって回転中の各ドラムを個別に停止させるため停止操作手段を構成する。
BETボタン143aは、遊技球を投入するための入力手段を構成し、押下操作の回数に応じた賭率の単位に相当する球数の遊技球を投入させる。また、MAX BETボタン143bは、一度の押下操作で賭率の全単位に相当する球数の遊技球を投入させる。
切替ボタン144は、既に取り込まれて貯留記憶された状態となっている遊技球や、所定条件成立の結果、遊技者に払い出される遊技球の取扱形式を変更するために取扱形式変更操作手段を構成する。この取扱形式の変更とは、例えば、払い出される遊技球の取り扱いを現実の遊技球として後述する下皿16から排出させるのか、又は仮想遊技球として遊技機の制御部7に貯留記憶させるのかを変更することを意味する。
精算ボタン145は、球受け皿15に貯留されている遊技球を下皿16に排出させる排出操作手段を構成する。すなわち、遊技者が遊技を終了して球受け皿15に貯留されている遊技球を取り出そうとした場合に、当該精算ボタン145が押下操作されることで、球受け皿15内の遊技球が下皿16に排出される。これに加え、精算ボタン145は、BETボタン143aの押下操作により一旦取り込まれた遊技球や、前述した貯留記憶された遊技球を払い出す機能をも具備する。
図2は、前枠4の裏面を示す図である。球受け皿15は、前枠4の裏面から前面へ突出するように嵌め込まれる。球受け皿15の後面は、ステー20によって前面に押し出されるように付勢されている。ステー20は、前枠4の両側縁に沿って設置された金属製の第1の補強部材21及び第2の補強部材22に架設されている。
尚、第1の補強部材21は、ヒンジ部12が取り付けられている。第2の補強部材22には、施錠装置17が取り付けられている。
この前枠4の裏面には、球受け皿15を含み、遊技球が流通する経路が収容されている。前枠4には、球受け皿15の片側上方に、前枠4の裏面から前面へ連通する排出口23が貫穿されている。遊技結果に応じて払い出された遊技球は、前枠4の裏面を通り、排出口23を通って前面に突出した球受け皿15に貯留される。
球受け皿15は、皿底面が排出口23側を上端として反対方向へ傾斜している。傾斜下端に待ちかまえる壁面には、前枠4の裏面側に残る壁部分に、球受け皿15の皿面から外面へ連通する図示しない取込口が貫穿されている。前枠4の裏面側に球受け皿15に貯留される遊技球は、傾斜を流転して取込口を通り、前枠4の裏面へ流入する。
前枠4には、遊技球取込装置50が取り付けられている。ステー20の下方に球受け皿15の後面に臨み、かつ取込口に装置側面を対向させて取り付けられる。装置内部と球受け皿15は、取込口を介して連通している。この遊技球取込装置50は、球受け皿15の取込口を通り流入した遊技球を一時待機させ、BETボタン143a又はMAX BETボタン143bの押下に対応して賭率の単位に相当する遊技球を取り込む装置である。
遊技球取込装置50の下方には、取り込んだ遊技球の球供給排出機構への流出経路を形成する機構側流出経路24が配置される。遊技球取込装置50に取り込まれた遊技球は、遊技球取込装置50に形成される出口25から流出して機構側流出経路24に流入し、下方の出口26から遊技機1外部の球供給排出機構へ向けて流出する。
(遊技球取込装置)
図3は、遊技球取込装置50の外観を示す図である。図3に示すように、遊技球取込装置50は、遊技機1の幅方向に長いケース51で覆われている。ケース51は、球受け皿15の裏面に臨む取付面51aに沿って前後方向に割れる前後ケースを合わせて構成される。
ケース51の取付面51aには、前枠4に設置された精算ボタン145の裏面に対向する長形孔51dが内部へ貫通して設けられている。長形孔51dからは、内部に収容されている球抜きレバー52が突出する。長形孔51dは、球抜きレバー52の突出位置下方に余分の空隙を有し、球抜きレバー52の押し下げが可能に開口している。精算ボタン145の裏面と球抜きレバー52は、直接又は伝達部材を介して間接的に対向接触している。遊技者による精算ボタン145の押下によって球抜きレバー52が押し下げられて、球受け皿15に貯留されている遊技球が遊技球取込装置50を介して球抜きされる。
ケース51の上面51bには、上面51bの長辺方向に長い矩形のコネクタ差込口53が貫設されている。コネクタ差込口53は、上面51bの長辺方向一端側に偏って貫穿されている。遊技球取込装置50の制御部7(図13参照)や図示しない電源装置から延びるケーブルは、このコネクタ差込口53に差し込まれて、内部のコネクタ61と接続する。このコネクタ61を介して、遊技球取込装置50へ駆動電力及び制御信号が供給され、また遊技球取込装置50からの各種検知信号が取り出される。
尚、コネクタ差込口53が偏って貫穿されているのは、後述する遊技球取込装置50の内部構造に起因してコネクタ61を他の内部構成と遊技球取込装置50の長辺方向に並列させることが可能となったためである。
ケース51の取付面51aと上面51bとに直交する一方の側面51cには、球受け皿15の取込口と連通し、遊技球を遊技球取込装置50の内部へ流入させる流入口54が貫穿されている。流入口54は、幅及び高さが遊技球の直径より若干大きく開けられており、この流入口54を通じて遊技球が遊技球取込装置50に流入し、1球ずつ又は所定単位数ずつ取り込まれて遊技開始が許可される。
(遊技球取込装置の内部構成)
図4乃至7は、遊技球取込装置50の内部構成を示す図である。図4は、取付面51a側から観た遊技球取込装置50の内部構成斜視図である。図5は、取付面51aの反対側の面から観た遊技球取込装置50の内部構成斜視図である。図6は、遊技球取込装置50の側面51cとは反対の面から観た断面図である。図7は、遊技球取込装置50の分解斜視図である。尚、各図においては説明の都合上部分的に構成を省いている所がある。
(遊技球取込装置の基本構成)
図4乃至7に示すように、遊技球取込装置50は、遊技球を待機させる待機路55と、待機路55に待機する遊技球の投入作動をする複数の投入機構56(56−1,56−2,56−3)と、投入された遊技球を取り込む取込樋57とを基本的な内部構成とする。
(待機路構成)
待機路55は、帯状の通路であり、流入口54から延設される。取込樋57は、遊技球の滑り台であり、待機路55の一長辺からその直交する方向へ延び、待機路55の全長に亘る幅を有する。投入機構56は、待機路55と取込樋57の上方に位置し、鞘部材56a、ヒンジ部56b、シャフト56c、ラッチングソレノイド56d、プランジャ56f、及び伝達アーム56gで構成される。
待機路55は、遊技球取込装置50に流入してきた遊技球が列状に待機する路面である。待機路55は、流入口54を上端とする傾斜を有し、遊技球が反対側の下端に向けて流転可能となっている。待機路55の全長は、少なくとも賭率の全単位に相当する遊技球が並ぶ長さを有する。待機路55の幅は、遊技球の半径よりも若干長い程度であり、待機路55には遊技球が一列に並ぶ。例えば、賭率の最低単位が5球、賭率の全単位が15球であれば、待機路55の全長は、少なくとも15球の遊技球が一列に並ぶ。
待機路55の幅方向設置位置は、遊技球の直径よりも若干大きく開く流入口54の開口底辺一端から底辺中心よりも若干底辺他端寄りの範囲に設定され、その他の範囲は、全長に亘って切り落とされている。即ち、待機路55の面幅は、遊技球が待機面に載置し得る最低幅となり、遊技球は、待機面の切り落とし側の縁付近を接点として切り落とし側にはみ出して載置される。この待機路55の幅設定により、遊技球取込装置50の奥行き方向Aにおける省スペース性が達成されている。
(取込樋構成)
取込樋57は、待機路55から遊技球を取り込み流下させる流下面57aである。待機路55の切り落とし側に設置され、待機路55の長辺と直交する方向へ延設されている。この取込樋57は、待機路55の長辺に沿って拡がる開口部57bを有し、待機路55と切り落とし側で連接している。開口部57bの拡がり範囲は、待機路55に待機する賭率の全単位に相当する遊技球が並ぶ範囲に亘る。
流下面57aは、その開口部57bの幅が維持されたまま延びている。賭率の全単位が15球であれば、流下面57aは15球の遊技球が並ぶ幅を有する。即ち、待機路55に待機している賭率の全単位に相当する遊技球が同時に取込樋57に投入されても、それら遊技球が互いに流下方向を可変させるような干渉をすることなく同時に流下面57aを流下可能としている。
また流下面57aは、待機路55の下方へ直立し、なだらかな円弧状のカーブを描き湾曲している。流下面57aの側縁には遊技球の脱落を防止する障壁57cが立設されている。
この流下面57aには、複数の区画壁57dが等間隔で立設している。各区画壁57dは、待機路55に待機する各遊技球間に合わせて立設し、流下面57aの延び方向に沿って延設される。開口部57bを始端とし、終端は少なくとも後述する投入球検知手段63の配設位置まで延びる。
この区画壁57dの幅方向断面は、三角形あるいは半円等の山型形状を有し、接し合う遊技球とこれら遊技球の載置面とで画成される空隙に収まる幅及び高さを有する。区画壁57dの開口部57b側端面には、切欠57eが設けられている。切欠57eは、流下面57aの流下方向に向けて迎角をなすように切り欠かれている。
流下面57aは、各区画壁57dの立設により帯状に複数に区画され、区画壁57d間に取込流路57fが形成される。各取込流路57fは、区画壁57dの立設によって、待機する遊技球と一対一で対応して形成され、対応する遊技球が待機する位置から取込樋57の延び方向へ延びる。
(投入機構構成)
投入機構56は、複数配置され、本実施形態において第1の投入機構56−1、第2の投入機構56−2、第3の投入機構56−3が設置される。各投入機構56は、待機路55及び取込樋57の上方に待機路55の長辺方向に並んで設置される。遊技球取込装置50を側面から観た場合、待機路55の切り落とし側とは反対の端から取込樋57の延び終端までの領域に各投入機構56が収まって設置され、遊技球取込装置50の奥行き方向Aの省スペース性を達成している。この配置関係は、後述するラッチングソレノイド56dが取込樋57の上方に配置されることで初めて達成される。
これら投入機構56は、それぞれ投入手段たる鞘部材56aを有する。各鞘部材56aは、待機路55に面して長辺方向に並び、待機路55の長辺に沿って所定範囲に拡がり延設される。また、この鞘部材56aは、待機路55の長辺方向から観た断面(待機路55の幅方向に切った断面)において、待機路55の幅方向両側及び上方から当該待機路55上の空間を覆う形状を有する。即ち、待機路55と対向する側のみが開放されている形状を有する。尚、待機路55と鞘部材56aとの間には、鞘部材56aが待機路55上を回動可能な程度の空隙が設けられている。
本実施形態の鞘部材56aは、待機路55の幅方向断面において、半円のアーチ形状を採用する。その他、待機路55に向けて開口する3角形状や四角形状等の多角形状であってもよい。
鞘部材56aは、待機路55上に中空支持されている。鞘部材56aの上方には、鞘部材56aの長辺方向と平行にシャフト56cが固定されている。鞘部材56aのアーチ外周面には、ヒンジ部56bが一体形成されて上方に突出している。シャフト56cは、ヒンジ部56bに貫通して延びている。鞘部材56aは、このシャフト56cによってヒンジ部56bを介して中空に支持される。
シャフト56cに支持された鞘部材56aは、シャフト56cを回動軸として回動可能となっている。鞘部材56aが待機路55を上方から覆う位置に静止している状態では、鞘部材56aと待機路55の待機面とで囲まれる包絡線空間に遊技球が流入可能となっている。鞘部材56aが規制上限まで回動して待機路55から最も離れた状態では、鞘部材56aの一部分が待機路55上に残存し、遊技球流入が阻止される。
尚、シャフト56cは、遊技球取込装置50の固定部分に支持されており、各投入機構56−1,56−2,56−3に共通となっている。
投入機構56は、鞘部材56aの回動動力源として、ラッチングソレノイド56dを有する。ラッチングソレノイド56dは、取込樋57の上方に設置されている。取込樋57の上方には、待機路55の待機面と平行に板金56eが設置されている。板金56eは、待機路55の傾斜最下端側に偏って設置されている。ラッチングソレノイド56dは、この板金56e上に載置され、プランジャ56fを待機路55の幅方向と平行に向けている。各投入機構56−1,56−2,56−3のラッチングソレノイド56dは、共通の板金56e上に載置される。ラッチングソレノイド56dが取込樋57の上方に配置されることで、投入機構56が待機路55及び取込樋57と奥行き方向Aへ並列することがなくなり、遊技球取込装置50の奥行き方向Aの省スペース性を達成することができる。
ヒンジ部56bには、伝達アーム56gが立設される。伝達アーム56gは、ヒンジ部56bと一体形成されている。伝達アーム56gの先端とプランジャ56fの先端はリンクして関節となっており、プランジャ56fの突出又は吸引に連動して伝達アーム56gが押し又は引きされるようになっている。
投入機構56では、ラッチングソレノイド56dによるプランジャ56fの突出作動によってプランジャ56fが外部に突出移動すると、伝達アーム56gの先端が取込樋57とは反対の方向へ押し出される。伴って、シャフト56cを挟んで伝達アーム56gの先端と相対する鞘部材56aは、シャフト56cを回動軸としてラッチングソレノイド56dの方向へ開口を向けるように回動する。ラッチングソレノイド56dは取込樋57の直上に載置されるため、換言すると、鞘部材56aは、取込樋57の方向へ開口を向けるように回動する。投入機構56全体からみれば、鞘部材56aは、内部へ引き込まれるように回動する。
投入機構56のうち、第1の投入機構56−1は、待機路55の最下端に設置される。第1の投入機構56−1の鞘部材56aは、最下端に待機する単一の遊技球をカバーする範囲に拡がるようにその長辺の長さが設定されている。
第2の投入機構56−2は、第1の投入機構56−1に隣接して上流側に設置されている。第2の投入機構56−2の鞘部材56aは、最下端に待機する単一の遊技球の一つ上流に待機する遊技球からさらに上流にカバーする範囲に中空支持される。その長辺の長さは、賭率の一単位に相当する球数より1球少ない球数の遊技球をカバーする範囲に拡がるように設定されている。賭率の一単位が5球であれば、最下端に待機する単一の遊技球の一つ上流に待機する遊技球から4球分をカバーする。
第3の投入機構56−3は、第2の投入機構56−2に隣接して上流側に設置されている。第3の投入機構56−3の鞘部材56aは、第2の投入機構がカバーする遊技球の一つ上流に待機する遊技球からさらに上流にカバーする範囲に中空支持される。その長辺の長さは、賭率の全単位に相当する球数から賭率の一単位に相当する球数を減じた球数の遊技球をカバーする範囲に拡がるように設定されている。賭率の全単位が15球、賭率の一単位が5球であれば、第2の投入機構56−2のカバーする遊技球の一つ上流に待機する遊技球から10球分をカバーする。
この第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2は、同時に1回投入作動することにより賭率の一単位を取込樋57に投入する。また、全投入機構56−1,56−2,56−3が同時に1回投入作動することにより賭率の全単位を取込樋57に投入する。さらに第1の投入機構56−1のみが1回又は複数回作動することにより、最初の投入作動により取り込むことのできなかった不足球を取込樋57に投入する。
尚、第3の投入機構56−3が有するヒンジ部56bは、第3の投入機構56−3が有する鞘部材56aの長辺に対して、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2側に偏って設置されている。伴って、第3の投入機構56−3のラッチングソレノイド56dは、第3の投入機構56−3のヒンジ部56bに対応して、第3の投入機構56−3が有する鞘部材56aの長辺に対して、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2側に偏って設置されている。コネクタ61を待機路55と取込樋57の占有領域内に配設し、遊技球取込装置50の奥行き方向Aの省スペース化を実現するためである。
第3の投入機構56−3の鞘部材56aには、ヒンジ部56bと対称位置にヒンジ部56jが突出している。ヒンジ部56jには、ヒンジ部56jと共通のシャフト56cが貫設されており、第3の投入機構56−3の鞘部材56aの一方側を支えるための軸受けとなる。ヒンジ部56bが偏ることによって生じる鞘部材56aの回動のがたつきやぐらつきを防止するためである。この回動機構によりシャフト56cによってヒンジ部56j側に均等の回動力を伝達することができる。
(遊技球取込装置の内部周辺構成)
このような基本構成を有する遊技球取込装置50には、遊技球の投入作動に係る各種センサや、これらセンサの検知信号を導出する信号線及び投入機構56を投入作動させるための制御信号を供給する信号線を配置する各構成を有する。
遊技球取込装置50は、取込樋57を側面から挟む1対の基板58a及び58bを収容する。基板58aは、取込樋57の裏面に臨み配置され、基板58bは、取込樋57の流下面57aに対向して配置される。基板58aと基板58bは、コネクタ60a及び60bで電気的に接続されている。基板58bには、制御部7や電源装置から延びる信号線をまとめた図示しないケーブルを接続するコネクタ61が配設されている。
コネクタ61は、第3の投入機構56−3のラッチングソレノイド56dの隣に確保されたスペースに配置される。第3の投入機構56−3のラッチングソレノイド56dを他のラッチングソレノイド56dに寄せて配置することを可能としたため、コネクタ61は当該位置に配設可能となる。これにより、コネクタ61は、待機路55及び取込樋57と直列に並ぶことがなく、遊技球取込装置50の省スペース化が達成されている。
尚、基板58bには、ラッチングソレノイド56dにパルスを供給するコネクタ64が配設されている。コネクタ64の配置位置は、ラッチングソレノイド56dの配置位置に対応する。
流下面57aと基板58bとの間には、中間フレーム62が介挿される。中間フレーム62は、基板58bと、投入機構56が載置されている板金56eと、シャフト56cとを支持する。流下面57aと同一の湾曲形状を有し、流下面57a上に遊技球の直径以上の空間を確保して覆っている。
この中間フレーム62は、コネクタ61と対向する位置にコネクタ収容部62aを有する。コネクタ収容部62aは、中間フレーム62の一部を基板58bの反対側へ膨出しており、窪みにコネクタ61を収容する。
中間フレーム62の上縁には、各ラッチングソレノイド56d間に突出するフランジ部62bが立設する。板金56eには、各ラッチングソレノイド56dの間に板金56eの縁から折り曲げられたフランジ部56hが立設しており、中間フレーム62のフランジ部62bと板金56eのフランジ部56hとを面で当接させてボルト等で固定することにより、板金56eが中間フレーム62上に支持される。
また、コネクタ収容部62a及びフランジ部62bの待機路55側の面には、待機路55直上まで突出するアーム62cが立設する。アーム62cの先端には、シャフト56cが挟持されて支持される。
(投入球検知手段)
この遊技球取込装置50には、投入された遊技球を検知する複数の投入球検知手段63(図13参照)が取り付けられている。この投入球検知手段63は、各取込流路57fに一つずつ配置されており、待機している遊技球と一対一で対応している。各投入機構56により投入された遊技球を検知する。即ち、本実施形態では、第1の投入機構56−1に対応して、第1の投入球検知手段63が第1の投入機構56−1により投入される遊技球を検知する。第2の投入機構56−2に対応して、第2乃至第5の投入球検知手段63が第2の投入機構56−2により投入される遊技球を検知する。第3の投入機構56−3に対応して、第6乃至第15の投入球検知手段63が第3の投入機構56−3により投入される遊技球を検知する。
各投入球検知手段63は、例えば光センサであり、発光部63a及び受光部63bを含み構成される。
発光部63aは、基板58a上に各取込流路57fに一対一対応で配置されている。また、受光部63bは、基板58b上に各取込流路57fに一対一対応で配置されている。各取込流路57fには、取込樋57を貫通する通孔57gが貫穿されており、各発光部63aは、対応する通孔57gに挿入されている。また、中間フレーム62には、各通孔57gと対向する位置に中間フレーム62を貫通する通孔62dが貫穿されており、各受光部63bは、対応する通孔62dに挿入されている。発光部63a及び受光部63bは、通孔57g及び通孔62dを介して対向して配置される。
発光部63aは、光を発光する。受光部63bは、光を受光すると光検知信号を出力する。投入球検知手段63は、受光部63bからの光検知信号が未出力であると、制御部7へ投入球検知信号を出力する。この光検知信号の未出力によって投入球検知信号を出力する回路は、基板58b上に設置される。取込樋57に遊技球が投入され、取込流路57fを遊技球が流下すると、発光部63aが発光する光が一時的に遮断され、受光部63bへ光が未到達となる。受光部63bは、光が未到達である期間は光検知信号を出力せず、投入球検知手段63は光検知信号の未出力を受けて投入球検知信号を制御部7へ出力する。
(作動検知手段)
また、投入機構56の各鞘部材56aには、突起が係止片56iとして突出形成されている。この係止片56iは、鞘部材56aのアーチ外周面から突出し、待機路55と鞘部材56aのアーチ内周面の裏側に位置する。基板58bには、係止片56iと一対一対応で対向してフォトセンサ65が配設されている。即ち、フォトセンサ65は、鞘部材56aのアーチ外周面側に配設され、鞘部材56aと待機路55で囲まれる空間の外側に存在する。フォトセンサ65は、物の近接を検知するセンサである。中間フレーム62のフォトセンサ65に対向する位置には、長形孔62eが貫穿されている。
この係止片56iとフォトセンサ65は、投入機構56の作動検知手段66(図13参照)となる。鞘部材56aが回動し、係止片56iの先端が長形孔62eに挿入されてフォトセンサ65に近接すると、フォトセンサ65は、対応する投入機構56が作動したことを示す作動検知信号を出力する。この作動検知信号の適切なタイミングでの出力により投入作動すべき投入機構56の適切なタイミングでの適切な作動が確認される。
(回動規制手段及び遊技球流入阻止手段)
長形孔62eは、鞘部材56aの回動範囲を規制する規制手段ともなる。長形孔62eは、係止片56iの挿入位置よりも上方に余分な空隙を有する。係止片56iが挿入されて鞘部材56aがさらに回動すると、長形孔62eの上端に係止片56iが当接し、それ以上の回動を阻止する。長形孔62eの全長は、係止片56iが上端に当接した際に、鞘部材56aの一部分が待機路55上に残存するように設定される。
待機路55上に鞘部材56aが残存することにより、投入作動中の鞘部材56aのアーチ内部に存する待機路55に遊技球が流入するのを阻止し、また鞘部材56aの裏側に遊技球が流入するのを阻止する。アーチ内への遊技球流入阻止により、投入すべき遊技球数よりも過剰に遊技球が投入されてしまうことを防止できる。また鞘部材56aのアーチ外、即ち鞘部材56aの裏側への遊技球流入阻止により鞘部材56aが待機路55上に戻らずに故障又は次回の取込作動不能になるのを防止できる。
(遊技球取込装置の取込動作)
図8乃至10は、この遊技球取込装置50の取込動作の一過程を示す図である。図8は、遊技球取込装置50に遊技球が流入している状態を示す図であり、取込樋57の反対側から観た斜視図である。図9は、遊技球取込装置50の遊技球の投入を示す図であり、待機路55の途中位置を長辺方向から観た断面図である。図10は、遊技球取込装置50の遊技球の投入後を示す図であり、取込樋57側から観た斜視図である。
図8に示すように、球受け皿15から流入口54を通って遊技球取込装置50に流入した遊技球は、待機路55の傾斜を流転し、最下端から順に前の遊技球に接触して待機路55上に一列に待機する。ここでは、遊技機1の賭率として一単位又は全単位を選択でき、一単位を5球、全単位を15球とする。遊技球取込装置50には、15球の遊技球が一列に並んで待機する。
投入機構56は、前回にパルスが供給されてラッチングソレノイド56dがプランジャ56fの吸引を維持している。各鞘部材56aは、開口である弦の部分を待機路55の待機面に対向させて待機路55上に静止している。待機路55の傾斜を流転した遊技球は、各鞘部材56aの包絡線空間内に収容される。第1の投入機構56−1の鞘部材56aには、最下端の単一遊技球が収容される。第2の投入機構56−2には、4球の遊技球が収容される。第3の投入機構56−3には、10球の遊技球が収容される。
遊技者がBETボタン143aを押下して例えば賭率の一単位が選択されたものとする。制御部7は、そのBETボタン143aの押下を受けて、賭率の一単位を投入させる第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dの投入作動開始の制御をする。具体的には、制御信号を電源装置に送出して、ケーブル、コネクタ61、及びコネクタ64を介して第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dにパルスを供給させる。
尚、電源装置は、制御部7の1回の制御信号に対して、間欠的に2度のパルスを供給する。1度目のパルス供給では、鞘部材56aの取込樋57へ向けた回動作動がなされ、2度目のパルス電圧供給では、鞘部材56aの待機路55上への戻り作動がなされる。
図9に示すように、1度目のパルスが供給された第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dは、プランジャ56fを外部へ突出させる。プランジャ56fは、取込樋57とは反対の側へ向けて待機路55の幅方向に突出する。プランジャ56fの突出より、プランジャ56fの先端にリンクしている伝達アーム56gの先端は、取込樋57の反対の側に向けて待機路55の幅方向に押し出される。伴って、鞘部材56aがシャフト56cを回動軸として、取込樋57の方向へ向けて待機路55の幅方向に回動する。取込樋57の方向へ回動する鞘部材56aは、内部に収容されている遊技球を待機路55から掻き込み、取込樋57の開口部57bへ放り出す。
鞘部材56aの回動中、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2の鞘部材56aに立設する係止片56iは、中間フレーム62に貫穿された長形孔62eに突入し、長形孔62eの上端に当接して鞘部材56aのそれ以上の回動を規制する。同時にこれら係止片56iは、対応するフォトセンサ65に近接し、各フォトセンサ65から作動検知信号が出力される。作動検知信号の出力により、制御部7は、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2の作動を確認する。
鞘部材56aの回動が規制された状態では、鞘部材56aのアーチ形状の一部分が待機路55上に残存する。投入されなかった遊技球は、投入作動している第2の投入機構56−2の鞘部材56aに阻まれて、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2の裏側及び鞘部材56aの内部への流入が阻止される。
投入作動後一定期間が経過すると、電源装置からは、ケーブル、コネクタ61、及びコネクタ64を介して2度目のパルスが第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dに対して供給される。第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dは、パルスを受けてプランジャ56fを吸引する。伴って鞘部材56aが待機路55上へ戻り、鞘部材56aの弦部分を待機路55に対向させて静止する。
鞘部材56aが待機路55上に戻ると、流入阻止をされていた遊技球の流入が解除され、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2の鞘部材56aの包絡線空間内に遊技球が流入して補充される。
図10に示すように、開口部57bへ放り出された遊技球は、区画壁57dにより流下方向がガイドされて対応する取込流路57fを流下する。区画壁57dの開口部57b側端面に切欠57eが形成されているため、遊技球投入時に区画壁57dの端面に遊技球が引掛かり球詰まりを起こすことは防止される。また、また区画壁57dの幅方向断面形状が接し合う遊技球とこれら遊技球の載置面とで画成される空隙に収まる幅及び高さを有する山型形状となっているため、待機路55に互いに接し合って並ぶ遊技球の間隔と取込流路57fの間隔を一致させることができ、区画壁57dによる投入阻害も起こらない。この切欠57eと区画壁57dの断面形状により取込樋への投入を確実なものとしている。
取込流路57fを流下する遊技球は、途中に設置されている投入球検知手段63を通過する。投入球検知手段63では、遊技球により発光部63aが発光する光の受光部63bへの到達を遮られ、投入球検知信号が出力される。最下端から5列分の取込流路57fに設置されている投入球検知手段63からのみ、投入球検知信号が出力されて制御部7に入力される。これにより、賭率の一単位に相当する遊技球が過不足なく取り込まれたことが確認され、遊技開始の許可がなされる。即ち、レバー141の操作待機の状態となる。
尚、賭率の一単位が選択されたことにより、制御部7によって投入作動開始の制御がされていない第3の投入機構56−3は、電源装置からパルスが送出されずに、鞘部材56aの開口面(アーチ部分を弧とした場合の弦の部分)を待機路55に対向させたまま静止状態を維持する。第3の投入機構56−3に対応する作動検知手段66は、第3の投入機構56−3の投入作動を検知せず、また第3の投入機構56−3に対応する各投入球検知手段63は、遊技球の投入を検知しない。
(遊技球取込装置の不足球取込動作)
図11及び12は、この本実施形態に係る遊技球取込装置50の動作の一過程を示す図であり、遊技球取込装置50に流入する遊技球が選択された単位の遊技球の球数を不足している場合を示す。図11は、単位数に満たない遊技球を取込樋57へ流下させた状態を示す図であり、取込樋57の流下面57a側から観た斜視図である。図12は、遊技球取込装置50が不足球補充作動をしている状態を示す斜視図である。
待機路55には、単位数に満たない遊技球数、例えば賭率の一単位である5球に満たない3球が待機しているものとする。この3球は、待機路55の最下端から順に待機している。
図11に示すように、BETボタン143aの押下により一単位の賭率が選択されると、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2の鞘部材56aが回動する。
第1の投入機構56−1は、鞘部材56aを回動させて最下端の単一球を取込樋57に投入する。第2の投入機構56−2は、鞘部材56aを回動させて包絡線空間に収容された2球の遊技球を取込樋57に投入する。
遊技球が取込樋57に投入されると、最下端から3列分の取込流路57fに配置された投入球検知手段63が取り込みを検知するが、その上流2列の取込流路57fに配置された投入球検知手段63は取り込みを検知せず、制御部7へ投入検知信号が出力されない。
制御部7は、上流2列に配置される投入球検知手段63から投入検知信号が出力されなかったことを受けて、第1の投入機構56−1がカバーする単一球の取込流路57fに配置された第1の投入球検知手段63から計2回の投入検知信号が出力されるまで、第1の投入機構56−1に投入作動及び戻し作動を1セットにした一対のパルスを間欠的に供給させる。
まず、不足球補充作動の前に、投入不足が発生した投入作動における戻し作動として、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2にパルスが供給される。このパルス電圧の供給を受けて、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2の鞘部材56aは待機路55上に戻り、鞘部材56aの一部分で阻止されていた遊技球が第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2の包絡線空間に流入する。
遊技球が球受け皿15又は遊技球取込装置50にない場合は、遊技者の球受け皿15への遊技球補充を待つ。遊技者により補充された遊技球は、球受け皿15を介して遊技球取込装置50に流入し、待機路55を流転して第1の投入機構56−1の鞘部材56a内に単一球が収容される。尚、一定期間待機しても遊技球が補充されず、取込みができなかった場合は、取り込んでいた遊技球を払い戻す。
不足が発生した投入作動における戻し作動から一定間隔経過の後、制御部7は、電源装置に第1の投入機構56−1を投入作動させる1回目の制御信号を出力する。この制御信号を受けて、電源装置から第1の投入機構56−1へ1回目の投入作動のためのパルスが供給される。パルスが供給されると、図12に示すように、第1の投入機構56−1の鞘部材56aは回動し、鞘部材56a内部の単一遊技球を取込樋57へ向けて放り出す。
放り出された単一の遊技球は、最下端直下の取込流路57f内を流下して、当該取込流路57fに配置されている第1の投入球検知手段63を通過する。第1の投入球検知手段63は、遊技球の通過を検知して投入検知信号を出力する。制御部7は、この投入検知信号を受けて不足残数を1カウントダウンする。
一定の間隔後、電源装置から第1の投入機構56−1へ戻し作動のためのパルスが供給される。このパルスの供給を受けて、第1の投入機構56−1の鞘部材56aが待機路55上に戻り、流入阻止されていた遊技球が第1の投入機構56−1の鞘部材56a内に流入する。
制御部7は、カウントダウンした不足残数が0でなければ、電源装置に第1の投入機構56−1を投入作動させる2回目の制御信号出力を行う。この制御信号を受けて、電源装置から第1の投入機構56−1へ2回目の投入作動のためのパルスが供給される。パルスが供給されると、第1の投入機構56−1の鞘部材56aは回動し、鞘部材56a内部の単一遊技球を取込樋57へ向けて放り出す。
放り出された単一の遊技球は、最下端直下の取込流路57f内を流下して、当該取込流路57fに配置されている第1の投入球検知手段63を通過する。第1の投入球検知手段63は、遊技球の通過を検知して投入検知信号を出力する。制御部7は、この投入検知信号を受けて不足残数を1カウントダウンする。
この計二回の第1の投入機構56−1の投入作動が遊技球の不足補正となり、遊技球の不足は解消される。制御部7では、最下端直下の取込流路57f内に配置されている第1の投入球検知手段63から計2度の投入検知信号の出力を受けて、不足残存数が0となる。不足残存数が0になると、制御部7は、遊技開始の許可をする。すなわち、レバー141の操作待機の状態となる。
(制御系の構成)
図13は、遊技機1の制御系を示すブロック図である。遊技機1には、遊技球取込装置50を制御する制御部7が配設されている。制御部7は、メインCPU(Central Proccessing Unit)7a及びサブCPU7bを主として、図示しないROMに記憶されたプログラムを適宜図示しないRAMに展開し、RAMをワークエリアとしてプログラムを解読及び実行をする。
制御部7は、プログラムの実行により、遊技球取込装置50の遊技球取り込みを制御し、演出部5の演出を制御し、遊技状態表示部6や可変表示装置の駆動を制御する。また、遊技球の取り込みに係るエラーを判断し、演出部5び遊技状態表示部6の制御によりエラー処理をする。メインCPU7aは、主に遊技球取り込みの制御、可変表示装置の駆動制御、遊技状態表示部6の表示制御、エラー判断、及びサブCPU7bに対する演出コマンドやエラー報知コマンドの送出をする。サブCPU7bは、演出コマンドを受けて演出部5を制御して遊技の演出をさせ、またエラー報知コマンドを受けて演出部5を制御してエラー報知をさせる。
メインCPU7aには、BETボタン143a、Max BETボタン143b、レバー141、及び遊技機1内部に設けられたエラー解除スイッチ146から操作を示す信号が入力される。メインCPU7aは、BETボタン143a、又はMax BETボタン143bからの信号入力に応答してラッチングソレノイド56dの駆動を指示する制御信号を出力し、投入機構56に遊技球の投入作動をさせる。
投入機構56の投入作動によって遊技球取込装置50から投入球検知信号が出力されることにより、賭率に相当する遊技球が取り込まれ、又は不足球が充足される。メインCPU7aは、賭率に相当する遊技球が取り込まれると、レバー141からの信号入力があれば遊技を制御し、遊技機1を遊技段階に移行させる。遊技段階では、メインCPU7aは、可変表示装置及び遊技状態表示部6を制御し、サブCPU7bに演出コマンドを送出する。サブCPU7bは、演出コマンドを受けて演出部5の演出を制御する。
エラー解除スイッチ146からエラー解除信号が出力されると、メインCPU7aは、後述するエラー処理を解除し、エラー内容に従って、中断した各遊技受け付け段階に復帰し、かつ中断した各エラー判断の段階へ復帰する。
また、メインCPU7aには、発光部63aと受光部63bを含み構成される投入球検知手段63が出力する投入球検知信号と、係止片56iとフォトセンサ65を含み構成される作動検知手段66が出力する作動検知信号とが入力される。メインCPU7aは、投入機構56に投入作動をさせる制御信号の出力の有無と投入球検知信号の入力の有無と作動検知信号の入力の有無との組み合わせ、若しくは投入球検知信号と作動検知信号の入力タイミング、即ち投入球の検知タイミングと投入機構56の作動タイミングの時系列上の違い等とによってエラーを判断し、サブCPU7bとともにエラー処理を行う。
図14は、メインCPU7aによりエラーとして判断される制御信号と投入検知信号と作動検知信号の有無の組み合わせ又は入力タイミングを示すテーブルである。図15は、各投入機構56−1,56−2,56−3の相互関係におけるエラーとして判断される投入検知信号の有無と作動検知信号の有無の組み合わせを示すテーブルである。
図14に示すように、第1のエラー判断として、制御信号が出力無しの状態で、投入球検知信号が入力されるとエラーと判断する。又、第2のエラー判断として、制御信号が出力無しの状態で、作動検知信号が入力されるとエラーと判断する。第1のエラー判断と第2のエラー判断では、制御部7が投入機構56を動かしていないにもかかわらず、遊技球が投入されたことが検知され、又は投入機構56が動かされたことが検知されたことを意味し、不正行為のおそれが検出されたこととなる。
第3のエラー判断として、制御信号が出力有りの状態で、作動検知信号が所定時間以上入力されなければエラーと判断する。第3のエラー判断では、投入機構56の投入作動を指示したにもかかわらず、投入作動の制御を受ける投入機構56の投入作動が検知されないことを意味し、投入作動の制御を受ける投入機構56の故障や異常等の不具合のおそれが検出されたこととなる。尚、投入機構56の不具合のおそれを検出する第3のエラー判断においては、この所定時間の間の投入球検知信号の有無は問わないが、この所定時間の間に投入球検知信号が有れば、投入機構56の作動開始前に何らかの物体が取込樋57側へ移動されたことを検出する第4のエラー判断におけるエラーにも該当する。
第4のエラー判断として、制御信号が出力有りの状態で、投入機構56の作動前に投入球が検知されて投入球検知信号が入力されればエラーと判断する。換言すると、作動検知信号の入力前に投入球検知信号が入力されればエラーと判断する。第4のエラー判断では、投入機構56の作動開始前に何らかの物体が取込樋57側へ移動されたことを意味し、遊技球が取り込まれたと誤認させる不正行為のおそれが検出されたこととなる。尚、制御部7から投入を指示する制御信号が出力された後に遊技球取込装置50側から制御部7へ最初に入力されたセンサ由来の信号が、投入球検知信号であれば、投入機構56の作動前に何らかの物体が取込樋57側へ移動したと判断できるため、その後の作動検知信号の有無をこの第4のエラー判断における判断要素としなくともよい。
第3のエラー判断と第4のエラー判断を同時に両立させて判断するためには、作動検知信号が所定時間以上入力されず、かつ遊技球検知信号が所定時間入力されなければ第3のエラーと判断する。そして、最初に遊技球検知信号が入力され、その後所定時間以内に作動検知信号が入力されれば第4のエラー判断とする。さらに、最初に遊技球検知信号が入力され、かつ所定時間以内に作動検知信号が入力されなければ、第3及び第4のエラーの両方が生じているおそれがあると判断する。
第5のエラー判断として、制御信号が出力有りの状態で、先に投入機構56の投入作動を検知し作動検知信号が入力されたが、その後の投入球が検知されたことによる投入球検知信号の入力が所定時間以降であればエラーと判断する。第5のエラー判断では、投入機構56の作動開始を起点として遊技球が検知されるタイミングはほぼ定まっているため、投入機構56の作動に依らず何らかの物体が取込樋57側へ移動されたことを意味し、遊技球が取り込まれたと誤認させる不正行為のおそれが検出されたこととなる。
この第4のエラー判断と第5のエラー判断では、遊技機1の外部から投入球検知手段63に検知されるような物体が挿入され、BETボタン143aやMax BETボタン143bの押下とともに当該投入球検知手段63に検知されるように物体を移動させることによって、遊技球が取込樋57に投入されたと誤認させる不正行為の検出可能性が高まる。
尚、投入機構56の作動検知を起点として投入球検知まで正常と許容される所定時間を短くすればするほど、不正行為の検出精度は高まる。この所定時間の設定は、投入機構56の投入作動を検知する作動検知手段66と遊技球の投入を検知する投入球検知手段63を配置することにより、調節が可能となるものである。例えば、投入機構56の投入作動を検知する手段がない場合、メインCPU7aの負荷によっては、投入機構56の作動開始タイミングにはズレが生じるため、規定の所定時間を設けることは困難である。
第6のエラー判断として、投入作動の制御信号の出力が有りの状態で、投入作動を指示された投入機構56の投入作動を検知して作動検知信号が入力されたが、1回の投入作動で同一の投入球検知手段63から複数回の投入検知信号の入力があればエラーと判断する。押し込んだ物体を遊技球に偽装して投入球を検知させる不正行為では、押し込んだ物体の操作ミスや押し込んだ物体の引き戻し操作等により同一投入球検知手段63の前を当該物体が重複して通過するケースがある。第6のエラー判断では、取込流路57fの形成により一カ所の投入球検知手段63は一回の投入作動につき一球の遊技球のみが検知されるのが正常であるため、何らかの物体が同一投入球検知手段63の前を往復したことを意味し、不正行為のおそれを検出したこととなる。また、第6のエラー判断では、取込流路57fにおいて投入球検知手段63に故障が生じた等の機械的な破損が生じたおそれが検出されたこととなる。
また、図15に示すように、第7のエラー判断として、投入作動の制御信号の出力がありの状態であっても、投入作動をさせない投入機構56に対応する投入球検知手段63から検知信号が出力されると、エラーと判断する。
遊技球の投入段階であっても遊技者の選択した賭率によっては、上述のように実際に投入作動する投入機構56と投入作動しない投入機構56とが存在する。遊技球取込装置50は遊技機1の内部に配されるため、不正行為者は、実際にどの投入機構56が投入作動して、実際にどの投入機構56が投入作動していないか視認できない。不正な物体を遊技球取込装置50内に押し込んで遊技球と誤認させるケースでは、BETボタン143aやMax BETボタン143bの押下とともに当該投入球検知手段63に検知されるように物体を移動させることができても、投入作動していない投入機構56に対応する投入球検知手段63に検知させてしまうように当該物体を移動させてしまうケースも想定される。
この第7のエラー判断では、このケースを利用して、不正行為を検出するものである。また、このような不正行為の他にも、投入球検知手段63の不具合や取込流路57fの機械的な不具合をも検出するものである。
例えば、不足球の取り込み処理のため、投入機構56−1のみに投入作動を指示して実際に投入作動が検知され(投入機構56−1:ON)、投入機構56−2の投入作動が検知されない(投入機構56−2:OFF)場合に(条件1)、投入機構56−2に対応する投入球検知手段63が検知信号を出力すると、エラーと判断する。
また、不足球の取込処理のため、投入機構56−1のみに投入作動を指示して実際に投入作動が検知され(投入機構56−1:ON)、投入機構56−3の投入作動が検知されない(投入機構56−3:OFF)場合に(条件2)、投入機構56−3に対応する投入球検知手段63が検知信号を出力すると、エラーと判断する。
また、最低単位の賭率の選択に応じた遊技球取込処理のため、投入機構56−1及び投入機構56−2に投入作動を指示して実際に投入作動が検知され(投入機構56−1:ON,及び投入機構56−2:ON)、投入機構56−3の投入作動が検知されない(投入機構56−3:OFF)場合に(条件3)、投入機構56−3に対応する投入球検知手段63が検知信号を出力すると、エラーと判断する。
(制御系のエラー判断及びエラー処理)
図16乃至18に、制御部7によるエラー判断動作を示す。制御部7は、遊技球の投入作動をさせる投入機構56に対する投入作動開始の制御信号を出力して当該投入機構56を制御するまでは、投入作動をさせる投入機構56及び投入作動をさせない投入機構56とそれらに対応する投入球検知手段63につき、同一のエラー判断動作を行う。投入作動開始の制御信号を出力すると、投入作動をさせる投入機構56につき、投入作動が正常になされることを前提としたエラー判断動作を行い、投入作動をさせない投入機構56につき、正常で有れば投入作動がなされないことを前提としたエラー判断動作を行う。
図16は、投入作動させる投入機構56及び投入作動をさせない投入機構56とそれらに対応する投入球検知手段63を対象とし、投入作動の開始を指示する前段階でのエラー判断動作を示すフローチャートである。図17は、投入作動をさせる投入機構56及びこれに対応する投入球検知手段63を対象とし、投入作動の開始を指示した後のエラー判断動作を示すフローチャートである。図18は、投入作動をさせない投入機構56及びこれに対応する投入球検知手段63を対象とし、投入作動の開始を指示した後のエラー判断動作を示すフローチャートである。
まず、投入作動させる投入機構56及び投入作動をさせない投入機構56とそれらに対応する投入球検知手段63を対象とし、投入作動の開始を指示する前段階でのエラー判断動作を図16に基づき説明する。
制御部7は、遊技中には、演出部5、可変表示装置、及び遊技状態表示部6の制御を行っており、BETボタン143aやMax BETボタン143bの押下を受け付けておらず、投入機構56に対する投入作動のための制御信号は出力しない。
制御部7は、遊技中(S01,Yes)に投入球検知手段63が遊技球の投入を検知して投入球検知信号が出力されると(S02,Yes)、第1のエラー判断により第1のエラー処理を行う(S04)。また、遊技中(S01,Yes)に作動検知手段66が投入機構56の作動を検知して作動検知信号が出力されると(S03,Yes)、第2のエラー判断として同様に第1のエラー処理を行う(S04)。
第1のエラー処理では、演出部5によるエラー報知を制御し(図20,S31)、遊技状態表示部6に対するエラー表示要求をセットする(図20,S32)。現在進行中の遊技は、正常な遊技球取り込みにより実施されており、遊技中の可変表示装置及び遊技状態表示部6には、ドラム等遊技に直接関連のある表示がなされている。制御部7は、その遊技が中断させず、可変表示装置及び遊技状態表示部6の遊技作動を維持したまま、遊技に直接関係しない演出部5のみにエラー報知をさせる。演出部5のエラー報知では、液晶ディスプレイにエラー発生を示す表示をさせ、LEDランプにエラー発生を示す点滅をさせ、スピーカにエラー発生音を出力させる。
第1のエラー処理が終了すると、エラー判断動作の初段階に戻り、エラー判断動作を再開する。
遊技が停止している状態(S01,No)では、制御部7は、まず、エラー表示要求がセットされているか否かを判断する(S05)。エラー表示要求がセットされていれば(S05,Yes)、第2のエラー処理を行う(S06)。
エラー表示要求は、遊技中の第1のエラー判断によりセットされる。エラー表示要求がセットされていると、遊技が終了した後に第2のエラー処理として演出部5によるエラー報知に加えて遊技状態表示部6にエラー報知をさせる(図21,S42)。
第2のエラー処理が終了すると、エラー判断動作を引き続き再開し、遊技停止中のレバー141の操作検出(S07)を行う。
エラー表示要求がセットされておらず(S05,No)、又は、エラー表示要求がセットされており(S05,Yes)、かつ第2のエラー処理を行うと(S06)、遊技停止中にレバー141操作を検出する(S07)。レバー141の操作がなされると(S07,Yes)、正常に遊技球が取り込まれているとしてエラー判断動作を終了する。
一方、レバー141の操作がなされずに(S07,No)、投入球検知手段63から投入球検知信号が出力されると(S08,Yes)、第1のエラー判断をして第3のエラー処理を行う(S09)。
S07〜S08ではBETボタン143aやMax BETボタン143bが押下されておらず、制御部7は、投入機構56の制御信号を出力していない。その状態で投入球が検知されると、不正行為のおそれがあるため、第3のエラー処理をする。第3のエラー処理は、遊技停止状態におけるエラー処理であり、演出部5と遊技状態表示部6によりエラーを報知する。
次に、遊技者が遊技を行うためにBETボタン143aやMax BETボタン143bを押下すると(S10,Yes)、制御部7は、投入機構56を投入作動させるために制御信号を出力して投入作動の開始を指示する(S13)。
一方、BETボタン143aやMax BETボタン143bが押下されておらず(S10,No)、作動検知手段66が投入機構56の投入作動を検知すると(S11,Yes)、第2のエラー判断として第3のエラー処理を行う(S12)。BETボタン143aやMax BETボタン143bが押下されていないため、制御部7は、投入機構56を投入作動させる制御信号を出力していないため、不正行為のおそれがあるためである。
レバー141の操作がなされずに(S07,No)、投入球検知手段63から投入球検知信号が出力された後(S08,Yes)になされた第3のエラー処理(S09)の終了後は、レバー操作の受け付け判断(S07)からエラー判断動作を再開する。また、BETボタン143aやMax BETボタン143bが押下されておらず(S10,No)、作動検知手段66が投入機構56の投入作動を検知した後(S11,Yes)になされた第3のエラー処理(S12)の終了後は、レバー操作の受け付け判断(S07)からエラー判断動作を再開する。
次に、投入作動をさせる投入機構56及びこれに対応する投入球検知手段63を対象とし、投入作動の開始を指示した後のエラー判断動作を図17に基づき説明する。
制御部7が投入作動の開始を指示した場合(S13)、投入作動の開始を指示した投入機構56の投入作動を作動検知手段66が検知する前に、投入作動の開始を指示した投入機構56に対応する投入球検知手段63から投入球の検知を示す投入球検知信号が出力されると(S14,Yes)、第4のエラー判断として第3のエラー処理を行う(S15)。
投入機構56が作動して遊技球が取込樋57へ投入されていないにもかかわらず、遊技球が投入されたとする信号が出力されたものであり、不正行為のおそれがあるためである。
投入機構56の投入作動の検知がなされず(S16,No)、投入作動の開始を指示する制御信号の出力から所定時間が経過した場合には(S17,Yes)、第3のエラー判断として第3のエラー処理を行う(S18)。
投入作動を指示したが、投入機構56の投入作動を示す作動検知信号が出力されず、遊技球が所定時間内に投入されない場合であり、投入機構56の故障や異常等の不具合のおそれがあるためである。
投入機構56の作動が検知された場合(S16,Yes)、制御部7は、所定時間をカウントする(S19)。この所定時間は、投入機構56が待機部55に待機する遊技球の投入作動を開始してから取込樋57を流下して遊技球が投入球検知手段63に検知されるまでを包含する時間であり、短ければ短いほど好ましい。例えば、約300/msecとすることができる。
所定時間が経過しても(S19,Yes)、投入球検知手段63が遊技球を検知しなかった場合には(S21,No)、エラーは無しと判断してエラー判断動作を終了する。この後、取り込む遊技球が無いために遊技者に遊技球の補充を促し、不足球の取り込み処理が行われる。
所定時間の経過後に(S19,Yes)、投入球検知手段63が遊技球を検知した場合には(S21,Yes)、第5のエラー判断として第3のエラー処理を行う(S22)。
投入機構56の作動に関わらずに遊技球が投入されたとする信号が出力されたものであり、不正行為のおそれがあるためである。
尚、投入作動の検知前に、投入球検知信号が出力される(S14,Yes)ことによりなされた第3のエラー処理(S15)が終了した後は、投入作動の開始を指示する制御信号の出力後からエラー判断動作を再開する。また、投入作動の検知がなされず(S16,No)に所定時間が経過した場合(S17,Yes)の第3のエラー処理(S18)が終了した後は、投入作動の開始を指示する制御信号の出力後からエラー判断動作を再開する。また、投入作動検知から所定時間の経過後(S19,Yes)に、遊技球を検知した場合(S21,Yes)における第3のエラー処理(S22)が終了した後は、投入作動の開始を指示する制御信号の出力後からエラー判断動作を再開する。
一方、投入作動を開始してから所定時間が経過する前に(S19,No)、投入球検知手段63が遊技球を検知した場合(S20,Yes)、S19の所定時間が終了するまでの間(S23,No)、同一の投入球検知手段63からの検知が再度あるか否かを判断する(S24)。
同一の投入球検知手段63が再度の検知をせずに(S24,No)、S19の所定時間が終了すると(S23,Yes)、エラーは無しと判断してエラー判断動作を終了する。また、S19の所定時間内に(S23,No)、同一の投入球検知手段63が再度の検知をすると(S24,Yes)、第6のエラー判断として第3のエラー処理を行う(S25)。一球分しか通過できないような極短い時間に複数の検知があったということは、何らかの物体が不正な行為によって同一投入球検知手段63の前を往復したことを意味するためである。また、取込流路57fにおいて投入球検知手段63の故障等の機械的な破損が生じたおそれがあるためである。
尚、同一の投入球検知手段63が重複して検知をすることは、それ自体が不正行為や不具合を意味するため、S19の一球分しか通過できないような極短い時間に限らず、当該検知をもってエラーとしてもよい。この場合、S19の所定時間に加えて、S20において遊技球を検知した後、若しくはS20の遊技球の検知を前提にS19の所定時間の終了後、別途時間を設けて同一の投入球検知手段63からの重複した投入球検知信号の入力を監視するようにすればよい。
この第3のエラー処理により問題点が解決されれば、エラー判断動作は終了する。重複して投入された遊技球の返還がなされ、レバー141の操作を受け付けて遊技を開始し、投入された遊技球が賭率に相当する球数に満たない場合は、不足球の取り込み処理が行われる。
さらに、投入作動をさせない投入機構56及びこれに対応する投入球検知手段63を対象とし、投入作動の開始を指示した後のエラー判断動作を図18に基づき説明する。
投入作動の制御を開始した後(S13)、制御部7は、投入作動の制御をする投入機構56の他に、投入作動の制御をしない投入機構56を監視する。投入作動させない投入機構56に対応する投入球検知手段63から投入球を検知する検知信号が出力されると(S26,Yes)、第7のエラー判断として第3のエラー処理をする(S27)。
制御部7は、当該投入球検知手段63に対応する投入機構56についての投入作動の制御はしておらず、不正行為のおそれ又は投入球検知手段63や取込流路57fの機械的な不具合のおそれがあるためである。
このように、制御部7は、賭率選択前から、賭率選択後、賭率に応じた遊技球の取込処理、遊技の開始、及び遊技中を経て、遊技の終了に至るまでにおいて想定されうる各種の遊技球取込エラーを、各作動検知手段66及び各投入球検知手段63の検知に基づき判断している。
このエラー判断は、図19に示すように第1乃至第7のエラー判断を一つのエラー判断処理として制御部7が連続的に行う。図19は、図16乃至図19のエラー判断処理の関係を示すフローチャートである。
図19に示すように、制御部7は、遊技機1が賭率選択前から遊技終了に至るまでの各段階において、投入指示がされた投入機構56に対応する投入球検知手段63が正常に検知するか否かを判断する(S51)。正常にとは、適正なタイミングで作動検知手段66の検知があった後において、適正なタイミングで投入球の検知があることである。すなわち、投入指示される投入機構56に対して第1乃至第5のエラー判断を行う(S01〜S22に相当)。投入指示がされた投入機構56に対応する投入球検知手段63が正常に検知しなければ(S51,No)、第1乃至第3のエラー処理のいずれかを実施する。
さらに、投入指示がされた投入機構56に対応する投入球検知手段63が正常に検知しても(S51,Yes)、投入指示されておらず投入作動が検知されていない投入機構56に対応する投入球検知手段63から検知信号の出力があるか否かを判断する(S52)。この投入球検知手段63から検知信号が出力されれば(S52,Yes)、第3のエラー処理を実施する。
さらに、投入作動が検知されていない投入機構56に対応する投入球検知手段63から検知信号の出力がなくとも(S52,No)、投入指示がされた投入機構56に対応する投入球検知手段63による検知が一回の投入作動につき複数回に及べば(S53,Yes)、第3のエラー処理を実施する。
尚、S51とS52の処理は、投入作動の制御信号出力後は、順に一連処理してもよいし、並行処理してもよい。S52とS53の処理は、順番の前後を入れ換えることも可能である。
次に、図20及び21に、制御部7によるエラー処理動作を制御部7によるエラー処理動作を示す。図20は、第1のエラー処理に係る動作を示すフローチャートであり、図21は、第2及び第3のエラー処理に係る動作を示すフローチャートである。
図20に示すように、第1のエラー処理では、現在進行中の遊技を続行させるため、遊技状態表示部6でエラー報知はしない。制御部7は、演出部5のエラー報知を制御し(S31)、エラー表示要求をセットする(S32)。
演出部5のエラー報知制御では、メインCPU7aからサブCPU7bにエラー報知コマンドが送出され、エラー報知コマンドを受けたサブCPU7bが演出部5を制御する。サブCPU7bは、予め記憶しているエラー表示画像や電力供給タイミングチャートに従い、エラー表示画像を液晶ディスプレイに表示させ、LEDランプに電源装置から電力を供給させてエラーを報知する点滅をさせ、スピーカからエラーを報知する音を出力させる。エラー表示要求のセットでは、RAMにエラー表示要求記憶エリアを確保して当該エリアにエラー表示要求を示す符号を記憶させる。
図21に示すように、第2のエラー処理は、演出部5により遊技中にエラー報知をさせて遊技が停止した後に行われるものであり、遊技が停止し、エラー表示要求がRAM上のエラー表示記憶エリアに記憶されていると、遊技状態表示部6にエラーを報知させる(S42)。例えば、遊技状態表示部6のうち、適宜状況に応じて情報を表示する表示部分にエラーを表示する。メインCPU7aは、予め記憶している7SEGのスイッチオン/オフの組み合わせ、及び電力供給タイミングチャートに従い、7SEGにエラーを示す文字列を表示させ、LEDランプに電源装置から電力を供給させてエラーを報知する点滅をさせる。
この演出部5と遊技状態表示部6のエラー報知により、遊技店の店員等のオペレータは、遊技機1の内部を検査し、エラーとなった要因を取り除く。エラーとなった要因を取り除き、遊技を再開させるために、オペレータによりエラー解除スイッチ146が押下される。
エラー解除スイッチ146が押下されると(S43,Yes)、制御部7は、エラー要因が解決済みであるか否かを判断する(S44)。この判断では、制御部7は、作動検知手段66及び投入球検知手段63から信号が出力されているか否かを確認する。信号が出力されていなければ、エラー要因が解決済みであると判断する(S44,Yes)。このエラー要因が解決されているか否かの判断は、エラー要因が解決したと判断しない限りは、エラー解除スイッチ146が押下されるたびに行われる。
エラー要因が解決済みであると判断すると(S44,Yes)、制御部7は、演出部5のエラー処理に係る制御を中止してエラー報知を終了させ(S45)、遊技状態表示部6のエラー処理に係る制御を中止してエラー表示を終了させる(S46)。
第3のエラー処理では、演出部5のエラー報知を制御し(S41)、その後、S42〜S46を行う。
第1乃至第5のエラー判断によるエラー処理が終了すると、エラー判断動作に復帰する。エラー処理を続行している間は、BETボタン143a、Max BETボタン143b、レバー141からの信号は受け付けず、対応する応答はしない。即ち、制御部7は、エラー判断をして第2及び第3のエラー処理に移行すると、その間の遊技は中止される。
最初のエラー判断動作、又は第1乃至第5のエラー判断によるエラー処理が終了して再度行われるエラー判断処理においてエラーが検出されなければ、遊技球の加算処理に移行する。投入された遊技球が賭率に相当する球数に満たない場合は、不足球の取り込み処理が行われ、賭率に相当する遊技球が取り込まれた判断すると、レバー141の操作待ちとなり、レバー141の操作を契機として遊技を開始する。
また、制御部7は、第6及び第7のエラー判断によるエラー処理が終了すると、エラー判断動作を終了して、遊技球の加算処理を行う。加算処理の結果、賭率に相当する球数以上の遊技球が取り込まれていれば、過剰に取り込まれた遊技球を貯留記憶する。賭率に相当する遊技球が取り込まれた判断すると、レバー141の操作待ちとなり、レバー141の操作を契機として遊技を開始する。投入された遊技球が賭率に相当する球数に満たない場合は、不足球の取り込み処理が行われる。不足球が発生する場合は、本来投入作動をしないはずであった投入機構56により取り込まれた遊技球や同一の取込流路57fを流下した複数球の遊技球を貯留記憶せずに、取り込んだ遊技球に算入してもよい。
尚、エラー処理が終了できず店員等により遊技機1がリセット又は電源OFFされた場合は、遊技機1が再起動され、エラー判断動作への復帰や遊技球の加算処理に移行しない。また、エラー処理が終了しても、店員等により遊技機1がリセット又は電源OFFされた場合は、遊技機1が再起動され、エラー判断動作への復帰や遊技球の加算処理に移行しない。遊技球取込装置50に実際に不具合や不正行為があった場合には、リセット又は電源OFFされることもある。
(作用効果)
このように、この遊技機1では、投入機構56の投入作動を検知し、かつ取込樋を流下する遊技球を検知するようにして、投入機構56の制御の有無、投入球の検知の有無、及び投入作動の検知の有無の関係に基づき、遊技球取込みのエラーを判断し、エラー処理をするようにした。これにより、投入機構56の故障や異常による不具合を検出してエラー処理が可能となる。また投入機構56の非制御下で投入機構56を作為的に作動させる不正行為や遊技球が投入されたと誤認させる不正行為を検出することが可能となる。
作動検知手段66として、投入機構56から突出する係止片56iと、投入機構56が投入作動したときに係止片56iが近接するフォトセンサ65とを有し、係止片56iの近接をフォトセンサ65が検知することで投入機構56の作動を検知することで、各投入機構56につき一つの作動検知手段66を配設すれば足りる。
エラー判断では、制御部7が投入開始指示をした場合においても、作動検知手段66の検知前に投入球検知手段63の検知が有ればエラーと判断する。また、制御部7が投入開始指示をした場合においても、作動検知手段66の検知から所定時間経過後に投入球検知手段63の検知が有ればエラーと判断する。投入球検知手段63に検知されるような物体を遊技機1の外部から押し込んで、BETボタン143aの押下とともに当該物体を投入球検知手段63に検知させるような不正行為についても、投入球検知手段63に物体を検知させるタイミングがシビアになるためこの不正を検出する可能性が高まる。
エラー判断では、1回の投入作動につき同一投入球検知手段による検知が複数回に及ぶと、遊技球取込みエラーと判断するようにしてもよい。押し込んだ物体を遊技球に偽装して投入球を検知させる不正行為では、押し込んだ物体の操作ミスや押し込んだ物体の引き戻し操作等により同一投入球検知手段の前を当該物体が重複して通過するケースがある。このような知見から当該構成によって不正行為の検出精度を高めることができる。
また、投入作動の制御がなされていない投入手段又は投入作動が検知されていない投入手段に対応する投入球検知手段による検知があると、遊技球取込みエラーを判断し、エラー処理をするようにしてもよい。これにより、投入球検知手段に対する不正行為、投入球検知手段の異常、若しくは取込樋の機械的破損、等の投入球検知手段回りの不正や不具合を検出して迅速に対処することが可能となる。
エラーを検出すると、遊技中は遊技を演出する演出部5にエラーを報知させ、遊技中以外は演出部5のエラー報知とともに遊技状態表示部6にエラー表示をさせるようにすることで、遊技中にエラーが生じた場合にも、現在行われている遊技を中止させることなく、エラーを迅速に報知することが可能となる。
また、鞘部材56aは、アーチ内周面を待機路55に向けるようにして待機路55に面して配される。作動検知手段66の係止片56iは、待機路55に面するアーチ内周面とは、裏側のアーチ外周面から突出し、フォトセンサ65は、鞘部材56aのアーチ外周面側である基板58b上に配設される。これにより、遊技機1外部から連通している待機路55内にフォトセンサ65に検知されるような物体が挿入されたとしても、係止片56iやフォトセンサ65が鞘部材56aを挟んで物体が挿入された空間の裏側に位置するため、挿入された物体は鞘部材56aに阻まれてフォトセンサ65に近接することができない。従って、投入機構56の作動を誤認させるような不正行為を困難なものとする。
尚、本実施形態では、投入機構56にラッチングソレノイド56dを備えるようにしたが、伝達アーム56gを押し引きできるようなものであれば、ギアモータを備えるようにしてもよい。図22は、ギアモータ56kを備えた投入機構56を搭載した遊技球取込装置50の側面51cとは反対の面から観た断面図である。図23は、このギアモータ56kを備えた投入機構56の動きを説明する図であり、同じく遊技球取込装置50の側面51cとは反対の面から観た断面図である。
図22及び図23に示すように、投入機構56は、ギアモータ56kを備える。ギアモータ56kの搭載位置は、ラッチングソレノイド56dと同位置であり、モータ軸を待機路55の延び方向に沿うように配される。
このギアモータ56kは、モータ軸先端に平歯車56mを有している。モータ軸先端には、揺動アーム56nの一端がリンクしている。揺動アーム56nは、待機路55の延び方向と直交するように配置されており、揺動アーム56nの他端は、伝達アーム56gの先端とリンクしている。揺動アーム56nのモータ軸先端とリンクする位置には、平歯車56pが固定されており、平歯車56pと平歯車56mが噛み合っている。ギアモータ56kの平歯車56mが回転すると、揺動アーム56nの平歯車56pが噛み合いながらモータ軸を中心に周囲を回転する。
このギアモータ56kを備える投入機構56では、揺動アーム56nの平歯車56pが待機路55と最大に離間する位置で静止すると、鞘部材56aが待機路55へ開口面を向けて遊技球を収容可能に静止する。揺動アーム56nの平歯車56pが待機路55と最大に離間する位置にくるようにギアモータ56kの平歯車56mを半回転させて静止させると、モータ軸線と平歯車56pの中心との距離の分だけ、揺動アーム56nが待機路55とは反対の方向へ引っ張られて静止する。すると、伝達アーム56gの先端も取込樋57の方向へ引っ張られて静止し、伴って鞘部材56aが取込樋57とは反対の方向へ押し込まれて待機路55へ開口面を向けて静止する。
遊技球を取込樋57へ投入する際には、ギアモータ56kを駆動させ、揺動アーム56nの平歯車56pが待機路55と最大に近接する位置にくるようにギアモータ56kの平歯車56mを半回転させて静止させる。ギアモータ56kの平歯車56mを半回転させて、揺動アーム56nの平歯車56pを待機路55と最大に近接する位置に変位させると、揺動アーム56nがモータ軸線と平歯車56pの中心との距離の分だけ、待機路55へ近づく方向へ押し込まれる。すると、伝達アーム56gの先端も取込樋57とは反対の方向へ押し込まれ、伴って鞘部材56aが取込樋57の方向へ開口面を向けるように移動する。この鞘部材56aの移動の際に、鞘部材56aに収容されていた遊技球は、取込樋57へ向けて放出される。
また、例えばギアモータ56kやラッチングソレノイド56dに代えてラッチングロータリソレノイドやロータリモータを採用してもよい。ロータリモータは、モータ軸線を中心にモータ軸先端が回転運動するモータである。このギアモータ56kやラッチングロータリソレノイドやロータリモータを搭載する場合であっても、ラッチングソレノイド56dを搭載する場合と同様に、鞘部材56aを投入作動させたり、鞘部材56aの静止位置をしっかり保持することができる等の効果を得ることができる。