JP4746212B2 - プロピレン系樹脂組成物、それを用いたフィルムおよび積層樹脂フィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性が高く、ブロッキング性の少ないプロピレン系樹脂組成物、それを用いたフィルムおよび積層樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
メタロセン触媒を用いて製造されたプロピレン系樹脂は、従来のTi、Mg、Cl等を主成分とするチーグラー触媒によって得られるプロピレン系樹脂に比べて、コモノマー含量に対する融点降下が大きく、Tダイ成形によって得られたフィルムはブロッキングが小さくかつ低温ヒートシール性に優れていることから、シーラントフィルム用途への展開に大きな期待が寄せられている。
【0003】
しかしながら、本発明者等が検討した結果、メタロセン触媒によるプロピレン系樹脂は、Tダイを用いてフィルムに成形した場合、引き取り速度を低速にする等のフィルムの除熱に充分な時間をかけて成形するときは、優れた透明性が得られるのに対して、成形速度を高速にする等によって冷却が充分でなくなると透明性が低下することが判明した。
【0004】
その原因は、メタロセン触媒によるポリプロピレン系樹脂は一般的に分子量分布が狭く、フィルムを成形する際配向結晶が小さいため、結晶化が遅くなり冷却条件によってはフィルム中の球晶が大きく成長し、フィルム表面に凹凸が形成されてフィルム透明性が低下することによるものと推定される。
【0005】
フィルムを充分に冷却するためには成形速度を低くすることが望ましいが、商業生産ラインでは生産性が重要となるため成形速度を低下することは望ましい方法ではない。また冷却温度を下げることも考えられるが、冷却温度を下げるためには大型の冷却装置を必要とし、製造コストが上昇する問題がある。従って、成形条件に依存せず品質を確保し得る樹脂を開発することが必要となる。
【0006】
この目的のために、核剤を添加して結晶核を生成させることが考えられるが、核剤を添加する場合は、核剤を効果的に樹脂中に分散させることが重要となり、分散不良に基づくフィルムの品質低下が発生し易いという問題がある。また、核剤の添加では充分な透明性改良効果が得られない問題がある。
【0007】
このため、生産速度を大としたときも透明性の優れた樹脂フィルムが得られるプロピレン系樹脂の開発が要請されている。
【0008】
また、樹脂フィルムは、包装用材としての用途に多く用いられるため、低温耐衝撃性と共に低温ヒートシール性が要求される。特に近年は包装工程が高速化しており低温でヒートシールし得ることが重要なため、エラストマーを配合する技術が一般的となっている。しかし、エラストマーが配合されるとさらに結晶化が低下するためフィルムの透明性が低下する問題がある。
【0009】
かかる事情から、生産速度を大としたときも透明性の優れ、低温耐衝撃性と共に低温ヒートシール性に優れた樹脂フィルムが得られるプロピレン系樹脂の開発が望まれているところである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、フィルム透明性の冷却条件依存性が軽減され、表面平滑性がよく、透明性の優れたフィルムを得ることができると共に、低温耐衝撃性、低温ヒートシール性に優れ、Tダイ成形における成形性の優れたプロピレン系樹脂組成物、プロピレン系樹脂フィルム、および、積層樹脂フィルムを提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等が鋭意研究した結果、メタロセン系触媒によって重合された特定のプロピレン・α−オレフィン共重合体に特定の物性のポリエチレンワックスを少量添加することによって、透明性の優れたフィルムを得ることができることが見いだされ、本発明に至ったものである。
【0012】
具体的には、成分(A)メタロセン系触媒によって重合されたプロピレン・α−オレフィン共重合体50〜98重量部、成分(B)プロピレン系エラストマーまたはエチレン系エラストマー2〜50重量部、及び、成分(C)ポリエチレンワックス0.001〜5.0重量部(ただし、成分(A)、(B)、(C)の合計量を100重量部とする)とからなり、成分(A)、成分(B)、成分(C)がそれぞれ下記の条件を満たすことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物
【0013】
成分(A):プロピレン・α−オレフィン共重合体
1)230℃メルトインデックスが2〜30g/10分、
2)DSCで求めた主たる融解ピーク温度(Tm)が110〜145℃、
【0014】
成分(B):エラストマー
(B−1)プロピレン系エラストマー
下記1)2)を満足するエラストマー
1)プロピレンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
2)炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
(B−2)エチレン系エラストマー
下記3)4)を満足するエラストマー
3)エチレンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
4)α−オレフィンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
【0015】
成分(C):ポリエチレンワックス
1)密度が0.94〜0.98g/cm3であること、
2)140℃溶融粘度が10cps以上であること
【0016】
また、本発明は、成分(A)を製造するためのメタロセン触媒として、下記一般式(1)で表される化合物またはその部分水素添加物が使用されてなるプロピレン系樹脂組成物を提供するものである。
【0017】
【化2】
【0018】
[ここで、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を、XおよびYはMと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、R1、R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又はリン含有炭化水素基を示し、さらに、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又はリン含有炭化水素基を示す。]
【0019】
さらに、上記のプロピレン系樹脂組成物をTダイを用いて成形してなるプロピレン系樹脂フィルム、および、該プロピレン系樹脂フィルムを含む樹脂積層フィルムを提供するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明プロピレン系樹脂組成物は、メタロセン系触媒によって重合された特定のプロピレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン系エラストマーまたはエチレン系エラストマー及びポリエチレンワックスとからなる。
【0021】
本発明において、「からなる」とは、上記の2成分のほかに合目的な第三成分を添加することを排除するものではない。
【0022】
<成分(A):プロピレン・α−オレフィン共重合体>
本発明の成分(A)プロピレン・α−オレフィン共重合体は、主成分であるプロピレンと従成分(コモノマー単位)であるα−オレフィン単位とからなるものであり、ブロック共重合体であってもよく、また、ランダム共重合体であってもよいが、好ましくはランダム共重合体である。
【0023】
コモノマーとして用いられるα−オレフィンはエチレンを含み、一般的には、エチレン、炭素数4〜18の1−オレフィンが用いられ、具体的には、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ヘプテン、4−メチル−ペンテン−1、4−メチル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等を挙げることができる。好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、特に好ましくはエチレンを挙げることができる。
【0024】
共重合体中のプロピレン単位の割合は、好ましくは80.0〜99.9モル%、好ましくは85.0〜99.5モル%、特に好ましくは90.0〜99.0モル%であり、コモノマーは0.1〜20.0モル%、好ましくは0.5〜15.0モル%、特に好ましくは1.0〜10.0モル%である。コモノマーとして、上記のαーオレフィンは1種類に限られず、ターポリマーのように2種類以上を用いた多元系共重合体とすることもできる。
【0025】
成分(A)の共重合体は以下の条件1)、2)を満足するプロピレン・α−オレフィン共重合体が使用される。また、望ましくは、以下の条件3)を条件1)、2)と同時に満足するプロピレン・α−オレフィン共重合体が用いられる。
【0026】
1)メルトインデックス(MIP)
230℃(2.16Kg)メルトインデックス(MIP)が、2〜30g/10分、好ましくは3〜15g/10分、さらに好ましくは5〜10g/10分のプロピレン・α−オレフィン共重合体が用いられる。メルトインデックスが2g/10分より小さいときは吐出性が劣りTダイ成形性が低下し、30g/10分より大きいときはフィルム強度が低下するため好ましくない。
【0027】
2)DSCで求めた主たる融解ピーク温度(Tm)
プロピレン・α−オレフィン共重合体は、DSCで求めた主たる融解ピーク温度(Tm)が110〜145℃、好ましくは115〜140℃のものが使用される。融解ピーク温度(Tm)が110℃より低いときは、フィルムとしての実用環境内であっても高温時にはフィルム同士のブロッキングが生じ易くなるため好ましくなく、145℃を超えるときは低温ヒートシール性が損なわれるため同様に望ましくない。
【0028】
3)プロピレン系樹脂組成物(成分(A)、成分(B)及び成分(C))を、Tダイを用いて冷却温度25℃と45℃で厚み25μmのフィルムを成形したとき、その表面の原子間力顕微鏡により測定される平均面粗さ[Ra(A+B+C)25]、[Ra(A+B+C)45]と、成分(A)のみをTダイを用いて冷却温度25℃および45℃で25μmのフィルム成形したときその表面の原子間力顕微鏡により測定される平均面粗さ[Ra(A)25]、[Ra(A)45]が、下記関係式(1)、(2)、(3)、(4)を満足すること。
【0029】
[Ra(A)45 ]−[Ra(A)25 ] ≧10 数式(1)
[Ra(A)45 ] ≧15 数式(2)
[Ra(A+B+C)45]−[Ra(A+B+C)25]<10 数式(3)
[Ra(A+B+C)45] <15 数式(4)
【0030】
また、フィルム表面の原子間力顕微鏡による平均面粗さ[Ra(A)25 ]、[Ra(A)45 ]、[Ra(A+B+C)25]、[Ra(A+B+C)45]の測定は、原子間力顕微鏡サイクリックコンタクトモードを用いれば測定することができ、下記数式(5)に従って計算処理することにより、平均面粗さRa、すなわち三次元方向の凹凸の程度を定量的に知ることができる。
【0031】
【数1】
【0032】
ここで、数式(5)中、F(X,Y)は測定面、Soは測定面積、YT〜YBはY方向測定範囲、XL〜XRはX方向測定範囲、Zoは基準面である。Zoは下記式(6)で表される。
【0033】
【数2】
【0034】
本発明におけるプロピレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒を用いて重合される。
【0035】
メタロセン触媒としては、上記のポリプロピレン系樹脂が得られる限りいかなるものであってもよいが、一般的には、Zr、Ti、Hf等の4〜6族遷移金属化合物、特に4族遷移金属化合物と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体の基を有する有機遷移金属化合物を使用することができる。
【0036】
シクロペンタジエニル誘導体の基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。
【0037】
また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合されたものが望ましい。
【0038】
本発明によるプロピレン系樹脂を製造するために好ましいメタロセン触媒としては下記一般式(1)で表される遷移金属化合物を用いることができる。
【0039】
【化3】
【0040】
[ここで、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を示し、Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、XおよびYはMと結合した水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基又はケイ素含有炭化水素基を示し、そして、R1、R3はそれぞれ水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又はリン含有炭化水素基を示し、さらに、R2はそれぞれ水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又はリン含有炭化水素基を示し、それらの中でも好ましくは炭素数が6〜16のアリール基を示す。]
【0041】
Qは、2つの共役5員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、たとえば、(イ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の2価の炭化水素基、(ロ)シリレン基ないしオリゴシリレン基、(ハ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12の炭化水素基を置換基として有するシリレンあるいはオリゴシリレン基、(ニ)ゲルミレン基、または(ホ)炭素数1〜20の炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基、等が例示される。この中でも好ましいものはアルキレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
【0042】
X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なってもよくて、(イ)水素、(ロ)ハロゲン、(ハ)炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の炭化水素基、または、(二)酸素、窒素、あるいはケイ素を含有する炭素数1〜20、好ましくは1〜12、の炭化水素基を示す。このうちで好ましいものは、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基等を例示することができる。
【0043】
R1、R3は、炭素数1〜20の炭化水素基、又は炭素数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、もしくはリン含有炭化水素基を表し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基等が例示される。また、炭化水素基以外に、ハロゲン、ケイ素、窒素、酸素、ホウ素、リン等を含有する、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基、等を典型的な例として例示できる。これらの内で、炭化水素基であることが好ましく、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチルであることが特に好ましい。
【0044】
R2はそれぞれ水素、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン、炭素数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基を示し、それらの中でも好ましくは炭素数が6〜16のアリール基であり、具体的にはフェニル、α−ナフチル、β−ナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニルなどである。また、これらのアリール基は、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数が1〜20のハロゲン化炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基で置換されたものであってもよい。これらのうち、好ましいのは、フェニル、ナフチル、ハロゲン化フェニル、ハロゲン化ナフチルである。
【0045】
Mはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
【0046】
上記遷移金属化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
(1)メチレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(2)メチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(3)メチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(4)メチレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(5)メチレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(6)メチレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(7)エチレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(8)エチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(9)エチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(10)エチレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(11)エチレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(12)エチレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(13)イソプロピリデンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(14)イソプロピリデンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(15)ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(16)ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(17)ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(18)ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(19)ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(20)ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(21)フェニルメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(22)フェニルメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(23)フェニルメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(24)フェニルメチルシリレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(25)フェニルメチルシリレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(26)フェニルメチルシリレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(27)ジフェニルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(28)ジメチルゲルミレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(29)ジメチルゲルミレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(30)ジメチルゲルミレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(31)ジメチルゲルミレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(32)ジメチルゲルミレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(33)ジメチルゲルミレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド等が例示される。
【0047】
これらの中では、特にジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリドが好ましい。
【0048】
また、水素添加物としては、
(1)メチレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(2)メチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(3)メチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(4)メチレンビス{1,1’−(2−エチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(5)メチレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(6)メチレンビス[1,1’−{2−エチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(7)エチレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(8)エチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(9)エチレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(10)イソプロピリデンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(11)ジメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(12)ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(13)ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(14)フェニルメチルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(15)フェニルメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(16)ジフェニルシリレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(17)ジメチルゲルミレンビス{1,1’−(2−メチル−4−フェニルヘキサヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
(18)ジメチルゲルミレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
(19)ジメチルゲルミレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)ヘキサヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド等が例示される。
【0049】
また、これらの化合物のクロリドの一方あるいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド等に代わった化合物も例示することができる。さらに、上記のジルコニウムの代わりに、チタン、ハフニウム等に代わった化合物も例示することができる。
【0050】
助触媒としては、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物である。また、必要に応じてこれら化合物と共に有機アルミニウム化合物を添加することができる。
【0051】
上記のアルミニウムオキシ化合物としては、具体的には次の一般式(2)、(3)又は(4)で表される化合物が挙げられる。
【0052】
【化4】
【0053】
上記の各一般式中、R4は、水素原子又は炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数のR4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0054】
一般式(2)及び(3)で表される化合物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体的には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、(b)二種類のトリアルキルアルミニウムと水から得られる、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。これらの中では、メチルアルモキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好ましい。
【0055】
一般式(4)で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと次の一般式(5)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。一般式(5)中、R5は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基またはハロゲン化炭化水素基を示す。
【0056】
R5B(OH)2 (5)
【0057】
具体的には以下の様な反応生成物が例示できる。
(a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物
(b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物
(c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物
(d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:1反応物
(e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物
【0058】
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物およびルイス酸においては、ルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。従って、上記のルイス酸およびイオン性化合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するものとする。
【0059】
成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物としては、一般式(11)で表される化合物が挙げられる。
【0060】
〔K〕e+〔Z〕e- (6)
【0061】
一般式(11)中、Kはカチオン成分であって、例えば、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙げられる。また、それ自身が還元され易い金属の陽イオンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0062】
上記のカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、トリフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピリリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオン等が挙げられる。
【0063】
上記の一般式(6)中、Zは、アニオン成分であり、成分(A)が変換されたカチオン種に対して対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)である。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物アニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられる。
【0064】
固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸が挙げられる。
【0065】
層状ケイ酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとるケイ酸塩化合物を言う。本発明では、層状ケイ酸塩は、イオン交換性であることが好ましい。ここでイオン交換性とは、層状ケイ酸塩の層間陽イオンが交換可能なことを意味する。
【0066】
大部分の層状ケイ酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状ケイ酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。層状ケイ酸塩の具体例としては、例えば、白水晴雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載される公知の層状ケイ酸塩であって、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、アノーキサイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、テニオライト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族、バーミキュライト等のバーミキュライト族、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
【0067】
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
【0068】
スメクタイト族の代表的なものとしては、一般にはモンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ノントライト、ヘクトライト、ソーコナイト等である。「ベンクレイSL」(水澤化学工業社製)、「クニピア」、「スメクトン」(いずれもクニミネ工業社製)、「モンモリロナイトK10」(アルドリッチ社製、ジュートヘミー社製)、「K−Catalystsシリーズ」(ジュートヘミー社製)等の市販品を利用することもできる。
【0069】
雲母族の代表的なものとしては、白雲母、パラゴナイト、金雲母、黒雲母、レピドライト等がある。市販品の「合成雲母ソマシフ」(コープケミカル社製)、「フッ素金雲母」、「フッ素四ケイ素雲母」、「テニオライト」(いずれもトピー工業社製)等の市販品を利用することもできる。
【0070】
これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
【0071】
化学処理に用いられる(イ)酸としては、合目的的な無機酸あるいは有機酸、好ましくは例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等があげられ、(ロ)アルカリとしては、NaOH、KOH、NH3等があげられる。(ハ)塩類としては、2族から14族原子からなる群より選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子または無機酸もしくは有機酸由来の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の陰イオン、とからなる化合物が好ましい。(ニ)有機物としては、アルコール(炭素数1〜4の脂肪族アルコール、好ましくは例えばメタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、炭素数6〜8の芳香族アルコール、好ましくは例えばフェノール)、高級炭化水素(炭素数5〜10、好ましくは5〜8、のもの、好ましくは例えばヘキサン、ヘプタン等)があげられる。また、ホルムアミド、ヒドラジン、ジメチルスルホキシド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアニリン等が好ましい化合物として挙げられる。
【0072】
塩類及び酸は、2種以上であってもよい。塩類処理と酸処理を組み合わせる場合においては、塩類処理を行った後、酸処理を行う方法、酸処理を行った後、塩類処理を行う方法、及び塩類処理と酸処理を同時に行う方法がある。
【0073】
重合法としては、これらの触媒の存在下不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。
【0074】
本発明が特定するプロピレン・α−オレフィン共重合体を得る方法としては、例えば、重合温度やコモノマー量を調節して、分子量および結晶性の分布を適宜制御することにより、所望のポリマーを得ることができる。
【0075】
<成分(B)エラストマー>
本発明においては、下記の(B−1)プロピレン系エラストマー及び/又は(B−2)エチレン系エラストマーが添加される。
【0076】
(B−1)プロピレン系エラストマー
下記条件1)2)を満足するプロピレン・α−オレフィン共重合体
1)プロピレンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
2)炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
【0077】
(B−2)エチレン系エラストマー
下記条件3)4)を満足するエチレン・α−オレフィン共重合体
3)エチレンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
4)炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
【0078】
本発明においてエラストマーとは軟質の高分子材料を意味し、一般に、密度が0.900g/cm3以下、好ましくは0.860から0.900g/cm3の範囲にあり、190℃、2.16Kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。このようなプロピレン系エラストマー及びエチレン系エラストマーは、X線回折法によって測定した結晶化度が30%未満、又は非晶質である。
【0079】
(B−1)プロピレン系エラストマーとしては、プロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体エラストマーが使用される。プロピレンから導かれる単位の含有量は、5〜95モル%、好ましくは20〜92モル%、より好ましくは50〜90モル%、特に好ましくは60〜80モル%、炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる単位の含有量は、5〜95モル%、好ましくは8〜80モル%、より好ましくは10〜50モル%、特に好ましくは20〜40モル%である。
【0080】
プロピレン系エラストマーにおいてプロピレンから導かれる単位の含有量が5モル%未満では、透明性が低下するため好ましくなく、また、プロピレンから導かれる単位の含有量が95モル%を超えると低温ヒートシール性の改良効果が低下する。
【0081】
また、(B−2)エチレン系エラストマーとしては、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体エラストマーが使用される。エチレンから導かれる単位の含有量は、5〜95モル%、好ましくは20〜92モル%、より好ましくは50〜90モル%、炭素数3〜20のα−オレフィンから導かれる単位の含有量は、5〜95モル%、好ましくは8〜80モル%、より好ましくは10〜50モル%である。
【0082】
エチレン系エラストマーにおいてエチレンから導かれる単位の含有量が5モル%未満では低温ヒートシール性の改良効果が充分でなく、また、エチレンから導かれる単位の含有量が95モル%を超えると透明性が低下するため好ましくない。
【0083】
炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、あるいはこれらの混合物を挙げることができる。これらの中でも炭素数3〜10のα−オレフィンが好ましい。
【0084】
また、本発明においては、プロピレン又はエチレンとα−オレフィンの他、その特性を失わない範囲において、ビニル化合物、ジエン化合物から誘導される成分単位等のようにα−オレフィンから誘導される成分単位以外の成分単位を含むことができる。このような成分単位としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、のような鎖状非共役ジエン、シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−プロペニル−2−ノルボルネン、のような環状非共役ジエン、2,3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等のジエン化合物、あるいは、スチレン、酢酸ビニル等を挙げることができる。
【0085】
このような、第三コモノマーは、単独であるいは組み合わせて用いることができる。このような第三コモノマーの含有量は、通常10%以下、好ましくは0〜5%である。
【0086】
<成分(C)ポリエチレンワックス>
本発明においては、成分(C)として用いられるポリエチレンワックスは、−CH2−の重合体を指称し、ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体もしくはそれらを酸変性することによって極性基を導入したものが用いられる。その数平均分子量は一般に500〜15,000程度、好ましくは1,000〜10,000程度のものが使用される。
【0087】
ポリエチレンワックスは各種の方法によって製造されており、本発明においてはいずれの方法によって製造されたものであっても使用することができる。ポリエチレンワックスの製造方法としては、例えばエチレンの重合によって製造する方法があり、この場合、ラジカル重合により高温高圧下に重合する方法とチーグラー触媒により低圧で重合する方法がある。また、一般成形用ポリエチレンを熱分解により低分子量化する方法、一般成形用ポリエチレンを製造する際に副生する低分子量ポリエチレンを分離生成して利用する方法、あるいは、一般成形用ポリエチレンを酸化する方法等がある。
【0088】
本発明に使用されるポリエチレンワックスは、次の1)、2)の条件を満たす必要がある。
【0089】
1)密度
密度は、0.94〜0.98g/cm3、好ましくは0.95〜0.98g/cm3、特に好ましくは0.96〜0.98g/cm3が使用される。この範囲より高いときは、ポリエチレンワックスの分散径が充分小さくならず、フィルム表面に分散粒子が凹凸として反映して透明性が低下し、低いときは透明性の改良効果が小さくなる。
【0090】
2)140℃における溶融粘度は10cps以上、好ましくは15〜30000cpsのものが使用される。溶融粘度が10cpsより低いときは、透明性改良効果が乏しく好ましくない。
【0091】
本発明においては、ポリエチレンワックス、酸変性ポリエチレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス単独で使用するほか、これらの混合物あるいはこれらとポリプロピレンワックスの混合物を用いることができる。
【0092】
[配合]
成分(A)メタロセン系触媒によって重合されたプロピレン・α−オレフィン共重合体、成分(B)プロピレン系エラストマーまたはエチレン系エラストマー、及び、成分(C)ポリエチレンワックスの配合割合は、成分(A)プロピレン・α−オレフィン共重合体が50.0〜98.0重量部、好ましくは70.0〜95.0重量部、成分(B)プロピレン系エラストマーまたはエチレン系エラストマーが2.0〜50.0重量部、好ましくは5.0〜30.0重量部、成分(C)ポリエチレンワックスが0.001〜5.0重量部、好ましくは0.01〜3.0重量部(ただし、成分(A)、(B)、(C)の合計量を100重量部とする)である。成分(B)が2.0重量部未満ではヒートシール性が低下し、50.0重量部を超えると剛性が低下する。また、成分(C)が0.001重量部未満ではフィルム透明性改良効果が充分ではなく、一方、5.0重量部を超えるとポリエチレンワックスがフィルム中で連続層を形成し、フィルム透明性が損なわれる。
【0093】
本発明プロピレン系樹脂は、上記の特性を有するため、透明性に優れると共にアンチブロッキング性に優れる。従って、高透明性が要求されアンチブロッキング剤の添加が制限される場合に効果的である。しかし、本発明においてもアンチブロッキング剤を添加することを排除するものではなく、目的に応じてアンチブロッキング剤を添加することができる。
【0094】
アンチブロッキング剤としては、平均粒径1.0〜7.0μm、細孔容積0.4〜1.6ml/gの無機微粉体が好ましい。
【0095】
アンチブロッキング剤の具体例としては、たとえば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等が使用される。
【0096】
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。これらのアンチブロッキング平均粒径がこのような範囲内においては、透明性および耐スクラッチ性が良好なポリプロピレンフィルムが得られる。
【0097】
アンチブロッキング剤は、成分(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜0.7重量部、より好ましくは0.05〜0.5、特に好ましくは0.05〜0.3重量部の割合で用いられる。
【0098】
また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものが望ましく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッソ樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理なかでもクエン酸処理されたものが好適である。
【0099】
処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。アンチブロッキング剤はいかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
【0100】
本発明においては滑剤を添加することが好ましく、滑剤としては、たとえば直鎖状のモノカルボン酸モノアミド化合物または直鎖状のモノカルボン酸ビスアミド化合物の1種または2種以上組み合わせて使用することができる。直鎖状のモノカルボン酸モノアミド化合物としては、たとえばオレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ラウリン酸アミドなどが挙げられる。
【0101】
直鎖状のモノカルボン酸ビスアミド化合物としては、たとえばエチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
【0102】
滑剤の添加量は、成分(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.01〜1.0重量部、より好ましくは0.02〜0.5重量部、特に好ましくは0.04〜0.25重量部である。
【0103】
特に、融点が70〜90℃の不飽和脂肪酸アミド、融点が100〜125℃の飽和脂肪酸アミドが好ましく、中でも両者を併用することが好ましい。不飽和脂肪酸アミドと飽和脂肪酸アミドとの配合割合(不飽和脂肪酸アミド/飽和脂肪酸アミド)は、重量基準で1/99〜99/1、好ましくは2/98〜98/2、さらに好ましくは10/90〜90/10の範囲が用いられる。このような配合系にすることによって単独系の場合より少量の滑剤量で良好な性能を発揮する。
【0104】
融点が70℃〜90℃の範囲の不飽和脂肪酸アミドとしては、C18〜C22の不飽和脂肪酸アミドを用いることができる。具体的には、例えばオレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ブランジン酸アミド、エライジン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、ラウリン酸アミド、N−(2−ハイドロキシエチル)ラウリン酸アミド等を主成分とするものが例示される。不飽和脂肪酸アミドの融点が70℃未満のものでは、45℃以上の高温下での滑り性が悪化するために好ましくなく、また融点が90℃を越えるものでは、飽和脂肪酸アミドとの併用効果が小さいため好ましくない。
【0105】
融点が100〜125℃の飽和脂肪酸アミドとしては、C16〜C22の飽和脂肪酸アミドとその誘導体を用いることができる。具体的には、例えばステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−(2−ハイドロキシメチル)・ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスエルカ酸アミド、オクタメチレンビスエルカ酸アミド等を主成分とするものが例示される。飽和脂肪酸アミドの融点が100℃未満のものでは、初期滑り性は良好な場合が多いが、45℃以上の高温下での滑り性の効果が低いために好ましくなく、また融点が125℃を越えるものでは、初期滑り性そのものが発現しないため好ましくない。飽和脂肪酸アミドは、融点107℃〜120℃の飽和脂肪酸アミドが製膜時のロール汚れ性などの点から更に好ましい。
【0106】
(付加的成分)
付加的成分としては、例えば、酸化防止剤(フェノール系、燐系、硫黄系等)、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤(シリコーン油等)、帯電防止剤、流動性改良剤、分子量調整剤(過酸化物)、粘着防止剤、衝撃改良剤、気泡防止剤、分散剤、金属不活性化剤、防菌剤、蛍光増白剤、着色剤(酸化チタン、チタンイエロー、亜鉛華、弁柄、群青等の無機系顔料、縮合アゾ系、イソインドリノン系、キナクリドン系、ペリノン系、ペリレン系、キノフタロン系、アントラキノン系、フタロシアニン系等の有機系顔料)等の配合剤、あるいは、上記以外の樹脂やエラストマー成分を挙げることができる。
【0107】
(混合)
上記成分(A)プロピレン・α−オレフィン共重合体と成分(B)プロピレン系エラストマー及び/又はエチレン系エラストマーと成分(C)ポリエチレンワックスに、必要に応じて各種配合剤成分を配合し、先ず、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の押出機等の通常の混合又は混練機にて混合或いは溶融混練し、好適には、温度160〜300℃、好ましくは180〜280℃で溶融混練してペレタイズすることによって成形用材料とすることができる。
【0108】
本発明プロピレン系樹脂組成物は,透明性の温度依存性が小さく、高速で成形するときも透明性の優れたフィルムを得ることができる。
【0109】
[フィルムの成形]
フィルムの製造は、上記プロピレン系樹脂組成物を原料樹脂として用いて製造することができ、具体的には、シート、フィルム(未延伸フィルム)をキャスト法、インフレーション法等の公知の技術によって製造することができる。
【0110】
シート、フィルム(未延伸フィルム)等の押出成形体を製造するキャスト法としては、押出機で溶融混練された樹脂がTダイから押し出され、水等の冷媒を通したロールに接触させられることにより冷却されて、一般に透明性が良く、厚み精度の良いフィルムを製造することができる。この様な方法はフィルムにとって好ましい製造方法である。
【0111】
本発明のフィルムにおいて、それが単層フィルムとして成形され利用される場合は、その厚みは5〜500μm、好ましくは10〜200μmであるのが普通である。厚みがこの範囲よりも薄すぎると、加工が困難となる。一方、厚すぎると加工が困難な上に、ヒートシール性が発揮されなくなる。
【0112】
また、延伸フィルムとするときは、本発明のプロピレン系重合体からなるシート又はフィルムを用いて公知の延伸装置により製造することができる。これら延伸装置としては、例えば、テンター法、同時二軸延伸法、一軸延伸法等が挙げられる。延伸フィルムの延伸倍率は、二軸延伸フィルムの場合には10〜70倍であることが望ましい。一軸延伸フィルムの場合には2〜10倍であることが望ましい。また、延伸フィルムの厚さは通常5〜200μmであることが望ましい。
【0113】
(フィルムの特性)
本発明のフィルムは、プロピレン系重合体の特長である、透明性、剛性、耐衝撃性等の特性を同等以上に有しており、その欠点であった低温ヒートシール性を改善することができる従来に無いプロピレン系樹脂組成物からなるフィルムである。
【0114】
また、本発明のフィルムは、その優れた透明性、剛性、耐衝撃性及びヒートシール等を十分に発揮させるために、他の基材との複合フィルムに使用することができる。基材としては、例えば、フィルム成形の可能な任意の重合体、セロファン、紙、繊維構造物、アルミニウム箔等から選択することができる。
【0115】
上記フィルム成形の可能な任意の重合体としては、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ビニルアルコール共重合体等から、それぞれの透明性、剛性、接着性、印刷性、ガスバリヤー性等を勘案して、複合フィルムとする目的に応じて選択することができる。
【0116】
基材が延伸可能である場合は、一軸又は二軸に延伸されたものでもよい。複合フィルムは共押出法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法及びこれらの組み合わせ等の公知の技術によって製造することができる。共押出法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法の場合、複合フィルム構成層内、本発明のフィルムの厚みは0.5〜200μmであることが好ましい。
【0117】
フィルムの厚さについては特に制限されるものではないが、一般に0.5〜200μm、好ましくは1〜150μm、さらに好ましくは3〜100μmとされる。
【0118】
【発明の効果】
本発明においては、ポリエチレンワックスが結晶核として機能するため、DSCで求めた結晶化温度Tcはメタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン系樹脂単体に比べて上昇する。結晶化温度の上昇により、結晶の成長による透明性低下を防止することができ、高速でTダイ成形する際に問題となる除熱不足によるロール跡転写を改善することができる。このため、ポリプロピレン系樹脂フィルムの透明性を著しく向上できる。また、メタロセン触媒を用いて得られたポリプロピレン系樹脂は分子量分布が狭く、低融点化されたものはTダイフィルム成形工程中のニップロール跡が転写し易い問題もあるが、ポリエチレンワックスを微量添加することで結晶化温度が上昇し、低温ヒートシール性を損なうことなくロール転写に関して改良効果を得ることができる。
【0119】
【実施例】
(物性評価方法)
実施例及び比較例において用いた評価方法は(1)〜(12)であり、フィルムの物性評価は40℃オーブン内で24時間熱処理(エイジング)後測定を行なった。
【0120】
(1)メルトインデックス(MI)
JIS K6758(条件:230℃、荷重2.16kgf)に従って 測定した(単位:g/10分)。
【0121】
(2)ポリエチレンワックスの溶融粘度
JIS Z8803に基づいて単一円筒型回転粘度計により140℃の粘度を測定した。
【0122】
(3)エラストマーのコモノマー含量
日本電子社製JEOL GSWX270を用いて、13C−NMRで測定した。
【0123】
(4)ポリエチレンの密度
JIS K6760に準拠して測定した。
【0124】
(5)示差走査型熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tm)、結晶化ピーク温度(Tc)
セイコー社製DSCを用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの結晶化ピーク温度(Tc)及び融解ピーク温度(Tm)で評価(単位:℃)。
【0125】
(6)透明性(HAZE)
ASTM−D1003に準拠して、冷却ロール温度35℃の条件て得られたフィルムをヘイズメータにて測定した(単位:%)。この値が小さい程透明性が優れていることを意味する。
【0126】
(7)ブロッキング性
冷却ロール温度35℃の条件で得られたフィルムより2cm(幅)×15cm(長)の試料フィルムを採り、コロナ処理面同士と非処理面同士をそれぞれ長さ5cmにわたり重ね(接触面積10cm2)、50g/cm2の荷重下で温度40℃の雰囲気下に1日間と7日間状態調整した後、それぞれの荷重を除き、23℃の温度に十分調整した後、ショッパー型引張試験機を開いて500mm/分の速度で試料のせん断剥離に要する力を求めた(単位:g/10cm2)。この値が小さいほど耐ブロッキング性はよい。
【0127】
(8)滑り性(スリップ性)
冷却ロール温度35℃の条件て得られたフィルムを温度23℃の雰囲気下に1日間状態調整した試料と、温度40℃の雰囲気下に7日間状態調整した試料をそれぞれASTM−D1894に準拠して、試料フィルムのコロナ処理面同士と非処理面同士の摩擦をスリップテスター法にて静摩擦係数で評価した。この値が小さいほど滑り性が優れていることを意味する。
【0128】
(9)ヒートシール性(HS温度)
5mm×200mmのヒートシールバーを用い、冷却ロール温度35℃の条件て得られたフィルムの未処理面同士を各温度設定においてヒートシール圧力2kg/cm2 、ヒートシール時間1秒の条件下でフィルムの溶融押出した方向(MD)に垂直になるようにシールした試料から15mm幅のサンプルを取り、ショッパー型試験機を用いて引張速度500mm/分にてMD方向に引き離し、その荷重を読みとった。荷重300gになるにシール温度にてヒートシール性を評価した(単位:℃)。この値が小さい程ヒートシール性が優れていることを意味する。
【0129】
(10)引張破断点強度
冷却ロール温度35℃の条件て得られたフィルムよりJIS K6781に準拠しダンベル試験片を採取し、JIS K6781に準拠(引張速度500mm/分、つかみ間隔80mm、標線間隔40mm)し、引張破断点強度を求めた。
【0130】
(11)押出負荷
フィルムを成形する際の樹脂圧力を測定した。樹脂圧力が高いほど押出負荷がかかり、押出性が悪い。
【0131】
(12)原子間力顕微鏡によるフィルムの平均面粗さ測定
セイコー電子工業社製SPI3700(SPA300ユニット)に、カンチレンバーDF−40を装着し、20μm×20μmの範囲をサイクリックコンタクトモードで凹凸測定した後、本装置附属のデータ処理ソフトにより平均面粗さ(Ra)を算出した。
【0132】
(メタロセン触媒の合成)
(1)ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリドのラセミ体の合成
【0133】
(a)ラセミ・メソ混合物の合成:1−ブロモ−4−クロロベンゼン1.84g(9.6mmol)のn−ヘキサン(10ml)とジエチルエーテル(10ml)との溶液に−78℃でt−ブチルリチウムのペンタン溶液(1.64M)11.7ml(19.2mmol)を滴下した。
【0134】
得られた溶液を−5℃で1.5時間攪拌後、この溶液に2−メチルアズレン1.2g(8.6mmol)を添加して反応を行った。この反応溶液を徐々に室温まで戻しながら1.5時間攪拌した。その後、反応溶液を0℃に冷却し、1−メチルイミダゾール15μl(0.19mmol)を添加し、更に、ジクロロジメチルシラン0.52ml(4.3mmol)を添加した。反応溶液を室温で1.5時間攪拌後、希塩酸を添加して反応を停止し、分液した有機相を減圧下に濃縮し、ジクロロメタンを添加した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下に溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、アモルファス状の固体2.1gを得た。
【0135】
次いで、上記の反応生成物1.27gをジエチルエーテル15mlに溶解し、これに−78℃でn−ブチルリチウムのn−ヘキサン溶液(1.66M)2.8ml(4.5mmol)を滴下した。滴下終了後、反応溶液を徐々に室温まで戻しながら12時間攪拌した。減圧下に溶媒を留去した後、トルエンとジエチルエーテルの混合溶媒(40:1)5mlを添加して−78℃に冷却し、これに四塩化ジルコニウム0.53g(2.3mmol)を添加した。その後、直ちに室温まで戻し、室温で4時間攪拌して反応を行った。得られた反応液をセライト上で濾過し、濾別された固体をトルエン3mlで洗浄して回収した。回収した固体をジクロロメタンで抽出し、抽出液から溶媒を留去し、ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリのラセミ・メソ混合物906mg(収率56%)を得た。
【0136】
(b)ラセミ体の精製
更に、ジクロロメタン20mlに上記のラセミ・メソ混合物900mgを溶解し、100Wの高圧水銀灯を40分照射することによりラセミ体の比率を高め、その後、不溶分を濾別し、回収した濾液を濃縮乾固した。次いで、得られた固体成分をトルエン22mlと共に攪拌し、静置後に上澄み液を除去した、斯かる精製操作を4回繰り返し、残った固体成分を乾燥し、ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリのラセミ体275mgを得た。
【0137】
(2)化学処理粘土の製造
硫酸(96%)218.1gと硫酸マグネシウム130.4gを脱塩水909ミリリットルと混合した水溶液に市販のモンモリロナイト(クニミネ工業製、クニピアF)200.03gを分散させ、100℃で2時間攪拌した。このモンモリロナイトの水スラリー液を固形分濃度12%に調製し、スプレードライヤーにより噴霧造粒を行って、粒子を得た。その後、この粒子を200℃で2時間減圧乾燥した。
【0138】
(3)固体触媒成分の調整
内容積1リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、脱水・脱酸素したヘプタン230ミリリットル導入し、系内温度を40℃に維持した。ここに、トルエンにてスラリー化した化学処理粘土10gを添加した。更に別容器にてトルエン下で混合したジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリドのラセミ体0.15ミリモルとトリイソブチルアルミニウム1.5ミリモルを添加した。
【0139】
ここで、プロピレンを10g/hrの速度で120分導入し、その後120分重合を継続した。さらに、窒素下で溶媒を除去・乾燥し固体触媒成分を得た。この固体触媒成分は、固体成分1gあたり1.9gのポリプロピレンを含有していた。
【0140】
(重合1)
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、エチレン2.25kg、水素8.0NLを加え、内温を30℃に維持した。
【0141】
次いで、上記固体触媒成分(ポリプロピレンを除いた固体成分として)1.2gをアルゴンで圧入して重合を開始させ、30分かけて70℃に昇温し、1時間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、MI=7.2g/10分、Tm=124.3℃、Tc=88.5℃、エチレン含量=3.7重量%のプロピレン−エチレン共重合体(A1)21kgを得た。
【0142】
(重合2)
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、エチレン2.25kg、水素2.5NLを加え、内温を30℃に維持した。
【0143】
次いで、上記固体触媒成分(ポリプロピレンを除いた固体成分として)1.5gをアルゴンで圧入して重合を開始させ、30分かけて70℃に昇温し、1時間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、MI=1.5g/10分、Tm=124.9℃、Tc=88.9℃、エチレン含量=3.7重量%のプロピレン−エチレン共重合体(A2)18kgを得た。
【0144】
(重合3)
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、エチレン2.25kg、水素14NLを加え、内温を30℃に維持した。
【0145】
次いで、上記固体触媒成分(ポリプロピレンを除いた固体成分として)0.8gをアルゴンで圧入して重合を開始させ、30分かけて70℃に昇温し、1時間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、MI=35g/10分、Tm=125.3℃、Tc=89.4℃、エチレン含量=3.6重量%のプロピレン−エチレン共重合体(A3)23kgを得た。
【0146】
(重合4)
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これにトリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液500ml(0.12mol)、エチレン0.27kg、水素0.5NLを加え、内温を30℃に維持した。
【0147】
次いで、上記固体触媒成分(ポリプロピレンを除いた固体成分として)2.7gをアルゴンで圧入して重合を開始させ、30分かけて70℃に昇温し、1時間その温度を維持した。ここでエタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、MI=7.0g/10分、Tm=146.0℃、Tc=110.3℃、エチレン含量=0.5重量%のプロピレン−エチレン共重合体(A4)16kgを得た。
【0148】
【0149】
(実施例1)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A1)(メタロセンPP)89.73重量部に、プロピレン/1−ブチレン系エラストマー(PBR、三井化学社製タフマーXR110T、1−ブテン含量31モル%)9.97重量部、ポリエチレンワックス(三井ハイワックス400P、140℃粘度650cps)0.3重量部を加えたプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)を0.05重量部、イルガホス168(トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部添加したものをヘンシェルミキサーで750rpmで1分間室温で高速混合した後、二軸押出機(池貝PCM30)により230℃で溶融、混練して冷却、カットしてペレット状樹脂組成物を得た。
【0150】
この樹脂組成物を原料とし、口径35mmφの押出機、幅300mmTダイ、エアナイフおよび冷却ロールを具備したTダイ法フィルム製造装置を用いて、押出樹脂温度230℃、冷却ロール温度25℃、35℃、45℃の3水準において製膜引取速度21m/分で成形して、厚さ25μmの未延伸フィルムを得た。その物性を評価した結果は表2、3の通りであった。
【0151】
(実施例2)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A1)89.1重量部、プロピレン/1−ブテン系エラストマー(三井化学社製タフマーXR110T)9.9重量部、ポリエチレンワックス(三井ハイワックス400P)1.0とした他は実施例1と同様の実験を行った。その結果は表2、3の通りであった。
【0152】
(実施例3)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A1)79.2重量部、プロピレン/1−ブテン系エラストマー(三井化学社製タフマーXR110T)を19.8重量部とした他は実施例2と同様の実験を行った。その結果は表2、3の通りであった。
【0153】
(実施例4)
ポリエチレンワックスを、三井ハイワックス800P(140℃粘度8000cps)0.3重量部とした他は実施例1と同様の実験を行った。その結果は表2、3の通りであった。
【0154】
(実施例5)
ポリエチレンワックスを、三洋サンワックスLEL800(140℃粘度22000cps)1重量部とした他は実施例2と同様の実験を行った。その結果は表2、3の通りであった。
【0155】
(実施例6)
エチレン/1−ブテン系エラストマー(EBR、三井化学社製タフマーA4085、1−ブテン含量11モル%)9.9重量部とした他は実施例2と同様の実験を行った。その結果は表2、3の通りであった。
【0156】
(比較例1)
ポリエチレンワックスを加えず表4の配合とした他は実施例1と同様の実験を行った。その結果は表4、5の通りであった。ポリエチレンワックスを添加したものに対して透明性が悪く、冷却ロール温度依存性が見られる。
【0157】
(比較例2)
プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン系エラストマー、ポリエチレンワックスの配合を表4とした他は、実施例1と同様の実験を行った。その結果は表4、5の通りであった。ポリエチレンワックスが連続相を形成したため透明性が悪化した。
【0158】
(比較例3)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A2)89.1重量部に、プロピレン系エラストマー(三井化学社製タフマーXR110T)9.9重量部、ポリエチレンワックス(三井ハイワックス800P)1.0重量部を加えたプロピレン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の実験を行った。その結果は表6、表7の通りであった。樹脂圧力が高く押出性の低下がみられる。
【0159】
(比較例4)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A3)89.1重量部に、プロピレン系エラストマー(三井化学社製タフマーXR110T)9.9重量部、ポリエチレンワックス(三井ハイワックス800P)1.0重量部を加えたプロピレン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の実験を行った。その結果は表6、7の通りであった。樹脂圧力が高く押出性の低下がみられる。
【0160】
(比較例5)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A4)89.1重量部に、プロピレン系エラストマー(三井化学社製タフマーXR110T)9.9重量部、ポリエチレンワックス(三井ハイワックス800P)1.0重量部を加えたプロピレン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の実験を行った。その結果は表6、表7の通りであった。HS温度が高く低音ヒートシール性が悪化している。
【0161】
(比較例6)
プロピレン・エチレンランダム共重合体(A1)89.1重量部に、プロピレン系エラストマー(三井化学社製タフマーXR110T)9.9重量部、ポリエチレンワックス(三井ハイワックス720P、140℃粘度6000,密度0.92g/cm3)1.0重量部を加えたプロピレン系樹脂組成物を用いて、実施例1と同様の実験を行った。その結果は表6、表7の通りであった。密度の低いポリエチレンワックスでは透明性の冷却温度依存性がみられる。
【0162】
(実施例7〜12)
実施例1、実施例3、実施例5に示したプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、それぞれ酸化防止剤としてイルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)を0.05重量部、イルガホス168(トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部と、表6に示すようにアンチブロッキング剤として、合成シリカ、珪酸マグネシウム、滑剤[A]としてエルカ酸アミド(EA)、滑剤[B]としてベヘニン酸アミド(BA)を添加したものをヘンシェルミキサーで750rpmで1分間室温で高速混合した後、二軸押出機(池貝PCM30)により230℃で溶融、混練して冷却、カットしてペレット状樹脂組成物を得た。
【0163】
この樹脂組成物を原料とし、口径35mmφの押出機、幅300mmTダイ、エアナイフおよび冷却ロールを具備したTダイ法フィルム製造装置を用いて、押出樹脂温度230℃、冷却ロール温度35℃、45℃とし、製膜引取速度21m/分で成形して、片面に40dyne/cmのコロナ処理をほどこした厚さ25μmの未延伸フィルムを得た。その物性の評価は、HAZEが35℃、45℃、その他の物性は35℃の条件で成形したフィルムを用いて測定した。その結果は表8の通りであった。
【0164】
(比較例7)
実施例8において比較例1のプロピレン系樹脂組成物を用いた以外は実施例8と同様の実験を行った。その結果は表9の通りであった。透明性の悪化が見られる。
【0165】
(実施例13、14)
実施例8、実施例11で得られたプロピレン系樹脂組成物のフィルム(片面に40dyne/cmのコロナ処理をほどこして得られた単層フィルム)を40℃の雰囲気下で2日間エージングを行った。次いで基材フィルムとして40μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、ウレタン系の2液反応型接着剤を塗布した後、単層フィルムのコロナ放電処理面にドライラミネートを実施し、45℃の雰囲気下で6日間エージングを行った後、未処理面同士のスリップ性、ブロッキング性、ヒートシール性の評価を行った。その結果は表10の通りであった。
【0166】
(実施例15〜19)
実施例1、実施例3、実施例5に示したプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して、酸化防止剤としてイルガノックス1010(テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)を0.05重量部、イルガホス168(トリス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)を0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウムを0.05重量部と、表9に示すようにアンチブロッキング剤として、合成シリカ、珪酸マグネシウム、滑剤[A]としてエルカ酸アミド(EA)、滑剤[B]としてベヘニン酸アミド(BA)を添加したものをヘンシェルミキサーで750rpmで1分間室温で高速混合した後、二軸押出機(池貝PCM30)により230℃で溶融、混練して冷却、カットしてペレット状樹脂組成物を得た。
【0167】
この樹脂組成物をシール層に、また融点163℃、MFR(230℃)=7.0g/10分のホモポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名FB3GT)を中間層に、また融点140℃、MFR(230℃)=7.0g/10分のランダムポリプロピレン(日本ポリケム(株)製、商品名 FW3E)を表層に用い、表層/中間層/シール層は表9に示した1/4/1となる様に、3層各々独立した3台の押出機(表層/中間層/シール=口径20mmφ/35mmφ/20mmφの押出機)及び、これに連絡した幅300mmの3層Tダイス、エアナイフおよび冷却ロールを具備した3層Tダイ法フィルム製造装置を用いて、押出樹脂温度230℃で溶融3層共押出した後、冷却ロール温度35℃、製膜引取速度17m/分で厚さ30μmの共押出し未延伸フィルムを得た。その物性を評価した結果は表11の通りであった。尚、滑り性、ブロッキング性の評価はシール面同士のみ評価した。
【0168】
【表2】
【0169】
【表3】
【0170】
【表4】
【0171】
【表5】
【0172】
【表6】
【0173】
【表7】
【0174】
【表8】
【0175】
【表9】
【0176】
【表10】
【0177】
【表11】
Claims (12)
- 成分(A)下記一般式(1)で表される化合物またはその部分水素添加物であるメタロセン系触媒によって、助触媒としてイオン交換性層状ケイ酸塩を用いて重合されたプロピレン・α−オレフィン共重合体50〜98重量部、成分(B)プロピレン系エラストマーまたはエチレン系エラストマー2〜50重量部、及び、成分(C)ポリエチレンワックス0.001〜5.0重量部(ただし、成分(A)、(B)、(C)の合計量を100重量部とする)とからなり、成分(A)、成分(B)、成分(C)がそれぞれ下記の条件を満たすことを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
成分(A):プロピレン・α−オレフィン共重合体
1)230℃メルトインデックスが2〜30g/10分、
2)DSCで求めた主たる融解ピーク温度(Tm)が110〜145℃、
成分(B):エラストマー
(B−1)プロピレン系エラストマー
下記1)2)を満足するエラストマー
1)プロピレンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
2)炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
(B−2)エチレン系エラストマー
下記3)4)を満足するエラストマー
3)エチレンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
4)α−オレフィンから導かれる単位の含有量が5〜95モル%、
成分(C):ポリエチレンワックス
1)密度が0.94〜0.98g/cm3であること、
2)140℃溶融粘度が10cps以上であること
- 滑剤として、脂肪酸アミドを、成分(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部含有する請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 滑剤として、融点70〜90℃の不飽和脂肪酸アミドおよび/または融点100〜125℃の飽和脂肪酸アミドを、成分(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して、0.01〜1.0重量部含有する請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 平均粒径1.0〜7.0μm、細孔容積0.4〜1.6ml/gのアンチブロッキング剤を、成分(A)、(B)、(C)の合計量100重量部に対して、0.01〜0.7重量部含有する請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物。
- アンチブロッキング剤が、有機物で表面処理されてなる請求項4に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- アンチブロッキング剤が、クエン酸によって表面処理されてなる請求項5に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物をTダイを用いて成形したことを特徴とするプロピレン系樹脂フィルム。
- 請求項2又は3に記載のプロピレン系樹脂組成物をTダイを用いて成形したことを特徴とするプロピレン系樹脂フィルム。
- 請求項4〜6のいずれかに記載のプロピレン系樹脂組成物をTダイを用いて成形してなるプロピレン系樹脂フィルム
- 請求項7に記載のプロピレン系樹脂フィルムからなる層を少なくとも1層含むことを特徴とする積層樹脂フィルム。
- 請求項8に記載のプロピレン系樹脂フィルムからなる層を少なくとも1層含むことを特徴とする積層樹脂フィルム。
- 請求項9に記載のプロピレン系樹脂フィルムからなる層を少なくとも1層含むことを特徴とする積層樹脂フィルム。
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