JP4745932B2 - 加圧スチームによる繊維の延伸装置および炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の製造方法 - Google Patents

加圧スチームによる繊維の延伸装置および炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、繊維の延伸方法及び延伸装置に関し、特に加圧スチームを用いて繊維束を延伸する延伸方法及び加圧スチーム延伸装置に関する。また本発明は、加圧スチーム延伸工程を有する炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の製造方法に関する。
繊維の製造段階で行う延伸方法として、加圧スチームによる延伸方法は従来から知られている。大気圧下の熱水より高温が得られるとともに、水分の存在が繊維素高分子の可塑化効果を生み、高倍率の延伸が可能となるためである。特に、炭素繊維の前駆体として使用されるアクリル系繊維束は、他の熱可塑性繊維と異なって融点が存在せず、熱の効果だけでは実質的に延伸が不可能なため、加圧スチーム延伸がアクリル系繊維の延伸に適用される場合が多い。
しかしながら、繊維にスチーム延伸を施す場合において、高倍率の延伸を行う場合、細繊度の繊維を得る場合、トータル繊度の大きい繊維束を得る場合などにおいて、毛羽の発生などの問題が発生する場合があった。
特許文献1では、乾き度0.7〜1.0のスチームを使用することが提案されている。特許文献2、3では、延伸された後の繊維束の含水率がある範囲になるようにスチームの湿り度、言い換えれば乾き度を調整することが提案されている。特許文献4では、用いる加圧スチームの温度T1(℃)及びその飽和温度T2(℃)がT2<T1<T2+3を満たすように制御する、言い換えればこの条件を満たすように加圧スチームの乾き度を調整することが提案されている。
特開2000−345429号公報 特開平8−158162号公報 特開昭58−214521号公報 特開平10−292240号公報
しかし、特許文献1〜4の方法のようにスチームの乾き度を調整しただけでは、未だ、毛羽の発生を起こす場合があった。
本発明の目的は、高倍率の延伸を行う場合、細繊度の繊維を得る場合、トータル繊度の大きい繊維束を得る場合などにおいても、毛羽の発生を抑制でき、高品質の繊維、特に炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を実生産するに好適な繊維の延伸方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、高倍率の延伸を行う場合、細繊度の繊維を得る場合、トータル繊度の大きい繊維束を得る場合などにおいても、毛羽の発生を抑制でき、繊維、特に炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の品質を高く且つ安定的に維持できる加圧スチーム延伸装置を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、毛羽の発生、延伸切れ、ループが発生する理由は、スチーム中の微小な水滴が繊維に衝突し、繊維にダメージを与えているためと考えた。そして、加圧スチーム延伸装置に供給する加圧スチームを、加圧スチーム延伸装置に導入された繊維の表面にて凝縮させることで、加圧スチーム中の微小な水滴が繊維に衝突することを避けることができ、かつ繊維の表面に生成した加熱水の可塑化効果により延伸することが極めて有効であることを見出し、本発明に至った。
本発明は、加圧スチームにより炭素繊維用アクリル系繊維束を延伸する炭素繊維用アクリル系繊維束の延伸方法において、加圧スチーム延伸装置の延伸槽内に供給された加圧スチームを、前記延伸槽内に導入された炭素繊維用アクリル系繊維束の表面にて凝縮させ、該炭素繊維用アクリル系繊維束の表面に生成した凝縮水の可塑化効果により延伸することを特徴とする炭素繊維用アクリル系繊維束の延伸方法を提供する。
より具体的には、以下の炭素繊維用アクリル系繊維束の延伸方法を提供する。
(1)加圧スチーム延伸装置の延伸槽内に供給される加圧スチームとして乾き飽和蒸気または過熱蒸気を用い、前記延伸槽内に導入される炭素繊維用アクリル系繊維束の温度をT1(℃)、前記加圧スチームの温度をT2(℃)としたとき、80≦T1<T2を満たすように温度制御する炭素繊維用アクリル系繊維束の延伸方法。
(2)加圧スチーム延伸装置の延伸槽内に供給される加圧スチームとして乾き度0.9以上1.0未満の湿り蒸気を用い、前記延伸槽内に導入される炭素繊維用アクリル系繊維束の温度をT1(℃)、前記加圧スチームの温度をT3(℃)としたとき、80≦T1<T3を満たすように温度制御する炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の延伸方法。
本発明は、加圧スチームにより並列させた複数の炭素繊維用アクリル系繊維束を延伸する加圧スチーム延伸装置において、
炭素繊維用アクリル系繊維束の入口部及び出口部に設けられたラビリンスシール部により、内部を加圧状態で維持可能な延伸槽と、
前記延伸槽の上流側及び下流側に配された延伸ローラと、
前記延伸槽の上流側に配された延伸ローラの表面温度を制御する手段と、
前記入口部から前記延伸槽内に導入される炭素繊維用アクリル系繊維束の温度を検出する検出器と、
前記延伸槽内に加圧スチームを供給する加圧スチーム供給手段と、
を有することを特徴とする加圧スチーム延伸装置を提供する。
本発明は、本発明の加圧スチーム延伸装置を用いることを特徴とする炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の製造方法を提供する。
本発明により、高倍率の延伸を行う場合、細繊度の繊維を得る場合、トータル繊度の大きい繊維束を得る場合などにおいても、毛羽の発生を抑制でき、高品質の繊維、特に炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を実生産するに好適な繊維の延伸方法を提供される。同時に、延伸切れ等の工程トラブルやループの発生なども抑制できる。
本発明により、高倍率の延伸を行う場合、細繊度の繊維を得る場合、トータル繊度の大きい繊維束を得る場合などにおいても、毛羽の発生を抑制でき、繊維、特に炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の品質を高く且つ安定的に維持できる加圧スチーム延伸装置を提供される。同時に、延伸切れ等の工程トラブルやループの発生なども抑制できる。
さらに、上記本発明を利用して炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を製造し、さらに炭素繊維を製造することで、耐炎化工程や炭素化工程での毛羽の発生をも抑制し、得られる炭素繊維の品位を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
加圧スチームによる繊維の延伸は、大気圧下の熱水より高温が得られるとともに、水の存在が繊維素高分子の可塑化効果を生み、高倍率の延伸が可能となるとされている。従来、加圧スチームによる繊維の延伸には、微小な水滴となっている液体の水(単に「水」と称する)と気体の水(「蒸気」と称する)が共存する湿り蒸気が用いられている。この湿り蒸気中の水、つまり加圧状態にあるので100℃以上の高温の水、を利用して、その可塑化効果により延伸を行っている。ところが、加圧スチーム中の微小な水の滴が繊維に衝突し、繊維にダメージを与えている場合があった。
ここで、加圧スチームには、湿り蒸気以外に、湿り蒸気を加熱して完全に蒸気になり水を含まない状態に相当する乾き飽和蒸気、及び乾き飽和蒸気を加熱して高温になった状態に相当する過熱蒸気がある。そして、湿り蒸気や、乾き飽和蒸気及び過熱蒸気を凝縮することによっても高温の水が生成する。
図5は、供給熱エネルギーと、温度との関係を示すグラフである。この図左側の、供給熱エネルギーの増加に伴い温度が上昇する領域においては、水の形態は液体である。
そして、供給熱エネルギーを増加させても温度が一定の領域では、始点と終点を除いて、水の形態は乾き度が0よりも大きく1.0未満の湿り蒸気の気体である。この一定となる温度を飽和温度という。飽和温度は圧力が高いほど高くなる。始点の乾き度は0であり、終点の乾き度は1.0である。全ての水が蒸気に変わったところ、すなわち乾き度1.0の蒸気を乾き飽和蒸気と呼ぶ。
また、温度が一定の領域の終点よりも右の領域では、供給熱エネルギーの増加に伴い温度が上昇する。この領域においては、水の形態は過熱蒸気(気体)である。
本発明では、この凝縮を繊維の表面で起こさせることで、可塑化に必要な水をアクリル系繊維束に与えることが可能となる。また加圧スチーム中の微小な水の滴が繊維に衝突するのを避けることができる。更に、凝縮した水による伝熱は湿り蒸気中の水の接触による伝熱よりも効率がよいことから、その効率よい伝熱効果と熱水の可塑化効果により、効率よく延伸することができる。結果として、毛羽の発生、延伸切れ等の工程トラブル、ループの発生を防止でき、繊維品質を高く且つ安定的に維持することができる。
このような延伸を行う好適な条件について、以下説明する。
まず、本発明では、乾き度0.9以上1.0未満の湿り蒸気、又は乾き飽和蒸気若しくは過熱蒸気を使用することが重要である。すなわち、加圧スチームに含まれる水は、繊維にダメージを与える、いわゆるドレンアタックが起こる可能性が高く、さらに加圧スチーム中の水が凝縮した水の伝熱を阻害し、加圧スチーム中の水が付着した所が加熱斑となる可能性が高くなる。乾き度0.9以上1.0未満の湿り蒸気、又は乾き飽和蒸気若しくは過熱蒸気であれば、加圧スチームに含まれる水が少ない又は実質的に水は存在しないので、上記のような問題は生じにくくなる。湿り蒸気の場合の乾き度は、0.9以上であることが好ましく、、更に0.95以上であることが好ましい。
また、本発明では、温度制御も重要である。
例えば、加圧スチームによるアクリル系繊維束の延伸は、従来、加熱ローラ等により乾燥緻密化が行われたのち直ちに加圧スチーム延伸装置に導入される。したがって、そのアクリル系繊維束の温度は乾燥緻密化時の温度及び加圧スチーム延伸装置に導入されるまでの熱履歴によって定まる。加圧スチーム延伸装置に導入されるアクリル系繊維束の温度が加圧スチームの温度より高いか同じ温度の場合は、アクリル系繊維束への加圧スチームの接触の際に水の相変態を伴われ難く、つまりは効率の良い凝縮が起こらないと考えられ、可塑化に必要な水がアクリル系繊維束へ与えられ難いと考えられる。一方、加圧スチーム延伸装置に導入されるアクリル系繊維束の温度が加圧スチームの温度より低い場合は、アクリル系繊維束への接触の際にスチームが凝縮し、つまり水の相変態を伴う凝縮が容易に起こると考えられ、可塑化に必要な水がアクリル系繊維束へ与えられ易いと考えられる。
このように繊維束の温度を加圧スチームの温度より低くすることにより、凝縮により発生する水による可塑化と凝縮の際に効率よく行われる伝熱により効率的に熱を与えることにより延伸が可能となる。このように延伸することにより、加圧スチーム中の水とエネルギーを最大限に活用して延伸し、加圧スチームに含まれる水のドレンアタックの影響や水の存在による伝熱の阻害を抑制できる。結果として、高倍率の延伸を行う場合、細繊度の繊維を得る場合、トータル繊度の大きい繊維束を得る場合などにおいても、毛羽の発生、延伸切れ等の工程トラブル、ループの発生を防止でき、繊維品質を高く且つ安定的に維持することができる。
具体的には、加圧スチーム延伸装置の延伸槽内に供給される加圧スチームとして乾き飽和蒸気または過熱蒸気を用いた場合には、延伸槽内に導入される繊維束の温度をT1(℃)、加圧スチームの温度をT2(℃)としたとき、80≦T1<T2を満たすように温度制御することが好ましい。T1(℃)が80℃以上であれば、熱水による可塑化を行うのに十分なエネルギーを得られるので好ましい。T1(℃)は、80℃を超えることがより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。また、T1<T2であれば、加圧スチームを繊維の表面にて凝縮させることが可能となるので好ましい。T1とT2の温度差が大きいほど、加圧スチームを繊維束の表面に、効率よくかつ均一に凝縮させることが可能となることから、T1≦T2−3がより好ましく、T1<T2−3がさらに好ましく、T1≦T2−10が特に好ましく、T1≦T2−20が最も好ましい。T2(℃)は、例えば100〜180℃から選択される。
また、加圧スチーム延伸装置の延伸槽内に供給される加圧スチームとして乾き度0.9以上1.0未満の湿り蒸気を用い、前記延伸槽内に導入される繊維束の温度をT1(℃)、前記加圧スチームの温度をT3(℃)としたとき、80≦T1<T3を満たすように温度制御することが好ましい。T1(℃)が80℃以上であれば、熱水による可塑化を行うのに十分なエネルギーを得られるので好ましい。T1(℃)は、80℃を超えることがより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。また、T1<T3であれば、加圧スチームを繊維束の表面にて凝縮させることが可能となるので好ましい。T1とT3の温度差が大きいほど、加圧スチームを繊維束の表面に、効率よくかつ均一に凝縮させることが可能となることから、T1≦T3−3がより好ましく、T1<T3−3がさらに好ましく、T1≦T3−10が特に好ましく、T1≦T3−20が最も好ましい。T3(℃)は、例えば100〜180℃から選択される。
上記のような好ましい形態にすることによって、加圧スチーム延伸装置の延伸槽内に導入される繊維束の温度と加圧スチームの凝縮によってアクリル系繊維束へ与えられる水の量の関係は図1に示すようになる。
加圧スチームの圧力は、加圧状態すなわち大気圧より高い圧力に適宜設定でき、目的に添うものであれば良く特に限定されない。すなわち、延伸する繊維の種類、スチーム延伸前工程での処理状態、あるいは目的とする繊維特性等により適宜調整される。例えば、20〜1,000kPa(ゲージ圧)に調整することができる。
本発明の繊維の延伸方法を適用できる範囲は、工程等によって特に限定されないが、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の製造において、並列させた複数のアクリル系繊維束を加圧スチームにより延伸する場合に有効である。また、高倍率(例えば、10〜20倍)の延伸を行う場合、細繊度(例えば、0.01〜1.5dtex)の繊維を得る場合、トータル繊度の大きい繊維束(例えば、30,000〜300,000dtex)を得る場合に有効である。
炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束をスチーム延伸機に導入する際は、テープ状に広げることが好ましい。この幅は以下の計算式で示される幅とすると、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束へのダメージを抑えることができるため好ましい。
Figure 0004745932
ここで、Yはスチーム延伸機に導入される炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の幅(mm)、dはスチーム延伸後の炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束のトータル繊度(dtex)である。以下の表1に具体的な計算例を示す。
Figure 0004745932
この加圧スチームによる繊維の延伸の前後に、繊維製造の分野で公知の工程を適宜行うことができる。
例えば、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を製造する場合は、原料重合体としてアクリロニトリルのホモポリマー、あるいはコモノマーを含んだアクリロニトリル系共重合体を、公知の有機又は無機溶剤に溶解した溶液を紡糸した後、延伸する際に本発明の延伸方法を行うことができる。紡糸方法はいわゆる湿式、乾湿式、乾式のいずれでも良く、その後の工程で脱溶剤、浴中延伸、油剤付着処理、乾燥等を施すことができる。アクリル系繊維束のスチーム延伸はいかなる段階で実施してもよいが、溶液紡糸の場合はアクリル系繊維束中の溶剤をある程度除去した後、すなわち洗浄後又は浴中延伸後、あるいは乾燥後が好ましく、高配向のアクリル系繊維束を得る観点から乾燥後がより好ましい。アクリル系繊維束のスチーム延伸では、通常並列させた複数のアクリル系繊維束を、加圧スチームにより延伸する。こうすることで、毛羽、糸切れ、ループのない高品質の炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を製造可能となる。
さらに、得られた炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を公知の技術により焼成(耐炎化やや炭素化)することにより、毛羽、糸切れ、ループのない高品質の炭素繊維を製造可能となる。
本発明では、加圧スチーム延伸装置に導入された炭素繊維用アクリル系アクリル系繊維束の温度、並びに加圧スチーム延伸装置に供給するスチームの性状及び温度の制御が重要となる。したがって、本発明に係る炭素繊維用アクリル系繊維束の延伸を行うのに好適な加圧スチーム延伸装置として、
炭素繊維用アクリル系繊維束の入口部及び出口部に設けられたラビリンスシール部により、内部を加圧状態で維持可能な延伸槽と、
前記延伸槽の上流側及び下流側に配された延伸ローラと、
前記延伸槽の上流側に配された延伸ローラの表面温度を制御する手段と、
前記入口部から前記延伸槽内に導入される炭素繊維用アクリル系繊維束の温度を検出する検出器と、
前記延伸槽内に加圧スチームを供給する加圧スチーム供給手段と、
を有する装置が挙げられる。
加圧スチーム延伸装置の延伸槽としては、チューブ状あるいはボックス状の容器にスチームのシール機構を備えた繊維束の入口部及び出口部を有したものを使用することが出来る。並列させた複数の繊維束を同時に処理するのが容易に出来る観点からボックス状の容器が好ましく、スチームのシール機構は加圧スチームの漏出量を抑えることが容易に出来る観点から繊維束の入口部及び出口部にラビリンスシール部を設け、内部を加圧状態で維持可能なものを使用することが好ましい。
加圧スチーム延伸装置に導入される直前のアクリル系繊維束の温度の制御は、加圧スチーム延伸装置の延伸ローラの温度による制御、アクリル系繊維束への水、エアー又はスチームの噴き付けによる制御、加圧スチーム延伸装置の直前に熱水浴を設けその熱水浴にアクリル系繊維束を導くことによる制御、などにより行うことができる。中でも、加圧スチーム延伸装置の延伸ローラの表面温度をあらかじめ設定した範囲に制御することで行うことが好ましい。延伸ローラの表面温度をあらかじめ設定した範囲に制御する方法としては、延伸ローラをジャケットローラとして、それに供給するスチーム、温水、オイルの温度を制御する方法が好ましい。また、延伸ローラを電熱ローラとして、供給する電流値を制御する方法も好ましい。熱の有効利用の観点から、延伸ローラをジャケットローラとして、それに供給するスチームの圧力を制御することが特に好ましい。
なお、アクリル系繊維束へ水やスチームを噴き付けたり、熱水浴にアクリル系繊維束を導いたりすると、アクリル系繊維束に水が付与され、その水が加圧スチームによる熱伝導の妨げとなる場合がある。アクリル系繊維束へエアーを噴き付けると、スチーム延伸装置内でアクリル系繊維束の幅が増加するため、結果的にスチーム延伸装置内に投入できるアクリル系繊維束の数が限られる場合がある。加圧スチーム延伸装置の延伸ローラの表面温度をあらかじめ設定した範囲に制御する方法が、水による加圧スチームによる熱伝導の妨げることなく、スチーム延伸装置内にアクリル系繊維束を投入できる点で好ましく、並列させた複数のアクリル系繊維束のそれぞれを均一な温度に設定できる点でも好ましい。また延伸ローラから加圧スチーム延伸装置の間に、アクリル系繊維束の放熱防止のため保温カバー等を設置しても良い。
加圧スチーム延伸装置に導入される直前のアクリル系繊維束の温度を検出する手段としては、接触式の表面温度計、非接触式の放射温度計、非接触式の赤外線熱画像装置などが挙げられる。ただし、接触式温度計は、接触によるアクリル系繊維束へのダメージが糸切れ、毛羽の原因となる場合があることから、非接触式の温度計が好ましい。例えば、非接触式の放射温度計を用いてアクリル系繊維束の温度を検出する場合は、加圧スチーム延伸装置に導入される並列させた複数のアクリル系繊維束のうち、1つのアクリル系繊維束について検出した温度を代表値としても良いし、複数のアクリル系繊維束について検出した温度の平均値としても良い。また、非接触式の赤外線熱画像装置の場合は、得られる画像から1つのアクリル系繊維束について検出した温度を代表値としても良いし、複数のアクリル系繊維束について検出した温度の平均値としても良い。
延伸槽内に加圧スチームを供給する加圧スチーム供給手段としては、所望の水分量、圧力及び温度の加圧スチームを供給可能なものを適宜選択する。例えば、複数の減圧弁、熱交換器、ドレントラップを有しているもの、あるいはドレントラップ、減圧弁、複数の熱交換器を有しているもの、あるいは蒸気圧力調節弁、水量調節弁、ドレントラップ、及びアトマイザーを有しているものを加圧スチーム供給装置として使用することが出来る。蒸気の乾き度や供給する蒸気の温度を安定に出来る観点から蒸気圧力調節弁、水量調節弁、ドレントラップ、及びアトマイザーを有しているものが好ましい。延伸槽内の加圧スチーム延伸室への加圧スチームの供給は、多孔板を介して繊維束に直接スチームが当たらないようにする構造や、延伸槽内の加圧スチーム延伸室内に設置されたスチーム噴き出しヘッダーにスチーム配管で接続した構成とすることができる。加圧スチーム延伸室内に導入された複数の繊維束のそれぞれに均一にスチームを当てることが可能となるので延伸槽内の加圧スチーム延伸室内に設置されたスチーム噴き出しヘッダーにスチーム配管で接続した構成とするのが好ましい。また、供給する加圧スチームの乾き度を測定可能な位置に乾き度計を設置することもできる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束における毛羽発生頻度の評価)
加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた走行中の複数の炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束において、1時間あたりに発生する毛羽の数を測定し、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束1本あたりの平均発生回数を算出した。評価基準を表2に示す。なお、毛羽の平均発生回数は次の式により求めた。
(毛羽の平均発生回数)=(加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた走行中の複数の炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束において、1時間あたりに発生する毛羽の総数)÷(加圧スチーム延伸装置に投入した炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の数)
Figure 0004745932
(加圧スチームから炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束に与えられた水の量)
加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束を1メートル採取し105℃の熱風循環乾燥機にて1時間乾燥させ繊維束の水分率を測定し、これを加圧スチームから炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束に与えられた水の量とした。
水分率(質量%)=(乾燥前の繊維束の重量−乾燥後の繊維束の重量)÷(乾燥後の繊維束の重量)×100
(炭素繊維束における毛羽発生頻度の評価)
炭素化炉から出てきた走行中の炭素繊維束1本において、1〜3分毎に目視で発生する毛羽を観察し、毛羽の発生状況を「なし」、「ややあり」、「やや多い」、「多い」の4段階に分類し、それぞれに対し3、2、1、0点の得点を設けた。観察は、炭素繊維束1本あたりn=25で行い、その平均値を算出した。評価基準を表3に示す。なお、平均値が高いほど毛羽が少ない良好な炭素繊維束が得られることを示している。
Figure 0004745932
(加圧スチーム延伸装置)
図2は実施例で使用した加圧スチーム延伸装置を示す模式図であり、図4はこの加圧スチーム延伸装置が有する延伸槽内部の一例を示す断面模式図である。
この加圧スチーム延伸装置は、繊維束の走行路を含む平面において分割可能なボックス型の延伸槽1を有しており、延伸槽1の内部には、繊維束入口部及び繊維束出口部にはラビリンスシール部11が設けられ、加圧状態で維持可能なボックス型の延伸室13が形成されている。この装置における、ラビリンスシール部11における繊維束の走行路断面はスリット形状であり、ラビリンスシール部11は板片からなるラビリンスノズルがラビリンスシール部11の内壁面から繊維束の走行方向に向けて直角に延び、且つ繊維束の走行方向に多段に配されてなる。また、ラビリンスノズルの内壁面からの延設長さLと、前後のノズル間のピッチPとの比(L/P)の値は0.5であり、ラビリンスノズルの段数が前後のラビリンスシール部ともにそれぞれ80段である。繊維束の走行路断面のスリット形状は、走行路断面の左右幅Wと高さHの比(H/W)が1/200である。
延伸槽1内の延伸室13には、繊維束に向かってスチームを噴出させる位置に、図3に示すような一対の梯子状スチーム噴き出しヘッダー9が対向して全面に配置されている。梯子状スチーム噴き出しヘッダー9は、繊維束走行面側に均等に多数のスチーム噴き出し孔12を配し、繊維束走行面の反対側にスチーム供給管14を2箇所有する。ここでのスチーム噴き出し孔12の直径は3mmであり、繊維束に垂直方向にスチームを噴出できる。
スチーム供給管14には、加圧スチーム供給装置3が接続されている。加圧スチーム供給装置3は、蒸気圧力調節弁3a、水量調節弁3b、ドレントラップ3c、及びアトマイザー3dを有しており、所望の水分量、圧力及び温度の加圧スチームが調製される。加圧スチームの乾き度は、乾き度計3eで測定される。乾き度計3eとしては、小川サンプリング株式会社製のO.S.K129型(商品名)が設置されている。このように、スチーム供給装置3、スチーム供給管14、及びスチーム噴き出しヘッダー9により加圧スチーム供給手段が構成される。
一方、延伸槽1の上流側及び下流側には、延伸ローラとしてのジャケットローラ2が配置されている。ジャケットローラ2には、熱媒供給配管4が接続されており、スチーム、温水、オイル等を供給することで加熱可能である。延伸槽1の繊維束入口近傍には、保温カバー8、及び繊維束入口から導入される直前の繊維束7の温度を検出するための温度計6が配置されている。温度計6としては、非接触式の放射温度計(コニカミノルタ製、商品名:HT−10D)が設置されている。
繊維束7は、ジャケットローラ2の回転により、延伸槽1の前壁部に形成された繊維束入口部から導入され、延伸槽1の全長にわたって延びる走行路を水平方向にシート状に並列して走行する。延伸槽1の延伸室13内には加圧スチーム10が均一に供給されており、所定の圧力に保たれた延伸室13内で繊維束7が所定の延伸倍率に延伸される。その後に、延伸槽1の後壁部に形成された繊維束出口部から延伸された繊維束7が導出される。
延伸槽1の延伸室13内に供給される加圧スチームは、蒸気圧調節弁3aによって所定の圧力に設定し、ドレントラップ3cにより過剰な水を除去し、さらには水量調節弁3b及びアトマイザー3dから水を供給し、所望の水分量、圧力及び温度に調整することができる。
ジャケットローラの表面温度は、供給するスチームの圧力を調節して所定の温度に設定することができる。さらに、延伸槽1の上流側直前に配されたジャケットローラ2については、減圧弁5により他のジャケットローラとは別にスチーム圧力を設定して、その表面温度を所定の温度に設定することができる。
(実施例1)
アクリロニトリル96質量%、メタクリル酸1質量%、アクリルアミド3質量%を共重合したアクリル系共重合体をジメチルアセトアミドに溶解して、紡糸原液(重合体濃度21質量%、温度60℃)を調製した。この紡糸原液を、直径0.065mm、孔数12,000のノズル6個から、温度35℃、濃度66質量%のジメチルアセトアミド水溶液中に湿式紡糸して、凝固糸とした。凝固糸の断面形状はほぼ真円であった。この凝固糸を、冷延伸及び温水中延伸を施した後、アミノシリコーン系油剤1質量%水溶液中に浸漬し、表面温度180℃のローラにて乾燥緻密化した。ここまでの湿熱延伸倍率は3.5倍である。
続いて、図2に示す構成の加圧スチーム延伸装置により加圧スチーム延伸した。延伸槽の直前のジャケットローラの表面温度は、そのジャケットローラに供給するスチーム圧を減圧弁により変えることで、162℃に調整した。次いで延伸ローラから加圧スチーム延伸装置の間に設置された保温カバーで覆われた空間を通過させて繊維束の放熱を制御することにより、延伸槽に入る繊維束の温度を95℃とした。温度については、放射温度計で6本の繊維束の中の1本を測定した。また、アトマイザーから供給する水の量を調節することにより、延伸槽内に供給するスチームを133℃の乾き飽和蒸気(ゲージ圧力:212kPa)に調節した。このような条件下で、延伸倍率が合計10.0倍になるように加圧スチーム延伸を実施し加圧スチーム延伸装置の下流側に配された延伸ローラの表面温度を185℃として熱セットを行い、同時に繊維束の水分率を実質的に0質量%とした後に徐々に冷却して炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を得た。この時加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束を採取し水分率の測定をしたところ水分率は25質量%であった。毛羽の発生は非常に少なく、安定にスチーム延伸できた。
得られた炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を焼成して炭素繊維束とした。具体的には、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を、230〜260℃の空気中、緊張化に加熱し密度1.36g/cm3の耐炎化繊維束に転換し、さらに、700℃の窒素中、緊張化で前炭素化処理を施し前炭素化繊維束とした。この前炭素化処理での300〜500℃での昇温速度は200℃/分であった。得られた前炭素化繊維束を炭素化炉で1,450℃で炭素化し、表面処理後にサイジング剤を付与し、炭素繊維束を得た。なお、1,000〜1,200℃での昇温速度は400℃/分であった。毛羽の発生は非常に少なく、安定に炭素繊維束を製造できた。
加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
(実施例2)
アトマイザーから供給する水の量を調節することにより、供給するスチームを140℃の過熱蒸気(ゲージ圧力:212kPa)に調節したこと以外は、実施例1と同様に実施した。延伸槽に入る繊維束の温度は95℃であった。炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束及び炭素繊維束の製造段階での毛羽の発生は非常に少なく、安定にスチーム延伸できた。加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
(実施例3)
アトマイザーから供給する水の量を調節することにより、加圧スチーム延伸装置に供給するスチームを乾き度計0.95の133℃の湿り蒸気(ゲージ圧力:212kPa)に調節したこと以外は、実施例1と同様に実施した。延伸槽に入る繊維束の温度は95℃であった。炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束及び炭素繊維束の製造段階での毛羽の発生は少なく、安定にスチーム延伸できた。加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
(比較例1)
ジャケットローラに供給するスチーム圧を減圧弁により変えることで、延伸槽の直前のジャケットローラの表面温度を185℃に調整したこと以外は、実施例1と同様に実施した。延伸槽に入る繊維束の温度は143℃であった。実施例1に比べ、効率の良い凝縮が起こらなかったために、可塑化に必要な水が与えられなかったため、加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率が実施例1に比べ低く、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束に毛羽が多く発生し、それを焼成した炭素繊維束にも毛羽が多く発生した。加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
(比較例2)
ジャケットローラに供給するスチーム圧を減圧弁により変えることで、延伸槽の直前のジャケットローラの表面温度を185℃に調整したこと以外は、実施例2と同様に実施した。延伸槽に入る繊維束の温度は143℃であった。実施例2に比べ、効率の良い凝縮が起こらなかったために、可塑化に必要な水が与えられなかったため、加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率が実施例2に比べ低く、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束に毛羽が多く発生し、それを焼成した炭素繊維束にも毛羽が多く発生した。加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
(比較例3)
ジャケットローラに供給するスチーム圧を減圧弁により変えることで、延伸槽の直前のジャケットローラの表面温度を185℃に調整したこと以外は、実施例3と同様に実施した。延伸槽に入る繊維束の温度は143℃であった。実施例3に比べ、効率の良い凝縮が起こらなかったために、可塑化に必要な水が与えられなかったため、加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率が実施例3に比べ低く、炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束に毛羽が多く発生し、それを焼成した炭素繊維束にも毛羽が多く発生した。加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
(比較例4)
アトマイザーから供給する水の量を調節することにより、加圧スチーム延伸装置に供給するスチームを乾き度0.6の133℃の湿り蒸気(ゲージ圧力:212kPa)に調節したこと以外は、実施例1と同様に実施した。延伸槽に入る繊維束の温度は95℃であった。実施例1に比べ、加圧スチーム中の微小な水の滴が繊維に衝突した割合が大きいため炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束に毛羽が非常に多く発生し、それを焼成した炭素繊維束にも毛羽が非常に多く発生した。加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
(比較例5)
ジャケットローラに供給するスチーム圧を減圧弁により変えることで、延伸槽の直前のジャケットローラの表面温度を185℃に調整したこと以外は、比較例4と同様に実施した。延伸槽に入る繊維束の温度は143℃であった。実施例1に比べ、加圧スチーム中の微小な水の滴が繊維に衝突した割合が大きいため炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束に毛羽が非常に多く発生し、それを焼成した炭素繊維束にも毛羽が非常に多く発生した。加圧スチーム延伸装置から延伸されて出てきた直後の繊維束の水分率、毛羽評価の結果を表4に示す。
Figure 0004745932
本発明の加圧スチーム延伸装置の延伸槽内に導入される繊維束の温度と加圧スチームの凝縮によってアクリル系繊維束へ与えられる水の量の関係を示すグラフである。 本発明の加圧スチーム延伸装置の一例を示す模式図である。 本発明の加圧スチーム延伸装置のスチーム噴き出しヘッダーの一例を示す模式図である。 本発明の加圧スチーム延伸装置の延伸槽内部の一例を示す断面模式図である。 供給熱エネルギーと蒸気温度との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 延伸槽
2 ジャケットローラ
3 加圧スチーム供給装置
3a 蒸気圧力調節弁
3b 水量調節弁
3c ドレントラップ
3d アトマイザー
3e 乾き度計
4 熱媒供給配管
5 減圧弁
6 温度計
7 繊維束
8 保温カバー
9 スチーム噴き出しヘッダー
10 加圧スチーム
11 ラビリンスシール部
12 スチーム噴き出し孔
13 加圧スチーム延伸室
14 スチーム供給管

Claims (2)

  1. 加圧スチームにより並列させた複数の炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束を延伸する加圧スチーム延伸装置において、
    炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の入口部及び出口部に設けられたラビリンスシール部により、内部を加圧状態で維持可能な延伸槽と、
    前記延伸槽の上流側及び下流側に配された延伸ローラと、
    前記延伸槽の上流側に配された延伸ローラの表面温度を制御する手段と、
    前記入口部から前記延伸槽内に導入される炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の温度を検出する検出器と、
    前記延伸槽内に加圧スチームを供給する加圧スチーム供給手段と、
    を有することを特徴とする加圧スチーム延伸装置。
  2. 請求項1に記載の加圧スチーム延伸装置を用いることを特徴とする炭素繊維用アクリル系前駆体繊維束の製造方法。
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