以下、本発明に係る遊技機の好適な実施形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。
(遊技機概要)
図1は、本実施形態に係る遊技機の前面パネルを示す図である。遊技機1は、スロットマシンタイプであって遊技媒体として遊技球を使用する所謂パロットと呼ばれる装置である。所定の賭率が選択されると、選択された賭率の単位に応じた球数の遊技球を取り込んで遊技を開始させ、遊技結果に応じた球数の遊技球を払い出す。遊技においては、各種図柄を表面に連続的に付した複数のドラムが回転し、ドラムの停止により表れた図柄の組み合わせに応じて所定数の遊技球が払い出される。
遊技機1は、遊技ホールの島設備に取り付け固定される外枠2と、中枠3及び前枠4で筐体が構成されている。外枠2には、一方の側縁部にヒンジ部12が設けられている。中枠3は、外枠2の前面側に位置し、ヒンジ部12に枢支されて開閉可能となっている。前枠4は、中枠3の前面側に位置し、ヒンジ部12に枢支されて開閉可能となっている。中枠3と前枠4には、枢支端と反対側の側縁部に施錠装置17が設けられている。中枠3と前枠4は、施錠装置17による施錠固定により外枠2に対して一体開閉し得る構成となっている。
前枠4には、表面に演出部5及び遊技状態表示部6が配設されている。演出部5は、液晶ディスプレイ、LEDランプ、及びスピーカを含み構成され、液晶ディスプレイの表示やLEDランプの点滅やスピーカから出力される音によって遊技を演出する。遊技状態表示部6は、LEDランプや7SEGを含み構成される。この遊技状態表示部6は、LEDランプや7SEGの点灯により、賭率や有効な組み合わせラインの表示、遊技球の払い出し数の表示、当たり図柄の表示、クレジットの表示、遊技球の取込不足等、遊技状態の表示をする。
尚、遊技状態表示部6は、クレジット表示等の常時表示すべき情報を表示する表示部分と、適宜状況に応じて情報を表示する表示部分とに大別して配置され、遊技球の取込不足の表示は、適宜状況に応じて情報を表示する表示部分に表示することが望ましい。
前枠4の前面中央には、窓部13が設けられている。窓部13は、中枠3に設置されて前枠4の裏面に臨む可変表示装置を覆い、可変表示装置を視認可能としている。可変表示装置は、表面に各種図柄を連続的に付して並べられた複数のドラムを有する。
窓部13の下方位置には、球受け皿15が配設されている。球受け皿15は、前枠4から遊技機1の外部前方へ膨出したカバー部材150によってその外形が構成されている。この球受け皿15は、入賞により払い出された遊技球を貯留すると共に、この貯留した遊技球を前枠4の裏面に設けた遊技球取込装置50(図3参照)へ供給する。
球受け皿15の下方位置には、下皿16が配設されている。下皿16は、球受け皿15からオーバーフローした遊技球を貯留する。
カバー部材150の上面及び前面には操作部14が設置されている。操作部14には、その前面にレバー141、ストップボタン142及び精算ボタン145が配されている。上面には、BETボタン143a、Max BETボタン143b、及び切替ボタン144が配されている。
レバー141は、操作部14の左側に配されている。ストップボタン142,142,142は、レバー141の右側に各ドラムと対応して並べられている。精算ボタン145は、ストップボタン142の右側に配されている。BETボタン143a及びMax BETボタン143bは、レバー141の上方に配されている。切替ボタン144は、精算ボタン145の上方に配されている。
レバー141は、図柄組み合わせゲームにおける可変表示を開始させるために操作される始動操作手段を構成し、押下操作によって各ドラムを一斉に回転開始させる。ストップボタン142,142,142は、押下操作によって回転中の各ドラムを個別に停止させるため停止操作手段を構成する。
BETボタン143aは、遊技球を投入するための入力手段を構成し、押下操作の回数に応じた賭率の単位に相当する球数の遊技球を投入させる。また、Max BETボタン143bは、一度の押下操作で賭率の全単位に相当する球数の遊技球を投入させる。
切替ボタン144は、既に取り込まれて貯留記憶された状態となっている遊技球や、所定条件成立の結果、遊技者に払い出される遊技球の取扱形式を変更するために取扱形式変更操作手段を構成する。この取扱形式の変更とは、例えば、払い出される遊技球の取り扱いを現実の遊技球として後述する下皿16から排出させるのか、又は仮想遊技球として遊技機の制御装置に貯留記憶させるのかを変更することを意味する。
精算ボタン145は、球受け皿15に貯留されている遊技球を下皿16に排出させる排出操作手段を構成する。すなわち、遊技者が遊技を終了して球受け皿15に貯留されている遊技球を取り出そうとした場合に、当該精算ボタン145が押下操作されることで、球受け皿15内の遊技球が下皿16に排出される。これに加え、精算ボタン145は、BETボタン143aの押下操作により一旦取り込まれた遊技球や、前述した貯留記憶された遊技球を払い出す機能をも具備する。
図2は、前枠4の裏面を示す図である。球受け皿15は、前枠4の裏面から前面へ突出するように嵌め込まれる。球受け皿15の後面は、ステー20によって前面に押し出されるように付勢されている。ステー20は、前枠4の両側縁に沿って設置された金属製の第1の補強部材21及び第2の補強部材22に架設されている。
尚、第1の補強部材21は、ヒンジ部12が取り付けられている。第2の補強部材22には、施錠装置17が取り付けられている。
この前枠4の裏面には、球受け皿15を含み、遊技球が流通する経路が収容されている。前枠4には、球受け皿15の片側上方に、前枠4の裏面から前面へ連通する排出口23が貫穿されている。遊技結果に応じて払い出された遊技球は、前枠4の裏面を通り、排出口23を通って前面に突出した球受け皿15に貯留される。
球受け皿15は、皿底面が排出口23側を上端として反対方向へ傾斜している。傾斜下端に待ちかまえる壁面には、前枠4の裏面側に残る壁部分に、球受け皿15の皿面から外面へ連通する図示しない取込口が貫穿されている。前枠4の裏面側に球受け皿15に貯留される遊技球は、傾斜を流転して取込口を通り、前枠4の裏面へ流入する。
前枠4には、遊技球取込装置50が取り付けられている。ステー20の下方に球受け皿15の後面に臨み、かつ取込口に装置側面を対向させて取り付けられる。装置内部と球受け皿15は、取込口を介して連通している。この遊技球取込装置50は、球受け皿15の取込口を通り流入した遊技球を一時待機させ、BETボタン143a又はMax BETボタン143bの押下に対応して賭率の単位に相当する遊技球を取り込む装置である。
遊技球取込装置50の下方には、取り込んだ遊技球の球供給排出機構への流出経路を形成する機構側流出経路24が配置される。遊技球取込装置50に取り込まれた遊技球は、遊技球取込装置50に形成される出口25から流出して機構側流出経路24に流入し、下方の出口26から遊技機1外部の球供給排出機構へ向けて流出する。
(遊技球取込装置)
図3は、遊技球取込装置50の外観を示す図である。図3に示すように、遊技球取込装置50は、遊技機1の幅方向に長いケース51で覆われている。ケース51は、球受け皿15の裏面に臨む取付面51aに沿って前後方向に割れる前後ケースを合わせて構成される。
ケース51の取付面51aには、前枠4に設置された精算ボタン145の裏面に対向する長形孔51dが内部へ貫通して設けられている。長形孔51dからは、内部に収容されている球抜きレバー52が突出する。長形孔51dは、球抜きレバー52の突出位置下方に余分の空隙を有し、球抜きレバー52の押し下げが可能に開口している。精算ボタン145の裏面と球抜きレバー52は、直接又は伝達部材を介して間接的に対向接触している。遊技者による精算ボタン145の押下によって球抜きレバー52が押し下げられて、球受け皿15に貯留されている遊技球が遊技球取込装置50を介して球抜きされる。
ケース51の上面51bには、上面51bの長辺方向に長い矩形のコネクタ差込口53が貫設されている。コネクタ差込口53は、上面51bの長辺方向一端側に偏って貫穿されている。遊技球取込装置50の制御部7(図13参照)や図示しない電源装置から延びるケーブルは、このコネクタ差込口53に差し込まれて、内部のコネクタ61と接続する。このコネクタ61を介して、遊技球取込装置50へ駆動電力及び制御信号が供給され、また遊技球取込装置50からの各種検知信号が取り出される。
ケース51の取付面51aと上面51bとに直交する一方の側面51cには、球受け皿15の取込口と連通し、遊技球を遊技球取込装置50の内部へ流入させる流入口54が貫穿されている。流入口54は、幅及び高さが遊技球の直径より若干大きく開けられている。この流入口54を通じて遊技球が遊技球取込装置50に流入し、賭率に相当する遊技球数が取り込まれることで遊技開始が許可される。
(遊技球取込装置の内部構成)
図4乃至7は、遊技球取込装置50の内部構成を示す図である。図4は、取付面51a側から観た遊技球取込装置50の内部構成斜視図である。図5は、取付面51aの反対側の面から観た遊技球取込装置50の内部構成斜視図である。図6は、遊技球取込装置50の側面51cとは反対の面から観た断面図である。図7は、遊技球取込装置50の分解斜視図である。尚、各図においては説明の都合上部分的に構成を省いている所がある。
(遊技球取込装置の基本構成)
図4乃至7に示すように、遊技球取込装置50は、遊技球を待機させる待機路55と、待機路55に待機する遊技球の投入作動をする複数の投入機構56(56−1,56−2,56−3)と、投入された遊技球を取り込む取込樋57とを基本的な内部構成とする。
(待機路構成)
待機路55は、帯状の通路であり、流入口54から延設される。取込樋57は、遊技球の滑り台であり、待機路55の一長辺からその直交する方向へ延び、待機路55の全長に亘る幅を有する。投入機構56は、待機路55と取込樋57の上方に位置し、鞘部材56a、ヒンジ部56b、シャフト56c、ラッチングソレノイド56d、プランジャ56f、及び伝達アーム56gで構成される。
待機路55は、遊技球取込装置50に流入してきた複数の遊技球が列状に待機する路面である。待機路55は、流入口54を上端とする傾斜を有し、遊技球が反対側の下端に向けて流転可能となっている。待機路55の全長は、少なくとも賭率の全単位に相当する遊技球が並ぶ長さを有する。待機路55の幅は、遊技球の半径よりも若干長い程度であり、待機路55には遊技球が一列に並ぶ。例えば、賭率の最低単位が5球、賭率の全単位が15球であれば、待機路55の全長は、少なくとも15球の遊技球が一列に並ぶ。
待機路55の幅方向設置位置は、遊技球の直径よりも若干大きく開く流入口54の開口底辺一端から底辺中心よりも若干底辺他端寄りの範囲に設定され、その他の範囲は、全長に亘って切り落とされている。即ち、待機路55の面幅は、遊技球が待機面に載置し得る最低幅となり、遊技球は、待機面の切り落とし側の縁付近を接点として切り落とし側にはみ出して載置される。
(取込樋構成)
取込樋57は、待機路55から遊技球を取り込み流下させる流下面57aである。待機路55の切り落とし側に設置され、待機路55の長辺と直交する方向へ延設されている。この取込樋57は、待機路55の長辺に沿って拡がる開口部57bを有し、待機路55と切り落とし側で連接している。開口部57bの拡がり範囲は、待機路55に待機する賭率の全単位に相当する遊技球が並ぶ範囲に亘る。
流下面57aは、その開口部57bの幅が維持されたまま延びている。賭率の全単位が15球であれば、流下面57aは15球の遊技球が並ぶ幅を有する。即ち、待機路55に待機している遊技球を賭率の全単位に相当する球数を最大にして同時に取込樋57へ投入することが可能であり、複数の遊技球が同時に投入されてもそれら遊技球が互いに流下方向を可変させるような干渉をすることなく流下面57aを流下する。
また流下面57aは、待機路55の下方へ直立し、なだらかな円弧状のカーブを描き湾曲している。流下面57aの側縁には遊技球の脱落を防止する障壁57cが立設されている。
この流下面57aには、複数の区画壁57dが等間隔で立設している。各区画壁57dは、待機路55に待機する各遊技球間に合わせて立設し、流下面57aの延び方向に沿って延設される。開口部57bを始端とし、終端は少なくとも後述する投入球検知手段63の配設位置まで延びる。
この区画壁57dの幅方向断面は、三角形あるいは半円等の山型形状を有し、接し合う遊技球とこれら遊技球の載置面とで画成される空隙に収まる幅及び高さを有する。区画壁57dの開口部57b側端面には、切欠57eが設けられている。切欠57eは、流下面57aの流下方向に向けて迎角をなすように切り欠かれている。
流下面57aは、各区画壁57dの立設により帯状に複数に区画され、区画壁57d間に取込流路57fが形成される。各取込流路57fは、区画壁57dの立設によって、待機する遊技球と一対一で対応して形成され、対応する遊技球が待機する位置から取込樋57の延び方向へ延びる。
(投入機構構成)
投入機構56は、複数配置され、本実施形態において第1の投入機構56−1、第2の投入機構56−2、第3の投入機構56−3が設置される。各投入機構56は、取込樋57の開口部57bに沿って並設されており、待機路55の長辺方向に並んでいる。
これら投入機構56は、それぞれ投入手段たる鞘部材56aを有する。各鞘部材56aは、待機路55に面して長辺方向に並び、待機路55の長辺に沿って所定範囲に拡がり延設される。また、この鞘部材56aは、待機路55の長辺方向から観た断面(待機路55の幅方向に切った断面)において、待機路55の幅方向両側及び上方から当該待機路55上の空間を覆う形状を有する。即ち、待機路55と対向する側のみが開放されている形状を有する。尚、待機路55と鞘部材56aとの間には、鞘部材56aが待機路55上を回動可能な程度の空隙が設けられている。
本実施形態の鞘部材56aは、待機路55の幅方向断面において、半円のアーチ形状を採用する。その他、待機路55に向けて開口する3角形状や四角形状等の多角形状であってもよい。
鞘部材56aは、待機路55上に中空支持されている。鞘部材56aの上方には、鞘部材56aの長辺方向と平行にシャフト56cが固定されている。鞘部材56aのアーチ外周面には、ヒンジ部56bが一体形成されて上方に突出している。シャフト56cは、ヒンジ部56bに貫通して延びている。鞘部材56aは、このシャフト56cによってヒンジ部56bを介して中空に支持される。
シャフト56cに支持された鞘部材56aは、シャフト56cを回動軸として回動可能となっている。シャフト56cは、遊技球取込装置50の固定部分に支持されており、各投入機構56−1,56−2,56−3に共通となっている。鞘部材56aが待機路55を上方から覆う受入位置で静止している状態では、鞘部材56aと待機路55の待機面とで囲まれる包絡線空間に遊技球が流入可能となっている。鞘部材56aが回動して待機路55から最も離れた投入位置へ移動した状態では、収容されている遊技球を取込樋57へ投入するとともに、鞘部材56aの一部分が待機路55上に残存し遊技球流入を阻止する。
投入機構56は、鞘部材56aの回動動力源として、ラッチングソレノイド56dを有する。ラッチングソレノイド56dは、取込樋57の上方に設置されている。取込樋57の上方には、待機路55の待機面と平行に板金56eが設置されている。板金56eは、待機路55の傾斜最下端側に偏って設置されている。ラッチングソレノイド56dは、この板金56e上に載置され、プランジャ56fを待機路55の幅方向と平行に向けている。各投入機構56−1,56−2,56−3のラッチングソレノイド56dは、共通の板金56e上に載置される。
ヒンジ部56bには、伝達アーム56gが立設される。伝達アーム56gは、ヒンジ部56bと一体形成されている。伝達アーム56gの先端とプランジャ56fの先端はリンクして関節となっており、プランジャ56fの突出又は吸引に連動して伝達アーム56gが押し又は引きされるようになっている。
第3の投入機構56−3が有するヒンジ部56bは、第3の投入機構56−3が有する鞘部材56aの長辺に対して、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2側に偏って設置されている。伴って、第3の投入機構56−3のラッチングソレノイド56dは、第3の投入機構56−3のヒンジ部56bに対応して、第3の投入機構56−3が有する鞘部材56aの長辺に対して、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2側に偏って設置されている。コネクタ61を待機路55と取込樋57の占有領域内に配設し、遊技球取込装置50の奥行き方向Aの省スペース化を実現するためである。
第3の投入機構56−3の鞘部材56aには、ヒンジ部56bと対称位置にヒンジ部56jが突出している。ヒンジ部56jには、ヒンジ部56jと共通のシャフト56cが貫設されており、第3の投入機構56−3の鞘部材56aの一方側を支えるための軸受けとなる。ヒンジ部56bが偏ることによって生じる鞘部材56aの回動のがたつきやぐらつきを防止するためである。この回動機構によりシャフト56cによってヒンジ部56j側に均等の回動力を伝達することができる。
この投入機構56では、ラッチングソレノイド56dのプランジャ56fが押し引きされることにより、鞘部材56aがシャフト56cを中心に回動して受入位置と投入位置との間を移動する。プランジャ56fの突出又は吸引が維持された状態では、鞘部材56aが受入位置又は投入位置での静止を維持する。
ラッチングソレノイド56dによるプランジャ56fの突出作動によってプランジャ56fが外部に突出移動すると、伝達アーム56gの先端が取込樋57とは反対の方向へ押し出される。伴って、シャフト56cを挟んで伝達アーム56gの先端と相対する鞘部材56aは、シャフト56cを回動軸としてラッチングソレノイド56dの方向へ開口を向けるように投入位置へ回動する。換言すると、ラッチングソレノイド56dは取込樋57の直上に載置されるため、鞘部材56aは、取込樋57の方向へ開口を向けるように投入位置へ回動する。
また、ラッチングソレノイド56dによるプランジャ56fの吸引作動によってプランジャ56fが内部に吸引移動すると、伝達アーム56gの先端が取込樋57の方向へ戻される。伴って、シャフト56cを挟んで伝達アーム56gの先端と相対する鞘部材56aは、シャフト56cを回動軸としてラッチングソレノイド56dとは反対の方向へ開口を向けるように受入位置へ回動する。換言すると、ラッチングソレノイド56dは取込樋57の直上に載置されるため、鞘部材56aは、待機路55の路面へ開口を向けるように受入位置へ回動する。
この複数の投入機構56は、対応する遊技球の数が異なっている。各投入機構56の配置位置が待機路55の上流から下流になるにつれて、対応する遊技球数が少なくなる。
第1の投入機構56−1は、待機路55の最下流に設置される。第1の投入機構56−1の鞘部材56aは、最下流に待機する単一の遊技球に対応する範囲に拡がるようにその長辺の長さが設定されている。
第2の投入機構56−2は、第1の投入機構56−1に隣接してその一つ下流側に設置されている。第2の投入機構56−2の鞘部材56aは、最下流に待機する単一の遊技球の一つ上流に待機する遊技球からさらに上流に対応する範囲に中空支持される。その長辺の長さは、賭率の一単位に相当する球数より1球少ない球数の遊技球に対応する範囲に拡がるように設定されている。賭率の一単位が5球であれば、最下流に待機する単一の遊技球の一つ上流に待機する遊技球から4球分に対応する。
第3の投入機構56−3は、第2の投入機構56−2に隣接して最上流側に設置されている。第3の投入機構56−3の鞘部材56aは、第2の投入機構が対応する遊技球の一つ上流に待機する遊技球からさらに上流に対応する範囲に中空支持される。その長辺の長さは、賭率の全単位に相当する球数から賭率の一単位に相当する球数を減じた球数の遊技球に対応する範囲に拡がるように設定されている。賭率の全単位が15球、賭率の一単位が5球であれば、第2の投入機構56−2が対応する遊技球の一つ上流に待機する遊技球から10球分に対応する。
即ち、第1の投入機構56−1の鞘部材56aは、遊技球の受入可能上限数が1球、第2の投入機構56−2の鞘部材56aは、遊技球の受入可能上限数が4球、第3の投入機構56−3の鞘部材56aは、遊技球の受入可能上限数が10球となっている。
この第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2は、同時に1回投入作動して受入位置から投入位置へ移動することにより、BETボタン143aの押下に対応した賭率の一単位である5球を取込樋57に投入する。また、全投入機構56−1,56−2,56−3が同時に1回投入作動して受入位置から投入位置へ移動することにより、Max BETボタン143bの押下に対応した賭率の全単位である15球を取込樋57に投入する。さらに各投入機構56が所定回数又は所定時間内に別個に投入位置へ移動する投入作動若しくは受入位置へ移動する受入作動又は現状位置を維持することにより、最初の投入作動により取り込むことのできなかった不足球を取込樋57に投入する。
(遊技球取込装置の内部周辺構成)
このような基本構成を有する遊技球取込装置50には、遊技球の投入作動に係る各種センサや、これらセンサの検知信号を導出する信号線及び投入機構56を投入作動させるための制御信号を供給する信号線を配置する各構成を有する。
遊技球取込装置50は、取込樋57を側面から挟む1対の基板58a及び58bを収容する。基板58aは、取込樋57の裏面に臨み配置され、基板58bは、取込樋57の流下面57aに対向して配置される。基板58aと基板58bは、コネクタ60a及び60bで電気的に接続されている。基板58bには、制御部7や電源装置から延びる信号線をまとめた図示しないケーブルを接続するコネクタ61が配設されている。
コネクタ61は、第3の投入機構56−3のラッチングソレノイド56dの隣に確保されたスペースに配置される。第3の投入機構56−3のラッチングソレノイド56dを他のラッチングソレノイド56dに寄せて配置することを可能としたため、コネクタ61は当該位置に配設可能となる。これにより、コネクタ61は、待機路55及び取込樋57と直列に並ぶことがなく、遊技球取込装置50の省スペース化が達成されている。
尚、基板58bには、ラッチングソレノイド56dにパルスを供給するコネクタ64が配設されている。コネクタ64の配置位置は、ラッチングソレノイド56dの配置位置に対応する。
流下面57aと基板58bとの間には、中間フレーム62が介挿される。中間フレーム62は、基板58bと、投入機構56が載置されている板金56eと、シャフト56cとを支持する。流下面57aと同一の湾曲形状を有し、流下面57a上に遊技球の直径以上の空間を確保して覆っている。
この中間フレーム62は、コネクタ61と対向する位置にコネクタ収容部62aを有する。コネクタ収容部62aは、中間フレーム62の一部を基板58bの反対側へ膨出しており、窪みにコネクタ61を収容する。
中間フレーム62の上縁には、各ラッチングソレノイド56d間に突出するフランジ部62bが立設する。板金56eには、各ラッチングソレノイド56dの間に板金56eの縁から折り曲げられたフランジ部56hが立設しており、中間フレーム62のフランジ部62bと板金56eのフランジ部56hとを面で当接させてボルト等で固定することにより、板金56eが中間フレーム62上に支持される。
また、コネクタ収容部62a及びフランジ部62bの待機路55側の面には、待機路55直上まで突出するアーム62cが立設する。アーム62cの先端には、シャフト56cが挟持されて支持される。
(投入球検知手段)
この遊技球取込装置50には、投入された遊技球を検知する複数の投入球検知手段63(図13参照)が取り付けられている。この投入球検知手段63は、各取込流路57fに一つずつ配置されており、待機している遊技球と一対一で対応している。本実施形態では、第1の投入機構56−1に対応して、第1の投入球検知手段63が第1の投入機構56−1により投入される遊技球を検知する。第2の投入機構56−2に対応して、第2乃至第5の投入球検知手段63が第2の投入機構56−2により投入される遊技球を検知する。第3の投入機構56−3に対応して、第6乃至第15の投入球検知手段63が第3の投入機構56−3により投入される遊技球を検知する。
各投入球検知手段63は、例えば光センサであり、発光部63a及び受光部63bを含み構成される。
発光部63aは、基板58a上に各取込流路57fに一対一対応で配置されている。また、受光部63bは、基板58b上に各取込流路57fに一対一対応で配置されている。各取込流路57fには、取込樋57を貫通する通孔57gが貫穿されており、各発光部63aは、対応する通孔57gに挿入されている。また、中間フレーム62には、各通孔57gと対向する位置に中間フレーム62を貫通する通孔62dが貫穿されており、各受光部63bは、対応する通孔62dに挿入されている。発光部63a及び受光部63bは、通孔57g及び通孔62dを介して対向して配置される。
発光部63aは、光を発光する。受光部63bは、光を受光すると光検知信号を出力する。投入球検知手段63は、受光部63bからの光検知信号が未出力であると、制御部7へ投入球検知信号を出力する。この光検知信号の未出力によって投入球検知信号を出力する回路は、基板58b上に設置される。取込樋57に遊技球が投入され、取込流路57fを遊技球が流下すると、発光部63aが発光する光が一時的に遮断され、受光部63bへ光が未到達となる。受光部63bは、光が未到達である期間は光検知信号を出力せず、投入球検知手段63は光検知信号の未出力を受けて投入球検知信号を制御部7へ出力する。
(作動検知手段)
また、投入機構56の各鞘部材56aには、突起が係止片56iとして突出形成されている。この係止片56iは、鞘部材56aのアーチ外周面から突出し、待機路55と鞘部材56aのアーチ内周面の裏側に位置する。基板58bには、係止片56iと一対一対応で対向してフォトセンサ65が配設されている。即ち、フォトセンサ65は、鞘部材56aのアーチ外周面側に配設され、鞘部材56aと待機路55で囲まれる空間の外側に存在する。フォトセンサ65は、物の近接を検知するセンサである。中間フレーム62のフォトセンサ65に対向する位置には、長形孔62eが貫穿されている。
この係止片56iとフォトセンサ65は、投入機構56の投入位置へ回動する投入作動を検知する作動検知手段66(図13参照)となる。鞘部材56aが回動し、係止片56iの先端が長形孔62eに挿入されてフォトセンサ65に近接すると、フォトセンサ65は、対応する投入機構56が作動したことを示す作動検知信号を出力する。この作動検知信号の適切なタイミングでの出力により投入作動すべき投入機構56の適切なタイミングでの適切な投入作動が確認される。
(回動規制手段及び遊技球流入阻止手段)
長形孔62eは、鞘部材56aの回動範囲を規制する規制手段ともなる。長形孔62eは、係止片56iの挿入位置よりも上方に余分な空隙を有する。係止片56iが挿入されて鞘部材56aがさらに回動すると、長形孔62eの上端に係止片56iが当接し、それ以上の回動を阻止する。長形孔62eの全長は、係止片56iが上端に当接した際に、鞘部材56aの一部分が待機路55上に残存するように設定される。
鞘部材56aが投入位置に達した状態では、待機路55上に鞘部材56aが残存することにより、投入作動中の鞘部材56aのアーチ内部に存する待機路55に遊技球が流入するのを阻止する。また鞘部材56aの裏側に遊技球が流入するのを阻止する。
(遊技球取込装置の取込動作)
図8乃至10は、この遊技球取込装置50の取込動作の一過程を示す図である。図8は、遊技球取込装置50に遊技球が流入している状態を示す図であり、取込樋57の反対側から観た斜視図である。図9は、遊技球取込装置50の遊技球の投入を示す図であり、待機路55の途中位置を長辺方向から観た断面図である。図10は、遊技球取込装置50の遊技球の投入後を示す図であり、取込樋57側から観た斜視図である。
図8に示すように、球受け皿15から流入口54を通って遊技球取込装置50に流入した遊技球は、待機路55の傾斜を流転し、最下端から順に前の遊技球に接触して待機路55上に一列に待機する。ここでは、遊技機1の賭率として一単位又は全単位を選択でき、一単位を5球、全単位を15球とする。遊技球取込装置50には、15球の遊技球が一列に並んで待機する。
投入機構56は、初期状態ではラッチングソレノイド56dがプランジャ56fの吸引を維持している。各鞘部材56aは、開口である弦の部分を待機路55の待機面に対向させて待機路55上に静止している。即ち、受入位置で静止している。待機路55の傾斜を流転した遊技球は、各鞘部材56aの包絡線空間内に収容される。第1の投入機構56−1の鞘部材56aには、最下端の単一遊技球が収容される。第2の投入機構56−2には、4球の遊技球が収容される。第3の投入機構56−3には、10球の遊技球が収容される。
遊技者がBETボタン143aを押下して例えば賭率の一単位が選択されたものとする。制御部7は、そのBETボタン143aの押下を受けて、賭率の一単位を投入させる第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dの投入作動開始の制御をする。具体的には、投入制御信号を電源装置に送出して、ケーブル、コネクタ61、及びコネクタ64を介して第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dにパルスを供給させる。
図9に示すように、投入制御信号によるパルスが供給された第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dは、プランジャ56fを外部へ突出させる。プランジャ56fは、取込樋57とは反対の側へ向けて待機路55の幅方向に突出する。プランジャ56fの突出より、プランジャ56fの先端にリンクしている伝達アーム56gの先端は、取込樋57の反対の側に向けて待機路55の幅方向に押し出される。伴って、鞘部材56aがシャフト56cを回動軸として、取込樋57の方向へ向けて待機路55の幅方向に回動する。即ち、投入位置へ移動する。取込樋57の方向へ回動する鞘部材56aは、内部に収容されている遊技球を待機路55から掻き込み、取込樋57の開口部57bへ放り出す。
鞘部材56aの回動中、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2の鞘部材56aに立設する係止片56iは、中間フレーム62に貫穿された長形孔62eに突入し、長形孔62eの上端に当接して鞘部材56aのそれ以上の回動を規制する。同時にこれら係止片56iは、対応するフォトセンサ65に近接し、各フォトセンサ65から作動検知信号が出力される。作動検知信号の出力により、制御部7は、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2の作動を確認する。
鞘部材56aの回動が規制された状態では、鞘部材56aのアーチ形状の一部分が待機路55上に残存する。第3の投入機構56−3の鞘部材56a内に収容されていて投入されなかった遊技球は、投入作動している第2の投入機構56−2の鞘部材56aに阻まれて、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2の裏側及び鞘部材56aの内部への流入が阻止される。さらには、球受け皿15内の遊技球の遊技球取込装置50への流入が阻止される。
制御部7から受入制御信号が出力されない限りは、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2は鞘部材56aの投入位置での静止を現状維持する。
制御部7が第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2に対する受入制御信号を出力すると、電源装置からは、ケーブル、コネクタ61、及びコネクタ64を介して2度目のパルスが第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dに対して供給される。第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2のラッチングソレノイド56dは、パルスを受けてプランジャ56fを吸引する。伴って鞘部材56aが待機路55上へ戻り、鞘部材56aの弦部分を待機路55に対向させて静止する。即ち、受入位置で静止する。
鞘部材56aが待機路55上に戻ると、流入阻止をされていた遊技球の流入が解除され、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2の鞘部材56aの包絡線空間内に遊技球が流入して補充される。
制御部7から新たに投入制御信号が出力されない限りは、第1の投入機構56−1及び第2の投入機構56−2は鞘部材56aの投入位置での静止を現状維持する。
図10に示すように、開口部57bへ放り出された遊技球は、区画壁57dにより流下方向がガイドされて対応する取込流路57fを流下する。取込流路57fを流下する遊技球は、途中に設置されている投入球検知手段63を通過する。投入球検知手段63では、遊技球により発光部63aが発光する光の受光部63bへの到達を遮られ、投入球検知信号が出力される。最下端から5列分の取込流路57fに設置されている投入球検知手段63からのみ、投入球検知信号が出力されて制御部7に入力される。これにより、賭率の一単位に相当する遊技球が過不足なく取り込まれたことが確認され、遊技開始の許可がなされる。即ち、レバー141の操作待機の状態となる。
尚、賭率の一単位が選択されたことにより、制御部7によって投入作動開始の制御がされていない第3の投入機構56−3は、電源装置からパルスが送出されずに、鞘部材56aの開口面(アーチ部分を弧とした場合の弦の部分)を待機路55に対向させたまま静止状態を現状維持する。第3の投入機構56−3に対応する作動検知手段66は、第3の投入機構56−3の投入作動を検知せず、また第3の投入機構56−3に対応する各投入球検知手段63は、遊技球の投入を検知しない。
(制御系の構成)
図11は、遊技機1の制御系を示すブロック図である。遊技機1には、遊技球取込装置50を制御する制御部7が配設されている。制御部7は、メインCPU(Central Proccessing Unit)7a及びサブCPU7bを主として、図示しないROM(Read Only Memory)に記憶されたプログラムを適宜図示しないRAM(Random Access Memory)に展開し、RAMをワークエリアとしてプログラムを解読及び実行をする。
制御部7は、プログラムの実行により、遊技球取込装置50の遊技球取り込みを制御し、演出部5の演出を制御し、遊技状態表示部6の表示を制御する。メインCPU7aは、主に遊技球取り込みの制御、遊技状態表示部6の表示制御や遊技球不足の報知表示、及びサブCPU7bに対する演出コマンドの送出をする。サブCPU7bは、演出コマンドを受けて演出部5を制御して遊技の演出をさせる。
メインCPU7aには、BETボタン143a、Max BETボタン143b、レバー141からの操作を示す信号が入力される。メインCPU7aは、BETボタン143a、又はMax BETボタン143bからの信号入力に応答して、投入すべき遊技球の投入要球数の初期値をセットし、各投入機構56の投入作動を指示する投入制御信号若しくは受入作動を指示する受入制御信号を出力し、鞘部材56aを投入位置若しくは受入位置へ移動させ、又は現状位置を維持させる。
また、メインCPU7aには、作動検知手段66から投入機構56の投入作動を検知したことを示す作動検知信号が入力され、投入球検知手段63から遊技球が投入されたことを示す投入球検知信号が入力される。作動検知信号は、各投入機構56の作動状態を示す作動状態情報となり、投入球検知信号は、実際に投入された遊技球数を示す情報となる。
メインCPU7aは、賭率に相当する遊技球が取り込まれると、レバー141からの信号入力があれば遊技を制御し、遊技機1を遊技段階に移行させる。遊技段階では、メインCPU7aは、遊技球取込装置50の制御、遊技状態表示部6の制御を行い、サブCPU7bに演出コマンドを送出する。サブCPU7bは、演出コマンドを受けて演出部5の演出を制御する。
(制御系による遊技球取込制御方法)
このような制御部7の遊技球取り込み制御についてさらに詳細に説明する。図12は、制御部7の遊技球取込制御に係る機能ブロック図である。
図12に示すように、制御部7は、投入要球数演算部71と、残留情報取得部72と、作動判断部73、信号出力部74、報知制御部75とを備える。
投入要球数演算部71は、メインCPU7aを含み構成される。この投入要球数演算部71は、投入要球数をカウントする。投入要球数は、投入する遊技球の球数である。この投入要球数は、BETボタン143a又はMax BETボタン143bが押下された時点では、賭率に応じて取り込む遊技球の総数であり、不足球を取り込む時点では、その不足球数である。
投入要球数演算部71は、BETボタン143aの押下による信号が入力されると、BETボタン143aの押下に対応して投入する遊技球数を投入要球数の初期値としてRAM上にセットする。また、Max BETボタン143bの押下による信号が入力されると、Max BETボタン143bの押下に対応して投入する遊技球数を投入要球数の初期値としてRAM上にセットする。BETボタン143aの押下に対応して投入する遊技球数は、例えば5球である。Max BETボタン143bの押下に対応して投入する遊技球数は、例えば15球である。
さらに、投入要球数演算部71は、投入球検知手段63から遊技球が投入されたことを示す投入球検知信号が入力されると、RAM上の投入要球数を一つの信号入力に対して1球分減算する。複数の投入球検知手段63が遊技球の投入を検知してそれぞれ投入球検知信号を出力すると、その投入球検知信号の数と同一数分だけ投入要球数を減算する。
残留情報取得部72は、メインCPU7aを含み構成される。この残留情報取得部72は、投入機構56の作動毎に残留情報を取得する。残留情報は、遊技球が残留している投入機構56の種類及びその残留数を示す情報である。
尚、本実施形態では、残留情報取得部72は、残留情報と等価の情報として前回作動状態情報を取得する。待機路55上に待機している遊技球を検出するセンサを設けなくとも、遊技球が残留している投入機構56の種類及びその残留数と等価の情報が得られる点で有効である。
この前回作動状態情報は、各投入機構56が前回の作動制御により遷移した作動状態を示す情報であり、図13に示すように、各投入機構56に対応して前回の作動制御により投入位置で静止しているか(図中ON)又は受入位置で静止しているか(図中OFF)の情報を含む。投入位置で静止している鞘部材56aを備える投入機構56には、残留している遊技球はなく、また受入位置で静止している鞘部材56aを備える投入機構56には、遊技球が残留していることが予測され、残留数はその鞘部材56aが受け入れることのできる最大数であるとみなすことができる。
残留情報取得部72は、制御部7により各投入機構56へ投入制御信号若しくは受入制御信号を出力する度に、投入機構56毎に出力した制御信号の有無及び種別を取得し、前回作動状態情報を更新する。投入制御信号を出力した投入機構56に対する前回作動状態情報には、投入位置で静止していることを示す「ON」を書き込み、受入制御信号を出力した投入機構56に対する前回作動状態情報には、受入位置で静止していることを示す「OFF」を書き込む。制御信号が出力されなかった投入機構56に対する前回作動状態情報は、「ON」又は「OFF」を保持する。
作動判断部73は、メインCPU7aを含み構成される。この作動判断部73は、投入要球数情報及び前回作動状態情報とリミット情報から、投入機構56の作動制御態様を決定する。作動制御態様として、投入機構56を投入作動させるか、若しくは受入作動させるか、又は現状維持させるかを決定する。
リミット情報は、1回のBETボタン143a又はMax BETボタン143bの押下に対して制御部7が作動制御した回数である。即ち、賭率に応じて投入すべき遊技球数を充足するためになされた作動制御の回数である。
作動判断部73は、リミット情報が所定回数に達していなければ、遊技球を投入するための作動制御態様を決定する。リミット情報が所定回数に達していれば、遊技者による遊技球の補充を受け入れるための作動制御態様を決定する。リミット情報が所定回数に達するまでに投入要球数が0球にならなければ、そもそも遊技球取込装置50に流入した遊技球数が賭率に応じて取り込むべき遊技球数に満たないおそれがあるためである。遊技者による遊技球の補充を受け入れるための作動制御態様は、全ての投入機構56を受入位置へ復帰させる態様である。同時に、作動判断部73は、リミット情報が所定回数に達していれば、サブCPU7bに遊技球補充を促す演出コマンドを出力する。
作動判断部73は、リミット情報が所定回数に達していなければ、投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせに応じて作動制御態様を決定する。まず、作動判断部73は、投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせが以下の条件A又は条件Bを満たすか否かを判断する。条件Aを満たす場合は、対応する作動制御態様Aに決定し、条件Bを満たす場合には、対応する作動制御対応Bに決定する。条件Aと条件Bとは、条件Aを最優先とする。条件Aと条件Bの何れも満たさない場合は、作動制御態様Cに決定する。
・条件A:受入位置に静止している投入機構56の組み合わせの一つに、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値に投入要球数と一致する組み合わせが存在する。
・作動制御態様A:その組み合わせの投入機構56を最優先して投入作動させる。
・条件B:待機路55下流側に設置された投入機構56が投入位置で静止していることを示す。
・作動制御態様B:投入位置で静止している投入機構56を優先して受入作動させる。
・作動制御態様C:受入位置に静止している投入機構56の組み合わせのうち、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値が投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせの投入機構56を投入作動させる。
受入位置に静止している投入機構56の組み合わせは、単独を含む。受入位置に静止している投入機構56の組み合わせは、前回作動状態情報が受入位置に静止していることを示す「OFF」となっている投入機構56の単独を含む組み合わせである。投入位置に静止している投入機構56の組み合わせは、前回作動状態情報が投入位置に静止していることを示す「ON」となっている投入機構56の単独を含む組み合わせである。
投入機構56の組み合わせは、本実施形態のように第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3とが配置されている場合には、以下の7通りである。
・第1の投入機構56−1のみ
・第2の投入機構56−2のみ
・第3の投入機構56−3のみ
・第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2
・第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3
・第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3
・第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3
条件Aでは、上記組み合わせのうち、前回作動状態情報が受入位置に静止していることを示す「OFF」となっている組み合わせについて判断する。条件Bでは、条件組み合わせのうち、前回作動状態情報が投入位置に静止していることを示す「ON」となっている組み合わせについて判断する。
対応遊技球数は、鞘部材56aに受入可能な最大許容数である。即ち、第1の投入機構56−1の対応遊技球数は1球、第2の投入機構56−2の対応遊技球数は4球、第3の投入機構56−3は10球である。また、対応遊技球数の合算値は、各組み合わせに応じて規定されるものであり、第1の投入機構56−1のみの組み合わせでは1球、第2の投入機構56−2のみの組み合わせでは4球、第3の投入機構56−3のみの組み合わせでは10球、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2の組み合わせでは5球、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3の組み合わせでは11球、第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3の組み合わせでは14球、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3の組み合わせでは15球である。
待機路55下流側に設置された投入機構56とは、残留球を保持する投入機構56、即ち受入位置に静止している投入機構56から見て、その下流側に設置された投入機構56である。受入位置に静止しており前回作動状態情報が「OFF」となっている投入機構56の下流側に投入位置に静止しており前回作動状態情報が「ON」となっている投入機構56が存在するか否かを判断する。
作動判断部73は、前回作動状態情報が条件A及び条件Bを満たす場合は、作動制御態様Aを優先する。条件Aを満たす場合には、次回の作動制御により投入要球数の全てを投入できることが期待できる。条件Aを満たさない場合は、投入要球数に極力近い遊技球数を投入すべく、作動制御態様Cに決定する。この作動制御態様Cにおいて、投入要球数以下となる遊技球数を投入するために、条件Bを満たす場合には作動制御態様Bに決定する。
条件A及び条件Bを満たす組み合わせは、投入要球数と前回作動状態情報との組み合わせに応じて規定され、また作動制御態様Cにおいて作動させる投入機構56の組み合わせは、前回作動状態情報の組み合わせに応じて規定されるため、作動判断部73は、投入要球数と前回作動状態情報とが所定の組み合わせになっているか否かを判断し、投入要球数と前回作動状態情報との組み合わせに一対一で対応させて作動制御態様を決定する。
信号出力部74は、メインCPU7aを含み構成される。この信号出力部74は、作動判断部73で決定された作動制御態様に従って、各投入機構56に対する投入制御信号若しくは受入制御信号を個々に出力し、又は現状維持のため制御信号を個々に出力しない。
報知制御部75は、サブCPU7bを含み構成される。この報知制御部75は、演出部5及び遊技状態表示部6を制御し、演出表示をさせる。遊技機1に備えられる演出部作動判断部73から遊技球補充を促す演出コマンドが出力されると、演出部5及び遊技状態表示部6に遊技球補充を施す表示をさせる。
(制御系の遊技球取込動作)
図14は、このような制御部7の遊技球取込動作を示すフローチャートである。尚、本説明では、BETボタン143a又はMax BETボタン143bの一回の押下に対する遊技球取込動作を説明する。従って、BETボタン143a又はMax BETボタン143bの押下時点では、全ての投入機構56が受入位置で静止しており、前回作動状態情報には全ての投入機構56に対して受入位置で静止していることを示す「OFF」が書き込まれていることを前提とする。
まず、BETボタン143a又はMax BETボタン143bの押下を示す信号が制御部7に入力されると(S01,Yes)、投入要球数演算部71は、その信号に対応した投入要球数の初期値をセットする(S02)。例えば、BETボタン143aが押下されれば、投入要球数として5球をセットし、Max BETボタン143bが押下されれば、投入要球数として15球をセットする。
次に、作動判断部73は、投入要球数演算部71がセットした投入要球数情報と残留情報取得部72が取得した前回作動状態情報を読み出し(S03)、投入要球数と前回作動状態情報との組み合わせが条件A又は条件Bを満たすか否かを判断する(S04〜S08)。
条件A、即ち、投入要球数と前回作動状態情報との組み合わせが、受入位置に静止している投入機構56の組み合わせの一つに、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値に投入要球数と一致する組み合わせが存在することを示す場合には(S04、Yes)、作動制御態様A、即ち、その組み合わせの投入機構56を投入作動させる作動制御態様に決定する(S05)。
作動判断部73は、予め投入機構56の各組み合わせと、この各組み合わせに対する対応遊技球数の合算値を示す数値情報を対にして記憶している。この条件Aの判断及び判断に基づく作動制御態様では、まず前回作動状態情報から受入位置に静止している投入機構56の種類を取得する。次に、取得した受入位置に静止している投入機構56の種類のうち少なくとも一つを含む投入機構56の各組み合わせと対になった数値情報を取得する。この数値情報と投入要球数とを順次比較し、投入要球数と一致する数値情報があれば、その数値情報と対になった投入機構56の各組み合わせを投入作動させる作動制御態様に決定する。
第1の投入機構56−1の対応遊技球数を1球、第2の投入機構56−2の対応遊技球数を4球、第3の投入機構56−3の対応遊技球数を10球とし、BETボタン143aの押下に対応する賭率を充足するための投入要球数を5球、Max BETボタン143bの押下に対応する賭率を充足するための投入要球数を15球とすると、初回の作動制御では、条件Aを満たすことが期待されるため、作動制御態様Aが決定される。
条件Aを満たさず(S04,No)、条件B、即ち、投入要球数と前回作動状態情報との組み合わせが、待機路55下流側に設置された投入機構56が投入位置で静止していることを示す場合には(S06,Yes)、作動制御態様B、即ち、当該投入位置で静止している投入機構56を優先して受入作動させる作動制御態様に決定する(S07)。
この条件Bの判断及び判断に基づく作動制御態様では、前回作動状態情報を参照し、第3の投入機構56−3以外の投入機構56の何れかに対して投入位置で静止していることを示す「ON」が書き込まれていれば、この「ON」が書き込まれている投入機構56を受入作動させる作動制御態様に決定する。
初回の作動制御では、条件Bを満たさないため、作動制御態様Bには決定されない。
条件A及び条件Bを満たさない場合(S06,No)、作動制御態様C、即ち受入位置に静止している投入機構56の組み合わせのうち、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値が投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせの投入機構56を投入作動させる作動制御態様に決定する(S08)。
作動判断部73は、予め投入機構56の各組み合わせと、この各組み合わせに対する対応遊技球数の合算値を示す数値情報を対にして記憶している。まず前回作動状態情報から受入位置に静止している投入機構56の種類を取得する。次に、取得した受入位置に静止している投入機構56の種類のうち少なくとも一つを含む投入機構56の各組み合わせと対になった数値情報を取得する。この数値情報と投入要球数とを順次比較し、投入要球数以下を示す数値情報を選出する。選出された数値情報同士を比較し、選出された数値情報のうち、最も大きい値を示す数値情報をさらに選出する。この最終的に選出された数値情報と対になった投入機構56の各組み合わせを投入作動させる作動制御態様に決定する。
作動制御態様が決定されると、信号出力部74は、決定された作動制御態様に従って各投入機構56に対する投入作動若しくは受入作動の制御信号を出力する(S09)。
BETボタン143aの押下に伴う初回の作動制御では、作動制御態様が、第1の投入機構56−1を投入作動させ、第2の投入機構56−2を投入作動させ、第3の投入機構56−3を現状維持させるように決定されているため、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2に対する投入制御信号を出力する。Max BETボタン143bの押下に伴う初回の作動制御では、作動制御態様が、第1の投入機構56−1を投入作動させ、第2の投入機構56−2を投入作動させ、第3の投入機構56−3を投入作動させるように決定されているため、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3に対する投入制御信号を出力する。
さらに、制御信号の出力と共に、残留情報取得部72は、決定された作動制御態様に従って前回作動状態情報を更新する(S10)。
BETボタン143aの押下に伴う初回の作動制御では、第1の投入機構56−1に対する前回作動状態情報を、投入位置で静止していることを示す「ON」に書き替え、第2の投入機構56−2に対する前回作動状態情報を、投入位置で静止していることを示す「ON」に書き替え、第3の投入機構56−3に対する前回作動状態情報を、受入位置で静止していることを示す「OFF」に維持する。
Max BETボタン143bの押下に伴う初回の作動制御では、第1の投入機構56−1に対する前回作動状態情報を、投入位置で静止していることを示す「ON」に書き替え、第2の投入機構56−2に対する前回作動状態情報を、投入位置で静止していることを示す「ON」に書き替え、第3の投入機構56−3に対する前回作動状態情報を、受入位置で静止していることを示す「ON」に書き替える。
制御信号を出力すると、制御部7は、投入球検知信号を監視する。投入要球数演算部71は、投入球検知手段63から投入球検知信号が入力されると、入力された信号一つ一つに対応して投入要球数を1ずつカウントダウンする(S11)。各投入球検知手段63から総計5つの投入球検知信号が入力されると、投入要球数を5カウントダウンする。
カウントダウンの結果、投入要球数が0球になれば(S12,Yes)、全ての投入機構56に対して受入位置へ作動させる制御信号を出力して全ての鞘部材56aを受入位置へ戻し(S16)、制御部7による遊技球の取り込み処理を終了する。このとき、全ての投入機構56に対する前回作動状態情報は、受入位置で静止していることを示す「OFF」に書き替えられる。
一方、カウントダウンの結果、投入要球数が0球でなければ(S12,No)、作動判断部73は、リミット情報を1回カウントアップし(S13)、リミット情報が所定回数以上でなければ(S14,No)、S04〜S13を繰り返す。リミット情報が所定回数に達していれば(S14,Yes)、報知制御部75は、演出部5及び遊技状態表示部6を制御し、遊技球補充を促す報知をさせ(S15)、信号出力部74は、全ての投入機構56に対して受入位置へ作動させる制御信号を出力して全ての鞘部材56aを受入位置へ戻し(S16)、制御部7による遊技球の取り込み処理を終了する。このとき、全ての投入機構56に対する前回作動状態情報は、受入位置で静止していることを示す「OFF」に書き替えられる。
(制御系による遊技球取込動作具体例)
この制御部7の取込動作例を図15乃至17を用いて具体的に説明する。図15乃至17は、制御部7の遊技球取込動作の手順を模式化した図である。
図15は、投入要球数情報として15球が取得され、かつ対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得された場合を示す。即ち、Max BETボタン143bの押下直後の状態を表す。
この前回作動状態情報は、投入機構56の組み合わせのうち、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3で構成される組み合わせの対応遊技球の合算値が15球であり、投入要球数と一致していることを示している。従って、作動判断部73は、投入要球数情報として15球が取得され、かつ対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、条件Aを満たし、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3の全てを投入作動させる作動制御態様Aに決定する。
第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3の全てに対応遊技球に相当する球数の遊技球が実際に受け入れられていれば、投入球検知手段63から15個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が0球となり、遊技球の取り込みが終了する。
図16は、投入要球数情報として14球が取得され、かつ対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得された場合を示す。即ち、Max BETボタン143bの押下に伴い遊技球の取り込みを行ったものの、実際には遊技球取込装置50には遊技球が1球しか流入しておらず、一度全ての投入機構56が受入位置に復帰して新たに遊技球が補充された状態を表す。
この前回作動状態情報は、投入機構56の組み合わせのうち、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3で構成される組み合わせの対応遊技球の合算値が15球であり、投入要球数と一致していないことを示している。また、この前回作動状態情報は、受入位置に静止している投入機構56よりも下流に投入位置で静止している投入機構56が存在しないことを示す。
従って、作動判断部73は、受入位置に静止している投入機構56の組み合わせのうち、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値が投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせの投入機構56を投入作動させる作動制御態様Cに作動制御態様を決定する。
即ち、作動判断部73は、投入要球数情報として14球が取得され、かつ対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3を投入作動させる作動制御態様に決定する。
第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3の全てに対応遊技球に相当する球数の遊技球が実際に受け入れられていれば、投入球検知手段63から、投入要球数以下となる最大数である11個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が3球となる。尚、第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3を投入作動させると14球が投入されて投入要球数を超過し、また第3の投入機構56−3のみを投入作動させると10球が投入されて最大数とはならない。
この一回目の作動制御により、投入要球数情報として3球が取得される。また、前回作動状態情報には、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれる。
この新たな投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせは、受入位置で静止している第2の投入機構56−2の対応遊技球の合算値が4球であり、投入要球数と一致していないことを示している。また、この前回作動状態情報は、受入位置に静止している第2の投入機構56―2よりも下流に配置される第1の投入機構56−1が投入位置で静止していることを示すため、条件Bを満たす。従って、作動判断部73は、投入位置で静止している第1の投入機構56−1を優先して受入作動させる作動制御態様Bに作動制御態様を決定する。
第2の投入機構56−2に1球以上の遊技球が実際に受け入れられていれば、第1の投入機構56−1に1球が流入する。この作動制御では、投入球検知手段63から投入球検知信号が入力されず、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が3球となる。また、前回作動状態情報には、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれる。
この新たな投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせは、受入位置で静止している第2の投入機構56−2の対応遊技球の合算値が5球であり、投入要球数と一致していないことを示している。また、この前回作動状態情報は、受入位置に静止している投入機構56よりも下流に投入位置で静止している投入機構56が存在しないことを示す。
従って、作動判断部73は、3回目の作動制御において、受入位置に静止している投入機構56の組み合わせのうち、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値が投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせの投入機構56を投入作動させる作動制御態様Cに作動制御態様を決定する。
即ち、作動判断部73は、投入要球数情報として3球が取得され、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、かつ第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第1の投入機構56−1を投入作動させる作動制御態様に決定する。
第1の投入機構56−1に対応遊技球に相当する球数の遊技球が実際に受け入れられていれば、投入球検知手段63から、投入要球数以下となる最大数である1個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が2球となる。
以下、上記2回目と3回目の作動制御を2回繰り返すことによって、14球の投入要球数全てが投入され、取込処理が終了する。
尚、作動制御の結果、期待される球数が投入されなくとも、投入された球数で減じられた投入要球数と、作動制御の結果を反映した前回作動状態情報とによって次の作動制御を実施する。単一の遊技球に対応する第1の投入機構56−1を投入作動させて、この第1の投入機構56−1に対応する投入球検知手段63から投入球作動信号が入力されなければ、リミット情報が所定回数以上となっていなくとも遊技球の補充を促す報知を行い、全ての投入機構56を受入位置に復帰させるようにしてもよい。
図17は、全投入機構56に合計11球しか遊技球が受け入れられておらず、投入要球数が11球とカウントされている場合を示す。前回作動状態情報は、対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている。しかし、実際には、対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1には1球の遊技球が受け入れられており、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2には4球の遊技球が受け入れられており、対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3には6球の遊技球が受け入れられている。例えば、Max BETボタン143bが押下されたが、その際、遊技球取込装置50には4球しか流入しておらず、複数回の作動制御がリミット回数を超え、演出部5及び遊技状態表示部6が遊技球補充を促す報知を行い、11球のみが補充された場合が考えられる。
この前回作動状態情報は、投入機構56の組み合わせのうち、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3で構成される組み合わせの対応遊技球の合算値が15球であり、投入要球数である11球と一致していないことを示している。また、この前回作動状態情報は、受入位置に静止している投入機構56よりも下流に投入位置で静止している投入機構56が存在しないことを示す。
従って、作動判断部73は、受入位置に静止している投入機構56の組み合わせのうち、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値が投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせの投入機構56を投入作動させる作動制御態様Cに作動制御態様を決定する。
即ち、作動判断部73は、投入要球数情報として11球が取得され、かつ対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3を投入作動させる作動制御態様に決定する。
実際には、この作動制御態様で各投入機構56が作動すると、投入球検知手段63から、7個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が4球となる。
この一回目の作動制御により、投入要球数情報として4球が取得される。また、前回作動状態情報には、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれる。
この新たな前回作動状態情報は、受入位置で静止している第2の投入機構56−2の対応遊技球の合算値が4球であり、投入要球数と一致していることを示し、条件Aを満たしている。従って、作動判断部73は、投入要球数情報として4球が取得され、かつ第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第2の投入機構56−2を最優先して投入作動させる作動制御態様Aに決定する。
第2の投入機構56−2に実際に4球の遊技球が受け入れられているので、投入球検知手段63から4個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が0球となり、遊技球の取り込みが終了する。
このような作動制御を行うことで、全ての投入機構56に遊技球が充足している場合には、投入要球数が15球であると1度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が14球であると7度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が13球であると5度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が12球であると3度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が11球であると1度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が10球であると1度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が9球であると9度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が8球であると7度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が7球であると5度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が6球であると3度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が5球であると1度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が4球であると1度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が3球であると6度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が2球であると4度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。投入要球数が1球であると1度の作動制御で遊技球の取り込みが完了する。
また、全ての投入機構56に遊技球が充足しておらず、待機路55に待機している遊技球数を検出するセンサが備えられていなくとも、投入要球数情報及び前回作動状態情報に従い作動制御することで、投入要球数を効率的に取り込むことができる。
(制御系による遊技球取込方法変形例)
作動判断部73による作動制御態様の判断について変形例を示す。
作動判断部73は、上記条件Aに代えて条件A'を判断し、条件Bに優先して条件B'を判断し、条件A'を満足していれば、作動制御態様A'に決定し、条件A'を満たさず条件B'を満足していれば、作動制御態様B'に決定するようにし、条件A'及び条件B'を満たさず条件Bを満足していれば、作動制御態様Bに決定するようにし、てもよい。
・条件A':受入位置に静止している投入機構56の組み合わせの一つにその組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値の整数倍に投入要球数と一致する組み合わせが存在する。
・作動制御態様A':その組み合わせの投入機構56を最優先して投入作動させる。
・条件B':投入位置で静止している投入機構56の組み合わせの一つにその組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値の整数倍に投入要球数と一致する組み合わせが存在する。
・作動制御態様B':その組み合わせの投入手段を優先して受入作動させる。
条件A'は、受入位置に静止している投入機構56に対応した対応遊技球数の合算値の整数倍と、投入要球数との一致を判断するものである。対応遊技球数の合算値の整数倍には、1倍も含む。例えば、投入位置で静止している投入機構56のある組み合わせの対応遊技級数の合算値が4球であり、投入要球数が8球であれば、合算値の2倍と投入要球数とが一致するため、条件A'を満たす。この条件A'に合致すると、対応遊技球数の合算値の整数倍が投入要球数と一致する組み合わせの投入機構56について投入作動及び受入作動をその倍数に示す回数だけ繰り返せば、投入要球数を効率的に取り込むことが可能となる。尚、条件A'は、条件Aを包含しており、条件Aに代えて条件A'を判断するようにすればよい。
条件B'は、投入位置で静止している投入機構56に対応した対応遊技球数の合算値の整数倍と、投入要球数との一致を判断するものである。対応遊技球数の合算値の整数倍には、1倍も含む。例えば、投入位置で静止している投入機構56のある組み合わせの対応遊技級数の合算値が4球であり、投入要球数が4球であれば、合算値の2倍と投入要球数とが一致するため、条件B'を満たす。この条件B'に合致すると、対応遊技球数の合算値の整数倍が投入要球数と一致する組み合わせの投入機構56を受入作動させれば、次回の作動制御時に条件A又はA'を満たすこととなり、投入要球数を効率的に取り込むことが可能となる。
条件A'の判断では、全投入機構56が受入位置で静止しており、投入要球数が8球の場合にさらに効率的な取り込みが可能となる。
図18は、投入要球数情報として8球が取得され、かつ対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得された場合の制御部7の取込動作例を示す。
この前回作動状態情報は、投入機構56の組み合わせのうち、第2の投入機構56−2の対応遊技球の合算値が4球であり、この対応遊技球数の2倍と投入要球数と一致していることを示し、条件A'を満たしている。従って、作動判断部73は、投入要球数情報として8球が取得され、かつ第1の投入機構56−1、第2の投入機構56−2、及び第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第2の投入機構56−2を投入作動させる作動制御態様A'に決定する。
第2の投入機構56−2に対応遊技球に相当する球数の遊技球が実際に受け入れられていれば、投入球検知手段63から4個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が4球となる。
この一回目の作動制御により、投入要球数情報として4球が取得される。また、前回作動状態情報には、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれる。
この新たな投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせは、受入位置に静止している第3の投入機構56―3よりも下流に配置される第2の投入機構56−2が投入位置で静止していることを示し、条件Bを満たしている。従って、作動判断部73は、投入位置で静止している第2の投入機構56−2を優先して受入作動させる作動制御態様Bに作動制御態様を決定する。
第3の投入機構56−3に4球以上の遊技球が実際に受け入れられていれば、第2の投入機構56−2に4球が流入する。この作動制御では、投入球検知手段63から投入球検知信号が入力されず、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が4球となる。また、前回作動状態情報には、全ての投入機構56に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれる。
この新たな投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせは、第2の投入機構56−2の対応遊技球の合算値が4球であり、投入要球数と一致していることを示し、条件A若しくは条件A'を満たしている。従って、作動判断部73は、投入要球数情報として4球が取得され、かつ全ての投入機構56に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第2の投入機構56−1を投入作動させる作動制御態様A若しくはA'に決定する。
第2の投入機構56−2に対応遊技球に相当する球数の遊技球が実際に受け入れられていれば、投入球検知手段63から4個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が0球となり、遊技球の取り込みが終了する。
この条件A'の判断及び作動制御態様A'の採用によっては、投入要球数が8球の場合、作動制御回数が3回に短縮される。また、単一の遊技球を対応遊技球として受け入れる第1の投入機構56−1に投入負担がかからない。
さらに条件B'の判断では、全投入機構56が受入位置で静止しており、投入要球数が9球の場合にさらに効率的な取り込みが可能となる。
図19は、投入要球数情報として9球が取得され、かつ対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1、対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2、及び対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得された場合の制御部7の取込動作例を示す。
この投入要球数情報と前回作動状態情報は、条件A若しくはA'、及び条件Bを満たしていない。従って、作動判断部73は、受入位置に静止している投入機構56の組み合わせのうち、その組み合わせの投入機構56の対応遊技球数の合算値が投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせの投入機構56を投入作動させる作動制御態様Cに作動制御態様を決定する。
即ち、作動判断部73は、投入要球数情報として9球が取得され、かつ全投入機構56の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2を投入作動させる作動制御態様に決定する。
第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2の全てに対応遊技球に相当する球数の遊技球が実際に受け入れられていれば、投入球検知手段63から、投入要球数以下となる最大数である5個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が4球となる。
この一回目の作動制御により、投入要球数情報として4球が取得される。また、前回作動状態情報には、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれる。
この新たな投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせは、入位置にある第2の投入機構56−2の対応遊技球の合算値が4球であり、この合算値の2倍と投入要球数と一致していることを示し、条件B'を満たしている。従って、作動判断部73は、投入要球数情報として4球が取得され、かつ第1の投入機構56−1、第2の投入機構56−2に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第2の投入機構56−2を受入作動させる作動制御態様B'に決定する。
第3の投入機構56−3に4球以上の遊技球が実際に受け入れられていれば、第2の投入機構56−2に4球が流入する。この作動制御では、投入球検知手段63から投入球検知信号が入力されず、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が4球となる。また、前回作動状態情報には、第2の投入機構56−2及び第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、第1の投入機構56−1に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれる。
この新たな投入要球数情報と前回作動状態情報の組み合わせは、第2の投入機構56−2の対応遊技球の合算値が4球であり、投入要球数と一致していることを示し、条件A若しくは条件A'を満たしている。従って、作動判断部73は、投入要球数情報として4球が取得され、かつ第2の投入機構56−2及び第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、第1の投入機構56−1に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれている前回作動状態情報が取得されると、第2の投入機構56−1を投入作動させる作動制御態様A若しくはA'に決定する。
第2の投入機構56−2に対応遊技球に相当する球数の遊技球が実際に受け入れられていれば、投入球検知手段63から4個の投入球検知信号が入力され、投入要球数演算部71による投入要球数のカウントダウンの結果、投入要球数が0球となり、遊技球の取り込みが終了する。
この条件B'の判断及び作動制御態様B'の採用によっては、投入要球数が9球の場合、作動制御回数が3回に短縮される。また、単一の遊技球を対応遊技球として受け入れる第1の投入機構56−1は、作動回数が1回で済み、投入負担がかからない。
(作動判断部73による作動判断プロセスの変形例)
次に、作動判断部73による作動判断処理の変形例を説明する。
作動判断部73は、投入要球数情報と前回作動状態情報とを参照することで、投入要球数と残留情報とが条件A又はB、あるいは条件A'又はB'を満たすか否か判断し、判断結果に応じて作動制御態様を決定した。投入要球数情報と前回作動状態情報との組み合わせに応じて、その組み合わせがどの条件を満たし、又は満たさないかは一意に規定される。本変形例では、作動判断部73は、ROM等で構成される図20乃至27に示す作動テーブルを予め備え、この作動テーブルに従って作動制御態様を決定する。即ち、条件一致判断の処理を行わず、投入要球数情報と前回作動状態情報との組み合わせに合致するテーブルに従い作動制御態様を決定する。
図20乃至図27に示す作動テーブルは、投入要球数情報と前回作動状態情報との組み合わせに一対一で対応させた作動制御態様を記憶している。尚、図中の「フラップ」なる用語は、投入機構56を指し、「状態」なる用語は、前回作動状態を指し、「動作1」なる用語は、作動制御態様を指し、フラップの要素となるアルファベット「C」「B」「A」は、順に第3の投入機構56−3、第2の投入機構56−2、第1の投入機構56−1を指し、例えば「12球投入要求用」なる用語は、投入要球数情報が12球を示している場合を意味する。
図20に示す作動テーブルは、対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1と対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2と対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(15球〜1球)に対応するテーブルである。
図21に示す作動テーブルは、第1の投入機構56−1に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(13球〜1球)に対応するテーブルである。
図22に示す作動テーブルは、第2の投入機構56−2に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(13球〜1球)に対応するテーブルである。
図23に示す作動テーブルは、第3の投入機構56−3に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(13球〜1球)に対応するテーブルである。
図24に示す作動テーブルは、第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれ、第1の投入機構56−1と第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(13球〜1球)に対応するテーブルである。
図25に示す作動テーブルは、第2の投入機構56−2に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、第1の投入機構56−1と第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(13球〜1球)に対応するテーブルである。
図26に示す作動テーブルは、第1の投入機構56−1に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれ、第2の投入機構56−2と第3の投入機構56−3に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(13球〜1球)に対応するテーブルである。
図27に示す作動テーブルは、全投入機構56に対して投入位置に静止していることを示す「ON」が書き込まれている前回作動状態情報と各投入要球数(13球〜1球)に対応するテーブルである。
これら作動テーブルは、各投入機構56が受入位置で静止しているか又は投入位置で静止しているかの全ての組み合わせ毎に、全ての投入要球数の組み合わせに応じて記憶されている。この投入要球数と前回作動状態情報との各組み合わせに対応して記憶されている作動制御態様は、投入要球数と前回作動状態情報との各組み合わせが条件Aを満たす組み合わせであれば作動制御態様A、条件A'を満たす組み合わせであれば作動制御態様A'、条件Bを満たす組み合わせであれば作動制御態様B、条件B'を満たす組み合わせであれば作動制御態様B'、条件をいずれもみたさなければ投入要球数と前回作動状態情報との組み合わせに応じて一意に規定される作動制御態様Cとなっている。
図28は、これら作動テーブルを有する作動判断部73の作動判断プロセスを示すフローチャートである。
これら作動テーブルを有する作動判断部73は、まず投入要球数と前回作動状態情報とを取得する(S21)。投入要球数と前回作動状態情報とを取得すると、この投入要球数と前回作動状態情報の組み合わせに合致する作動テーブルを検索する(S22)。
例えば、投入要球数が8球、前回作動状態情報には、対応遊技球数が1球の第1の投入機構56−1と対応遊技球数が4球の第2の投入機構56−2と対応遊技球数が10球の第3の投入機構56−3の全てに対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている場合、図20に示すテーブルA−8が検索される。
作動テーブルが検索されると、作動判断部73は、検索した作動テーブルに記憶されている作動制御態様を読み出し、読み出した作動制御態様に決定する(S23)。
テーブルA−8には、第2の投入機構56−2のみを投入作動させる作動制御態様が記述されている。8球の投入要球数情報と、全投入機構56に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報とは、条件A'を満たすため、作動制御態様A'である第2の投入機構56−2のみを投入作動させる態様が記述されているものである。
以下、投入要球数が0でなければ、S21〜S23の処理が行われる。8球の投入要球数情報と、全投入機構56に対して受入位置に静止していることを示す「OFF」が書き込まれている前回作動状態情報の場合には、上述のようにテーブルA−8が参照されて、4球が投入される。次に図22に示すテーブルC−4が参照されて第3の投入機構56−3に受け入れられていた遊技球のうち4球が第2の投入機構56−2の鞘部材56a内に流入する。そして図20に示すテーブルA−4が参照されて第2の投入機構56−2が受け入れている4球が投入され、8球の遊技球取込が終了する。
尚、図20乃至27に示すように、各作動テーブルには、決定した作業制御態様によって期待される遊技球の取込数と、その遊技球数が取り込まれた場合の次回作動において参照される作動テーブルの識別情報とを記述しておいてもよい。この識別情報は、期待される遊技球の取込数が実現した場合に一意に定まる投入要球数情報と前回作動状態情報との組み合わせとから、一意に定まる作動テーブルを示す情報である。
作動判断部73は、作動制御態様を決定する際に参照した作動テーブルに記述された取込数が投入球作動検知信号の数と同一であれば、次回作動において参照される作動テーブルの識別情報を参照して、次回作動において参照する作動テーブルを決定する。即ち、取込数と次回作動において参照される作動テーブルの識別情報とを各作動テーブルに記述しておくことによって、期待された取込数を満足する限りは、作動テーブルの検索処理を省くことができる。
(作用効果)
このように、本発明では、賭率に応じた球数と投入された遊技球とから投入要球数を演算し、この投入要球数を示す投入要球数情報と遊技球が残留している投入手段の種類及びその残留球数を示す残留情報とに基づき、各投入手段のそれぞれを投入若しくは受入作動又は現状維持させるようにした。従って、投入すべき遊技球数に不足が生じても、その不足分の取り込みによって余剰球が発生することはなく、遊技者の遊技意欲を殺ぐことを防ぐことができるとともに、全体として取込時間が短縮される。また作動する投入手段の偏りを少なくなる。
また、残留情報を、各投入手段の前回作動状態を示す前回作動状態情報とすることで、残留している投入手段の種類やその残留球数を監視する必要がなくなり、この投入手段の種類やその残留球数の算出に係る処理時間を省くことができ、より取込時間が短縮される。
また、受入位置に静止している投入手段の組み合わせの一つにその組み合わせの投入手段の対応遊技球数の合算が投入要球数と一致する組み合わせが存在することを、投入要球数情報と前回作動状態情報とが示す場合には、その組み合わせの投入手段を最優先して投入作動させるようにしてもよい。これにより、投入手段の対応遊技球数の合算が投入要球数と一致する組み合わせが存在すれば、投入すべき遊技球数に不足が生じてもその不足分の取り込みによって余剰球を発生させることがなく、遊技者の遊技意欲を殺ぐことを防ぐことができるとともに、取込時間をより短縮することができる。
また、投入要球数と各投入手段の前回作動状態との組み合わせに応じて、受入位置に静止している投入手段の組み合わせのうち、その組み合わせの投入手段の対応遊技球数の合算が前記投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせの投入手段を投入作動させるようにしてもよい。これにより、投入手段の対応遊技球数の合算が投入要球数と一致する組み合わせが存在しなくても、余剰球を発生させない措置をとることができ、遊技者の遊技意欲を殺ぐことを防ぐことができるとともに、取込時間をより短縮することができる。
また、複数種類の投入手段を、対応遊技球数が少ない順に前記待機路下流から上流側へ配置し、待機路下流側に設置された投入手段が投入位置で静止していることを、投入要球数と前記前回作動状態とが示す場合には、当該投入位置で静止している投入手段を優先して受入作動させるようにしてもよい。これにより、対応遊技球数の合算が前記投入要球数以下かつ最大数となる組み合わせを作り易くなり、余剰球を発生させない措置をとることができ、取込時間短縮の実効をより図ることができる。
また、投入要球数と前回作動状態との各組み合わせに対応して、次回作動させる投入手段の組み合わせを示す作動テーブルを予め記憶し、作動テーブルに従って投入手段を作動させるようにしてもよい。これにより、投入要球数情報と前回作動状態情報が何れの条件を満たすか判断する必要なく次回作動を決定できるので、取込時間をさらに効果的に短縮することができる。
また、作動テーブルには、投入が期待される遊技球数と、次回参照する作動テーブルを示す識別情報とが予め記憶され、投入制御手段は、実際に投入された遊技球数が前記期待される遊技球数と一致していると、識別情報で示された作動テーブルに従ってさらに前記投入手段を作動させるようにしてもよい。これにより、投入要球数と前回作動状態との各組み合わせに対応した作動テーブルを検索する処理を省くことが可能となり、取込時間をさらに効果的に短縮することができる。
尚、本実施形態では、作動検知手段66を備える。残留情報取得部72は、前回の作動制御後に、作動検知手段66からの信号出力の有無を監視し、信号の有無によって前回作動状態情報を更新してもよい。作動検知信号が出力されていなければ、作動検知信号を出力していない作動検知手段66に対応する投入機構56の前回作動状態情報を、受入位置で静止していることを示す「OFF」に書き替え又は維持する。作動検知信号が出力されていれば、作動検知信号を出力している作動検知手段66に対応する投入機構56の前回作動状態情報を、投入位置で静止していることを示す「ON」に書き替え又は維持する。
また、リミット情報は、作動制御回数を基準としたが、時間を示す情報としてもよい。リミット情報が示す時間が所定時間に達していない限りは、作動制御を実施する。
また、本実施形態では、待機路55に待機する遊技球を検出するセンサを備えていない遊技球取込装置50であっても取込時間の短縮や作動の偏り低減に効果的な技術を説明した。本発明は、待機路55に待機する遊技球を検出するセンサを備えた遊技球取込装置50であっても、同等な効果を得ることができる。即ち、このようなセンサを備えた遊技球取込装置50であっても、条件Aを満たせば作動制御態様Aに決定し、条件Bを満たせば作動制御態様Bに決定し、条件A及び条件Bを共に満たさなければ作動制御態様Cに決定することで、取込時間の短縮や作動する投入機構56の偏りを低減することができる。
この待機路55に待機する遊技球を検出するセンサを備えた場合、作動テーブルに従って実質的な判断処理を行うことなく作動制御態様を決定するようにしてもよいし、待機球を検出するセンサから残留球数と遊技球が残留している投入機構56の種類を直接取得し、その残留情報が条件A及び条件Bに従うか否かを判断してもよい。投入機構56が静止している位置は、遊技球が残留しているか否かで検出することが可能である。
待機球を検出するセンサから残留球数と遊技球が残留している投入機構56の種類を直接取得する場合、受入位置に静止する投入機構56とは、遊技球が残留している投入機構56を指す。また、対応遊技球数は、実際に残留している遊技球数であっても、受入可能な遊技球数の上限値であってもよい。対応遊技級数を実際に残留している遊技球数とする場合、作動判断部73は、実際に残留している遊技球数を投入機構56単位で合算して、投入要球数と比較する。