以下、本発明に係る遊技機の好適な実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
(遊技機概要)
図1は、本実施形態に係る遊技機の前面パネルを示す図である。遊技機1は、スロットマシンタイプであって遊技媒体として遊技球を使用する所謂パロットである。この遊技機1は、遊技者により所定の賭率が選択されると、選択された賭率の単位に応じた球数の遊技球を取り込んで遊技を開始させる。また遊技機1は、当該開始された遊技の結果に応じ、あらかじめ定められた数の遊技球を払い出す。なお、この遊技とは、遊技者の操作に応じた遊技機1の動作である。またこの遊技機1の動作とは、遊技機1に複数設けられ、各種図柄が表面に連続的に付されたドラムをそれぞれ回転させ、次いで当該ドラムの停止により表れた図柄の組み合わせに応じて所定数の遊技球を払い出すことをいう。
遊技機1は、遊技ホールの島設備に取り付け固定される外枠2と、中枠3および前枠4で筐体が構成されている。外枠2には、一方の側縁部にヒンジ部12が設けられている。中枠3は、外枠2の前面側に位置し、ヒンジ部12に枢支されて開閉可能となっている。前枠4は、中枠3の前面側に位置し、ヒンジ部12に枢支されて開閉可能となっている。中枠3と前枠4には、枢支端と反対側の側縁部に施錠装置17が設けられている。中枠3と前枠4は、施錠装置17による施錠固定により外枠2に対して一体開閉し得る構成となっている。
前枠4には、表面に演出部5および遊技状態表示部6が配設されている。演出部5は、液晶ディスプレイ、LEDランプ、およびスピーカを含み構成される。この液晶ディスプレイの表示、LEDランプの点滅、スピーカから出力される音声によって遊技を演出する。遊技状態表示部6は、LEDランプや7SEG(7Segment LED)を含み構成される。この遊技状態表示部6は、LEDランプや7SEGの点灯により、賭率や有効な組み合わせラインの表示、遊技球の払い出し数の表示、当たり図柄の表示、クレジットの表示等、遊技状態の表示をする。また、演出部5および遊技状態表示部6は、遊技機1に詰まりや不具合や不正等による遊技球取込エラーが発生した場合に、そのエラーを報知する。
なお、遊技状態表示部6は、クレジット表示等の常時表示すべき情報を表示する表示部分と、状況に応じて各種情報を随時表示する表示部分とに大別して配置され、構成されている。この中で上記遊技機1のエラーの表示は、遊技状態表示部6において、各種情報を随時表示する表示部分に表示することが望ましい。
前枠4の前面中央には、窓部13が設けられている。中枠3に設置されるとともに前枠4の裏面に臨む可変表示装置は、透明部分を有する窓部13に覆われており、可変表示装置を視認可能としている。可変表示装置は、表面に各種図柄を連続的に付して並べられた複数のドラムを有する。
窓部13の下方位置には、カバー部材150が設けられている。このカバー部材150の内側には球受け皿15が嵌め込まれている。嵌め込まれた球受け皿15の外周は、前枠4から遊技機1の外方かつ前方へ膨出するように形成されている。この球受け皿15を嵌め込み可能とするために、カバー部材150は、球受け皿15の外周の形状に合わせて膨出するように形成される。(図3・4参照)。この球受け皿15は、入賞(可変表示装置の有効ラインに払い出しのある図柄が示されること。)により払い出された遊技球を貯留する。また、球受け皿15は、この貯留した遊技球を前枠4の裏面において球受け皿15と列設された遊技球取込装置50(図3参照)へ供給する。
また、図1に示すように球受け皿15の下方位置には、下皿16が配設されている。下皿16は、球受け皿15からオーバーフローした遊技球を貯留する。
カバー部材150の上面および前面には操作部14が設置されている。操作部14には、その前面にレバー141、ストップボタン142および精算ボタン145が配されている。上面には、BETボタン143a、MAX BETボタン143b、および切替ボタン144が配されている。
レバー141は、操作部14の左側に配されている。ストップボタン142,142,142は、レバー141の右側に各ドラムと対応して並べられている。精算ボタン145は、ストップボタン142の右側に配されている。BETボタン143aおよびMAX BETボタン143bは、レバー141の上方に配されている。切替ボタン144は、精算ボタン145の上方に配されている。
レバー141は、図柄組み合わせゲームにおける可変表示を開始させるために操作される始動操作手段を構成する。遊技者がこのレバー141を押下操作することによって各ドラムを一斉に回転開始される。ストップボタン142,142,142は、この押下操作によって回転中の各ドラムを個別に停止させるため停止操作手段を構成する。遊技者がこのストップボタン142,142,142のそれぞれを押下操作することによって、対応する各ドラムの回転を停止され、有効ラインにドラムのいずれかの図柄が表示される。
BETボタン143aは、遊技球を投入する(取り込む)ための入力手段を構成し、押下操作の回数に応じた賭率の単位に相当する球数の遊技球を投入させる。また、MAX BETボタン143bは、一度の押下操作で賭率の全単位に相当する球数の遊技球を投入させる。
切替ボタン144は、既に取り込まれて貯留記憶された状態となっている遊技球や、所定条件成立の結果、遊技者に払い出される遊技球の取扱形式を変更するために取扱形式変更操作手段を構成する。この取扱形式の変更とは、例えば、払い出される遊技球の取り扱いを現実の遊技球として後述する下皿16から排出させるのか、または仮想遊技球として遊技機の制御部7に貯留記憶させるのかを変更することを意味する。
精算ボタン145は、球受け皿15に貯留されている遊技球を下皿16に排出させる排出操作手段を構成する。すなわち、遊技者が遊技を終了して球受け皿15に貯留されている遊技球を取り出そうとした場合に、当該精算ボタン145が押下操作されることで、球受け皿15内の遊技球が下皿16に排出される。これに加え、精算ボタン145は、BETボタン143aの押下操作により一旦取り込まれた遊技球や、前述した貯留記憶された遊技球を払い出す機能をも具備する。
ここで、図2および図3を用いて遊技機1における球受け皿15および遊技球取込装置50の配置および結合について概説する。図2は、前枠4の裏面を示す図である。図3は、遊技機1に取り付けられた球受け皿15を示す概略斜視図である。
図3に示すようにこの球受け皿15は、前枠4の裏面から前面へ突出するように嵌め込まれる。すなわち、図3に示すように排出口23が形成された後板部材20aと、球受け皿15とを接続し、かつ当該後板部材20aに接続された球受け皿15の前面を前枠4の裏面から前面側へ突出するように嵌め込み、当該後板部材20aにおける裏面(球受け皿15との接続面と反対側の面)を図2に示すネジ20bによって、ステー20とともに前枠4の裏面に固定する。また、図2に示すようにステー20は、前枠4の両側縁に沿って設置された金属製の第1の補強部材21および第2の補強部材22に架設されている。
なお、図2に示すように第1の補強部材21の上端には、前枠4を枢支するヒンジ部12が取り付けられている。また、第2の補強部材22には、施錠装置17が取り付けられている。
この前枠4の裏面には、遊技結果に応じて払い出された遊技球が流通する経路が形成されている。この経路と球受け皿15の片側上方との間には、前枠4の裏面から遊技機前面へ連通する排出口23が貫穿されている。つまり、遊技結果に基づいて払い出された遊技球はこの前枠4の裏面の経路を通過し、排出口23を通って前面に突出した球受け皿15に貯留される。
図3に示すように球受け皿15は、皿底面が排出口23側を上端として、排出口23側と反対方向へ傾斜している。上端に対する傾斜下端側には、後述する遊技球取込装置50の受入口と連通する送出口が設けられている。この送出口は球受け皿15の皿面から外面へ連通して貫穿されている。球受け皿15に貯留される遊技球は、傾斜を流転して送出口(図3参照)を通り、遊技球取込装置50へ流入する。
後板部材20aには、遊技球取込装置50が取り付けられている。また、後板部材20aが前枠4に取り付けられることによって、図2に示すように遊技球取込装置50は前枠4に取り付けられる。この遊技球取込装置50は前枠4に対して、前枠4のステー20よりやや下方かつ、排出口23および球受け皿15と並んだ位置に取り付けられる。また、前枠4に取り付けられた遊技球取込装置50は、上述の球受け皿15の送出口から流下する遊技球を通過可能とする受入口を備え、球受け皿15と遊技球を受け入れ可能に連通している。
また、遊技球取込装置50には、上方へ向けて開口した遊技球の取込口が形成されている。また遊技球取込装置50は、球受け皿15の送出口を経過して流入した遊技球を当該取込口の位置で一時待機させる。また遊技球取込装置50は、遊技者によるBETボタン143aまたはMAX BETボタン143bの押下に対応した賭率の単位に相当する数の遊技球を遊技球取込装置50内部に取り込む。
遊技球取込装置50の下方には、取り込んだ遊技球の球供給排出機構への流出経路を形成する機構側流出経路24が配置される。遊技球取込装置50に取り込まれた遊技球は、遊技球取込装置50に形成される出口25から流出して機構側流出経路24に流入し、下方の出口26から遊技機1外部の球供給排出機構へ向けて流出する。
(遊技球取込装置)
次に、本実施形態にかかる遊技機1の遊技球取込装置50について、図4〜7を参照して説明する。図4は、遊技球取込装置50における内部機構の外観を示す図である。図5は、本実施形態における遊技球取込装置50の取込機構53において、最小単位の待機球を保持する遊技球保持部材が解除状態となり、取込口の一部分が開放されている状態を示す概略斜視図である。図6は、本実施形態にかかる遊技球取込装置50において遊技球が待機している状態を示す図5のA−A断面図の概略である。図7は、本実施形態にかかる遊技球取込装置50において遊技球保持部材の解除状態を示す図5のA−A断面図の概略である。この図6および図7については、遊技球取込装置50の取込口上流側から下流側に向かって見た断面図を示しており、後述する遊技球遮蔽板513aについては説明の都合上、図示を省略する。また、図6および図7では、図5において示されない後述の規制部材52を示しており、かつ点線で示したシャフト55aおよびアーム部511aは、駆動部54aの断面のさらに下流側に位置することを示している。図8は、図6に示す本実施形態の遊技球取込装置50におけるB−B断面図である。なお、本実施形態における遊技球取込装置50は図2に示すようにケースに覆われる構成であるが、図4および図5に示す遊技球取込装置50は、内部機構の説明のために図示を省略している。
図4に示す遊技球取込装置50は、球受け皿15と遊技機1の幅方向に並び、連通するように設けられる。また、遊技球取込装置50は、排出口23側の上端から球受け皿15の送出口(図3)側の下端へ傾斜する球受け皿15の長さ方向と略同一方向に長さ方向を有する。すなわち、遊技球取込装置50は前枠4に設置されたとき、遊技機1の幅方向に長さ方向を有するように形成される(図2参照)。また、先に述べたように遊技球取込装置50は、図2に示すようにケースに覆われ、当該ケースを前枠4にナイラッチ等の取り付け部品で固定することにより取り付けられる。
図5に示すように、遊技球取込装置50は、前枠4に取り付けた際の前面側と、背面側とに対向して配置される一対の壁面を備えている。この一対の壁面は、遊技球取込装置50の下方(底部)から上方へ立設している。また、当該一対の壁面とこれらに直交かつ隣接する壁面とにより四方(周囲)を囲うようにして遊技球取込装置50の取込樋57が構成されている。この取込樋57は、遊技を開始するための遊技球の取り込みに供する遊技球の通路である。また、図5および図6に示すようにこの取込樋57の上端縁は開放され、この開口部分が遊技球取込装置50に遊技球が取り込まれる取込口となる。
また、図5に示すように遊技球取込装置50は、取込口の背面側に駆動部54a〜54cと、取込口に対して接離可能に上方(近傍)または下方(近傍)へ回動する遊技球保持部材51a〜51cとを有して構成される取込機構53を備えている。さらに遊技球取込装置50は、図4および図6に示すように取込口の上方に遊技球の上昇(離脱、飛び出し)を規制する規制部材52が設けられている。なお、駆動部54a〜54cは本発明における「回転駆動部」の一例に該当する。
この遊技球取込装置50の取込口は、図5に示すように一端が受入口と連接し、遊技球取込装置50の長さ方向(遊技機1の幅方向)に伸長している。またこの取込口の長さ(遊技球取込装置50受入口側の一端から反対側の他端までの長さ)は、遊技機1の遊技における賭率の全単位に相当する数の遊技球すべてを配列可能となるように形成される。例えば遊技機1の賭率の1単位に相当する遊技球数が5球であり、賭率の全単位が3単位であれば、取込口の長さは、遊技球15球分を1列に配列可能な長さ(図4参照)となるように形成される。図5に示す遊技球取込装置50においては、その長さが遊技球15球分を1列に配列した長さとほぼ同じであり、取込樋57の長さも同様となる。取込口の長さをこのように形成するのは、遊技球取込装置50の1回の取込み動作で賭率の単位ごとの複数の遊技球を取込可能とするためであり、かつ15球以上の遊技球を球受け皿15から受け入れないようにすることにより、誤って賭率の全単位に相当する数以上の遊技球を取り込まないようにするためである。
また図6に示すようにこの取込口の機前後方向の開口幅、すなわち取込樋57の前面側の壁面の上端から背面側の壁面の上端までの間隔は、遊技球を取込可能な程度に少なくとも遊技球の直径よりやや大きくなるように形成される。また図6に示すようにこの取込口は、後述する遊技球保持部材51a〜51cが取込口上に位置しているときに、遊技球保持部材51a〜51cによって取込口の背面側の一部分が塞がれるように構成される。また当該取込口は、このとき遊技球保持部材51a〜51cの先端部分と、取込樋57の前面側の壁面の上端縁との間隔は遊技球の直径より狭くなるので、遊技球は取込樋57内部に落下せず、取込口(取込樋57の上端縁)の位置に保持される。
他方、取込樋57の前面側で遊技球を保持するための前面側壁面の上端縁には、図6に示すように、取込口に望むようにして設けられた固定壁57aを備えている。この固定壁57aは、取込樋57の前面側の壁面よりさらに前面側かつ上方へ傾斜して突出する。換言すると、固定壁57aは、先端から取込口に臨み、取込樋57の前面側の壁面の上端面に向かって下り傾斜となるように形成されている。また当該固定壁57aは、当該突出方向の先端部分からさらに垂直方向かつ上方へ傾斜されるように形成される。またこの固定壁57aは、図6に例示される遊技球取込装置50のように、後述の遊技球保持部材51a〜51cが取込口上に位置しているときに、取込口の位置に待機する遊技球(以下、単に「待機球」という)の一部分を支持する。つまり固定壁57a(固定壁57aにおける取込口側の端部)は遊技球保持部材51a〜51cとともに待機球を挟むようにして取込樋57の取込口の位置で保持する。この保持状態の詳細については、後述する。
また、固定壁57aが取込樋57の前面側の壁面から突出する長さの量は、上述の保持状態にある遊技球保持部材51aの先端から、固定壁57aの突出方向の先端までの距離が、遊技球の直径の長さに比べて遊びを有するような程度に形成される。このように固定壁57aが取込樋57の前面側の壁面から突出していることにより、遊技球を取込口の受入口側の一端から他端の方向へ円滑に流転させることができる。
さらに、取込口上における遊技球の流路の幅に遊びが生じるので、保持状態にある遊技球保持部材51a〜51cが上方へ回動する際に、待機球を固定壁57a側に逃がすことができる。したがって遊技球保持部材51a〜51cの上方回動を円滑に行うことができ、駆動部54a〜54cにかかる負荷を軽減させることが可能となる。
また、取込樋57は、当該取込口から取り込まれた遊技球が前述の球供給排出機構へ流下するように遊技球の流下方向を出口25方向へガイドする構造を有する。例えば図6に示すように取込樋57の前面側における壁面は、下方部分が背面側へ向かって円弧状に湾曲している。湾曲した前面側の壁面は遊技球取込装置50の底面となる。このような取込樋57の前面側の壁面は、取込口から取り込まれた遊技球を遊技機1内部の方向、すなわち出口25(図2参照)の方向へ遊技球を誘導する。
この取込樋57内部には、待機球の流下方向に伸長する複数の区画壁57cが、遊技球の直径分よりやや離れた間隔で等間隔に設けられている。各区画壁57cは、取込樋57の前面側の壁面または背面側の壁面のいずれか一方において設けられ、取り込まれた待機球の流下方向をガイドすることにより、隣接する待機球同士が接触して取込樋57内部における遊技球の流下方向が不規則とならないようにし、後述の遊技球の検出に支障をきたさないようにするものである。
また、図8に示すように各区画壁57c取込口(図6参照)に隣接して待機する待機球の間のほぼ直下の位置に合わせて設けられる。また、各区画壁57cは、取込口を始端とし、終端は少なくとも後述する遊技球検知手段56の配設位置まで延びる。
この区画壁57cの幅方向断面は、三角形あるいは半円等の山型形状を有し、接し合う遊技球とこれら遊技球の載置面とで画成される空隙に収まる幅及び高さを有する。区画壁57cの取込口側端面には、図示しない切欠が設けられている。切欠は、取込樋57内部の遊技球の流下方向に向けて迎角をなすように切り欠かれている。
このように取込樋57内部の遊技球の流路は、各区画壁57cにより帯状に複数に区画され、区画壁57c間に取込流路が形成される。各取込流路は、区画壁57cによって、待機する遊技球と一対一で対応して形成され、対応する遊技球が待機する位置から取込樋57の延伸方向へ延びる。
また図2に示すように、出口25と遊技球取込装置50とは、当該遊技球取込装置50の底面における待機球配列方向の下流側で連通している。したがって取込口上流側から取り込んだ遊技球を、出口25の方向へ誘導する必要があり、そのために遊技球取込装置50の底面(図6参照)は上流側から下流側へ、出口25側を下端として傾斜するように形成される。
また上述の通り、図4および図6に示す取込樋57の前面側における壁面は背面側に湾曲して形成されているので、取込口上流側から取り込まれた遊技球は取込樋57内を流下し、前面側の壁面にガイドされて背面側の壁面の下端部分に衝突する。この背面側の壁面の下端部分には、図8に示すように遊技球検知手段56a〜56jの配列方向に、受入口側から出口25側まで伸延する緩衝部材57bが設けられる。この緩衝部材57bによって、取込樋57内を流下する遊技球が背面側の壁面の下端部分に衝突したときの当該遊技球に対する衝撃が吸収される。つまり、取込樋57内において後述の遊技球検知手段56aにより1度検知された遊技球が跳ね返って取込樋57内を上昇し、再び遊技球検知手段56aにより検知されてしまう誤作動を防止することが可能となる。この緩衝部材57bとしては例えば、ネオプレン系のゴム等が用いられる。
また、図6に示すように、取込樋57における前面側の壁面と背面側の壁面との間隔(取込樋57の幅)は、取り込んだ待機球を出口25方向へ流下可能とするために、少なくとも遊技球の直径よりやや大きく形成し、かつ取込口の幅とほぼ同じかもしくはそれより大きくなるように形成される。また、図5に示すように取込樋57における前面側の壁面および背面側の壁面のそれぞれの長さは、遊技球取込装置50受入口側の一端から他端までの長さとほぼ同じ長さかもしくはそれより長くなり、取込口の長さとほぼ同じ長さとなる。つまり、取込口の位置に保持されている賭率の全単位に相当する数の遊技球が同時に取込樋57に取り込まれても、それら遊技球が互いに流下方向を可変させるような干渉をすることなく同時に取込樋57の内部を流下できるように形成されている。
また、遊技球保持部材51a〜51cが取込口上に位置しているときは、遊技球取込装置50の取込口は、球受け皿15から受入口を経過して流入してきた遊技球を列状に待機させる流路となる。また図4に示すように、この取込口は、受入口側の一端を上端とする傾斜を有し、遊技球が反対側の下端に向けて流転可能となっている。すなわち、取込樋57における前面側および背面側の壁面の上端の面はともに、受入口側の一端を上端とし、ほぼ同じ傾斜を有するように形成される。
また、取込樋57内部には、取込口に保持される待機球の配列に応じた下方位置に、遊技球の通過を検知する複数の遊技球検知手段56a〜56o(検知センサ)が1列に配列して設けられている(図8参照)。この遊技球検知手段56a〜56oについては後述する。
また、遊技球取込装置50の前面側には、前枠4に設置された精算ボタン145の裏面に対向する貫通孔(不図示)が設けられており、この貫通孔からは、球抜きレバー(不図示)が突出する。貫通孔は、球抜きレバーの突出位置の下方に余分の空隙を有し、球抜きレバーの押し下げが可能に開口している。精算ボタン145の裏面と球抜きレバーは、直接または伝達部材を介して間接的に対向接触している。遊技者による精算ボタン145の押下によって球抜きレバーが押し下げられて、球受け皿15に貯留されている遊技球が遊技球取込装置50を介して球抜きされる。この球抜きは、遊技者等により精算ボタンが押下されることに対応し、球抜きレバーが押し下げられると、遊技球取込装置50の取込口下端に面し受入口と対向する壁面が開放される。取込口に待機する遊技球が下皿16に排出される。
また、遊技球取込装置50の背面には、コネクタが設けられている(不図示)。コネクタは、遊技球取込装置50の制御部7や電源装置(不図示)から延びるケーブルと接続されている。このコネクタを介して、遊技球取込装置50へ駆動電力および制御信号が供給され、また遊技球取込装置50からの各種検知信号が取り出される。
(取込機構構成)
次に、本実施形態にかかる遊技機1の遊技球取込装置50における取込機構53について、図5〜7を参照して説明する。
図5および図6に示すように、取込機構53は、取込樋57における取込口の背面側に配置される駆動部54a〜54cと、固定壁57aと待機球を挟んで対向する位置に配置され取込口に対して接離可能に回動する遊技球保持部材51a〜51cと、駆動部54aによって回転されるシャフト55a〜55cを有して構成される。この駆動部54a〜54cは、取込口のほぼ背面側かつ近傍に設置される。また、この駆動部54a〜54cとして、本実施形態では回転駆動させるため、例えばラッチング機能を有するロータリーソレノイドを用いる。この取込機構53は、取込口に遊技球を待機させる保持状態と、待機球を取り込む解除状態との2つの状態を切り替えるものである。
また、図5および図6に示すように駆動部54aには、シャフト55aが回転可能に接続されている。駆動部54aが回転駆動することにより、このシャフト55aが回転される。これは駆動部54bとシャフト55b、駆動部54cとシャフト55cにおいても同様である。
また図5および図6に示すように、遊技球保持部材51aは取込樋57の背面側に配置された駆動部54a側から固定壁57a側に延伸するアーム形状のアーム部511aと、このアーム部511aの一端と連なり、アーム部511aと一体成形される支持バー512aによって構成される。アーム部511aは、駆動部54aが駆動することにより、支持バー512aを回動させるものである。すなわち図5および図6に示すように遊技球保持部材51aのアーム511a一端には、貫通孔が形成され、この貫通孔にはシャフト55aが嵌合される。このように遊技球保持部材51aはシャフト55aを介して駆動部54aに軸支されている。
また、図5および図6に示すようにアーム部511aのシャフト側の一端に対する他端には支持バー512aが設けられている。この図5に示すように支持バー512aは取込口の長さ方向と同方向に一定の長さを有する。すなわちこの長さは、支持バー512aの一端が受入口に隣接するとき、当該一端に対する他端が、賭率の全単位分より1少ない単位に相当する遊技球数分離れた位置となるように形成される。本実施形態において支持バー512aは、図5に示すように、賭率2単位分の遊技球10球分が1列に配列可能な長さを有する。なお、図6および図7における支持バー512aには、図面上ハッチングが施されていないが、図6および図7に示される支持バー512aは、断面として表されたものとする。
また図6に示すように、遊技球保持部材51aはその長さ、すなわちアーム部511aの背面側の一端から支持バー512aの前面側の先端までが、支持バー512aが取込口の背面側の一部分を塞ぐような距離となるように形成される。ただし、支持バー512aが取込口の一部分を塞ぐのは遊技球保持部材51aが保持状態にあるときである。また遊技球保持部材51aは、保持状態において取込口の一部分を塞ぐ支持バー512aの先端から固定壁57aの下端までの距離が、少なくとも遊技球の直径より短くなるような長さに形成される。
また、遊技球保持部材51aの保持状態とは、駆動部54aが制御部7から遊技球の取込指示を受けるまで、シャフト55aを介して支持バー512aを最下端の位置に配置させ、遊技球取込装置50内に流入してきた遊技球が取込樋57内部に流入するのを阻止している状態をいう。また駆動部54aは、図6に示すように遊技球保持部材51aを保持状態とした後、遊技球保持部材51aを上方回動させるまでの間、駆動しない。このとき遊技球保持部材51aにおける取込口側の面は、取込樋57の背面側の壁面の上端の面によって下方から支持される(図6参照)。また、この遊技球保持部材51aを下方から支持する当該壁面の上端の面は、保持状態における遊技球保持部材51aの取込口における位置決めをする役割も果たす。
また駆動部54aは、制御部7から待機球の取込指示があると、シャフト55aを介し、軸支している遊技球保持部材51aを上方に回動させる(図7参照)。遊技球保持部材51aが回動すると、支持バー512aと待機球の接触状態が解除され、遊技球保持部材51aは保持状態から解除状態へと移行する。図7に示すように解除状態においては、支持バー512aが上方回動して取込口が開放される。前述のように取込口の幅は遊技球の直径より長いので、このとき待機球は取込口から取込樋57内部へと流入し、取り込まれる。
また、図8に示すように支持バー512aの取込口側の面かつ、受入口側の端部には、支持バー512aから突出して遊技球の流路を遮蔽し、受入口から遊技球取込装置50への遊技球の流入を阻止する遊技球遮蔽板513aを備えている。この遊技球遮蔽板513aは、遊技球保持部材51aが保持状態にあるときは図8に示すように取込樋57下端側へ突出する。また、遊技球保持部材51aが解除状態にあるときは、支持バー512aから略前面側へ突出する(図10参照)。これによって、遊技球保持部材51aの解除状態において取込口が開放され、待機球を取り込んでいるときに、誤って制御部7からの取込指示に対応した待機球以外の遊技球を遊技球遮蔽板513aより下流に流入させてしまい、当該取込指示以上の余計な遊技球を取り込んでしまうといった事態を防止することができる。
駆動部54aは、解除状態を経て待機球の取り込み動作を完了すると、制御部7からの指示を受け、遊技球保持部材51aを解除状態から、再び保持状態へと移行するように駆動される。
このように、本実施形態の遊技球取込装置50は、保持状態から解除状態へ、すなわち遊技球保持部材51aの端部(支持バー512aの先端)により取込口の一部を塞ぎ、支持バー512aの先端と固定壁57aの下端との間で挟むようにして待機球を保持している状態(図6参照)から、アーム状の遊技球保持部材51aを上方に回動させて、遊技球保持部材51aの先端と待機球との接触を解除し、取込口を開放させて待機球を取り込む構成となっている(図7参照)。
したがって、本実施形態の遊技球取込装置50は、遊技球保持部材を下方に回動させて待機球を取り込む構成と比較すると、遊技球取込装置が待機球の取り込み動作を開始してから待機球と遊技球保持部材との接触が解除されるまでの時間を短縮することができ、待機球の取り込み速度を向上させることができる。これにより、遊技者は遊技機による遊技を円滑に行うことができる。また、待機球の取り込み速度が緩慢であることによる遊技の興趣が失われるといった問題を防止することが可能である。
また図5に示すように遊技球保持部材51bは、遊技球保持部材51aに対して取込口の流路の傾斜下端側(下流側)に隣接して直列に設けられる。また遊技球保持部材51bにおいては、取込口の長さ方向における支持バー512bの長さが、支持バー512aと比較して短い点のみ、遊技球保持部材51aと異なる。その他、遊技球保持部材51bは、シャフト55bとの接続方法および、アーム部511bと支持バー512bとの接続において、遊技球保持部材51aと同様である。また、駆動部54bに対する遊技球保持部材51bの動作も、駆動部54aに対する遊技球保持部材51aの動作と同様となる。
また、図8に示すように支持バー512bも取込口側の面、かつ支持バー512aと隣接する側(上流側)の端部において遊技球遮蔽板513bを有する。この遊技球遮蔽板513bは、遊技球遮蔽板513aと同様の構造を有する。また、遊技球遮蔽板513bは、遊技球保持部材51bが解除状態にあるときに、保持状態の支持バー512aに保持された待機球が下流へ流入してくるのを阻止することにより、誤って制御部7からの取込指示に対応しない待機球を取込樋57に取り込んでしまうといった事態を防止する。
この遊技球保持部材51bにおける支持バー512bの長さは、賭率の1単位に相当する球数より1球少ない球数の遊技球を保持する範囲に拡がる長さを有する。賭率の1単位に相当する遊技球数が5球であれば、4球分をカバーする。
また図5に示すように遊技球保持部材51cは、遊技球保持部材51bのさらに傾斜下端側(下流側)に隣接して直列に設けられる。また、遊技球保持部材51cにおいては、取込口の長さ方向における支持バー512cの長さが、支持バー512a・512bと比較してさらに短い点のみ、遊技球保持部材51a・51bと異なる。その他は、遊技球保持部材51a・51bと同様である。
また、図8に示すように支持バー512cも取込口側の面、かつ支持バー512bと隣接する側(上流側)の端部において遊技球遮蔽板513cを有する。この遊技球遮蔽板513cは、遊技球遮蔽板513a・513bと同様の構造を有する。また図5に示すように、遊技球遮蔽板513cは、遊技球保持部材51cが解除状態にあるときに、保持状態の支持バー512bに保持された待機球が下流へ流入してくるのを阻止することにより、誤って制御部7からの取込指示に対応しない待機球を取込樋57に取り込んでしまうといった事態を防止する。
またこの遊技球保持部材51cにおける支持バー512cの長さは、遊技球1球分を保持する範囲の長さを有する。
また、図5に示すように遊技球保持部材51a〜51cの支持バー512a〜512cは、それぞれ隣接して1列に配置される。支持バー512aは受入口側(上流側)に、支持バー512cは傾斜最下端(下流側)に配置され、また、支持バー512aと支持バー512cとの間に支持バー512bが配置される。この一列に配列された支持バー512aから支持バー512cまでの長さは、取込口に配列される待機球の径すべてを加算した長さ(1列に配列された賭率の全単位に相当する数の待機球の一端から他端までの長さ)とほぼ同じ長さであり、また、言い換えると受入口から取込口の傾斜最下端までの長さとほぼ同じ長さとなる。
(取込機構の取込動作)
次に、本実施形態にかかる遊技機1の遊技球取込装置50における取込機構53の動作について、図5、図9および図10を参照して説明する。図9は、本実施形態における遊技球取込装置50の取込機構53において遊技球保持部材の一部が解除状態となり、取込口の一部分が開放されている状態を示す概略斜視図である。図10は、本実施形態における遊技球取込装置50の取込機構53において、待機球を保持する遊技球保持部材の全部が解除状態となり、取込口の全部が開放されている状態を示す概略斜視図である。
図9に示すように遊技球保持部材51bおよび遊技球保持部材51cそれぞれが、同時に1回取込動作をすることにより賭率の1単位に相当する数の遊技球を取込樋57に取り込む。すなわち、遊技球保持部材51cは1球の遊技球を取込み、遊技球保持部材51bは、賭率の1単位に相当する数から1球少ない数の遊技球を取り込む。
また、図10に示すように遊技球保持部材51a〜51cが同時に1回取込作動することにより、賭率の全単位に相当する数の遊技球を取込樋57に取り込む。また、制御部7からの取込指示に対応して遊技球取込装置50が取込動作をしたものの、待機球が不足しており、最初の取込作動により取り込むことのできなかった不足球が生じる場合がある。この場合さらに遊技球保持部材51cのみが1回または複数回作動することにより、1球ずつ当該不足球を取込樋57に取り込む(図5参照)。
(遊技球検知手段)
次に、図6〜図8を参照して遊技球取込装置50における遊技球検知手段56a〜56oについて説明する。遊技球取込装置50には、取り込まれた遊技球(待機球)を検知する複数の遊技球検知手段56a〜56oが備えられている。この遊技球検知手段56a〜56oは図8に示すように、取込口に待機する待機球それぞれの待機位置の鉛直下方、かつ待機球の配置に対応して1つずつ配置される。さらに遊技球検知手段56a〜56oは図6に示すように取込樋57を構成する一対(前面側・背面側)の壁面それぞれに対向して取り付けられる。
図7に示すように取込機構53における遊技球保持部材51a〜51cが取込口から離隔(上方回動)して、待機球と接触しなくなると取込口が開放され、待機球が取込口から取込樋57へ取り込まれる。この遊技球検知手段56a〜56oは、取込樋57内部でこのように取り込まれた待機球が通過するのを検知する。
すなわち本実施形態では図8に示すように、遊技球保持部材51aの待機球取込動作に対応して、遊技球検知手段56a〜56jが、遊技球保持部材51aに保持されていた賭率2単位分に相当する数(例えば10球)の待機球の通過を検知する。また、遊技球保持部材51bの待機球取込動作に対応して、遊技球検知手段56k〜56nが、遊技球保持部材51bに保持されていた賭率1単位分に相当する数(例えば5球)より1球少ない数の待機球を検知する。また、遊技球保持部材51cの待機球取込動作に対応して、遊技球検知手段56oが、遊技球保持部材51cに保持されていた1の待機球を検知する。
なお各遊技球検知手段56a〜56oは、例えば光センサである。このような各遊技球検知手段56a〜56oは、取込樋57における前面側の壁面に発光部を背面側の壁面に受光部を備えて構成される。この発光部および受光部は、一対で対向して配置されるものであり、それぞれ背面側、前面側のいずれに設けられていてもよい。
遊技球検知手段56の発光部は、光を発光する。受光部は、光を受光すると光検知信号を出力する。遊技球検知手段56は、受光部からの光検知信号が未出力であると、制御部7へ遊技球検知信号を出力する。この光検知信号の未出力によって遊技球検知信号を出力する回路は、図4および図6に示すように遊技球取込装置50の前面側および背面側に設けられた基板58,58上に設置される。
すなわち取込樋57に待機球が取り込まれ、取込口から取込樋57内部へ待機球が流下すると、発光部が発光する光が流下した待機球により一時的に遮断され、受光部へ光が未到達となる。受光部は、光が未到達である期間は光検知信号を出力しない。遊技球検知手段56は、当該光検知信号の未出力を受けて遊技球検知信号を制御部7へ出力する(図11参照)。
(遊技球取込装置の動作)
次に、図4〜9を参照して、本実施形態の遊技球取込装置50の動作の一過程を説明する。
球受け皿15から、図4に示す遊技球取込装置50の受入口を経過して遊技球取込装置50内に流入した遊技球は、取込樋57の前面側の壁面の上端縁に形成された固定壁57aの底面と、保持状態の遊技球保持部材51a〜51cの先端部(支持バー512a〜512c)によって構成される遊技球の流路へ到達する。このとき、この流路は受入口を上端として傾斜しているので、遊技球は当該傾斜路上を流転する。さらにこの遊技球は傾斜の最下端から順に上流側の隣接する遊技球に接触して取込口状の当該流路上に一列に待機する(図4参照)。
遊技者は遊技機1において、図1のBETボタン143aまたはMAX BETボタン143bの押下操作により任意に遊技の賭率(1単位ごとまたは全単位)を選択することができる。ここでは例として、1単位を5球、全単位を3単位とし、15球とする。したがってこの場合、図4に示すように遊技球取込装置50の流路には、15球の遊技球が1列に並んで待機する。
取込機構53における遊技球保持部材51a〜51cは、取込動作を実行する以外では、保持状態となっている。つまり、支持バー512a〜512cが取込口上に位置することにより取込口の一部分を塞いで遊技球の流路を構成している。流路の傾斜を流転した遊技球は、支持バー512a〜512cにおける前面側の先端と固定壁57aの間に挟まれるようにして取込口上に保持される。より詳細には、遊技球保持部材51cに、流路の傾斜最下端における単一の遊技球が保持される。遊技球保持部材51bには、4球の遊技球が保持される。遊技球保持部材51aには、10球の遊技球が保持される。
ここで遊技者がBETボタン143aを押下して例えば賭率の1単位が選択されたものとする。制御部7は、そのBETボタン143aの押下を受けて、賭率の1単位を取込させる遊技球保持部材51b・51cを回動させるために駆動部54b・54cを駆動させる作動開始の制御をする。具体的には、ケーブルやコネクタを介して制御信号(パルス信号)を制御部7から駆動部54b・54cに供給することで、当該駆動部54b・54cを駆動させ、遊技球保持部材51b・51cを回転駆動させる。
なお制御部7は、間欠的に2度のパルスを供給する。1度目のパルス供給では、駆動部54b・54cの上方への回動作動がなされ、2度目のパルス電圧供給では、駆動部54b・54cの下方への戻り作動がなされる。
例えば、制御部7のメインCPU7aの制御に基づき、制御部7が備える図示しない制御パルス発生電気回路からパルス信号を出力することで駆動部54b・54cに電圧を印加して駆動せしめ、シャフト55b・55cを回転させることで支持バー512b・512cを上方に回動させる。そして、待機球の取り込みに要する所要の時間経過後に、再び制御パルス発生電気回路がパルス信号を出力することで駆動部54b・54cに電圧を印加してシャフト55b・55cを逆方向に回転させ、支持バー512b・512cを下方に回動させる。
なお、ロータリーソレノイドは種類によって、その回転量が様々である。したがって、ロータリーソレノイドの回転量によっては、シャフト55b・55cが待機球の取込を最適に行うための回転量より大きく回転してしまう場合がある。この場合は、ロータリーソレノイドの駆動によるシャフト55b・55cの回転量に合わせて、遊技球保持部材51b・51cの形状や位置を調整し、支持バー512b・512cの回動量が、待機球の取り込みに最適となるようにする必要がある。
例えばシャフト55b・55cに軸着するアーム部511b・511cの基端部から、その直下に存する駆動部54b・54cおよび遊技球保持部材51b・51cの載置面までの距離を変更することによって物理的に支持バー512b・512cの回動量を低減させることが可能となる。すなわち、図7に示すように当該基端部の肉厚を厚く形成することにより、駆動部54b・54cが解除状態であるときにおける当該基端部から当該載置面までの距離を短縮する。結果として駆動部54b・54cが作動して遊技球保持部材51b・51cが上方に回動した時に、当該基端部が上方に所定距離以上の回動をすると載置面と接触し当該載置面によってそれ以上の回動が規制されることになるから、結果として支持バー512b・512cの回動量が制限されることになる。
図9に示すように、1度目のパルスが供給された駆動部54b・54cは、遊技球保持部材51b・51cを上方へ回動させる。待機球は支持バー512b・512cとの接触状態から解放され、取込口上での保持状態が解除され、取込樋57の内部の遊技球の流路へ取り込まれる。
このとき、図9に示すように遊技球保持部材51aの不作動によって取り込まれなかった待機球は、取込作動している遊技球保持部材51bの遊技球遮蔽板513bにより下流への流入を阻まれて、遊技球保持部材51b側(遊技球遮蔽板513bより下流)への流入が阻止される。
取込作動後一定時間が経過すると、電源装置は、ケーブルおよびコネクタ等を介して2度目のパルスを遊技球保持部材51b・51cに対応する駆動部54b・54cに対して供給する。遊技球保持部材51b・51cに対応する駆動部54b・54cは、パルスを受けてアーム部511b・511cを介し支持バー512b・512cを下方に回動させる。これによって支持バー512b・512cにより遊技球保持部材51b・51cによる保持状態となる。
支持バー512b・512cにより遊技球保持部材51b・51cが保持状態となると、遊技球保持部材51a上の待機球の流入阻止が解除され、遊技球保持部材51b・51c上に待機球が流下して補充される。
また、図8に示すように、遊技球保持部材51b・51cが解除状態となることにより取込樋57に取り込まれた待機球は、略鉛直下方へ流下する。この流下した遊技球は、区画壁57cにより流下方向がガイドされて対応する取込流路を流下する。区画壁57cの取込口側端面に切欠が形成されているため、遊技球投入時に区画壁57cの端面に遊技球が引掛かり球詰まりを起こす事態が回避される。また、また区画壁57cの幅方向断面形状が接し合う遊技球とこれら遊技球の載置面とで画成される空隙に収まる幅及び高さを有する山型形状となっているため、取込口上に互いに接し合って並ぶ遊技球の間隔と取込流路の間隔を一致させることができ、区画壁57cによる投入阻害も起こらない。この切欠と区画壁57cの断面形状により取込樋57への投入を確実なものとしている。
またこのとき、取込樋57内部の取込流路を流下する待機球は、途中に設置されている遊技球検知手段56k〜56oを通過する。このとき遊技球検知手段56k〜56oでは、発光部が発光する光をこの流下してきた遊技球が遮り、受光部へ当該光が到達しない。このことにより受光部から制御部7へ遊技球検知信号が出力される。つまり、遊技球取込装置50の取込口上の流路最下端から5球分の待機球配列に対応する遊技球検知手段56k〜56oからのみ、遊技球検知信号が出力されて制御部7に入力される。これにより、賭率の1単位に相当する数の待機球が過不足なく取り込まれたことが確認され、遊技開始の許可がなされる。すなわち、遊技者によるレバー141の操作待機の状態となる。
なお、賭率の1単位が選択されたことにより、制御部7によって取込作動開始の制御がされていない遊技球保持部材51aは、電源装置からパルスが送出されずに、保持状態を維持する。また遊技球保持部材51aに対応する各遊技球検知手段56a〜56jは、遊技球の取り込みを検知しない。
(遊技球取込装置の不足球取込動作)
次に、図4〜9を参照して、本実施形態の遊技球取込装置50の不足球取込動作の一過程を説明する。
遊技球取込装置50の流路には、単位数に満たない数の遊技球、例えば賭率の1単位である5球に満たない3球が待機しているものとする。この3球は、流路の傾斜最下端から順に待機している。
図9に示すように、BETボタン143aの押下により1単位の賭率が選択されると、遊技球保持部材51b・51cが上方へ回動する。
この場合、まず遊技球保持部材51cは、取込口上の流路の傾斜最下端における単一の待機球を取込樋57に取り込む。また遊技球保持部材51bは、流路に待機する3球の待機球のうち、遊技球保持部材51cが保持している最下端の待機球より上流側にある2球分の待機球を取込樋57に取り込む。
このように待機球が取込樋57に取込まれると、流路の傾斜最下端から3球分の待機球の配列位置に対応する遊技球検知手段56m〜56oが取り込みを検知するが、その上流2球分の待機球配列位置に対応する遊技球検知手段56k・56lは取り込みを検知せず、制御部7へ取込検知信号が出力されない。
制御部7は、遊技球検知手段56k・56lから取込検知信号が出力されなかったことを受けて、BETボタン143aの押下に対応した1単位の賭率に相当する5球の待機球すべてが取り込まれず不足球が2球分あったと判断する。この判断に基づき制御部7は、遊技球保持部材51cが保持する単一球の取り込みを検知する遊技球検知手段56oから計2回の取込検知信号が出力されるまで、遊技球保持部材51cに取込作動および戻し作動を1セットにした上述の一対のパルスを間欠的に供給させる不足球補充作動を実行する。
ここで制御部7は、不足球補充作動の実行前であって、不足球が発生した遊技球保持部材51b・51cの取込作動後に一旦、これらを保持状態へ復帰させる戻し作動を実行する。すなわち制御部7により、駆動部54b・54cにパルスが供給される。このパルス電圧の供給を受けて、駆動部54b・54cは遊技球保持部材51b・51cを下方に回動させて取込口上に戻し、取込口の背面側の一部を塞ぐ保持状態とする。
なお、遊技球が球受け皿15または遊技球取込装置50にない場合は、遊技者による球受け皿15への遊技球の補充を待つ。遊技者により遊技球が補充されると、補充された遊技球は、球受け皿15を介して遊技球取込装置50に流入し、傾斜された取込口上の流路を流転して遊技球保持部材51cに単一球が保持される。ただしこのように遊技球保持部材51cに単一球が流入することなく一定時間待機しても遊技球が補充されず、不足球の取込みができなかった場合は、あらかじめ取り込まれ、未だ遊技に供されていない遊技球を払い戻す。
不足が発生した取込作動後の戻し作動から一定間隔の時間経過の後、制御部7は、電源装置に遊技球保持部材51cに取込作動させる1回目の制御信号を出力する。この制御信号を受けて、電源装置から遊技球保持部材51cへ1回目の取込作動のためのパルスが供給される。パルスが供給されると、図5に示すように、駆動部54cが遊技球保持部材51cを上方へ回動させ、保持状態が解除されて支持バー512cの先端と待機球とが接触しなくなり、保持していた単一の待機球を取込樋57へ取り込む。
取り込まれた単一の待機球は、取込樋57内部を流下して流路の傾斜最下端の位置に対応する遊技球検知手段56oを通過する。遊技球検知手段56oは、当該待機球の通過を検知して取込検知信号を制御部7へ出力する。制御部7は、この取込検知信号を受けて不足球の残数を1カウントダウンする。
一定間隔の時間経過後、電源装置から駆動部54cへ遊技球保持部材51cを戻し作動するためのパルスが供給される。このパルスの供給を受けて、駆動部54cは遊技球保持部材51cを下方に回動させて取込口上に戻し、取込口の背面側の一部を塞ぐ。また、この下方回動に伴って流入阻止されていた遊技球が遊技球保持部材51cの遊技球遮蔽板513cより下流に流入し、支持バー512cと固定壁57aに挟まれて保持される。
制御部7は、カウントダウンした不足球の残数が0でなければ、電源装置に遊技球保持部材51cを取込作動させる2回目の制御信号出力を行う。この制御信号を受けて、電源装置から駆動部54cへ遊技球保持部材51cによる2回目の不足球取込作動のためのパルスが供給される。パルスが供給されると、図5に示すように、駆動部54cは遊技球保持部材51cを上方へ回動させる。これによって遊技球保持部材51cによる保持状態が解除されて支持バー512cの先端と待機球とが接触しなくなり、保持していた単一の待機球を取込樋57へ取り込む。
この2回目に取り込まれた単一の待機球も、取込樋57内部を流下して流路の傾斜最下端の位置に対応する遊技球検知手段56oを通過する。遊技球検知手段56oは、当該待機球の通過を検知して2回目の不足球の取込検知信号を出力する。制御部7は、この取込検知信号を受けて不足球の残数を1カウントダウンする。
この計2回の遊技球保持部材51cの取込作動を経過して、遊技者が選択した1単位の賭率に相当する数の遊技球の不足補正となり、選択した賭率に対する投入遊技球の不足は解消され、1単位の賭率に対応した遊技が開始可能となる。つまり制御部7では、取込口上の流路の傾斜最下端に保持される待機球の位置に対応した遊技球検知手段56oから計2度の取込検知信号の出力を受けて、不足球の残存数を0であると判断する。不足球の残存数を0と判断すると、制御部7は、遊技開始の許可をする。すなわち、遊技者によるレバー141の操作待機の状態となる。
(制御系の構成)
図11は、遊技機1の制御系を示すブロック図である。遊技機1には、遊技球取込装置50を制御する制御部7が配設されている。制御部7は、メインCPU(Central Proccessing Unit)7aおよびサブCPU7bを主として、図示しないROMに記憶されたプログラムを適宜図示しないRAMに展開し、RAMをワークエリアとしてプログラムを解読および実行をする。
制御部7は、プログラムの実行により、遊技球取込装置50の遊技球取り込みを制御し、演出部5の演出を制御し、遊技状態表示部6や可変表示装置の駆動を制御する。また、遊技球の取り込みに係るエラーを判断し、演出部5および遊技状態表示部6の制御によりエラー処理をする。メインCPU7aは、主に遊技球取り込みの制御、可変表示装置の駆動制御、遊技状態表示部6の表示制御、エラー判断、およびサブCPU7bに対する演出コマンドやエラー報知コマンドの送出をする。サブCPU7bは、演出コマンドを受けて演出部5を制御して遊技の演出をさせ、またエラー報知コマンドを受けて演出部5を制御してエラー報知をさせる。
メインCPU7aには、BETボタン143a、Max BETボタン143b、レバー141、および遊技機1内部に設けられたエラー解除スイッチ146から操作を示す信号が入力される。メインCPU7aは、BETボタン143a、またはMax BETボタン143bからの信号入力に応答して駆動部54a〜54cの駆動を指示する制御信号を出力し、取込機構53(遊技球保持部材51a〜51c)に待機球の取込作動をさせる。
取込機構53の取込作動によって遊技球取込装置50から遊技球検知信号が出力されることにより、賭率に相当する遊技球が取り込まれ、または不足球が充足される。メインCPU7aは、賭率に相当する遊技球が取り込まれると、レバー141からの信号入力があれば遊技を制御し、遊技機1を遊技段階に移行させる。遊技段階では、メインCPU7aは、可変表示装置および遊技状態表示部6を制御し、サブCPU7bに演出コマンドを送出する。サブCPU7bは、演出コマンドを受けて演出部5の演出を制御する。
エラー解除スイッチ146からエラー解除信号が出力されると、メインCPU7aは、後述するエラー処理を解除し、エラー内容に従って、中断した各遊技受け付け段階に復帰し、かつ中断した各エラー判断の段階へ復帰する。
また、メインCPU7aには、発光部と受光部を含み構成される遊技球検知手段56a〜56oが出力する遊技球検知信号が入力される。メインCPU7aは、取込機構53に取込作動をさせる制御信号の出力の有無と遊技球検知信号の入力の有無と作動検知信号の入力の有無との組み合わせ、若しくは遊技球検知信号と作動検知信号の入力タイミング、即ち取込球の検知タイミングと取込機構53の作動タイミングの時系列上の違い等とによってエラーを判断し、サブCPU7bとともにエラー処理を行う。
(作用・効果)
以上説明した本実施形態にかかる遊技機1および遊技球取込装置50の作用および効果について説明する。
本実施形態にかかる遊技機1の遊技球取込装置50は、対向して配置される一対の壁面の上端縁によって構成される取込口から複数配列された遊技球を取り込む。また、当該取込口は遊技球保持部材51a〜cのそれぞれが回動することにより、取込樋の背面側の一部分を塞ぐ保持状態または、当該一部分を開放する解除状態のいずれかの状態に切り替わる。また、この遊技球保持部材51a〜cは、待機球の取り込みに際して、取込口を解除状態とするために上方に回動される。また、この遊技球保持部材51a〜cは、保持状態においては取込口上に位置して、支持バー512a〜cの先端と固定壁57aとの間に待機球を挟むようにして保持する。
したがって、遊技球保持部材を下方に回動させて待機球を取り込む構成と比較すると、遊技球取込装置が待機球の取り込み動作を開始してから待機球と遊技球保持部材との接触が解除されるまでの時間を短縮することができ、待機球の取り込み速度を向上させることができる。これにより、遊技者は遊技機による遊技を円滑に行うことができる。また、待機球の取り込み速度が緩慢であることによる遊技の興趣が失われるといった問題を防止することが可能である。
また、本実施形態にかかる遊技球取込装置50においては、固定壁57aが取込樋57の前面側の壁面から突出し、その突出する長さの量は、保持状態にある後述の遊技球保持部材51a〜51cの先端から、突出した固定壁57aの先端までの距離が、遊技球の径の長さに比べて遊びを有するような程度の長さとなるように形成される。
このように固定壁57aが取込樋57の前面側の壁面から突出していることにより、遊技球保持部材51a〜51cが保持状態にあっても受入口から流入してきた遊技球を取込口下端まで通過させることができる。さらに遊技球取込装置50における取込口上の遊技球の流路における幅に遊びが生じるので、保持状態にある遊技球保持部材51a〜cが上方へ回動する際に、駆動部54a〜cにかかる負荷を軽減させることが可能となる。